(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発泡合成樹脂製で一面が開口した容器本体および、前記容器本体の開口を閉止する発泡合成樹脂製の蓋体よりなる発泡合成樹脂製収容容器であって、蓋体の外側面の全周または一部に、蓋体の厚み方向に対して直角方向に、凸条突起を設け、かつ、容器本体の側壁内面に、該凸条突起が嵌入する凹溝を2段以上設けてなる、あるいは、蓋体の外側面の全周または一部に、蓋体の厚み方向に対して直角方向に、凹溝を設け、かつ、容器本体の側壁内面に、該凹溝に嵌入する凸条突起を2段以上設けてなり、
前記容器本体の開口を上方に向けた状態で内部に長尺の収容物を横入収容して開口を蓋体で閉止した後、収容物の一端側が上方に向くように向きを変えた状態で保管又は輸送に供するために角函状にしてなることを特徴とする、発泡合成樹脂製収容容器。
蓋体の少なくとも1つの側面に、蓋体の厚み方向に誘導突起を1つ以上設け、かつ、容器本体の対応する側壁内面に、該誘導突起が摺動しうる誘導溝を1つ以上設けてなる、あるいは、容器本体の側壁内面に、誘導突起を1つ以上設け、かつ、対応する蓋体の少なくとも1つの側面に、蓋体の厚み方向に該誘導突起が摺動しうる誘導溝を1つ以上設けてなることを特徴とする、請求項1または2に記載の発泡合成樹脂製収容容器。
【背景技術】
【0002】
発泡合成樹脂製の容器本体および蓋体からなる発泡合成樹脂製収容容器は、一般に、その保冷、保温性能の良好性から、また、その緩衝性能の優秀性から、果菜箱、魚箱、その他の輸送用容器として非常に重用されてきた。
【0003】
しかしながら、これらの収容容器は、容器に収容する収容物の容量に応じて、様々なサイズの容器が用いられてきた。例えば、同じ縦横寸法の容器であっても、収容物の容量に応じて、容器本体の高さの異なる容器を多数用意する必要があった。
果菜類などを収容し輸送する容器では、収容物の容量が多少変化することがあっても、大き目の容器を用いて対応するか、あるいは、事前に用意した高さの異なる容器を使い分けるなどの対応がなされてきた。
【0004】
また、ある高さの容器において、内容物の容量が明らかに少ない(すなわち、内容物の高さが低い)場合などには、内容物が容器内にて移動しないように、中敷きを用いたり、詰め物を用いることなどもなされていた。
【0005】
例えば、収容物がリンゴである場合、収容当初からの時間の経過に伴い、リンゴが自重等にて下がり、下方に落着いた時点での容積の減少に対応させるために、蓋体側の容器本体との嵌合を2段にしておき、蓋体側嵌合部の下段での係合後に、蓋体側嵌合部の上段に合致させて係合させるという先行技術もあった(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1の技術においては、自重等で下方に下降することのない収容物の場合には、容器を積み重ねた際に、積重ねた上部の容器の重みにより蓋体が押圧されるために、収容物が下方に押さえられ、損傷してしまうという問題があった。
【0006】
また、例えば、アスパラガス、ねぎ、ウド等の長尺で、横に寝かせて置いておくと、穂先部(頭部)が起き上がってくる性質を有する野菜類の保管や運搬には、容器本体の開口を上方に向けた状態で内部に長尺な野菜類等を収容して開口を蓋体で閉止した後、こうした野菜類の先端(頭部)が上方に向くように容器の向きを変えた状態で保管又は輸送に供するように構成した発泡合成樹脂製収容容器(以降、「横入縦輸送容器」と称する場合がある)が提供されている(例えば、特許文献2〜5参照)。
ただし、容器本体の開口を閉止する構造としては、蓋体の下面と容器本体の側壁上端面とが嵌合する構造(蓋体の下面縁端部が、容器本体の側壁上端部を覆う構造)が、一般的であった(
図11参照)。
【0007】
他方、発泡合成樹脂製収容容器は、収容物を収納した後、上下に積重ね保管、輸送することが多い。その際、下段の容器が上部の容器の重量を受けて、変形、破損等することがあり、その強度を向上させるための試みが、種々なされてきた。
【0008】
例えば、容器本体の一対の相対向した側壁の内面側における間隔を一端側より他端側にかけて順次大きく形成し、かつ、この一対の側壁の外面側における間隔をその一端側から他端側にかけて略同一に形成すると共に、一端側の容器本体の底壁と蓋体とに相対向して容器内部に凹ませて取手部を設けて該取手部の背後の底壁と蓋体の内面側における間隔を該一端側より他端側を大きく形成するという技術が開示され、実施されていた(特許文献2〜5参照)。
【0009】
これらの技術では、一対の相対向した側壁の厚みを順次厚くして内面側における間隔を順次狭くしようと、あるいは、容器本体の底壁と蓋体とに相対向して容器内部に凹ませた傾斜を有する取手部を設けて内面側における間隔を順次狭くして、アスパラガス頭部の細い上方に対応しようとしている。しかし、こうした構造の容器では、側壁厚みが変化して、容器重量が増し、コストに悪い影響を及ぼすと共に、容器の外観からだけでは容器の方向の判別は出来ない。外観だけで判別できるようにするには、容器の外側に何らかの印を付し、その印を確認して方向を認識する必要が生ずる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の第1の発明は、上記のような課題に鑑み、蓋体の閉蓋高さを調整可能な収容容器とすることにより、需要家が多くのサイズの異なる容器を保管せずとも、少数の異なるサイズの容器にて、収容物の容量の変動に対して対応可能として、結果として、手間やコストの低減、省資源化に資することを目的とするものである。
【0012】
本発明の第2の発明に関しては、アスパラガス等の長い収容物を容器に収納する発泡合成樹脂製収容容器にあっては、鮮度や出荷時間の関係で、短時間で多量の収納物を処理しなければならず、瞬時に容器の方向を判断して、正確に収納方向を決める必要がある。特に、横入縦輸送容器においては、前記したごとく、収納物の収納後、収納物の頭部が上になり、根の部分が下になるように、容器を縦に立ち上げて、保管・運搬する必要がある。容器の上下の間違いは、収納物の鮮度に多大の影響を及ぼすと共に、頭部の損傷を発生させ商品価値を無に帰す恐れさえある。
収納物収容時の容器方向の間違いや混乱は、収容作業の作業効率に顕著に影響を及ぼすものである。
また、従来の横入縦輸送容器などでは、一対の側壁の内面側における間隔は、その他端側から一端側にかけて順次狭くしても、外面側における間隔は、その他端側から一端側にかけて略同一に形成させてきた。これは、容器外観への影響を危惧したためであり、そのため、容器の原料樹脂の増加を招来させ、コスト増加に結びついていた。このため、原料樹脂の増加をできるだけ避けた状態で積重ね強度等を向上させるという要望も存在していた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討を行った結果、第1の発明として、収容容器において、蓋体を容器本体の側壁上端部を覆うように閉止するのではなく、蓋体の外側面と容器本体の側面内面に互いに嵌入する凸条突起および凹溝を設けて閉止することにより、閉蓋高さを多段階的に調整できることを見出し、本発明を完成させた。
【0014】
本発明の第2の発明は、上記課題を解決するものであって、側壁厚みを略一定に保ち、側壁内面間距離を順次縮小させてアスパラガス等の収容物の頭部のスペース過多をなくすことにより、側壁外面に現れる容器の外観だけで極簡単に容器方向を識別できると共に、同時に、補強リブ構造が生ずることから積重ね強度等の容器強度を向上させるものである。
【0015】
本発明は、すなわち、
[1] 発泡合成樹脂製で一面が開口した容器本体および、前記容器本体の開口を閉止する発泡合成樹脂製の蓋体よりなる発泡合成樹脂製収容容器であって、蓋体の外側面の全周または一部に、蓋体の厚み方向に対して直角方向に、凸条突起を設け、かつ、容器本体の側壁内面に、該凸条突起が嵌入する凹溝を2段以上設けてなる、あるいは、蓋体の外側面の全周または一部に、蓋体の厚み方向に対して直角方向に、凹溝を設け、かつ、容器本体の側壁内面に、該凹溝に嵌入する凸条突起を2段以上設けてなり、前記容器本体の開口を上方に向けた状態で内部に
長尺の収容物を
横入収容して開口を蓋体で閉止した後、収容物の一端側が上方に向くように向きを変えた状態で保管又は輸送に供する
ために角函状にしてなることを特徴とする、発泡合成樹脂製収容容器、
[2] 容器本体の少なくとも一対の対向する側壁の上端に、切り欠きを設けてなることを特徴とする、[1]に記載の発泡合成樹脂製収容容器、
[3] 蓋体の少なくとも1つの側面に、蓋体の厚み方向に誘導突起を1つ以上設け、かつ、容器本体の対応する側壁内面に、該誘導突起が摺動しうる誘導溝を1つ以上設けてなる、あるいは、容器本体の側壁内面に、誘導突起を1つ以上設け、かつ、対応する蓋体の少なくとも1つの側面に、蓋体の厚み方向に該誘導突起が摺動しうる誘導溝を1つ以上設けてなることを特徴とする、[1]または[2]に記載の発泡合成樹脂製収容容器、
[4] 蓋体に、容器本体の切り欠き部位を覆う膨出部および
、膨出部の下面の外端部に下方に向かって垂下
し、容器本体の側壁外面に接触する垂下部を設け、
かつ、容器本体の切欠きの下方の側壁外面側に、垂下部の内側面に当接する凹欠部を設けてなることを特徴とする、[2]に記載の発泡合成樹脂製収容容器、
[5] 蓋体の上面に、指掛け用の凹部を設けてなることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の発泡合成樹脂製収容容器、
[6] 容器本体の側壁上端縁に、容器内面に向かって傾斜する傾斜面を有することを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかに記載の発泡合成樹脂製収容容器、
[7] 収納物が、一端側が細くなっている野菜類であることを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかに記載の発泡合成樹脂製収容容器、
[8] 容器本体の長辺側側壁の間隔、および/または、容器本体の底壁と蓋体の下面との間隔が、収容物の一端側に向かって全体的または部分的に幅狭になっていることを特徴とする、[1]〜[7]のいずれかに記載の発泡合成樹脂製収容容器、
[9] 容器本体の長辺側壁厚みを略一定に保ち、容器本体の対向する長辺側壁の一端側寄りの位置に、該長辺側壁の双方または片方に、他端側より一端側にかけて順次大きく内側に向かって突出する突出部を設けてなることを特徴とする、[8]に記載の発泡合成樹脂製収容容器
、
に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の発泡合成樹脂製収容容器は、蓋体の外側面の凸条突起を、容器本体の側壁内面に設けた任意の凹溝に嵌入する、あるいは、蓋体の外側面の凹溝に、容器本体の側壁内面に設けた任意の凸条突起を嵌入させることにより、変動する収容物の容量に応じて、蓋体の閉蓋位置(高さ)を容易に変えることができ、需要家が多くの異なるサイズの容器を用意・保管することなく、少数の異なるサイズの容器で対応することが可能となり、手間やコストの低減、省資源化に資することができる。また、該構造の落とし蓋による横入縦輸送容器として容器の方向を縦に起こして使用する際、蓋体が地面等と接触しないようにした例においては、開蓋し難いものとすることができる。
【0017】
また、本発明の収容容器は、蓋体の外側面あるいは容器本体の側壁内面に設けた誘導突起と、容器本体の側壁内面あるいは蓋体の外側面に設けた誘導溝とを存在させることにより、その誘導効果によって蓋の開閉時のガタツキが少なくなり、操作性を高くすることができる。
【0018】
また、落とし蓋構造の蓋体に、膨出部と垂下部を設けた例に於いては、垂下部を含む膨出部に手を掛けて、上方に引き上げたり、押さえたりすることで蓋体の開閉が容易となるため、本発明の容器の実用性を著しく向上させることが可能となる。
【0019】
更には、収容物の太さが根元部と頭部とで異なる場合には、容器本体の底面および蓋体の一部に容器内側に向かって凹む窪み部を設ける、あるいは、容器本体の対向する長辺側側壁の一部に容器内側に向かって突出する突出部と、窪み部とを設けることにより、収容物の一端側の支持部とすることができる。更に、収容物の収容方向や、立起させる場合に於ける立起方向を誤らせず、確実にするための表示部としても機能する。
【0020】
他方、長辺側壁厚みを略一定に保つことで、収容容器の原料樹脂の増加をできうる限り抑制しつつ、対向する側壁の双方または片方、より好ましくは双方に、他端側より一端側にかけて順次大きく内側に向かって突出する突出部を設けるだけの構造を付与することで、一種のリブ構造が形成されることになり容器強度が大幅に向上する。
また、突出部が存在することにより、一端側の側壁間距離が縮小されて、一端側のスペース過多を解消しうると共に、容器の外観による容器方向の識別性が顕著に向上するので、容器方向の判別が瞬時に正確にでき、収容物の収納方向や、閉蓋に関しての迷いや、誤認が生ずる恐れがなくなり、収容物の収納効率が著しく向上する。
さらに、閉蓋後、横入縦輸送容器として縦に起こし保管、輸送する際にもその方向を誤ることが一切なくなり、収容物の損傷、劣化を防ぐと共に、作業効率が非常に向上する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る発泡合成樹脂製収容容器の詳細を、添付の図面に基づき、説明する。
【0023】
本発明の発泡合成樹脂製収容容器は、発泡合成樹脂製で一面が開口した容器本体および、前記容器本体の開口を閉止する発泡合成樹脂製の蓋体よりなり、前記容器本体の開口を上方に向けた状態で内部に収容物を収容して開口を蓋体で閉止する際、容器本体に収容する収容物の容量に応じて、蓋体の閉蓋高さを多段的に調節可能な収容容器である。特に、閉蓋後、収容物の一端側が上方に向くように向きを変えた状態で保管または輸送に供する横入縦輸送容器に関する。
【0024】
本発明の収容容器の容器本体および蓋体は、発泡性合成樹脂を型内成形等の成形手段で発泡成形して得られる合成樹脂発泡体で形成される。発泡性合成樹脂としては、発泡ポリスチレン系樹脂、発泡ポリエチレン系樹脂、発泡ポリプロピレン系樹脂等の発泡ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン変性発泡ポリエチレン等のポリスチレン変性発泡ポリオレフィン系樹脂、硬質発泡ウレタン系樹脂等を用いることができるが、中でも、発泡ポリスチレンが特性、コスト等の点から好適に用いることができる。
【0025】
本発明の容器本体は、一面が開口しており、4面の側壁と底壁から構成されている。
【0026】
本発明の第1の発明の収容容器は、蓋体がいわゆる「落とし蓋」形式、及びその変形例を含むものであり、蓋体の外側面の全周または一部に、蓋体の厚み方向に対して直角方向に凸条突起を設け、かつ、容器本体の側壁内面に、該凸条突起が嵌入する凹溝を2段以上設けてなるもの、あるいは、蓋体の外側面の全周または一部に、蓋体の厚み方向に対して直角方向に、凹溝を設け、かつ、容器本体の側壁内面に、該凹溝に嵌入される凸条突起を2段以上設けてなるものである。
【0027】
本発明の第1の発明の収容容器では、容器本体の側壁内面に設けられる、凸条突起を嵌入させる凹溝、あるいは、凹溝に嵌入させる凸条突起の位置を選択することにより、「落とし蓋」形式、あるいは、その変形例を含む蓋体の閉蓋位置(閉蓋高さ)を容易に広範囲に渡り多段階的に調整することができる。
【0028】
これに対して、従来の収容容器では、
図10に示すように、蓋体3の縁端部が、容器本体2の側壁上端部を覆う構造である為、蓋体3の閉蓋位置は、容器本体2の側壁高さに固定されて調整することができない。また、実公昭62−13952号公報に記載されているように、蓋体の嵌合部内周に上下2段の凹部を設け、他方、容器本体の上縁外周部(側壁外面)に上記凹部の何れとも係合可能な形状の凸部を設けることにより、蓋体の閉蓋位置を調整できる技術も存在するが、蓋体の閉蓋位置は、基本的に容器本体2の側壁高さに左右され、大幅に低くすることができない。
【0029】
本発明の第1の発明における凸条突起および凹溝の形状は、互いに嵌入できるものであれば、特に限定はなく、公知の形状を有することが可能である。
【0030】
例えば、
図1において、蓋体3には、側面の一部に、蓋体の厚み方向に対して直角方向に凸条突起13が設けられ、容器本体2の側壁内面には、凸条突起13を密に嵌入可能な凹溝15が2段設けられている。
【0031】
本発明の第1の発明の収容容器においては、凸条突起13および凹溝15は、蓋体3の外側面と容器本体2の側壁内面との接触面に、全周に渡り連続して設けても良いし、部分的に途切れた状態で一部のみに設けても良い。但し、一部のみに設ける場合には、容器本体2の側壁内面あるいは蓋体3の外側面の少なくとも隅部を含むように設けることが好ましい。容器本体2の側壁内面あるいは蓋体3の外側面の、隅部を含むように凸条突起13または凹溝15を設ける場合、2隅だけでも良いが、3隅に設けることが好ましく、4隅全てに設けることがさらに好ましい。2隅だけに設ける場合には、凸条突起13または凹溝15は対角線上の2隅を含むように設けることが好ましい。
【0032】
なお、本発明の第1の発明の収容容器における凸条突起13および凹溝15の形状、高さ、幅、長さ等は、容器の大きさ、収容物の種類、容器に求められる閉蓋の強さ、等により、適宜調整すれば良い。ただし、一般的には、例えば、長辺35cm×短辺27cm×高さ22cmの直方体状の容器(側壁の厚み2cm、蓋体の厚み2.5cm)の場合、凸条突起13の高さは0.7mm〜2mm程度が好ましく、0.8mm〜1.3mm程度がより好ましく、1mm程度が最も好ましい。幅は、3mm〜10mm程度が好ましく、4mm〜9mm程度がより好ましく、最も好ましくは5mm〜8mm程度が最も好ましい。
【0033】
本発明の第1の発明の収容容器における、容器本体2の側壁内面に設けられる凹溝15または凸条突起13の位置(側壁内面での底面からの高さ)および段数は、目的とする閉蓋位置(閉蓋高さ)に応じて、適宜調整すれば良い。
【0034】
本発明の第1の発明の収容容器のうち、
図1に示す例は、閉蓋後に蓋体が容器本体の側壁外面に露出しない構造の「落とし蓋」形式である為、横入縦輸送容器として利用する場合の蓋体と地面等との摩擦による蓋体の不用意な開蓋の恐れが全く生じないという利点を有している。
【0035】
すなわち、横入縦輸送容器においては、収容物を収容後、縦にして使用する際、地面を引きずったりして、容器が地面との摩擦を生ずることが発生する。従来の横入縦輸送容器では、そうした場面、下側になった容器本体の側壁外面および蓋体の縁端部が地面と接触することになる。その際、容器本体と蓋体には別の摩擦力が掛かり易く、不用意にも開蓋してしまうことがあった。このような事態を防ぐため、紐掛けしたり、接着テープで蓋と容器本体との嵌合部をテープ止めする等の対応がなされてきた。
【0036】
しかし、
図1に示す収容容器は、蓋体が容器本体の側壁外面に露出しない構造の「落とし蓋」形式であるため、容器本体の側壁外面は地面との摩擦を生ずるものの、蓋体は、容器本体の側壁内面内に納まっているので、地面と摩擦を生ずることが全くない。そのため、本発明の収容容器は、地面との摩擦等によって開蓋してしまう恐れが無く、良好な操作性を有し、優れた利便性を持つものである。
【0037】
本発明の第1の発明における容器本体2の側壁4には、通風予冷時における通風口として機能し、あるいは、蓋体3の開蓋のしやすさを向上させる為に、
図1に示すように、上端部の一部に切欠き5(5a、5a’、5b、5b’)等を設けることができる。切欠き5の形状、大きさ、位置等は、特に限定されるものではなく、目的に適うよう適宜設計すれば良い。
【0038】
本発明の第1の発明の収容容器のうち、
図1に示す例では、さらに、蓋体の少なくとも1つの外側面に、蓋体の厚み方向に誘導突起を1つ以上設け、かつ、容器本体の対応する側壁内面に、垂直方向に延びて最下段の凹溝に達する、該誘導突起が摺動しうる誘導溝を1つ以上設ける、あるいは、蓋体の少なくとも1つの外側面に、蓋体の厚み方向に誘導溝を1つ以上設け、かつ、容器本体の対応する側壁内面に、垂直方向に延びて最下段の凸条突起または凹溝に達する、該誘導溝を摺動しうる誘導突起を1つ以上設けることにより、蓋の開閉移動時のガタツキを少なくし、蓋の開閉作業の操作性を高くすることができる。誘導突起は、蓋の開閉移動時のガタツキをより少なくするために、対向する一対の側面にそれぞれ1つ以上設けることがより好ましく、対向する二対の側面にそれぞれ1つ以上設けることがさらに好ましい。
【0039】
本発明の第1の発明のうち、
図1に示す容器における誘導突起および誘導溝の形状は、誘導突起が摺動可能なものであれば、特に限定はなく、公知の形状を有することが可能である。蓋体の外側面に設けられる誘導突起あるいは誘導溝の長さは、蓋体の厚みと同一の長さであることが好ましい。
【0040】
例えば、
図1において、蓋体3には、対向する一対の側面(短辺側側面)に、側面の厚みと同一の長さを有する誘導突起11a(1つ)、11b(2つ)が設けられ、容器本体の対応する側壁内面には、誘導溝12a(1つ)、12b(2つ)が設けられている。
【0041】
本発明の第1の発明における蓋体の上面には、
図3および
図4に示すように、開蓋時に指をかける為の、指掛け用凹部19を設けることができる。指掛け用凹部の形状、大きさ、配置は、特に限定されるものではなく、目的に適うよう適宜設計すれば良い。例えば、その配置としては、
図3のように、指掛け用凹部19が2個(19a、19b)横に並んだものでも良いし、
図4のように、横長の指掛け用凹部19が1個のものでも良い。
【0042】
本発明の第1の発明における容器本体2の側壁上端部の内縁側には、蓋体3の閉蓋のしやすさを向上させる為に、
図1に示すように、容器本体の側壁の上縁部には、容器内面に向かって傾斜する傾斜面9を設けることができる。傾斜面9の角度、高さ、幅、等は、特に限定されるものではなく、目的に適うよう適宜設計すれば良い。
【0043】
本発明の第1の発明において、容器本体2は、長尺の収容物を収容するのに適するように、その開口側から見た際に、長方形状に形成された深さが深い角函状に形成されていることが多い。よって、長辺側側壁と短辺側側壁という表記を採用している。しかしながら、本発明の容器は必ずしも長方形状である必要はなく、正方形でもよい。容器が長方形状でない場合には、長辺側側壁は収容物の長さ方向に平行な側壁と読み替え、短辺側側壁は収容物の長さ方向に対して略直角な側壁と読み替える。
【0044】
本発明の第1の発明の収容容器にて、保管、輸送等に供する収容物は特に限定はないが、長尺で、傷みやすいものに好適に使用することができる。中でも、真竹、ヤングコーン、アスパラガス等の一端側が、細くなっている野菜類であることがより好ましく、もっとも好ましくはアスパラガスである。ここで、本発明の第1の発明では、長尺の野菜類等の収容物の太さの細い側を、一端側31と呼ぶこととし、太さの太い側を他端側32と呼ぶ。例えば、アスパラガスにおいては、太さの細いのは穂先側であり、それが一端側31となる。しかし、他の長尺の野菜類等においては、太さの細いのは根元側であることもあり得るが、その場合においても、太さの細い側を一端側31と呼び、太さの太い側を他端側32と呼ぶ。
【0045】
本発明の第1の発明の収容容器では、後述するように、容器本体の底壁と蓋体の下面との間隔を、収容物の一端側に向かって全体的または部分的に幅狭になっていてもよい。更には、容器本体の長辺側側壁の間隔も収容物の一端側に向かって全体的または部分的に幅狭になっていてもよい(但し、容器本体の側壁間隔を狭める工夫を、以下、「本発明の第2の発明」と呼ぶことがある。)。
【0046】
すなわち、第1の発明における容器本体2の底面8と蓋体3には、
図2に示すように、一端側31方向に向かって窪みの程度が大となるように、底面8と蓋体2に相対向して、容器内部に窪み部7、7’でもって凹ませて、全体的または部分的に設ける突出部6、6’を設けてもよい。なお、底面8と蓋体2の双方に突出部6、6’を設けるのが好ましいが、片方にだけ突出部を設けることもできる。
【0047】
該突出部6、6’は、容器本体の底壁と蓋体の下面との間隔を幅狭とさせるのであるが、立起状態にして使用する場合には、収納物の一端側31の支持部となると共に、一端側31を上方向に立てた状態で輸送する際の取手となり得るので好ましい。
【0048】
また、本発明の第1の発明における容器本体2は、相対向する長辺側側壁の内面側における間隔が、他端側32よりも一端側31に向かって、全体的に順次に、または、部分的に幅狭にする容器としてもよい。
図10では、容器本体2の相対向する長辺側側壁の双方の側壁の一部に、内面側における間隔が幅狭となるように、内側に向かう突出部17、17’を設け、それに対応する側壁外面には窪み18、18’が形成され、その結果、曲折部21、21’が形成されることとなり、この曲折部21、21’がリブ構造として作用するので、容器本体の側壁厚みの増加によるコストアップに繋がることなく、収容容器としての強度、特に積重ね強度を非常に向上させることが可能となり、極めて有用である。
【0049】
本発明の第1の発明における容器本体2には、片方の側壁だけに突出部17を設けても良い。但し、容器本体の強度バランス、取扱易さ、等の点からは、やはり双方の側壁に設けることが好ましい。
【0050】
本発明の第1の発明において、容器を立起状態で使用する場合には、窪み部18、18’は、一端側31を上方向に立てた状態で輸送する際の取手となり得ると共に、突出部17、17’により、長辺側側壁間の相対距離が小さくなることから、立起状態にある収納物の一端側31の支持部となるので好ましい。
【0051】
更に、本発明の第1の発明における窪み部18、18’と曲折部21、21’は、収容物の収容方向の一端側31を示す指示部としても機能する、すなわち、収容後、容器の向きを変えて縦にして輸送、保管する場合においては、一端側31に立てる方向を示す極めて明確な目印となるものである。このため、一連の作業が容易で、間違いが大幅に減少し、収納、出荷作業の効率を顕著に改善する効果を有する。
【0052】
また、本発明の第1の発明においては、容器本体2に対応するように、蓋体3にも窪み部18、18’に対応する蓋体窪み部20、20’が設けられるため、蓋の方向を明確に認識できるので、蓋の方向を例えば矢印などで確認しなくとも形状で判断できるので、誤ることがなくなるという効果もある。
【0053】
本発明の第1の発明の容器に要求される機能は、個々に様々であるので、底面8と蓋体2下面に相対向して突出部6、6’を設けたり、長辺側側壁の内面側における突出部17、17’を設けることは、収容物に応じて適宜採用し、あるいは組み合わせれば良く、目的に応じた良好な収容容器を設計すればよい。
【0054】
本発明の第1の発明の容器において、果菜類等の鮮度が特に重視される場合、果菜類等の鮮度をより確実に保持するために、収納物の他端側および/または一端側に仕切り板を設け、蓄冷材等を保持するための空間を容器本体に設けてもよい。
【0055】
本発明の第1の発明の収容容器では、
図6に示すように、蓋体3に、容器本体2の切欠き5(5a、5a’、5b、5b’)を覆う膨出部61(61a、61a’、61b、61b’)および、該膨出部61の下面の外端部から下方に向かって垂下する垂下部62(62a、62a’、62b、62b’)を設け、かつ、該膨出部61および該垂下部62が容器本体2の側壁外面からはみ出さずに収まるように、容器本体2の切欠き5の下方の側壁外面側に凹欠部63(63a、63a’、63b、63b’)を設けてもよい。ここで、蓋体3の垂下部62の内側面は、凹欠部63の側面に当接する。
【0056】
膨出部61および垂下部62が、容器本体2の側壁外面からはみ出さないように設計することにより、膨出部61や垂下部62が容器本体2の側壁外面から突出して、他の容器の側壁との衝突などを起こし難くなり、損傷等が起こりにくくなると共に、容器同士を前後左右に密に接触させて積重ね等ができるので、狭い車両等の荷台などでも収容効率を損なうことがないので、好ましい。
【0057】
膨出部61の水平方向の長さは、容器本体2の切欠き5の長さと略同じにしても良いし、容器本体2の側壁との間で、凹欠部63を利用した嵌合を形成するために、幅方向の途中より先端の部分(下面に垂下部62が設けられた部分)では、切欠き5の長さより少し長く、または、少し短くしても良い。
膨出部61の幅は、後述するように、容器本体2の側壁の厚みと同じか、少し狭くすることが好ましい。垂下部62の幅は、膨出部61の幅より狭いことが好ましく、膨出部61の幅の半分程度であることがより好ましい。
膨出部61の高さは、蓋体3の高さと略同じか、少し低くすることが好ましい。
【0058】
凹欠部63の水平方向の長さは、容器本体2の切欠き5の長さと略同じにしても良いし、あるいは、容器本体2の側壁との間で、凹欠部63を利用した嵌合を形成するために、膨出部61および垂下部62の長さに対応して、切欠き5の長さより少し長く、または、少し短くしても良い。
また、凹欠部63の垂直方向の高さは、垂下部62の下端部が到達する位置と同じ位置、あるいは、それより少し低い位置まで設けることが好ましい。
【0059】
垂下部62の内側面には、蓋体3の外側面と同様に、凸条突起あるいは凹条溝を設け、凹欠部63には、容器本体の側面内側に設けられた、凸条突起を嵌入できる凹条溝あるいは凹条溝に嵌入する凸条突起に対応するそれぞれの位置に、垂下部62の内側面に設ける凸条突起を嵌入できる凹条溝あるいは凹条溝に嵌入する凸条突起を設けてもよい。
【0060】
なお、
図6に示す容器では、蓋体3の2組の対向する側壁側(すなわち4辺)にそれぞれ2個の膨出部61や垂下部62を設けた例を図示したが、必ずしも2組の対向する側壁側にそれぞれ2個の膨出部61および垂下部62を設ける必要はない。場合によっては、1組の対向する側壁側に1個または2個の膨出部61および垂下部62を設けたり、2組の対向する側壁側にそれぞれ1個の膨出部61および垂下部62を設けることもできる。
ちなみに、
図9には、蓋体3の1組の対向する側壁側に2個の膨出部(61a、61a’)や垂下部(62a、62a’)を設け、他の1組の対向する側壁側には1個の膨出部(61b’)や垂下部(62b’)を設ける(合計3個)例を、示した。
ただし、蓋体3の2組の対向する側壁側にそれぞれ2個づつ設ける態様が、閉蓋性、開蓋性において、最も便利で好ましい。
【0061】
本発明の第2の発明の容器は、矩形であれば形状を問わない。なぜなら、本発明の第2の発明の容器は、ねぎやアスパラガス等の長い収容物を扱うことが多いためである。長い収容物の場合には、容器は、容器の長辺側壁と平行に長い収容物を収納し、閉蓋した後、保管又は輸送に供する。収容物を収納して閉蓋した後、場合によっては、容器は、収容物の頭部に相当する一端側の短辺側壁が上になるように、すなわち、根元部の側である他端側の短辺側壁が下になるようにして、立てて縦にして、いわゆる横入縦輸送容器として保管、輸送に供することもできる。
【0062】
本発明の第2の発明の容器は、容器本体の対向する長辺側壁の双方または片方の一部に、他端側より一端側にかけて内側に向かって順次突出の程度が増す形状の突出部を設ける。この場合、特に、対向する長辺側壁の双方に突出部を設けるのが好ましい。何故なら、対向する長辺側壁の片方に突出部を設け、他方に突出部を設けない場合には、容器の強度のバランスが崩れる恐れが生ずるためである。しかし、強度バランスがあまり問題とならない場合には、片方に突出部を設けても良い。
【0063】
本発明の第2の発明の容器において、突出部を設ける位置は、長辺側壁の長さの中間位置よりも、収容物が細くなっている頭部に位置する一方の短辺側壁側(本発明では、これを「一端側」と称す)に偏った位置に設けることにより、一端側における長辺側壁の内面間距離が順次狭くなるので、一端側に起きる収容スペースの過多を解消できる。
【0064】
本発明の第2の発明の容器において、突出部を有する長辺側壁の厚みは、突出部を有さない部分の長辺側壁の厚みと略同一であることが好ましい。なぜなら、突出させる分だけ側壁厚みを厚くすると、その分、容器を構成する発泡合成樹脂の重量が増加しコスト増になるからである。発泡合成樹脂の重量を増加させて容器の強度を上げるのでは、工業的に妙味が薄れるからである。このように、長辺側壁の厚みを同一にすることにより、長辺側壁外面が突出分だけ窪むこととなる。そして、容器外観に現れる窪みが、容器の方向性を示す印として有効に機能する。
【0065】
本発明の第2の発明の容器において、順次突出の程度が増す突出部は、一端側の短辺側壁に近い位置で、元の長辺側壁の内面間距離に戻す必要があるが、この時、突出部には急角度で屈曲した屈曲部が生ずることになる。この長辺側壁における屈曲部は、長辺側壁の面積を増加させると共に、一種のリブ構造を奏する結果となる。こうした形状は、容器の積圧強度に大きく寄与するので非常に好ましい。
【0066】
本発明の第2の発明の容器においては、第1の発明の容器のように、蓋体の外側面に凸条突起を設け、かつ、容器本体の側壁内面に、該凸条突起が嵌入する凹溝を2段以上設けてなる、あるいは、蓋体の外側面に、蓋体の厚み方向に対して直角方向に、凹溝を設け、かつ、容器本体の側壁内面に、該凹溝に嵌入する凸条突起を2段以上設けて、落し蓋構造としてもよい。
本発明の第2の発明の容器においては、さらに、膨出部61、垂下部62、凹欠部63等を設けることも、適宜実施できる。
本発明の第2の発明の容器においては、凸条突起および凹溝を設けることなく、
図12〜
図15に図示するように、蓋体下面と容器本体の側壁上端面とが嵌合する構造としてもよい。
【0067】
なお、本発明の第2の発明の容器において、突出部を有する長辺側壁の厚みと、突出部を有さない部分の長辺側壁の厚みとは、略同一であることが好ましいが、長辺側壁の厚みと短辺側壁の厚みとは、略同一であってもよいし、異なっていても良い。しかし、長辺側壁の厚みと短辺側壁の厚みが略同一であるのが、一般的であり、取り扱いやすく、製造し易いので好ましい。
【0068】
本発明の第2の発明の容器においては、果菜類等の鮮度を重視するものである場合、果菜類等の鮮度をより確実に保持するために、収納物の他端側および/または一端側に仕切り板を設け、蓄冷材等を保持するための空間を容器本体に設けてもよい。
【実施例】
【0069】
以下に、実施例を以て本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0070】
まず、本発明の第1の発明に関して、図面を用いて説明する。
【0071】
図1は、本発明の第1の発明の一実施態様である発泡合成樹脂製収容容器の一実施例であって、図中、2は発泡合成樹脂製で、一面が開口した長方形状の容器本体であり、3は容器本体2の開口を収容状態で閉止する、同じく発泡合成樹脂製の蓋体である。そして、
図1では、容器本体1は、長尺のアスパラガス等の野菜類等を収容するのに適するように、その開口側から見た際に細長い長方形状に形成された深さが深い角函状に形成されている。
【0072】
図1には、蓋体3の側面の4隅に、側面の厚み方向に直角方向に凸条突起13が設けられ、容器本体の側壁内面の上部には、容器本体の側壁内面に、該凸条突起が嵌入する凹溝15が2段設けられている。本発明の収容容器1では、凸条突起13を嵌入させる凹溝15の位置を選択することにより、閉蓋位置(閉蓋高さ)を調整することができる。
これに対して、従来の収容容器では、例えば、
図11に示すように、蓋体3の縁端部が、容器本体2の側壁上端部を覆い、容器本体2の側壁上端部と、蓋体下面に設けた嵌合用凹凸構造による嵌合構造である為、閉蓋位置は容器本体2の側壁高さに固定され、調整することができない。
【0073】
蓋体3の側面や容器本体2の側壁内面に設けられる凸条突起13および凹溝15の形状は、互いに嵌入(係止)するものであれば、特に限定はなく、公知の形状を有することが可能である。本発明の収容容器における凸条突起13および凹溝15の形状、高さ、幅、長さ等は、容器の大きさ、収容物の種類、容器に求められる閉蓋の強さ、等により、適宜調整すれば良い。
【0074】
凸条突起13、凹溝15は、蓋体3の側面と容器本体2の側壁内面との接合面に、全周に渡り連続して設けても良いし、部分的に途切れた状態であってもよく、また、側壁内面の一部のみに設けても良い。また、容器本体2に設けられる凹溝13の位置(側壁内面での底面からの高さ)および段数は、目的とする閉蓋位置(閉蓋高さ)に応じて、適宜調整すれば良い。
【0075】
本実施例では、収容物として長尺の野菜類の例としてアスパラガス50が示されている。このアスパラガスの太さの細い穂先側51である一端側31を、一対の相対向する長辺側側壁に対し、図面左側に、太さの太い根元側52である他端側32を図面右側に収納している。
【0076】
さらに、
図1では、蓋体3には、蓋体3の開閉移動時のガタツキを少なくする為に、短辺側側面に、側面の厚みと同一の長さを有する誘導突起11a(1つ)、11b(2つ)が設けられ、容器本体2の対応する側壁内面には、垂直方向に延び、最下段の凹溝15に達する誘導溝12a(1つ)、12b(2つ)が設けられている。
【0077】
図1では、蓋体3の閉蓋を容易にする工夫として、容器本体2の側壁上端部に、容器本体の側壁内面側への傾斜面9が設けられている。
【0078】
図1では、容器本体2を積重ねて通風予冷する場合の冷気の通気のため、加えて、蓋体3の開蓋を容易にする工夫として、容器本体2の側壁4に、上端部の一部に切欠き5(5a、5a’、5b、5b’)を設けている。同じ目的の工夫として、
図3または
図4に示すように、蓋体3の上面に、指掛け用の凹部19、19a、19bを設けても良い。
【0079】
さらに、容器本体2の底面8と蓋体3には、
図1および
図2に示すように、一端側31方向に向かって突出の程度が大となるように、底面8と蓋体3に相対向して、部分的に容器内部に突出する突出部6、6’、およびそれに対応する窪み部7,7’が設けられている。該突出部6、6’は、容器本体2の底面8と蓋体3間の相対距離が小さくなることから、立起状態にある収納物の一端側31の支持部となると共に、一端側31を上方向に立てた状態で輸送する際には窪み部7,7’が取手となり得るので好ましい。
【0080】
なお、図中10は、容器本体2の底面40の内面側と蓋体3の外面側に盛り上げて、または凹ませて設けた矢印模様からなる指示部であって、野菜類等の収容物の収容方向が上方向である一端側31を示したり、容器の向きを変える場合に上方に立てる方向を示すものである。指示部10は、有れば作業が容易で有効であり、また表示する場所が特定されるものでもなく、何処に表示してもその目的は達する。
【0081】
本発明の第1の発明の容器本体2には、
図5(イ)に示すように、本体2の相対向する長辺側側壁の双方、または片方の側壁の一部に、他端側32よりも一端側31に向かって、長辺側側壁の内面側における間隔が幅狭となるように、内側に向かって突出する突出部17、17’を設けても良い。この態様においては、側壁厚みを略一定に保っているので、突出部17、17’に対応する窪み部18,18’が形成される。この際、屈曲部21、21´を形成させることで一種のリブ構造となり、容器本体2の積重ね強度の向上に寄与する。
図5(ロ)は、
図5(イ)に示す容器本体2に対応する蓋体3であって、窪み部18,18’を有する。
【0082】
図6は、本発明の第1の発明の別の実施態様を示す斜視図である。
【0083】
図6における実施形態では、蓋体に、容器本体2の切欠き5a、5a’、5b、5b’の上面を覆う膨出部61(61a、61a’、61b、61b’)および、該膨出部61の下面の外端部から下方に向かって垂下する垂下部62(62a、62a’、62b、62b’)を設け、かつ、容器本体2に蓋体3で閉蓋した際、膨出部61および垂下部62が、容器本体2の側壁外面からはみ出さないで収まるように、容器本体2の切り欠き5の下方の側壁外面側に凹欠部63(63a、63a’、63b、63b’)を設けている。
【0084】
図6では、膨出部61の水平方向の長さは、下面に垂下部62が設けられていない部分では容器本体2の切欠き5の長さと略同じであり、下面に垂下部62が設けられている部分では容器本体2の切欠き5の長さより少し長い。
【0085】
図6では、蓋体3の2組の対向する側壁側(すなわち4辺)に、それぞれ2個の膨出部61および垂下部62を設ける例を示している。膨出部61および垂下部62を設けることにより、開閉蓋の作業が著しく改善されるので好ましい。
【0086】
図6では、凹欠部63の水平方向の長さは、垂下部62の長さと同じ長さ(容器本体2の切欠き部5の長さより少し長い)になるように設けられており、容器本体5の側壁との間に、垂下部62および凹欠部63を利用した嵌合が形成されている。
また、凹欠部63の垂直方向の高さは、垂下部62の下端部が到達する位置より少し低い位置となるよう、設けられている。このような態様にすると、垂下部62の下端部と凹欠部63とで形成される凹部が生じ、ここに指を入れて引っ掛けることが可能になるので、開蓋の作業能率を改善でき、好ましい。
【0087】
図6では、垂下部62の内側面には、蓋体3の外側面と同様に、凸条突起13が設けられている。凹欠部63の外側側面には、容器本体2の側面内側に設けられた凸条突起13を嵌入できる凹溝15に対応するそれぞれの位置に、垂下部62の内側面に設ける凸条突起13を嵌入できる凹溝15が設けられている。
【0088】
なお、
図7は、
図6に示す蓋体の上側から見た平面図であり、
図8は、
図6に示す蓋体を下側から見た平面図である。
図9は、
図6に示す蓋体の側面図である。
【0089】
これに対して、
図10には、蓋体3の1組の対向する側壁側に2個の膨出部(61a、61a’)や垂下部(62a、62a’)を設け、他の1組の対向する側壁側には1個の膨出部(61b’)や垂下部(62b’)を設ける(合計3個)例を、示した。
【0090】
次いで、本発明の第2の発明に関して、図面を用いて説明する。
【0091】
また、本発明の第2の発明の容器本体2には、
図12(イ)に示すように、本体2の相対向する長辺側側壁の双方、または片方の側壁の一部に、他端側32よりも一端側31に向かって、長辺側側壁の内面側における間隔が幅狭となるように、内側に向かって突出する突出部17、17’が設けられる。そして、側壁厚みは略一定に保たれているため、突出部17、17’に対応する長辺側側壁の外面側における窪み部18,18’が形成されることになる。容器本体2に用いる蓋体3も容器本体2の側壁4形状に対応した凹凸のある形状になる。
図12(ロ)は、蓋体3の裏面(閉蓋時に容器内部に向く側)の状態を示す平面図であり、
図12(ハ)は、A−A線断面図である。
【0092】
蓋体3には、容器本体2の突出部17、17’および曲折部21、21’等の内面側に対応して係合する突条41が設けられる。ここに、容器本体2および蓋体3の外観としては、窪み18,18’およびそれに応じた蓋体窪み部20、20’が現れる。容器本体2に、アスパラガス等の方向を定めて収容しなければならない収納物を収容する際、窪み18,18’の存在により、方向を明確に認識できる。また、同様に、蓋体3で容器本体2を閉蓋する際には、蓋体窪み部20、20’の存在により蓋体3の方向を明確に認識できる。従って、容器本体および蓋体の方向を、例えば矢印などで確認しなくとも形状で一見して判断できるので、これらの方向を誤ることが皆無となり、収容作業、閉蓋作業の能率が著しく向上するという効果が生ずる。
【0093】
更に、本発明の第2の発明に関して、他の図面を用いて説明する。
【0094】
図13は、本発明の第2の発明の一実施態様である発泡合成樹脂製収納容器71を示す斜視図である。
図13(イ)は、第2の発明の容器本体72を、上から見た斜視図であって、長辺側壁73と短辺側壁74と底板75からなる。そして、長辺側壁73は、互いに対向する長辺側壁73aと、長辺側壁73b、短辺側壁74は、互いに対向する短辺側壁74aと、短辺側壁74bとで構成される。そして、短辺側壁74aを他端側短辺側壁と称し、短辺側壁74bを一端側短辺側壁と称する。長辺側壁73aの長さの中間位置よりも、一端側短辺側壁74b寄りに偏った位置に、他端側より一端側にかけて順次大きく内側に向かって突出する突出部76を設けている。
【0095】
図13では、対向する長辺側壁の双方(73a、73b)に、突出部76を設けているので、突出部76a、76bが表示されている。突出部76は、対向する長辺側壁73a、73b間の側壁間距離を順次短くしているので、突出部76の内面側は傾斜面を形成する形になっている。この実施例では、長辺側壁73の側壁厚みを突出部76とそうでない部位とで、同じにしているので、窪み77(77a、77b)が生じている。そして、突出部76が最も一端側短辺側壁74b側に近い位置で、長辺側壁(73a、73b)間距離を、元の側壁間距離に戻しているため、屈曲部810が形成されることになる。屈曲部80は、リブ構造として機能するので、容器強度、特に積圧強度に良好な貢献をする。長短辺側壁(73,74)の上端部78には、蓋体811を嵌合させるための凸条79が設けられる。
【0096】
なお、
図13(ロ)は、
図13(イ)に示した容器本体72を、下方から見た斜視図である。底板75の裏面には、積重ねた場合に下位の容器の蓋体81の上面と接してズレを防ぐための凸部75´がある。
【0097】
図14は、
図13に示す容器本体72を閉蓋する蓋体81を示す平面図である。
図14(イ)は、蓋体81の下面の平面図であって、容器本体72の突出部76(76a、76b)、窪み77(77a、77b)に対応する位置に、突出部位82(82a、82b)、窪み部位(83a、83b)が存在する。そして、容器本体72の長短辺側壁(73,74)の上端部78にある凸条79と嵌合する凹条84が設けられている。
図14(ロ)は、蓋体81の上面の平面図であって、容器本体72の突出部76(76a、76b)、窪み77(77a、77b)に対応する位置に、突出部位82(82a、82b)、窪み部位83(83a、83b)が存在する。蓋体81の上面には、積重ねた場合に上位の容器の底板75の裏面に存在する凸部75’を受け入れてズレを防ぐための凹部85が存在する。
図14(ハ)は、
図14(ロ)のB−B線断面図である。
【0098】
なお、
図13、
図15では、容器本体72側に凸条79を設け、蓋体81側に凹条84を設けた例を示したが、嵌合が良好に出来さえすれば、容器本体72側に凹条84を設け、蓋体81側に凸条79を設け、凹凸関係を逆にすることも可能である。
【0099】
図15は、
図13に示す容器本体72を横入縦輸送容器として使用した場合を示すため、縦に起こした状態を示す斜視図である。この図では、簡単にするため、本来収納されているべき収容物、および閉蓋されて存在するはずの蓋体81は省略した状態で表わされている。
【0100】
なお、
図12(ロ)では、容器本体2の上端部と接触し、係合する突条41を有する蓋体3を図示し、
図14では、容器本体72の上端部78の凸条79と接触し、嵌合する凹条84などを有する蓋体81を図示した。
【0101】
しかし、
図12および、
図13〜
図15においても、
図1〜
図10に図示したような落し蓋形式とし、蓋体3、81の側面に凸条突起13を設け、容器本体2、72の側壁内面に凸条突起13が嵌入する凹溝15を設けること、さらに、落し蓋の変形形式として膨出部61、垂下部62、凹欠部63等を設けることは、適宜実施できる。ちなみに、
図16には、第2の発明の
図12に示す実施態様において、容器本体2の側壁内面に凹溝15を2段に設け、蓋体3の側面に凸条突起13を設けることにより、落し蓋形式の容器とした例を図示している。18、18’は、容器本体2および蓋体3に設けられた窪み部である。