特許第6025334号(P6025334)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6025334-合板パッチング装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6025334
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】合板パッチング装置
(51)【国際特許分類】
   B27D 1/00 20060101AFI20161107BHJP
【FI】
   B27D1/00 M
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-11895(P2012-11895)
(22)【出願日】2012年1月24日
(65)【公開番号】特開2012-153138(P2012-153138A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2014年10月30日
(31)【優先権主張番号】20115070
(32)【優先日】2011年1月25日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】502384266
【氏名又は名称】ラウテ・オーワイジェイ
【氏名又は名称原語表記】RAUTE OYJ
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120352
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100126930
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 隆司
(72)【発明者】
【氏名】エスコ・トロネン
(72)【発明者】
【氏名】エルッキ・カウラネン
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭47−32641(JP,B1)
【文献】 米国特許第3547170(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27D 1/00 − 5/00
B27M 1/00 − 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単板の欠点部分を検出し場所を特定する外部の検出装置と接続される合板用のパッチング装置であって、
穿孔機及びパッチ嵌め込み器を有し、当該パッチング装置に固定配置された複数のパッチングユニットと、前記検出装置から得られた前記欠点部分に関する情報により制御される、前記単板を保持して運搬する複数の保持装置とを備え、
前記複数のパッチングユニットは、前記単板の進行方向において当該パッチング装置の実質的に中央に位置するパッチング装置。
【請求項2】
前記パッチングユニットに対して、前記単板は、前記パッチングユニットの初期位置が前記単板の幅の1/4び3/4の箇所に配置されるように構成されている請求項1に記載のパッチング装置。
【請求項3】
前記パッチングユニットは、穿孔機能穿孔及びパッチ嵌め込みの間に前記単板を保持するために制御された保持機能を備える請求項1又は2に記載のパッチング装置。
【請求項4】
前記複数の保持装置が2つであり、当該2つの保持装置の一方が当該パッチング装置の先端側に配置され、他方が当該パッチング装置の後端側に配置される請求項1〜3のいずれか1項に記載のパッチング装置。
【請求項5】
前記複数の保持装置の移動経路は、前記検出装置により与えられる情報に従って最適化されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のパッチング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥機から出てくる単板の欠点部分をパッチングする装置に関する。この加工工程に先立って、パッチングする欠点部分が所定の寸法未満となるように、欠点部で単板を分類してある。
【背景技術】
【0002】
従来、欠点部分は手でパッチングされており、単板の欠点部分を穿孔機で単板から押し出し、穿孔機により形成された穴に傷のない単板パッチを押し込んで、隙間がないように穴に嵌め込んでいる。
【0003】
パッチング機能は機械化されており、まずは穿孔動作及びパッチ嵌め込みが機械化されている。パッチング動作の実施にあたっては、加工対象の単板を手で動かしてパッチングヘッドと称されるパッチングユニットに対して配置する。
【0004】
さらに機械化が発達し、機械視覚装置が導入されている。これにより単板の全領域を調べて、パッチングが必要な欠点部分を検出することが可能となった。そのような検出装置によって得られた単板に固有の情報は、制御装置に送られ、制御装置は単板を動かす装置を制御してパッチングユニットに対して適切な位置に欠点部分を割り当てる。単板を縦横方向に移動させることによってパッチングするスポットの位置調整を行い、パッチング領域が単板の前進の中間点に近づくと、運搬装置の保持機能がパッチング装置を越えて、パッチングを経た単板の領域へと移動するようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
扱われる単板はかなり大型で、例えば長さ8フィート(約2.6m)、幅はその半分である。品質低下をなくすべく、単板の分類でパッチングにより修復可能な単板スポットを最大化するが、これにはパッチングユニットに対して適切な位置に正確に単板を配置するための厳しい条件が必要である。また、あるパッチングスポットから別のパッチングスポットへの位置調整を迅速に行う必要がある。ある程度柔軟な構造を有する単板についてこれらの目的を達成するには、パッチング装置の動作を低下させざるを得ない。単板を移動制動の度に静止させて、パッチングユニットに対して所望の位置近くにパッチングの標的箇所を配置する必要がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、スピードと正確性に優れたパッチング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るパッチング装置の第一特徴構成は、単板の欠点部分を検出し場所を特定する外部の検出装置と接続される合板用のパッチング装置であって、穿孔機及びパッチ嵌め込み器を有し、当該パッチング装置に固定配置された複数のパッチングユニットと、前記検出装置から得られた前記欠点部分に関する情報により制御される、前記単板を保持して運搬する複数の保持装置とを備え、前記複数のパッチングユニットは、前記単板の進行方向において当該パッチング装置の実質的に中央に位置する点にある。
【0008】
本発明に係るパッチング装置の第二特徴構成は、前記パッチングユニットに対して、前記単板は、前記パッチングユニットの初期位置が前記単板の幅の1/4び3/4の箇所に配置されるように形成されている点にある。
【0009】
本発明に係るパッチング装置の第三特徴構成は、前記パッチングユニット、穿孔機能と、穿孔及びパッチ嵌め込みの間に前記単板を保持するために制御された保持機能を備えた点にある。
【0010】
本発明に係るパッチング装置の第四特徴構成は、前記複数の保持装置が2つであり、当該2つの保持装置の一方が当該パッチング装置の先端側に配置され、他方が当該パッチング装置の後端側に配置される点にある。
【0011】
本発明に係るパッチング装置の第五特徴構成は、前記複数の保持装置の移動経路が、前記検出装置により与えられる情報に従って最適化された点にある。
【発明の効果】
【0012】
単板用パッチング装置それぞれが2つ以上のパッチングユニットを備えることを特徴とする本発明のパッチング装置を用いることで、スピードと正確性との間で妥協する必要が実質的に低減する。
また、本構成によれば、例えば2つのパッチングユニットを用いることで、単板の進行方向を横断する方向へ移動する距離が半分となり、その結果、パッチングラインの設置に必要な床面積も実質的に減少する。加えて、移動距離が減少することで、長い移動距離の場合と比較して、自動化を実施する必要条件が明らかに良好となる。短い移動距離によって、明らかに高い生産能力も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明による単板パッチング装置の概要を示した図である。
図2A】パッチング装置に備えられる保持装置の単板の進行方向における工程パターンを段階的に示した図である。
図2B】パッチング装置に備えられる保持装置の単板の進行方向における工程パターンを段階的に示した図である。
図2C】パッチング装置に備えられる保持装置の単板の進行方向における工程パターンを段階的に示した図である。
図2D】パッチング装置に備えられる保持装置の単板の進行方向における工程パターンを段階的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
単板の運搬に関して、図1に示すパッチング装置は、単板の進行方向に2分割されて実施され、2つの保持装置5,7を備えており、一方はパッチング装置の先端側で動作し、他方は後端側で動作する。加工対象の単板3は、長手方向に進行してパッチング装置に入る。パッチングユニット1及び2は、単板の進行方向についてパッチング装置の実質的に中央に定常的に固定されている。パッチングユニット1及び2について想定される初期位置として、単板の幅の1/4及び3/4の箇所へ配置される。プログラムで運搬機能を最適化する場合、保持装置の運搬手段は、当然ながら、別の位置への配置が必要となることがある。
【0015】
好適な運搬装置に支持された単板が装置に入ると、単板の実質的中央部(図2A)に位置する保持装置5、例えば吸引把持器によって把持される。パッチング装置に入る前に、単板は、スキャナとして作用する機械視覚装置である検出装置にかけられ、それにより与えられる欠点部分情報が単板ごとに記録され、パッチング装置内で単板を動かす保持装置の運搬手段の制御に用いられる。最も適切な移送距離に従って、毎回、欠点部分をパッチングユニット1又は2のいずれかに対して適切な位置に配置するように、制御装置は保持装置の運搬手段(横断台車等)にコマンドを送る。コマンドによる運搬経路は、できる限り短くなるように最適化される。
【0016】
保持装置5,7による相互動作は、パッチング動作を受けている単板が、パッチング装置のそれぞれの側で作動する保持装置のいずれか一方に常に支持されているように同期される。図2Bの状況では、単板が前進して後端側の保持装置7が進行方向で単板と接触する状態となり、単板は両方の保持装置に支持される。次の段階において(図2C)、単板が外れた先端側の保持装置5は、新たな単板の受容位置へ移動し、その位置で、パッチング動作を受けている単板3の支持を継続する。次の段階において(図2D)、単板が前進して後端側の保持装置7のみによって支持され、残りのパッチング動作の間、保持装置7のみによって支持されて移動し、パッチング装置を離れる。パッチングした単板が連続的に支持され、パッチング動作が中断することなく続き、且つパッチングした単板の取り除きと新たな単板の導入が実質的に連続的に動作するように、保持装置の相互推移は同期される。
【0017】
従来のパッチングユニットは、穿孔及びパッチ嵌め込みの間に単板を所定位置に保持する保持機能を有している。パッチングに用いられる穿孔機能に加えて、単板に損傷を与えることなく単板を保持するのに用いることのできる機能を有するように、パッチングユニット1及び2を実装してもよい。これは穿孔及びパッチ嵌め込み機能とは独立して保持機能を制御することによって実現される。この機能は、パッチングする欠点部分が偶然、保持装置5又は7と同じ位置にあるいはその下側に位置してしまい、保持装置が邪魔にならない位置に移動しない限り、パッチング装置が機能することができない状況に対応するものである。一方のユニットは通常のパッチング機能を実行し、他方のユニットは保持のコマンドを与えられる。
【0018】
2つのパッチングユニットを用いることで、単板の進行方向を横断する方向へ移動する距離が半分となり、その結果、パッチングラインの設置に必要な床面積も実質的に減少する。加えて、移動距離が減少することで、長い移動距離の場合と比較して、自動化を実施する必要条件が明らかに良好となる。短い移動距離によって、明らかに高い生産能力も得られる。
【0019】
2つのパッチングユニットを設ける代わりに、パッチング装置はそれより多くの単板専用パッチングユニットを備えていてもよく、それによってパッチング装置の動作を、正確性を維持しつつさらに加速したものとすることができる。
【符号の説明】
【0020】
1,2 パッチングユニット
3 単板
5,7 手段
図1
図2A
図2B
図2C
図2D