【実施例】
【0013】
次に本発明の実施例による情報保護ラベルおよび情報保護ラベルの使用方法を
図1〜
図5に基づき説明する。
図1(a)は情報保護ラベル1の平面図、同図(b)はそのb−b線断面図である。
情報保護ラベル1は、剥離台紙2と、中間ラベル3と、表層ラベル4をこの順に積層したものである。剥離台紙2は基材5およびその表面に設けた剥離剤層6で構成される。中間ラベル3は、中間基材7の表面に剥離剤層8、裏面に第1の粘着剤層9を設けたものである。表層ラベル4はラベル基材10として紙に感熱発色層を塗設したサーマル紙を用い、その裏面に第2の粘着剤層11を設けたものである。
【0014】
表層ラベル4のラベル基材10にはハーフカット13が施してあり、表層ラベル4全体がハーフカット13によって区画された複数の島状の独立エリア14と、独立エリア以外の残余の部分が互いにつながった網状エリア15とからなる海島構造になっている。島に相当する独立エリア14と、海に相当する網状エリア15とにまたがって情報を記録し、情報を記録した表層ラベル4を中間ラベル3とともに所望の被着体に貼り付けることができる。
【0015】
独立エリア14の形状と大きさは任意であるが、ラベルに表示される文字や数字の大きさを考慮すると、直径20mmの円に収まる程度であることが望ましい。例えば、一辺が3〜5mmの正方形、菱形や、5mm×20mmの長方形、直径3〜8mmの円が挙げられる。独立エリア14が小さすぎる場合は漏洩防止効果が低減したり、網状エリア15を剥離する際に一緒に剥がれてしまう恐れがある。独立エリア14が大きい場合は、一つの独立エリア14にある文字数が増え、情報が判読されるリスクが高まる。
【0016】
独立エリア14は、複数の異なる形状を組み合わせても良い。大きさが異なっても良い。また、独立エリア14が長方形や菱形や楕円のような長手方向と短手方向とを有する形状の場合、その向き(例えば、印字方向Tと長方形の長辺の向きとがなす角)は任意である。独立エリア14の向きが一個ずつ異なっていても良い。
【0017】
独立エリア14は表層ラベル4全体に均等に分布させても偏って分布させても良い。各独立エリア14の配列は、ランダムでも規則性を持たせても良い。ただし、直線的に配列させる場合は、情報保護ラベル1の印字方向Tとも幅方向とも平行にならないように並べる。ラベルに印字される文字は、漢字、かな、英数字等の文字種を問わず、さらには、縦書き、横書きを問わず、情報保護ラベル1の印字方向Tか幅方向と平行に並ぶ。独立エリア14の配列が情報保護ラベル1の印字方向Tまたは幅方向と平行である場合は、網状エリア15に文字情報が行単位や列単位に記録されて収まってしまい、剥離した網状エリア15から情報が読み取られてしまう。また、網状エリア15を剥離した後、飛び石状に残った独立エリア14の文字からも、文字を繋ぎ合わせて情報を解読し易くなる。
【0018】
網状エリア15の幅は任意であるが、実質的に独立エリア14同士の間隔であり、独立エリア14の形状、大きさ、配列に依存する。網状エリア15の幅は概ね一定になる場合も幅が不均一になる場合もあるが、3〜20mmであることが望ましい。3mm未満の場合は網状エリア15を剥離する際に切れ易く、取り扱いが難しくなる。網状エリア15の幅が広く20mmを越える場合は、網状エリア15に同一行や列の文字が連なって存在する確率が上昇して情報が判読されるリスクが高まり、文字情報の漏洩防止効果が低下する。
【0019】
情報保護ラベル1に一枚ごと異なる情報を書き込む場合は、
図2に示すラベルプリンタ50を使用する。情報保護ラベル1のラベル連続体を巻回して
図2に示すラベルロール1aを作成し、ラベルプリンタ50にセットして表層ラベル4に印字を行う。以下、ラベルプリンタで可変情報を印字する様子を説明する。
【0020】
図2に示すラベルプリンタ50は、ロール紙供給部51と印字部61を筐体52内に設けたものである。ロール紙供給部51の軸55にはラベルロール1aが回転可能に支持され、情報保護ラベル1の走行経路に沿って、ガイドバー56、情報保護ラベル1の連続体の有無を検知する用紙センサ57、ラベルのインターバルを検出するピッチセンサ58が取り付けられている。その下流の印字部61は、プラテンローラ62と、前記プラテンローラ62とともに情報保護ラベル1の連続体を押圧保持するサーマルヘッド63、それらの下流のカッタユニット64で構成される。筐体52には、カッタユニット64に隣接して発行口65が設けられている。
【0021】
プラテンローラ62が回転すると、ラベルロール1aから巻き出された情報保護ラベル1の連続体は、ガイドバー56、用紙センサ57、ピッチセンサ58を経て印字部61に至り、各情報保護ラベル1の表層ラベル4にサーマルヘッド63の発熱走査で文字等の情報が印字される。印字が行なわれた情報保護ラベル1は、連続したまま、あるいは、カッタユニット64でカットされて発行口65から外部に至り、
図3に示す情報保護ラベル1が発行される。情報保護ラベル1を郵便の宛名ラベルとして用いた場合、表層ラベル4には住所、氏名や電話番号等の情報16が独立エリア14と網状エリア15とに跨って印字される。荷札や伝票として使用する場合は、先の情報16に加えて企業名や発送元の情報、品名や、各情報に対応したバーコード等が印字される。このようにして印字発行した情報保護ラベル1は、表層ラベル4と中間ラベル3とを一体に剥離台紙2から剥がし、中間ラベル3の第1の粘着剤層9で
図4に示す被着体20(封筒、袋、梱包箱等)に貼り付ける。
【0022】
被着体20に貼り付けた情報保護ラベル1がその役割を終えた後、即ち、宛名ラベルや伝票ラベルとして配達された後、情報保護ラベル1は専ら被着体20と一緒に廃棄されが、被着体20を廃棄する前に情報保護ラベル1の情報16を判読出来なくする必要がある。そこで
図4に示すように、先ず中間ラベル3と表層ラベル4との積層体から網状エリア15を剥離する。網状エリア15は表層ラベル4全面に網のように広がっており、それを剥離することによって網状エリア15表面の情報が剥ぎ取られて行く。
【0023】
網状エリア15を剥離した後は、
図5に示すように中間ラベル3上には複数の独立エリア14が残る。各独立エリア14の表面にも残留情報16aとして文字などが残るが、それらは断片的になっており、元々の情報16を判読することは困難である。情報16がバーコードである場合は、バーの一部が欠損するために読み取り不能になる。
【0024】
一方、剥離した網状エリア15にも情報が印字されているが、中間ラベル3上に独立エリア14が留まったことにより情報が各所で欠落した虫食い状態になっており、元の情報を判読することは困難である。さらに、剥離後の網状エリア15は第2の粘着剤層11がむき出しであり、手で丸めるだけでランダムに貼り付き合い、文字の判読がさらに困難になって情報漏洩が防止される。このように本発明の情報保護ラベル1は、シュレッダーなどの機器を用いずとも情報を分断し、情報の漏洩を防止可能である。
【0025】
剥離した網状エリア15と、被着体20に残留した独立エリア14を一緒に廃棄しても情報漏洩は防止されるが、それらを別々に廃棄すれば情報漏洩防止効果が高まる。被着体20に残った独立エリア14を個々に剥がして廃棄すればさらに情報漏洩防止効果が高められる。
【0026】
独立エリア14の配列や網状エリア15の連なりは、情報保護ラベル1の印字方向Tに対しても幅方向に対しても非平行に設定してある。ラベル表面の文字情報は、縦書きであっても横書きであっても、ラベルの印字方向Tまたは幅方向と平行に文字が並ぶため、網状エリア15を剥離した後、独立エリア14や網状エリア15にまとまった数の文字が行単位で残留することがない。従って文字が意味をなさず、読み取られる恐れがなくなる。
【0027】
なお、先の実施例では表層ラベル4として紙に感熱発色層を塗設したサーマル紙を用いたが、種類や材質を限定するものではなく、PPを主成分とする合成紙をベースにした合成紙サーマルでも良い。また、感熱発色方式以外にも熱転写方式も使用可能である。この場合、ラベルの基材として一般的に用いられているものが使用可能である。例えば、上質紙、コート紙、アート紙のような紙基材、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)を素材とした合成樹脂フィルムや、前記の合成樹脂を複数種組み合わせたシート、合成樹脂フィルムと紙とを合わせた複合シートも使用できる。
【0028】
第1の粘着剤層9および第2の粘着剤層11の粘着剤は、例えば、エマルジョン系(粘着剤を水に分散したもの)、ソルベント系(粘着剤を溶剤に溶解したもの)、ホットメルト系(熱可塑性を利用したもの)等である。材質としては、合成ゴム系や天然ゴム系、アクリル樹脂系、ポリビニルエーテル樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコーン樹脂系等の粘着剤があげられる。粘着剤の粘着力は任意である。
【0029】
また、先の実施例では一枚の情報保護ラベル1全体を一つの網状エリア15としたが、情報保護ラベル1を分割し、複数の網状エリアに分けてそれぞれ剥離する構成にしても構わない。