(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、配線回路基板の小型に伴って、接続端子が小型化されている。このような配線回路基板においては、溶融した半田が接続端子に吹き付けられることにより、電子部品が接続端子に接合される。しかしながら、特許文献1のHSAのように、銅箔とヘッドICとの接続部分(接続端子)の放熱性が高い場合、半田が接続端子上で拡がる前に凝固する。この場合、接続端子とヘッドICとの接合の強度が低下する。その結果、接続端子の接続の信頼性が低下する。
【0007】
本発明の目的は、接続の信頼性を向上させることが可能な配線回路基板およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)第1の発明に係る配線回路基板は、外部回路と電気的に接続可能な配線回路基板であって、導電性材料により形成される支持基板と、支持基板上に形成される絶縁層と、絶縁層上に形成される配線パターンと、絶縁層上で配線パターンの一部に形成され、外部回路と電気的に接続可能な接続端子とを備え、支持基板は、接続端子に重なりかつ接続端子と同じ平面形状を有する重複領域を有し、支持基板の重複領域を部分的または全体的に取り囲むように支持基板に開口部が形成され、開口部内で絶縁層の一部が露出
し、開口部は、重複領域の外周部より外側に位置する外周部と重複領域の外周部より内側に位置する内周部とを有し、開口部の外周部と重複領域の外周部との間の距離は5μm以上であり、開口部の内周部と開口部の外周部との間の幅は25μm以上であるものである。
【0009】
この配線回路基板においては、支持基板上に形成された絶縁層上に配線パターンが形成される。絶縁層上で配線パターンの一部に、外部回路と電気的に接続可能な接続端子が形成される。接続端子に重なりかつ接続端子と同じ平面形状を有する重複領域を部分的または全体的に取り囲むように支持基板に開口部が形成される。それにより、開口部内で絶縁層の一部が露出する。
【0010】
この場合、接続端子と重なる絶縁層は除去されずに残存するので、絶縁層により接続端子の温度が保たれる。また、支持基板の重複領域を部分的または全体的に取り囲むように開口部が形成されるので、接続端子と重なる絶縁層の部分から支持基板の全体に拡がる熱の量が低減される。それにより、接続端子の熱が支持基板を介して放散されることが抑制される。したがって、接続端子と外部回路とを電気的に接続するために溶融した接合材料が接続端子に付与された場合に、温度低下により接合材料が接続端子の接続面の全体に拡がる前に凝固することが防止される。その結果、接続端子の接続の信頼性を向上させることができる。
【0011】
また、開口部は、重複領域の外周部より外側に位置する外周部を有し、開口部の外周部と重複領域の外周部との間の距離は5μm以上であ
る。
【0012】
この場合、重複領域の外周部から5μm以上の位置に開口部の外周部が位置するように開口部が形成される。これにより、接続端子と重なる絶縁層の部分から支持基板の重複領域の周囲に拡がる熱の量が十分に低減される。その結果、接続端子を十分に保温することができる。
【0014】
さらに、開口部は、重複領域の外周部より内側に位置する内周部を有し、開口部の内周部と開口部の外周部との間の幅は25μm以上であ
る。この場合、接続端子と重なる絶縁層の部分の熱が支持基板の重複領域の少なくとも外周部の領域に伝達されることが防止される。それにより、支持基板の重複領域から外部に放散される熱の量が低減されるとともに、支持基板の重複領域から重複領域の周囲に拡がる熱の量が十分に低減される。その結果、接続端子を十分に保温することができる。
【0015】
(
2)開口部の内周部と開口部の外周部との間の幅は40μm以上であってもよい。この場合、接続端子と重なる絶縁層の部分の熱が支持基板の重複領域の少なくとも外周部の領域に伝達されることがより防止される。それにより、支持基板の重複領域から外部に放散される熱の量がより低減されるとともに、支持基板の重複領域から重複領域の周囲に拡がる熱の量がより十分に低減される。その結果、接続端子をより十分に保温することができる。
【0016】
(3)第2の発明に係る配線回路基板は、外部回路と電気的に接続可能な配線回路基板であって、導電性材料により形成される支持基板と、支持基板上に形成される絶縁層と、絶縁層上に形成される配線パターンと、絶縁層上で配線パターンの一部に形成され、外部回路と電気的に接続可能な接続端子とを備え、支持基板は、接続端子に重なりかつ接続端子と同じ平面形状を有する重複領域を有し、支持基板の重複領域を部分的または全体的に取り囲むように支持基板に開口部が形成され、開口部内で絶縁層の一部が露出し、
開口部は、重複領域の外周部より外側に位置する外周部を有し、開口部の外周部と重複領域の外周部との間の距離は5μm以上であり、開口部は、重複領域の全体の領域までに広がるように形成されたものである。
この配線回路基板においては、支持基板上に形成された絶縁層上に配線パターンが形成される。絶縁層上で配線パターンの一部に、外部回路と電気的に接続可能な接続端子が形成される。接続端子に重なりかつ接続端子と同じ平面形状を有する重複領域を部分的または全体的に取り囲むように支持基板に開口部が形成される。それにより、開口部内で絶縁層の一部が露出する。
この場合、接続端子と重なる絶縁層は除去されずに残存するので、絶縁層により接続端子の温度が保たれる。また、支持基板の重複領域を部分的または全体的に取り囲むように開口部が形成されるので、接続端子と重なる絶縁層の部分から支持基板の全体に拡がる熱の量が低減される。それにより、接続端子の熱が支持基板を介して放散されることが抑制される。したがって、接続端子と外部回路とを電気的に接続するために溶融した接合材料が接続端子に付与された場合に、温度低下により接合材料が接続端子の接続面の全体に拡がる前に凝固することが防止される。その結果、接続端子の接続の信頼性を向上させることができる。
また、開口部は重複領域の全体の領域までに広がるように形成されるので、接続端子と重なる絶縁層の部分の熱が支持基板の重複領域に伝達されることが防止される。それにより、支持基板の重複領域から外部に放散される熱の量が低減されるとともに、支持基板の重複領域から重複領域の周囲に熱が拡がることが防止される。その結果、接続端子をさらに十分に保温することができる。
【0017】
(
4)
第3の発明に係る配線回路基板は、外部回路と電気的に接続可能な配線回路基板であって、導電性材料により形成される支持基板と、支持基板上に形成される絶縁層と、絶縁層上に形成される配線パターンと、絶縁層上で配線パターンの一部に形成され、外部回路と電気的に接続可能な接続端子とを備え、支持基板は、接続端子に重なりかつ接続端子と同じ平面形状を有する重複領域を有し、支持基板の重複領域を全体的に取り囲むように支持基板に開口部が形成され、開口部内で絶縁層の一部が露出し、開口部は、重複領域の外周部と一致しまたは重複領域の外周部より外側に位置する内周部を有し、重複領域の外周部と開口部の内周部と間の距離は50μm以下であ
るものである。
この配線回路基板においては、支持基板上に形成された絶縁層上に配線パターンが形成される。絶縁層上で配線パターンの一部に、外部回路と電気的に接続可能な接続端子が形成される。接続端子に重なりかつ接続端子と同じ平面形状を有する重複領域を全体的に取り囲むように支持基板に開口部が形成される。それにより、開口部内で絶縁層の一部が露出する。
この場合、接続端子と重なる絶縁層は除去されずに残存するので、絶縁層により接続端子の温度が保たれる。また、支持基板の重複領域を全体的に取り囲むように開口部が形成されるので、接続端子と重なる絶縁層の部分から支持基板の全体に拡がる熱の量が低減される。それにより、接続端子の熱が支持基板を介して放散されることが抑制される。したがって、接続端子と外部回路とを電気的に接続するために溶融した接合材料が接続端子に付与された場合に、温度低下により接合材料が接続端子の接続面の全体に拡がる前に凝固することが防止される。その結果、接続端子の接続の信頼性を向上させることができる。
また、重複領域の外周部と開口部の内周部と間の距離は50μm以下であるので、接続端子と重なる絶縁層の部分から支持基板の全体に拡がる熱の量が十分に低減される。その結果、接続端子を十分に保温することができる。
【0018】
(
5)重複領域の外周部と開口部の内周部と間の距離は20μm以下であってもよい。この場合、接続端子と重なる絶縁層の部分から支持基板の全体に拡がる熱の量がより十分に低減される。その結果、接続端子をより十分に保温することができる。
【0019】
(
6)開口部の内周部と開口部の外周部との間の幅は25μm以上であってもよい。この場合、支持基板の重複領域とその周囲の領域との熱の伝達が十分に遮断される。それにより、支持基板の重複領域からその周囲に拡がる熱の量が十分に低減される。その結果、接続端子を十分に保温することができる。
【0020】
(
7)開口部の内周部と開口部の外周部との間の幅は30μm以上であってもよい。この場合、支持基板の重複領域とその周囲の領域との熱の伝達がより十分に遮断される。それにより、支持基板の重複領域からその周囲に拡がる熱の量がより十分に低減される。その結果、接続端子をより十分に保温することができる。
【0021】
(
8)開口部の内周部と開口部の外周部との間の幅は40μm以上であってもよい。この場合、支持基板の重複領域とその周囲の領域との熱の伝達がさらに十分に遮断される。それにより、支持基板の重複領域からその周囲に拡がる熱の量がさらに十分に低減される。その結果、接続端子をさらに十分に保温することができる。
【0022】
(
9)開口部は、重複領域の外周部の長さの50%以上の長さの部分を取り囲むように形成されてもよい。この場合、接続端子と重なる絶縁層の部分から支持基板の全体に拡がる熱の量が十分に低減される。その結果、接続端子を十分に保温することができる。
【0023】
(
10)開口部は、重複領域の外周部の長さの75%以上の長さの部分を取り囲むように形成されてもよい。この場合、接続端子と重なる絶縁層の部分から支持基板の全体に拡がる熱の量がより十分に低減される。その結果、接続端子をより十分に保温することができる。
【0024】
(
11)第
4の発明に係る配線回路基板の製造方法は、外部回路と電気的に接続可能な配線回路基板の製造方法であって、導電性材料により形成される支持基板上に形成された絶縁層を用意するステップと、絶縁層上に外部回路と電気的に接続可能な接続端子を有する配線パターンを形成するステップと、支持基板に開口部を形成するステップとを備え、支持基板は、接続端子に重なりかつ接続端子と同じ平面形状を有する重複領域を有し、開口部は、重複領域を部分的または全体的に取り囲むように支持基板に形成され、開口部内で絶縁層の一部が露出
し、開口部は、重複領域の外周部より外側に位置する外周部と重複領域の外周部より内側に位置する内周部とを有し、開口部の外周部と重複領域の外周部との間の距離は5μm以上であり、開口部の内周部と開口部の外周部との間の幅は25μm以上であるものである。
【0025】
この配線回路基板の製造方法においては、支持基板上に外部回路と電気的に接続可能な接続端子を有する配線パターンが形成される。接続端子に重なりかつ接続端子と同じ平面形状を有する重複領域を部分的または全体的に取り囲むように支持基板に開口部が形成される。それにより、開口部内で絶縁層の一部が露出する。
【0026】
この場合、接続端子と重なる絶縁層は除去されずに残存するので、絶縁層により接続端子の温度が保たれる。また、支持基板の重複領域を部分的または全体的に取り囲むように開口部が形成されるので、接続端子と重なる絶縁層の部分から支持基板の全体に拡がる熱の量が低減される。それにより、接続端子の熱が支持基板を介して放散されることが抑制される。したがって、接続端子と外部回路とを電気的に接続するために溶融した接合材料が接続端子に付与された場合に、温度低下により接合材料が接続端子の接続面の全体に拡がる前に凝固することが防止される。その結果、接続端子の接続の信頼性を向上させることができる。
また、開口部は、重複領域の外周部より外側に位置する外周部を有し、開口部の外周部と重複領域の外周部との間の距離は5μm以上である。この場合、重複領域の外周部から5μm以上の位置に開口部の外周部が位置するように開口部が形成される。これにより、接続端子と重なる絶縁層の部分から支持基板の重複領域の周囲に拡がる熱の量が十分に低減される。その結果、接続端子を十分に保温することができる。
さらに、開口部は、重複領域の外周部より内側に位置する内周部を有し、開口部の内周部と開口部の外周部との間の幅は25μm以上である。この場合、接続端子と重なる絶縁層の部分の熱が支持基板の重複領域の少なくとも外周部の領域に伝達されることが防止される。それにより、支持基板の重複領域から外部に放散される熱の量が低減されるとともに、支持基板の重複領域から重複領域の周囲に拡がる熱の量が十分に低減される。その結果、接続端子を十分に保温することができる。
(12)第5の発明に係る配線回路基板の製造方法は、外部回路と電気的に接続可能な配線回路基板の製造方法であって、導電性材料により形成される支持基板上に形成された絶縁層を用意するステップと、絶縁層上に外部回路と電気的に接続可能な接続端子を有する配線パターンを形成するステップと、支持基板に開口部を形成するステップとを備え、支持基板は、接続端子に重なりかつ接続端子と同じ平面形状を有する重複領域を有し、開口部は、重複領域を部分的または全体的に取り囲むように支持基板に形成され、開口部内で絶縁層の一部が露出し、
開口部は、重複領域の外周部より外側に位置する外周部を有し、開口部の外周部と重複領域の外周部との間の距離は5μm以上であり、開口部は、重複領域の全体の領域までに広がるように形成されたものである。
この配線回路基板の製造方法においては、支持基板上に形成された絶縁層上に配線パターンが形成される。絶縁層上で配線パターンの一部に、外部回路と電気的に接続可能な接続端子が形成される。接続端子に重なりかつ接続端子と同じ平面形状を有する重複領域を部分的または全体的に取り囲むように支持基板に開口部が形成される。それにより、開口部内で絶縁層の一部が露出する。
この場合、接続端子と重なる絶縁層は除去されずに残存するので、絶縁層により接続端子の温度が保たれる。また、支持基板の重複領域を部分的または全体的に取り囲むように開口部が形成されるので、接続端子と重なる絶縁層の部分から支持基板の全体に拡がる熱の量が低減される。それにより、接続端子の熱が支持基板を介して放散されることが抑制される。したがって、接続端子と外部回路とを電気的に接続するために溶融した接合材料が接続端子に付与された場合に、温度低下により接合材料が接続端子の接続面の全体に拡がる前に凝固することが防止される。その結果、接続端子の接続の信頼性を向上させることができる。
また、開口部は重複領域の全体の領域までに広がるように形成されるので、接続端子と重なる絶縁層の部分の熱が支持基板の重複領域に伝達されることが防止される。それにより、支持基板の重複領域から外部に放散される熱の量が低減されるとともに、支持基板の重複領域から重複領域の周囲に熱が拡がることが防止される。その結果、接続端子をさらに十分に保温することができる。
(13)第6の発明に係る配線回路基板の製造方法は、外部回路と電気的に接続可能な配線回路基板の製造方法であって、導電性材料により形成される支持基板上に形成された絶縁層を用意するステップと、絶縁層上に外部回路と電気的に接続可能な接続端子を有する配線パターンを形成するステップと、支持基板に開口部を形成するステップとを備え、支持基板は、接続端子に重なりかつ接続端子と同じ平面形状を有する重複領域を有し、開口部は、重複領域を全体的に取り囲むように支持基板に形成され、開口部内で絶縁層の一部が露出し、開口部は、重複領域の外周部と一致しまたは重複領域の外周部より外側に位置する内周部を有し、重複領域の外周部と開口部の内周部と間の距離は50μm以下であるものである。
この配線回路基板の製造方法においては、支持基板上に形成された絶縁層上に配線パターンが形成される。絶縁層上で配線パターンの一部に、外部回路と電気的に接続可能な接続端子が形成される。接続端子に重なりかつ接続端子と同じ平面形状を有する重複領域を全体的に取り囲むように支持基板に開口部が形成される。それにより、開口部内で絶縁層の一部が露出する。
この場合、接続端子と重なる絶縁層は除去されずに残存するので、絶縁層により接続端子の温度が保たれる。また、支持基板の重複領域を全体的に取り囲むように開口部が形成されるので、接続端子と重なる絶縁層の部分から支持基板の全体に拡がる熱の量が低減される。それにより、接続端子の熱が支持基板を介して放散されることが抑制される。したがって、接続端子と外部回路とを電気的に接続するために溶融した接合材料が接続端子に付与された場合に、温度低下により接合材料が接続端子の接続面の全体に拡がる前に凝固することが防止される。その結果、接続端子の接続の信頼性を向上させることができる。
また、重複領域の外周部と開口部の内周部と間の距離は50μm以下であるので、接続端子と重なる絶縁層の部分から支持基板の全体に拡がる熱の量が十分に低減される。その結果、接続端子を十分に保温することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、配線回路基板の接続の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[1]第1の実施の形態
以下、第1の実施の形態に係る配線回路基板およびその製造方法について図面を参照しながら説明する。第1の実施の形態に係る配線回路基板として、ハードディスクドライブ装置のアクチュエータに用いられる回路付サスペンション基板(以下、サスペンション基板と略記する)について説明する。
【0030】
(1)サスペンション基板の構造
図1は、第1の実施の形態に係るサスペンション基板の上面図である。
図1に示すように、サスペンション基板1は、金属製の長尺状の支持基板により形成されるサスペンション本体部100を備える。サスペンション本体部100上には、太い点線で示すように、書込用配線パターンW1,W2および読取用配線パターンR1,R2が形成されている。書込用配線パターンW1と書込用配線パターンW2とは、信号線路対を構成する。また、読取用配線パターンR1と読取用配線パターンR2とは、信号線路対を構成する。
【0031】
サスペンション本体部100の先端部には、U字状の開口部11を形成することにより磁気ヘッド搭載部(以下、タング部と呼ぶ)12が設けられている。タング部12は、サスペンション本体部100に対して所定の角度をなすように破線Rの箇所で折り曲げ加工される。サスペンション本体部100の一端部におけるタング部12には4個の接続端子21,22,23,24が形成されている。タング部12の接続端子21〜24に磁気ヘッドを含むヘッドスライダが半田により接続される。
【0032】
サスペンション本体部100の他端部には4個の接続端子31,32,33,34が形成されている。接続端子31〜34には、プリアンプ等の電子部品が半田により接続される。タング部12の接続端子21〜24とサスペンション本体部100の他端部の接続端子31〜34とは、それぞれ書込用配線パターンW1,W2および
読取用配線パターンR1,R2により電気的に接続されている。また、サスペンション本体部100には複数の孔部Hが形成されている。
【0033】
サスペンション基板1はハードディスク装置に設けられる。磁気ディスクへの情報の書込み時に一対の書込用配線パターンW1,W2に電流が流れる。また、磁気ディスクからの情報の読取り時に一対の読取用配線パターンR1,R2に電流が流れる。
【0034】
次に、サスペンション基板1の接続端子21〜24およびその周辺部分について詳細に説明する。
図2は、
図1のサスペンション基板1のA−A線断面図である。
図3は、
図1のサスペンション基板1のB−B線断面図である。
図4は、サスペンション基板1のタング部12およびその周辺を示す下面図である。
【0035】
図2に示すように、例えばステンレス鋼からなる金属製の支持基板10上に例えばポリイミドからなる絶縁層41が形成されている。絶縁層41上に書込用配線パターンW1,W2および読取用配線パターンR1,R2が間隔をおいて平行に形成されている。書込用配線パターンW1,W2は絶縁層41の一方の側辺に沿って延び、読取用配線パターンR1,R2は絶縁層41の他方の側辺に沿って延びる。書込用配線パターンW1,W2および読取用配線パターンR1,R2を覆うように、絶縁層41上に例えばポリイミドからなる被覆層43が形成されている。
【0036】
絶縁層41の一方および他方の側辺に沿って延びる書込用配線パターンW1,W2および読取用配線パターンR1,R2は、
図1のサスペンション本体部100の一端部で内方へ屈曲し、さらにタング部12に向かうように屈曲し、
図3に示すようにタング部12まで延びる。タング部12上の書込用配線パターンW1,W2および読取用配線パターンR1,R2は、タング部12の接続端子21〜24にそれぞれ接続される。
【0037】
図3および
図4に示すように、複数の接続端子21〜24に重なる支持基板10の領域(以下、重複領域と呼ぶ)OVおよびその周囲の支持基板10の領域が除去されている。これにより、複数の接続端子21〜24に対応する重複領域OVおよびその周囲の支持基板10の領域には、それぞれ複数の開口部10hが形成される。開口部10h内で絶縁層41の一部が露出する。
【0038】
各重複領域OVは、接続端子21〜24の各々と同じ平面形状および面積を有する。本実施の形態では、接続端子21〜24が矩形形状を有し、各重複領域OVも矩形形状を有する。開口部10hの外周部は重複領域OVの外周部よりも外側に位置する。
【0039】
(2)サスペンション基板の製造方法
図1のサスペンション基板1の製造方法について説明する。
図5および
図6は、
図1のサスペンション基板1の製造工程を示す模式図である。
図5(a)〜(c)においては、左に
図1のサスペンション基板1のB−B線断面図を示し、右に
図1のサスペンション基板1のタング部12およびその周辺の上面図を示す。
図6(a)〜(d)においては、左に
図1のサスペンション基板1のB−B線断面図を示し、右に
図1のサスペンション基板1のタング部12およびその周辺の下面図を示す。
図5の上面図および
図6の下面図には、構成の理解を容易にするために、断面図の各部材に付されたハッチングまたはドットパターンと同一のハッチングまたはドットパターンが付されている。
【0040】
まず、
図5(a)に示すように、ステンレス鋼からなる支持基板10上に、ポリイミドからなる絶縁層41を形成する。支持基板10の厚さは、例えば10μm以上50μm以下である。絶縁層41の厚さは、例えば5μm以上15μm以下である。ここで、絶縁層41は、
図1のサスペンション基板1の形状と同一の形状に形成される。
【0041】
次に、
図5(b)に示すように、絶縁層41上に、所定のパターンを有する書込用配線パターンW1,W2および読取用配線パターンR1,R2ならびに接続端子21〜24を形成する。書込用配線パターンW1,W2および読取用配線パターンR1,R2の厚さは、例えば2μm以上18μm以下である。また、書込用配線パターンW1,W2および読取用配線パターンR1,R2の幅は、例えば8μm以上50μm以下である。さらに、書込用配線パターンW1,W2間の間隔および読取用配線パターンR1,R2間の間隔は、例えばそれぞれ8μm以上100μm以下である。接続端子21〜24の厚さは、例えば2.5μm以上20μm以下である。接続端子21〜24の幅は、例えば10μm以上200μm以下である。
【0042】
続いて、
図5(c)に示すように、書込用配線パターンW1,W2および読取用配線パターンR1,R2を覆うように絶縁層41上にポリイミドからなる被覆層43を形成する。接続端子21〜24は、被覆層43から露出する。被覆層43の厚さは、例えば1μm以上10μm以下である。
【0043】
次に、
図6(a)に示すように、支持基板10の下面に例えば感光性ドライフィルムレジスト等によりレジスト膜18を形成する。続いて、
図6(b)に示すように、レジスト膜18を所定のパターンで露光した後、炭酸ナトリウム等の現像液を用いて現像することによりエッチングレジスト18aを形成する。ここで、エッチングレジスト18aには、
図4の重複領域OVおよびその周囲の支持基板10の領域が露出するように複数の開口部18hが形成される。エッチングレジスト18aの他の部分は、
図1のサスペンション基板1の形状と同一の形状に形成される。
【0044】
その後、
図6(c)に示すように、エッチング液として塩化第二鉄溶液および塩化第二銅溶液を用いて支持基板10をエッチングする。これにより、複数の開口部18hと重なるように支持基板10に複数の開口部10hが形成される。絶縁層41の一部は、複数の開口部10h,18h内で露出する。最後に、エッチングレジスト18aを除去することにより、
図6(d)に示すように、サスペンション基板1が完成する。
【0045】
(3)効果
図7は、第1の実施の形態に係るサスペンション基板1の接続端子21〜24およびその周辺を示す拡大下面図である。
図7のサスペンション基板1には、構成の理解を容易にするために、
図5および
図6の断面図の各部材に付されたハッチングまたはドットパターンと同一のハッチングまたはドットパターンが付されている。
【0046】
図7に示すように、本実施の形態に係るサスペンション基板1においては、接続端子21〜24と重なる絶縁層41は除去されずに残存するので、絶縁層41により接続端子21〜24の温度が保たれる。また、支持基板10の重複領域OVを全体的に取り囲みかつ重複領域OVの全体の領域までに広がるように開口部10hが形成されるので、接続端子21〜24と重なる絶縁層41の部分の熱が支持基板10の重複領域OVに伝達されることが防止される。
【0047】
それにより、支持基板10の重複領域OVから熱が外部に放散されることが防止されるとともに、支持基板10の重複領域OVから重複領域OVの周囲に熱が拡がることが防止される。したがって、接続端子21〜24と磁気ヘッドを含むヘッドスライダとを電気的に接続するために溶融した半田が接続端子21〜24に付与された場合に、温度低下により半田が接続端子21〜24の接続面の全体に拡がる前に凝固することが防止される。その結果、接続端子21〜24の接続の信頼性を向上させることができる。
【0048】
また、本実施の形態においては、開口部10hの外周部は重複領域OVの外周部よりも外側に位置する。重複領域OVの外周部と開口部10hの外周部との間の距離(以下、外周オフセットと呼ぶ)d2は5μm以上であることが好ましい。この場合、接続端子21〜24と重なる絶縁層41の部分から支持基板10の重複領域OVの周囲に拡がる熱の量が十分に低減される。外周オフセットd2は、20μm以上であることがより好ましく、25μm以上であることがさらに好ましい。
【0049】
外周オフセットd2は、60μm以下であることが好ましい。これにより、支持基板10により絶縁層41が補強されるとともに、読取用配線パターンR1,R2および書込用配線パターンW1,W2の特性インピーダンスが低減される。
【0050】
[2]第2の実施の形態
図8は、第2の実施の形態に係るサスペンション基板1の接続端子21〜24およびその周辺を示す拡大下面図である。
図8のサスペンション基板1には、構成の理解を容易にするために、
図5および
図6の断面図の各部材に付されたハッチングまたはドットパターンと同一のハッチングまたはドットパターンが付されている。本実施の形態に係るサスペンション基板1について、第1の実施の形態に係るサスペンション基板1と異なる点を説明する。
【0051】
図8に示すように、本実施の形態に係るサスペンション基板1においては、支持基板10の重複領域OVが除去されず、重複領域OVの周囲の領域が除去されている。これにより、重複領域OVを取り囲むように開口部10hが形成される。開口部10hは、重複領域OVの四辺を取り囲む一定幅のスリットにより構成される。開口部10h内で絶縁層41の一部が露出する。以下、スリットの幅をスリット幅wと呼ぶ。
【0052】
このように、本実施の形態に係るサスペンション基板1においては、開口部10hの内周部が重複領域OVの外周部と一致しかつ開口部10hの外周部が重複領域OVの外周部より外側に位置するように支持基板10に開口部10hが形成される。この場合、接続端子21〜24と重なる絶縁層41の部分から支持基板10の重複領域OVの周囲に拡がる熱の量が十分に低減される。その結果、接続端子21〜24を十分に保温することができる。
【0053】
また、開口部10hのスリット幅wは、25μm以上であることが好ましい。この場合、接続端子21〜24と重なる絶縁層41の部分の熱が支持基板10の重複領域OVの少なくとも外周部の領域に伝達されることが防止される。それにより、支持基板10の重複領域OVから外部に放散される熱の量が低減されるとともに、支持基板10の重複領域OVから重複領域OVの周囲に拡がる熱の量が十分に低減される。開口部10hのスリット幅wは、30μm以上であることがより好ましく、40μm以上であることがさらに好ましい。
【0054】
本実施の形態に係るサスペンション基板1の製造方法は、開口部10hの構成を除いて、第1の形態に係るサスペンション基板1の製造方法と同様である。
【0055】
[3]第3の実施の形態
図9は、第3の実施の形態に係るサスペンション基板1の接続端子21〜24およびその周辺を示す拡大下面図である。
図9のサスペンション基板1には、構成の理解を容易にするために、
図5および
図6の断面図の各部材に付されたハッチングまたはドットパターンと同一のハッチングまたはドットパターンが付されている。本実施の形態に係るサスペンション基板1について、第2の実施の形態に係るサスペンション基板1と異なる点を説明する。
【0056】
図9に示すように、本実施の形態に係るサスペンション基板1においては、支持基板10の重複領域OVおよびその周辺から一定幅の領域が除去されず、これらの領域を取り囲む一定の幅の領域が除去されている。これにより、重複領域OVおよびその周辺から一定幅の領域を取り囲むように開口部10hが形成される。開口部10hは、重複領域OVの四辺を取り囲む一定幅のスリットにより構成される。開口部10h内で絶縁層41の一部が露出する。
【0057】
以下、重複領域OVの外周部から開口部10hの内周部までの距離を内周オフセットd1と呼ぶ。この場合、スリット幅wは、外周オフセットd2と内周オフセットd1との差分となる。
【0058】
このように、本実施の形態に係るサスペンション基板1においては、開口部10hの内周部が重複領域OVの外周部より外側に位置するように支持基板10に開口部10hが形成される。この場合、接続端子21〜24と重なる絶縁層41の部分から支持基板10の全体に拡がる熱の量が十分に低減される。その結果、接続端子21〜24を十分に保温することができる。
【0059】
内周オフセットd1は50μm以下であることが好ましい。この場合、接続端子21〜24と重なる絶縁層41の部分から支持基板10の全体に拡がる熱の量が十分に低減される。その結果、接続端子21〜24を十分に保温することができる。内周オフセットd1は20μm以下であることがより好ましい。
【0060】
また、外周オフセットd2は5μm以上であることが好ましい。この場合、接続端子21〜24と重なる絶縁層41の部分から支持基板10の重複領域OVの周囲に拡がる熱の量が十分に低減される。外周オフセットd2は、20μm以上であることがより好ましく、25μm以上であることがさらに好ましい。
【0061】
内周オフセットd1は、負の値であってもよい。すなわち、開口部10hの内周部が重複領域OVの外周部より内側に位置するように支持基板10に開口部10hが形成されてもよい。この場合、接続端子21〜24と重なる絶縁層41の部分の熱が支持基板10の重複領域OVの少なくとも外周部の領域に伝達されることが防止されるとともに、支持基板10の重複領域OVからその周囲に拡がる熱の量が十分に低減される。その結果、接続端子21〜24を十分に保温することができる。
【0062】
なお、
図8の第2の実施の形態に係るサスペンション基板1においては、重複領域OVの外周部と開口部10hの内周部とが一致している。したがって、内周オフセットd1は0μmである。
【0063】
[4]第4の実施の形態
図10は、第4の実施の形態に係るサスペンション基板1の接続端子21〜24およびその周辺を示す拡大下面図である。
図10(a),(b)のサスペンション基板1には、構成の理解を容易にするために、
図5および
図6の断面図の各部材に付されたハッチングまたはドットパターンと同一のハッチングまたはドットパターンが付されている。本実施の形態に係るサスペンション基板1について、第3の実施の形態に係るサスペンション基板1と異なる点を説明する。
【0064】
図10(a),(b)に示すように、本実施の形態に係るサスペンション基板1においては、支持基板10の重複領域OVが除去されず、重複領域OVを取り囲む領域のうちの一部が除去されている。これにより、重複領域OVの一部を取り囲むように開口部10hが形成される。開口部10hは、重複領域OVの四辺を取り囲む一定幅のスリットにより構成される。開口部10h内で絶縁層41の一部が露出する。
【0065】
以下、重複領域OVの外周部の全長Laに対して開口部10hにより取り囲まれる重複領域OVの長さLbの割合(Lb/La)を周囲長割合と呼ぶ。
図10では、重複領域OVの外周部の全長Laおよび長さLbを太い実線で示す。
図10(a)のサスペンション基板1においては、開口部10hの周囲長割合は約75%である。
図10(b)のサスペンション基板1においては、開口部10hの周囲長割合は約50%である。開口部10hの周囲長割合は50%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。
【0066】
このように、本実施の形態に係るサスペンション基板1においては、開口部10hは、重複領域OVの外周部の全長Laの50%以上の長さの部分を取り囲むように形成される。この場合、接続端子21〜24と重なる絶縁層41の部分から支持基板10の全体に拡がる熱の量が十分に低減される。その結果、接続端子21〜24を十分に保温することができる。開口部10hは、重複領域OVの外周部の全長Laの75%以上の長さの部分を取り囲むように形成されることがより好ましい。
【0067】
なお、
図8の第2の実施の形態に係るサスペンション基板1においては、重複領域OVの外周部の長さと開口部10hの内周部の長さとが等しい。したがって、開口部10hの周囲長割合は100%である。同様に、
図9の第3の実施の形態に係るサスペンション基板1においては、開口部10hの周囲長割合は100%である。
【0068】
[5]他の実施の形態
(1)上記実施の形態において、接続端子21〜24,31〜34は矩形状を有するが、これに限定されない。接続端子21〜24,31〜34は例えば円形状、楕円形状、三角形状または他の多角形状であってもよい。
【0069】
(2)上記実施の形態において、接続端子31〜34に重なる支持基板10の領域およびその周囲の支持基板10の領域に開口部10hが形成されてもよい。
【0070】
[6]対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0071】
サスペンション基板1が配線回路基板の例であり、支持基板10が支持基板の例であり、絶縁層41が絶縁層の例であり、読取用配線パターンR1,R2または書込用配線パターンW1,W2が配線パターンの例である。接続端子21〜24が接続端子の例であり、重複領域OVが重複領域の例であり、開口部10hが開口部の例である。
【0072】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【0073】
[7]実施例
以下の実施例1〜10および比較例1,2のサスペンション基板1について、接続端子21〜24を1700℃に加熱した後、一定の温度(本例においては280℃)に低下するまでの時間(以下、保温時間と呼ぶ)をシミュレーションにより評価した。
【0074】
図11〜
図14は、実施例1〜10および比較例1,2に係るサスペンション基板1の接続端子21〜24およびその周辺を示す拡大下面図である。
図11〜
図14のサスペンション基板1には、構成の理解を容易にするために、
図5および
図6の断面図の各部材に付されたハッチングまたはドットパターンと同一のハッチングまたはドットパターンが付されている。
【0075】
図11(a)は、実施例1に係るサスペンション基板1を示す。
図11(a)に示すように、実施例1のサスペンション基板1においては、開口部10hのスリット幅wが25μmであり、内周オフセットd1が−20μmであり、外周オフセットd2が5μmである。開口部10hの周囲長割合は100%である。
【0076】
図11(b)は、実施例2に係るサスペンション基板1を示す。
図11(b)に示すように、実施例2のサスペンション基板1においては、開口部10hのスリット幅wが40μmであり、内周オフセットd1が−20μmであり、外周オフセットd2が20μmである。開口部10hの周囲長割合は100%である。
【0077】
図11(c)は、実施例3に係るサスペンション基板1を示す。
図11(c)に示すように、実施例3のサスペンション基板1においては、外周オフセットd2が25μmである。開口部10hの周囲長割合は100%である。開口部10hは重複領域OVの全体に形成される。
【0078】
図12(a)は、実施例4に係るサスペンション基板1を示す。
図12(a)に示すように、実施例4のサスペンション基板1においては、開口部10hのスリット幅wが30μmであり、内周オフセットd1が0μmであり、外周オフセットd2が30μmである。開口部10hの周囲長割合は100%である。
【0079】
図12(b)は、実施例5に係るサスペンション基板1を示す。
図12(b)に示すように、実施例5のサスペンション基板1においては、開口部10hのスリット幅wが40μmであり、内周オフセットd1が10μmであり、外周オフセットd2が50μmである。開口部10hの周囲長割合は100%である。
【0080】
図12(c)は、実施例6に係るサスペンション基板1を示す。
図12(c)に示すように、実施例6のサスペンション基板1においては、開口部10hのスリット幅wが60μmであり、内周オフセットd1が10μmであり、外周オフセットd2が70μmである。開口部10hの周囲長割合は100%である。
【0081】
図13(a)は、実施例7に係るサスペンション基板1を示す。
図13(a)に示すように、実施例7のサスペンション基板1においては、開口部10hのスリット幅wが60μmであり、内周オフセットd1が20μmであり、外周オフセットd2が80μmである。開口部10hの周囲長割合は100%である。
【0082】
図13(b)は、実施例8に係るサスペンション基板1を示す。
図13(b)に示すように、実施例8のサスペンション基板1においては、開口部10hのスリット幅wが60μmであり、内周オフセットd1が50μmであり、外周オフセットd2が110μmである。開口部10hの周囲長割合は100%である。
【0083】
図13(c)は、実施例9に係るサスペンション基板1を示す。
図13(c)に示すように、実施例9のサスペンション基板1においては、開口部10hのスリット幅wが60μmであり、内周オフセットd1が0μmであり、外周オフセットd2が60μmである。開口部10hの周囲長割合は75%である。
【0084】
図14(a)は、実施例10に係るサスペンション基板1を示す。
図14(a)に示すように、実施例10のサスペンション基板1においては、開口部10hのスリット幅wが60μmであり、内周オフセットd1が0μmであり、外周オフセットd2が60μmである。開口部10hの周囲長割合は50%である。
【0085】
図14(b)は、比較例1に係るサスペンション基板1を示す。
図14(b)に示すように、比較例1のサスペンション基板1においては、開口部10hが支持基板10に形成されていない。
【0086】
図14(c)は、比較例2に係るサスペンション基板1を示す。
図14(c)に示すように、比較例2のサスペンション基板1においては重複領域OVが除去されることにより、重複領域OVに開口部10hが形成される。開口部10hは、重複領域OVの外側の領域には形成されていない。
【0087】
実施例1〜10および比較例1,2の接続端子21〜24についての保温時間のシミュレーション結果を表1に示す。表1においては、接続端子21〜24の保温時間が1.750ms以下であった例には、保温効果が認められなかったことを示す“×”が表示される。接続端子21〜24の保温時間が1.750msを超えた例には、保温効果が認められたことを示す“○”が表示される。接続端子21〜24の保温時間が1.812msを超えた例には、特に優れた保温効果が認められたことを示す“◎”が表示される。
【0088】
【表1】
表1に示すように、実施例1に係るサスペンション基板1においては、保温時間は1.756msとなり、接続端子21〜24の保温効果が認められた。実施例2に係るサスペンション基板1においては、保温時間は1.854msとなり、接続端子21〜24の特に優れた保温効果が認められた。実施例3に係るサスペンション基板1においては、保温時間は1.954msとなり、接続端子21〜24の特に優れた保温効果が認められた。
【0089】
実施例4に係るサスペンション基板1においては、保温時間は1.812msとなり、接続端子21〜24の保温効果が認められた。実施例5に係るサスペンション基板1においては、保温時間は1.846msとなり、接続端子21〜24の特に優れた保温効果が認められた。実施例6に係るサスペンション基板1においては、保温時間は1.940msとなり、接続端子21〜24の特に優れた保温効果が認められた。実施例7に係るサスペンション基板1においては、保温時間は1.864msとなり、接続端子21〜24の特に優れた保温効果が認められた。
【0090】
実施例8に係るサスペンション基板1においては、保温時間は1.786msとなり、接続端子21〜24の保温効果が認められた。実施例9に係るサスペンション基板1においては、保温時間は1.860msとなり、接続端子21〜24の特に優れた保温効果が認められた。実施例10に係るサスペンション基板1においては、保温時間は1.780msとなり、接続端子21〜24の保温効果が認められた。
【0091】
一方、比較例1に係るサスペンション基板1においては、保温時間は1.728msとなり、接続端子21〜24の保温効果が認められなかった。比較例2に係るサスペンション基板1においては、保温時間は1.750msとなり、接続端子21〜24の保温効果が認められなかった。
【0092】
実施例1〜
10および比較例1,2の比較結果から、外周オフセットd2を5μm以上にすることにより、接続端子21〜24の保温効果が得られることが確認された。同様に、周囲長割合を50%以上にすることにより、接続端子21〜24の保温効果が得られることが確認された。
【0093】
また、実施例1,2,4〜
10および比較例1,2の比較結果から、内周オフセットd1を50μm以下にすることにより、接続端子21〜24の保温効果が得られることが確認された。同様に、スリット幅wを25μm以上にすることにより、接続端子21〜24の保温効果が得られることが確認された。
【0094】
さらに、実施例1,2の比較結果から、開口部10hのスリット幅wを40μm以上にすることにより、接続端子21〜24の特に優れた保温効果が得られることが確認された。実施例7,8の比較結果から、開口部10hの内周オフセットd1を20μm以下にすることにより、接続端子21〜24の特に優れた保温効果が得られることが確認された。実施例9,10の比較結果から、開口部10hの周囲長割合を75%以上にすることにより、接続端子21〜24の特に優れた保温効果が得られることが確認された。
[8]参考形態
(1)第1の参考形態に係る配線回路基板は、外部回路と電気的に接続可能な配線回路基板であって、導電性材料により形成される支持基板と、支持基板上に形成される絶縁層と、絶縁層上に形成される配線パターンと、絶縁層上で配線パターンの一部に形成され、外部回路と電気的に接続可能な接続端子とを備え、支持基板は、接続端子に重なりかつ接続端子と同じ平面形状を有する重複領域を有し、支持基板の重複領域を部分的または全体的に取り囲むように支持基板に開口部が形成され、開口部内で絶縁層の一部が露出するものである。
この配線回路基板においては、支持基板上に形成された絶縁層上に配線パターンが形成される。絶縁層上で配線パターンの一部に、外部回路と電気的に接続可能な接続端子が形成される。接続端子に重なりかつ接続端子と同じ平面形状を有する重複領域を部分的または全体的に取り囲むように支持基板に開口部が形成される。それにより、開口部内で絶縁層の一部が露出する。
この場合、接続端子と重なる絶縁層は除去されずに残存するので、絶縁層により接続端子の温度が保たれる。また、支持基板の重複領域を部分的または全体的に取り囲むように開口部が形成されるので、接続端子と重なる絶縁層の部分から支持基板の全体に拡がる熱の量が低減される。それにより、接続端子の熱が支持基板を介して放散されることが抑制される。したがって、接続端子と外部回路とを電気的に接続するために溶融した接合材料が接続端子に付与された場合に、温度低下により接合材料が接続端子の接続面の全体に拡がる前に凝固することが防止される。その結果、接続端子の接続の信頼性を向上させることができる。
(2)開口部は、重複領域の外周部より外側に位置する外周部を有し、開口部の外周部と重複領域の外周部との間の距離は5μm以上であってもよい。
この場合、重複領域の外周部から5μm以上の位置に開口部の外周部が位置するように開口部が形成される。これにより、接続端子と重なる絶縁層の部分から支持基板の重複領域の周囲に拡がる熱の量が十分に低減される。その結果、接続端子を十分に保温することができる。
(3)開口部は、重複領域の内側の領域までに広がるように形成されてもよい。この場合、接続端子と重なる絶縁層の部分の熱が支持基板の重複領域の少なくとも一部に伝達されることが防止される。それにより、支持基板の重複領域から外部に放散される熱の量が低減される。その結果、接続端子を十分に保温することができる。
(4)開口部は、重複領域の外周部より内側に位置する内周部を有し、開口部の内周部と開口部の外周部との間の幅は25μm以上であってもよい。この場合、接続端子と重なる絶縁層の部分の熱が支持基板の重複領域の少なくとも外周部の領域に伝達されることが防止される。それにより、支持基板の重複領域から外部に放散される熱の量が低減されるとともに、支持基板の重複領域から重複領域の周囲に拡がる熱の量が十分に低減される。その結果、接続端子を十分に保温することができる。
(5)開口部の内周部と開口部の外周部との間の幅は40μm以上であってもよい。この場合、接続端子と重なる絶縁層の部分の熱が支持基板の重複領域の少なくとも外周部の領域に伝達されることがより防止される。それにより、支持基板の重複領域から外部に放散される熱の量がより低減されるとともに、支持基板の重複領域から重複領域の周囲に拡がる熱の量がより十分に低減される。その結果、接続端子をより十分に保温することができる。
(6)開口部は、重複領域の全体の領域までに広がるように形成されてもよい。この場合、接続端子と重なる絶縁層の部分の熱が支持基板の重複領域に伝達されることが防止される。それにより、支持基板の重複領域から外部に放散される熱の量が低減されるとともに、支持基板の重複領域から重複領域の周囲に熱が拡がることが防止される。その結果、接続端子をさらに十分に保温することができる。
(7)開口部は、重複領域の外周部と一致しまたは重複領域の外周部より外側に位置する内周部を有し、重複領域の外周部と開口部の内周部と間の距離は50μm以下であってもよい。この場合、接続端子と重なる絶縁層の部分から支持基板の全体に拡がる熱の量が十分に低減される。その結果、接続端子を十分に保温することができる。
(8)重複領域の外周部と開口部の内周部と間の距離は20μm以下であってもよい。この場合、接続端子と重なる絶縁層の部分から支持基板の全体に拡がる熱の量がより十分に低減される。その結果、接続端子をより十分に保温することができる。
(9)開口部の内周部と開口部の外周部との間の幅は25μm以上であってもよい。この場合、支持基板の重複領域とその周囲の領域との熱の伝達が十分に遮断される。それにより、支持基板の重複領域からその周囲に拡がる熱の量が十分に低減される。その結果、接続端子を十分に保温することができる。
(10)開口部の内周部と開口部の外周部との間の幅は30μm以上であってもよい。この場合、支持基板の重複領域とその周囲の領域との熱の伝達がより十分に遮断される。それにより、支持基板の重複領域からその周囲に拡がる熱の量がより十分に低減される。その結果、接続端子をより十分に保温することができる。
(11)開口部の内周部と開口部の外周部との間の幅は40μm以上であってもよい。この場合、支持基板の重複領域とその周囲の領域との熱の伝達がさらに十分に遮断される。それにより、支持基板の重複領域からその周囲に拡がる熱の量がさらに十分に低減される。その結果、接続端子をさらに十分に保温することができる。
(12)開口部は、重複領域の外周部の長さの50%以上の長さの部分を取り囲むように形成されてもよい。この場合、接続端子と重なる絶縁層の部分から支持基板の全体に拡がる熱の量が十分に低減される。その結果、接続端子を十分に保温することができる。
(13)開口部は、重複領域の外周部の長さの75%以上の長さの部分を取り囲むように形成されてもよい。この場合、接続端子と重なる絶縁層の部分から支持基板の全体に拡がる熱の量がより十分に低減される。その結果、接続端子をより十分に保温することができる。
(14)第2の参考形態に係る配線回路基板の製造方法は、外部回路と電気的に接続可能な配線回路基板の製造方法であって、導電性材料により形成される支持基板上に形成された絶縁層を用意するステップと、絶縁層上に外部回路と電気的に接続可能な接続端子を有する配線パターンを形成するステップと、支持基板に開口部を形成するステップとを備え、支持基板は、接続端子に重なりかつ接続端子と同じ平面形状を有する重複領域を有し、開口部は、重複領域を部分的または全体的に取り囲むように支持基板に形成され、開口部内で絶縁層の一部が露出するものである。
この配線回路基板の製造方法においては、支持基板上に外部回路と電気的に接続可能な接続端子を有する配線パターンが形成される。接続端子に重なりかつ接続端子と同じ平面形状を有する重複領域を部分的または全体的に取り囲むように支持基板に開口部が形成される。それにより、開口部内で絶縁層の一部が露出する。
この場合、接続端子と重なる絶縁層は除去されずに残存するので、絶縁層により接続端子の温度が保たれる。また、支持基板の重複領域を部分的または全体的に取り囲むように開口部が形成されるので、接続端子と重なる絶縁層の部分から支持基板の全体に拡がる熱の量が低減される。それにより、接続端子の熱が支持基板を介して放散されることが抑制される。したがって、接続端子と外部回路とを電気的に接続するために溶融した接合材料が接続端子に付与された場合に、温度低下により接合材料が接続端子の接続面の全体に拡がる前に凝固することが防止される。その結果、接続端子の接続の信頼性を向上させることができる。