(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記受光強度分布取得部は、光を発生する光源、受光素子、ならびに測定対象物に照射される光および測定対象物からの反射光が通過する光学経路を含むとともに、前記光学経路中に選択的に配置可能な干渉型対物レンズおよび非干渉型対物レンズを含み、
前記算出部は、前記光学経路中に前記干渉型対物レンズが配置されている場合に、前記受光素子により得られた受光強度分布に基づいて前記複数の部分について第1のデータをそれぞれ算出し、前記光学経路中に前記非干渉型対物レンズが配置されている場合に、前記受光素子により得られた受光強度分布に基づいて前記複数の部分について第2のデータをそれぞれ算出するように構成される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の形状測定装置。
前記受光強度分布取得部は、単一波長の光を発生する第1の光源、単一波長の光を発生する第2の光源、第1の受光素子、第2の受光素子ならびに測定対象物に照射される光および測定対象物からの反射光が通過する光学経路を含むとともに、前記光学経路中に選択的に配置可能な干渉型対物レンズおよび非干渉型対物レンズを含み、前記第1の光源により発生された光が前記光学経路を通して前記測定対象物に照射されるとともに前記測定対象物からの反射光が前記第1の受光素子に導かれ、前記第2の光源により発生された光が前記光学経路を通して前記測定対象物に照射されるとともに前記測定対象物からの反射光が前記第2の受光素子に導かれるように構成され、
前記算出部は、前記光学経路中に前記干渉型対物レンズが配置されている場合に、前記第1の受光素子により得られた受光強度分布に基づいて前記複数の部分について第1のデータをそれぞれ算出し、前記光学経路中に前記非干渉型対物レンズが配置されている場合に、前記第2の受光素子により得られた受光強度分布に基づいて前記複数の部分について第2のデータをそれぞれ算出するように構成される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の形状測定装置。
前記受光強度分布取得部は、白色光を発生する第1の光源、単一波長の光を発生する第2の光源、第1の受光素子、第2の受光素子ならびに測定対象物に照射される光および測定対象物からの反射光が通過する光学経路を含むとともに、前記光学経路中に選択的に配置可能な干渉型対物レンズおよび非干渉型対物レンズを含み、前記第1の光源により発生された光が前記光学経路を通して前記測定対象物に照射されるとともに前記測定対象物からの反射光が前記第1の受光素子に導かれ、前記第2の光源により発生された光が前記光学経路を通して前記測定対象物に照射されるとともに前記測定対象物からの反射光が前記第2の受光素子に導かれるように構成され、
前記算出部は、前記光学経路中に前記干渉型対物レンズが配置されている場合に、前記第1の受光素子により得られた受光強度分布に基づいて前記複数の部分について第1のデータをそれぞれ算出し、前記光学経路中に前記非干渉型対物レンズが配置されている場合に、前記第2の受光素子により得られた受光強度分布に基づいて前記複数の部分について第2のデータをそれぞれ算出するように構成される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の形状測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0037】
[1]第1の実施の形態
以下、第1の実施の形態に係る形状測定装置について図面を参照しながら説明する。
【0038】
(1)形状測定装置の基本構成
図1は、第1の実施の形態に係る形状測定装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、形状測定装置500は、測定部100、PC(パーソナルコンピュータ)200、制御部300および表示部400を備える。測定部100は、レーザ光源10、X−Yスキャン光学系20、受光素子30およびステージ60を含む。ステージ60上には、測定対象物Sが載置される。
【0039】
レーザ光源10は、例えば半導体レーザである。レーザ光源10から出射されたレーザ光は、レンズ1により平行光に変換された後、ハーフミラー4を透過してX−Yスキャン光学系20に入射する。なお、レーザ光源10に代えて水銀ランプ等の他の光源と帯域通過フィルタとが用いられてもよい。この場合、水銀ランプ等の光源とX−Yスキャン光学系20との間に帯域通過フィルタが配置される。水銀ランプ等の光源から出射された光は、帯域通過フィルタを通過することにより単色光となり、X−Yスキャン光学系20に入射する。
【0040】
X−Yスキャン光学系20は、例えばガルバノミラーである。X−Yスキャン光学系20は、ステージ60上の測定対象物Sの表面上においてレーザ光をX方向およびY方向に走査する機能を有する。X方向、Y方向およびZ方向の定義については後述する。X−Yスキャン光学系20により走査されたレーザ光は、ミラー5Aにより反射された後、対物レンズ3によりステージ60上の測定対象物Sに集光される。
【0041】
測定部100には、対物レンズ3として非干渉型対物レンズ3Aおよび干渉型対物レンズ3Bを取り付けることができる。測定対象物Sの表面に照射されるレーザ光および測定対象物Sにより反射されたレーザ光の光学経路に非干渉型対物レンズ3Aおよび干渉型対物レンズ3Bが選択的に配置される。
【0042】
本例においては、干渉型対物レンズ3Bは、例えばマイケルソン干渉方式、ミラウ干渉方式またはリニック干渉方式の干渉型対物レンズである。干渉型対物レンズ3Bに代えて、干渉型対物レンズが実現されるように組み合わされた非干渉型対物レンズ3Aと例えばマイケルソン干渉方式、ミラウ干渉方式またはリニック干渉方式の光学系とが用いられてもよい。また、ハーフミラー4に代えて偏光ビームスプリッタが用いられてもよい。
【0043】
測定対象物Sにより反射されたレーザ光は、対物レンズ3を透過した後、ミラー5Aにより反射され、X−Yスキャン光学系20を通過する。X−Yスキャン光学系20を通過したレーザ光は、ハーフミラー4により反射され、レンズ2により集光され、ピンホール部材7のピンホールを通過して受光素子30に入射する。ピンホール部材7のピンホールは、レンズ2の焦点位置に配置される。このように、本実施の形態においては反射型の形状測定装置500が用いられるが、測定対象物Sが細胞等の透明体である場合には、透過型の形状測定装置が用いられてもよい。
【0044】
本実施の形態では、受光素子30は光電子増倍管である。受光素子30としてフォトダイオードおよび増幅器を用いてもよい。受光素子30は、受光量に対応するアナログの電気信号(以下、受光信号と呼ぶ)を出力する。制御部300は、A/D変換器(アナログ/デジタル変換器)、FIFO(First In First Out)メモリおよびCPU(中央演算処理装置)を含む。受光素子30から出力される受光信号は、制御部300のA/D変換器により一定のサンプリング周期でサンプリングされるとともにデジタル信号に変換される。A/D変換器から出力されるデジタル信号は、FIFOメモリに順次蓄積される。FIFOメモリに蓄積されたデジタル信号は画素データとして順次PC200に転送される。
【0045】
制御部300は、画素データをPC200に与えるとともに、PC200からの指令に基づいて受光素子30の受光感度(ゲイン)を制御する。また、制御部300は、PC200からの指令に基づいてX−Yスキャン光学系20を制御することによりレーザ光を測定対象物S上でX方向およびY方向に走査させる。
【0046】
対物レンズ3は、レンズ駆動部63によりZ方向に移動可能に設けられる。制御部300は、PC200からの指令に基づいてレンズ駆動部63を制御することにより対物レンズ3をZ方向に移動させることができる。これにより、対物レンズ3に対する測定対象物Sの相対的なZ方向の位置を変化させることができる。
【0047】
PC200は、CPU210、ROM(リードオンリメモリ)220、作業用メモリ230および記憶装置240を含む。ROM220には、システムプログラムが記憶される。作業用メモリ230は、RAM(ランダムアクセスメモリ)からなり、種々のデータの処理のために用いられる。記憶装置240は、ハードディスク等からなる。記憶装置240には、画像処理プログラムが記憶される。また、記憶装置240は、制御部300から与えられる画素データ等の種々のデータを保存するために用いられる。
【0048】
CPU210は、制御部300から与えられる画素データに基づいて画像データを生成する。また、CPU210は、生成した画像データに作業用メモリ230を用いて各種処理を行うとともに、画像データに基づく画像を表示部400に表示させる。さらに、CPU210は、後述するステージ駆動部62に駆動パルスを与える。表示部400は、例えば液晶ディスプレイパネルまたは有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルにより構成される。
【0049】
ステージ60は、X方向移動機構、Y方向移動機構およびZ方向移動機構を有する。X方向移動機構、Y方向移動機構およびZ方向移動機構には、ステッピングモータまたはピエゾ素子が用いられる。ステージ60のX方向移動機構、Y方向移動機構およびZ方向移動機構は、ステージ操作部61およびステージ駆動部62により駆動される。
【0050】
使用者は、ステージ操作部61を手動で操作することにより、ステージ60を対物レンズ3に対して相対的にX方向、Y方向およびZ方向に移動させることができる。ステージ駆動部62は、PC200より与えられる駆動パルスに基づいて、ステージ60のステッピングモータに電流を供給することにより、ステージ60を対物レンズ3に相対的にX方向、Y方向またはZ方向に移動させることができる。あるいは、ステージ駆動部62は、PC200による制御に基づいて、ステージ60のピエゾ素子に電圧を印加することにより、ステージ60を対物レンズ3に相対的にX方向、Y方向またはZ方向に移動させることができる。
【0051】
(2)共焦点方式の高さ形状測定
図2は、X方向、Y方向およびZ方向の定義を示す図である。
図2に示すように、対物レンズ3により集光されたレーザ光が測定対象物Sに照射される。本実施の形態においては、対物レンズ3の光軸の方向をZ方向と定義する。また、Z方向と直交する面内において、互いに直交する二方向をそれぞれX方向およびY方向と定義する。X方向、Y方向およびZ方向を矢印X,Y,Zでそれぞれ示す。
【0052】
Z方向において対物レンズ3に対する測定対象物Sの表面の相対的な位置を測定対象物SのZ方向の位置と呼ぶ。画像データの生成は、単位領域ごとに行なわれる。単位領域は対物レンズ3の倍率により定まる。
【0053】
測定対象物SのZ方向の位置が一定の状態で、X−Yスキャン光学系20により単位領域内のY方向の端部でレーザ光がX方向に走査される。X方向の走査が終了すると、レーザ光がX−Yスキャン光学系20によりY方向に一定の間隔だけ変移される。この状態でレーザ光がX方向に走査される。単位領域内でレーザ光のX方向の走査およびY方向の変移が繰り返されることにより、単位領域のX方向およびY方向の走査が終了する。次に、対物レンズ3がZ方向に移動される。それにより、対物レンズ3のZ方向の位置が前回と異なる一定の状態で、単位領域のX方向およびY方向の走査が行なわれる。測定対象物SのZ方向の複数の位置で単位領域のX方向およびY方向の走査が行なわれる。
【0054】
測定対象物SのZ方向の位置ごとにX方向およびY方向の走査により画像データが生成される。これにより、単位領域内でZ方向の位置が異なる複数の画像データが生成される。
【0055】
ここで、画像データのX方向の画素数は、X−Yスキャン光学系20によるレーザ光のX方向の走査速度と制御部300のサンプリング周期とにより定まる。1回のX方向の走査(1本の走査線)におけるサンプリング数がX方向の画素数となる。また、単位領域の画像データのY方向の画素数は、X方向の走査の終了ごとのX−Yスキャン光学系20によるレーザ光のY方向の変移量により定まる。Y方向における走査線の数がY方向の画素数となる。さらに、単位領域の画像データの数は、測定対象物SのZ方向の移動回数により定まる。
【0056】
図2の例では、まず、ステージ60の最初の位置で一の単位領域における測定対象物Sの複数の画像データが生成される。続いて、ステージ60が順次移動することにより他の単位領域における測定対象物Sの複数の画像データが生成される。この場合、隣接する単位領域の一部が互いに重なるように、単位領域が設定されてもよい。
【0057】
図3は、対物レンズ3として非干渉型対物レンズ3Aを用いた場合の1つの画素についての受光強度分布の一例を示す図である。
図3の横軸は測定対象物SのZ方向の位置を表わし、縦軸は受光素子30の受光強度を表わす。
図1に示したように、ピンホール部材7のピンホールはレンズ2の焦点位置に配置される。
【0058】
そのため、測定対象物Sの表面が非干渉型対物レンズ3Aの焦点位置にあるときに、測定対象物Sにより反射されたレーザ光がピンホール部材7のピンホールの位置に集光される。それにより、測定対象物Sにより反射されたレーザ光の大部分がピンホール部材7のピンホールを通過して受光素子30に入射する。この場合、受光素子30の受光強度は最大になる。したがって、受光素子30から出力される受光信号の電圧値は最大となる。
【0059】
一方、測定対象物Sが非干渉型対物レンズ3Aの焦点位置から外れた位置にあるときには、測定対象物Sにより反射されたレーザ光はピンホール部材7のピンホールの前または後の位置に集光される。それにより、測定対象物Sにより反射されたレーザ光の多くはピンホール部材7のピンホールの周囲の部分で遮られ、受光素子30の受光強度は低下する。したがって、受光素子30から出力される受光信号の電圧値は低下する。
【0060】
このように、測定対象物Sの表面が非干渉型対物レンズ3Aの焦点位置にある状態で受光素子30の受光強度分布にピークが現れる。各単位領域の複数の画像データから、画素ごとにZ方向における受光強度分布が得られる。それにより、画素ごとに受光強度分布のピーク位置とピーク強度(ピークの受光強度)とが得られる。
【0061】
測定対象物SのZ方向の位置を変化させたときの受光強度に例えばガウシアン曲線またはスプライン曲線をフィッティングさせることにより、Z方向におけるピーク位置が算出される。Z方向におけるピーク位置に基づいて、測定対象物Sの表面の高さ形状を測定することができる。高さ形状の測定の分解能は、
図3の曲線の半値全幅Γに依存する。半値全幅Γは、非干渉型対物レンズ3Aの開口数が大きく、レーザ光の波長が短いほど小さくなる。例えば、非干渉型対物レンズ3Aの開口数が0.95であり、レーザ光の波長が408nmである場合、半値全幅Γは500nmとなる。この場合、分解能は0.5〜1nmとなる。
【0062】
各単位領域の各画素についてのZ方向におけるピーク位置を表わすデータを共焦点高さデータと呼ぶ。また、共焦点高さデータに基づく高さ形状測定を共焦点方式の高さ形状測定と呼ぶ。PC200は、制御部300から与えられる単位領域の複数の画素データに基づいて単位領域の複数の画像データを生成し、複数の画像データに基づいて単位領域の各画素についての共焦点高さデータを生成する。
【0063】
(3)干渉方式の高さ形状測定
図4は、干渉型対物レンズ3Bの構成を示す図である。
図4の例においては、干渉型対物レンズ3Bは、ミラウ干渉方式の干渉型対物レンズである。
図4に示すように、干渉型対物レンズ3Bは、レンズ31、ビームスプリッタ32および参照ミラー33を含む。
【0064】
図1のレーザ光源10から出射されたレーザ光は、
図4のレンズ31を通過した後、ビームスプリッタ32により2つのレーザ光に分離される。一方のレーザ光についてのレンズ31の焦点位置に参照ミラー33が配置される。他方のレーザ光についてのレンズ31の焦点位置付近に測定対象物Sが配置される。
【0065】
一方のレーザ光は、参照ミラー33により反射され、ビームスプリッタ32により反射され、レンズ31を通過した後、非干渉型対物レンズ3Aを用いた場合と同様に
図1の受光素子30に入射する。他方のレーザ光は、測定対象物Sにより反射され、ビームスプリッタ32およびレンズ31を通過した後、非干渉型対物レンズ3Aを用いた場合と同様に
図1の受光素子30に入射する。
【0066】
このように、対物レンズ3のレンズ31、ビームスプリッタ32および参照ミラー33により干渉光学系が構成される。本例においては、対物レンズ3はミラウ干渉方式の干渉型対物レンズであるが、これに限定されない。
図5は、対物レンズ3の他の構成を示す図である。
図5(a)の例においては、対物レンズ3は、マイケルソン干渉方式の干渉型対物レンズである。
図5(b)の例においては、対物レンズ3は、リニック干渉方式の干渉型対物レンズである。
【0067】
図5(a)に示すように、マイケルソン干渉方式の対物レンズ3は、
図3のミラウ干渉方式の対物レンズ3と同様に、レンズ31、ビームスプリッタ32および参照ミラー33により構成される。一方、
図5(b)に示すように、リニック干渉方式の対物レンズ3は、干渉型対物レンズはレンズ31、ビームスプリッタ32、参照ミラー33およびレンズ34により構成される。リニック干渉方式の対物レンズ3においては、
図1のレーザ光源10から出射されたレーザ光は、レンズ31を通過する前にビームスプリッタ32により2つのレーザ光に分離される。そのため、ビームスプリッタ32と測定対象物Sとの間にレンズ31が配置されるとともに、ビームスプリッタ32と参照ミラー33との間にレンズ34が配置される。
【0068】
図6は、対物レンズ3として干渉型対物レンズ3Bを用いた場合の1つの画素についての受光強度分布の一例を示す図である。
図6の横軸は測定対象物SのZ方向の位置を表わし、縦軸は受光素子30の受光強度を表わす。以下、一方のレーザ光が受光素子30に入射するまでの光路長と他方のレーザ光の光路長が受光素子30に入射するまでの光路長との差を光路差と呼ぶ。本例において、参照ミラー33はレンズ31の焦点位置に配置される。この場合、光路差は、測定対象物Sとレンズ31の焦点位置との間のずれの2倍に等しい。
【0069】
光路差が1/2×(2n)×λ(n:整数、λ:波長)である場合、すなわち測定対象物Sが干渉型対物レンズ3Bのレンズ31の焦点位置から1/4×(2n)×λずれた位置にある場合、受光素子30に入射する2つのレーザ光は強め合う。一方、光路差が1/2×(2n+1)×λである場合、すなわち測定対象物Sがレンズ31の焦点位置から1/4×(2n+1)×λずれた位置にある場合、受光素子30に入射する2つのレーザ光は弱め合う。
【0070】
測定対象物Sの表面が干渉型対物レンズ3Bの焦点位置にあるときに、参照ミラー33により反射されたレーザ光と測定対象物Sにより反射されたレーザ光とがピンホール部材7のピンホールの位置に集光される。それにより、参照ミラー33により反射されたレーザ光および測定対象物Sにより反射されたレーザ光の大部分がピンホール部材7のピンホールを通過して受光素子30に入射する。この場合、2つのレーザ光の光路長が等しいため、2つのレーザ光が強め合う。その結果、
図6に示すように、受光素子30から出力される受光信号の電圧値は最大となる。
【0071】
また、測定対象物Sが干渉型対物レンズ3Bの焦点位置から外れた位置にあるときには、測定対象物Sにより反射されたレーザ光はピンホール部材7のピンホールの前または後の位置に集光される。それにより、測定対象物Sにより反射されたレーザ光の多くはピンホール部材7のピンホールの周囲の部分で遮られ、受光素子30の受光強度は低下する。そのため、測定対象物Sが干渉型対物レンズ3Bの焦点位置から外れた位置にあるときには、2つのレーザ光が強め合う場合であっても、受光素子30へ向かう2つのレーザ光の一部がピンホール部材7のピンホールにより遮られる。その結果、
図6に示すように、受光素子30から出力される受光信号の電圧値は、測定対象物Sが干渉型対物レンズ3Bの焦点位置にあるときの受光信号の電圧値よりも低下する。
【0072】
図6の受光強度分布は、干渉方式の受光強度分布(後述する
図15および
図17(a)〜(c)の受光強度分布)成分および共焦点方式の受光強度分布(
図3の受光強度分布)成分の重畳波形を有する。
【0073】
図6の受光強度分布に演算処理が行われることにより、干渉方式の受光強度分布成分および共焦点方式の受光強度分布成分が抽出されてもよい。共焦点方式の受光強度分布成分は、例えば
図6の受光強度分布に低域通過フィルタまたはモルフォロジカルフィルタを適用することにより抽出される。干渉方式の受光強度分布成分は、例えば上記の方法により抽出された共焦点方式の受光強度分布成分を
図6の受光強度分布から除去することにより抽出される。この場合、抽出された干渉方式の受光強度分布成分の複数のピークの振幅を略均一にする補正処理が行われてもよい。
【0074】
本実施の形態においては、以下の位相シフト干渉方式により測定対象物Sの表面の高さ形状を測定する。まず、光路長をλ/4ずつ、すなわち測定対象物SのZ方向の位置をλ/8ずつ4回変化させる。また、測定対象物SのZ方向の位置に対応する4つの受光強度を受光素子30により測定する。
【0075】
具体的には、まず、測定対象物SがZ方向の任意の初期位置にあるときの受光強度(第1の強度I1)を受光素子30により測定する。次に、測定対象物Sが初期位置からλ/8の位置にあるときの受光強度(第2の強度I2)を受光素子30により測定する。その後、測定対象物Sが初期位置からλ/4の位置にあるときの受光強度(第3の強度I3)を受光素子30により測定する。最後に、測定対象物Sが初期位置から3λ/8の位置にあるときの受光強度(第4の強度I4)を受光素子30により測定する。
【0076】
このとき、2つの光の位相差φは、φ=tan
−1[(I1−I3)/(I2−I4)]で与えられる。また、干渉型対物レンズ3Bの焦点位置からの高さhは、h=φλ/(4π)で与えられる。なお、位相差φには2πの整数倍の任意性があるので、高さhが連続的に変化しているという仮定に基づいて、近傍位相接続法またはMST(Minimum Spanning Tree)法等の演算処理が行われる。
【0077】
測定対象物Sの表面全体について高さhを算出することにより、測定対象物Sの表面の高さ形状を測定することができる。位相シフト干渉方式による高さ形状の測定の分解能は、0.1nm以下となる。
【0078】
各単位領域の各画素についての高さhを表わすデータを干渉高さデータと呼ぶ。また、干渉高さデータに基づく高さ形状測定を干渉方式の高さ形状測定と呼ぶ。PC200は、制御部300から与えられる単位領域の複数の画素データに基づいて単位領域の複数の画像データを生成し、複数の画像データに基づいて単位領域の各画素についての干渉高さデータを生成する。
【0079】
(4)高さデータの生成
本実施の形態においては、対物レンズ3として干渉型対物レンズ3Bが光学経路中に配置される。測定対象物Sが、例えば干渉型対物レンズ3Bの焦点位置よりも十分下方に配置される。この状態で、各単位領域内でレーザ光がX方向およびY方向に走査される。
【0080】
各単位領域内の走査が終了した後、干渉型対物レンズ3Bがλ/8だけ下方に移動される。これにより、測定対象物Sが干渉型対物レンズ3Bの焦点位置に近づくように上方に相対的に移動する。この状態で、各単位領域内でレーザ光がX方向およびY方向に走査される。各単位領域内の走査が終了した後、干渉型対物レンズ3Bがλ/8だけさらに下方に移動される。これにより、測定対象物Sが干渉型対物レンズ3Bの焦点位置に近づくように上方に相対的にさらに移動する。この状態で、各単位領域内でレーザ光がX方向およびY方向に走査される。
【0081】
測定対象物Sが干渉型対物レンズ3Bの焦点位置よりも十分上方に移動するまで同様の動作が繰り返される。これにより、測定対象物Sの表面全体の各画素について、測定対象物SのZ方向の位置および受光強度が得られる。得られた測定対象物SのZ方向の位置および受光強度は、
図1の作業用メモリ230に記憶される。測定対象物SのZ方向の位置はピーク位置を含み、受光強度はピーク強度および
図6の第1〜第4の強度I1〜I4を含む。
【0082】
作業用メモリ230に記憶されたピーク位置に基づいて共焦点高さデータが生成される。また、作業用メモリ230に記憶された第1〜第4の強度I1〜I4に基づいて干渉高さデータが生成される。生成された共焦点高さデータおよび干渉高さデータは、作業用メモリ230に記憶される。なお、上記の測定において干渉型対物レンズ3BはZ方向にλ/8の間隔で移動されるが、これに限定されない。干渉型対物レンズ3BはZ方向に例えばλ/8よりも小さい間隔で移動されてもよい。
【0083】
(5)傾斜角度に基づく測定方式の判定
測定対象物Sの表面に大きな傾斜角度の領域が存在する場合、その領域において反射されるレーザ光による干渉パターン(干渉縞)の間隔が密となる。この場合、受光素子30により隣接する画素間における干渉縞の判別を行うことが困難となる。そのため、測定対象物Sの表面に大きな傾斜角度の領域が存在しない場合に比べて、干渉高さデータの精度は低くなり、または干渉高さデータの算出が困難となる。一方、測定対象物Sの表面に大きな傾斜角度の領域が存在する場合であっても、共焦点高さデータの精度はほとんど低下しない。
【0084】
このように、測定対象物Sの表面に大きな傾斜角度の領域が存在しない場合および低い反射率の領域が存在しない場合のように測定対象物Sの表面に特定の状態の領域が存在しない場合には、干渉方式の受光強度分布に基づいて算出される干渉高さデータは、共焦点方式の受光強度分布に基づいて算出される共焦点高さデータよりも高い精度を有する。一方、測定対象物Sの表面に大きな傾斜角度の領域が存在する場合または低い反射率の領域が存在する場合のように測定対象物Sの表面に特定の状態の領域が存在する場合には、干渉方式の受光強度分布に基づいて算出される干渉高さデータの精度は低くなり、または干渉高さデータの算出が困難となる。
【0085】
そこで、測定対象物Sの表面の部分的な性質に応じて、干渉方式の高さ形状測定および共焦点方式の高さ形状測定のいずれに基づいて測定対象物Sの高さ形状が測定されるかが判定される。本実施の形態においては、測定対象物Sの表面の画素ごとに干渉方式の高さ形状測定により測定可能であるか否かが判定される。干渉方式の高さ形状測定により測定可能な画素については、干渉高さデータに基づいて測定対象物Sの表面の高さが測定される。干渉方式の高さ形状測定により測定不可能な画素については、共焦点高さデータに基づいて測定対象物Sの表面の高さが測定される。
【0086】
以下、各画素に対応する測定対象物Sの各部分の傾斜角度を各画素の傾斜角度と呼ぶ。本実施の形態においては、各画素の傾斜角度θが算出される。共焦点方式の高さ形状測定により測定された座標(x,y)に位置する画素に対応する測定対象物Sの部分の高さをf(x,y)とする。この場合、座標(x,y)に位置する画素とその画素にX方向に隣接する画素との間における測定対象物Sの部分の勾配Δ
xfは、Δ
xf=[f(x,y)−f(x−1,y)]/Δxにより算出される。ここで、Δxは、X方向に隣接する画素に対応する測定対象物Sの部分間の距離である。同様に、座標(x,y)に位置する画素とその画素にY方向に隣接する画素との間における測定対象物Sの部分の勾配Δ
yfは、Δ
yf=[f(x,y)−f(x,y−1)]/Δyにより算出される。ここで、Δyは、Y方向に隣接する画素に対応する測定対象物Sの部分間の距離である。
【0087】
各画素の傾斜角度θは、数1により算出される。算出された各画素の傾斜角度θは、
図1の作業用メモリ230に記憶される。なお、各画素についての勾配Δ
xf,Δ
yfが算出される前に、複数の高さデータにより構成される測定対象物Sの表面を表わすデータが平滑化されることにより、各画素についての高さデータのノイズが除去されてもよい。
【0089】
上記の方法においては、共焦点方式の高さ形状測定に基づいて各画素の傾斜角度θが算出されるが、これに代えて、干渉方式の高さ形状測定に基づいて各画素の傾斜角度θが算出されてもよい。
【0090】
測定対象物Sの表面が傾斜している場合には、測定対象物Sの表面が傾斜していない場合に比べて受光強度分布に歪みが生じる。例えば、画素の傾斜角度θが小さい場合には、受光素子30により出力される
図6の受光強度分布の歪みが小さい。一方、画素の傾斜角度θが大きい場合には、受光素子30により出力される受光強度分布の歪みが大きい。したがって、予め画素の傾斜角度θと受光強度分布の歪みの度合いとの関係を示すテーブルが
図1の記憶装置240に記憶され、記憶されたテーブルに基づいて、受光強度分布の歪みの度合いから画素の傾斜角度θが算出されてもよい。受光強度分布の歪みの度合いは、公知の正弦波の歪み率に基づいて算出されてもよいし、受光強度分布のFFT(高速フーリエ変換)解析により算出されてもよい。
【0091】
画素の傾斜角度θが小さい場合には、その画素についての干渉高さデータの値とその画素に隣接する画素についての干渉高さデータの値との差が小さい。一方、画素の傾斜角度θが大きい場合には、その画素についての干渉高さデータの値とその画素に隣接する画素についての干渉高さデータの値との差が大きい。したがって、予め画素の傾斜角度θと隣接する画素についての干渉高さデータの値の差の度合いとの関係を示すテーブルが
図1の記憶装置240に記憶され、記憶されたテーブルに基づいて、隣接する画素についての干渉高さデータの値の差の度合いから画素の傾斜角度θが算出されてもよい。
【0092】
本実施の形態においては、各画素についての傾斜角度θと予め設定された傾斜角度しきい値とが比較される。傾斜角度θが傾斜角度しきい値以下である画素については、干渉高さデータに基づいて測定対象物Sの表面の高さを測定することが可能であると判定される。一方、傾斜角度θが傾斜角度しきい値を超えるである画素については、干渉高さデータに基づいて測定対象物Sの表面の高さを測定することが不可能であると判定される。
【0093】
傾斜角度しきい値は、対物レンズ3の倍率に応じて適切に設定される。対物レンズ3の倍率が20倍の場合、傾斜角度しきい値は、例えば15度に設定される。
【0094】
(6)反射率に基づく測定方式の判定
図7は、測定対象物Sの表面の反射率に基づく測定方式の判定方法を説明するための図である。
図7(a)は、本例における測定対象物Sの構成を示す模式的平面図である。
図7(a)に示すように、測定対象物Sは、矩形状の部材R2の略中央に矩形状の部材R1が埋め込まれた構成を有する。部材R1は例えば金属であり、部材R2は例えばゴムである。
【0095】
予め定められた条件として、
図7(a)の測定対象物Sが対物レンズ3の焦点位置に配置される。この状態で、レーザ光が単位領域内で走査されることにより、
図1の受光素子30により測定対象物SのX方向およびY方向に沿った受光強度分布が得られる。以下、測定対象物Sが対物レンズ3の焦点位置に配置された場合の受光素子30の受光強度を基準強度と呼ぶ。各画素の基準強度は、
図1の作業用メモリ230に記憶される。
【0096】
対物レンズ3の焦点位置を正確に特定することが困難な場合には、測定対象物Sが対物レンズ3の焦点位置付近の複数の位置に順次配置され、各位置で測定対象物SのX方向およびY方向に沿った受光強度分布が得られる。複数の位置での受光強度分布のうち最大の受光強度を有する受光強度分布が選択され、選択された受光強度分布における各画素の受光強度が基準強度として作業用メモリ230に記憶される。
【0097】
図7(b)は、測定対象物Sの一の単位領域内の任意のY方向の位置におけるX方向に沿った画素についての基準強度分布の一例を示す図である。
図7(b)の例においては、測定対象物Sの部材R1により反射されたレーザ光および部材R2により反射されたレーザ光が
図1の受光素子30に入射される。部材R1の反射率は、部材R2の反射率よりも高い。そのため、
図7(b)に示すように、測定対象物Sの部材R1により反射されたレーザ光による受光素子30の基準強度は、測定対象物Sの部材R2により反射されたレーザ光による受光素子30の基準強度よりも大きい。
【0098】
本実施の形態においては、各画素についての基準強度と予め設定された受光強度しきい値とが比較される。基準強度が受光強度しきい値以上である画素については、干渉高さデータに基づいて測定対象物Sの表面の高さを測定することが可能であると判定される。一方、基準強度が受光強度しきい値未満である画素については、干渉高さデータに基づいて測定対象物Sの表面の高さを測定することが不可能であると判定される。
【0099】
図7(b)の例においては、測定対象物Sの部材R1により反射されたレーザ光による受光素子30の基準強度は受光強度しきい値以上である。したがって、測定対象物Sの部材R1に対応する画素については、干渉高さデータに基づいて測定対象物Sの表面の高さを測定することが可能であると判定される。一方、測定対象物Sの部材R2により反射されたレーザ光による受光素子30の基準強度は受光強度しきい値未満である。したがって、測定対象物Sの部材R2に対応する画素については、干渉高さデータに基づいて測定対象物Sの表面の高さを測定することが不可能であると判定される。
【0100】
受光強度しきい値は、受光素子30の受光強度が飽和するときの受光強度(飽和強度)の値の例えば1%に設定される。受光強度しきい値は、測定対象物Sが
図1のステージ60に載置されないときの受光素子30の受光強度(迷光強度)の値と飽和強度の値との差の例えば1%を迷光強度の値に加算することにより得られる値に設定されてもよい。
【0101】
なお、本実施の形態のように、干渉方式の受光強度分布を得るための受光素子30として感度が大きい光電子増倍管を用いる場合には、微小な光を検出することができる。そのため、測定対象物Sの表面に低い反射率の領域が存在する場合であっても、干渉方式の受光強度分布に基づいて算出される干渉高さデータの精度は低下しない。したがって、受光素子30として光電子増倍管を用いる場合には、反射率に基づく測定方式の判定は行われなくてもよい。
【0102】
(7)測定方式の判定処理
図8および
図9は、測定方式の判定処理を示すフローチャートである。
図8および
図9を用いてCPU210による測定方式の判定処理を説明する。CPU210は、i番目(iは1からNまでの自然数)の画素についての傾斜角度θを作業用メモリ230から抽出する(ステップS1)。変数iの初期値は1である。次に、CPU210は、抽出された傾斜角度θが予め設定された傾斜角度しきい値以下であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0103】
ステップS2で、傾斜角度θが傾斜角度しきい値以下である場合、CPU210は、フラグを“0”に設定する(ステップS3)。フラグ“0”は、干渉方式の高さ形状測定による測定対象物Sの表面の高さ形状の測定が可能であることを意味する。一方、ステップS2で、傾斜角度θが傾斜角度しきい値を超える場合、CPU210は、フラグを“1”に設定する(ステップS4)。フラグ“1”は、干渉方式の高さ形状測定による測定対象物Sの表面の高さ形状の測定が不可能であることを意味する。
【0104】
次に、CPU210は、設定されたフラグが“0”であるか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5で、設定されたフラグが“0”でない場合、すなわち設定されたフラグが“1”である場合、CPU210は、ステップS9の処理に進む。一方、ステップS5で、設定されたフラグが“0”である場合、CPU210は、i番目の画素についての基準強度を作業用メモリ230から抽出する(ステップS6)。
【0105】
次に、CPU210は、抽出された基準強度が予め設定された受光強度しきい値以上であるか否かを判定する(ステップS7)。ステップS7で、基準強度が受光強度しきい値以上である場合、CPU210は、ステップS9の処理に進む。一方、ステップS7で、基準強度が受光強度しきい値未満である場合、CPU210は、フラグを“1”に更新する(ステップS8)。
【0106】
次に、CPU210は、変数iの値がNであるか否かを判定する(ステップS9)。ステップS9で、変数iの値がNでない場合、CPU210は、変数iの値を1だけ増加させ(ステップS10)、ステップS1の処理に戻り、変数iの値がNになるまでステップS1〜S10の処理を繰り返し行う。ステップS9で、変数iの値がNである場合、CPU210は、測定方式の判定処理を終了する。この処理により、干渉方式の高さ形状測定により測定可能な画素にフラグ“0”が設定され、干渉方式の高さ形状測定により測定不可能な画素にフラグ“1”が設定される。
【0107】
なお、上述のように、本実施の形態においては、干渉方式の受光強度分布を得るための受光素子30として光電子増倍管が用いられる。したがって、反射率に基づく測定方式の判定は行われなくてもよい。この場合、ステップS5〜S8の処理は省略される。
【0108】
(8)高さ形状測定処理
図10および
図11は、高さ形状測定処理を示すフローチャートである。
図10および
図11を用いてCPU210による高さ形状測定処理を説明する。CPU210は、測定方式の判定処理においてフラグ“0”が設定された画素を抽出する(ステップS21)。次に、CPU210は、抽出された各画素についての共焦点高さデータを抽出する(ステップS22)。また、CPU210は、抽出された各画素についての干渉高さデータを抽出する(ステップS23)。
【0109】
続いて、CPU210は、抽出された共焦点高さデータの平均値を算出する(ステップS24)。また、CPU210は、抽出された干渉高さデータの平均値を算出する(ステップS25)。次いで、CPU210は、共焦点高さデータの平均値と干渉高さデータの平均値との差分を算出する(ステップS26)。
【0110】
その後、CPU210は、算出された差分に基づいて、共焦点高さデータまたは干渉高さデータを較正する(ステップS27)。共焦点高さデータまたは干渉高さデータの較正は、例えば、共焦点高さデータまたは干渉高さデータに差分を加算することにより行われる。これにより、共焦点高さデータの高さの基準と干渉高さデータの高さの基準とを一致させることができる。
【0111】
次に、CPU210は、測定方式の判定処理において設定されたj番目(jは1からNまでの自然数)の画素についてのフラグを抽出する(ステップS28)。変数jの初期値は1である。次いで、CPU210は、抽出されたフラグが“0”であるか否かを判定する(ステップS29)。ステップS29で、抽出されたフラグが“0”である場合、CPU210は、高さデータとして干渉高さデータを選択する(ステップS30)。一方、ステップS29で、抽出されたフラグが“0”でない場合、すなわち抽出されたフラグが“1”である場合、CPU210は、高さデータとして共焦点高さデータを選択する(ステップS31)。
【0112】
続いて、CPU210は、変数jの値がNであるか否かを判定する(ステップS32)。ステップS32で、変数jの値がNでない場合、CPU210は、変数jの値を1だけ増加させ(ステップS33)、ステップS28の処理に戻り、変数jの値がNになるまでステップS28〜S33の処理を繰り返し行う。ステップS32で、変数jの値がNである場合、CPU210は、測定方式の判定処理を終了する。この処理により、フラグ“0”が設定された画素の高さデータとして干渉高さデータが選択され、フラグ“1”が設定された画素の高さデータとして共焦点高さデータが選択される。
【0113】
最後に、CPU210は、選択された干渉高さデータまたは共焦点高さデータを用いて測定対象物Sの表面の高さ形状を示す形状データを生成する(ステップS34)。これにより、高さ形状測定処理を終了する。
【0114】
(9)第1の実施の形態の変形例
本実施の形態においては、1回の測定で共焦点高さデータおよび干渉高さデータが生成されるが、これに限定されない。例えば、第1回の測定において共焦点高さデータが生成され、第2回の測定において干渉高さデータが生成されてもよい。この場合、第1回の測定においては、対物レンズ3として非干渉型対物レンズ3Aが光学経路中に配置され、第2回の測定においては、対物レンズ3として干渉型対物レンズ3Bが光学経路中に配置される。
【0115】
干渉型対物レンズ3Bが光学経路に配置されている場合には、受光素子30により、干渉方式の受光強度分布成分および共焦点方式の受光強度分布成分の重畳波形を有する受光強度分布(
図6参照)が得られる。一方、非干渉型対物レンズ3Aが光学経路に配置されている場合には、受光素子30により、共焦点方式の受光強度分布(
図3参照)が得られる。
【0116】
使用者は、干渉型対物レンズ3Bおよび非干渉型対物レンズ3Aのいずれが光学経路に配置されているかを
図1のCPU210に指定することができる。あるいは、CPU210は、干渉型対物レンズ3Bおよび非干渉型対物レンズ3Aのいずれが光学経路に配置されているかを判定してもよい。例えば、受光素子30により得られる受光強度分布が比較的高い周波数成分と比較的低い周波数成分との重畳成分を有する場合、CPU210は干渉型対物レンズ3Bが光学経路に配置されていると判定する。一方、受光素子30により得られる受光強度分布が比較的低い周波数成分を有し、比較的高い周波数成分を有さない場合、CPU210は非干渉型対物レンズ3Aが光学経路に配置されていると判定する。
【0117】
干渉型対物レンズ3Bが光学経路に配置されている場合には、CPU210は、受光強度分布のうち干渉方式の受光強度分布成分に基づいて、干渉高さデータをそれぞれ生成する処理を行う。一方、非干渉型対物レンズ3Aが光学経路に配置されている場合には、CPU210は、共焦点方式の受光強度分布に基づいて、共焦点高さデータを生成する処理を行う。
【0118】
ここで、第1回の測定において用いられる対物レンズ3(非干渉型対物レンズ3A)と第2回の測定において用いられる対物レンズ3(干渉型対物レンズ3B)とには、光軸のずれまたは倍率の誤差があり得る。したがって、光学経路中に非干渉型対物レンズ3Aが配置された場合に定まる画素と光学経路中に干渉型対物レンズ3Bが配置された場合に定まる画素とが対応しない可能性がある。
【0119】
本例においては、
図8の測定方式の判定処理が行われる前に、第1回の測定における画素と第2回の測定における画素との対応付け処理が行われる。
図12は、画素の対応付け処理を示すフローチャートである。
図13は、画素の対応付け処理において用いられるチャートの一例を示す平面図である。
【0120】
使用者は、
図1の測定部100のステージ60に
図13のチャートCを傾きがないように載置する。チャートCは、画素の対応付け処理において用いられる測定対象物Sである。
図13に示すように、チャートCの表面上には、互いに直交する複数の線分および斜め方向の複数の線分を含む線図が描かれている。
【0121】
次に、使用者は、光学経路中に非干渉型対物レンズ3Aを配置する。この状態で、CPU210は、第1回の測定としてチャートCの第1回測定データを取得する(ステップS41)。本例において、第1回測定データは、チャートCの画像データである。続いて、使用者は、光学経路中に干渉型対物レンズ3Bを配置する。この状態で、CPU210は、第2回の測定としてチャートCの第2回測定データを取得する(ステップS42)。本例において、第2回測定データは、チャートCの画像データである。
【0122】
その後、CPU210は、取得された第1および第2回測定データに基づいて、第1回の測定における画素と第2回の測定における画素との位置ずれ量を算出する(ステップS43)。また、CPU210は、取得された第1および第2回測定データに基づいて、第1回の測定における画素と第2回の測定における画素との倍率ずれ量を算出する(ステップS44)。
【0123】
最後に、CPU210は、算出された位置ずれ量および倍率ずれ量に基づいて、第1回の測定における画素と第2回の測定における画素とを対応付ける(ステップS45)。これにより、第1回の測定において非干渉型対物レンズ3Aを用いて共焦点方式による高さ形状測定を行い、第2回の測定において干渉型対物レンズ3Bを用いて干渉方式による高さ形状測定を行うことが可能となる。
【0124】
第1回の測定においては、測定対象物Sが、例えば非干渉型対物レンズ3Aの焦点位置よりも十分下方に配置される。この状態で、各単位領域内でレーザ光がX方向およびY方向に走査される。各単位領域内の走査が終了した後、非干渉型対物レンズ3Aが0.5Γ(Γは
図3の曲線の半値全幅)だけ下方に移動される。これにより、測定対象物Sが非干渉型対物レンズ3Aの焦点位置に近づくように上方に相対的に移動する。この状態で、各単位領域内でレーザ光がX方向およびY方向に走査される。各単位領域内の走査が終了した後、非干渉型対物レンズ3Aが0.5Γだけさらに下方に移動される。これにより、測定対象物Sが非干渉型対物レンズ3Aの焦点位置に近づくように上方に相対的にさらに移動する。この状態で、各単位領域内でレーザ光がX方向およびY方向に走査される。
【0125】
測定対象物Sが非干渉型対物レンズ3Aの焦点位置よりも十分上方に移動するまで同様の動作が繰り返される。これにより、測定対象物Sの表面全体の各画素について、測定対象物SのZ方向の位置および受光強度が得られる。得られた測定対象物SのZ方向の位置および受光強度は、
図1の作業用メモリ230に記憶される。測定対象物SのZ方向の位置はピーク位置を含み、受光強度はピーク強度を含む。
【0126】
作業用メモリ230に記憶されたピーク位置に基づいて共焦点高さデータが生成される。生成された共焦点高さデータは、作業用メモリ230に記憶される。なお、上記の測定において非干渉型対物レンズ3AはZ方向に0.5Γの間隔で移動されるが、これに限定されない。非干渉型対物レンズ3AはZ方向に例えば0.5Γよりも小さい間隔で移動されてもよい。
【0127】
第2回の測定においては、測定対象物Sが、任意の初期位置に配置される。この状態で、各単位領域内でレーザ光がX方向およびY方向に走査される。各単位領域内の走査が終了した後、干渉型対物レンズ3Bがλ/8だけ下方に移動される。この状態で、各単位領域内でレーザ光がX方向およびY方向に走査される。各単位領域内の走査が終了した後、干渉型対物レンズ3Bがλ/8だけさらに下方に移動される。
【0128】
同様の動作が4回繰り返される。これにより、測定対象物Sの表面全体の各画素について、測定対象物SのZ方向の位置および受光強度が得られる。得られた測定対象物SのZ方向の位置および受光強度は、
図1の作業用メモリ230に記憶される。受光強度は
図6の第1〜第4の強度I1〜I4を含む。
【0129】
作業用メモリ230に記憶された第1〜第4の強度I1〜I4に基づいて干渉高さデータが生成される。生成された干渉高さデータは、作業用メモリ230に記憶される。なお、上記の測定において干渉型対物レンズ3BはZ方向にλ/8の間隔で4回移動されるが、これに限定されない。干渉型対物レンズ3BはZ方向に例えばλ/8よりも小さい間隔で、5回以上移動されてもよい。
【0130】
(10)効果
本実施の形態に係る形状測定装置500においては、形状データの生成の際に、各画素について傾斜角度θが傾斜角度しきい値以下でかつ基準強度が受光強度しきい値以上である場合には、干渉高さデータが用いられる。一方、形状データの生成の際に、各画素について傾斜角度θが傾斜角度しきい値を超える場合または基準強度が受光強度しきい値未満には、共焦点高さデータが用いられる。
【0131】
これにより、各画素について予め設定された精度を有する場合には干渉高さデータが用いられ、予め設定された精度を有しない場合には共焦点高さデータが用いられる。その結果、測定対象物Sが大きい傾斜角度の領域を含む場合、または測定対象物Sが低い反射率の領域を含む場合でも、測定対象物Sの表面の形状を高い精度で測定することができる。
【0132】
また、本実施の形態に係る形状測定装置500においては、測定部100が一のレーザ光源10、一の受光素子30および一の干渉型対物レンズ3Bにより構成される。これにより、形状測定装置500を小型化することができる。また、形状測定装置500の製造コストを低減することができる。
【0133】
さらに、本実施の形態の変形例に係る形状測定装置500においては、位相シフト干渉方式により干渉高さデータを高い精度で算出することができる。また、非干渉型対物レンズ3Aを用いることにより、受光素子30により得られる受光強度分布におけるピークの位置を正確に検出することが可能となる。それにより、共焦点高さデータを高い精度で算出することができる。
【0134】
[2]第2の実施の形態
第2の実施の形態に係る形状測定装置について、第1の実施の形態に係る形状測定装置500と異なる点を説明する。
【0135】
(1)形状測定装置の基本構成
図14は、第2の実施の形態に係る形状測定装置の構成を示すブロック図である。
図14に示すように、本実施の形態に係る形状測定装置500の測定部100は、単色光源40およびCCD(電荷結合素子)カメラ50をさらに含む。また、測定部100において、
図1のミラー5Aがハーフミラー5Bに置き換えられる。
【0136】
単色光源40は、例えば半導体レーザである。単色光源40により発生された単色光は、ハーフミラー6により反射された後、対物レンズ3によりステージ60上の測定対象物Sに集光される。この場合、測定対象物Sの全体に単色光が照射されるようにビーム径が設定される。
【0137】
測定対象物Sの表面に照射されるレーザ光および単色光ならびに測定対象物Sにより反射されたレーザ光および単色光の光学経路に非干渉型対物レンズ3Aおよび干渉型対物レンズ3Bが選択的に配置される。
【0138】
なお、単色光源40は、半導体レーザに代えて水銀ランプ等の他の光源と帯域通過フィルタとにより構成されてもよい。この場合、水銀ランプ等の光源とハーフミラー6との間に帯域通過フィルタが配置される。水銀ランプ等の光源から出射された光は、帯域通過フィルタを通過することにより単色光となり、ハーフミラー6に入射する。また、ハーフミラー5B,6に代えて偏光ビームスプリッタが用いられてもよい。
【0139】
測定対象物Sにより反射された単色光は、対物レンズ3、ハーフミラー6およびハーフミラー5Bを透過してCCDカメラ50に入射する。CCDカメラ50に代えてCMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサ等の撮像素子が用いられてもよい。CCDカメラ50は、2次元に配置された複数の画素(受光部)を有する。そのため、CCDカメラ50により測定対象物Sの表面で反射された単色光の受光量分布が得られる。
【0140】
CCDカメラ50は、各画素(受光部)の受光量に対応する電気信号を順次出力する。CCDカメラ50の出力信号は、制御部300のA/D変換器により一定のサンプリング周期でサンプリングされるとともにデジタル信号に変換される。A/D変換器から出力されるデジタル信号は、カメラ画素データとして順次PC200に転送される。
【0141】
制御部300は、カメラ画素データをPC200に与えるとともに、PC200からの指令に基づいてCCDカメラ50を制御する。記憶装置240には、制御部300から与えられるカメラ画素データが保存される。CPU210は、制御部300から与えられるカメラ画素データに基づいてカメラ画像データを生成する。CPU210は、生成したカメラ画像データに作業用メモリ230を用いて各種処理を行うとともに、カメラ画像データに基づくカメラ画像を表示部400に表示させる。カメラ画像データの画素数(カメラ画素データの数)は、CCDカメラ50の画素数により定まる。
【0142】
(2)干渉方式の高さ形状測定
以下、
図4および
図14を用いて、本実施の形態における干渉方式の高さ形状測定について説明する。なお、本実施の形態における共焦点方式の高さ形状測定は、第1の実施の形態における共焦点方式の高さ形状測定と同様である。
【0143】
対物レンズ3として干渉型対物レンズ3Bが光学経路中に配置されている場合、単色光源40から出射された単色光は、レンズ31を通過した後、ビームスプリッタ32により2つの単色光に分離される。一方の単色光は、参照ミラー33により反射され、ビームスプリッタ32およびレンズ31を通過した後、
図14のハーフミラー6,5Bを通過してCCDカメラ50に入射する。他方の単色光は、測定対象物Sにより反射され、ビームスプリッタ32およびレンズ31を通過した後、ハーフミラー6,5Bを通過してCCDカメラ50に入射する。
【0144】
図15は、CCDカメラ50により得られる1つの画素についての単色光の受光強度分布を示す図である。本実施の形態における光路差は、一方の単色光がCCDカメラ50に入射するまでの光路長と他方の単色光の光路長がCCDカメラ50に入射するまでの光路長との差である。
【0145】
光路差が1/2×(2n)×λである場合、CCDカメラ50に入射する2つの単色光は強め合う。一方、光路差が1/2×(2n+1)×λである場合、CCDカメラ50に入射する2つの単色光は弱め合う。これにより、
図15に示すように、測定対象物SのZ方向の位置に対するCCDカメラ50の受光強度は正弦波状に変化する。
【0146】
本実施の形態における干渉方式の高さ形状測定は、受光素子30ではなくCCDカメラ50により受光強度が得られる点を除いて、第1の実施の形態における干渉方式の高さ形状測定と同様である。PC200は、制御部300から与えられる複数のカメラ画素データに基づいて複数のカメラ画像データを生成し、複数のカメラ画像データに基づいて各画素についての干渉高さデータを生成する。
【0147】
(3)高さデータの生成
本実施の形態においては、共焦点高さデータおよび干渉高さデータを生成するために、第1の実施の形態の変形例と同様の第1回および第2回の測定が行われる。ここで、第1回の測定において用いられる非干渉型対物レンズ3Aと第2回の測定において用いられる干渉型対物レンズ3Bとには、光軸のずれまたは倍率の誤差があり得る。また、受光素子30の出力信号に基づいて生成される画像データの画素およびCCDカメラ50の出力信号に基づいて生成されるカメラ画像データの画素は異なる。したがって、第1回の測定における画素と第2回の測定における画素とが対応しない可能性がある。
【0148】
そのため、第1回および第2回の測定が行われる前に、
図12の画素の対応付け処理が行われる。本実施の形態においては、ステップS41の第1回測定データは、
図13のチャートCの画像データである。一方、ステップS42の第2回測定データは、チャートCのカメラ画像データである。
【0149】
画素の対応付け処理が行われた後、対物レンズ3として非干渉型対物レンズ3Aが光学経路中に配置される。この状態で、第1回の測定として、共焦点方式の高さ測定が行われる。
【0150】
第1回の測定においては、測定対象物Sが、例えば非干渉型対物レンズ3Aの焦点位置よりも十分下方に配置される。この状態で、各単位領域内でレーザ光がX方向およびY方向に走査される。各単位領域内の走査が終了した後、非干渉型対物レンズ3Aが0.5Γ(Γは
図3の曲線の半値全幅)だけ下方に移動される。これにより、測定対象物Sが非干渉型対物レンズ3Aの焦点位置に近づくように上方に相対的に移動する。この状態で、各単位領域内でレーザ光がX方向およびY方向に走査される。各単位領域内の走査が終了した後、非干渉型対物レンズ3Aが0.5Γだけさらに下方に移動される。これにより、測定対象物Sが非干渉型対物レンズ3Aの焦点位置に近づくように上方に相対的にさらに移動する。この状態で、各単位領域内でレーザ光がX方向およびY方向に走査される。
【0151】
測定対象物Sが非干渉型対物レンズ3Aの焦点位置よりも十分上方に移動するまで同様の動作が繰り返される。これにより、測定対象物Sの表面全体の各画素について、測定対象物SのZ方向の位置および受光強度が得られる。得られた測定対象物SのZ方向の位置および受光強度は、
図1の作業用メモリ230に記憶される。測定対象物SのZ方向の位置はピーク位置を含み、受光強度はピーク強度を含む。
【0152】
作業用メモリ230に記憶されたピーク位置に基づいて共焦点高さデータが生成される。生成された共焦点高さデータは、作業用メモリ230に記憶される。なお、第1回の測定において非干渉型対物レンズ3AはZ方向に0.5Γの間隔で移動されるが、これに限定されず、非干渉型対物レンズ3AはZ方向に例えば0.5Γよりも小さい間隔で移動されてもよい。
【0153】
第1回の測定の後、対物レンズ3として干渉型対物レンズ3Bが光学経路中に配置される。この状態で、第2回の測定として、干渉方式の高さ測定が行われる。第2回の測定においては、測定対象物Sが、第1回の測定において得られたピーク位置付近に配置される。この状態で、単色光が測定対象物Sに照射される。その後、干渉型対物レンズ3Bがλ/8だけ下方に移動される。この状態で、単色光が測定対象物Sに照射される。
【0154】
同様の動作が4回繰り返される。これにより、測定対象物Sの表面全体の各画素について、測定対象物SのZ方向の位置および受光強度が得られる。得られた測定対象物SのZ方向の位置および受光強度は、
図1の作業用メモリ230に記憶される。受光強度は
図15の第1〜第4の強度I1〜I4を含む。
【0155】
作業用メモリ230に記憶された第1〜第4の強度I1〜I4に基づいて干渉高さデータが生成される。生成された干渉高さデータは、作業用メモリ230に記憶される。
【0156】
ここで、干渉高さデータの生成は、第1回の測定において生成された共焦点高さデータと第2回の測定において算出された高さh=φλ/(4π)とが加算されることにより行われる。また、一の画素とその画素に隣接する画素の高さが連続的に変化しているという仮定に基づいて、干渉高さデータに公知のアンラッピング処理が行われてもよい。これにより、測定対象物Sの表面に大きな傾斜角度の領域が存在しない場合および低い反射率の領域が存在しない場合のように測定対象物Sの表面に特定の状態の領域が存在しない場合においては、共焦点高さデータよりも高い精度を有する干渉高さデータが生成される。
【0157】
なお、上記の測定において干渉型対物レンズ3BはZ方向にλ/8の間隔で4回移動されるが、これに限定されない。干渉型対物レンズ3BはZ方向に例えばλ/8よりも小さい間隔で、5回以上移動されてもよい。
【0158】
また、本実施の形態において、
図14の単色光源40により出射される単色光は、
図1のレーザ光源10により出射されるレーザ光と異なり、測定対象物Sの全体に照射される。したがって、単色光はX方向およびY方向に走査されない。
【0159】
(4)測定方式の判定処理および高さ形状測定処理
本実施の形態における測定方式の判定処理は、以下の点を除いて、第1の実施の形態における測定方式の判定処理(
図8および
図9参照)と同様である。
【0160】
共焦点方式の高さ形状測定に基づいて各画素の傾斜角度θが算出される。各画素についての傾斜角度θと予め設定された傾斜角度しきい値とが比較される。傾斜角度θが傾斜角度しきい値以下である画素については、干渉高さデータに基づいて測定対象物Sの表面の高さを測定することが可能であると判定される。一方、傾斜角度θが傾斜角度しきい値を超えるである画素については、干渉高さデータに基づいて測定対象物Sの表面の高さを測定することが不可能であると判定される。
【0161】
また、各画素についての基準強度と予め設定された受光強度しきい値とが比較される。基準強度が受光強度しきい値以上である画素については、干渉高さデータに基づいて測定対象物Sの表面の高さを測定することが可能であると判定される。一方、基準強度が受光強度しきい値未満である画素については、干渉高さデータに基づいて測定対象物Sの表面の高さを測定することが不可能であると判定される。
【0162】
本実施の形態において、各画素の基準強度は、CCDカメラ50により得られる。
図8のステップS7で、CPU210は、CCDカメラ50による基準強度が受光強度しきい値以上であるか否かを判定する。
【0163】
受光強度しきい値は、CCDカメラ50の受光強度が飽和するときの受光強度(飽和強度)の値の例えば1%に設定される。受光強度しきい値は、測定対象物Sが
図1のステージ60に載置されないときのCCDカメラ50の受光強度(迷光強度)の値と飽和強度の値との差の例えば1%を迷光強度の値に加算することにより得られる値に設定されてもよい。
【0164】
CCDカメラ50の受光強度と受光素子30の受光強度とは、相関関係を有する。したがって、CCDカメラ50の受光強度の値を受光素子30の受光強度の値に換算することが可能である。この場合、本実施の形態のステップS7において、CPU210は、CCDカメラ50の基準強度を受光素子30の受光強度に換算した値が受光強度しきい値以上であるか否かを判定してもよい。
【0165】
また、本実施の形態のように、干渉方式の受光強度分布を得るための受光素子として感度が小さいCCDカメラ50を用いる場合には、微小な光を検出することができない。そのため、測定対象物Sの表面に低い反射率の領域が存在する場合には、干渉方式の受光強度分布に基づいて算出される干渉高さデータの精度は低くなり、または干渉高さデータの算出が困難となる。したがって、反射率に基づく測定方式の判定(ステップS5〜S8の処理)は省略されない。
【0166】
本実施の形態における高さ形状測定処理は、第1の実施の形態における高さ形状測定処理(
図10および
図11参照)と同様である。
【0167】
(5)第2の実施の形態の変形例
本実施の形態においては、第1回および第2回の測定で共焦点高さデータおよび干渉高さデータが生成されるが、これに限定されない。1回の測定で共焦点高さデータおよび干渉高さデータが生成されてもよい。この場合、対物レンズ3として干渉型対物レンズ3Bが光学経路中に配置される。
【0168】
ここで、共通の干渉型対物レンズ3Bを用いて共焦点高さデータおよび干渉高さデータが生成される場合であっても、受光素子30の出力信号に基づいて生成される画像データの画素およびCCDカメラ50の出力信号に基づいて生成されるカメラ画像データの画素は異なる。したがって、画像データの画素とカメラ画像データの画素とが対応しない。
【0169】
そのため、測定が行われる前に、
図12の画素の対応付け処理が行われる。本例においては、ステップS41の第1回測定データは、
図13のチャートCの画像データである。一方、ステップS42の第2回測定データは、チャートCのカメラ画像データである。
【0170】
測定においては、測定対象物Sが、例えば干渉型対物レンズ3Bの焦点位置よりも十分下方に配置される。この状態で、各単位領域内でレーザ光がX方向およびY方向に走査されるとともに、単色光が測定対象物Sに照射される。全ての単位領域内の走査および測定対象物Sへの単色光の照射が終了した後、干渉型対物レンズ3Bがλ/8だけ下方に移動される。これにより、測定対象物Sが干渉型対物レンズ3Bの焦点位置に近づくように上方に相対的に移動する。この状態で、各単位領域内でレーザ光がX方向およびY方向に走査されるとともに、単色光が測定対象物Sに照射される。
【0171】
測定対象物Sが干渉型対物レンズ3Bの焦点位置よりも十分上方に移動するまで同様の動作が繰り返される。これにより、測定対象物Sの表面全体の各画素について、測定対象物SのZ方向の位置および受光強度が得られる。得られた測定対象物SのZ方向の位置および受光強度は、
図1の作業用メモリ230に記憶される。測定対象物SのZ方向の位置はピーク位置を含み、受光強度はピーク強度および
図15の第1〜第4の強度I1〜I4を含む。
【0172】
作業用メモリ230に記憶されたピーク位置に基づいて共焦点高さデータが生成される。また、作業用メモリ230に記憶された第1〜第4の強度I1〜I4に基づいて干渉高さデータが生成される。生成された共焦点高さデータおよび干渉高さデータは、作業用メモリ230に記憶される。なお、上記の測定において干渉型対物レンズ3BはZ方向にλ/8の間隔で移動されるが、これに限定されない。干渉型対物レンズ3BはZ方向に例えばλ/8よりも小さい間隔で移動されてもよい。
【0173】
(6)効果
本実施に係る形状測定装置500においては、傾斜角度θが傾斜角度しきい値以下でかつ基準強度が受光強度しきい値以上の画素については、位相シフト干渉方式により干渉高さデータを共焦点高さデータよりも高い精度で算出することができる。また、非干渉型対物レンズ3Aを用いることにより、受光素子30により得られる受光強度分布におけるピークの位置を正確に検出することが可能となる。それにより、共焦点高さデータを高い精度で算出することができる。
【0174】
その結果、傾斜角度θが傾斜角度しきい値以下でかつ基準強度が受光強度しきい値以上の画素については、干渉高さデータに基づいて測定対象物Sの表面の形状を高い精度で測定することができる。また、傾斜角度θが傾斜角度しきい値を超えるかまたは基準強度が受光強度しきい値未満の画素については、形状データを欠落させることなく、共焦点高さデータに基づいて測定対象物Sの表面の形状を測定することができる。
【0175】
また、単色光源40により出射される単色光は、レーザ光源10により出射されるレーザ光と異なり、測定対象物Sの全体に照射される。したがって、単色光をX方向およびY方向に走査する必要がない。これにより、干渉方式の受光強度分布を容易かつ迅速に得ることができる。
【0176】
[3]第3の実施の形態
第3の実施の形態に係る形状測定装置について、第2の実施の形態に係る形状測定装置500と異なる点を説明する。
【0177】
(1)形状測定装置の基本構成
図16は、第3の実施の形態に係る形状測定装置の構成を示すブロック図である。
図16に示すように、本実施の形態に係る形状測定装置500の測定部100は、
図14の単色光源40に代えて白色光源70を含む。白色光源70は、例えばタングステンランプまたは高輝度LED(発光ダイオード)である。
【0178】
測定対象物Sの表面に照射されるレーザ光および白色光ならびに測定対象物Sにより反射されたレーザ光および白色光の光学経路に非干渉型対物レンズ3Aおよび干渉型対物レンズ3Bが選択的に配置される。
【0179】
(2)干渉方式の高さ形状測定
以下、
図4および
図16を用いて、本実施の形態における干渉方式の高さ形状測定について説明する。なお、本実施の形態における共焦点方式の高さ形状測定は、第1および第2の実施の形態における共焦点方式の高さ形状測定と同様である。
【0180】
対物レンズ3として干渉型対物レンズ3Bが光学経路中に配置されている場合、白色光源70から出射された白色光は、レンズ31を通過した後、ビームスプリッタ32により2つの白色光に分離される。一方の白色光は、参照ミラー33により反射され、ビームスプリッタ32およびレンズ31を通過した後、CCDカメラ50に入射する。他方の白色光は、測定対象物Sにより反射され、ビームスプリッタ32およびレンズ31を通過した後、CCDカメラ50に入射する。なお、本実施の形態における光路差は、一方の白色光がCCDカメラ50に入射するまでの光路長と他方の白色光の光路長がCCDカメラ50に入射するまでの光路長との差である。
【0181】
本実施の形態においては、以下の白色干渉方式により測定対象物Sの表面の高さ形状を測定する。白色光は、波長λ1の赤色光、波長λ2の緑色光および波長λ3の青色光を含む。
図17(a),(b),(c)は、測定対象物SのZ方向の位置とCCDカメラ50に入射する赤色光、緑色光および青色光の強度との関係を示す図である。
【0182】
光路差が1/2×(2n)×λ1である場合、CCDカメラ50に入射する2つの赤色光は強め合う。一方、光路差が1/2×(2n+1)×λ1である場合、CCDカメラ50に入射する2つの赤色光は弱め合う。これにより、
図17(a)に示すように、測定対象物SのZ方向の位置に対するCCDカメラ50に入射する赤色光の強度は正弦波状に変化する。
【0183】
光路差が1/2×(2n)×λ2である場合、CCDカメラ50に入射する2つの緑色光は強め合う。一方、光路差が1/2×(2n+1)×λ2である場合、CCDカメラ50に入射する2つの緑色光は弱め合う。これにより、
図17(b)に示すように、測定対象物SのZ方向の位置に対するCCDカメラ50に入射する緑色光の強度は正弦波状に変化する。
【0184】
光路差が1/2×(2n)×λ3である場合、CCDカメラ50に入射する2つの青色光は強め合う。一方、光路差が1/2×(2n+1)×λ3である場合、CCDカメラ50に入射する2つの青色光は弱め合う。これにより、
図17(c)に示すように、測定対象物SのZ方向の位置に対するCCDカメラ50に入射する青色光の強度は正弦波状に変化する。
【0185】
図18は、CCDカメラ50により得られる1つの画素についての白色光の受光強度の分布を示す図である。CCDカメラ50により得られる
図18の白色光の受光強度は、
図17(a)〜(c)の赤色光、緑色光および青色光の強度の和となる。
【0186】
図17(a)〜(c)に示すように、測定対象物Sの表面の位置が干渉型対物レンズ3Bの焦点位置にあるとき、赤色光、緑色光および青色光の強度が、いずれも最大となる。測定対象物Sの表面の位置が干渉型対物レンズ3Bの焦点位置から外れると、赤色光、緑色光および青色光の強度が最大になるときの測定対象物Sの表面の位置はそれぞれ異なる。
【0187】
したがって、CCDカメラ50により得られる白色光の受光強度分布には、
図18に示すように、受光強度が極大になる測定対象物SのZ方向の位置および受光強度が極小になる測定対象物SのZ方向の位置が存在する。測定対象物Sの表面が干渉型対物レンズ3Bの焦点位置にあるときには、CCDカメラ50により得られる受光強度が最大となる。一方、測定対象物Sが干渉型対物レンズ3Bの焦点位置から外れた位置にあるときには、CCDカメラ50により得られる受光強度は、測定対象物Sが干渉型対物レンズ3Bの焦点位置にあるときの受光強度よりも低下する。
【0188】
このように、測定対象物Sの表面が干渉型対物レンズ3Bの焦点位置にある状態でCCDカメラ50の受光強度分布に複数のピークが現れる。CCDカメラ50の受光強度分布の最大ピークの受光強度を最大受光強度と呼ぶ。また、CCDカメラ50の受光強度分布の最大ピークの位置を最大受光位置と呼ぶ。複数のカメラ画像データから、画素ごとにZ方向における受光強度分布が得られる。それにより、画素ごとに受光強度分布の最大受光位置と最大受光強度とが得られる。
【0189】
測定対象物SのZ方向の位置を変化させたときの受光強度に波長λ1〜λ3により定まる曲線をフィッティングさせることにより、Z方向における最大受光位置が算出される。Z方向における最大受光位置に基づいて、測定対象物Sの表面の高さ形状を測定することができる。白色干渉方式による高さ形状の測定の分解能は、0.1nm〜0.5nm程度となる。
【0190】
本実施の形態においては、各画素についてのZ方向における最大受光位置を表わすデータが干渉高さデータとなる。PC200は、制御部300から与えられる複数の画素データに基づいて複数のカメラ画像データを生成し、複数のカメラ画像データに基づいて各画素についての干渉高さデータを生成する。
【0191】
(3)高さデータの生成
第2の実施の形態と同様に、第1回および第2回の測定が行われる前に、
図12の画素の対応付け処理が行われる。本実施の形態においては、ステップS41の第1回測定データは、
図13のチャートCの画像データである。一方、ステップS42の第2回測定データは、チャートCのカメラ画像データである。
【0192】
画素の対応付け処理が行われた後、第1回の測定が行われる。本実施の形態における第1回の測定は、第2の実施の形態における第1回の測定と同様である。これにより、測定対象物Sの共焦点高さデータが生成される。第1回の測定の後、対物レンズ3として干渉型対物レンズ3Bが光学経路中に配置される。この状態で、第2回の測定として、干渉方式の高さ測定が行われる。
【0193】
第2回の測定においては、測定対象物Sが、例えば干渉型対物レンズ3Bの焦点位置よりも十分下方に配置される。この状態で、白色光が測定対象物Sに照射される。その後、干渉型対物レンズ3Bが例えばλ2/8(λ2は白色光に含まれる緑色光の波長)だけ下方に移動される。この状態で、白色光が測定対象物Sに照射される。その後、干渉型対物レンズ3Bが例えばλ2/8だけさらに下方に移動される。この状態で、白色光が測定対象物Sに照射される。
【0194】
測定対象物Sが干渉型対物レンズ3Bの焦点位置よりも十分上方に移動するまで同様の動作が繰り返される。これにより、測定対象物Sの表面全体の各画素について、測定対象物SのZ方向の位置および受光強度が得られる。得られた測定対象物SのZ方向の位置および受光強度は、
図1の作業用メモリ230に記憶される。測定対象物SのZ方向の位置は最大受光位置を含み、受光強度は最大受光強度を含む。作業用メモリ230に記憶された最大受光位置および最大受光強度に基づいて干渉高さデータが生成される。生成された干渉高さデータは、作業用メモリ230に記憶される。
【0195】
なお、上記の測定において干渉型対物レンズ3BはZ方向にλ2/8の間隔で移動されるが、これに限定されない。干渉型対物レンズ3Bは、Z方向にλ2/8よりも大きい間隔で移動されてもよい。この場合、測定対象物Sの表面全体の各画素について、測定対象物SのZ方向の位置および受光強度を短時間で得ることができる。一方、干渉型対物レンズ3Bは、Z方向にλ2/8よりも小さい間隔で移動されてもよい。この場合、測定対象物Sの表面全体の各画素について、測定対象物SのZ方向の位置および受光強度を正確に得ることができる。
【0196】
また、本実施の形態において、
図16の白色光源70により出射される白色光は、
図14の単色光源40により出射される単色光と同様に、測定対象物Sの全体に照射される。したがって、白色光はX方向およびY方向に走査されない。
【0197】
本実施の形態における測定方式の判定処理は、第2の実施の形態における測定方式の判定処理と同様である。また、本実施の形態における高さ形状測定処理は、第2の実施の形態における高さ形状測定処理と同様である。
【0198】
(4)第3の実施の形態の変形例
本実施の形態においては、第1回および第2回の測定で共焦点高さデータおよび干渉高さデータが生成されるが、これに限定されない。1回の測定で共焦点高さデータおよび干渉高さデータが生成されてもよい。この場合、対物レンズ3として干渉型対物レンズ3Bが光学経路中に配置される。
【0199】
測定が行われる前に、
図12の画素の対応付け処理が行われる。本例においては、ステップS41の第1回測定データは、
図13のチャートCの画像データである。一方、ステップS42の第2回測定データは、チャートCのカメラ画像データである。
【0200】
測定においては、測定対象物Sが、例えば干渉型対物レンズ3Bの焦点位置よりも十分下方に配置される。この状態で、各単位領域内でレーザ光がX方向およびY方向に走査されるとともに、白色光が測定対象物Sに照射される。全ての単位領域内の走査および測定対象物Sへの白色光の照射が終了した後、干渉型対物レンズ3Bがλ2/8だけ下方に移動される。これにより、測定対象物Sが干渉型対物レンズ3Bの焦点位置に近づくように上方に相対的に移動する。この状態で、各単位領域内でレーザ光がX方向およびY方向に走査されるとともに、白色光が測定対象物Sに照射される。
【0201】
測定対象物Sが干渉型対物レンズ3Bの焦点位置よりも十分上方に移動するまで同様の動作が繰り返される。これにより、測定対象物Sの表面全体の各画素について、測定対象物SのZ方向の位置および受光強度が得られる。得られた測定対象物SのZ方向の位置および受光強度は、
図1の作業用メモリ230に記憶される。測定対象物SのZ方向の位置はピーク位置および最大受光位置を含み、受光強度はピーク強度および最大受光強度を含む。
【0202】
作業用メモリ230に記憶されたピーク位置に基づいて共焦点高さデータが生成される。また、作業用メモリ230に記憶された最大受光位置および最大受光強度に基づいて干渉高さデータが生成される。生成された共焦点高さデータおよび干渉高さデータは、作業用メモリ230に記憶される。なお、上記の測定において干渉型対物レンズ3BはZ方向にλ2/8の間隔で移動されるが、これに限定されない。干渉型対物レンズ3BはZ方向に例えばλ2/8よりも大きい間隔で移動されてもよいし、干渉型対物レンズ3BはZ方向に例えばλ2/8よりも小さい間隔で移動されてもよい。
【0203】
(5)効果
本実施に係る形状測定装置500においては、傾斜角度θが傾斜角度しきい値以下でかつ基準強度が受光強度しきい値以上の画素については、白色干渉方式により干渉高さデータを共焦点高さデータよりも高い精度で算出することができる。また、非干渉型対物レンズ3Aを用いることにより、受光素子30により得られる受光強度分布におけるピークの位置を正確に検出することが可能となる。それにより、共焦点高さデータを高い精度で算出することができる。
【0204】
その結果、傾斜角度θが傾斜角度しきい値以下でかつ基準強度が受光強度しきい値以上の画素については、干渉高さデータに基づいて測定対象物Sの表面の形状を高い精度で測定することができる。また、傾斜角度θが傾斜角度しきい値を超えるかまたは基準強度が受光強度しきい値未満の画素については、形状データを欠落させることなく、共焦点高さデータに基づいて測定対象物Sの表面の形状を測定することができる。
【0205】
また、白色光源70により出射される白色光は、レーザ光源10により出射されるレーザ光と異なり、測定対象物Sの全体に照射される。したがって、白色光をX方向およびY方向に走査する必要がない。これにより、干渉方式の受光強度分布を容易かつ迅速に得ることができる。
【0206】
[4]他の実施の形態
(1)上記実施の形態において、干渉方式の高さ形状測定により測定可能な画素については、干渉高さデータに基づいて測定対象物Sの表面の高さが測定されるが、これに限定されない。干渉方式の高さ形状測定により測定可能な画素については、干渉高さデータおよび共焦点高さデータに基づいて測定対象物Sの表面の高さが測定されてもよい。この場合において、干渉高さデータの割合が例えば50%に設定され、共焦点高さデータの割合が例えば50%にされてもよい。あるいは、干渉高さデータの割合および共焦点高さデータの割合が使用者により任意に設定されてもよい。
【0207】
(2)第1の実施の形態の変形例ならびに第2および第3の実施の形態において、第1回の測定で共焦点高さデータが生成され、第2回の測定で干渉高さデータが生成されるが、これに限定されない。第1回の測定で干渉高さデータが生成され、第2回の測定で共焦点高さデータが生成されてもよい。
【0208】
(3)第1の実施の形態の変形例ならびに第2および第3の実施の形態において、第1回の測定で非干渉型対物レンズ3Aを用いて共焦点高さデータが生成されるが、これに限定されない。第1回の測定で干渉型対物レンズ3Bを用いて共焦点高さデータが生成されてもよい。この場合、光学経路中に一の干渉型対物レンズ3Bが配置されるので、第1の測定と第2の測定との間で、対物レンズ3を交換する必要がない。これにより、干渉方式の受光強度分布および共焦点方式の受光強度分布を効率よくかつ迅速に得ることができる。
【0209】
また、第1の実施の形態の変形例においては、第1回および第2回の測定で共通の干渉型対物レンズ3Bおよび共通の受光素子30が用いられるため、第1回の測定における画素と第2回の測定における画素とが対応する。したがって、画素の対応付け処理が行われなくてもよい。
【0210】
(4)上記実施の形態において、X−Yスキャン光学系20が制御されることによりレーザ光が測定対象物S上でX方向およびY方向に走査されるが、これに限定されない。ステージ60が移動されることによりレーザ光が測定対象物S上でX方向およびY方向に走査されてもよい。
【0211】
(5)上記実施の形態において、対物レンズ3がZ方向に移動されることにより対物レンズ3に対する測定対象物Sの相対的なZ方向の位置が変化されるが、これに限定されない。ステージ60がZ方向に移動されることにより対物レンズ3に対する測定対象物Sの相対的なZ方向の位置が変化されてもよい。
【0212】
(6)上記実施の形態において、PC200のCPU210が制御部300の機能を有していてもよい。この場合、制御部300は設けられなくてもよい。
【0213】
(7)上記実施の形態において、レーザ光としてライン光(例えばX方向に延びる細長い光)が用いられてもよい。この場合、X−Yスキャン光学系20に代えてX方向への走査を行わないYスキャン光学系が用いられる。また、受光素子30に代えて、X方向に対応する方に配列された複数の受光素子からなるラインCCDカメラ等が用いられる。
【0214】
なお、ラインCCDカメラの各受光素子のY方向に対応する方向の受光面のサイズは一般的に数10μmである。この場合、ラインCCDカメラの受光面がレンズ2の焦点位置に配置される。観察対象物Sの表面が対物レンズ3の焦点位置にあるときに、観察対象物Sにより反射されたライン光がラインCCDカメラの受光面に集光される。それにより、観察対象物Sにより反射されたライン光の大部分がラインCCDカメラの受光面に入射する。
【0215】
一方、観察対象物Sが対物レンズ3の焦点位置が外れた位置にあるときには、観察対象物Sにより反射されたライン光はラインCCDカメラの受光面の前または後の位置に集光される。それにより、観察対象物Sにより反射されたライン光の一部のみがラインCCDカメラの受光面に入射する。したがって、ラインCCDカメラの前にピンホール部材7を配置することが不要となる。
【0216】
あるいは、レーザ光源10およびX−Yスキャン光学系20が設けられることに代えて、X方向およびY方向に走査される点光源が設けられてもよい。
【0217】
あるいは、面光源と複数のピンホールが形成された円板状の回転部材とが設けられてもよい。この場合において、面光源から出力された面状の光は、回転部材のピンホールを通過することにより線状の光となる。ここで、複数のピンホールは、回転部材が1回転する間に、通過した光が測定対象物Sの単位領域内の全ての画素に照射されるように回転部材に形成される。
【0218】
[5]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0219】
測定対象物Sが測定対象物の例であり、形状測定装置500が形状測定装置の例であり、測定部100が受光強度分布取得部の例であり、干渉高さデータが第1のデータの例であり、共焦点高さデータが第2のデータの例であり、CPU210が算出部および処理部の例である。傾斜角度しきい値が第1のしきい値の例であり、受光強度しきい値が第2のしきい値の例であり、レーザ光源10が光源または第2の光源の例であり、受光素子30が受光素子または第2の受光素子の例である。干渉型対物レンズ3Bが干渉型対物レンズの例であり、非干渉型対物レンズ3Aが非干渉型対物レンズの例であり、単色光源40または白色光源70が第1の光源の例であり、CCDカメラ50が第1の受光素子の例である。
【0220】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。