特許第6025415号(P6025415)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6025415支持部材および支持部材を備えるヒンジ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6025415
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】支持部材および支持部材を備えるヒンジ装置
(51)【国際特許分類】
   F16C 11/04 20060101AFI20161107BHJP
【FI】
   F16C11/04 D
   F16C11/04 H
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-141320(P2012-141320)
(22)【出願日】2012年6月22日
(65)【公開番号】特開2014-5863(P2014-5863A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2015年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】熊川 靖
【審査官】 増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−42556(JP,A)
【文献】 実開昭63−199865(JP,U)
【文献】 特開2001−74029(JP,A)
【文献】 特開2008−309176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸の一対の第1軸孔を有する第1部材と、
第2軸孔を有する第2部材と、
一対の前記第1軸孔と前記第2軸孔とに挿入されて前記第1部材と前記第2部材とを相対回転可能に連結するシャフトと、
前記第1軸孔に挿入されて前記シャフトの端部を支持する支持部材と、を備え、
前記支持部材は、
前記第1軸孔から延出するように形成された挿入孔を有し、前記挿入孔の開口から前記シャフトを受け入れた後、前記シャフトの端部を係止する係止部と、
前記第1軸孔の軸方向内側において径方向外向きに張り出す張出部と、を有し、
前記係止部は、径方向内向きに突出して前記シャフトの端部に当接可能な爪部を有する複数の弾性爪体を有し、
複数の前記弾性爪体は、周方向に配置され、前記第1軸孔から軸方向外側に延出し、
前記支持部材は、前記弾性爪体の内面に径方向内向きに突出するように形成される複数のリブを有し、
複数の前記リブは、前記支持部材に前記シャフトを挿入する前の状態において、前記リブの内接円の直径が前記シャフトの直径より小さくなるように形成されることを特徴とするヒンジ装置。
【請求項2】
同軸の一対の第1軸孔を有する第1部材と、
第2軸孔を有する第2部材と、
一対の前記第1軸孔と前記第2軸孔とに挿入されて前記第1部材と前記第2部材とを相対回転可能に連結するシャフトと、
前記第1軸孔に挿入されて前記シャフトの端部を支持する支持部材と、を備え、
前記支持部材は、
前記第1軸孔の軸方向外側から延出するように形成された挿入孔を有し、前記挿入孔の開口から前記シャフトを受け入れた後、前記シャフトの端部を係止する係止部と、
前記第1軸孔の軸方向内側において径方向外向きに張り出す張出部と、
前記張出部を介して前記係止部の反対側に位置して前記張出部から軸方向に延び、前記挿入孔と同軸に形成された円筒部と、を有し、
前記円筒部は、前記第2軸孔に挿入されて前記第2軸孔と前記シャフトの間に介在することを特徴とするヒンジ装置。
【請求項3】
前記張出部は、フランジ状に形成され、前記第1部材と前記第2部材に挟まれることを特徴とする請求項1または2に記載のヒンジ装置。
【請求項4】
前記支持部材は、前記張出部から軸方向に延び、前記挿入孔と同軸に形成された円筒部をさらに有することを特徴とする請求項1または3に記載のヒンジ装置。
【請求項5】
前記支持部材は、前記シャフトを取り付ける際に、前記支持部材の軸方向外側からの前記シャフトの挿入により前記弾性爪体を拡開して前記シャフトを受け入れ、前記シャフトを受け入れると前記弾性爪体を元の状態に戻して前記シャフトの端部を係止することを特徴とする請求項1に記載のヒンジ装置。
【請求項6】
第1部材の第1軸孔および第2部材の第2軸孔に挿入されたシャフトを支持するための支持部材であって、
円筒部と、
前記円筒部の一端から径方向外向きに張り出すフランジ部と、
軸方向に延出して、前記円筒部と同軸に周方向に配置される複数の弾性爪体と、を備え
複数の前記弾性爪体は、周方向に配置され、前記第1軸孔から軸方向外側に延出し、
前記支持部材は、前記弾性爪体の内面に径方向内向きに突出するように形成される複数のリブを有し、
複数の前記リブは、前記支持部材に前記シャフトを挿入する前の状態において、前記リブの内接円の直径が前記シャフトの直径より小さくなるように形成されることを特徴とする支持部材。
【請求項7】
第1部材の第1軸孔および第2部材の第2軸孔に挿入されたシャフトを支持するための支持部材であって、
円筒部と、
前記円筒部の一端から径方向外向きに張り出すフランジ部と、
軸方向に延出して前記第1軸孔に挿入され、前記円筒部と同軸に周方向に配置される複数の弾性爪体と、を備え
前記円筒部は、前記フランジ部を介して前記弾性爪体の反対側に位置して前記フランジ部から軸方向に延び、複数の前記弾性爪体と同軸に形成され、前記第2軸孔に挿入されて前記第2軸孔と前記シャフトの間に介在することを特徴とする支持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャフトを軸孔に取り付ける支持部材を備えるヒンジ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には蓋部材を開閉するためにヒンジ装置が用いられる。特許文献1には、コンソールボックスの蓋を開閉させるヒンジが開示される。このヒンジは、ヒンジベースと、ヒンジベースに支軸を介して回動可能に連結されるヒンジアームとを備える。
【0003】
特許文献1に記載の支軸は、一端に形成されたフランジ状の受座と、他端に形成されたカシメにより形成された留め部とを備える。この受座と留め部により各軸孔に抜け止めされて、支軸が固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−133680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の支軸は、一端にフランジ状の受座を形成するための製造工程が必要であり、他端にカシメをするため組み付け作業の工程が多くなり、製造コストがかかる。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造コストを抑えたヒンジ装置またはシャフトの支持部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のヒンジ装置は、同軸の一対の第1軸孔を有する第1部材と、第2軸孔を有する第2部材と、一対の第1軸孔と第2軸孔とに挿入されて第1部材と第2部材とを相対回転可能に連結するシャフトと、第1軸孔に挿入されてシャフトの端部を支持する支持部材と、を備える。支持部材は、第1軸孔から延出するように形成された挿入孔を有し、挿入孔の開口からシャフトを受け入れた後、シャフトの端部を係止する係止部と、第1軸孔の軸方向内側において径方向外向きに張り出す張出部と、を有する。
【0008】
この態様によると、係止部の挿入孔の開口からシャフトを受け入れることができるため、シャフトの取付作業が容易である。
【0009】
本発明の別の態様は、支持部材は、第1部材の第1軸孔および第2部材の第2軸孔に挿入されたシャフトを支持するものであって、円筒部と、円筒部の一端から径方向外向きに張り出すフランジ部と、軸方向に延出して、円筒部と同軸に周方向に配置される複数の弾性爪体と、を備える。
【0010】
この態様によると、複数の弾性爪体を拡開させながらシャフトを容易に挿入することができ、シャフトを取り付ける際の作業が容易である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係るヒンジ装置の斜視図である。
図2図2(a)は、ヒンジ装置の側面図であり、図2(b)は、図2(a)に示すヒンジ装置の線分A−Aの断面図である。
図3図3(a)は、表側から見た支持部材の斜視図であり、図3(b)は、裏側から見た支持部材の斜視図である。
図4図4(a)は、支持部材の表面図であり、図4(b)は、支持部材の側面図であり、図4(c)は、支持部材の裏面図である。
図5図5(a)は、図4(a)に示す支持部材の線分B−Bの断面図であり、図5(b)は、図4(a)に示す支持部材の線分C−Cの断面図である。
図6】ヒンジ装置の組み付け工程について説明するための図である。
図7】第1変形例のヒンジ装置を説明するための図である。
図8】第2変形例のヒンジ装置の一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、実施形態に係るヒンジ装置10の斜視図である。図2(a)は、ヒンジ装置10の側面図であり、図2(b)は、図2(a)に示すヒンジ装置10の線分A−Aの断面図である。ここで各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。
【0014】
ヒンジ装置10によって第1部材22と第2部材30とが相対回転可能に連結される。ヒンジ装置10は、車両のコンソールボックスの蓋部材を開閉するために用いられる。第1部材22がコンソールボックスの箱部材に固定され、第2部材30が蓋部材に固定される。ヒンジ装置10は、第1部材22、第2部材30、囲繞部材36、シャフト37、複数のバネ部材38、および一対の支持部材50を備える。第1部材22、第2部材30、シャフト37およびバネ部材38は、金属材で形成され、囲繞部材36および支持部材50は、合成樹脂材で形成される。
【0015】
第1部材22は、連結部23、一対のフランジ部24、一対の第1軸孔26、および複数の第1バネ支持部28を有する。連結部23は板状であり、対向する一対のフランジ部24を連結する。フランジ部24のそれぞれには、同軸の一対の第1軸孔26が形成される。第1バネ支持部28は、バネ部材38の一端を支持する。
【0016】
第2部材30は、一対のフランジ部31、一対の第2軸孔32、連結部33、および複数の第2バネ支持部34を備える。連結部33は、対向する一対のフランジ部31を連結する。フランジ部31のそれぞれには、同軸の一対の第2軸孔32が形成される。第2バネ支持部34は、バネ部材38の一端を支持する。
【0017】
2つのバネ部材38のそれぞれは、コイルバネであって、第1部材22と第2部材30が開き方向に相対回転するように一端が第1部材22を付勢し、他端が第2部材30を付勢する。
【0018】
図2(b)に示すようにシャフト37は、一対の第1軸孔26と一対の第2軸孔32とに挿入されて第1部材22と第2部材30とを相対回転可能に連結する。シャフト37は、単純な円柱形状に形成されており、シャフトの加工が容易である。囲繞部材36は、シャフト37の外周を囲繞する。囲繞部材36およびシャフト37はバネ部材38のコイル状の部分に挿入される。囲繞部材36は、合成樹脂製の筒であり、シャフト37を覆うことで、ともに金属材であるシャフト37とバネ部材38の接触を避ける。これによりシャフト37とバネ部材38の接触により金属音が生じることを防ぐことができる。
【0019】
図2(b)に示すように支持部材50は、第1軸孔26および第2軸孔32に挿入されてシャフト37の両端部を支持する。支持部材50の軸方向外向きへの移動は、第1部材22より制限され、支持部材50の軸方向内向きへの移動は、シャフト37および第2部材30により制限されている。なお、軸方向とはシャフト37の中心軸に沿った方向である。この支持部材50について詳細に説明する。
【0020】
図3(a)は、表側から見た支持部材50の斜視図であり、図3(b)は、裏側から見た支持部材50の斜視図である。また、図4(a)は、支持部材50の表面図であり、図4(b)は、支持部材50の側面図であり、図4(c)は、支持部材50の裏面図である。また、図5(a)は、図4(a)に示す支持部材50の線分B−Bの断面図であり、図5(b)は、図4(a)に示す支持部材50の線分C−Cの断面図である。なお、図5(b)には、組み付け状態における第1部材22の第1軸孔26および第2部材3の第2軸孔32の位置も示す。
【0021】
支持部材50は、張出部52、複数の弾性爪体54、円筒部56およびリブ58を有する。張出部52は円盤形のフランジ状に形成される。張出部52の中央には、シャフト37を挿入するための貫通孔60が形成される。図3(b)および図4(c)に示すように張出部52は、円筒部56の一端から径方向外向きに張り出す。
【0022】
図3(a)および図4(a)に示すように複数の弾性爪体54は、周方向に配置され、それぞれが貫通孔60を囲むように円弧状に形成される。複数の弾性爪体54は、先端に径方向内向きに突出してシャフト37の端部に当接可能な爪部54aを有し、シャフト37の端部を係止する係止部として機能する。複数の弾性爪体54および円筒部56は、シャフト37の挿入孔を画成する。
【0023】
図4(b)および図5(a)および(b)に示すように複数の弾性爪体54は、張出部52から軸方向に沿って延出し、径方向に撓み可能である。図4(c)および図5(b)に示すように円筒部56は、貫通孔60と同軸に形成される。円筒部56の内径と、爪部54aおよびリブ58を除く弾性爪体54の内接円の直径は同じである。
【0024】
複数のリブ58は、支持部材50の内周面に径方向内向きに突出するよう形成される。リブ58は、支持部材50の内面にて軸方向に延在し、リブ58の内面が滑らかに形成されており、シャフト37の挿入時にシャフト37の端部が引っかかりづらくなるように形成されている。爪部54aは、リブ58より径方向内向きに突出する。
【0025】
複数のリブ58は、周方向に配置され、複数のリブ58の内接円の直径は、シャフト37を挿入する前の状態においてシャフト37の直径より少し小さくなるように形成されている。すなわち、シャフト37を支持部材50に挿入する場合、シャフト37はリブ58を潰すように圧入される。これにより、支持部材50はシャフト37を強固に支持することができる。また支持部材50の内周面の寸法公差に余裕を持って支持部材50を形成することができ、製造コストを抑えることができる。また、リブ58は、複数の弾性爪体54のうち少なくともいずれかの内面に形成される。
【0026】
図5(b)に示すように張出部52は、第1部材22と第2部材30に挟まれる。第1部材22および第2部材30は金属材で形成され、支持部材50は合成樹脂材で形成される。これにより、張出部52はワッシャとして機能し、第1部材22と第2部材30同士が摩擦することを抑えることができ、摩擦による金属音の発生を抑えることができる。
【0027】
張出部52は、第1軸孔26の軸方向内側において径方向外向きに張り出す。これにより、支持部材50が軸方向外向きに移動することを制限することができる。なお、第1軸孔26の軸方向内側とは、一対の第1軸孔26の間に位置することをいう。
【0028】
円筒部56は、第2軸孔32に挿入されて第2軸孔32とシャフト37の間に介在する。円筒部56は第2軸孔32に嵌められてよい。これにより、第2軸孔32の内周とシャフト37が接触して、金属音が発生することを抑えることができる。また組み付け時に円筒部56により第2部材30を仮留めすることができる。
【0029】
図6は、ヒンジ装置10の組み付け工程について説明するための図である。なお図5(b)も参照する。図6(a)に示すように、第1部材22の第1軸孔26に支持部材50の弾性爪体54が挿入される。これにより支持部材50が第1軸孔26に仮留めされる。
【0030】
次に、支持部材50の円筒部56に、第2部材30の第2軸孔32が嵌められる。すなわち図5(b)に示す第2軸孔32に円筒部56が挿入された状態になる。これにより第2部材30を仮留めできる。次に、図6(c)に示すようにバネ部材38に挿入された囲繞部材36を第1軸孔26および第2軸孔32と同軸に配置した状態で、一方の支持部材50の軸方向外側からシャフト37が挿入される。
【0031】
図5(b)に示すように複数の弾性爪体54は、第1軸孔26から軸方向外側に延出して開口する。組み付け時にシャフト37が矢印70に示す支持部材50の軸方向外側から挿入されると、複数の弾性爪体54が矢印72に示す径方向外向きに拡開する。開口からシャフト37を受け入れた後、弾性爪体54が拡開した状態から元の状態に戻り、シャフト37の端部を爪部54aにより係止する。このように、作業者はシャフト37を支持部材50の軸方向外側から挿入するだけで容易に組み付けることができる。
【0032】
また、組み付けを解除する場合は、一方の支持部材50の弾性爪体54を所定の治具で拡開させた状態で、他方の支持部材50の軸方向外側からシャフト37を押すことで、一方の支持部材50の軸方向外側にシャフト37を押し出すことができる。このように、組み付けの解除も容易にできる。
【0033】
図7は、第1変形例のヒンジ装置110を説明するための図である。図7(a)は、第1変形例のヒンジ装置110の一部の断面図であり、図7(b)は、第1変形例の支持部材150の斜視図である。図7(b)に示すように支持部材150は、張出部152、複数の弾性爪体154、および根元円筒部162を備える。
【0034】
根元円筒部162の一端から円盤形状の張出部152が径方向外向きに張り出し、根元円筒部162の他端から複数の弾性爪体154が軸方向に延出する。根元円筒部162により、支持部材150の剛性が向上する。図7(a)に示すように根元円筒部162は、第1軸孔26とシャフト37の間、および第2軸孔32とシャフト37の間に介在する。
【0035】
図7(a)に示すように、支持部材150の張出部152は、第1軸孔26および第2軸孔32の軸方向内側において、径方向外向きに張り出して第2部材30に係止し、支持部材150の軸方向外向きへの移動を制限している。これによりシャフト37の軸方向外向きへの移動、すなわちシャフト37が抜け出る方向への移動を制限できる。第1部材22および第2部材30の間にはワッシャ112が設けられ、第1部材22と第2部材30の摩擦による摺動音の発生が抑えられている。
【0036】
第1変形例のヒンジ装置110においても、作業者はシャフト37を支持部材150の軸方向外側から挿入するだけで容易に組み付けることができる。シャフト37の挿入時に第1軸孔26から軸方向外側に張り出した複数の弾性爪体154が拡開してシャフト37を受け入れる。このとき、囲繞部材36が支持部材150に当接しているため支持部材150の移動が制限される。シャフト37を受け入れた後、弾性爪体154が拡開した状態から元の状態に戻り、シャフト37の端部を爪部154aにより係止し、組み付けが完了する。
【0037】
図8は、第2変形例のヒンジ装置210の一部の断面図である。第2変形例のヒンジ装置210においては支持部材250の構造が簡素化されている。また第2変形例での第2部材30は、一つの第2軸孔32を有する。第2軸孔32は、円筒形状に形成され、一対の第1軸孔26の間に配置され、シャフト37の外周を覆うように囲んでいる。支持部材250は、円盤状の張出部52および複数の弾性爪体254を有する。張出部252は、第1部材22および第2部材30の間に挟まれてワッシャとして機能する。
【0038】
複数の弾性爪体254は張出部252から軸方向に延出する。複数の弾性爪体254は、軸方向外側からのシャフト37の挿入時に拡開し、シャフト37を受け入れると爪部254aによりシャフト37の端部を係止する。支持部材250の形状を簡素化することで製造コストを抑えることができる。
【0039】
本発明は上述の各実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施例に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施例も本発明の範囲に含まれうる。
【0040】
実施形態ではシャフト37の両端側に支持部材50をそれぞれ設ける態様を示したが、この態様に限られない。例えば、シャフト37の一端のみに支持部材50を設けてよい。この場合、シャフト37の他端側に有底カップ状の保持部材が設けられる。有底カップ状の保持部材は第1軸孔に挿入されて、底部により受け入れたシャフト37の他端を保持する。
【0041】
実施形態では張出部52を円形である態様を示したがこの態様に限られない。例えば、張出部は円弧状に複数形成される。また別の態様では、張出部は平板で矩形状に複数張り出し、支持部材50の抜け止めとして機能する。
【符号の説明】
【0042】
10 ヒンジ装置、 22 第1部材、 23 連結部、 24 フランジ部、 26 第1軸孔、 28 第1バネ支持部、 30 第2部材、 31 フランジ部、 32 第2軸孔、 33 連結部、 34 第2バネ支持部、 36 囲繞部材、 37 シャフト、 38 バネ部材、 40 第1端部、 42 第2端部、 50 支持部材、 52 張出部、 54 弾性爪体、 54a 爪部、 56 円筒部、 58 リブ、 60 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8