(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6025416
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】自動車の暖房、換気、もしくは空気調節用器具などのカム装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/00 20060101AFI20161107BHJP
【FI】
B60H1/00 103D
B60H1/00 103H
B60H1/00 103L
B60H1/00 103P
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-143130(P2012-143130)
(22)【出願日】2012年6月26日
(65)【公開番号】特開2013-10498(P2013-10498A)
(43)【公開日】2013年1月17日
【審査請求日】2015年5月28日
(31)【優先権主張番号】P201131075
(32)【優先日】2011年6月27日
(33)【優先権主張国】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】505196853
【氏名又は名称】ヴァレオ クリマチザチオン ソシエダ アノニマ
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100086726
【弁理士】
【氏名又は名称】森 浩之
(72)【発明者】
【氏名】ウルダリク ロヴィラ コマラト
【審査官】
渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−020519(JP,A)
【文献】
特開平08−021515(JP,A)
【文献】
特開2010−001901(JP,A)
【文献】
特開平11−321282(JP,A)
【文献】
特開昭62−077215(JP,A)
【文献】
仏国特許出願公開第02643315(FR,A1)
【文献】
仏国特許出願公開第02335753(FR,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0195227(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の暖房、換気又は空気調節用器具のカム装置(1)であって、往復回転運動を行いうる回転軸(3)により支持されたカム(2)、及びこのカム(2)の運動により駆動される少なくとも1つの回転レバー(8、8’)を備え、前記カム(2)が、外壁(5)及び内壁(6)の間で規定される周縁カム通路(4)と、この周縁カム通路(4)内で摺動可能で、前記カム(2)の周縁部に設けられたカムフォロワー(9)とを有しているカム装置(1)において、前記周縁カム通路(4)内に組み込まれる前に前記周縁カム通路(4)外に位置している前記カムフォロワー(9)は、前記カム(2)の回転中に、前記周縁カム通路(4)が設けられた周縁領域(7、7’)により押されたときに、屈曲可能な変形要素(8、8’、15)を少なくとも1つ有し、前記回転レバー(8、8’)の自由回転は、固定されたストッパ(13)により停止されるようになっており、さらに、前記周縁カム通路(4)は、前記周縁領域(7、7’)で、前記変形要素(8、8’、15)の反発力によって、自動的に、前記カムフォロワー(9)を受け入れて、前記周縁カム通路(4)内に嵌めるようになっている開口部(14、14’)を含むことを特徴とするカム装置(1)。
【請求項2】
前記変形要素は、前記回転レバー(8、8’)に属する可撓性アーム(10)を含む請求項1に記載のカム装置(1)。
【請求項3】
前記変形要素は、前記開口部(14、14’)に隣接して設けられた可撓性の領域(15)であって、前記周縁カム通路(4)の外壁(5)又は内壁(6)に属する可撓性の領域(15)を含む請求項1又は2に記載のカム装置(1)。
【請求項4】
前記カム(2)の回転軸(3)に対して遠位端部に位置する2つの領域(7)と、前記周縁カム通路(4)の外側に位置する2つの前記回転レバー(8)と、各遠位端部の前記周縁カム通路(4)の外壁(5)に設けられ、各々が前記回転レバー(8)に連係する2つの開口部(14)とを備える請求項1〜3のいずれか1項に記載のカム装置(1)。
【請求項5】
前記カム(2)の回転軸(3)の近位端部に位置する周縁領域(7’)を少なくとも1つと、前記周縁カム通路(4)の内側に位置する前記回転レバー(8’)を少なくとも1つと、前記近位端部の前記周縁カム通路(4)の内壁(6)に設けられ、前記回転レバー(8’)と連係する開口部(14’)を少なくとも1つ備える請求項1〜3のいずれか1項に記載のカム装置(1)。
【請求項6】
前記回転レバー(8、8’)は、前記可撓性アーム(10)の停止位置において、前記カムフォロワー(9)の位置を制限するサポート要素(12)を含む請求項2に記載のカム装置(1)。
【請求項7】
前記開口部(14、14’)は、前記周縁カム通路(4)が設けられた周縁領域(7、7’)の外壁(5)又は内壁(6)を切り欠いた部分である請求項1〜6のいずれか1項に記載のカム装置(1)。
【請求項8】
前記カム(2)は、中央に位置する前記回転軸(3)を備える楕円形である請求項1〜7のいずれか1項に記載のカム装置(1)。
【請求項9】
少なくとも1つの前記回転レバー(8、8’)の前記ストッパ(13)は、前記カム(2)と少なくとも1つの前記回転レバー(8、8’)が取り付けられたフレームに固定されている請求項1〜8のいずれか1項に記載のカム装置(1)。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の、自動車の暖房、換気又は空気調節用器具のカム装置(1)の前記周縁カム通路(4)中に前記カムフォロワー(9)を組み込む方法であって、前記カムフォロワー(9)は、組み込み前に前記周縁カム通路(4)の外に配置され、前記カムフォロワー(9)が、前記カム(2)の回転中に、前記周縁カム通路(4)が設けられた周縁領域(7、7’)によって押されるとき、前記少なくとも1つの変形要素(8、8’、15)は曲げられ、同時に、前記回転レバー(8、8’)の自由回転は、固定された前記ストッパ(13)によって停止され、前記カムフォロワー(9)は、前記変形要素(8、8’、15)の反発力によって、前記周縁領域(7、7’)にある前記周縁カム通路(4)の開口部(14、14’)に自動的に入り込むようになっていることを特徴とするカムフォロワー(9)の組み込み方法。
【請求項11】
第1カムフォロワー(9)を組み込んだ後、この第1カムフォロワーと反対の位置で、前記周縁カム通路(4)の外に配置された第2カムフォロワー(9)を組み込むため、前記カム(2)を反対方向に回転させる工程を含む請求項10に記載のカムフォロワー(9)の組み込み方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の暖房、換気、もしくは空気調節用器具などのカム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の暖房、換気、もしくは空気調節用器具(HVAC)において、同時に1つか複数のレバーを動かすか、もしくは、特別な運動法則に従うために、カムを使用することがよくある。
【0003】
空気の出入口装置を動かすレバーを作動させることが、この種のカムの機能である。しかしながら、この種のカムはまた、他の装置の作動にも有用である。
【0004】
これらのカムは、空気の出入口装置の選択的開閉運動に相当する往復回転運動を行うことができる回転軸に連結されている。カムの回転軸は、電気モーターによって作動させられるか、または、ケーブル伝導によって手で動かされる。
【0005】
前記カムは、外壁と内壁の間で規定された周辺カムの通路を備え、残りの周辺ポイントより、回転軸からより離れた2つの末端部を有する。
【0006】
一般的に、カムの運動によって1つか2つの回転レバーが駆動され、この回転レバーには、カムの通路内で滑ることができるカムフォロワーの端部に設けられたアームが含まれる。
【0007】
組立工程において、作業者は、カムフォロワーを正しく機能させるために、同フォロワーをカムの通路内に設置する。そのようにしないと、カムのシステムは正しく作動せず、動かなくなることがある。
【0008】
レバーへのアクセス、またはその可視性が十分でない組立中は、カムフォロワーが、カムの通路から簡単に外れることがある。これは、前記アクセスと可視性に限りがある自動車内で組立を実施する場合、または、カムの後ろにカムフォロワーが隠れている場合に起こることがよくある。これらの場合には、作業者は、カムフォロワーを正確に挿入するために、手の感覚と自分の経験を頼りに、可視性が完全でない状態で作業をすることとなる。したがって、この作業は、複雑で不安定なものとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の自動車の暖房、換気、もしくは空気調節用器具などのカム装置の目的は、従来技術の分野で知られているカム装置の有する不都合を解決し、カムフォロワーを、カム通路内で、効率よく自動的に組み立てることができるカム装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的である自動車の暖房、換気、もしくは空気調節用器具などのカム装置は、往復回転運動を行いうる回転軸を備えるカムを含むタイプであり、このカムは、外壁と内壁の間で規定される周辺のカム通路を有し、カム通路内で滑りやすいカムフォロワーを端部に有するカムによって駆動される回転レバーを少なくとも1つ有し、このカムフォロワーは、組立前にカム通路の外に規定され、組立前にカム通路外に位置するカムフォロワーがカムの回転中に、カム通路の端に位置する区域によって押されたときに、曲りやすく変形する要素を少なくとも1つ有し、同時に、レバーの自由回転は、固定されたストッパによって動かなくなるようにしたことを特徴とし、さらに、カム通路は、前述した端に位置する区域において、変形要素の反発力によって、自動的に、カムフォロワーを受け入れて、カム通路内に嵌めるようになっている開口部を備えていることを特徴としている。
【0011】
このように、各レバーのカムフォロワーは、カムの往復回転運動中、作業者による介入なしに、カムの通路内に自動的に設けることが可能となっている。
【0012】
変形要素は、レバーに属する可撓性アームであるのが好ましい。
【0013】
この場合、カムフォロワーが、端の領域にある開口部に到達したとき、アームは曲がった状態に留まり、前記フォロワーは、柔軟アームの反発力によって、開口部の内部に入る傾向があり、再び外に向けて出ることなしに、自動的にカムの通路内に位置させられることとなる。前記フォロワーは、前記開口部の反対側に位置するカムの通路の壁に対して接触し、カム装置の良好な作動を確実とするからである。
【0014】
変形要素は、開口部に隣接して規定されるカム通路の壁に属する可撓性の壁区域とすることができる。
【0015】
このように、カムフォロワーが、カムの端に領域に達して、レバーが留め具で動かなくなったときに、開口部に隣接する可撓性ある壁領域は、カムフォロワーにより、押されて、曲がることができる。カムフォロワーが、開口部を通ってカム通路に嵌ったとき、可撓性ある壁領域は、原形を取り戻し、カムフォロワーは、カム通路へ導かれる。
【0016】
この可撓性ある外壁を利用する解決は、相当に堅牢なレバーのアームを利用するか、もしくは、可撓性のアームを有するレバーとの組み合わせによって達成される。後者の場合、可撓性のアームは、より固い素材を用いることが考えられる。これにより変形は小さくて済み、カムを回転させるのに必要な偶力は減少させられるからである。
【0017】
本発明の実施形態によると、この装置は、カムの回転軸に対して末端部に位置する両端部を有し、カムの通路に対して外部に位置する2つのレバーを有し、さらに、末端部のカム通路の外壁に2つの開口部を有し、これらの各開口部は、レバーに連結されている。
【0018】
これら2つのレバーを備える好ましい形状としたものは、空気の出入口を動かすために利用される。この種類のカムは、HVAC器具の空気の入口フレームに連結されるのが通常であるからである。
【0019】
この場合、アームは、留め具によって制限される位置に到達するまで、相応する末端部によって押されると、外部に向けて曲がり、カムのフォロワーは、外壁の開口部に到達すると、自動的にカム通路の中に誘導される。
【0020】
本発明の別の実施形態によると、この装置は、カムの回転軸に対して近接端部に位置する領域を、少なくとも1つと、カム通路に対して内部に設けられたレバーを、少なくとも1つ、それに、近接端部のカム通路の内部に設けられ、レバーに連結した開口部を少なくとも1つ含んでいる。
【0021】
別の例では、アームは、ストッパによって限定される位置に到達するまで、相応する近接端部により、押されて、内部に向けて曲がり、カムフォロワーは、内壁の開口部に達したとき、カム通路の内部に自動的に誘導される。
【0022】
レバーは、可撓性のアームの停止位置にあるカムフォロワーの位置を限めるサポート要素を含んでいるのが好ましい。
【0023】
開口部は、カム通路の端に位置する区域の壁に設けるのが好ましい。
【0024】
カムは、中央に回転軸を有する楕円形であると有利である。
【0025】
少なくとも1つのレバーのストッパは、カムと、少なくとも1つのレバーが回転するフレームに連動しているのが好ましい。
【0026】
また本発明は、前述のカム装置のカム通路内に、少なくとも1つのカムフォロワーを組み立てる工程に関し、カムフォロワーが組立前にカム通路の外にあるときに、カムフォロワーが、カムの回転中に、カム通路の端に位置する区域によって押されると、少なくとも1つの変形可能な要素は曲り、レバーは、固定されたストッパによって、自由回転中に動かなくなり、その際に、前記カムフォロワーは、変形要素の反発力によって、端に位置する前記区域にあるカム通路の開口部に自動的に入り込むようになっていることを特徴としている。
【0027】
選択的に、第1のカムフォロワーを組み立てた後、回転方向と反対方向にカムを動かし、カム通路の外にある第2カムフォロワーを、第1カムフォロワーとは反対の位置に組み立てることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】カム通路内に嵌っている2つのレバーを示す本発明のカム装置の概略図。
【
図3】カムの組立前に、カム通路の外壁に近接しているカムフォロワーを備える1つのレバーが、カム周辺部の外に位置している第1の実施形態のカム装置の概略図。
【
図4】
図3において、カムの末端部に到達したときに、ストッパによりブロックされて、カム通路における開口部付近に位置するカムフォロワーを備えるレバーを示す概略図。
【
図5】
図4において、カム通路の開口部に、入り込もうとしているカムフォロワーを備え、ブロックされているレバーと、末端部が押されて曲がっているアームを示す概略図。
【
図6】
図5において、カム通路内の開口部に誘導されているカムフォロワーを示す概略図。
【
図7】曲がった状態のカム通路の外壁の可撓性領域を示す第2の実施形態によるカム装置の概略図。
【
図8】
図7において、通常の作動状態において反対方向に回転するカムのカム通路内のカムフォロワーを示す概略図。
【
図9】カムの周辺部内に設けられ、組立前のカム通路の内壁に近接するカムフォロワーを備えるレバーを示す第3の実施形態によるカム装置の概略図。
【
図10】
図9において、カム通路の開口部付近に位置するカムフォロワーを備え、カムの近接端部に到達したときに、ストッパによって動かなくなっているレバーを示す概略図。
【
図11】
図10において、カム通路の開口部に、入り込もうとしている状況下のカムフォロワーを備え、ブロックされるレバーと近接端部によって押されて曲がっているアームを示す概略図。
【
図12】
図11において、カム通路における開口部に進入しているカムフォロワーを示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
前述の説明をわかりやすくするための添付図面は、限定を目的としない本発明の自動車の暖房、換気、もしくは空気調節などのカム装置の実施形態の3つの実用的な例を示す。
【0030】
図1から
図6に示す本発明の第1実施形態によると、本発明の自動車の暖房、換気、もしくは空気調節用器具などのカム装置1は、往復回転運動をすることが可能な回転軸3を有するカム2を備え、このカム2の外壁5と内壁6の間にはカム通路4が設けられている。カム2は、その回転軸3に対して両側には、位置する2つの領域7を有している。
【0031】
カム装置1はまた、カム通路4の外側方に位置する回転レバー8を有している。この回転レバー8は、カム2の運動によって駆動されるようになっており、その先端部には、カム通路4内を移動しうるカムフォロワー9が設けられている。カムフォロワー9は、
図3の左側に示す回転レバー8のように、組立前にはカム通路4の外に位置している。
【0032】
図2に示すように、各回転レバー8は、カムフォロワー9が反対の方向に押されたときにその位置を規制するための、サポート要素12と、自由回転軸11、および可撓性アーム10を備えている。
【0033】
カムフォロワー9は、組立前にはカム通路4の外にあり、端部領域7のうち1つによって押されると、回転レバー8の最大回転運動を制限するストッパ13を備えている。ストッパ13は、カム2と回転レバー8が取付けられているフレームの一部分を構成している。各図面では、ストッパを概略的に示してあるが、別の適切な物理的形状とすることも可能である。
【0034】
同様に、カム通路4の外壁5には、各領域7において、カム通路4内にフォロワー9を自動的に受け入れ、嵌合するようになっている開口部14が設けられている。あとで詳しく説明するが、開口部14は回転レバー8と関連づけられている。
【0035】
図3の右側には、カムフォロワー9が、カム通路4内に嵌っている回転レバー8を示している。
図3の左側に示す別の回転レバー8のカムフォロワー9は、カム通路4の外にある。カム2が回転すると、矢印で示すとおり、回転レバー8は外壁5の上を滑る。
【0036】
図4に示すように、カムフォロワー9が末端部に近い位置にあるとき、端部領域7の外壁5は、回転レバー8を押して、外に向けて回転させる。しかしながら、回転レバー8は、カムフォロワー9を外壁5と接触させる前記回転運動制限用のストッパ13と接触する。この瞬間、カムフォロワー9はカム通路4の開口部14に近接した位置となる。
【0037】
そこで、
図5からわかるとおり、回転レバー8が、依然とブロックされた状態で、外壁5によって押されるカムフォロワー9は、カム2を回転させながら、可撓性アーム10の弾力によって移動し続ける。
【0038】
最後に、カムフォロワー9は、
図6に示すように、外壁5の開口している端部に到達すると、自動的に、可撓性アーム10の反発力によって開口部14に入り、可撓性アーム10は、通常の状態を取り戻し、カムフォロワー9をカム通路4の内壁6に向けて押しつける。このようにして嵌め込みが行われる。
【0039】
カム2が反対方向に回転すると、カムフォロワー9は、可撓性アーム10の作用によって、一瞬たりとも開口部14から外に出ることなく、カム通路4内に留まり、カム装置1の円滑な作動を保証する。
【0040】
したがって、両回転レバー8の組立は、カム2の往復運動によって、迅速に、かつ効率的に行われる。最初に回転レバー8が連結し、続いて、カム2が回転方向を変えたとき、第2の回転レバー8が連結するからである。この瞬間から、両回転レバー8は、カム通路4に対して正しく保持される。
図1には、開口部14から離れた領域において、カム通路4内に正しく保持された2つの回転レバー8のカムフォロワー9が示されている。
【0041】
カムフォロワー9がカム通路4の内方に向かって押し込まれるのに必要な柔軟性もまた、例えば、ストッパ13に一定の弾力を与えることにより得られる。
【0042】
図7と
図8に示す本発明の別の実施形態によると、カム装置1は、第1実施形態における種類と同一であるが、少なくとも、カム通路4の外壁5が開口部14と隣接する領域15は、可撓性材料からなっていることが相違している。この場合、末端部において端に位置する領域を移動するカムフォロワー9が、前記外壁5(
図7を参照)を押圧するとき、外壁5は曲がることとなる。
【0043】
カムフォロワー9が、開口部14を経てカム通路4に嵌合するとき、外壁5の曲がっている領域15は、元の形を取り戻し、カムフォロワー9は、カム通路4の中に誘導される。
図8に示すように、カム2が回転方向を変えると、カムフォロワー9が外に出ないで、カム通路4の中に留まっている。
【0044】
この可撓性のある外壁5による解決法は、かなり堅牢なレバーのアームとともに利用されるか、もしくは、前記
図7および
図8に示したとおり、可撓性アーム10のレバーとの組み合わせて使用される。後者の場合、可撓性アーム10は、より丈夫な素材からなる場合がある。変形をより小とする一方で、カム2を回転させるのに必要な偶力を小とさせる必要からである。
【0045】
図9から
図12までに示す本発明の別の実施形態では、カム2の回転軸3に近接する端部領域7’を、少なくとも1つと、カム通路4に対して内部に位置する回転レバー8’を少なくとも1つと、回転レバー8’に連動する、カム通路4の内壁6に設けた開口部14’を少なくとも1つとを有する第1実施形態とは異なっている。機能については、第1の実施形態と類似している。
【0046】
図9において、カムフォロワー9は、組立前にカム通路4の内壁6に近接して位置している。
【0047】
図10において、カムフォロワー9は、近接端部に近いとき、その近接端部の端における領域7’の内壁6は、回転レバー8’を押し、内向きに回転させる。しかしながら、回転レバー8’は、カムフォロワー9を内壁6と接触させ、前記回転運動を制限するストッパ13と接触する。この瞬間、カムフォロワー9は、カム通路4の開口部14’に近接する。
【0048】
しかしながら、
図11に示すように、依然としてブロックされた回転レバー8’を備えるカムフォロワー9は、内壁6に押されて、可撓性アーム10の弾力性のために移動し続け一方、カム2は、回転を続ける。
【0049】
最後に、カムフォロワー9は、
図12に示すとおり、内壁6の開いた端部に到達すると、自動的に、可撓性アーム10の反発力によって、開口部14’に入り、可撓性アームは、通常の状態を取り戻し、カムフォロワー9を、カム通路4の外壁5に向かって押すことにより、嵌め込むようになっている。
【0050】
前記実施例においては、レバーとカムは平行軸を備える平坦なカムとされている。しかしながら、本発明は、円筒状カム、直線状カム、円錐状カムなど、あらゆる種類のカムとレバーについて適用することができる。さらに、カムの軸とレバーの軸は、互いに平行でないようにすることもある。
【符号の説明】
【0051】
1 カム装置
2 カム
3 回転軸
4 カム通路
5 外壁
6 内壁
7、7’ 端部領域
8、8’ 回転レバー
9 カムフォロワー
10 可撓性アーム
11 自由回転軸
12 サポート要素
13 ストッパ
14、14’ 開口部
15 領域