(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6025491
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】逆止弁装置
(51)【国際特許分類】
B60K 15/04 20060101AFI20161107BHJP
F16K 15/03 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
B60K15/04 C
F16K15/03 E
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-226692(P2012-226692)
(22)【出願日】2012年10月12日
(65)【公開番号】特開2014-76774(P2014-76774A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2015年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石坂 泰一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英明
【審査官】
岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−206042(JP,A)
【文献】
実開平04−088722(JP,U)
【文献】
実開昭63−017367(JP,U)
【文献】
特開2012−011797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/04
F16K 15/03
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管の一端に設けられた逆止弁装置であって、
前記管の外面に、所定の第1位置と、前記第1位置よりも前記管の前記一端側に位置する第2位置との間で変位可能に支持された筒体と、
前記管の前記一端側の外面に装着され、一部が前記管の軸線方向において前記管の一端縁よりも外方に突出したシール部材と、
前記管の前記一端を開閉するべく、前記管又は前記筒体に回動自在に支持されたフラップと、
前記管又は前記筒体と前記フラップとの間に設けられ、前記フラップを前記管の前記一端縁側に付勢し、前記シール部材に当接させる付勢部材とを有し、
前記管の外面及び前記筒体の内面の一方にガイド溝が形成され、
前記管の外面及び前記筒体の内面の他方に、前記ガイド溝に係合する凸部が形成され、
前記ガイド溝は、前記筒体の前記第1位置と前記第2位置との間の変位を可能にするべく、前記管の軸線方向に延在した主溝を有し、
前記筒体を前記第1位置から前記第2位置に変位させることによって、前記管の径方向において前記管と前記筒体との間に前記シール部材が挟持されることを特徴とする逆止弁装置。
【請求項2】
前記シール部材は、環状のリング部と、前記リング部の軸線方向における一側部から突設され、前記管の軸線方向において前記管の一端縁よりも外方に突出するリップ部とを有し、
前記管の外面には、前記管の周方向に延在し、前記リング部が装着されるリング溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の逆止弁装置。
【請求項3】
前記ガイド溝は、前記凸部を前記主溝内に導くための導入溝を更に有し、
前記導入溝は、前記主溝から前記管の周方向に延在した周溝部と、前記周溝部から前記管の軸線方向に延在し、前記管又は前記筒体の端縁に連続した縦溝部とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の逆止弁装置。
【請求項4】
前記管の外面及び前記筒体の内面の一方に係止爪が突設され、
前記管の外面及び前記筒体の内面の他方に、前記筒体が前記第2位置に位置するときに、前記係止爪に係止される係止孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つの項に記載の逆止弁装置。
【請求項5】
前記係止爪は、前記管の前記主溝の底面に突設されていることを特徴とする請求項4に記載の逆止弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管の一端に設けられる逆止弁装置に関し、例えば、燃料タンク内に突出した燃料供給管の端部に設けられるものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の燃料タンクに燃料を供給するための管の端部を燃料タンク内に突出させ、その端部に燃料の逆流を防止するために逆止弁装置を設けたものがある(例えば、特許文献1)。特許文献1に係る逆止弁装置は、管の内端に対して回動自在に支持されたフラップと、フラップを管の内端側に付勢する捻りコイルばねと、管の内端縁に取り付けられ、フラップと当接するシール部材とを有している。シール部材は、円環状の支持環部と、支持環部に一体に成形されたリップとを有し、支持環部の外周部にはバルジ状に膨出した肉厚環状部が形成されている。管の内端面と外周面とが交わる角部には、管の軸線方向及び径方向外方に開口した環状溝が形成され、支持環部は環状溝に収容される。そして、後に管の内端近傍に結合される保持リングと環状溝の側壁との間で、支持環部は肉厚環状部において管の軸線方向から挟持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−206042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る発明では、シール部材を環状溝に装着した後に、保持リングを管に装着してシール部材の肉厚環状部を挟持するため、シール部材の形状によってはその一部が保持リングと干渉する虞があり、保持リングの管への組付作業性が悪いという問題がある。特に、シール部材がリップを有する場合には、リップとの干渉を避けつつ保持リングを肉厚環状部近傍に配置しなければならない。そのため、シール部材を予め保持リングに組み付け、シール部材が組み付けられた保持リングを管に組み付ける等の工夫が必要となる。なお、この場合にも保持リングの内周側にシール部材を組み付けるることになるため、作業性は良くない。また、シール部材を管と保持リングとの間で軸線方向から挟持する構成であるため、管、保持リング、シール部材のいずれかに寸法誤差がある場合には、管及び保持リング間の間隙がシール部材に対して大きくなってシール部材の挟持に緩みが生じる問題や、逆に管及び保持リング間の間隙がシール部材に対して小さくなってシール部材を変形させる量が大きくなり、保持リングを管に対して適切な位置に配置するために過大な挿入力が必要になる等、組付作業上の問題が生じる虞がある。
【0005】
本発明は、以上の背景を鑑みてなされたものであって、管の一端に設けられる逆止弁装置において、組付作業性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、管(2)の一端に設けられた逆止弁装置(10)であって、前記管の外面に、所定の第1位置と、前記第1位置よりも前記管の前記一端側に位置する第2位置との間で変位可能に支持された筒体(22)と、前記管の前記一端側の外面に装着され、一部が前記管の軸線方向において前記管の一端縁よりも外方に突出したシール部材(25)と、前記管の前記一端を開閉するべく、前記管又は前記筒体に回動自在に支持されたフラップ(23)と、前記管又は前記筒体と前記フラップとの間に設けられ、前記フラップを前記管の前記一端縁側に付勢し、前記シール部材に当接させる付勢部材(24)とを有し、
前記管の外面及び前記筒体の内面の一方にガイド溝が形成され、前記管の外面及び前記筒体の内面の他方に、前記ガイド溝に係合する凸部が形成され、前記ガイド溝は、前記筒体の前記第1位置と前記第2位置との間の変位を可能にするべく、前記管の軸線方向に延在した主溝を有し、前記筒体を前記第1位置から前記第2位置に変位させることによって、前記管の径方向において前記管と前記筒体との間に前記シール部材が挟持されることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、筒体を第1位置から第2位置へと変位させる簡単な作業によって、管と筒体との間にシール部材を挟持するため、逆止弁装置の組み付け作業が容易になる。特に、筒体は、第1位置から第2位置へと管の軸線方向における中央側から一端側へと変位するため、管の一端縁よりも外方に突出したシール部材の一部との干渉が避けられる。また、管と筒体との間で径方向からシール部材を挟持するようにしたため、管と筒体との軸線方向における位置に誤差が生じていても、シール部材は安定的に挟持される。
ガイド溝と凸部との係合によって、第1位置から第2位置への変位がガイドされるため、筒体の移動操作が容易になる。
【0008】
上記の発明において、前記シール部材は、環状のリング部(35)と、前記リング部の軸線方向における一側部から突設され、前記管の軸線方向において前記管の一端縁よりも外方に突出するリップ部(36)とを有し、前記管の外面には、前記管の周方向に延在し、前記リング部が装着されるリング溝(31)が形成されていることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、リング溝にリング部が引っ掛かることによって、筒体が第1位置から第2位置へと変位する際に、シール部材が管に対して偏倚しなくなる(ずれなくなる)。
【0012】
上記の発明において、前記ガイド溝は
、前記凸部を前記主溝内に導くための導入溝(51、53)
を更に有し、前記導入溝は、前記主溝から前記管の周方向に延在した周溝部(51)と、前記周溝部から
前記管の軸線方向に延在し、前記管又は前記筒体の端縁に連続した縦溝部(53)とを有することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、導入溝を介して凸部を主溝に到達させた後は、凸部と主溝との係合によって、筒体が管に保持され、離脱しないようになる。
【0014】
上記の発明において、前記管の外面及び前記筒体の内面の一方に係止爪(55)が突設され、前記管の外面及び前記筒体の内面の他方に、前記筒体が第2位置に位置するときに、前記係止爪に係止される係止孔(56)が形成されていることが好ましい。また、
前記係止爪は、前記管の前記主溝の底面に突設されているとよい。
【0015】
この構成によれば、第2位置において、筒体は管に対して相対位置が維持される。
【発明の効果】
【0016】
以上の構成によれば、管の一端に設けられる逆止弁装置において、組付作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る逆止弁装置を備えた給油管の側面図
【
図2】実施形態に係る逆止弁装置を備えた給油管の底面図
【
図5】(A)シール部材の斜視図、(B)(A)のB−B断面図
【
図6】逆止弁装置の組付手順の第1段階を示す側面図
【
図7】逆止弁装置の組付手順の第2段階を示す側面図
【
図8】逆止弁装置の組付手順の第3段階を示す側面図
【
図9】逆止弁装置の組付手順の第4段階を示す側面図
【
図10】逆止弁装置の組付手順の第5段階を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係る逆止弁装置を、自動車の燃料タンクの入口部分に使用される給油管に適用した実施形態を詳細に説明する。
【0019】
図1及び
図3に示すように、給油管1は、両端が開口した円管である管本体2と、管本体2の外周面に突設された円板状のフランジ3とを有している。管本体2及びフランジ3は、樹脂材料から一体に成形されている。給油管1は、管本体2の一端が燃料タンク5の上壁6に形成された貫通孔7に挿通され、フランジ3が貫通孔7を通過せずに上壁6の外面であって貫通孔7の周縁に結合される。管本体2の燃料タンク5内に配置される端部を内端といい、燃料タンク5外に配置される端部を外端という。管本体2の内端には、管本体2の内孔8を開閉する逆止弁装置10が取り付けられている。管本体2の外端には、給油ノズルを受容する給油口(図示しない)に連通する可撓性のフューエルホース11が接続される。そのため、管本体2の外端側を給油口側といい、内端側を燃料タンク側ともいう。
【0020】
管本体2の外端の外周面には、周方向に沿って延設された環状のホース係止爪15が形成されている。ホース係止爪15は、管本体2の外端がフューエルホース11の一端に挿入された際に、フューエルホース11の内面に食い込み(引っ掛かり)、フューエルホース11を管本体2に係止する。
図3に示すように、管本体2の内孔8の外端側には、金属製の円管であるスリーブ12が挿入され、管本体2の剛性が高められている。フューエルホース11の一端の外面側には環状のホースバンド17が設けられ、管本体2とフューエルホース11とはホースバンド17によって締結される。
【0021】
図1〜
図3に示すように、逆止弁装置10は、管本体2の内端部21と、内端部21の外面に支持される筒体22と、筒体22に支持されたフラップ23と、筒体22とフラップ23の間に設けられた捻りコイルばね24と、内端部21と筒体22との間に挟持されたシール部材25とを有する。
【0022】
図1、
図3及び
図6に示すように、管本体2の内端部21は、外端部を含む他の部分に対して周方向に延在する段部28を介して段違いに外径が小さく形成されている。段部28は、燃料タンク側を向き、管本体2の軸線に直交する平面と平行な側面を有している。内端部21の外周面の内端縁近傍には、周方向にわたって環状に凹設されたOリング溝31が形成されている。Oリング溝31は、断面が略四角形の溝であり、底面が管本体2の軸線を中心とした円周面に形成され、底面の給油口側及び燃料タンク側に、管本体2の軸線に直交する平面と平行な側壁を有している。
【0023】
図5の(A)及び(B)に示すように、シール部材25は、可撓性を有する材料から形成され、環状をなし、断面が円形のOリング部35と、Oリング部35の軸線方向における一側部から周方向に沿って突設されたリップ部36とを有する。リップ部36は、Oリング部35から突出した円筒形状の基部37と、基部37の先端からテーパ状に拡径し、円錐台形(ラッパ形)に形成された先端部38と有している。基部37の内径は、Oリング部35の断面における中心とOリング部35の軸線との距離よりも大きく形成されており、基部37はOリング部35に対して径方向外側に偏倚して配置されている。
【0024】
シール部材25は、Oリング部35がOリング溝31に装着され、基部37の内周面がOリング溝31より端側の内端部21の外周面に当接し、先端部38が軸線方向において管本体2の内端面よりも突出するように、管本体2に装着される。
【0025】
図6に示すように、内端部21の外周面であってOリング溝31よりも給油口側の部分には、管本体2の軸線方向に延在する複数の第1隔壁45が突設されている。本実施形態では、4つの第1隔壁45が周方向に等間隔(90°間隔)に設けられ、各第1隔壁45は一端が段部28に到達する一方、他端がOリング溝31まで到達し、内端部21の外周面を4つの領域に区画している。また、内端部21の周方向において隣り合う2つの第1隔壁45の中間部分には、Oリング溝31から給油口側へと所定の長さ延在する第2隔壁46が突設されている。第2隔壁46の給油口側の端部は、段部28と離間するように軸線方向において内端部21の中間部に配置されている。
【0026】
段部28、第1隔壁45及び第2隔壁46によって、燃料タンク側に開いたコ字形のガイド溝48が画成される。
図6に示すように、管本体2の軸線方向に沿って燃料タンク側から見た際に、管本体2の軸線を中心として時計回りとなる回転方向を時計方向、反時計回りとなる回転方向を反時計方向と規定する。ガイド溝48は、周方向に延在する周溝部(導入溝)51と、周溝部51の時計方向側の端部から管本体2の軸線方向に沿って燃料タンク側へとOリング溝31まで延在する第1縦溝部(主溝)52と、周溝部51の反時計方向側の端部から管本体2の軸線方向に沿って燃料タンク側へとOリング溝31まで延在する第2縦溝部(導入溝)53とを有している。
【0027】
各ガイド溝48の第1縦溝部52の底面(内端部21の外面)の燃料タンク側には、係止爪55がそれぞれ突設されている。各係止爪55は、その燃料タンク側の部分に管本体2の軸線に直交する平面と略平行な逆止面を有し、その給油口側の部分に逆止面の突出端から給油口側に進むにつれて第1縦溝部52の底面側に到るように傾斜した傾斜面を有している。以上のようにして、ガイド溝48及び係止爪55は、管本体2の軸線を中心とした回転対称形として90°間隔で形成されている。
【0028】
図4に示すように、筒体22は両端が開口した円筒形をなし、その内周面に複数の係止孔56が形成されている。本実施形態では、係止孔56は筒体22の内周面から外周面へと貫通する貫通孔として形成され、周方向において等間隔(90°間隔)で4つ設けられている。各係止孔56は、周方向に長い略長方形に形成されている。筒体22の内周面であって、各係止孔56の燃料タンク側の部分には、径方向内側へと突出する凸部57がそれぞれ形成されている。各凸部57は、各係止孔56に沿って周方向に延在し、その突出端に筒体22の軸線を中心とした円弧面を有している。筒体22の外周面には、把持部58が径方向外方へと突設されている。把持部58は、使用者が筒体22を移動させる際に、指を引っ掛けるために使用される。また、筒体22の外周面には、径方向外方へと支持部61が突設され、支持部61にはフラップ23を支持するための支持軸62が突設されている。
【0029】
図1〜
図3に示すように、フラップ23は、円板状のフラップ本体65と、フラップ本体65の外面に突設された一対のアーム66とを有し、アーム66において支持軸62に回動可能に支持されている。捻りコイルばね24は、そのコイル部が支持軸62に支持され、一端がフラップ本体65に係止される一方、他端が筒体22の支持部61に係止され、フラップ本体65を筒体22の一端側へと付勢している。
【0030】
図1及び
図3に示すように、フラップ23及び捻りコイルばね24が組み合わされた筒体22の内部には、管本体2の内端部21が挿入される。筒体22は、係止孔56の孔縁が係止爪55に係止されることによって、管本体2に係止される。この筒体22が管本体2に装着された状態で、筒体22の内周面は、管本体2の径方向においてシール部材25のOリング部35の外周部と対向し、Oリング溝31の底面との間にOリング部35を管本体2の径方向から挟持する。これにより、Oリング部35は、Oリング溝31から離脱することができなくなり、管本体2に安定的に支持される。
【0031】
筒体22が管本体2に装着された状態において、フラップ本体65は、捻りコイルばね24に付勢されてシール部材25のリップ部36に当接し、管本体2の内孔8を閉塞する。以上の構成によって、逆止弁装置10は、通常時においては捻りコイルばね24の付勢力によってフラップ23が管本体2の内孔8を閉じ、給油時の給油口側から燃料タンク側に向かう燃料の流れによって、捻りコイルばね24の付勢力に抗してフラップ23が開位置へと変位して内孔8を開く。
【0032】
次に、
図6〜
図10を参照して、管本体2に筒体22及びシール部材25を組み付ける手順を説明する。なお、
図6〜
図10では、筒体22に予め組み付けられるフラップ23及び捻りコイルばね24を省略して示す。
【0033】
最初に、
図6に示すように、筒体22の各凸部57が、管本体2の各第2縦溝部53に対応するように、管本体2に対する筒体22の回転位置を調節する。この状態で、筒体22の内部に管本体2の内端部21を挿入すると、各凸部57は対応する第2縦溝部53内を給油口側へと進む。筒体22の給油口側の端縁が段部28に突き当たるまで、筒体22に管本体2が挿入され、
図7に示す状態となる。この状態で各凸部57は周溝部51の反時計方向側端部に位置する。
【0034】
次に、
図7に示す状態から、筒体22を管本体2に対して時計方向に回転させることによって、
図8に示す状態となる。この操作によって、各凸部57は、対向する周溝部51内を反時計方向側端部から時計方向側端部へと移動し、第1縦溝部52の給油口側の端部に位置する。このときの管本体2に対する筒体22の位置を第1位置とする。
図8に示す状態では、各凸部57の燃料タンク側に各係止爪55が存在するため、各凸部57と各係止爪55との係合によって、管本体2からの筒体22の離脱が阻止される。すなわち、
図8に示す状態では、筒体22は管本体2に仮止めされた状態となる。この状態では、筒体22は、Oリング溝31よりも給油口側に位置するため、Oリング溝31は外部に対して開放され、シール部材25の装着が可能となる。
【0035】
次に、
図9に示すように、Oリング部35がOリング溝31に配置され、基部37の内周面がOリング溝31より端側の内端部21の外周面に当接し、先端部38が軸線方向において管本体2の内端面よりも突出するように、シール部材25を管本体2に装着する(
図3参照)。
【0036】
シール部材25を管本体2に装着した後に、筒体22を第1位置から管本体2に対して燃料タンク側に移動させることによって、
図10に示す装着完了状態となる。このとき、筒体22の各凸部57は、対応する係止爪55の傾斜面上を摺動する。そして、筒体22が若干撓むことによって、各凸部57は各係止爪55の突出端を乗り越える。これにより、筒体22の内周面がOリング部35の外周部に当接し、Oリング溝31の底部との間にOリング部35を挟持する。このとき、各凸部57の突出端面は、空隙を介して内端部21の外周面と対向する。また、
図10に示す状態では、各係止爪55が、筒体22の各係止孔56の孔縁を係止し、管本体2に対する筒体22の位置が維持される。このときの管本体2に対する筒体22の位置を第2位置とする。
【0037】
本実施形態に係る給油管1は、管本体2に支持された筒体22を第1位置から第2位置へと移動させるという簡単な操作によって、シール部材25のリップ部36を巻き込むことなく、管本体2と筒体22との間でOリング部35を管本体2の径方向から挟持することができる。筒体22は、第1位置において、シール部材25よりも給油口側に配置されているため、Oリング部35に対して燃料タンク側に配置されたリップ部36との干渉を避けることができる。また、Oリング部35を管本体2の径方向から管本体2と筒体22とで挟持するようにしたため、管本体2と筒体22との軸線方向における相対位置に誤差が生じていても、Oリング部35は管本体2と筒体22との間に確実に挟持される。また、シール部材25の挟持される部分を断面円形のOリング部35としたため、比較的変形し易く、筒体22を第1位置から第2位置へと移動させる際の抵抗力が小さくなり、組付作業が容易になる。
【0038】
また、Oリング溝31によってOリング部35を係止し、Oリング部35の管本体2に対する軸線方向への移動を阻止するようにしたため、筒体22を第1位置から第2位置へと移動させる際に、Oリング部35が管本体2に対してずれることが抑制される。
【0039】
内端部21に周溝部51、第1縦溝部52及び第2縦溝部53からなる燃料タンク側に開いたコ字形のガイド溝48を設け、筒体22に形成された凸部57を誘導するようにしたため、筒体22を管本体2に対して仮止めすることができると共に、筒体22の第1位置から第2位置への移動が容易になっている。
【0040】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。本発明に係る逆止弁装置は、自動車の燃料タンク5に燃料を供給するための供給管の端部に設けられるだけでなく、様々な装置においてタンク(槽)に液体を供給するための管の端部に使用することができる。例えば、本発明に係る逆止弁装置は、反応槽に液体原料を供給するための管の端部に設けてもよい。また、本実施形態では、係止爪55を管本体2に設け、係止孔56を筒体22に設けたが、他の実施形態では係止爪55を筒体22に設け、係止孔56を管本体2に設けてもよい。また、本実施形態では、ガイド溝48を管本体2に設け、凸部57を筒体22に設けたが、同様に、他の実施形態ではガイド溝48を筒体22に設け、凸部57を管本体2に設けてもよい。また、支持部61は、筒体22に代えて管本体2に突設されていてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…給油管、2…管本体(管)、5…燃料タンク、8…内孔、10…逆止弁装置、11…フューエルホース、21…内端部、22…筒体、23…フラップ、24…捻りコイルばね、25…シール部材、28…段部、31…Oリング溝、35…Oリング部、36…リップ部、37…基部、38…先端部、45…第1隔壁、46…第2隔壁、48…ガイド溝、51…周溝部(導入溝)、52…第1縦溝部(主溝)、53…第2縦溝部(導入溝)、55…係止爪、56…係止孔、57…凸部、58…把持部、65…フラップ本体