(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
タイヤ周方向から見た第1連結部及び第2連結部は、タイヤ径方向に湾曲する湾曲部が延設方向に沿って複数形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の非空気圧タイヤ。
タイヤ周方向から見た前記第1連結部と前記第2連結部は、タイヤ赤道面に対して対称な形状であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の非空気圧タイヤ。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤは、荷重の支持機能、接地面からの衝撃吸収能、および動力等の伝達能(加速、停止、方向転換)を有し、このため、多くの車両、特に自転車、オートバイ、自動車、トラックに採用されている。
【0003】
特に、これらの能力は自動車、その他のモーター車両の発展に大きく貢献した。更に、空気入りタイヤの衝撃吸収能力は、医療機器や電子機器の運搬用カート、その他の用途でも有用である。
【0004】
従来の非空気圧タイヤとしては、例えばソリッドタイヤ、スプリングタイヤ、クッションタイヤ等が存在するが、空気入りタイヤの優れた性能を有していない。例えば、ソリッドタイヤおよびクッションタイヤは、接地部分の圧縮によって荷重を支持するが、この種のタイヤは重くて、堅く、空気入りタイヤのような衝撃吸収能力はない。また、非空気圧タイヤでは、弾性を高めてクッション性を改善することも可能であるが、空気入りタイヤが有するような荷重支持能または耐久性が悪くなるという問題がある。
【0005】
下記特許文献1には、重量や硬さの増大を抑えて良好な乗り心地や操縦性を確保する目的で、車軸に取り付けられる取り付け盤と、その外側に設けられるリング状体と、前記取り付け盤の外周面と前記リング状体の内周面とを連結する複数の連結部材とが備えられた非空気圧タイヤが記載されている。複数の連結部材はそれぞれ、タイヤ側面視でタイヤ周方向における一方側に向けて凸となるように湾曲した第1連結板と、他方側に向けて凸となるように湾曲した第2連結板とを備え、前記連結部材は、前記第1連結板が一のタイヤ幅方向位置にタイヤ周方向に沿って複数配置され、かつ前記第2連結板が他のタイヤ幅方向位置にタイヤ周方向に沿って複数配置されるように、タイヤ周方向に沿って複数設けられている。
【0006】
また、下記特許文献2にも、特許文献1と同様の構造を有する非空気圧タイヤが記載されている。特許文献2の連結部材は、取り付け盤とリング状体とを連結する第1連結板及び第2連結板を備えるとともに、これらの両連結板それぞれにおいて、リング状体に連結された一端部と、取り付け盤に連結された他端部と、の間に位置する中間部分に、タイヤ周方向に湾曲する湾曲部が、タイヤ側面視で当該連結板が延びる方向に沿って複数形成されている。
【0007】
特許文献1及び2では、第1連結板及び第2連結板が弾性変形することで非空気圧タイヤに柔軟性を与えているが、連結板直下で接地する場合と、タイヤ周方向に隣り合う連結板間で接地する場合とで外力を支える力が異なるため、タイヤ転動時の接地圧分散が大きくなる。一方、このようなタイヤ転動時の接地圧分散が大きくなるのを抑制するために、タイヤ周方向における連結板同士の間隔を狭くすると、連結板がタイヤ周方向に大きく撓んだ場合、タイヤ周方向に隣り合う連結板同士が接触し、耐久性が悪化するおそれがある。また、タイヤの質量も増加してしまう。
【0008】
下記特許文献3には、内側環状部と、その外側の中間環状部と、更にその外側の外側環状部と、内側環状部と中間環状部とを連結する複数の内側連結部と、外側環状部と中間環状部とを連結する複数の外側連結部とを備える非空気圧タイヤが記載されている。この非空気圧タイヤは、外側連結部がタイヤ幅方向に連続する板状であり、タイヤ周方向に隣り合う外側連結部同士の間隔が広いためタイヤ転動時の接地圧分散が大きくなり、ノイズが悪化するおそれがある。さらに、タイヤ幅方向に連続する外側連結部が複数設けられているため、タイヤの質量が増加する傾向にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明の目的は、耐久性を向上させ、かつタイヤ転動時の接地圧分散を小さくすることができる非空気圧タイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。
即ち、本発明の非空気圧タイヤは、車両からの荷重を支持する支持構造体を備える非空気圧タイヤにおいて、前記支持構造体は、内側環状部と、その内側環状部の外側に同心円状に設けられた外側環状部と、前記内側環状部と前記外側環状部とを連結し、タイヤ周方向に各々独立して設けられた複数の連結部とを備え、前記複数の連結部は、前記内側環状部のタイヤ幅方向一方側から前記外側環状部のタイヤ幅方向他方側へ向かって延設される第1連結部と、前記内側環状部の前記タイヤ幅方向他方側から前記外側環状部の前記タイヤ幅方向一方側へ向かって延設される第2連結部とがタイヤ周方向に沿って配列されて構成されることを特徴とする。
【0012】
本発明の非空気圧タイヤは、内側環状部と、その内側環状部の外側に同心円状に設けられた外側環状部と、内側環状部と外側環状部とを連結する複数の連結部とを備えている。複数の連結部は、第1連結部と第2連結部とがタイヤ周方向に配列されて構成されている。第1連結部は、内側環状部のタイヤ幅方向一方側から外側環状部のタイヤ幅方向他方側へ向かって延設され、第2連結部は、内側環状部のタイヤ幅方向他方側から外側環状部のタイヤ幅方向一方側へ向かって延設されている。第1連結部及び第2連結部は、このようにタイヤ幅方向に沿って延びているため、タイヤに垂直荷重が負荷された際、タイヤ幅方向に撓むこととなる。よって、複数の連結部は、荷重負荷時に互いに干渉しないように変形するため、非空気圧タイヤの耐久性を向上できる。また、複数の連結部は、荷重負荷時に互いに干渉しないため、連結部間の隙間を小さくすることができ、タイヤ転動時の接地圧分散を小さくできる。
【0013】
本発明にかかる非空気圧タイヤにおいて、前記第1連結部と前記第2連結部は、タイヤ周方向に沿って交互に配列されていることが好ましい。第1連結部と第2連結部が交互に配列されることで、タイヤ転動時の接地圧分散をより小さくできる。
【0014】
本発明にかかる非空気圧タイヤにおいて、前記第1連結部と前記第2連結部は板状部材で形成されており、板幅方向がタイヤ周方向に一致することが好ましい。この構成によれば、第1連結部と第2連結部は、板幅方向に交差する板厚方向、すなわちタイヤ周方向以外の方向に撓みやすいため、複数の連結部は、荷重負荷時に互いに干渉しにくい。
【0015】
本発明にかかる非空気圧タイヤにおいて、タイヤ周方向から見た第1連結部及び第2連結部は、タイヤ径方向に湾曲する湾曲部が延設方向に沿って複数形成されていることが好ましい。この構成によれば、荷重負荷時に第1連結部及び第2連結部に生じる応力を分散することができるため、非空気圧タイヤの耐久性を向上できる。
【0016】
本発明にかかる非空気圧タイヤにおいて、タイヤ周方向から見た前記第1連結部と前記第2連結部は、タイヤ赤道面に対して対称な形状であることが好ましい。この構成によれば、タイヤ転動時の接地圧分散をより小さくできる。
【0017】
また、本発明の非空気圧タイヤは、車両からの荷重を支持する支持構造体を備える非空気圧タイヤにおいて、前記支持構造体は、内側環状部と、その内側環状部の外側に同心円状に設けられた中間環状部と、その中間環状部の外側に同心円状に設けられた外側環状部と、前記内側環状部と前記中間環状部とを連結し、タイヤ周方向に各々独立して設けられた複数の内側連結部と、前記外側環状部と前記中間環状部とを連結し、タイヤ周方向に各々独立して設けられた複数の外側連結部とを備え、前記複数の外側連結部は、前記中間環状部のタイヤ幅方向一方側から前記外側環状部のタイヤ幅方向他方側へ向かって延設される第1外側連結部と、前記中間環状部の前記タイヤ幅方向他方側から前記外側環状部の前記タイヤ幅方向一方側へ向かって延設される第2外側連結部とがタイヤ周方向に沿って配列されて構成されることを特徴とする。
【0018】
本発明の非空気圧タイヤは、内側環状部と、その内側環状部の外側に同心円状に設けられた中間環状部と、その中間環状部の外側に同心円状に設けられた外側環状部と、内側環状部と中間環状部とを連結する複数の内側連結部と、外側環状部と中間環状部とを連結する複数の外側連結部とを備えている。複数の外側連結部は、第1外側連結部と第2外側連結部とがタイヤ周方向に配列されて構成されている。第1外側連結部は、中間環状部のタイヤ幅方向一方側から外側環状部のタイヤ幅方向他方側へ向かって延設され、第2外側連結部は、中間環状部のタイヤ幅方向他方側から外側環状部のタイヤ幅方向一方側へ向かって延設されている。第1外側連結部及び第2外側連結部は、このようにタイヤ幅方向に沿って延びているため、タイヤに垂直荷重が負荷された際、タイヤ幅方向に撓むこととなる。よって、複数の外側連結部は、荷重負荷時に互いに干渉しないように変形するため、非空気圧タイヤの耐久性を向上できる。また、複数の外側連結部は、荷重負荷時に互いに干渉しないため、外側連結部間の隙間を小さくすることができ、タイヤ転動時の接地圧分散を小さくできる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。初めに、本発明の非空気圧タイヤTの構成を説明する。
図1は、非空気圧タイヤTの一例を示す正面図である。
図2は、
図1の非空気圧タイヤの一部を示す斜視図である。
図3Aは第1連結部のタイヤ子午線断面図であり、
図1のA−A断面図である。
図3Bは第2連結部のタイヤ子午線断面図であり、
図1のB−B断面図である。ここで、Oは軸芯を、Hはタイヤ断面高さを、それぞれ示している。
【0021】
非空気圧タイヤTは、車両からの荷重を支持する支持構造体SSを備えるものである。本発明の非空気圧タイヤTは、このような支持構造体SSを備えるものであればよく、その支持構造体SSの外側(外周側)や内側(内周側)に、トレッドに相当する部材、補強層、車軸やリムとの適合用部材などを備えていてもよい。
【0022】
本実施形態の非空気圧タイヤTは、
図1の正面図に示すように、支持構造体SSが、内側環状部1と、その外側に同心円状に設けられた外側環状部2と、内側環状部1と外側環状部2とを連結し、タイヤ周方向CDに各々独立して設けられた複数の連結部3とを備えている。
【0023】
内側環状部1は、ユニフォミティを向上させる観点から、厚みが一定の円筒形状であることが好ましい。また、内側環状部1の内周面には、車軸やリムとの装着のために、嵌合性を保持するための凹凸等を設けるのが好ましい。
【0024】
内側環状部1の厚みは、連結部3に力を十分伝達しつつ、軽量化や耐久性の向上を図る観点から、タイヤ断面高さHの2〜7%が好ましく、3〜6%がより好ましい。
【0025】
内側環状部1の内径は、非空気圧タイヤTを装着するリムや車軸の寸法などに併せて適宜決定される。ただし、一般の空気入りタイヤの代替を想定した場合、250〜500mmが好ましく、330〜440mmがより好ましい。
【0026】
内側環状部1のタイヤ幅方向の幅は、用途、車軸の長さ等に応じて適宜決定されるが、一般の空気入りタイヤの代替を想定した場合、100〜300mmが好ましく、130〜250mmがより好ましい。
【0027】
内側環状部1の引張モジュラスは、連結部3に力を十分伝達しつつ、軽量化や耐久性の向上、装着性を図る観点から、5〜180000MPaが好ましく、7〜50000MPaがより好ましい。なお、本発明における引張モジュラスは、JIS K7312に準じて引張試験を行い、10%伸び時の引張応力から算出した値である。
【0028】
本発明における支持構造体SSは、弾性材料で成形されるが、支持構造体SSを製造する際に、一体成形が可能となる観点から、内側環状部1、外側環状部2、及び連結部3は、補強構造を除いて基本的に同じ材質とすることが好ましい。
【0029】
本発明における弾性材料とは、JIS K7312に準じて引張試験を行い、10%伸び時の引張応力から算出した引張モジュラスが、100MPa以下のものを指す。本発明の弾性材料としては、十分な耐久性を得ながら、適度な剛性を付与する観点から、好ましくは引張モジュラスが5〜100MPaであり、より好ましくは7〜50MPaである。母材として用いられる弾性材料としては、熱可塑性エラストマー、架橋ゴム、その他の樹脂が挙げられる。
【0030】
熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステルエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリスチレンエラストマー、ポリ塩化ビニルエラストマー、ポリウレタンエラストマー等が例示される。架橋ゴム材料を構成するゴム材料としては、天然ゴムの他、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(水添NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、フッ素ゴム、シリコンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム等の合成ゴムが例示される。これらのゴム材料は必要に応じて2種以上を併用してもよい。
【0031】
その他の樹脂としては、熱可塑性樹脂、又は熱硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられ、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。
【0032】
上記の弾性材料のうち、成形・加工性やコストの観点から、好ましくは、ポリウレタン樹脂が用いられる。なお、弾性材料としては、発泡材料を使用してもよく、上記の熱可塑性エラストマー、架橋ゴム、その他の樹脂を発泡させたもの使用可能である。
【0033】
弾性材料で一体成形された支持構造体SSは、内側環状部1、外側環状部2、及び連結部3が、補強繊維により補強されていることが好ましい。
【0034】
補強繊維としては、長繊維、短繊維、織布、不織布などの補強繊維が挙げられるが、長繊維を使用する形態として、タイヤ幅方向に配列される繊維とタイヤ周方向に配列される繊維とから構成されるネット状繊維集合体を使用するのが好ましい。
【0035】
補強繊維の種類としては、例えば、レーヨンコード、ナイロン−6,6等のポリアミドコード、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルコード、アラミドコード、ガラス繊維コード、カーボンファイバー、スチールコード等が挙げられる。
【0036】
本発明では、補強繊維を用いる補強の他、粒状フィラーによる補強や、金属リング等による補強を行うことが可能である。粒状フィラーとしては、カーボンブラック、シリカ、アルミナ等のセラミックス、その他の無機フィラーなどが挙げられる。
【0037】
外側環状部2の形状は、ユニフォミティを向上させる観点から、厚みが一定の円筒形状であることが好ましい。外側環状部2の厚みは、連結部3からの力を十分伝達しつつ、軽量化や耐久性の向上を図る観点から、タイヤ断面高さHの2〜7%が好ましく、2〜5%がより好ましい。
【0038】
外側環状部2の内径は、その用途等応じて適宜決定される。ただし、一般の空気入りタイヤの代替を想定した場合、420〜750mmが好ましく、480〜680mmがより好ましい。
【0039】
外側環状部2のタイヤ幅方向の幅は、用途等に応じて適宜決定されるが、一般の空気入りタイヤの代替を想定した場合、100〜300mmが好ましく、130〜250mmがより好ましい。
【0040】
外側環状部2の引張モジュラスは、
図1に示すように外側環状部2の外周に補強層7が設けられている場合には、内側環状部1と同程度に設定できる。このような補強層7を設けない場合には、連結部3からの力を十分伝達しつつ、軽量化や耐久性の向上を図る観点から、5〜180000MPaが好ましく、7〜50000MPaがより好ましい。
【0041】
外側環状部2の引張モジュラスを高める場合、弾性材料を繊維等で補強した繊維補強材料が好ましい。外側環状部2を補強繊維により補強することで、外側環状部2とベルト層などとの接着も十分となる。
【0042】
連結部3は、内側環状部1と外側環状部2とを連結するものであり、両者の間に適当な間隔を開けるなどして、タイヤ周方向CDに各々が独立するように複数設けられる。
【0043】
複数の連結部3は、第1連結部31と第2連結部32とがタイヤ周方向CDに沿って配列されて構成されている。この際、第1連結部31と第2連結部32は、タイヤ周方向CDに沿って交互に配列されていることが好ましい。
【0044】
また、第1連結部31と第2連結部32との間のタイヤ周方向CDのピッチpは、ユニフォミティを向上させる観点から、一定とするのが好ましい。ピッチpは、0〜10mmが好ましく、0〜5mmがより好ましい。
【0045】
第1連結部31は、内側環状部1のタイヤ幅方向一方側WD1から外側環状部2のタイヤ幅方向他方側WD2へ向かって延設されている。一方、第2連結部32は、内側環状部1のタイヤ幅方向他方側WD2から外側環状部2のタイヤ幅方向一方側WD1へ向かって延設されている。すなわち、隣り合う第1連結部31と第2連結部32は、タイヤ周方向CDから見ると、略X字状に配置されている。
【0046】
なお、本実施形態では、第1連結部31及び第2連結部32は、内側環状部1と外側環状部2をタイヤ幅方向WDの両端でそれぞれ連結しているが、これに限定されない。第1連結部31及び第2連結部32は、内側環状部1と外側環状部2をタイヤ幅方向WDの両端よりも内側部でそれぞれ連結するようにしてもよい。
【0047】
タイヤ周方向CDから見た第1連結部31と第2連結部32は、タイヤ赤道面Cに対して対称な形状であることが好ましい。本実施形態では、
図3A及び
図3Bに示すように、第1連結部31のタイヤ子午線断面における断面形状と、第2連結部32のタイヤ子午線断面における断面形状が、タイヤ赤道面Cに対して対称となるようにしている。
【0048】
第1連結部31と第2連結部32は、
図2の斜視図のように、板状部材で形成されている。第1連結部31と第2連結部32は、略矩形の板状をしており、板幅方向PWがタイヤ周方向CDに一致している。第1連結部31と第2連結部32の延設方向PLは、タイヤ幅方向WDに対して傾斜する方向であり、タイヤ幅方向WDに対する傾斜角度は、15〜50°が好ましい。
【0049】
タイヤ周方向CDから見た第1連結部31は、タイヤ径方向に湾曲する湾曲部31aが少なくとも1つ形成されていることが好ましく、タイヤ径方向に湾曲する湾曲部31aが延設方向Lに沿って複数形成されていることが好ましい。湾曲部31aが複数形成される場合、タイヤ径方向内側へ凸となる湾曲部31aとタイヤ径方向外側へ凸となる湾曲部31aが交互に形成される。湾曲部31aの数は、1〜15個が好ましく、3〜10個がより好ましい。湾曲部31aは、第1連結部31のうち応力が高くなるトレッド側に少なくとも1つ形成されることで、第1連結部31の応力を効果的に分散することができる。本実施形態では、湾曲部31aを4個設けた例を示す。湾曲部31aの曲率半径Rは、5〜200mmが好ましく、20〜150mmがより好ましい。
【0050】
第1連結部31と同様、タイヤ周方向CDから見た第2連結部32には、タイヤ径方向に湾曲する湾曲部32aが少なくとも1つ形成されていることが好ましく、タイヤ径方向に湾曲する湾曲部32aが延設方向Lに沿って複数形成されていることが好ましい。湾曲部32aの数、曲率半径等については、第1連結部31の湾曲部31aと同様とすることができる。
【0051】
連結部3の数としては、車両からの荷重を十分支持しつつ、軽量化、動力伝達の向上、耐久性の向上を図る観点から、20〜200個が好ましく、30〜100個がより好ましい。
図1には、第1連結部31を20個、第2連結部32を20個設けた例を示す。
【0052】
連結部3のタイヤ径方向の厚みtは、内側環状部1および外側環状部2からの力を十分伝達しつつ、軽量化や耐久性の向上を図る観点から、1〜10mmが好ましく、3〜7mmがより好ましい。また、連結部3のタイヤ径方向の厚みtは、連結部3の板幅よりも小さい。なお、連結部3の厚みtは、延設方向Lに沿って一定である必要はない。
【0053】
連結部3の引張モジュラスは、内側環状部1および外側環状部2からの力を十分伝達しつつ、軽量化や耐久性の向上、横剛性の向上を図る観点から、5〜180000MPaが好ましく、7〜50000MPaがより好ましい。連結部3の引張モジュラスを高める場合、弾性材料を繊維等で補強した繊維補強材料が好ましい。
【0054】
本実施形態では、
図1に示すように、支持構造体SSの外側環状部2の外側に、その外側環状部2の曲げ変形を補強する補強層7が設けられている例を示す。また、本実施形態では、
図1に示すように、補強層7の更に外側にトレッドゴム8が設けられている例を示す。補強層7、トレッドゴム8としては、従来の空気入りタイヤのベルト層と同様のものを設けることが可能である。また、トレッドパターンとして、従来の空気入りタイヤと同様のパターンを設けることが可能である。
【0055】
[他の実施形態]
(1)本発明の他の実施形態として、
図4に示すような、車両からの荷重を支持する支持構造体SSを備える非空気圧タイヤTにおいて、支持構造体SSは、内側環状部1と、その内側環状部1の外側に同心円状に設けられた中間環状部4と、その中間環状部4の外側に同心円状に設けられた外側環状部2と、内側環状部1と中間環状部4とを連結し、タイヤ周方向CDに各々独立して設けられた複数の内側連結部5と、外側環状部2と中間環状部4とを連結し、タイヤ周方向CDに各々独立して設けられた複数の外側連結部6とを備え、複数の外側連結部6は、中間環状部4のタイヤ幅方向一方側WD1から外側環状部2のタイヤ幅方向他方側WD2へ向かって延設される第1外側連結部61と、中間環状部4のタイヤ幅方向他方側WD2から外側環状部2のタイヤ幅方向一方側WD1へ向かって延設される第2外側連結部62とがタイヤ周方向CDに沿って配列されて構成されるものでもよい。このとき、内側連結部5の形状は特に限定されず、例えば、内側連結部5は、タイヤ幅方向WDに連続する板状体、すなわち板幅方向がタイヤ幅方向WDに一致するような板状体でもよい。
【0056】
中間環状部4の形状は、ユニフォミティを向上させる観点から、厚みが一定の円筒形状であることが好ましい。ただし、中間環状部4の形状は、円筒形状に限られず、多角形筒状などでもよい。
【0057】
中間環状部4の厚みは、内側連結部5と外側連結部6とを十分補強しつつ、軽量化や耐久性の向上を図る観点から、タイヤ断面高さHの3〜10%が好ましく、4〜9%がより好ましい。
【0058】
中間環状部4の引張モジュラスは、内側連結部5と外側連結部6とを十分補強して、耐久性の向上、負荷能力の向上を図る観点から、8000〜180000MPaが好ましく、10000〜50000MPaがより好ましい。
【0059】
中間環状部4の引張モジュラスは、内側環状部1のそれより高いことが好ましいため、熱可塑性エラストマー、架橋ゴム、その他の樹脂を繊維等で補強した繊維補強材料が好ましい。
【0060】
(2)さらに、上記の複数の内側連結部5は、
図5に示すような、内側環状部1のタイヤ幅方向一方側WD1から中間環状部4のタイヤ幅方向他方側WD2へ向かって延設される第1内側連結部51と、内側環状部1のタイヤ幅方向他方側WD2から中間環状部4のタイヤ幅方向一方側WD1へ向かって延設される第2内側連結部52とがタイヤ周方向CDに沿って配列されて構成されるものでもよい。
【0061】
(3)第1連結部31と第2連結部32(又は第1外側連結部61と第2外側連結部62)は、剛性を異ならせ、両者に剛性差を与えるようにしてもよい。剛性差を与える方法としては、例えば、第1連結部31と第2連結部32の引張モジュラスを異ならせたり、タイヤ径方向の厚みtを異ならせたり、湾曲部の曲率半径Rを異ならせたりする方法がある。
【0062】
タイヤ幅方向一方側WD1を車両内側として非空気圧タイヤTを車両に装着する場合、第1連結部31の剛性を第2連結部32の剛性よりも高くすることが好ましい。第1連結部31の剛性を第2連結部32の剛性の1.2倍以上に設定するのが特に好ましい。また、第1連結部31の剛性は第2連結部32の剛性に対し3倍以下が好ましい。第1連結部31の剛性が第2連結部32の剛性の3倍より大きくなると、第1連結部31と第2連結部32の剛性バランスが悪くなりユニフォミティが悪化する恐れがある。ネガティブキャンバー付きの車両の場合、両者の剛性差により第1連結部31よりも第2連結部32が撓みやすいため、タイヤの車両外側が接地しやすくなり、接地面積が広がる。また、第1連結部31の剛性が高いことで、タイヤの車両外側の剛性が高くなり、コーナリング時のグリップ力が向上する。よって、第1連結部31と第2連結部32の剛性を異ならせ、キャンバー付きの車両への装着方向を指定することで、接地面積の増大とグリップ力の向上により、コーナリング性能を向上できる。
【0063】
(4)前述の実施形態では、タイヤ周方向から見た第1連結部31及び第2連結部32に湾曲部が形成されている例を示したが、第1連結部31及び第2連結部32は湾曲部が形成されていない平板状でもよい。
【実施例】
【0064】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0065】
(1)接地圧分散
初めに、縦荷重2500Nを負荷した状態にて、非空気圧タイヤを徐々に転動(回転)させながら、すなわち、外側の連結部(連結部3、または外側連結部6)の外側端点の位置を接地面中央位置に対して徐々に変化させながら、それぞれの接地状態において、接地面の接地圧の分布を計測する。次いで、この接地圧の分布から、それぞれの接地状態における接地圧の分散を計算し、この分散の値が最大となる接地状態での接地圧分散の値を用いて評価する。比較例1での接地圧分散の最大値を100としたときの指数で示し、この値が大きい方が優れる。
【0066】
(2)ノイズ
非空気圧タイヤを装着した車両に、2名乗車で密粒アスコンの路面上を60km/hの速度で走行し、運転席窓より耳元の音圧を測定した。比較例1でのノイズを100としたときの指数で示し、この値が大きい方が優れる。
【0067】
(3)コーナリングパワー
いわゆるフラットベルト式コーナリング試験機において、内圧0kPa、荷重2500N、速度80km/hで、コーナリングパワーの測定を行った。比較例1でのコーナリングパワーを100としたときの指数で示し、この値が大きい方がコーナリング性能に優れる。
【0068】
比較例1
表1に示す寸法および物性等にて、
図7に示すような、内側環状部1、中間環状部4、外側環状部2、内側スポーク(内側連結部5に相当)、外側スポーク1(外側連結部6に相当)を備える支持構造体、その外周に設けられた3層の補強層7、並びにトレッドゴム8を備える非空気圧タイヤを作製し、上記性能を評価した。内側連結部5及び外側連結部6は、タイヤ幅方向に連続する板状体とした。接地圧分散、ノイズ、コーナリングパワー、質量の結果を表1に併せて示す。
【0069】
実施例1
表1に示す寸法および物性等にて、
図1に示すような、内側環状部1、外側環状部2、外側スポーク1,2(第1及び第2連結部31,32に相当)を備える支持構造体、その外周に設けられた3層の補強層7、並びにトレッドゴム8を備える非空気圧タイヤを作製し、上記性能を評価した。接地圧分散、ノイズ、コーナリングパワー、質量の結果を表1に併せて示す。
【0070】
実施例2
表1に示す寸法および物性等にて、
図4に示すような、内側環状部1、中間環状部4、外側環状部2、内側スポーク(内側連結部5)、外側スポーク1,2(第1及び第2外側連結部61,62に相当)を備える支持構造体、その外周に設けられた3層の補強層7、並びにトレッドゴム8を備える非空気圧タイヤを作製し、上記性能を評価した。内側連結部5は、比較例1と同様、タイヤ幅方向に連続する板状体とした。接地圧分散、ノイズ、コーナリングパワー、質量の結果を表1に併せて示す。
【0071】
実施例3
表1に示す寸法および物性等にて、
図5に示すような、内側環状部1、中間環状部4、外側環状部2、内側スポーク(第1及び第2内側連結部51,52)、外側スポーク1,2(第1及び第2外側連結部61,62に相当)を備える支持構造体、その外周に設けられた3層の補強層7、並びにトレッドゴム8を備える非空気圧タイヤを作製し、上記性能を評価した。接地圧分散、ノイズ、コーナリングパワー、質量の結果を表1に併せて示す。
【0072】
実施例4
外側スポーク1(第1連結部31に相当)と外側スポーク2(第2連結部32に相当)の引張モジュラスを異ならせたこと以外は実施例1と同じとした非空気圧タイヤを作製し、上記性能を評価した。接地圧分散、ノイズ、コーナリングパワー、質量の結果を表1に併せて示す。
【0073】
なお、何れの非空気圧タイヤも、タイヤの外径を535mm、タイヤ幅を140mm、リム径を14インチとした。
【0074】
【表1】
【0075】
表1の結果から以下のことが分かる。実施例1〜4の非空気圧タイヤは、比較例1と比較して、接地圧分散が良好となり、これに伴いノイズも低減している。また、実施例1〜4の非空気圧タイヤは、比較例1に比べて質量も抑えられる。実施例4は、実施例1と比較して、第1連結部31と第2連結部32の剛性を異ならせ、キャンバー付きの車両への装着方向を指定することで、コーナリング性能が向上している。