特許第6025501号(P6025501)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6025501
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】排出装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/66 20060101AFI20161107BHJP
   B65H 31/26 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   B65H29/66
   B65H31/26
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-235871(P2012-235871)
(22)【出願日】2012年10月25日
(65)【公開番号】特開2014-84216(P2014-84216A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】前田 邦博
(72)【発明者】
【氏名】西畑 雅博
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−240304(JP,A)
【文献】 特開2007−001728(JP,A)
【文献】 特開2008−050117(JP,A)
【文献】 特開2004−099191(JP,A)
【文献】 特開平01−127561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/54−31/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の用紙に後処理を施す後処理装置で作製されたシート成形物を排出トレイに排出搬送する搬送部と、
前記排出トレイが空状態であることを検出するトレイ空検知センサと、作製される前記シート成形物の厚みD、前記シート成形物の搬送方向長さX、重ね積載時における前記シート成形物間の間隔dを含むシート成形物情報と前記排出トレイの積載上限高さA、前記シート成形物の積載領域の総長さLを含む機器情報と、から得られる前記排出トレイに積載可能なシート成形物数nを少なくとも算出する積載量算出部と、を有する満杯検出部と、
前記トレイ空検知センサで前記排出トレイが空状態であることが検出されたとき前記搬送部の駆動を開始し、前記積載量算出部で算出された前記シート成形物数nを搬送すると、前記搬送部の搬送路上に前記シート成形物の少なくとも一部を重ねる重ね積載する制御モードで前記搬送部を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする排出装置。
【請求項2】
前記積算量算出部は、前記シート成形物数nと、前記シート成形物情報と前記機器情報とから得られる前記搬送部に積載可能なシート成形物数n’とを合計した装置内の最大積載上限量を示すシート成形物積載上限量Nを算出し、
前記制御部は、前記搬送部の駆動を開始してから搬送した前記シート成形物の搬送数が前記積算量算出部からの前記シート成形物積載上限量Nに達したときに、装置内の最大積載量に達したと判定して前記後処理装置に前記シート成形物の作製を停止させる制御を行うことを特徴とする請求項記載の排出装置。
【請求項3】
給紙部から給紙される前記用紙に所定の印刷処理を施す印刷装置と該印刷装置で印刷された前記用紙に所定の後処理を施して前記シート成形物を作製する前記後処理装置とで構成されるシート成形物作製システムに搭載され、
前記制御部は、前記満杯検出部が前記排出トレイの満杯状態を検出すると、前記給紙部からの給紙を停止し、前記シート成形物作製システム内に残留する作製途中のシート成形物の作製処理のみを実行するように前記シート成形物作製システムを制御することを特徴とする請求項1又は2記載の排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば後処理装置である製本装置や封入封緘装置で作製されるシート成形物(冊子、封書)を排出する排出装置に係り、特にシート成形物の排出先となる排出トレイが満杯となっても作製処理を停止させることなく排出処理が行える排出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置と接続され、画像形成装置により印刷された複数の印刷済み用紙に対する後処理を行う後処理装置として、例えば印刷済みの複数の本文用紙からなる用紙束を表紙用紙で綴じ処理を施す製本装置や封筒フォームから作製した封筒で内容物を封入封緘して封書を作製する封書作製装置が広く普及している。
【0003】
ところで、この種の後処理装置では、画像形成装置と連結した一連のシステムを構築することが多く、また作製されたシート成形物(冊子や封書)は総じて一般的な印刷済み用紙よりも厚みを有する。そのため、設置スペースは小さいほど好ましく、作製されたシート成形物をより多く装置内に積載可能な装置構成が求められている。
【0004】
下記特許文献1には、装置内における積載量を確保して省スペース化を図る冊子積載装置について開示されている。この装置では、複数の冊子を順次に搬出する搬出ローラと、搬出ローラから順次に搬出される複数の冊子を一部が重なった状態に順次に並べて移送する移送ベルトと、移送ベルトによって移送された冊子が積載される積載トレイと、移送ベルトにおける一冊あたりの移送量を積載トレイに積載されている冊子の量に応じた移送量に制御する制御回路とを備えて装置内における冊子の積載量を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−119089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の冊子積載装置では、排出処理における冊子の積載方法として、作製した冊子の一部が少しずつずらしながら重ねた状態(所謂、刺身重ね状態)による重ね積載を常時行うことで積載量を確保している。このため、装置内における積載量は確保できるが、作製する冊子の量が少ない場合等の重ね積載をする必要なく素早く排出するというユーザの利便性が損なわれていた。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、ユーザの利便性を考慮しつつ、作製したシート成形物の積載量を確保することのできる排出装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するため、請求項1記載の排出装置は、所定の用紙に後処理を施す後処理装置で作製されたシート成形物を排出トレイに排出搬送する搬送部と、
前記排出トレイが空状態であることを検出するトレイ空検知センサと、作製される前記シート成形物の厚みD、前記シート成形物の搬送方向長さX、重ね積載時における前記シート成形物間の間隔dを含むシート成形物情報と前記排出トレイの積載上限高さA、前記シート成形物の積載領域の総長さLを含む機器情報と、から得られる前記排出トレイに積載可能なシート成形物数nを少なくとも算出する積載量算出部と、を有する満杯検出部と、
前記トレイ空検知センサで前記排出トレイが空状態であることが検出されたとき前記搬送部の駆動を開始し、前記積載量算出部で算出された前記シート成形物数nを搬送すると、前記搬送部の搬送路上に前記シート成形物の少なくとも一部を重ねる重ね積載する制御モードで前記搬送部を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の排出装置は、請求項1記載の排出装置において、前記積算量算出部は、前記シート成形物数nと、前記シート成形物情報と前記機器情報とから得られる前記搬送部に積載可能なシート成形物数n’とを合計した装置内の最大積載上限量を示すシート成形物積載上限量Nを算出し、
前記制御部は、前記搬送部の駆動を開始してから搬送した前記シート成形物の搬送数が前記積算量算出部からの前記シート成形物積載上限量Nに達したときに、装置内の最大積載量に達したと判定して前記後処理装置に前記シート成形物の作製を停止させる制御を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の排出装置は、請求項1又は2記載の排出装置において、給紙部から給紙される前記用紙に所定の印刷処理を施す印刷装置と該印刷装置で印刷された前記用紙に所定の後処理を施して前記シート成形物を作製する前記後処理装置とで構成されるシート成形物作製システムに搭載され、
前記制御部は、前記満杯検出部が前記排出トレイの満杯状態を検出すると、前記給紙部からの給紙を停止し、前記シート成形物作製システム内に残留する作製途中のシート成形物の作製処理のみを実行するように前記シート成形物作製システムを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の排出装置によれば、排出トレイが空状態であることを検出するトレイ空検知センサと、作製されるシート成形物によって設定されるシート成形物情報と装置の機器情報とから得られる排出トレイに積載可能な成形物数nを少なくとも算出する積載量算出部とで構成された満杯検出部によって排出トレイが空状態であることが検出されたとき搬送部の駆動を開始し、積載量算出部で算出された成形物数nを搬送すると、搬送部の搬送路上にシート成形物を重ね積載する制御モードで当該搬送部を制御しているため、排出トレイの満杯状態に伴って生産ラインを即座に停止させることなく排出トレイの過積載によるシート成形物の溢れを防止することができる。また、排出トレイが満杯状態となっていないときはシート成形物を通常の排出搬送を行うため、ユーザが作製されたシート成形物をすぐに確認することができる。
【0014】
請求項2記載の排出装置によれば、積算量算出部に作製されるシート成形物によって設定されるシート成形物情報と装置の機器情報とから得られる排出トレイに積載可能なシート成形物数n及び搬送部に積載可能なシート成形物数n’を合計した装置内の最大積載上限量を示すシート成形物積載上限量Nを算出させ、搬送部の駆動を開始してから搬送したシート成形物の搬送数がシート成形物積載上限量Nに達したときにシート成形物の作製を停止させるように制御するため、装置内の最大積載量に達するまでシート成形物の作製を継続させることができ、生産ラインを不要に停止することなく、ユーザが排出トレイ内のシート成形物を取り除く時間を稼ぐことができる。
【0015】
請求項3記載の排出装置によれば、排出トレイが満杯状態となったときでも搬送部上にシート成形物を重ね積載しながら、給紙部の給紙を停止した後にシート成形物作製システム内に残留する作製途中のシート成形物のみを作製するため、新規のシート作製物の作製を停止したとしても即座にシート成形物作製処理が停止せず、生産性の低下を極力抑えつつユーザが排出トレイ内のシート成形物を取り除く時間を稼ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る第1形態の排出装置が搭載される製本システムの概略構成図である。
図2】(a)、(b)は第1形態の排出装置の概略構成図である。
図3】第1形態の排出装置の機能ブロック図である。
図4】(a)〜(c)は第1形態の排出装置における通常モードの動作図である。
図5】(a)〜(e)は第1形態の排出装置における重ね積載モードの動作図である。
図6】(a)、(b)は第1形態の排出装置における満杯検出部の構成例を示す説明図である。
図7】第1形態の排出装置における処理動作例を示すフローチャート図である。
図8】本発明に係る第2形態の排出装置が搭載される封書作製システムの概略構成図である。
図9】第2形態の排出装置の概略構成図である。
図10】第2形態の排出装置の機能ブロック図である。
図11】(a)は第2形態の排出装置における通常モードの動作図であり、(b)は第2形態の排出装置における重ね積載モードの動作図である。
図12】第2形態の排出装置における処理動作例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。また、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではなく、この形態に基づいて当業者などによりなされる実施可能な他の形態、実施例及び運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれる。
【0019】
なお、以下の説明では、印刷装置と接続して印刷済みの用紙に対して所定の後処理を施す後処理装置(第1形態では製本装置、第2形態では封入封緘装置)の排出部として本発明に係る排出装置を搭載する例で説明するが、これに限定されることはなく、これら後処理装置の後段に接続して使用することもできる。
【0020】
また、印刷装置で印刷された各種用紙に上述した各後処理装置で後処理が施されて作製された成形物(すなわち、製本装置によって作製された「冊子」又は封入封緘装置で作製された「封書」であり、一般的な印刷済み用紙と比して所定の厚みを有する作製物)を「シート成形物」として定義する。
【0021】
さらに、印刷装置としてインクジェット記録装置を用いた例で説明するが、作製するシート成形物の作製内容に応じて印刷用紙に所望の画像形成が可能であればよいため、インクジェット記録装置の他に例えば孔版印刷装置、複写機、レーザプリンタ等の各種画像形成装置を採用することもできる。
【0022】
[1.第1形態]
<1−1.製本システムの構成>
まず、第1形態の排出装置が搭載される製本システムについて説明する。図1に示すように、シート成形物を作製するシート成形物作製システムとしての製本システム100は、印刷装置110で印刷された表紙用紙及び本文用紙を製本装置120で製本処理を施してシート成形物である冊子を作製するものである。
【0023】
印刷装置110は、表紙用紙及び本文用紙となる用紙を印刷して排出する装置であり、各部を収納する筐体の内部又は側面等に複数種類の用紙(本文用紙や表紙用紙となる枚葉状の用紙)を収納可能な複数の給紙部111と、導入路112からの用紙を搬送するループ状の搬送経路113、シアン(C)、ブラック(K)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のインクをそれぞれ吐出する4つのインクジェット装置C、K、M、Yからなる印刷手段114と、印刷済みの各用紙を製本装置120に排出する第1の排出路115と、用紙をループ外に排出する第2の排出路116と、搬送経路113を搬送されてきた用紙を受け入れた後に逆行させて搬送経路113に戻して用紙の上下を反転させるスイッチバック路117とを備えている。
【0024】
製本装置120は、印刷装置110から搬送された印刷済みの表紙用紙及び本文用紙を導入するための導入搬送路121と、印刷済みの本文用紙を整合して用紙束を形成する整合部122と、導入搬送路121から分岐して印刷済みの表紙用紙及び本文用紙を整合部122側へ搬送する上部製本搬送路123と、印刷済みの表紙用紙を一時的に待機させるストックトレイ124と、印刷済みの表紙用紙を用紙束の厚みに応じた寸法になるように断裁する断裁部125と、整合部122から送り出された用紙束の背面と側面の一部とに接着剤を塗布する接着剤塗布部126と、用紙束を開閉駆動に挟持した状態で上下左右に移動可能な一対のクランパ127と、接着剤が塗布済みの用紙束の背面に表紙用紙を当接した状態で左右から表紙用紙を介して用紙束を押圧して表紙用紙が折り曲げる折り曲げ部128と、上部製本搬送路123から送り出された印刷済みの表紙用紙を折り曲げ部128へ搬送するための下部製本搬送路129と、折り曲げ部128から落下する完成した冊子をガイドするガイド部材130と、ガイド部材130の間を通過しながら折り曲げ部128から落下した冊子を排出トレイ131aまで排出搬送する排出部131と、製本システム100における各部の駆動制御を行う統括制御部132(図例では製本装置120に搭載)とで構成されている。
【0025】
そして、第1形態の排出装置1は、製本システム100における製本装置120の排出部131として機能し、排出トレイ131aの積載状況に応じて作製された冊子の搬送方法を可変しながら排出搬送している。
【0026】
<1−2.排出装置の構成>
次に、第1形態の排出装置1について説明する。図2又は図3に示すように、第1形態の排出装置1は上述した製本装置120の排出部131として機能し、作製された冊子を排出トレイ2(製本装置120の排出トレイ131aと同一であり、説明の便宜上、以下「排出トレイ2」として説明する。)に向けて排出搬送している。排出装置1は、搬送部3と、満杯検出部4と、制御部5と、通知部6とを備えて構成され、図2(a)に示すように通常時は作製された冊子を排出トレイ2に排出搬送し、排出トレイ2が満杯状態になると、図2(b)に示すように搬送部3に冊子を重ね積載している。なお、制御部5は、本装置専用の構成として備えた構成の他、上述した統括制御部132がその機能を賄ってもよい。
【0027】
また、本形態では排出トレイ2の積載上限高さを「A」、作製される冊子の厚み(シート成形物の厚み)を「D」、冊子の搬送方向長さ(シート成形物の搬送方向長さ)を「X」、重ね積載時における冊子間の間隔(シート成形物間の間隔)を「d」、排出トレイに積載可能な冊子の数(シート成形物数)を「n」、後述する第2搬送部3bの積載可能な冊子の数(シート成形物数)を「n’」、第2搬送部3bにおける冊子の積載領域の総長さ(シート成形物の積載領域の総長さ)を「L」、排出トレイ2に冊子が残っていた場合の残留冊子高さ(残留シート成形物高さ)を「h」としてそれぞれ表記する。
【0028】
搬送部3は、ベルトコンベア等の搬送装置で構成され、第1搬送部3aと、第2搬送部3bとを備えている。搬送部3は、制御部5の制御により、排出トレイ2が満杯か否かによって第2搬送部3bの搬送方法が適宜可変制御される。
【0029】
第1搬送部3aは、ガイド部材130の下方に配設され、折り曲げ部128によって用紙束に表紙用紙が接着されることで作製された冊子を受け取り、この受け取った冊子を第2搬送部3bに搬送している。本形態では第2搬送部3bの上方に配設されるため、所定方向に搬送された冊子は、搬送に伴って第1搬送部3aから落下して第2搬送部3bに受け渡される。
【0030】
第2搬送部3bは、第1搬送部3aの下方に配設され、第1搬送部3aから搬送された冊子を上流側で受け取り、下流側に設置される排出トレイ2まで排出搬送している。本形態では第1搬送部3aの搬送に伴って落下した冊子を受け取り、この受け取った冊子を排出先である排出トレイ3bまで搬送している。
【0031】
ここで、図4又は図5を参照しながら、搬送部3の駆動方法について説明する。搬送部3は、制御部5からの搬送モード情報により「通常モード」又は「重ね積載モード」の2種類の制御モードで制御される。
【0032】
(通常モード)
通常モードは、排出トレイ2が積載上限に達しておらず、第2搬送部3bに重ね積載する必要がなく通常の排出搬送処理を行う場合に設定される制御モードである。
図4(a)に示すように、まず第1搬送部3aがガイド部材130を介して落下した冊子を受け取ると、この冊子を第2搬送部3bの上流側(図中左方向)に向かって搬送する。次に、図4(b)に示すように、第2搬送部3bは、第1搬送部3aによって搬送された冊子を受け取るため排出方向と逆方向(図中左方向)に駆動して、第1搬送部3aから搬送された冊子を上流側で受け取る。そして、図4(c)に示すように、第2搬送部3bは、第1搬送部3aから受け取った冊子を排出方向(図中右方向)に搬送して排出トレイ2に排出する。
【0033】
なお、通常モードによる冊子の搬送間隔は、冊子が排出トレイ2に排出されるタイミングで次に排出する冊子を受け取る制御、又は第2搬送部3bの下流側に未排出の冊子がある状態で次に排出する冊子を受け取る制御のどちらでもよい。
【0034】
(重ね積載モード)
重ね積載モードは、排出トレイ2が積載上限に達し、第2搬送部3bで重ね積載が必要な排出状態のときに設定される制御モードである。
図5(a)に示すように、まず第1搬送部3aがガイド部材130を介して落下した冊子を受け取ると、この冊子を第2搬送部3bの上流側(図中左方向)に向かって搬送する。次に、図5(b)に示すように、第2搬送部3bは、予め設定された重ね間隔dの第1搬送部3aによって搬送された冊子を受け取るため排出方向と逆方向(図中左方向)に駆動して、第1搬送部3aから搬送された冊子を上流側で受け取る。次に、図5(c)に示すように、受け取った冊子を予め設定された重ね間隔dの距離だけ排出方向(図中右方向)へと搬送する。そして、図5(d)に示すように、重ね間隔dだけ移動した位置から再度排出方向と逆方向(図中左方向)へと冊子を搬送しながら第1搬送部3aから次の冊子を受け取る。これにより、新たに受け取った冊子が前回受け取った冊子の少なくとも一部が重なった状態(所謂、刺身重ね状態)で重ね積載される。
【0035】
以降、図5(c)及び図5(d)に示す動作を繰り返すことで、排出トレイ2に向かって徐々に重ね積載が行われる。そして、図5(e)に示すように、第2搬送部3bにおける排出側端部に設けられた搬送部満杯センサ4bによって冊子が検出されると、第2搬送部3bの積載上限まで冊子が重ね積載されたことを示すため冊子の搬送が停止される。これにより、積載上限に達した排出トレイ2に冊子が排出されず、過積載により排出トレイ2から冊子が溢れることを防止することができる。
【0036】
なお、重ね積載モードにおいて、排出トレイ2の満杯状態が解除されたとき(すなわち、トレイ満杯センサ4aによる冊子の検出が未検出となったとき)は、再度トレイ満杯センサ4aが冊子を検出するまで通常モードにより冊子を排出トレイ2に排出搬送する。
【0037】
満杯検出部4は、排出トレイ2又は第2搬送部3bの積載状態が満杯であることを検出すると、この満杯状態を示す満杯状態情報(トレイ満杯状態情報、搬送部満杯状態情報)を制御部5に出力している。満杯検出部4としては、所定箇所に設置したセンサを用いて排出トレイ2又は第2搬送部3bの満杯検出を行う構成と、作製されるシート成形物の作製情報(厚み、サイズ、搬送間隔等を含む)である冊子情報と装置の機器情報とから算出された排出トレイ2又は第2搬送部3bの最大積載数と冊子の搬送数から満杯検出を行う構成の2種類があり、使用環境等に応じて適宜選択したり組み合わせて採用することができる。
【0038】
(センサを用いた構成)
図6(a)に示すように、満杯検出用のセンサとして投受光センサ等の各種センサを用いた満杯検出部4は、排出トレイ2の冊子の積載状態から積載上限を検出するトレイ満杯センサ4aと、第2搬送部3b上に重ね積載された冊子の積載上限を検出する搬送部満杯センサ4bとで構成されている。図例では、トレイ満杯センサ4aを排出トレイ2の積載上限位置近傍に配設し、搬送部満杯センサ4bを第2搬送部3bの排出側端部近傍に配設した例である。また、トレイ満杯センサ4aは、排出トレイ2内に積載された冊子が取り除かれたか否かの検出も可能であり、満杯となった排出トレイ2から冊子が取り除かれたことを検出すると、この検出結果を示すトレイ空情報を制御部5に出力している。
【0039】
次に、センサを用いた構成の満杯検出部4による排出トレイ2又は第2搬送部3bの満杯状態を検出する処理について説明する。
満杯検出部4は、制御部5から満杯検出処理開始指示を受けると、排出トレイ2が満杯になりトレイ満杯センサ4aによって積載された冊子が検出されると、排出トレイ2が満杯になったことを示すトレイ満杯状態情報を制御部5に出力する。これにより、搬送部3の制御モードが通常モードから重ね積載モードへと切り替わる。
【0040】
重ね積載モードに切り替わると、搬送部満杯センサ4bの駆動を開始する。そして、重ね積載モードによって重ね積載されながら徐々に排出トレイ2に向けて搬送される冊子を搬送部満杯センサ4bが検出すると、第2搬送部3bが満杯になったことを示す搬送部満杯状態情報を制御部5に出力する。これにより、第2搬送部3bの搬送と製本処理が停止されるとともに、ユーザに対して第2搬送部3bが満杯であることを示す通知が通知部6より通知される。
【0041】
また、排出トレイ2が満杯となっている状態のとき、トレイ満杯センサ4aが排出トレイ2から冊子が取り除かれたことを検出すると、この検出結果を示すトレイ空状態情報を制御部5に出力する。これにより、重ね積載モードを停止し、第2搬送部3bに重ね積載された冊子を排出トレイ2に排出搬送した後、設定された作製部数に達していないときは再度通常モードに切り替えて冊子の搬送が行われる。
【0042】
(算出処理による構成)
図6(b)に示すように、算出処理による満杯検出部4は、作製される冊子によって設定されるシート成形物情報である冊子情報(冊子の厚さD、冊子の搬送方向長さX、重ね間隔d)と装置の機器情報(排出トレイ2の積載上限高さA、第2搬送部3bにおける冊子積載領域総長さL)とから得られる排出トレイ2に積載可能な冊子数n及び第2搬送部3bに積載可能な冊子数n’の合計値である装置内の最大積載上限量を示すシート成形物積載上限量Nを算出する積載量算出部4cと、例えば投受光センサ等の各種センサからなる排出トレイ2内の冊子の有無を検出するトレイ空検出センサ4dとで構成されている。
【0043】
次に、算出処理を行う構成の満杯検出部4で排出トレイ2又は第2搬送部3bの満杯状態を検出する処理について説明する。
満杯検出部4は、制御部5から満杯検出処理開始指示を受けると、トレイ空検出センサ4dで排出トレイ2内が空であると確認されると、第2搬送部3bに残留する未排出の冊子を排出させるため、制御部5に第2搬送部3bの搬送制御指示を出力する。そして、制御部5により第2搬送部3bの搬送制御が完了すると、作製される冊子の冊子情報と、装置の機器情報とから下記式1から排出トレイ2に積載可能な冊子数nを算出し、下記式2から第2搬送部3bに積載可能な冊子数n’を算出し、これらの合計値であるシート成形物積載上限量N(N=n+n’)を算出する。
(式1)A<D×n
(式2)L<d×n’+X
【0044】
また、排出トレイ2に冊子が残っている場合は、この残留した冊子を排出トレイ2内に排出した状態の積載上限を把握するため、下記式3から得られた排出トレイ2内の残留冊子高さhを用いて排出トレイ2に積載可能な冊子数nを算出する。
(式3)A−h<D×n
【0045】
なお、上記式1〜3を成立させる条件として、排出トレイ2内が空であることをトレイ空検出センサ4dが検出した上で、第2搬送部3b上に冊子が残留していない状態にするため第2搬送部3bを一度駆動させ、該搬送部3b上に残留している冊子を排出トレイ2に排出させる必要がある。また、算出された排出トレイ2に積載可能な冊子数n及び第2搬送部3bに積載可能な冊子数n’は、上記式1〜3を満たす下限値を採用する。
【0046】
次に、上記式1〜3を用いてシート成形物積載上限量Nを算出すると、搬送部3による冊子の搬送を開始するための搬送開始情報を制御部5に出力する。そして、搬送部3による冊子の排出搬送が開始され、排出トレイ2に積載可能な冊子数nだけ冊子が搬送されると、排出トレイ2が満杯になったことを示すトレイ満杯状態情報を制御部5に出力する。これにより、搬送部3の制御モードが通常モードから重ね積載モードへと切り替わる。
【0047】
重ね積載モードに切り替わると、第2搬送部3bに積載可能な冊子数n’となるまで冊子を重ね積載しながら徐々に排出トレイ2に向けて搬送する。そして、第2搬送部3bに積載可能な冊子数n’まで冊子を重ね積載すると、第2搬送部3bが満杯になったことを示す搬送部満杯状態情報を制御部5に出力する。これにより、第2搬送部3bの搬送と製本処理が停止されるとともに、ユーザに対して第2搬送部3bが満杯であることを示す通知が通知部6から通知される。
【0048】
また、排出トレイ2が満杯状態のとき、トレイ空検出センサ4dが排出トレイ2から冊子が取り除かれたことを検出すると、排出トレイ2が空になったことを示すトレイ空状態情報を制御部5に出力する。これにより、重ね積載モードを停止し、第2搬送部3bに重ね積載された冊子を排出トレイ2に排出搬送した後、設定された作製部数に達していないときは再度通常モードに切り替えて冊子の排出搬送が行われる。
【0049】
制御部5は、例えばCPUやROM、RAMなどで構成されたマイクロコンピュータで構成されている。制御部5は、満杯検出部4に対する満杯検出開始指示の出力制御、満杯検出部4からの満杯状態情報やトレイ空状態情報により適宜設定される制御モードに応じた搬送部3の搬送制御、満杯検出部4からの満杯状態情報による排出トレイ2や第2搬送部3bの満杯状態を判定する制御、制御モードに応じた通知制御情報を通知部6に出力する制御、満杯検出部4からの搬送部満杯状態情報による製本処理の停止制御情報を出力する制御、満杯の排出トレイ2が空になった後に製本処理を再開させる制御の他、排出装置1を構成する各部の駆動制御を行っている。
【0050】
通知部6は、ブザー等の鳴動装置やLEDランプ、液晶パネル等の各種表示装置で構成され、制御部5からの満杯通知情報(トレイ満杯通知情報、搬送部満杯通知情報)に応じてユーザに排出トレイ2又は第2搬送部3bが満杯であることを通知している。
【0051】
なお、通知制御情報の内容に応じて通知方法(例えば、鳴動のみの通知、点灯又は点滅表示のみの通知、メッセージ表示のみの通知及び鳴動、点灯/点滅表示、メッセージ表示の選択的な組み合わせによる通知)を予め識別可能に設定しておくことで、ユーザが通知を受けた際に、排紙トレイ2と第2搬送部3bのどちらが満杯であるかを把握しやすくする効果がある。
【0052】
<1−4.排出装置の処理動作>
次に、上述した第1形態の排出装置1における処理動作について、図7を参照しながら説明する。ここでは、上述した製本システム100における製本装置1に本装置を搭載した際の処理動作例である。なお、以下の説明では、製本された冊子を排出トレイ2に排出搬送する際の処理動作についてのみ説明し、製本装置100における製本処理等の説明は省略する。
【0053】
まず、製本条件として作製する冊子の部数、冊子サイズ、一冊あたりのページ数、作製される冊子に最適な重ね間隔d、印刷設定(例えば、カラー/モノクロの設定、両面/片面の設定等)を設定する(ST1)。次に、製本処理を開始して冊子を作製する(ST2)。そして、作製された冊子を排出トレイ2まで搬送するにあたり、排出トレイ2が満杯か否かを判定する(ST3)。
【0054】
このとき、排出トレイ2が満杯であると判定されると(ST3−Yes)、搬送部3の制御モードとして重ね積載モードが設定され(ST4)、ユーザに排出トレイ2が満杯であることを通知した後(ST5)、重ね積載モードにより作製された冊子を重ね積載を開始する(ST6)。そして、排出トレイ2の冊子が取り除かれて空になったか否かを判定する(ST7)。
一方、排出トレイ2が満杯でないと判定されると(ST3−No)、搬送部3の制御モードとして通常モードを設定し(ST9)、通常モードにより作製された冊子を排出トレイ2まで排出搬送する(ST10)。そして、製本条件で設定された部数の冊子を作製したか否かの判定を行う(ST11)。
【0055】
ST7において、排出トレイ2が空になったと判定されると(ST7−Yes)、重ね積載モードを停止して第2搬送部3b上に重ね積載された冊子を排出トレイ2に排出搬送し(ST8)、製本条件で設定された部数の冊子を作製したか否かの判定を行う(ST11)。
一方、排出トレイ2が空になっていないと判定されると(ST7−No)、さらに第2搬送部3bが満杯であるか否かの判定を行う(ST13)。
【0056】
また、ST11において、製本条件で設定された部数の冊子が作製されている場合は(ST11−Yes)、装置内に残留する冊子を排出トレイ2まで排出し(ST12)、処理を終了する。
一方、製本条件で設定された部数の冊子が作製されていない場合は(ST11−No)、再度ST2まで戻って冊子の作製処理を継続する。
【0057】
ST13において、第2搬送部3bも満杯であると判定されたときは(ST13−Yes)、冊子の作製を停止させ(ST14)、ユーザに第2搬送部3bが満杯であること、すなわち装置内に積載可能な最大積載上限量(シート成形物積載上限量N)まで積載されたことを通知する(ST15)。そして、ユーザ通知後に、装置内から冊子が取り除かれたか否かの判定を行う(ST16)。
一方、第2搬送部3bが満杯でないと判定されたときは(ST13−No)、再度ST6に戻って重ね積載を継続する。
【0058】
また、ST16において、装置内から冊子が取り除かれた場合は(ST16−Yes)、ST2に戻って製本処理を再開させる。
一方、装置内から冊子が取り除かれていない場合は(ST16−No)、再度ST15に戻ってユーザに対する通知を継続する。
【0059】
以上説明したように、上述した第1形態の排出装置1は、製本装置100で作製された冊子を排出トレイ2まで搬送するにあたり、満杯検出部4によって排出トレイ2の積載状態を検出する。そして、満杯検出部4により排出トレイ2が満杯でないことが検出されたときは、この検出結果に応じて搬送部3の制御モードとして通常モードが設定される。そして、設定された通常モードで搬送部3を駆動制御して冊子を通常搬送により排出トレイまで排出搬送する。
【0060】
また、満杯検出部4により排出トレイ2が満杯であることが検出されたときは、この検出結果に応じて通常モードから重ね積載モードへと制御モードを切り替え、ユーザに排出トレイ2が満杯であることを通知する。そして、設定された重ね積載モードで搬送部3を駆動制御して第2搬送部3b上に冊子を重ね積載し、第2搬送部3bが積載上限に達すると、装置内が満杯状態であることをユーザに通知して製本処理を停止させる。
【0061】
これにより、通常モード時では装置内で搬送される作製済みの冊子をユーザが早く手にすることができ、重ね積載モードでは第2搬送部3b上に冊子を重ね積載することで排出トレイ2が満杯状態であっても製本処理を停止させることなく、ユーザが排出トレイ2の冊子を取り除く時間を稼ぐことができる。
【0062】
また、重ね積載モードでは、第2搬送部3bの排出側端部で重ね積載を終了させるため、冊子の過積載により排出トレイ2周辺に冊子が溢れて散乱することを防止することができる。さらに、重ね積載モード中に排出トレイ2が空となった場合は、制御モードを通常モードに切り替えるため、装置内で搬送される作製済みの冊子をユーザが早く手にすることができる。
【0063】
また、満杯検出部4がトレイ満杯センサ4aと搬送部満杯センサ4bとで構成されている場合、搬送部満杯センサ4bによって第2搬送部3b上の積載状態を監視しているため、第2搬送部3b上に重ね積載中のシート成形物がユーザによって取り除いたとしても、搬送部3の満杯状態を正確に検知することができる。
【0064】
さらに、満杯検出部4の構成として、センサによって満杯検出を行う構成(トレイ満杯センサ4a、搬送部満杯センサ4b)と算出による満杯検出を行う構成(積載量算出部4c、トレイ空検出センサ4d)とを組み合わせた場合は、積載量算出部4cで算出した装置内の最大積載上限量を示すシート成形物積載上限量Nに達する前にユーザによって第2搬送部3bから冊子が取り除かれたとしても、搬送部満杯センサ4bによって第2搬送部3bが満杯であることが検出されるまで冊子の重ね積載を継続させるので、第2搬送部3bの満杯状態を正確に検出することができる。
【0065】
[2.第2形態について]
<2−1.封書作製システムの構成>
まず、本発明に係る第2形態の排出装置が搭載される封書作製システムについて説明する。図8に示すように、シート成形物を作製するシート成形物作製システムとしての封書作製システム200は、印刷装置210と、封入封緘装置220とで構成され、封筒フォームや内容物となる用紙に印刷を施した後に封筒フォームで内容物を封入封緘してシート成形物である封書を作製する。
【0066】
印刷装置210は、封筒フォーム及び内容物となる用紙を印刷して排出する装置であり、各部を収納する筐体の内部又は側面等に複数種類の用紙(内容物となる枚葉状の用紙や封筒フォーム)を収納可能な複数の給紙部211と、導入路212からの用紙を搬送するループ状の搬送経路213、シアン(C)、ブラック(K)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のインクをそれぞれ吐出する4つのインクジェット装置C、K、M、Yからなる印刷手段214と、用紙を封入封緘装置220に排出する第1の排出路215と、用紙をループ外に排出する第2の排出路216と、搬送経路213を搬送されてきた用紙を受け入れた後に逆行させて搬送経路213に戻して用紙の上下を反転させるスイッチバック路217とを備えている。
【0067】
封入封緘装置220は、内容物となる用紙を搬送しながら必要に応じて所定の折り加工を施す内容物折り部221と、封筒となる封筒フォームを搬送しながら所定の折り加工を施す封筒フォーム折り部222と、搬送に伴って封筒フォームで内容物を包み込むように封入する封入部223と、内容物を封入した封筒に予め転写された再湿糊部分に水を塗布する水塗布処理部224と、搬送に伴って水塗布後の封筒を封緘する封緘部225と、封緘処理された封書を装置筐体外部に配設される排出トレイ226aに排出する排出部226と、封書作製システム200の各部を統括制御する統括制御部227とを備えて構成されている。
【0068】
そして、第2形態の排出装置11は、封書作製システム200における封入封緘装置220の排出部226として機能し、排出トレイ226aの積載状況に応じて作製された封書の搬送方法を可変しながら排出搬送している。
【0069】
<2−2.排出装置の構成>
次に、第2形態の排出装置11について説明する。図9又は図10に示すように、第2形態の排出装置11は、上述した封入封緘装置220の排出部226として機能し、搬送部13と、満杯検出部14と、制御部15と、通知部16とを備えて構成されている。排出装置11は、封緘部225で封緘処理され作製された封書を装置筐体外部に配設される排出トレイ11(封入封緘装置220の排出トレイ226aと同一であり、説明の便宜上、以下「排出トレイ11」として説明する。)に排出搬送するとともに、排出トレイ11が満杯状態になったときに搬送部13に封書を重ね積載している。なお、制御部15は、本装置専用の構成として備えた構成の他、上述した統括制御部227がその機能を賄ってもよい。
【0070】
搬送部13は、ベルトコンベア等の搬送装置で構成され、第1搬送部13aと、第2搬送部13bとを備えている。搬送部13は、制御部15の制御により、排出トレイ12が満杯か否かによって第2搬送部13bの搬送方法が適宜可変制御される。
【0071】
第1搬送部13aは、封緘部225で封緘処理された封書を第2搬送部13bまで搬送するため封入封緘装置220の筐体内部における封書搬送経路後段に設けられ、作製された封書を第2搬送部13bまで搬送する排出前搬送部として機能している。
【0072】
第2搬送部13bは、第1搬送部13aから搬送された封書を排出トレイ12まで搬送する際に封書を容易に抜き取り可能とするため、装置筐体の外側(なお、本形態では封入封緘装置220の上部)に露出した状態で設けられている。第2搬送部13bは、第1搬送部13aから搬送された封書を受け取って排出トレイ12の開口部まで搬送し、自由落下によって排出トレイ12に封書を落下排出するシューター部として機能している。また、第2搬送部13bは、後述する重ね積載モードへと移行した際に、封書作製システム200内に残留する作製途中の封筒フォーム及び内容物から作製された封書を全て積載可能とするため、少なくとも作製される封書の長手方向よりも大きく設計されている。
【0073】
ここで、図11を参照しながら、搬送部13の駆動方法について説明する。搬送部13は、制御部15からの搬送モード情報により「通常モード」又は「重ね積載モード」の2種類の制御モードで制御される。
【0074】
(通常モード)
通常モードは、排出トレイ12が積載上限に達しておらず、第2搬送部13bに重ね積載する必要がなく通常の排出搬送処理を行う場合に設定される制御モードである。
図11(a)に示すように、第1搬送部13aから封緘処理された封書を、順次第2搬送部13bに搬送する。そして、第2搬送部13bは、第1搬送部13aから搬送された封書を受け取り、排出方向(図中右方向)に向かって搬送して排出トレイ12に落下排出する。これにより、作製された封書は、排出トレイ12に積載載置される。
【0075】
(重ね積載モード)
重ね積載モードは、排出トレイ12が積載上限に達し、第2搬送部13bで重ね積載が必要な排出状態のときに設定される制御モードである。
図11(b)に示すように、排出トレイ12に積載された封書が積載上限位置まで達したことを満杯検出部14が検出すると通常モードから重ね積載モードへと切り替わり、第1搬送部13aから封緘処理された封書を、順次第2搬送部13bに搬送する。そして、第2搬送部13bは、搬送動作を停止し、第1搬送部13aから搬送された封書を順次重ね積載する。これにより、積載上限に達した排出トレイ12に封書が排出されず、過積載により排出トレイ12から封書が溢れることを防止することができる。
【0076】
また、重ね積載モードが設定されると、印刷装置210の給紙動作を停止することで新たな封書作製処理を停止するとともに、第1搬送部13aにおける排出側端部に設けられた投受光センサ等の各種センサからなる搬送検出部13cの駆動を開始させ、封書作製システム200内に残留する作製途中の封筒フォーム及び内容物を用いて作製された最後の封書を搬送検出部13cが検出するまで封書作製処理が実行される。そして、搬送検出部13cが給紙停止後に封書作製システム200内で最後に作製される封書を検出すると、封書の重ね積載と封書作製処理が停止とともに、ユーザに対して排出トレイ12が満杯であることを示す通知が通知部16から通知される。
【0077】
なお、重ね積載モードにおいて、排出トレイの満杯状態が解除されたとき(すなわち、トレイ満杯センサによる封書の検出が未検出となったとき)は、一旦第2搬送部13b上に重ね積載された封書を排出トレイ12に排出した後、設定された作製部数に達していないときは通常モードに切り替えて、満杯検出部14が封書を検出するまで再度封書の排出搬送が行われる。
【0078】
満杯検出部14は、例えば投受光センサ等の各種センサからなるトレイ満杯センサ14aで構成される。満杯検出部14は、搬送部13で搬送される封書により排出トレイ12が満杯であることを検出すると、この満杯状態を示す満杯状態情報(トレイ満杯状態情報)を制御部15に出力している。
【0079】
なお、本形態では、搬送部13の制御モードを切り替え制御して過積載により排出トレイ12から封書が溢れることを防止しているため、通常のトレイ満杯センサ14aの設置位置よりも高い位置に配設することができる。これにより、排出トレイ12の積載上限が通常よりも増大し、結果、装置内の最大積載量を増大させることができる。
【0080】
また、トレイ満杯センサ14aは、排出トレイ12内に積載された封書が取り除かれたか否かの検出も可能であり、満杯となった排出トレイ12から封書が取り除かれたことを検出すると、この検出結果を示すトレイ空情報を制御部15に出力している。よって、重ね積載モードを停止し、第2搬送部13bに重ね積載された封書を排出トレイ12に排出搬送した後、設定された作製部数に達していないときは再度通常モードに切り替えて封書の搬送が行われる。
【0081】
制御部15は、例えばCPUやROM、RAMなどで構成されたマイクロコンピュータで構成されている。制御部15は、満杯検出部14に対する満杯検出開始指示の出力制御、満杯検出部14からのトレイ満杯状態情報により適宜設定される制御モードに応じた搬送部13の搬送制御、満杯検出部14からのトレイ満杯状態情報による排出トレイ12の満杯状態や空状態を判定する制御、制御モードに応じた通知制御情報(トレイ満杯通知情報、封書作製停止情報)を通知部16に出力する制御、満杯検出部14からのトレイ満杯状態情報により給紙部211の給紙を停止させる停止制御情報を出力する制御、給紙部211の停止に伴い封書作製システム200内に残留する作製途中の封筒フォーム及び内容物を用いて作製された最後の封書を搬送検出部13cが検出するまで封書作製処理を実行させる制御、満杯の排出トレイ12が空になった後に封書作製処理を再開させる制御の他、排出装置11を構成する各部の駆動制御を行っている。
【0082】
通知部16は、ブザー等の鳴動装置やLEDランプや液晶パネル等の表示装置で構成され、制御部15からの通知制御情報(トレイ満杯通知情報)に応じてユーザに対して排出トレイ12が満杯であることを通知している。
【0083】
<2−3.排出装置の処理動作>
次に、第2形態の排出装置11における処理動作について、図12を参照しながら説明する。ここでは、上述した封書作製システム200における封入封緘装置220に本装置を搭載した際の処理動作例である。なお、以下の説明では、作製された封書を排出トレイ12に排出搬送する際の処理動作についてのみ説明し、封入封緘装置220における封書の封入封緘処理等の説明は省略する。
【0084】
まず、封書作製条件として作製する封書の部数、封書のサイズ、印刷設定(例えば、カラー/モノクロの設定、両面/片面の設定等)を設定する(ST21)。次に、封書作製処理を開始して封書を作製する(ST22)。そして、作製された封書を排出トレイ12まで搬送するにあたり、排出トレイ12が満杯であるか否かを判定する(ST23)。
【0085】
このとき、排出トレイ12が満杯であると判定されると(ST23−Yes)、搬送部13の制御モードとして重ね積載モードが設定され(ST24)、印刷装置210に給紙停止情報が出力され給紙部211による給紙を停止するとともに(ST25)、搬送検出部13cの駆動を開始する(ST26)。次に、ユーザに排出トレイ12が満杯であることを通知した後(ST27)、重ね積載モードにより作製された封書を重ね積載を開始する(ST28)。そして、排出トレイ12から封書が取り除かれて空になったか否かを判定する(ST29)。
一方、排出トレイ12が満杯でないと判定されると(ST23−No)、搬送部13の制御モードとして通常モードを設定し(ST32)、作製された封書を通常モードで排出トレイ12まで排出搬送する(ST33)。そして、封書作製条件で設定された部数の封書を作製したか否かの判定を行う(ST34)。
【0086】
ST29において、排出トレイ12が空になっている場合は(ST29−Yes)、重ね積載モードを停止し(ST30)第2搬送部13b上に重ね積載された封書を排出トレイ12に排出搬送し(ST31)、封書作製条件で設定された部数の封書を作製したか否かの判定を行う(ST34)。
一方、排出トレイ12が空になっていないと判定されると(ST29−No)、再度ST25に戻ってユーザに排出トレイ12が満杯である通知を継続する。
【0087】
また、ST33において、封書作製条件で設定された部数の封書が作製されている場合は(ST34−Yes)、装置内に残留する封書を排出トレイ12まで排出し(ST35)、処理を終了する。
一方、封書作製条件で設定された部数の封書が作製されていない場合は(ST34−No)、再度ST22まで戻って封書の作製処理を継続する。
【0088】
以上説明したように、第2形態の排出装置11は、封入封緘装置220で作製された封書を排出トレイ12まで搬送するにあたり、満杯検出部14によって排出トレイ12の積載状態を検出する。そして、満杯検出部14により排出トレイ12が満杯でないことが検出されたときは、この検出結果に応じて搬送部13の制御モードとして通常モードが設定される。そして、設定された通常モードで搬送部13を駆動制御して封書を通常搬送により排出トレイ12まで排出搬送する。
【0089】
また、満杯検出部14により排出トレイ12が満杯であることが検出されたときは、この検出結果に応じて通常モードから重ね積載モードへと制御モードを切り替え、ユーザに排出トレイ12が満杯であることを通知する。そして、設定された重ね積載モードで搬送部13を駆動制御して第2搬送部13b上に封書を重ね積載し、給紙部211を停止させる。そして、封書作製システム200内に残留する作製途中の封筒フォーム及び内容物を用いて作製された最後の封書を搬送検出部13cが検出するまで封書作製処理を実行させるとともに、排出トレイ12が満杯であることをユーザに通知する。
【0090】
これにより、排出トレイ12が満杯状態となったときでも第2搬送部13b上に封書を重ね積載しながら給紙部211による給紙停止後に封書システム200内に残留する作製途中の封書作製を実行しているため、給紙部211の給紙を停止したとしても即座に封書作製処理が停止せず、生産性の低下を極力抑えつつユーザが排出トレイ12内の封書を取り除く時間を稼ぐことができる。
【0091】
さらに、搬送部13の制御モードを切り替え制御して過積載により排出トレイ12から封書が溢れることを防止しているため、通常のトレイ満杯センサ14aの設置位置よりも高い位置に配設することができ、装置内の最大積載量を増大させることができる。
【符号の説明】
【0092】
1、11…排出装置
2、12…排出トレイ
3、13…搬送部(3a、13a…第1搬送部、3b、13b…第2搬送部、13c…搬送検出部)
4,14…満杯検出部(4a、14a…トレイ満杯センサ、4b…搬送部満杯センサ、4c…積載量算出部、4d…トレイ空検出センサ)
5,15…制御部
6,16…通知部
100…製本システム
110、210…印刷装置
120…製本装置
200…封書作製システム
220…封入封緘装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12