(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0049】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0050】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の封止体の構成を説明する。具体的には、第1の基板と、エネルギー線を透過する第2の基板と、第1の基板と第2の基板の間に被封止体と、被封止体を囲み、第1の基板と第2の基板を貼り合わせる封止材と、を有する封止体である。第1の基板は、エネルギー線の一部を反射する高反射率領域と、エネルギー線に対する反射率が高反射率領域より低い低反射率領域と、を交互に封止材と重なる位置に備える。また、封止材は、エネルギー線の一部を吸収する低融点ガラス層を含む。
【0051】
本実施の形態で例示する封止体の構成によれば、第2の基板側から高反射率領域に向けて照射したエネルギー線の封止材に吸収されなかった一部は高反射率領域に反射され、第1の基板側から封止材に到達する。その結果、エネルギー線を効率良く封止材の加熱に利用できるだけでなく、封止材を厚さ方向に均一に加熱できる。
【0052】
また、第2の基板側から低反射率領域に向けて照射したエネルギー線の封止材に吸収されなかった一部は低反射率領域に到達する。低反射率領域の反射率は高反射率領域よりも低いため、高反射率領域と重なる領域に比べて抑制された効率で、封止材の加熱にエネルギー線が用いられる。その結果、封止材が過剰に加熱されることがない。
【0053】
本発明の一態様の封止体は、その第1の基板に高反射率領域と低反射率領域が交互に封止材と重なる位置に設けられているため、高反射率領域の面積に対する低反射率領域の面積の比率によって、エネルギー線が封止材を加熱する効率を調整できる。その結果、均一に封止された信頼性の高い封止体を提供できる。
【0054】
本実施の形態で例示する封止体の構成について、
図1及び
図2を参照して説明する。
【0055】
図1(A)は本発明の一態様の封止体の上面図であり、
図1(B)は
図1(A)の切断線M1−M2−M3−M4における断面図である。
【0056】
図1に例示する封止体100は、第1の基板101と、エネルギー線の少なくとも一部を透過する第2の基板102と、被封止体110と、被封止体110を囲み、第1の基板101と第2の基板102を貼り合わせる封止材131と、を有する。
【0057】
第1の基板101は、エネルギー線の一部を反射する高反射率領域105aと、エネルギー線に対する反射率が高反射率領域105aより低い低反射率領域105bと、を交互に封止材131と重なる位置に備える。また、封止材131は、エネルギー線の一部を吸収する低融点ガラス層を含む。
【0058】
また、
図1に例示する封止体100は、高反射率領域105aと低反射率領域105bが、交互に封止材131と交差して、封止材131の外側に延在する。第1の接続端子103と、第2の接続端子104は、いずれも被封止体110と電気的に接続されている。
【0059】
本発明の一態様の封止体100の構成がもたらす作用と効果を、第2の基板102側からエネルギー線を封止材131に沿って走査しながら照射して作製される封止体を例に説明する。
【0060】
高反射率領域105aと低反射率領域105bが、交互に封止材131と交差していると、高反射率領域105aと重なる封止材131は強く熱せられるが、低反射率領域105bと重なる封止材131は弱く熱せられる。その結果、高反射率領域105aの間に設けられた低反射率領域105bに重なる封止材131が熱の伝達を抑制し、エネルギー線が照射されていない部分の温度が高まり過ぎる現象を防ぐことができる。
【0061】
また、高反射率領域105aと低反射率領域105bが、封止材131の外側に延在していると、当該領域のいずれか熱伝導性がよい方から封止材131の外側に不要な熱が排出され、封止体100の内側の温度が高まりすぎる現象を防ぐことができる。または、熱伝導性がよい方同士が封止材131の外側で接して、排出した熱を伝達してしまう現象を抑制できる。その結果、均一に封止された信頼性の高い封止体100を提供できる。
【0062】
また、封止材131に沿って高反射率領域105aと低反射率領域105bが交互に規則的に設けられているため、封止材131に向けて高反射率領域105aが反射するエネルギー線の強度が安定する。その結果、エネルギー線の照射強度等の条件を、走査部分の構成に応じて変える必要がない。その結果、均一に封止された信頼性の高い封止体100を提供できる。また、エネルギー線の照射装置を簡略化できる。
【0063】
なお、本実施の形態の変形例として、
図1とは異なる構成を
図8(A)に示す。
図8(A)に例示する高反射率領域105aと低反射率領域105bは、封止材に対して斜めに交差する。
【0064】
また、
図1に例示する封止体100は、高反射率領域105aの面積に対する低反射率領域105bの面積の比率は、曲率半径の小さい封止材131が重なる部分に比べて、曲率半径の大きい封止材131が重なる部分において小さい。
【0065】
本実施の形態で例示する封止体100が備える構成がもたらす作用と効果を、第2の基板102側からエネルギー線を封止材131に沿って走査しながら照射して作製される封止体を例に説明する。
【0066】
封止材131を均一に加熱するには、封止材131の曲率半径によらず、エネルギー線の強度と走査速度を一定とすればよい。しかし、封止材131の曲率半径が小さい部分では走査速度を大きく加減速する必要があり、積算強度を一定とすることが難しい。その結果、封止材131が強く熱せられる傾向が強い。
【0067】
エネルギー線にレーザビームを用いる場合を例に、
図1(C)を参照して説明する。
図1(C)の左側の図は封止材131の屈曲部に沿ってレーザビームを走査する様子の模式図である。紙面の右から屈曲部に進入するレーザビームは、屈曲部で進行方向を変えるために減速し、紙面の縦方向に加速する。このような動作に由来して、レーザビームが過剰に屈曲部に照射され、封止不良が生じやすい。
【0068】
本発明の一態様の封止体は、エネルギー線の走査速度に応じて、あらかじめ高反射率領域の面積に対する低反射率領域の面積の比率を変えて設け、封止材を加熱する効率を調整するものである。本発明の一態様の封止体の一例を
図1(C)の右側の図に示す。レーザビームは、紙面の右から高反射率領域105aが設けられた直進部を通って、屈曲部に進入する。屈曲部は、高反射率領域105aの面積に対する低反射率領域105bの面積の比率を大きくしてあるため、レーザビームが封止材を加熱する効率が他の領域より低い。その結果、屈曲部で進行方向を変えるために減速し、紙面の縦方向に加速する間に、屈曲部にレーザビームが過剰に照射されても、封止不良が生じ難い。
【0069】
すなわち、封止材131の形状に基づいてあらかじめエネルギー線の走査速度を決定し、それに応じて、高反射率領域105aの面積に対する低反射率領域105bの面積の比率を変えて設けて、封止材131を加熱する効率を調整するものである。その結果、均一に封止された信頼性の高い封止体を提供できる。また、エネルギー線の照射装置を簡略化できる。
【0070】
なお、本実施の形態の変形例として、
図1(C)とは異なる構成を
図8(B)に示す。
図8(B)に例示する構成では、エネルギー線の走査方向についての高反射率領域105aの長さを屈曲部において短くすることにより、高反射率領域105aの面積に対する低反射率領域105bの面積の比率が大きい部分を形成している。
【0071】
以下に、本実施の形態で例示する封止体を構成する個々の要素について説明する。
【0072】
<第1の基板と第2の基板>
第1の基板101および第2の基板102はそれぞれ封止体の製造工程に耐えられる程度の耐熱性を備える。また、その厚さおよび大きさは製造装置に適用可能であれば特に限定されない。また、単層構造であっても、2層以上の層が積層された構造であってもよい。
【0073】
第1の基板101および第2の基板102はガスバリア性を有する。ガスバリア性の膜を第1の基板101および第2の基板102と、被封止体との間に設けてガスバリア性を付与した基板であってもよい。ガスバリア性の程度は、被封止体の特性に応じて設計すれば良い。
【0074】
例えば、一対の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を備える発光素子を被封止体とする場合には、ガスバリア性が水蒸気透過率として10
−5g/m
2・day以下、好ましくは10
−6g/m
2・day以下とする。この程度のガスバリア性を備える第1の基板101と第2の基板102の間に発光素子を封止することにより、高い信頼性を有する発光モジュールを提供できる。
【0075】
また、第1の基板101および第2の基板102は、封止材131を破壊しない程度の可撓性を有していてもよい。可撓性を有する基板としては、例えば厚さが50μm以上500μm以下の薄いガラスや、金属箔を用いることができる。
【0076】
第1の基板101は、無機材料を用いた基板の他、有機材料と無機材料の複合材料を用いた基板であってもよい。無機材料を用いた基板としては、例えばガラス基板、セラミックス基板、金属基板等が挙げられる。有機材料と無機材料の複合材料を用いた基板としては、例えば樹脂基板と無機材料の積層体、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、プリプレグ等が挙げられる。
【0077】
第2の基板102は、第1の基板101と同様に無機材料を用いた基板の他、有機材料と無機材料の複合材料を用いた基板であってもよい。なお、第2の基板102は、エネルギー線を透過する領域を、封止材131と重なる位置に備える。
【0078】
ここで、封止工程に用いることができるエネルギー線について説明する。エネルギー線は、照射した部位に局所的にエネルギーを伝搬できるものであればよい。例えば、粒子ビーム(例えば、電子線等)、電磁波ビーム(例えば、光ビームやマイクロ波ビーム等)、超音波ビームなどが挙げられる。
【0079】
特に、レーザが発する光ビーム(レーザビームともいう)が便利である。レーザビームを用いると、高密度のエネルギーを、第2の基板102に吸収されることなく封止材131に選択的に吸収させることができる。
【0080】
なお、光ビームの波長は、第2の基板102と封止材131の組み合わせを考慮して選択すればよく、紫外光、可視光、または赤外光のいずれでも良い。
【0081】
レーザとしては、例えば固体レーザ、ガスレーザまたは半導体レーザを用いることができる。
【0082】
なお、一のレーザビームが適用可能な第2の基板102は、そのレーザビームを透過する。例えば可視光のレーザビームを用い、無機材料を第2の基板102に用いる場合、第2の基板102としては、例えば無アルカリガラス基板、バリウムホウケイ酸ガラス基板、アルミノホウケイ酸ガラス基板、石英基板、サファイア基板等を用いることができる。
【0083】
<高反射率領域と低反射率領域>
高反射率領域105aは、低反射率領域105bより、第2の基板102側から入射するエネルギー線に対する反射率が高い。高反射率領域105aは高反射率層で形成され、低反射率領域105bは低反射率層で形成されている。また、高反射率領域105aの高反射率層と第2の基板102の間には、低反射率層が設けられていない。低反射率領域105bの低反射率層と第2の基板102の間には、高反射率層が設けられていない。
【0084】
高反射率領域と低反射率領域の形態として、エネルギー線の走査方向についての高反射率領域の長さが150μmであって、低反射率領域の長さが50μmである構成や、高反射率領域の長さが75μmであって、低反射率領域の長さが5μmである構成や、高反射率領域の長さが50μmであって、低反射率領域の長さが1μmである構成などを例示できる。
【0085】
<高反射率層と低反射率層>
第1の基板101に設けられた高反射率層は、エネルギー線を反射するものであって、その反射率が低反射率層より高くなるように、高反射率層と低反射率層を選択して用いる。
【0086】
高反射率層または低反射率層は、金属、合金、金属窒化物、金属酸化物、半導体、絶縁体等を含む層を、単層または積層して用いることができる。
【0087】
金属または合金としては、具体的にはアルミニウム、銅、クロム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた元素を含むものが挙げられる。
【0088】
また、アルミニウムを含む合金は導電性が高いだけでなく反射率も高い。アルミニウムを含む合金としては、ニッケルを含むアルミニウム、ランタンとニッケルを含むアルミニウム、シリコンを含むアルミニウムを用いることができる。
【0089】
金属窒化物としては、具体的には窒化チタン、窒化モリブデン、窒化タングステン等が挙げられる。
【0090】
高反射率層または低反射率層に適用可能な積層された材料としては、下側または上側の一方または双方に、高融点金属若しくは上述の金属窒化物が積層された構成が挙げられる。なお、高融点金属としては、具体的にはクロム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン、ネオジム、スカンジウム、イットリウムなどが挙げられる。アルミニウムや銅の下側または上側の一方または双方に積層する構成とすると、アルミニウムや銅の耐熱性や腐食性に由来する問題を回避できる。
【0091】
高反射率層の構成として、窒化タンタル層にタングステン層を重ねた積層体や、厚さ100nmのチタン層と厚さ200nmのチタン層の間に厚さ600nmのアルミニウム層を重ねた積層体を一例として挙げることができる。
【0092】
半導体材料としては、例えば金属シリサイドや導電性の金属酸化物を用いることができる。導電性の金属酸化物の具体例としては、酸化インジウム、酸化スズ、インジウム−スズ酸化物(ITOともいう)、インジウム−亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムまたはアルミニウムが添加された酸化亜鉛、またはこれらの金属酸化物に酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0093】
絶縁体としては、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、シロキサン系樹脂、SOG、ポリシラザン系SOG等から選ばれた一の絶縁体、またはこれらから選ばれた一を含むものを用いることができる。
【0094】
<被封止体>
被封止体110には、さまざまな素子(例えば、電子素子、発光素子、回路素子、記憶素子、演算素子等)を適用できる。
【0095】
なお、被封止体110の一部は、高反射率層または低反射率層を兼ねる。例えば、被封止体110の接続端子が高反射率層を兼ねてもよい。また、被封止体110のアンテナまたはコイルが高反射率層を兼ねてもよい。このような構成とすることで封止材に重ねて設けられた金属層を介して被封止体110が封止体の外部と電気的に接続できる。その結果、外形の大きさが抑制された封止体を提供できる。または、封止体の外部にある回路と電気的に接続可能なさまざまな素子(例えば、電子素子、発光素子、回路素子、記憶素子、演算素子等)を被封止体に用いた封止体を提供することができる。
【0096】
なお、第1の基板101上に被封止体110を設けてもよく、あらかじめ作製された一部を第1の基板101上に形成された他の一部と接続して、被封止体110としてもよい。
【0097】
<封止材>
封止材131は、被封止体110を囲み、第1の基板101と第2の基板102の間にあって、それぞれに融着している。言い換えると、封止材131は第1の基板101と第2の基板102を貼り合わせて、その間に被封止体110を封止している。
【0098】
封止材131は層状である。また、照射されたエネルギー線を吸収する。封止材131の厚さとしては、7μm程度のものを一例として挙げることができる。特に、照射されたエネルギー線が、第2の基板の側から封止材131を通って高反射率層に達するまでの過程と、高反射率層で反射されたエネルギー線が再び封止材131を通る過程のそれぞれにおいて吸収されるように、吸収と厚さが調整されていると好ましい。このようにすることにより、封止材131を深さ方向に均等に加熱できる。その結果、均一な封止がされた信頼性の優れた封止体を提供できる。
【0099】
封止材131は、ガスバリア性を有する。例えば、一対の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を備える発光素子を被封止体とする場合には、具体的にはガスバリア性が水蒸気透過率として10
−5g/m
2・day以下、好ましくは10
−6g/m
2・day以下であると、発光素子を封止した発光モジュールの信頼性を高められるため好ましい。特に、封止材131が無機材料であると好ましい。一般に無機材料は有機材料に比べて密度が高く、物質の拡散速度が小さく、ガスバリア性に優れるため、封止材に適している。
【0100】
封止材131は熱溶融性を有する。封止工程においてエネルギー線に加熱される封止材131の到達温度は、被封止体110、第1の基板101または第2の基板102に与える損傷を低減するために、封止材131が到達する温度を800℃以下好ましくは600℃以下に抑制し、その温度で融着可能である構成を選択して用いる。なお、封止工程に要する封止材131の温度は、例えば軟化点を超える必要がある。低融点ガラスとしては、例えば軟化点が400℃以上のものがある。
【0101】
例えば、400℃以上600℃以下の温度で第1の基板101または第2の基板102と融着可能である構成が好ましい。400℃以下で融着可能とすると、常温での使用に支障があり、600℃以上で融着可能とすると、被封止体に熱による損傷を与えてしまう。
【0102】
封止材131は、エネルギー線の吸収材を含んでいても良い。吸収材は、照射するエネルギー線の種類に応じて選択して用いればよく、例えば半導体レーザを用いる場合は、吸収材として黒色顔料などを封止材131に分散して用いることができる。
【0103】
封止材131に用いることができる材料としては、例えば低融点ガラス、ハンダ等が挙げられる。低融点ガラスの具体例としては、鉛系ガラス、ビスマス系ガラス、バナジウム系ガラス等が挙げられる。これらからの材料の中から、例えば350℃以上500℃以下の温度で封着できる低融点ガラスを選ぶことができる。
【0104】
<変形例>
本実施の形態の変形例で例示する封止体を、
図2を参照して説明する。本実施の形態の変形例で例示する封止体100は、高反射率領域105aと、低反射率領域105bの構成を除いて
図1に例示した封止体100と同様の構成を備える。よって、ここでは高反射率領域105aと、低反射率領域105bの構成について詳細に説明し、その他の構成についての説明は、
図1についてした説明を援用するものとする。
【0105】
本実施の形態の変形例で例示する封止体100は、高反射率領域105aと低反射率領域105bが、封止材131に沿って延在している。
【0106】
例えば、高反射率層に金属層を適用し、封止材131に重ねて渦巻き状に配置して、高反射率領域105aを形成できる。
【0107】
なお、渦巻き状に配置された金属層は、被封止体110のコイルとすることができる。例えば、封止体の外周に沿って封止材に重ねて設けられたコイルと、当該コイルに接続する集積回路と、を備える被封止体110を封止して、RFID(Radio Frequency Identification)タグに応用可能な封止体100を構成できる。
【0108】
本実施の形態の変形例で例示する封止体が備える構成がもたらす作用と効果を、第2の基板側からエネルギー線を封止材に沿って走査しながら照射して作製される封止体を例に説明する。
【0109】
エネルギー線の走査方向に直交する方向についてその積算強度に分布があると、封止材131を均一に加熱できず、封止不良が発生してしまう場合がある。しかし、高反射率領域105aと低反射率領域105bを、エネルギー線の積算強度に応じて設けると、その分布を補正でき、封止材131を均一に加熱できる。具体的には、エネルギー線の積算強度が低い部分に高反射率領域105aを、エネルギー線の積算強度が高い部分に低反射率領域105bを設ければよい。これにより、エネルギー線の積算強度の分布を補正できる。その結果、均一に封止された信頼性の高い封止体を提供できる。
【0110】
例えば、エネルギー線として、照射面に投影される形態が円形のレーザビームを第2の基板側から、封止材131に沿って走査しながら照射する場合、走査方向に直交する方向についてレーザビームの積算強度に分布が生じる場合がある(
図2(C)参照)。その理由は以下のように説明できる。
【0111】
円形のレーザビームスポットを走査方向に沿って短冊状に分割してみると、中心の短冊が最も長く、その長さはおよそレーザビームスポットの直径の長さと等しい。また、レーザビームスポットの端部に近づくほど、短冊の長さは短くなる。このようなレーザビームスポットを走査すると、レーザビームスポットの中心を含む短冊が通過する範囲に最も長い時間レーザビームが照射されることとなる。そして、レーザビームスポットの端部に近い短冊程、レーザビームの照射時間が短くなる。このような理由から、走査方向に直交する方向について、レーザビームの積算強度に分布が生じてしまう場合がある。そして、このような分布が生じると、封止材131を均一に加熱できず、封止不良が発生してしまう場合がある。
【0112】
なお、走査方向に直交する方向について、レーザビームの積算強度に分布が生じてしまう現象は、レーザビームスポットが矩形または線状であっても生じうる。具体的には、その端部の積算エネルギー強度が中央に比べて低い場合に生じうる。
【0113】
本実施の形態の変形例で例示する封止体は、照射されるエネルギー線の積算強度に応じて、高反射率領域105aと低反射率領域105bが設けられている(
図2(C)参照)。具体的には、照射されるエネルギー線の積算強度が小さい部分(例えば、レーザビームスポットの端部)に高反射率領域105aが、照射されるエネルギー線の積算強度が大きい部分(例えば、レーザビームスポットの中心部)に低反射率領域105bが設けられている。このような構成とすることで、レーザビームの端部が通過する部分(言い換えると、レーザビームの照射時間が短い部分)では、第2の基板102側から封止材131に入射する光だけでなく、高反射率領域105aに反射された光も封止材131に照射されるため、積算強度の分布を補正できる。その結果、外形の大きさが抑制され、且つ均一な封止がされた信頼性の優れた封止体を提供できる。
【0114】
また、封止材131に沿って高反射率領域105aと低反射率領域105bが設けられているため、封止材131に向けて高反射率領域105aが反射するエネルギー線の強度が安定し、エネルギー線の照射強度等の条件を、走査部分の構成に応じて変える必要がない。その結果、均一に封止された信頼性の高い封止体を提供できる。また、エネルギー線の照射装置を簡略化できる。
【0115】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0116】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光モジュールの構成を説明する。具体的には、第1の基板と、エネルギー線を透過する第2の基板と、第1の基板と第2の基板の間に被封止体と、被封止体を囲み、前記第1の基板と前記第2の基板を貼り合わせる封止材と、を有する封止体に、被封止体として、第1の電極と第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を備える発光素子が封止された発光モジュールである。特に、第1の基板は、エネルギー線の一部を反射する高反射率領域と、エネルギー線に対する反射率が高反射率領域より低い低反射率領域と、を交互に封止材と重なる位置に備える。また、封止材は、エネルギー線の一部を吸収する低融点ガラス層を含む。
【0117】
本実施の形態で例示する発光モジュールは、大気中の不純物の拡散により信頼性が損なわれ易く、高温を要する封止工程に耐える耐熱性を備えていない発光素子であっても高温に曝すことなく封止できる。その結果、均一に封止された信頼性の高い発光モジュールを提供できる。耐熱性の低い発光素子が損傷を受けることなく封止された発光モジュールを提供できる。
【0118】
本実施の形態で例示する発光モジュールの構成について、
図3を参照して説明する。
【0119】
図3(A)は本発明の一態様の発光モジュールの上面図であり、
図3(B)は
図3(A)の切断線M1−M2−M3−M4における断面図である。また、
図3(C)は
図3(A)の切断線M5−M6における断面図であり、
図3(D)は
図3(C)の変形例である。
【0120】
図3に例示する発光モジュール200は、第1の基板201と、エネルギー線を透過する第2の基板202と、第1の基板201と第2の基板202の間に発光素子210と、発光素子210を囲み、第1の基板201と第2の基板202を貼り合わせる封止材231と、を有する。発光素子210は、第1の電極211と第2の電極212とその間に発光性の有機化合物を含む層213を備える。特に、第1の基板201は、エネルギー線の一部を反射する高反射率領域205aと、エネルギー線に対する反射率が高反射率領域205aより低い低反射率領域205bと、を交互に封止材231と重なる位置に備える。また、封止材231は、エネルギー線の一部を吸収する低融点ガラス層を含む。
【0121】
以下に、本実施の形態で例示する発光モジュールを構成する個々の要素について説明する。
【0122】
<第1の基板と第2の基板>
第1の基板201および第2の基板202はそれぞれ発光モジュールの製造工程に耐えられる程度の耐熱性を備える。また、その厚さおよび大きさは製造装置に適用可能であれば特に限定されない。また、単層構造であっても、2層以上の層が積層された構造であってもよい。
【0123】
第1の基板201および第2の基板202はガスバリア性を有する。ガスバリア性の膜を第1の基板201および第2の基板202と、発光素子210との間に設けてガスバリア性を付与した基板であってもよい。ガスバリア性の程度は、不純物の拡散により信頼性が損なわれる発光素子210の特性に応じて設計すれば良い。
【0124】
例えば、一対の電極の間に発光性の有機化合物を含む層213を備える発光素子210の場合には、ガスバリア性が水蒸気透過率として10
−5g/m
2・day以下、好ましくは10
−6g/m
2・day以下とする。この程度のガスバリア性を備える第1の基板201および第2の基板202の間に、一対の電極の間に発光性の有機化合物を含む層213を備える発光素子210を封止することにより、高い信頼性を有する発光モジュール200を提供できる。
【0125】
発光素子210が備える一対の電極の少なくとも一方は、発光性の有機化合物を含む層213が発する光を透過し、第1の基板201または第2の基板202のいずれか一方は、発光素子210が発する光を透過する領域を備える。なお、発光素子210が発する光を透過する領域を、発光素子210と重なる位置に備えると、当該光を効率良く取り出せるため好ましい。
【0126】
また、第1の基板201および第2の基板202は、封止材231を破壊しない程度の可撓性を有していてもよい。可撓性を有する基板としては、例えば厚さが50μm以上500μm以下の薄いガラスや、金属箔を用いることができる。
【0127】
第1の基板201は、無機材料を用いた基板の他、有機材料と無機材料の複合材料を用いた基板であってもよい。無機材料を用いた基板としては、例えばガラス基板、セラミックス基板、金属基板等が挙げられる。有機材料と無機材料の複合材料を用いた基板としては、例えば樹脂基板と無機材料の積層体、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、プリプレグ等が挙げられる。
【0128】
第2の基板202は、第1の基板201と同様に無機材料を用いた基板の他、有機材料と無機材料の複合材料を用いた基板であってもよい。なお、第2の基板202は、エネルギー線を透過する領域を、封止材231と重なる位置に備える。なお、封止工程に用いることができるエネルギー線は、実施の形態1において説明したものを適用できるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0129】
また、一のレーザビームが適用可能な第2の基板202は、そのレーザビームを透過する。例えば可視光のレーザビームを用い、無機材料を第2の基板202に用いる場合、第2の基板202としては、例えば無アルカリガラス基板、バリウムホウケイ酸ガラス基板、アルミノホウケイ酸ガラス基板、石英基板、サファイア基板等を用いることができる。
【0130】
<高反射率領域と低反射率領域>
高反射率領域205aは、低反射率領域205bより、第2の基板202側から入射するエネルギー線に対する反射率が高い。高反射率領域205aは高反射率層206aで形成され、低反射率領域205bは低反射率層206bで形成されている。また、高反射率領域205aの高反射率層206aと第2の基板202の間には、低反射率層206bが設けられていない。低反射率領域205bの低反射率層206bと第2の基板202の間には、高反射率層206aが設けられていない。
【0131】
高反射率領域205aと低反射率領域205bの構成を
図3(C)に例示する。
図3(C)に例示する構成は、第1の基板201が低反射率層を兼ね、その上に高反射率層206aが島状に形成されている。高反射率層206aが形成された部分が高反射率領域205aとなり、高反射率層206aが形成されていない部分が低反射率領域205bとなる。
図3(C)の変形例を
図3(D)に示す。
図3(D)に例示する構成は、第1の基板201上に高反射率層206aが形成され、その上に低反射率層206bが島状に形成されている。低反射率層206bが形成された部分が低反射率領域205bとなり、低反射率層206bが形成されていない部分が高反射率領域205aとなる。
【0132】
他の構成としては、図示しないが、第1の基板201上に島状又は縞状の高反射率層206aと島状又は縞状の低反射率層206bを交互に設けてもよい。また、島状又は縞状の高反射率層206aの上にエネルギー線を透過し、封止材231と融着し易い層を設けてもよい。封止材231が融着し易い層としては、封止材231に用いる材料と親和性の高い材料が好ましく、例えば封止材231が低融点ガラスである場合、酸化珪素を含む層が好適である。
【0133】
高反射率層206aまたは低反射率層206b上に設けられた封止材231は、第1の基板201と第2の基板202に融着している。なお、第1の基板201と封止材231の融着強度を高めるために、アンカー層を設けてもよい。アンカー層は高反射率層206aと封止材231の両方に接するように、その間に設けてもよいし、低反射率層206bと封止材231の両方に接するように、その間に設けてもよい。または、高反射率領域205aと低反射率領域205bの間にアンカー層を島状または縞状に設けて、融着強度を高めても良い。
【0134】
<高反射率層と低反射率層>
本実施の形態で例示する発光モジュール200の高反射率層206aまたは低反射率層206bには、実施の形態1で説明した高反射率層または低反射率層と同様の材料を用いることができる。
【0135】
<被封止体>
本実施の形態で例示する発光モジュール200は、被封止体として発光素子210を有する。また、被封止体は第1の電極211と電気的に接続された第1の接続端子203と、第2の電極212と電気的に接続された第2の接続端子204とを有する。
【0136】
発光素子210は、第1の電極211と第2の電極212の間に発光性の有機化合物を含む層213を備える。発光素子210の第1の電極211と第2の電極212に電圧を印加すると、発光性の有機化合物を含む層213が光を発する。第1の電極211と第2の電極212の少なくとも一方は、発光性の有機化合物を含む層213が発する光を透過する。また、発光素子210は隔壁214を備える。隔壁214は絶縁性であり、発光素子210の発光を複数(例えば
図3においては2行6列)に区切ることができる。なお、発光素子210の構成は実施の形態5において詳細に説明する。
【0137】
本実施の形態で例示する発光モジュール200は、高反射率層206a、第1の電極211、第1の接続端子203及び第2の接続端子204が同一の工程で形成される層を含む。言い換えると、高反射率層206a、第1の電極211、第1の接続端子203及び第2の接続端子204は、どれもエネルギー線と発光性の有機化合物を含む層213が発する光を反射する。
【0138】
第1の電極211は、導電材料を含み、単層構造であっても、2層以上の積層構造であってもよい。また、その厚さは特に限定されない。
【0139】
導電材料は導電性を有し、作製工程に耐えられる材料であればよく、例えばモリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銀、銅、クロム、ネオジム、スカンジウム等から選ばれた一の金属、またはこれらから選ばれた一を含む合金を用いることができる。
【0140】
アルミニウムを含む合金としては、アルミニウム−ニッケル−ランタン合金、アルミニウム−チタン合金、アルミニウム−ネオジム合金等を挙げることができる。また、銀を含む合金としては、銀−ネオジム合金、マグネシウム−銀合金等を挙げることができる。また、金、銅を含む合金を用いることができる。
【0141】
導電材料は金属窒化物を用いることができる。具体的には、窒化チタン、窒化モリブデン、窒化タングステン等をその例に挙げることができる。
【0142】
導電材料は導電性の金属酸化物を用いることができる。具体的には、酸化インジウム、酸化スズ、インジウム−スズ酸化物(ITOともいう)、インジウム−亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムまたはアルミニウムが添加された酸化亜鉛、またはこれらの金属酸化物に酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0143】
本実施の形態では、第1の電極211にアルミニウム−ニッケル−ランタン合金を含む層にチタンを含む層を積層した積層構造を用いる。アルミニウム−ニッケル−ランタン合金は反射率が高く、反射電極に好適である。また、チタンを含む層により第1の電極211の表面に高抵抗の酸化皮膜が形成されてしまう現象を抑制できる。その結果、発光素子が発する光の強度の損失と電気抵抗に起因する電力の損失を低減できる。
【0144】
また、本実施の形態で例示する発光モジュール200の第2の電極212は、発光性の有機化合物を含む層213が発する光を透過する。
【0145】
第2の電極212に用いることができる材料としては、導電性の金属酸化物を用いることができる。導電性の金属酸化物の具体例としては、酸化インジウム、酸化スズ、インジウム−スズ酸化物(ITOともいう)、インジウム−亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムまたはアルミニウムが添加された酸化亜鉛、またはこれらの金属酸化物に酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0146】
また、発光性の有機化合物を含む層213が発する光を透過する程度に薄い金属層、好ましくは、5nm以上30nm以下の厚さを有する金属層を用いることができる。
【0147】
第2の電極212に用いることができる金属としては、例えば貴金属、希土類金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、具体的には、銀、金、イッテルビウム、エルビウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等を挙げることができる。または、これらの金属の一を含む合金、具体的には銀−ネオジム合金、マグネシウム−銀合金、アルミニウム−ニッケル−ランタン合金、アルミニウム−チタン合金、アルミニウム−ネオジム合金等を挙げることができる。
【0148】
<変形例>
本実施の形態の変形例で例示する発光モジュールは、上述の発光モジュール200と同様に第1の電極と第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を備える発光素子を有する。しかし、上述の発光モジュール200とは異なり、第1の基板側の第1の電極が、発光性の有機化合物を含む層が発する光を透過する導電層を含む。
【0149】
また、本実施の形態の変形例で例示する発光モジュールは、低反射率層と第1の電極、が同一の工程で形成される層を含む。言い換えると、低反射率層と第1の電極は、エネルギー線と発光性の有機化合物を含む層が発する光を透過する。この構成によれば、低反射率層が導電性を備えるため、配線に用いることができる。その結果、高反射率層とは異なる電位の配線を設けることができる。または、高反射率層を補助する配線として用いることができる。
【0150】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0151】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1で例示した本発明の一態様の封止体の作製方法を説明する。具体的には、第1のステップと第2のステップを有するものである。
【0152】
第1のステップは、一方の面にエネルギー線の一部を反射する高反射率領域と、エネルギー線に対する反射率が高反射率領域より低い低反射率領域と、が形成された第1の基板と、エネルギー線を透過する第2の基板と、被封止体と、被封止体を囲むように、高反射率領域と低反射率領域と重なる位置に、エネルギー線の一部を吸収する低融点ガラス層を含み、第1の基板の一方の面または第2の基板の一方の面に設けられた封止材と、を準備するステップである。
【0153】
また、第2のステップは、第1の基板の一方の面と、第2の基板の一方の面の間に封止材を挟持した状態で、第2の基板の他方の面からエネルギー線を、封止材に沿って走査しながら照射して、第1の基板と第2の基板の間に、被封止体を封止するステップである。
【0154】
本実施の形態で例示する封止体の作製方法によれば、第2の基板側から高反射率領域に向けて照射したエネルギー線の封止材に吸収されなかった一部は、高反射率領域に反射され、第1の基板側から封止材に到達する。その結果、エネルギー線を効率良く封止材の加熱に利用できるだけでなく、封止材を厚さ方向に均一に加熱できる。
【0155】
また、第2の基板側から低反射率領域に向けて照射したエネルギー線の封止材に吸収されなかった一部は低反射率領域に到達する。低反射率領域の反射率は、高反射率領域よりも低いため、高反射率領域と重なる領域に比べて抑制された効率で、封止材の加熱にエネルギー線が用いられる。その結果、封止材が過剰に加熱されることがない。
【0156】
本発明の一態様の封止体の作製方法によれば、その第1の基板に高反射率領域と低反射率領域が交互に封止材と重なる位置に設けられているため、高反射率領域の面積に対する低反射率領域の面積の比率によって、エネルギー線が封止材を加熱する効率を調整できる。その結果、均一に封止された信頼性の高い封止体の作製方法を提供できる。
【0157】
本実施の形態で例示する封止体の作製方法について、
図4を参照して説明する。
【0158】
図4は本発明の一態様の封止体の作製方法を説明する断面図である。
【0159】
<第1のステップ>
本実施の形態で例示する第1のステップでは、第1の基板、第2の基板、被封止体および封止材を準備する(
図4(A)参照)。
【0160】
第1の基板101は、一方の面にエネルギー線の一部を反射する高反射率領域と、エネルギー線に対する反射率が高反射率領域より低い低反射率領域とを設けて、準備する。なお、本実施の形態で例示する封止体100は、被封止体110の第2の接続端子104が高反射率領域に設けられ、高反射率領域の一部を兼ねる。また、第1の基板101が低反射率領域の一部を兼ねる。
【0161】
第1の接続端子103、第2の接続端子104および高反射率領域は、第1の基板101よりエネルギー線に対する反射率が高い金属で形成すればよい。具体的には、チタン層とアルミニウム層とチタン層を三層積層し、フォトリソグラフィ工程で形成する方法が挙げられる。
【0162】
本実施の形態では、第2の基板102として、エネルギー線を透過する基板を準備する。なお、封止体に発光素子を封止して、発光モジュールを作製する場合、封止材と重ならないようにカラーフィルタなどをあらかじめ設けても良い。
【0163】
被封止体110は、第1の基板101上に形成して、第1の接続端子103および第2の接続端子104と電気的に接続して準備する。または、被封止体110を別途作製した後に、第1の接続端子103および第2の接続端子104に電気的に接続して準備してもよい。
【0164】
封止材131を、被封止体110を囲み、高反射率領域と低反射率領域と重なる位置に形成して準備する。本実施の形態では、封止材131を、第2の基板102の一方の面に形成して準備する場合を例に説明するが、第1の基板101の一方の面に形成して準備してもよい。
【0165】
封止材131の形成方法としては、例えばスクリーン印刷法やディスペンサを用いて、低融点ガラス粉末、有機樹脂および溶剤を含む分散体を第2の基板の一方の面に枠状に形成する。次いで、有機樹脂および溶剤を除去するように加熱焼成して、封止材131を準備する。
【0166】
<第2のステップ>
本実施の形態で例示する第2のステップでは、第1の基板101の一方の面と、第2の基板102の一方の面の間に封止材131を挟持した状態で、第2の基板102の他方の面からエネルギー線を、封止材131に沿って走査しながら照射する(
図4(B)参照)。
【0167】
本実施の形態では、エネルギー線として半導体レーザが発するレーザビームを用いる場合について説明する。第2の基板102と接する側から、封止材131に進入するレーザビームの一部は、封止材131に吸収されて、封止材131の温度が上昇する。
【0168】
半導体レーザとしては、例えば波長940nmのビーム径が1.6mmのものを出力12.5Wで10mm/secの速度で走査して用いることができる。または、出力15Wで1mm/secの速度で走査して用いることができる。
【0169】
封止材131に吸収されずに高反射率領域(例えば、
図4(B)の高反射率領域の一部を兼ねる第2の接続端子104)に達したレーザビームは反射され、第1の基板101側から封止材131に進入する。このようにして、高反射率領域と重なる封止材131は効率よく加熱される。
【0170】
一方、封止材131に吸収されずに低反射率領域(例えば、
図4(B)の低反射率領域の一部を兼ねる第1の基板101)に達したレーザビームは第1の基板101を透過して、失われてしまう。このようにして、低反射率領域と重なる封止材131は、高反射率領域と重なる領域に比べて抑制された効率で、加熱される。その結果、均一に封止された信頼性の高い封止体の作製方法を提供できる(
図4(C)参照)。
【0171】
<変形例>
本実施の形態の変形例で例示する封止体の作製方法は、上記第2のステップの第2の基板側からエネルギー線を、封止材に沿って走査しながら照射する速度が、高反射率領域の面積に対する低反射率領域の面積の比率が大きい部分に比べて、高反射率領域の面積に対する低反射率領域の面積の比率が小さい部分が速い封止体の作製方法である。
【0172】
この方法によれば、エネルギー線の照射装置が一定の速度で走査することが困難な形状(例えば、複雑に屈曲した形状)を備える封止材であっても、高反射率領域の面積に対する前記低反射率領域の面積の比率を走査速度に応じて大きく設けておくことで、過剰にエネルギー線を照射して、温度が上がり過ぎる現象を防ぐことができる。また、速い速度で走査可能な部分は高反射率領域の面積に対する前記低反射率領域の面積の比率を走査速度に応じて小さく設けておくことで、加熱が不十分になる現象を防ぐことができる。その結果、均一に封止された信頼性の高い封止体の作製方法を提供できる。または、封止工程にかかる時間を短縮できる。
【0173】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0174】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光モジュールの一態様である発光パネルの構成を説明する。具体的には、本実施の形態で例示する発光パネルは、第1の基板と、エネルギー線を透過する第2の基板と、第1の基板と第2の基板の間に被封止体と、被封止体を囲み、前記第1の基板と前記第2の基板を貼り合わせる封止材と、を有する封止体に、被封止体として、第1の電極と第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を備える発光素子が複数封止された発光モジュールである。特に、第1の基板は、エネルギー線の一部を反射する高反射率領域と、エネルギー線に対する反射率が高反射率領域より低い低反射率領域と、を交互に封止材と重なる位置に備える。また、封止材は、エネルギー線の一部を吸収する低融点ガラス層を含む。
【0175】
本実施の形態で例示する発光パネルは、大気中の不純物の拡散により信頼性が損なわれ易く、高温を要する封止工程に耐える耐熱性を備えていない発光素子であっても高温に曝すことなく封止できる。その結果、均一に封止された信頼性の高い発光パネルを提供できる。耐熱性の低い発光素子が損傷を受けることなく封止された発光パネルを提供できる。
【0176】
本実施の形態で例示する発光パネルの構成について、
図5を参照して説明する。なお、本実施の形態では、発光素子をトランジスタに接続して用いるアクティブマトリクス型の発光パネルを例示して説明するが、本発明の一態様はアクティブマトリクス型の発光パネルに限定されるものではなく、パッシブマトリクス型の発光パネルにも、表示装置にも、照明装置にも適用可能である。
【0177】
<アクティブマトリクス型の発光パネル>
本発明の一態様のアクティブマトリクス型の発光パネルの構成を
図5に示す。なお、
図5(A)は、発光パネルの上面図、
図5(B)は
図5(A)をA−BおよびC−Dで切断した断面図である。
【0178】
アクティブマトリクス型の発光パネル1400は、駆動回路部(ソース側駆動回路)1401、画素部1402、駆動回路部(ゲート側駆動回路)1403、第2の基板1404、封止材1405を備える(
図5(A)参照)。なお、封止材1405で囲まれた内側は、空間になっている。
【0179】
発光パネル1400は外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)1409を介して、ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、FPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光パネルには、発光パネル本体だけでなく、それにFPCまたはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0180】
次に、発光パネル1400の構成について
図5(B)に示す断面図を用いて説明する。発光パネル1400は、第1の基板1410上に図示されたソース側駆動回路1401を含む駆動回路部および、図示された画素を含む画素部1402を備える。また、ソース側駆動回路1401およびゲート側駆動回路1403に入力される信号を伝送するための引き回し配線1408を備える。
【0181】
なお、本実施の形態ではソース側駆動回路1401がnチャネル型トランジスタ1423とpチャネル型トランジスタ1424とを組み合わせたCMOS回路を含む構成について例示するが、駆動回路はこの構成に限定されず、種々のCMOS回路、PMOS回路またはNMOS回路で構成しても良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。
【0182】
<トランジスタの構成>
なお、トランジスタのチャネルが形成される領域には、さまざまな半導体を用いることができる。具体的には、アモルファスシリコン、ポリシリコン、単結晶シリコンの他、酸化物半導体などを用いることができる。
【0183】
単結晶半導体をチャネル形成領域に用いると、トランジスタサイズを微細化することが可能となるため、表示部において画素をさらに高精細化することができる。
【0184】
半導体層を構成する単結晶半導体としては、代表的には、単結晶シリコン基板、単結晶ゲルマニウム基板、単結晶シリコンゲルマニウム基板など、第14族元素でなる単結晶半導体基板、化合物半導体基板(SiC基板、サファイア基板、GaN基板等)などの半導体基板を用いることができる。好適には、絶縁表面上に単結晶半導体層が設けられたSOI(Silicon On Insulator)基板を用いることができる。
【0185】
SOI基板の作製方法としては、鏡面研磨ウェハーに酸素イオンを注入した後、高温加熱することにより、表面から一定の深さに酸化層を形成させるとともに、表面層に生じた欠陥を消滅させて作る方法、水素イオン照射により形成された微小ボイドの熱処理による成長を利用して半導体基板を劈開する方法や、絶縁表面上に結晶成長により単結晶半導体層を形成する方法等を用いることができる。
【0186】
本実施の形態では、単結晶半導体基板の一つの面からイオンを添加して、単結晶半導体基板の一つの面から一定の深さに脆弱化層を形成し、単結晶半導体基板の一つの面上、または第1の基板1410上のどちらか一方に絶縁層を形成する。単結晶半導体基板と第1の基板1410を、絶縁層を挟んで重ね合わせた状態で、脆弱化層に亀裂を生じさせ、単結晶半導体基板を脆弱化層で分離する熱処理を行い、単結晶半導体基板より半導体層として単結晶半導体層を第1の基板1410上に形成する。なお、第1の基板1410としては、ガラス基板を用いることができる。
【0187】
また、半導体基板に絶縁分離領域を形成し、絶縁分離された半導体領域を用いてトランジスタ1411、トランジスタ1412を形成してもよい。
【0188】
単結晶半導体をチャネル形成領域として用いることで、結晶粒界における結合の欠陥に起因する、トランジスタのしきい値電圧等の電気的特性のばらつきを軽減できるため、本発明の一態様の発光パネルは、各画素にしきい値電圧補償用の回路を配置しなくても正常に発光素子を動作させることができる。したがって、一画素における回路要素を削減することが可能となるため、レイアウトの自由度が向上する。よって、発光パネルの高精細化を図ることができる。例えば、マトリクス状に配置された複数の画素を一インチあたり350以上含む(水平解像度が350ppi(pixels per inch)以上である)、さらに好ましくは400以上含む(水平解像度が400ppi以上である)構成とすることが可能となる。
【0189】
さらに、単結晶半導体をチャネル形成領域として用いたトランジスタは、高い電流駆動能力を維持したまま、微細化が可能である。該微細なトランジスタを用いることで表示に寄与しない回路部の面積を縮小することができるため、表示部においては表示面積が拡大し、かつ発光パネルの狭額縁化が達成できる。
【0190】
<画素部の構成>
また、画素部1402は複数の画素を備える。画素は発光素子1418と、発光素子1418の第1の電極1413にドレイン電極が接続された電流制御用トランジスタ1412と、スイッチング用トランジスタ1411と、を有する。
【0191】
発光パネルに設けられた発光素子1418は、第1の電極1413と、第2の電極1417と、発光性の有機化合物を含む層1416と、を有する。なお、隔壁1414が第1の電極1413の端部を覆って形成されている。
【0192】
発光素子1418の構成としては、例えば実施の形態5で例示する発光素子の構成を適用できる。
【0193】
具体的には、発光性の有機化合物を含む層1416に白色を呈する光を発する構成を適用できる。
【0194】
また、発光素子1418の第1の電極1413と第2の電極1417を用いて、微小共振器(マイクロキャビティともいう)を構成できる。例えば、第1の電極1413に発光性の有機化合物を含む層1416が発する光を反射する導電膜を用い、第2の電極1417に、当該光の一部を反射し、一部を透過する半透過・半反射膜性の導電膜を用いて構成できる。
【0195】
また、光学調整層を第1の電極と第2の電極の間に設けることができる。光学調整層は反射性の第1の電極1413と半透過・半反射性の第2の電極1417の間の光学距離を調整する層であり、光学調整層の厚さを調整することにより、第2の電極1417から優先的に取り出す光の波長を調整できる。
【0196】
光学調整層に用いることができる材料としては、発光性の有機化合物を含む層を適用できる。例えば、電荷発生領域を用いて、その厚さを調整してもよい。特に正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含む領域を光学調整層に用いると、光学調整層が厚い構成であっても駆動電圧の上昇を抑制できるため好ましい。
【0197】
光学調整層に用いることができる他の材料としては、発光性の有機化合物を含む層1416が発する光を透過する透光性の導電膜を適用できる。例えば、反射性の導電膜の表面に該透光性を有する導電膜を積層して、第1の電極1413を構成できる。この構成によれば、隣接する第1の電極の光学調整層の厚さを変えることが容易であるため好ましい。
【0198】
隔壁1414の上端部または下端部には、曲率を有する曲面が形成されるようにする。隔壁1414は、ネガ型の感光性樹脂、或いはポジ型の感光性樹脂のいずれも使用することができる。例えば、隔壁1414の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、隔壁1414の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。ここでは、ポジ型の感光性ポリイミド膜を用いることにより形成する。
【0199】
なお、隔壁を遮光性とすると、発光パネルに設けられた反射性の膜による外光の反射を抑制できる。発光素子1418の外側に延在する反射膜が、外光を反射すると発光パネルのコントラストが低下してしまうため、鮮やかな発光を得られない。隔壁を遮光性とする場合は、黒色に着色した樹脂層を用いて形成できる。
【0200】
また、カラーフィルタ1434を発光素子1418と重なる位置に設けることができる。また、遮光性の膜1435(ブラックマトリクスともいう)を隣接する発光素子の間の隔壁に重ねて設けることができる。なお、カラーフィルタ1434および遮光性の膜1435は、いずれも第2の基板1404に設けることができる。
【0201】
<封止構造>
本実施の形態で例示する発光パネル1400は、第1の基板1410、第2の基板1404、および封止材1405で囲まれた空間に、発光素子1418を封止する構造を備える。
【0202】
封止材1405および第2の基板1404は、大気中の不純物(代表的には水および/または酸素)をできるだけ透過しない材料であることが望ましい。封止材1405は低融点ガラスを含む。
【0203】
第2の基板1404に用いることができる材料としては、ガラス基板や石英基板の他、PVF(ポリビニルフロライド)、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)等をその例に挙げることができる。
【0204】
図5(B)に例示する発光パネルは、発光素子1418を囲う封止材1405が、第1の基板と第2の基板を貼り合わせる構成を備える。封止材1405は、発光素子1418の信頼性を損なう不純物が発光パネルの内部へ侵入する現象を阻む。その結果、信頼性の高い発光パネルを提供できる。
【0205】
なお、封止材1405は、第1の基板1410と第2の基板1404の間隔を保つスペーサを含まない。スペーサ1445が、第1の基板1410と第2の基板1404の間隔を一定に保つ。封止材1405にフィラーや球状のスペーサを分散して用いると、第1の基板1410と第2の基板1404を貼り合わせる際に、フィラーや球状のスペーサに応力が集中して、その下の第1の基板に形成されたトランジスタや配線を破壊してしまう場合がある。本実施の形態で例示する発光パネルは、スペーサ1445が、隔壁上で第1の基板1410と第2の基板1404の間隔を一定に保つため、配線やトランジスタを破壊し難い。特に、隔壁が緩衝材となり、応力を分散する効果を奏する。
【0206】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0207】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光モジュールに用いることができる発光素子の構成について説明する。具体的には、一対の電極に発光性の有機化合物を含む層が挟持された発光素子の一例について、
図6を参照して説明する。
【0208】
本実施の形態で例示する発光素子は、第1の電極、第2の電極及び第1の電極と第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層(以下EL層という)を備える。第1の電極または第2の電極のいずれか一方は陽極、他方は陰極として機能する。EL層は第1の電極と第2の電極の間に設けられ、該EL層の構成は第1の電極と第2の電極の材質に合わせて適宜選択すればよい。以下に発光素子の構成の一例を例示するが、発光素子の構成がこれに限定されないことはいうまでもない。
【0209】
<発光素子の構成例1.>
発光素子の構成の一例を
図6(A)に示す。
図6(A)に示す発光素子は、陽極1101と陰極1102の間にEL層が挟まれている。
【0210】
陽極1101と陰極1102の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、EL層に陽極1101の側から正孔が注入され、陰極1102の側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層において再結合し、EL層に含まれる発光物質が発光する。
【0211】
本明細書においては、両端から注入された電子と正孔が再結合する領域を1つ有する層または積層体を発光ユニットという。よって、当該発光素子の構成例1は発光ユニットを1つ備えるということができる。
【0212】
発光ユニット1103は、少なくとも発光物質を含む発光層を1つ以上備えていればよく、発光層以外の層と積層された構造であっても良い。発光層以外の層としては、例えば正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔輸送性に乏しい(ブロッキングする)物質、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、並びにバイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い)の物質等を含む層が挙げられる。
【0213】
発光ユニット1103の具体的な構成の一例を
図6(B)に示す。
図6(B)に示す発光ユニット1103は、正孔注入層1113、正孔輸送層1114、発光層1115、電子輸送層1116、並びに電子注入層1117が陽極1101側からこの順に積層されている。
【0214】
<発光素子の構成例2.>
発光素子の構成の他の一例を
図6(C)に示す。
図6(C)に例示する発光素子は、陽極1101と陰極1102の間に発光ユニット1103を含むEL層が挟まれている。さらに、陰極1102と発光ユニット1103との間には中間層1104が設けられている。なお、当該発光素子の構成例2の発光ユニット1103には、上述の発光素子の構成例1が備える発光ユニットと同様の構成が適用可能であり、詳細については、発光素子の構成例1の記載を参酌できる。
【0215】
中間層1104は少なくとも電荷発生領域を含んで形成されていればよく、電荷発生領域以外の層と積層された構成であってもよい。例えば、第1の電荷発生領域1104c、電子リレー層1104b、及び電子注入バッファー1104aが陰極1102側から順次積層された構造を適用することができる。
【0216】
中間層1104における電子と正孔の挙動について説明する。陽極1101と陰極1102の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、第1の電荷発生領域1104cにおいて、正孔と電子が発生し、正孔は陰極1102へ移動し、電子は電子リレー層1104bへ移動する。電子リレー層1104bは電子輸送性が高く、第1の電荷発生領域1104cで生じた電子を電子注入バッファー1104aに速やかに受け渡す。電子注入バッファー1104aは発光ユニット1103に電子を注入する障壁を緩和し、発光ユニット1103への電子注入効率を高める。従って、第1の電荷発生領域1104cで発生した電子は、電子リレー層1104bと電子注入バッファー1104aを経て、発光ユニット1103のLUMO準位に注入される。
【0217】
また、電子リレー層1104bは、第1の電荷発生領域1104cを構成する物質と電子注入バッファー1104aを構成する物質が界面で反応し、互いの機能が損なわれてしまう等の相互作用を防ぐことができる。
【0218】
当該発光素子の構成例2の陰極に用いることができる材料の選択の幅は、構成例1の陰極に用いることができる材料の選択の幅に比べて、広い。なぜなら、構成例2の陰極は中間層が発生する正孔を受け取ればよく、仕事関数が比較的大きな材料を適用できるからである。
【0219】
<発光素子の構成例3.>
発光素子の構成の他の一例を
図6(D)に示す。
図6(D)に例示する発光素子は、陽極1101と陰極1102の間に2つの発光ユニットが設けられたEL層を備えている。さらに、第1の発光ユニット1103aと、第2の発光ユニット1103bとの間には中間層1104が設けられている。
【0220】
なお、陽極と陰極の間に設ける発光ユニットの数は2つに限定されない。
図6(E)に例示する発光素子は、発光ユニット1103が複数積層された構造、所謂、タンデム型の発光素子の構成を備える。但し、例えば陽極と陰極の間にn(nは2以上の自然数)層の発光ユニット1103を設ける場合には、m(mは自然数、1以上(n−1)以下)番目の発光ユニットと、(m+1)番目の発光ユニットとの間に、それぞれ中間層1104を設ける構成とする。
【0221】
また、当該発光素子の構成例3の発光ユニット1103には、上述の発光素子の構成例1と同様の構成を適用することが可能であり、また当該発光素子の構成例3の中間層1104には、上述の発光素子の構成例2と同様の構成が適用可能である。よって、詳細については、発光素子の構成例1、または発光素子の構成例2の記載を参酌できる。
【0222】
発光ユニットの間に設けられた中間層1104における電子と正孔の挙動について説明する。陽極1101と陰極1102の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、中間層1104において正孔と電子が発生し、正孔は陰極1102側に設けられた発光ユニットへ移動し、電子は陽極側に設けられた発光ユニットへ移動する。陰極側に設けられた発光ユニットに注入された正孔は、陰極側から注入された電子と再結合し、当該発光ユニットに含まれる発光物質が発光する。また、陽極側に設けられた発光ユニットに注入された電子は、陽極側から注入された正孔と再結合し、当該発光ユニットに含まれる発光物質が発光する。よって、中間層1104において発生した正孔と電子は、それぞれ異なる発光ユニットにおいて発光に至る。
【0223】
なお、発光ユニット同士を接して設けることで、両者の間に中間層と同じ構成が形成される場合は、発光ユニット同士を接して設けることができる。具体的には、発光ユニットの一方の面に電荷発生領域が形成されていると、当該電荷発生領域は中間層の第1の電荷発生領域として機能するため、発光ユニット同士を接して設けることができる。
【0224】
発光素子の構成例1乃至構成例3は、互いに組み合わせて用いることができる。例えば、発光素子の構成例3の陰極と発光ユニットの間に中間層を設けることもできる。
【0225】
<発光素子に用いることができる材料>
次に、上述した構成を備える発光素子に用いることができる具体的な材料について、陽極、陰極、並びにEL層の順に説明する。
【0226】
<陽極に用いることができる材料>
陽極1101は導電性を有する金属、合金、電気伝導性化合物等およびこれらの混合物の単層または積層体で構成される。特に、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)材料をEL層に接する構成が好ましい。
【0227】
金属、または合金材料としては、例えば、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)等の金属材料またはこれらを含む合金材料が挙げられる。
【0228】
電気伝導性化合物としては、例えば、金属材料の酸化物、金属材料の窒化物、導電性高分子が挙げられる。
【0229】
金属材料の酸化物の具体例として、インジウム−錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有したインジウム−錫酸化物、チタンを含有したインジウム−錫酸化物、インジウム−チタン酸化物、インジウム−タングステン酸化物、インジウム−亜鉛酸化物、タングステンを含有したインジウム−亜鉛酸化物等が挙げられる。また、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物、チタン酸化物等が挙げられる。
【0230】
金属材料の酸化物を含む膜は、通常スパッタリング法により成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。例えば、インジウム−亜鉛酸化物膜は、酸化インジウムに対し1wt%以上20wt%以下の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム膜は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5wt%以上5wt%以下、酸化亜鉛を0.1wt%以上1wt%以下含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。
【0231】
金属材料の窒化物の具体例として、窒化チタン、窒化タンタル等が挙げられる。
【0232】
導電性高分子の具体例として、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等が挙げられる。
【0233】
なお、陽極1101と接して第2の電荷発生領域を設ける場合には、仕事関数の大きさを考慮せずに様々な導電性材料を陽極1101に用いることができる。具体的には、仕事関数の大きい材料だけでなく、仕事関数の小さい材料を用いることもできる。第2の電荷発生領域を構成する材料については、第1の電荷発生領域と共に後述する。
【0234】
<陰極に用いることができる材料>
陰極1102に接して第1の電荷発生領域1104cを、発光ユニット1103との間に設ける場合、陰極1102は仕事関数の大小に関わらず様々な導電性材料を用いることができる。
【0235】
なお、陰極1102および陽極1101のうち少なくとも一方を、可視光を透過する導電膜を用いて形成する。例えば、陰極1102または陽極1101の一方を、可視光を透過する導電膜を用いて形成し、他方を、可視光を反射する導電膜を用いて形成すると、一方の面に光を射出する発光素子を構成できる。また、陰極1102および陽極1101の両方を、可視光を透過する導電膜を用いて形成すると、両方の面に光を射出する発光素子を構成できる。
【0236】
可視光を透過する導電膜としては、例えば、インジウム−錫酸化物、珪素若しくは酸化珪素を含有したインジウム−錫酸化物、チタンを含有したインジウム−錫酸化物、インジウム−チタン酸化物、インジウム−タングステン酸化物、インジウム−亜鉛酸化物、タングステンを含有したインジウム−亜鉛酸化物等が挙げられる。また、光を透過する程度(好ましくは、5nm以上30nm以下程度)の金属薄膜を用いることもできる。
【0237】
可視光を反射する導電膜としては、例えば金属を用いれば良く、具体的には、銀、アルミニウム、白金、金、銅等の金属材料またはこれらを含む合金材料が挙げられる。銀を含む合金としては、銀−ネオジム合金、マグネシウム−銀合金等を挙げることができる。アルミニウムの合金としては、アルミニウム−ニッケル−ランタン合金、アルミニウム−チタン合金、アルミニウム−ネオジム合金等が挙げられる。
【0238】
<EL層に用いることができる材料>
上述した発光ユニット1103を構成する各層に用いることができる材料について、以下に具体例を示す。
【0239】
正孔注入層は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:H
2Pc)や銅フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、或いはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても正孔注入層を形成することができる。
【0240】
なお、第2の電荷発生領域を用いて正孔注入層を形成してもよい。正孔注入層に第2の電荷発生領域を用いると、仕事関数を考慮せずに様々な導電性材料を陽極1101に用いることができるのは前述の通りである。第2の電荷発生領域を構成する材料については第1の電荷発生領域と共に後述する。
【0241】
<正孔輸送層>
正孔輸送層は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送層は、単層に限られず正孔輸送性の高い物質を含む層を二層以上積層したものでもよい。電子よりも正孔の輸送性の高い物質であればよく、特に10
−6cm
2/Vs以上の正孔移動度を有する物質が、発光素子の駆動電圧を低減できるため好ましい。
【0242】
正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物(例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα−NPD))やカルバゾール誘導体(例えば、9−[4−(10−フェニル−9−アントラセニル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA))などが挙げられる。また、高分子化合物(例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK))等を用いることができる。
【0243】
<発光層>
発光層は、発光物質を含む層である。発光層は、単層に限られず発光物質を含む層を二層以上積層したものでもよい。発光物質は蛍光性化合物や、燐光性化合物を用いることができる。発光物質に燐光性化合物を用いると、発光素子の発光効率を高められるため好ましい。
【0244】
発光物質として蛍光性化合物(例えば、クマリン545T)や燐光性化合物(例えば、トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)
3))等を用いることができる。
【0245】
発光物質は、ホスト材料に分散させて用いるのが好ましい。ホスト材料としては、その励起エネルギーが、発光物質の励起エネルギーよりも大きなものが好ましい。
【0246】
ホスト材料として用いることができる材料としては、上述の正孔輸送性の高い物質(例えば、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、高分子化合物等)、後述の電子輸送性の高い物質(例えば、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾール系やチアゾール系配位子を有する金属錯体等)などを用いることができる。
【0247】
<電子輸送層>
電子輸送層は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送層は、単層に限られず電子輸送性の高い物質を含む層を二層以上積層したものでもよい。正孔よりも電子の輸送性の高い物質であればよく、特に10
−6cm
2/Vs以上の電子移動度を有する物質が、発光素子の駆動電圧を低減できるため好ましい。
【0248】
電子輸送性の高い物質としては、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体(例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq))、オキサゾール系やチアゾール系配位子を有する金属錯体(例えば、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)
2))、その他の化合物(例えば、バソフェナントロリン(略称:BPhen))などが挙げられる。また、高分子化合物(例えば、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)](略称:PF−Py))等を用いることができる。
【0249】
<電子注入層>
電子注入層は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層は、単層に限られず電子注入性の高い物質を含む層を二層以上積層したものでもよい。電子注入層を設ける構成とすることで陰極1102からの電子の注入効率が高まり、発光素子の駆動電圧を低減できるため好ましい。
【0250】
電子注入性の高い物質としては、アルカリ金属(例えば、リチウム(Li)、セシウム(Cs))、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム(Ca))、またはこれらの化合物(例えば、酸化物(具体的には酸化リチウム等)、炭酸塩(具体的には炭酸リチウムや炭酸セシウム等)、ハロゲン化物(具体的にはフッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF
2)))などが挙げられる。
【0251】
また、電子注入性の高い物質を含む層を電子輸送性の高い物質とドナー性物質を含む層(具体的には、Alq中にマグネシウム(Mg)を含有させたものなど)で形成してもよい。なお、電子輸送性の高い物質に対するドナー性物質の添加量の質量比は0.001以上0.1以下の比率が好ましい。
【0252】
ドナー性の物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、またはこれらの化合物の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセン等の有機化合物を用いることもできる。
【0253】
<電荷発生領域に用いることができる材料>
第1の電荷発生領域1104c、及び第2の電荷発生領域は、正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含む領域である。なお、電荷発生領域は、同一膜中に正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含有する場合だけでなく、正孔輸送性の高い物質を含む層とアクセプター性物質を含む層とが積層されていても良い。但し、第1の電荷発生領域を陰極側に設ける積層構造の場合には、正孔輸送性の高い物質を含む層が陰極1102と接する構造となり、第2の電荷発生領域を陽極側に設ける積層構造の場合には、アクセプター性物質を含む層が陽極1101と接する構造となる。
【0254】
なお、電荷発生領域において、正孔輸送性の高い物質に対して質量比で、0.1以上4.0以下の比率でアクセプター性物質を添加することが好ましい。
【0255】
電荷発生領域に用いるアクセプター性物質としては、遷移金属酸化物や元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化モリブデンが特に好ましい。なお、酸化モリブデンは、吸湿性が低いという特徴を有している。
【0256】
また、電荷発生領域に用いる正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の有機化合物を用いることができる。具体的には、10
−6cm
2/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。
【0257】
<電子リレー層に用いることができる材料>
電子リレー層1104bは、第1の電荷発生領域1104cにおいてアクセプター性物質がひき抜いた電子を速やかに受け取ることができる層である。従って、電子リレー層1104bは、電子輸送性の高い物質を含む層であり、またそのLUMO準位は、第1の電荷発生領域1104cにおけるアクセプター性物質のアクセプター準位と、当該電子リレー層が接する発光ユニット1103のLUMO準位との間に位置する。具体的には、およそ−5.0eV以上−3.0eV以下とするのが好ましい。
【0258】
電子リレー層1104bに用いる物質としては、ペリレン誘導体(例えば、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(略称:PTCDA))や、含窒素縮合芳香族化合物(例えば、ピラジノ[2,3−f][1,10]フェナントロリン−2,3−ジカルボニトリル(略称:PPDN))などが挙げられる。
【0259】
なお、含窒素縮合芳香族化合物は、安定な化合物であるため電子リレー層1104bに用いる物質として好ましい。さらに、含窒素縮合芳香族化合物のうち、シアノ基やフルオロ基などの電子吸引基を有する化合物を用いることにより、電子リレー層1104bにおける電子の受け取りがさらに容易になるため、好ましい。
【0260】
<電子注入バッファーに用いることができる材料>
電子注入バッファーは、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入バッファー1104aは、第1の電荷発生領域1104cから発光ユニット1103への電子の注入を容易にする層である。電子注入バッファー1104aを第1の電荷発生領域1104cと発光ユニット1103の間に設けることにより、両者の注入障壁を緩和することができる。
【0261】
電子注入性が高い物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、またはこれらの化合物などが挙げられる。
【0262】
また、電子注入性の高い物質を含む層を電子輸送性の高い物質とドナー性物質を含む層で形成してもよい。
【0263】
<発光素子の作製方法>
発光素子の作製方法の一態様について説明する。第1の電極上にこれらの層を適宜組み合わせてEL層を形成する。EL層は、それに用いる材料に応じて種々の方法(例えば、乾式法や湿式法等)を用いることができ、例えば、真空蒸着法、転写法、印刷法、インクジェット法またはスピンコート法などを選んで用いればよい。また、各層で異なる方法を用いて形成してもよい。EL層上に第2の電極を形成し、発光素子を作製する。
【0264】
以上のような材料を組み合わせることにより、本実施の形態に示す発光素子を作製することができる。この発光素子からは、上述した発光物質からの発光が得られ、その発光色は発光物質の種類を変えることにより選択できる。
【0265】
また、発光色の異なる複数の発光物質を用いることにより、発光スペクトルの幅を拡げて、例えば白色発光を得ることもできる。白色発光を得る場合には、例えば、発光物質を含む層を少なくとも2つ備える構成とし、それぞれの層を互いに補色の関係にある色を呈する光を発するように構成すればよい。具体的な補色の関係としては、例えば青色と黄色、あるいは青緑色と赤色等が挙げられる。
【0266】
さらに、演色性の良い白色発光を得る場合には、発光スペクトルが可視光全域に拡がるものが好ましく、例えば、一つの発光素子が、青色を呈する光を発する層、緑色を呈する光を発する層、赤色を呈する光を発する層を備える構成とすればよい。
【0267】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0268】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について説明する。具体的には、本発明の発光パネルを搭載した電子機器について
図7を用いて説明する。
【0269】
発光装置を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を
図7に示す。
【0270】
図7(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7103が組み込まれている。表示部7103により、映像を表示することが可能であり、発光装置を表示部7103に用いることができる。また、ここでは、スタンド7105により筐体7101を支持した構成を示している。
【0271】
テレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7110により行うことができる。リモコン操作機7110が備える操作キー7109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7103に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機7110に、当該リモコン操作機7110から出力する情報を表示する表示部7107を設ける構成としてもよい。
【0272】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0273】
図7(B)はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。なお、コンピュータは、発光装置をその表示部7203に用いることにより作製される。
【0274】
図7(C)は携帯型遊技機であり、筐体7301と筐体7302の2つの筐体で構成されており、連結部7303により、開閉可能に連結されている。筐体7301には表示部7304が組み込まれ、筐体7302には表示部7305が組み込まれている。また、
図7(C)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部7306、記録媒体挿入部7307、LEDランプ7308、入力手段(操作キー7309、接続端子7310、センサ7311(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン7312)等を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも表示部7304および表示部7305の両方、または一方に発光装置を用いていればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。
図7(C)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、
図7(C)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0275】
図7(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、発光装置を表示部7402に用いることにより作製される。
【0276】
図7(D)に示す携帯電話機7400は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
【0277】
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
【0278】
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部7402の画面のほとんどにキーボードまたは番号ボタンを表示させることが好ましい。
【0279】
また、携帯電話機7400内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機7400の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
【0280】
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、または筐体7401の操作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
【0281】
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0282】
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7402に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライトまたは近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
【0283】
図7(E)は、折りたたみ式のコンピュータの一例を示している。折りたたみ式のコンピュータ7450は、ヒンジ7454で接続された筐体7451Lと筐体7451Rを備えている。また、操作ボタン7453、左側スピーカ7455Lおよび右側スピーカ7455Rの他、コンピュータ7450の側面には図示されていない外部接続ポート7456を備える。なお、筐体7451Lに設けられた表示部7452Lと、筐体7451Rに設けられた表示部7452Rが互いに対峙するようにヒンジ7454を折り畳むと、表示部を筐体で保護することができる。
【0284】
表示部7452Lと表示部7452Rは、画像を表示する他、指などで触れると情報を入力できる。例えば、インストール済みのプログラムを示すアイコンを指でふれて選択し、プログラムを起動できる。または、表示された画像の二箇所に触れた指の間隔を変えて、画像を拡大または縮小できる。または、表示された画像の一箇所に触れた指を移動して画像を移動できる。また、キーボードの画像を表示して、表示された文字や記号を指で触れて選択し、情報を入力することもできる。
【0285】
また、コンピュータ7450に、ジャイロ、加速度センサ、GPS(Global Positioning System)受信機、指紋センサ、ビデオカメラを搭載することもできる。例えば、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、コンピュータ7450の向き(縦か横か)を判断して、表示する画面の向きを自動的に切り替えるようにすることができる。
【0286】
また、コンピュータ7450はネットワークに接続できる。コンピュータ7450はインターネット上の情報を表示できる他、ネットワークに接続された他の電子機器を遠隔から操作する端末として用いることができる。
【0287】
図7(F)は、照明装置の一例を示している。照明装置7500は、筐体7501に光源として本発明の一態様の発光装置7503a、発光装置7503b、発光装置7503c、発光装置7503dが組み込まれている。照明装置7500は、天井や壁等に取り付けることが可能である。
【0288】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。