特許第6025580号(P6025580)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6025580
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】バリ取り工具
(51)【国際特許分類】
   B23D 79/00 20060101AFI20161107BHJP
   B23C 3/12 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   B23D79/00 A
   B23C3/12 B
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-11180(P2013-11180)
(22)【出願日】2013年1月24日
(65)【公開番号】特開2014-140932(P2014-140932A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2015年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
(74)【代理人】
【識別番号】100111545
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 悦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133868
【弁理士】
【氏名又は名称】岡林 義弘
(72)【発明者】
【氏名】石谷 彰浩
(72)【発明者】
【氏名】山岸 伸考
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−046518(JP,U)
【文献】 実開平06−066924(JP,U)
【文献】 特開2009−214234(JP,A)
【文献】 特開2012−206226(JP,A)
【文献】 特開2003−025199(JP,A)
【文献】 特開2003−117787(JP,A)
【文献】 特表2008−519697(JP,A)
【文献】 特開平04−210306(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0127997(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 79/00−79/12,
B23C 3/12,
B23Q 3/12,
B23B 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の主軸装置に装着して回転させる筒状のシャンクと、
刃具を保持する刃具保持手段と、を有し、前記刃具を回転させてワークを加工するバリ取り工具であって、
前記シャンクに対して軸方向に移動自在に内挿されたステムと、
このステムに対して前記刃具保持手段を軸方向に移動自在に案内する刃具案内手段と、
前記刃具保持手段を前記ステムに対して前記ワークに押圧する方向に付勢するばね部材と、
このばね部材の初期長を調整して当該ばね部材による押圧力を調整する初期長調整手段と、を備え
前記初期長調整手段は、前記ステムを筒状に形成し、当該ステムの内周部に形成されたねじ部と、
このねじ部に螺入され前記ばね部材の初期長を規制するばね受けと、
このばね受けを前記シャンクに対して回転方向の回転を規制しながら軸方向に移動自在に案内する摺動案内部材と、
前記シャンクの回転を前記ステムに伝達ないし切断するクラッチ機構と、を備えたことを特徴とするバリ取り工具。
【請求項2】
記ばね部材を前記刃具保持手段と前記ばね受けとの間に配設し、前記ステムの後退端を規制する規制部を設けたこと、
を特徴とする請求項1に記載のバリ取り工具。
【請求項3】
前記クラッチ機構は、前記ステムに配設された係合部と、
前記シャンクに配設された被係合部と、
前記係合部を前記被係合部の方向に付勢して当該係合部と当該被係合部を係合させるクラッチばねと、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載のバリ取り工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は工作機械用のバリ取り工具に係り、特に、押圧力を調整するばね部材の初期長調整手段を備えたバリ取り工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アルミダイキャストなどの鋳造部品のバリ取りや面取りをする手段として、グラインダ等を使って手作業で行なったり、バリ取り用のブラシ工具で研磨したり、あるいはマシニングセンタに切削工具等(例えば、特許文献1,2)を取り付けて、倣い動作のプラグラムによりワークの鋳物形状に沿った軌跡を描くようにして加工したりする方法が知られている。
【0003】
特許文献1に記載のバリ取り工具は、ワークの寸法のばらつきに対応するために、刃物取り付けホルダがシリンダ方向にスライドして、ある力が加わると刃物等が一定の力で逃げるようにしたものである。
【0004】
特許文献2に記載の穴加工用工具ホルダは、工具保持体を加工方向に付勢するバネを備え、バネが圧縮されることで、素材寸法のばらつきによらず安定した面取り加工ができるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−224288号公報(課題を解決するための手段、図1図2
【特許文献2】特開平7−9209号公報(請求項1、段落0004、図3図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のバリ取り工具等では、刃具をワークに押圧するばねによるばね力(押圧力)の調整ができないため、均一で精度の高いバリ取りや面取り加工を行うことができないという問題があった。
つまり、マシニングセンタに工具を取り付けて、バリ取りや面取り加工をしようとするときは、バリの形状やワークの凹凸に合わせて適正な押圧力に設定しないとバリが残ってしまったり、バリを取りすぎて深く削りすぎてしまったりするという問題があった。そのため、高精度に高い品質でバリ取り加工をするためには、工具を加工対象に合わせてその都度交換したり、倣い動作のプログラムを変更したりしなければならず、作業効率が悪いという問題があった。
【0007】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、刃具をワークに押圧する押圧力を簡易に調整して均一で高精度なバリ取りや面取り加工ができるバリ取り工具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、工作機械の主軸装置に装着して回転させる筒状のシャンクと、刃具を保持する刃具保持手段と、を有し、前記刃具を回転させてワークを加工するバリ取り工具であって、前記シャンクに対して軸方向に移動自在に内挿されたステムと、このステムに対して前記刃具保持手段を軸方向に移動自在に案内し回転方向に一体として回転する刃具案内手段と、前記刃具保持手段を前記ステムに対して前記ワークに押圧する方向に付勢するばね部材と、このばね部材の初期長を調整して当該ばね部材による押圧力を調整する初期長調整手段と、を備え、前記初期長調整手段は、前記ステムを筒状に形成し、当該ステムの内周部に形成されたねじ部と、このねじ部に螺入され前記ばね部材の初期長を規制するばね受けと、このばね受けを前記シャンクに対して回転方向の回転を規制しながら軸方向に移動自在に案内する摺動案内部材と、前記シャンクの回転を前記ステムに伝達ないし切断するクラッチ機構と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明は、ばね部材による押圧力を調整する初期長調整手段を備えたことで、バリの形状や目的とする面取りの大きさ等に応じて加工時における押圧力の範囲を適宜設定することができるため、均一で高精度なバリ取りや面取り加工ができる。
そして、押圧力の範囲を好適に設定することで、寸法にバラツキがあるワークであっても比較的簡単なNCプログラムによる倣い動作で均一で高精度なバリ取りや面取り加工ができる。また、ワークの位置決めの許容範囲も増大するため、正確な位置出しが必要ないので作業時間を短縮することができる。
また、本発明に係るバリ取り工具は、前記クラッチ機構により、前記シャンクと前記ステムとの係合を切断することで、シャンクに対してステムを回転させることができる。そして、シャンクに対してステムを回転させることで、ステムに螺入されたばね受けを軸方向に移動させてばね部材の初期長を自在に調整することができる。このようにして、初期長調整手段により、ばね部材の初期長を縮小させれば押圧力の初圧を増大させ、初期長を増大させれば押圧力の初圧を減少させて押圧力を調整することができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のバリ取り工具であって、前記ばね部材を前記刃具保持手段と前記ばね受けとの間に配設し、前記ステムの後退端を規制する規制部を設けたこと、を特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のバリ取り工具であって、前記クラッチ機構は、前記ステムに配設された係合部と、前記シャンクに配設された被係合部と、前記係合部を前記被係合部の方向に付勢して当該係合部と当該被係合部を係合させるクラッチばねと、を備えたことを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、本発明に係るバリ取り工具は、クラッチばねを備えたことで、クラッチばねの付勢力により当該係合部と当該被係合部を係合させて、シャンクとステムを一体として回転させることができるとともに、クラッチばねの付勢力に抗してステムを軸方向に引っ張り出す方向に移動させることにより、当該係合部と当該被係合部との係合を解除してシャンクに対してステムを自在に回転させて押圧力を調整することができる。
【0014】
このようにして、本発明に係るバリ取り工具は、ステムを軸方向に引っ張り出す方向に移動させてクラッチ機構の切断を解除することができるため、工作機械の主軸装置に装着したままでステムを回転させてばね部材による押圧力を調整することができる。したがって、工具を工作機械から取り外したり、交換したりすることなく、工作機械の主軸装置に装着したままで自在に押圧力を調整することができるため、作業時間を短縮して、しかも、均一で高精度なバリ取りや面取り加工ができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るバリ取り工具は、刃具をワークに押圧する押圧力を簡易に調整して均一で高精度なバリ取りや面取り加工等ができ、しかも作業時間を短縮して効率的な加工ができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るバリ取り工具の構成を示す図であり、(a)は半断面正面図、(b)は部分断面平面図である。
図2】本発明の実施形態に係るバリ取り工具の加工中の動作を示す半断面図である。
図3】本発明の実施形態に係るバリ取り工具の初期長調整手段の動作を示す断面図であり、(a)の上半分はステムが後退端にある状態を示し、下半分はステムを引っ張り出して初期長を調整する様子を示す。(b)はばね部材による押圧力を増大させた状態を示す半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係るバリ取り工具1について、適宜図1から図3を参照しながら詳細に説明する。バリ取り工具1は、マシニングセンタ等の工作機械(不図示)の主軸装置に装着して刃具T(図2参照)を回転させながらワークW(図2参照)のバリ取り、面取り、磨き加工等の種々の加工を行うための工具である。
【0018】
なお、本発明において、説明の便宜上、「刃具」の用語を使用するが、切削工具に限定する趣旨ではなく、回転させてワークWを加工、処理する「工具」を意味し、研磨具等も含まれる。
【0019】
バリ取り工具1は、図1(a)に示すように、工作機械(不図示)の主軸装置に装着して回転させる筒状のシャンク2と、シャンク2に対して軸方向に移動自在に内挿されたステム3と、刃具T(図2参照)を保持する刃具保持手段であるコレット4と、ステム3に対してコレット4を軸方向に移動自在に案内し回転方向に一体として回転する刃具案内手段5を構成するコレットホルダ50およびピン51と、コレットホルダ50をステム3に対してワークW(図2参照)に押圧する方向に付勢するばね部材6と、このばね部材の初期長を調整して押圧力を調整する初期長調整手段8と、を備えている。
【0020】
なお、本実施形態に係るバリ取り工具1において、説明の便宜上、シャンク2側を後部(後方)、コレット4側を前部(前方)といい、各構成部材においても当該部材の後部、前部という表現を使用する。
【0021】
シャンク2は、鍔部21が形成された略円筒形状の部材であり、後部側の外周部を工作機械(不図示)の主軸装置に装着し、前部側の外周部にはハウジング22が螺入されている。シャンク2の後端部には、エンドカバー23が装着され、このエンドカバー23には、エア抜き穴23aが形成されている。シャンク2の内周部には、後記する初期長調整手段8が内設されている。
【0022】
ステム3は、円筒形状をなして構成され、所定のクリアランスを設けてシャンク2に対して軸方向に移動自在に内挿されている。ステム3は、後記するクラッチ機構9を介してシャンク2に連結されているため、回転方向に対しては、一体として回転するように連結または解除することができるようになっている。
ステム3の前部側には、直径方向に外周部から貫通するようにピン51が挿通して固定されている。このピン51は、コレットホルダ50に形成された長穴52に挿通され、刃具案内手段5を構成する。ステム3の後部側には、内周部にねじ部31が形成されている。このねじ部31は、後記する初期長調整手段8を構成するばね受け81が螺入される。
【0023】
コレット4は、コレットホルダ50にねじ込んで刃具T(図2参照)をコレットホルダ50に装着するためのチャック部材であるが、刃具Tの種類に応じて種々の形態を採用することができるため、詳細な説明は省略する。
【0024】
刃具案内手段5は、コレット4を支持するコレットホルダ50と、ステム3に挿通して固定されたピン51と、コレットホルダ50に形成された長穴52と、を備えている。
コレットホルダ50は、円柱形状をなした部材であり、前部にはコレット4が挿入され、胴部には直径方向に貫通して軸方向に沿う長穴52(図1(b)参照)が形成され、後端部にはばね部材6を支持するばね座53が形成されている。長穴52には、ピン51が挿通され、コレットホルダ50とステム3が連結されている。
【0025】
このようにして、刃具案内手段5は、コレットホルダ50に固定されたピン51を介してコレットホルダ50とステム3を連結することで、コレットホルダ50はステム3と一体として回転しながら、軸方向には移動できるようにしている。
そして、コレットホルダ50は、後端部がばね部材6により前方に付勢されているため、図2に示すように、バリ取り加工中では、刃具Tを回転させながら、ピン51が長穴52に挿通されたままでコレットホルダ50がばね部材6の押圧力に抗して軸方向に移動するため、ワークWの形状に応じて工具長が軸方向に伸縮できるようになっている。
【0026】
なお、本実施形態においては、刃具案内手段5を主としてピン51と長穴52により構成したがこれに限定されるものではなく、いわゆるスプラインやキー部材で摺動自在に連結した構成を採用してもよい。
【0027】
初期長調整手段8は、図3(a)に示すように、ステム3の内周部に形成されたねじ部31に螺入されたばね受け81と、このばね受け81をシャンク2に対して回転を規制しながら軸方向に移動自在に案内する摺動案内部材であるガイドシャフト82と、シャンク2の回転をステム3に伝達ないし切断するクラッチ機構9と、ステム3の軸方向移動の後退側の停止位置(後退端)を設定する規制部83と、を備えている。
【0028】
ばね受け81は、ガイドシャフト82に挿入される内周部81aと、ステム3のねじ部31に螺入される外周部81bと、からなる円環状の部材で構成されている。内周部81aは、断面が正方形の角穴形状をなし、外周部81bには、ねじ部31に螺入される雄ねじが形成されている。
【0029】
ガイドシャフト82は、ねじ状の支持部82aと、支持部82aから軸方向に延びて立設された案内部82bと、を備えている。支持部82aをシャンク2の後端内周部にねじ込んで固定している。案内部82bは、ばね受け81を挿通して案内する断面のコーナ部が丸い略正方形の角棒形状をなし、ステム3の中心軸方向に沿ってばね受け81を案内するように配設されている。
ガイドシャフト82は、ばね受け81の回転を規制しながら、ばね受け81を軸方向に沿って移動自在に案内することで、シャンク2に対してステム3を回転させるとばね受け81を軸方向に移動できるようになっている(初期長調整手段8)。
【0030】
クラッチ機構9は、ステム3の外周部に配設された係合部91と、シャンク2の前端部24に配設された被係合部92と、ハウジング22の内周部先端と係合部91との間に配設されたクラッチばね93と、を備えている。
係合部91と被係合部92は、例えばドグクラッチのような噛み合い機構を有し、両者が噛み合うことでステム3とシャンク2とが一体として回転する。クラッチばね93は、係合部91を被係合部92の方向に付勢するようになっている。
【0031】
規制部83は、ステム3の後退側の移動の終端を設定するストッパ部であり、ステム3の外周部に配設された係合部91と、シャンク2の前端部24との当接部であり、係合部91をシャンク2の前端部24に当接させてステム3の後退端を規制している。シャンク2の端面(前端部24)に規制部83を設けることで剛性を確保して耐久性を向上させることができる。
【0032】
なお、係合部91をシャンク2の前端部24に当接させた状態では、ステム3の後端部32は、ガイドシャフト82の支持部82aやシャンク2のエンドカバー23に当接しないようになっている。
【0033】
また、本実施形態においては、剛性を確保して耐久性を向上させるためにシャンク2の端面に規制部83を設けたが、これに限定されるものではなく、工具の仕様や負荷等に応じてステム3の後端部32に設けてもよいし、緩衝部材を介在させてもよい。
【0034】
以上のように構成された本実施形態に係るバリ取り工具1の動作について、主として図2図3を参照しながら説明する。
本実施形態に係るバリ取り工具1は、図3(a)の上半分に示すように、バリ取り加工中には、クラッチばね93の付勢力によりステム3を後方に移動させることで、クラッチ機構9が噛み合って係合するので工作機械(不図示)の駆動力によるシャンク2の回転をステム3に伝達し一体として刃具Tを回転させる(図2参照)。
【0035】
一方、非加工中には、図3(a)の下半分に示すように、作業者(不図示)がクラッチばね93の付勢力に抗してステム3を前方に引っ張り出して(符号S参照)移動させクラッチ機構9の係合を解除することで、工作機械(不図示)に装着されたシャンク2に対してステム3を回転(符号R,L参照)させることができる。
【0036】
そして、ステム3を前方に引っ張り出した状態で(符号S参照)、ステム3を先端側(紙面左)から見て右に回転させると(符号R参照)、ばね受け81をステム3に対して前進方向に移動させてばね部材6による加工時(図2参照)の押圧力を高めることができる。また、ステム3を左に回転させると(符号L参照)、ばね受け81をステム3に対して後退方向に移動させてばね部材6による押圧力を減少させることができる。
【0037】
このようにして、本発明の実施形態に係るバリ取り工具1は、ステム3を軸方向に引っ張り出す方向に移動させてクラッチ機構9の切断を解除することができるため(図3(a)の下半分)、工作機械の主軸装置に装着したままでステム3を回転させてばね部材6による押圧力を調整することができる。
したがって、バリ取り工具1を工作機械から取り外したり、交換したりすることなく、工作機械の主軸装置に装着したままで自在に押圧力を調整することができるため、作業時間を短縮して、しかも、ワークW(図2参照)の形状等に応じて適切な押圧力を設定できるため均一で高精度なバリ取りや面取り加工ができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されず、適宜変更して実施することが可能である。
例えば、本実施形態においては、作業性を向上させるために工作機械の主軸装置に装着したままで押圧力を調整するようにしたが、ばね受け81を移動させて初期長を調整する調整ねじ等の公知の調整機構を設けて、工作機械の主軸装置から取り外した状態で押圧力を調整してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 バリ取り工具
2 シャンク
3 ステム
4 コレット(刃具保持手段)
5 刃具案内手段
6 ばね部材
8 初期長調整手段
9 クラッチ機構
50 コレットホルダ
51 ピン
52 長穴
53 座
81 ばね受け
82 ガイドシャフト(摺動案内部材)
83 規制部
91 係合部
92 被係合部
T 刃具
W ワーク
図1
図2
図3