(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
記憶媒体に記憶されたデータの再生を制御するフロントエンド制御部と、前記記憶媒体から再生された再生データを蓄積・保存する蓄積装置と、前記蓄積装置に保存された再生データを読み出して出力するバックエンド制御部とを備えた再生装置において、
前記フロントエンド制御部は、誤り訂正結果を再生データの正誤情報として出力し、
前記蓄積装置は、前記フロントエンド制御部からの前記正誤情報に対応付けて前記再生データを蓄積・保存するとともに、前記正誤情報が誤りの再生データについては前記記憶媒体の読み出しアドレスを再読み出しデータテーブルに保存し、
前記バックエンド制御部は、前記蓄積装置に前記正誤情報が誤りの再生データが蓄積されてから前記正誤情報が正しい再生データが蓄積された場合に、前記フロントエンド制御部に指示して、前記再読み出しデータテーブルに保存された読み出しアドレスのデータを前記記憶媒体から読み出して再生させ、前記蓄積装置に蓄積・保存された前記正誤情報が誤りの再生データを前記正誤情報が正しい再生データで置き換えることを特徴とする再生装置。
前記バックエンド制御部は、前記蓄積装置に前記正誤情報が誤りの再生データが蓄積されてから前記正誤情報が正しい再生データが蓄積された場合に、前記フロントエンド制御部に指示して、前記記憶媒体へのアクセス方法を従前から変更することを特徴とする請求項1記載の再生装置。
前記蓄積装置は、前記正誤情報が誤りの再生データについて、前記記憶媒体からの読み出しアドレスおよび読み出しにおけるサーボ制御結果のエラーの有無を再読み出しデータテーブルに保存し、
前記バックエンド制御部は、前記再読み出しデータテーブルを参照して前記正誤情報が前記サーボ制御結果のエラーで誤りの場合、前記フロントエンド制御部に指示して、前記記憶媒体のデータ読み出し動作条件またはサーボ収束条件を従前から変更し、前記再読み出しデータテーブルに保存された読み出しアドレスのデータを前記記憶媒体から読み出して再生させ、前記蓄積装置に蓄積・保存された前記正誤情報が誤りの再生データを前記正誤情報が正しい再生データで置き換えることを特徴とする請求項1記載の再生装置。
前記蓄積装置は、前記正誤情報が誤りの再生データについて、前記記憶媒体からの読み出しアドレスおよび再読み出しを行った再読み出し回数を再読み出しデータテーブルに保存し、
前記バックエンド制御部は、前記再読み出しデータテーブルに保存された読み出しアドレスのデータを前記記憶媒体から読み出す際に、前記再読み出し回数が所定の閾値以上である場合には当該読み出しアドレスを読み出しの対象から外すことを特徴とする請求項1記載の再生装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、この発明に係る再生装置の構成を示すブロック図であり、この発明をBDなどの記憶媒体(ディスクd)から読み出したデータを再生するディスク再生装置に適用した場合を示している。
図1に示すディスク再生装置1は、移動体(例えば、車両)に搭載されてディスクdから読み出したデータを再生する再生装置であり、フロントエンド部2、バックエンド部3、およびシステム制御部4を備えて構成される。
フロントエンド部2は、PU(光ピックアップユニット)5、再生部6、ディスク駆動部7、温度センサ8、振動センサ9、およびFE制御部(フロントエンド制御部)10を備える。バックエンド部3は、BE制御部(バックエンド制御部)11、蓄積装置12および出力部13を備える。
【0013】
フロントエンド部2において、PU5は、ディスクdから光学的に記録信号を読み出す構成部であり、例えば、不図示の発光素子(レーザダイオード)、対物レンズ、受光素子およびアクチュエータなどを備える。アクチュエータは、対物レンズをディスクdに接離する方向および半径方向に移動させる。このアクチュエータで対物レンズを移動させて、発光素子からの光ビームを、対物レンズでディスクdの記録(ピット)面上に集光させて光ビームの反射光成分を記録信号として受光素子で受光する。
【0014】
再生部6は、PU5がディスクdから読み出したデータに復号処理を施して再生データを生成する機能を有する。再生データは、マネージドコピーで許可された状態でFE制御部10およびBE制御部11を介して蓄積装置12に蓄積・保存される。
ディスク駆動部7は、ディスクdを回転駆動させる駆動部であり、スピンドルモータなどで構成される。温度センサ8は、ディスクdの周辺温度を検知するセンサであり、振動センサ9は、ディスク再生装置1に加わる振動を検知するセンサである。
【0015】
FE制御部10は、ディスクdから読み出したデータを再生するフロントエンド側の構成部5〜7の動作を制御する制御部である。
また、FE制御部10は、再生部6が再生データを生成する際に、誤り訂正結果を再生データの正誤情報として出力する。すなわち、ディスクdに記憶されたデータに付加されている誤り訂正符号を用いて、FE制御部10が再生データの誤り検出訂正を行う。
なお、実施の形態1において、上記正誤情報は、誤り検出訂正でエラーがあったか否かを“正”または“誤”で示す情報である。
【0016】
BE制御部11は、システム制御部4の指示に従って、蓄積装置12から再生データを読み出して出力部13に出力する制御部である。
また、BE制御部11は、マネージドコピーで許可された状態で、フロントエンド部2で生成された再生データを入力して蓄積装置12に出力する。
蓄積装置12は、BE制御部11を介して上記再生データを入力し、自身の記憶領域にアドレッシングして蓄積・保存する。
【0017】
また、BE制御部11は、蓄積装置12に正誤情報が誤りの再生データが蓄積されてから正誤情報が正しい再生データが蓄積された場合に、FE制御部10に指示して、再読み出しデータテーブルに保存された読み出しアドレスのデータをディスクdから読み出して再生させ、蓄積装置12に蓄積された正誤情報が誤りの再生データを、正誤情報が正しい再生データで置き換える。
さらに、BE制御部11は、蓄積装置12に正誤情報が誤りの再生データが蓄積されてから正誤情報が正しい再生データが蓄積された場合に、FE制御部10に指示して、ディスクdへのアクセス方法を従前から変更する。例えば、ディスクdに対するアクセス速度を従前よりも速くする。
【0018】
蓄積装置12は、フロントエンド部2において再生された再生データを蓄積・保存するメモリである。蓄積装置12には、例えば、ディスク再生装置1が備えるハードディスク装置(HDD)、あるいは、大容量の不揮発性メモリなどが用いられる。
出力部13は、蓄積装置12から読み出された再生データを出力する出力部であって、例えば、音声の再生データを出力するオーディオ装置、映像の再生データを表示するビデオ装置などが挙げられる。
【0019】
システム制御部4は、FE制御部10およびBE制御部11を制御する制御部であり、不図示の入力部を用いて入力されたユーザ要求をFE制御部10またはBE制御部11に送信する。例えば、蓄積装置12に保存した再生データの出力が要求されると、この要求は、システム制御部4からBE制御部11へ出力される。BE制御部11は、この要求を受けると、蓄積装置12から対応する再生データを読み出して出力部13に出力する。
これにより、ユーザが、要求した再生データを視聴することができる。
【0020】
次に動作について説明する。
図2は、実施の形態1に係る再生装置の動作を示すフローチャートであり、
図1のディスク再生装置1による動作を示している。
まず、フロントエンド部2のPU5がディスクdからデータを読み出し(ステップST1)、再生部6が読み出しデータを再生する(ステップST2)。
次に、FE制御部10が、ディスクdに記憶されたデータに付加されている誤り訂正符号を用いて、このデータの再生データについて誤り検出訂正を行い、FEエラー(検出の結果が誤りである場合)があるか否かを判定する(ステップST3)。
【0021】
FEエラーがある場合(ステップST3;YES)、FE制御部10は、FEエラーがあることを示す正誤情報、これに対応する再生データおよび読み出しアドレスをBE制御部11に出力する。なお、正誤情報とは、FEエラーがある場合を“誤”、FEエラーがない場合を“正”として示す情報である。
BE制御部11は、FE制御部10から入力した正誤情報、再生データおよび読み出しアドレスを蓄積装置12に出力する。
蓄積装置12は、FEエラーがある再生データのディスクdにおける読み出しアドレスを再読み出しデータテーブルに保存することにより、再読み出しデータテーブルの内容を更新する(ステップST4)。
さらに、蓄積装置12は、再読み出しデータテーブルとは別の記憶領域に、正誤情報に対応付けて再生データを蓄積・保存する(ステップST5)。
【0022】
FEエラーがない場合(ステップST3;NO)、FE制御部10は、FEエラーがないことを示す正誤情報、これに対応する再生データおよび読み出しアドレスをBE制御部11に出力する。BE制御部11は、正誤情報からFEエラーがないことを認識すると、蓄積装置12にある再読み出しデータテーブルを参照して読み出しアドレスがあるか否かを判定する(ステップST6)。
【0023】
再読み出しデータテーブルにアドレスがない場合(ステップST6;NO)、BE制御部11は、蓄積装置12に正誤情報が誤りの再生データが保存されていないと判断し、ステップST5に移行する。これにより、蓄積装置12は、正誤情報に対応付けて再生データを蓄積・保存する。
【0024】
一方、再読み出しデータテーブルにアドレスがある場合(ステップST6;YES)、BE制御部11は、蓄積装置12に正誤情報が誤りの再生データが蓄積されてから正誤情報が正しい再生データが蓄積されたと判断する。
この場合、
図3に示すように、外的要因によって正誤情報が誤りの再生データ(アドレスBBBのデータ)が生成され、この後、外的要因が解消して正誤情報が正しい再生データ(アドレスCCC以降のデータ)が生成されたものと考えられる。例えば、ディスク再生装置1に振動が加わってエラーとなったが、その振動が治まれば、正しい再生データが得られる。
【0025】
このように、この発明では、正誤情報と再読み出しデータテーブルにの内容基づいて、エラーを起こす外的要因が解消したタイミングを判断し、外的要因が解消したタイミングで補完対象のデータをディスクdから再読み出して、正しい再生データが得られた時点で補完を行う。
【0026】
例えば、
図3に示すように、正誤情報が誤りの再生データ2が発生すると、
図4に示すように、再読み出しデータテーブルには、再生データ2の読み出しアドレスBBBが保存される。これに続いて正誤情報が正しい再生データ3が発生した場合、蓄積装置12は、正誤情報が誤りか正しいかによらずに再生データを蓄積するので、再読み出しデータテーブルに読み出しアドレスがあるか否かを参照すれば、正誤情報が誤りの再生データが蓄積されてから、正誤情報が正しい再生データが蓄積された状態であるかどうかを知ることができる。
【0027】
図2の例では、BE制御部11が、蓄積装置12に正誤情報が誤りの再生データが蓄積されてから正誤情報が正しい再生データが蓄積された場合、まず、FE制御部10に指示して、ディスクdへのアクセス方法を従前から変更する(ステップST7)。ここでは、例えば、従前のアクセス速度(1倍速)から2倍速に変更する。
【0028】
続いて、BE制御部11は、FE制御部10に指示して、再読み出しデータテーブルに保存された読み出しアドレスのデータをディスクdから読み出して再生させる(ステップST8)。
図3および
図4の例では、読み出しアドレスBBBのデータがディスクdから読み出されて再生される。
【0029】
次に、FE制御部10は、再読み出ししたデータに付加された誤り訂正符号を用いて、このデータの再生データについて誤り検出訂正を行い、FEエラーがあるか否かを判定する(ステップST9)。このとき、FEエラーがある場合(ステップST9;YES)、FE制御部10は、再読み出しの再生データを破棄して(ステップST10)、ステップST2に戻り、上述の処理を繰り返す。
【0030】
FEエラーがなければ(ステップST9;NO)、FE制御部10は、FEエラーがないことを示す正誤情報、これに対応する再生データおよび読み出しアドレスをBE制御部11に出力する。BE制御部11は、蓄積装置12に蓄積・保存されている正誤情報が誤りの再生データを、正誤情報が正しい再生データで置き換え(上書き)を行う(ステップST11)。
図3および
図4の例では、読み出しアドレスBBBのデータについて正しい再生データで上書きされ、
図5に示すように正誤情報が“正”のデータとなる。
なお、BE制御部11は、正しいデータで補完を行った場合には、このデータについて再読み出しデータテーブルに保存されている読み出しアドレスを破棄する。
【0031】
図6は、実施の形態1におけるディスクからのデータ読み出しを示す図であって、
図6(a)は、蓄積装置12に保存された誤りのある再生データを補完しない場合を示しており、
図6(b)は、
図2に示したようにエラー要因が解消したタイミングを判断して誤りのある再生データを正しいデータで補完する場合を示している。
上記の補完を行わない場合におけるディスクdからのデータ読み出しは、例えば、
図6(a)に示すように通常のアクセス速度(1倍速)で行われる。読み出しアドレスが指定されると、このアドレスに対応するデータが、次のアドレスが読み出し要求されるまでの間にディスクdから読み出される。
この状態で、読み出しアドレスBBBのデータがFEエラーとなって正誤情報が“誤”になっても、蓄積装置12には、読み出された順に再生データが蓄積されるため、誤ったデータが含まれるデータ2がそのまま保存される。
【0032】
図6(b)に示すように、正誤情報が誤りの再生データ群であるデータ2が発生すると、再読み出しデータテーブルには、
図4に示したように再生データ2の読み出しアドレスBBBが保存される。続いて、正誤情報が正しい再生データ群であるデータ3が発生した場合、再読み出しデータテーブルに読み出しアドレスBBBがあるか否かを参照すれば、正誤情報が誤りの再生データ(データ2)が蓄積されてから正誤情報が正しい再生データ(データ3)が蓄積された状態であるかどうかを知ることができる。
この状態をエラーの要因が解消したタイミングと判断して、BE制御部11が、従前の2倍のアクセス速度(2倍速)でディスクdにアクセスするようにFE制御部10に指示する。これにより、最後に読み出し要求されたアドレスDDDのデータ4が、ディスクdから2倍速で読み出される。この場合、アクセス速度が2倍になっているので、データ3の半分の時間でデータ4の読み出しおよび再生が完了する。
これに引き続き、BE制御部11は、データ2の補完処理を開始し、FE制御部10に指示してアドレスBBBのデータ2を2倍速でディスクdから再び読み出して再生する。このデータ2の正誤情報が正しければ、このデータ2で蓄積装置12に保存された誤ったデータ2を上書きする。これにより、
図6(b)に示すように、正しいデータ2で補完される。このようにアクセス速度を2倍にすることで、通常の半分の時間でデータを補完することができる。
【0033】
なお、上述までの説明では、ディスクdへのアクセス方法を変更する場合を示したが、アクセス方法を変更しなくても、エラー要因が解消したタイミングを判断することから、蓄積装置12に保存された異常な再生データを正常なデータで的確に補完することが可能である。
【0034】
以上のように、この実施の形態1によれば、FE制御部10が誤り訂正結果を再生データの正誤情報として出力し、蓄積装置12がFE制御部10からの正誤情報に対応付けて再生データを蓄積・保存するとともに、正誤情報が誤りの再生データについてはディスクdの読み出しアドレスを再読み出しデータテーブルに保存し、BE制御部11が、蓄積装置12に正誤情報が誤りの再生データが蓄積されてから正誤情報が正しい再生データが蓄積された場合に、FE制御部10に指示して再読み出しデータテーブルに保存された読み出しアドレスのデータをディスクdから読み出して再生させ、蓄積装置12に蓄積・保存された正誤情報が誤りの再生データを正誤情報が正しい再生データで置き換える。
このようにすることで、エラー要因が解消したタイミングに応じて蓄積装置12に保存された誤りがある再生データを正しいデータで的確に置き換えることができる。
【0035】
また、この実施の形態1によれば、BE制御部11が、蓄積装置12に正誤情報が誤りの再生データが蓄積されてから正誤情報が正しい再生データが蓄積された場合に、FE制御部10に指示して、ディスクdへのアクセス方法を従前から変更する。
特に、ディスクdへのアクセス速度を従前より速くすることで、通常よりも速い時間で誤りのあるデータを正しいデータで補完することが可能である。
【0036】
実施の形態2.
実施の形態2は、ディスクdの周囲温度が所定の範囲外であるか否かを正誤情報に追加した場合について述べる。ここで、所定の範囲は、ディスクdから正常にデータ読み出しが可能な温度範囲であり、この範囲より高い場合または低い場合には再生データに誤りが発生する可能性が高くなる。
なお、実施の形態2に係る再生装置は、上記実施の形態1と基本的な構成は同一であるので、以降の説明で装置構成については
図1を参照することとする。
【0037】
図7は、実施の形態2における、蓄積装置に保存されたデータとFEエラー情報、温度情報および正誤情報を示す図である。温度情報は、ディスクdの周囲温度が上記所定の範囲外であるか否かを示す情報であって、所定の範囲内であれば“正常”、所定の範囲外であれば“異常”である。
図7の例では、温度情報が異常であるため、蓄積装置12に保存する前の再生データ群のうち、データ1およびデータ2にFEエラーが発生している場合を示している。この場合、温度情報が所定の範囲よりも高温で異常になっているのかまたは低温で異常になっているのかによって異なるアクセス方法でディスクdにアクセスしてデータ読み出しを行う。
【0038】
図8は、実施の形態2における、誤りがある再生データを正しいデータで補完する処理を示す図である。
図8の例では、温度センサ8が検知したディスクdの周囲温度が所定の範囲よりも低温であるために温度情報が異常となり、これによってFEエラーが発生している場合を示している。このとき、FE制御部10は、温度情報が低温で異常であることをBE制御部11に通知する。BE制御部11は、温度情報が低温で異常になった場合、FE制御部10に指示して従前よりもディスクdへのアクセス速度を速くする。
【0039】
図8において、ディスクdから読み出して再生したデータ1が温度情報の異常(低温)によって誤りが発生した場合、BE制御部11は、FE制御部10に指示して、直ちにディスクdへのアクセス速度を2倍に引き上げる。このようにすることで、システム(例えば、LSI)全体の発熱量が増加して周囲温度が上昇し、できるだけ正しい再生データが蓄積装置12に保存されるようにデータ読み出しを行うことができる。
【0040】
ディスクdからデータ2を読み出して再生した時点では未だに低温であり、データ2も温度情報の異常(低温)によって誤りが生じている。この後、ディスクdからデータ3を読み出して再生した時点で周囲温度が所定の範囲内となり、正誤情報が正しいデータ3が蓄積装置12に保存される。このとき、実施の形態1と同様に、BE制御部11が、再読み出しデータテーブルを参照することで、蓄積装置12に正誤情報が誤りの再生データが蓄積されてから正誤情報が正しい再生データが蓄積された状態、すなわち温度によるエラー要因が解消したタイミングであると判断する。
続いて、BE制御部11は、FE制御部10に指示して、読み出し要求されたデータ4,5を蓄積装置12に保存した後に、データ1およびデータ2についての補完処理を開始する。
【0041】
このようにディスクdへのアクセス方法を変更してエラー要因となる温度環境を積極的に変化させることで、できるだけ正しい再生データが蓄積装置12に保存されるようにデータ読み出しを行うことができる。
なお、
図8では、低温でエラーが発生している場合に、ディスクdへのアクセス速度を速くする場合を示したが、ディスクdへの所定時間内のアクセス回数を増加させても同様の効果を得ることができる。
【0042】
次に、温度センサ8が検知したディスクdの周囲温度が所定の範囲より高温であるために温度情報が異常となり、これによってFEエラーが発生している場合を考える。
この場合、BE制御部11は、FE制御部10に指示して、従前よりもディスクdへの所定時間内のアクセス回数を減少させる。これにより、システム(例えば、LSI)全体の発熱量が減少して周囲温度を下降させることで、できるだけ正しい再生データが蓄積装置12に保存されるようにデータ読み出しを行うことができる。
周囲温度が下降して所定の範囲内となり、正誤情報が正しいデータが蓄積装置12に保存されると、BE制御部11は、上記と同様に再読み出しデータテーブルを参照し、温度によるエラー要因が解消したタイミングであると判断してデータ補完処理を開始する。
【0043】
以上のように、この実施の形態2によれば、FE制御部10が、ディスクdの周囲温度が所定範囲外であるか否かを正誤情報として出力し、BE制御部11が、蓄積装置12に蓄積・保存する前の再生データに対応する周囲温度が所定範囲外で正誤情報が誤りの場合、FE制御部10に指示して、周囲温度が所定の範囲内になるように、ディスクdへのアクセス速度またはアクセス回数を従前から変更する。
このようにすることで、温度によるエラーが発生している環境において、できるだけ正しい再生データが蓄積装置12に保存されるようにデータ読み出しを行うことができる。これにより、蓄積装置12に保存された誤りがある再生データを正しいデータで早期かつ的確に置き換えることができる。
【0044】
実施の形態3.
実施の形態3は、ディスクdからデータを読み出すときのサーボ制御結果がエラーであるか否かを正誤情報に追加した場合について述べる。
なお、実施の形態3に係る再生装置は、上記実施の形態1と基本的な構成は同一であるので、以降の説明で装置構成については
図1を参照することとする。
【0045】
図9は、実施の形態3における、蓄積装置に保存されたデータとFEエラー情報、サーボ情報および正誤情報を示す図である。サーボ情報とは、ディスクdのデータの読み出し位置やディスクdの回転などの制御情報であり、所定の読み出し位置にサーボ制御されていない場合にエラーとなる。すなわち、サーボ制御結果にエラーがなければ、“正常”、エラーがあれば“異常”である。
図9の例では、サーボ情報が異常であるため、蓄積装置12に保存する前の再生データ群のうち、データ1およびデータ2にFEエラーが発生している場合を示している。
この場合、サーボ収束条件が改善されるよう従前とは異なるアクセス方法でディスクdにアクセスしてデータ読み出しを行う。
【0046】
図10は、実施の形態3における、誤りがある再生データを正しいデータで補完する処理を示す図である。
図10の例では、FE制御部10が再生部6から取得したサーボ制御結果にエラーがあるためにサーボ情報が異常となり、これによってFEエラーが発生している場合を示している。このとき、FE制御部10は、サーボ情報が異常であることをBE制御部11に通知する。BE制御部11は、サーボ情報が異常である場合、FE制御部10に指示して、従前からディスクdのデータ読み出し動作条件またはサーボ収束条件を変更する。例えば、データ読み出し動作条件として一時的にディスクdを従前よりも低速な回転に変更する。また、フォーカスサーボまたはトラッキングサーボのサーボ収束条件を従前から所定の値だけ変更する。
【0047】
図10においては、ディスクdからデータ1〜3の順に読み出しを行った際に、サーボ情報の異常によってデータ1〜3に誤りが発生しており、このとき、BE制御部11が、FE制御部10に指示して、従前からディスクdのデータ読み出し動作条件またはサーボ収束条件を変更する。これにより、データ4の読み出しからサーボ制御結果にエラーがなくなり、正しいデータ4が蓄積装置12に蓄積・保存される。
このとき、実施の形態1と同様に、BE制御部11が、再読み出しデータテーブルを参照することで、蓄積装置12に正誤情報が誤りの再生データが蓄積されてから正誤情報が正しい再生データが蓄積された状態、すなわちサーボ制御におけるエラー要因が解消したタイミングであると判断する。
続いて、BE制御部11は、FE制御部10に指示して、ディスクdへのアクセス速度を2倍に引き上げた後、読み出し要求されたデータ5を蓄積装置12に保存してから、データ1〜3についての補完処理を開始する。
このようにディスクdのデータ読み出し動作条件またはサーボ収束条件を変更することにより、できるだけ正しい再生データが蓄積装置12に保存されるようにデータ読み出しを行うことができる。
【0048】
以上のように、この実施の形態3によれば、FE制御部10が、ディスクdからのデータ読み出しにおけるサーボ制御結果がエラーか否かを正誤情報として出力し、BE制御部11が、蓄積装置12に蓄積・保存する前の再生データに対応するサーボ制御結果がエラーで正誤情報が誤りの場合、FE制御部10に指示して、サーボ制御結果のエラーがなくなるようにディスクdのデータ読み出し動作条件またはサーボ収束条件を従前から変更する。このようにすることで、サーボ制御結果のエラーが発生している環境において、できるだけ正しい再生データが蓄積装置12に保存されるようにデータ読み出しを行うことができる。これにより、蓄積装置12に保存された誤りがある再生データを正しいデータで早期かつ的確に置き換えることができる。
【0049】
なお、実施の形態2で示した周囲温度および実施の形態3で示したサーボ制御の双方を正誤情報として、エラー要因の解消タイミングを判断してもよい。この場合、温度およびサーボ制御の要因に優先順を付けておき、この優先順に応じてディスクdへのアクセス方法などを従前から変更するようにしてもよい。例えば、温度が所定範囲外であっても、サーボ制御結果の方がデータ誤りの原因となり得ると考え、ディスクdのデータ読み出し動作条件またはサーボ収束条件を従前から変更する。
このようにすることでも、できるだけ正しい再生データが蓄積装置12に保存されるようにデータ読み出しを行うことができる。
【0050】
実施の形態4.
実施の形態4では、ディスクdからデータを読み出すときのサーボ制御結果がエラーであるか否かを再読み出しデータテーブルに保存した場合について述べる。
なお、実施の形態4に係る再生装置は、上記実施の形態1と基本的な構成は同一であるので、以降の説明で装置構成については
図1を参照することとする。
【0051】
図11は、実施の形態4における再読み出しデータテーブルの例を示す図であり、正誤情報に誤りのあった再生データの読み出しアドレスに対応付けてサーボ制御結果がエラーであるか否かを示すサーボ情報を保存している。
図11では、読み出しアドレスAAAとBBBのデータのサーボ情報が異常であり、ディスクdから読み出す際のサーボ制御結果がエラーであることを示している。また、読み出しアドレスCCCのデータは、他の理由で正誤情報が誤りになっている。これらのデータが蓄積装置12に保存されている。
【0052】
BE制御部11は、再読み出しデータテーブルを参照して正誤情報がサーボ制御結果のエラーで誤りの場合、読み出しアドレスAAAとBBBのデータを再読み出しする前に、FE制御部10に指示して、サーボ収束条件が改善されるようにディスクdへのアクセス方法を従前とは異なる方法に変更する。例えば、実施の形態3と同様に、データ読み出し動作条件として一時的にディスクdを従前よりも低速な回転に変更する。また、フォーカスサーボまたはトラッキングサーボのサーボ収束条件を従前から所定の値だけ変更する。
このように、再読み出しを行うアドレスごとにデータエラーの要因に応じた再読み出しの制御を行ってディスクdからのデータ読み出し性能(プレイヤビリティ性能)を一時的に向上させることにより、再読み出しを行ったデータの誤り発生の確率を低下させることができる。
【0053】
以上のように、この実施の形態4では、蓄積装置12が、正誤情報が誤りの再生データについて、ディスクdからの読み出しアドレスおよび読み出しにおけるサーボ制御結果のエラーの有無を再読み出しデータテーブルに保存し、BE制御部11が、再読み出しデータテーブルを参照して正誤情報がサーボ制御結果のエラーで誤りの場合、FE制御部10に指示して、ディスクdのデータ読み出し動作条件またはサーボ収束条件を従前から変更し、再読み出しデータテーブルに保存された読み出しアドレスのデータをディスクdから読み出して再生させ、蓄積装置12に蓄積・保存された正誤情報が誤りの再生データを正誤情報が正しい再生データで置き換える。
このように再読み出しするデータのエラー要因がサーボ情報の異常である場合、これを解消する読み出し制御を行うことで、再読み出しを行ったデータの誤り発生を抑えることができる。
【0054】
実施の形態5.
実施の形態5は、ディスクdからデータの再読み出しを行った再読み出し回数を再読み出しデータテーブルに保存する場合について述べる。
なお、実施の形態5に係る再生装置は、上記実施の形態1と基本的な構成は同一であるので、以降の説明で装置構成については
図1を参照することとする。
【0055】
図12は、実施の形態5における再読み出しデータテーブルの例を示す図であり、正誤情報に誤りのあった再生データの読み出しアドレスに対応付けて再読み出し回数を保存している。
図12の例では、読み出しアドレスAAAの再読み出し回数が3回であり、読み出しアドレスBBBの再読み出し回数が1回であり、読み出しアドレスCCCの再読み出し回数が1回である。これらのデータは蓄積装置12に保存されている。
【0056】
BE制御部11は、再読み出しデータテーブルに保存された読み出しアドレスのデータをディスクdから読み出す際に、再読み出し回数が所定の閾値以上である場合には当該読み出しアドレスを読み出しの対象から外す。例えば、閾値を3回とした場合は、読み出しアドレスAAAが上記条件に合致し、再読み出しの対象から外される。
再読み出し回数が多いアドレスのデータは、ディスクdにおいて傷などの内的な障害によってエラーになっており、外部要因によるエラーではないと推定判断して、再読み出し対象アドレスから除外する。
【0057】
以上のように、この実施の形態5では、蓄積装置12が、正誤情報が誤りの再生データについて、ディスクdからの読み出しアドレスおよび再読み出しを行った再読み出し回数を再読み出しデータテーブルに保存し、BE制御部11が、再読み出しデータテーブルに保存された読み出しアドレスのデータをディスクdから読み出す際に、再読み出し回数が所定の閾値以上である場合には当該読み出しアドレスを読み出しの対象から外す。
このようにすることで、正しいデータで補完できる可能性の高いアドレスのみが再読み出しの対象になるため、ディスクdに対する不必要なアクセスが減少し、より効率のよいエラー補完が可能となる。
【0058】
また、正誤情報が誤りの再生データについて、サーボ情報が異常であるのか否かおよび再読み出し回数の双方を再読み出しデータテーブルに保存しておき、データ補完処理の際に、実施の形態4または実施の形態5で説明した処理を適宜実行してもよい。
【0059】
なお、本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。