(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導体セットのそれぞれは一対の絶縁導体のみを含み、前記導体セットが全体として、σavgの、絶縁導体の対の平均中心間隔を有し、全体として、Σavgの隣接する導体セットの平均中心間隔を有し、Σavg/σavgは、2.5〜3の範囲である、請求項1に記載のケーブル。
前記第1導体セットが、3〜15GHzの範囲の特定の周波数で、1メートルケーブル長さにおいて、クロストークC1によって特徴付けられる、隣接する絶縁導体の間の高周波分離を有し、
第1導体セットと第2導体セットとの間の高周波分離は、前記特定の周波数におけるクロストークC2によって特徴付けられ、C2はC1よりも少なくとも10dB低い、請求項1に記載のケーブル。
前記第1ドレインワイヤーが、最も近い導体セットの最も近い絶縁ワイヤーへのドレインワイヤー距離σ1によって特徴付けられ、前記最も近い導体セットがσ2の絶縁導体の中心間隔によって特徴付けられ、σ1/σ2が0.7超である、請求項5に記載のケーブル。
前記複数の導体セットが、少なくとも8つの導体セットを含み、各導体セットは一対の絶縁導体のみを含み、前記ケーブルの前記幅は前記ケーブルが平坦に配置された際に16mm以下である、請求項5に記載のケーブル。
【発明を実施するための形態】
【0023】
上記のように、本明細書においてとりわけ、遮蔽リボンケーブル、遮蔽リボンケーブルを含む方法、並びに遮蔽リボンケーブルを利用する組み合わせ及びシステムが記載される。高密度遮蔽ケーブルのいくつかの態様を説明する前に、「遮蔽電気ケーブルの説明」と題される項において、代表的な遮蔽ケーブルの一般的な説明を提供する。その後、「高密度遮蔽ケーブル」と題される項において、高密度遮蔽ケーブルの態様を記載する。また、他の固有の遮蔽ケーブル、システム及び方法(これらは必要であれば高密度機構を組み込んでもよい)の態様を記載する。そして、「オンデマンドドレインワイヤー機構を有する遮蔽ケーブル」と題される項において、オンデマンドドレインワイヤーを有する遮蔽ケーブルの態様を説明する。「多数のドレインワイヤーを有する遮蔽ケーブル」と題される項において多数のドレインワイヤーを有する遮蔽ケーブル及びケーブルアセンブリの態様を記載する。また、「混合導体セットを有する遮蔽ケーブル」と題される項において、混合導体セットを組み込む遮蔽ケーブルの態様を記載する。
【0024】
読者には、様々な項及び表題は、組織化及び便宜性の改善のために提供され、限定的な方法において解釈されないことに留意されたい。例えば、項及び表題は、1つの項における技術、方法、機構又は構成要素が異なる項の技術、方法、機構又は構成要素と共に使用され得ないことを意味するものとして解釈されるべきではない。逆に、所与の項でのいずれかの情報は、そうでないものとして明確に指示されない限り、他のいずれかの項の情報に対して適用可能であることが意図される。したがって、例えば、高密度遮蔽ケーブルの態様は、「高密度遮蔽ケーブル」と題される項においてのみではなく、他の項においても同様に見出され得る。同様に、オンデマンドドレインワイヤーを有する遮蔽ケーブルの態様は、「オンデマンドドレインワイヤー機構を有する遮蔽ケーブル」と題される項においてのみではなく、他の項においても同様に見出され得るのであり、他も同様である。
【0025】
第1項:遮蔽電気ケーブルの説明
相互接続される装置の数及び速度が増加するにつれて、このような装置の間で信号を伝送する電気ケーブルは、より小さくする必要があり、かつ許容不可能な干渉又はクロストークをきたすことなく、より高速の信号を伝送することができる必要がある。隣接する導体により伝送される信号間の相互作用を低減するために、いくつかの電気ケーブルにおいて遮蔽が使用される。本明細書において記載されるケーブルの多くは、ほぼ平坦な構成を有し、ケーブルの長さに沿って延在する導体セット、加えてケーブルの対向する側に配置される電気遮蔽フィルムを含む。隣接する導体セットの間の遮蔽フィルムに挟まれた部分は、導体セットを互いに電気的に分離するのに役立つ。ケーブルの多くはまた、遮蔽部材に電気的に接続し、ケーブルの長さに沿って延在するドレインワイヤーも含む。本明細書において記載されるケーブル構成は、導体セット及びドレインワイヤーへの接続を単純化し、ケーブル接続部位の寸法を低減し、及び/又はケーブルのマス終端の機会を提供するのに役立ち得る。
【0026】
図1は、ケーブル2の幅、wの全部又は一部に沿って互いに離間し、ケーブル2の長さLに沿って延在する、複数の導体セット4を含む、代表的な遮蔽電気ケーブル2を例示する。ケーブル2は、
図1に例示される概ね平坦な構成で構成されてもよく、又はその長さに沿って1つ以上の位置において折り曲げられた構成へと折り曲げられてもよい。いくつかの実施において、ケーブル2のいくつかの部分は、平坦な構成で配置されてもよく、ケーブルの他の部分が折り曲げられてもよい。いくつかの構成において、ケーブル2の導体セット4の少なくとも1つが、ケーブル2の長さLに沿って延在する2つの絶縁された導体6を含む。導体セット4の2つの絶縁された導体6は、ケーブル2の長さLの全部又は一部に沿って実質的に平行に構成され得る。絶縁導体6は、絶縁信号線、絶縁電源線、又は絶縁接地ワイヤーを含む場合がある。2つの遮蔽フィルム8は、ケーブル2の対向する側に配置される。
【0027】
第1及び第2遮蔽フィルム8は、横方向断面においてケーブル2がカバー区域14及び挟まれた区域18を含むように構成されている。ケーブル2のカバー区域14において、第1及び第2遮蔽フィルム8のカバー部分7は横方向断面において各導体セット4を実質的に囲む。例えば、遮蔽フィルムのカバー部分は、任意の所与の導体セットの外辺部の少なくとも75%、又は少なくとも80、85又は90%を全体的に包含し得る。第1及び第2遮蔽フィルムの挟まれた部分9は、各導体セット4のそれぞれの側において、ケーブル2の挟まれた区域18を形成する。ケーブル2の挟まれた区域18において、遮蔽フィルム8の一方又は両方が偏倚し、遮蔽フィルム8の挟まれた部分9を更に近接させる。
図1に示されるように、いくつかの構成において、遮蔽フィルム8の両方が、挟まれた区域18において偏倚し、挟まれた部分9を更に近接させる。いくつかの構成において、ケーブルが平坦又は畳まれない構成にある場合、遮蔽フィルムの一方が挟まれた区域18において比較的平坦に維持することができ、ケーブルの反対側の他方の遮蔽フィルムは偏倚されて、遮蔽フィルムの挟まれた部分を更に近接させ得る。
【0028】
ケーブル2はまた、少なくとも挟まれた部分9の間の遮蔽フィルム8の間に配置される接着剤層10を含み得る。接着剤層10は、遮蔽フィルム8の挟まれた部分9を、ケーブル2の挟まれた区域18において、互いに結合する。接着剤層10は、ケーブル2のカバー区域14に存在しても、しなくてもよい。
【0029】
いくつかの場合において導体セット4は、横方向断面において、実質的に曲線的なエンベロープ又は外辺部を有し、遮蔽フィルム8は導体セット4の周囲に配置されて、ケーブル6の長さLの少なくとも部分に沿って、及び好ましくは実質的に全部に沿って断面形状に一致し、かつこれを維持する。断面形状を維持することは、導体セット4の設計において意図されるように、導体セット4の電気的特性を維持する。導体セットの周辺に導電性遮蔽部材を配置することが、導体セットの断面形状を変化させる場合には、これはいくつかの従来の遮蔽電気ケーブルをしのぐ利点である。
【0030】
図1に例示される実施形態において、各導体セット4が正確に2つの絶縁導体6を有するが、他の実施形態において、導体セットの一部又は全部が1つの絶縁導体のみを含んでもよく、又は3つ以上の絶縁導体6を含んでもよい。例えば、
図1のものと同様の設計の別の遮蔽電気ケーブルが、8つの絶縁導体6を有する1つの導体セット、又は各1つの絶縁導体6のみを有する8つの導体セットを含み得る。導体セット及び絶縁導体の構成におけるこの可撓性は、開示される遮蔽電気ケーブルが、広範な意図される用途において好適であるような方法で構成されることを可能にする。例えば、導体セット及び絶縁導体は、多数の二芯同軸ケーブル(すなわち、それぞれが絶縁導体を有する多数の導体セット)、多数の同軸ケーブル(すなわち、それぞれが1つの絶縁された導体のみを有する多数の導体セット)、又はこれらの組み合わせを形成するように構成され得る。いくつかの実施形態において、導体セットは、1つ以上の絶縁導体6の周辺に配置される導電性遮蔽部材(図示せず)、及び導電性遮蔽部材の周辺に配置される絶縁ジャケット(図示せず)を更に含んでもよい。
【0031】
図1に図示される実施形態では、遮蔽電気ケーブル2は、任意の接地導体12を更に含む。接地導体12は、接地ワイヤー又はドレインワイヤーを含んでもよい。接地導体12は、絶縁導体6から離間し、実質的に絶縁導体6と同じ方向に延在し得る。遮蔽フィルム8は、接地導体12の周囲に配置され得る。接着剤層10は、接地導体12の両側で、挟まれた部分9において、遮蔽フィルム8を互いに結合し得る。接地導体12は遮蔽フィルム8の少なくとも1つと電気的に接触してもよい。
【0032】
図2a〜2gの断面図は、様々な遮蔽電気ケーブル又はケーブルの部分を表し得る。
図2aにおいて、遮蔽電気ケーブル102aは単一の導体セット104を含む。導体セット104は、ケーブルの長さに沿って延在し、単一の絶縁導体106のみを有する。必要であれば、ケーブル102は、ケーブル102aの幅にわたって互いに離間し、ケーブルの長さに沿って延在する多数の導体セット104を含むように作製され得る。2つの遮蔽フィルム108は、ケーブルの対向する側に配置される。ケーブル102aは、カバー区域114及び挟まれた区域118を含む。ケーブル102aのカバー区域114において、遮蔽フィルム108は、導体セット104を被覆するカバー部分107を含む。横方向断面において、カバー部分107は組み合わされて、導体セット104を実質的に囲む。ケーブル102aの挟まれた区域118において、遮蔽フィルム108は導体セット104のそれぞれの側に挟まれた部分109を含む。
【0033】
任意の接着剤層110は、遮蔽フィルム108の間に配置され得る。遮蔽電気ケーブル102aは、任意の接地導体112を更に含む。接地導体112は、絶縁導体106から離間され、かつ実質的に絶縁導体106と同じ方向に延在する。導体セット104及び接地導体112は、
図2aに例示されるようにこれらが一般的に平面にあるようにして構成され得る。
【0034】
遮蔽フィルム108の第2カバー部分113は、接地導体112の周囲に配置されて、これを被覆する。接着剤層110は、遮蔽フィルム108を、接地導体112の両側上で互いに結合し得る。接地導体112は遮蔽フィルム108の少なくとも1つと電気的に接触してもよい。
図2aにおいて、絶縁導体106及び遮蔽フィルム108は、同軸ケーブル構成において有効に構成される。
図2aの同軸ケーブル構成は、シングルエンド回路構成において使用され得る。
【0035】
図2aの横方向区域断面図において例示されるように、遮蔽フィルム108のカバー部分107の間に最大間隔Dが存在し、遮蔽フィルム108の挟まれた部分109の間に最小間隔d
1が存在する。
【0036】
図2aは、ケーブル102の挟まれた区域118の遮蔽フィルム108の挟まれた部分109の間に配置され、ケーブル102aのカバー区域114において遮蔽フィルム108のカバー部分107と絶縁導体106との間に配置される、接着剤層110を示す。この配置において、接着剤層110は、ケーブルの挟まれた区域118において遮蔽フィルム108の挟まれた部分109を結合し、ケーブル102aのカバー区域114において、遮蔽フィルム108のカバー部分107を絶縁導体106に一緒に結合する。
【0037】
図2bの遮蔽ケーブル102bは、
図2aのケーブル102aと同様であり、同様の要素は同様の参照番号によって特定されるが、ただし、
図2bにおいて、任意の接着剤層110bは、ケーブル102のカバー区域114において、遮蔽フィルム108のカバー部分107と、絶縁導体106との間に存在しない。この配置において、接着剤層110bは、ケーブルの挟まれた区域118において遮蔽フィルム108の挟まれた部分109を一緒に結合するが、接着剤層110は、ケーブル102のカバー区域114においては、遮蔽フィルム108のカバー部分107を絶縁された導体106に結合しない。
【0038】
図2cを参照し、遮蔽電気ケーブル102cは、
図2aの遮蔽電気ケーブル102aと同様であるがただし、ケーブル102cは2つの絶縁された導体106cを有する単一の導体セット104cを有する。必要であれば、ケーブル102cは、ケーブル102aの幅にわたって離間し、ケーブルの長さに沿って延在する多数の導体セット104cを含むように作製され得る。絶縁導体106cは、一般的に単一平面に、かつ二芯同軸構成に有効に、構成される。
図2cの二芯同軸ケーブル構成は、差動ペア回路構成又はシングエンド回路構成で使用され得る。
【0039】
2つの遮蔽フィルム108cが、導体セット104cの対向する側に配置される。ケーブル102cは、カバー区域114c及び挟まれた区域118cを含む。ケーブル102cのカバー区域114cでは、遮蔽フィルム108cは、導体セット104cを被覆するカバー部分107cを含む。横方向断面において、カバー部分107cは組み合わされて、導体セット104cを実質的に囲む。ケーブル102cの挟まれた区域118cでは、遮蔽フィルム108cは導体セット104cのそれぞれの側の挟まれた部分109cを含む。
【0040】
任意の接着剤層110cは、遮蔽フィルム108cの間に配置され得る。遮蔽電気ケーブル102cは、前述の接地導体112と同様の任意の接地導体112cを更に含む。接地導体112cは、絶縁導体106cから離間され、実質的に絶縁導体106cと同じ方向に延在する。導体セット104c及び接地導体112cは、
図2cに例示されるようにこれらが一般的に平面にあるようにして構成され得る。
【0041】
図2cに例示されるように、遮蔽フィルム108cのカバー部分107cの間には最大間隔Dが存在し、遮蔽フィルム108cの挟まれた部分109cの間には最小間隔d
1が存在し、絶縁導体106cの間の遮蔽フィルム108cの間には、最小間隔d
2が存在する。
【0042】
図2cは、ケーブル102cの挟まれた区域118cの遮蔽フィルム108cの挟まれた部分109cの間に配置され、遮蔽フィルム108cのカバー部分107cと、ケーブル102cのカバー区域114cの絶縁導体106cとの間に配置される接着剤層110cを示す。この構成では、ケーブル102cの挟まれた区域118cにおいて接着剤層110cは、遮蔽フィルム108cの挟まれた部分109cを一緒に結合し、またケーブル102cのカバー区域114cにおいて、遮蔽フィルム108cのカバー部分107cを、絶縁導体106cに結合する。
【0043】
図2dの遮蔽ケーブル102dは、
図2cのケーブル102cと同様であり、同様の要素が同様の参照番号で指定されるが、ただしケーブル102dでは、ケーブルのカバー区域114cにおいて、遮蔽フィルム108cのカバー部分107cと、絶縁導体106cとの間に任意の接着剤層110dが存在しない。この構成では、ケーブルの挟まれた区域118cにおいて接着剤層110dは、遮蔽フィルム108cの挟まれた部分109cを一緒に結合するが、ケーブル102dのカバー区域114cにおいて、遮蔽フィルム108cのカバー部分107cを、絶縁導体106cに結合しない。
【0044】
ここで
図2eを参照し、多くの点において
図2aの遮蔽電気ケーブル102aと同様の、遮蔽電気ケーブル102eの横方向断面図が存在するのが確認できる。しかしながら、ケーブル102aが単一の絶縁導体106のみを有する単一の導体セット104を含む一方で、ケーブル102eは、ケーブル102eの長さに沿って延在する2つの絶縁導体106eを有する単一の導体セット104eを含む。ケーブル102eは、ケーブル102eの幅にわたって互いに離間し、ケーブル102eの長さに沿って延在する、多数の導体セット104eを有するように作製され得る。絶縁導体106eは、ツイストペアケーブル構成で効果的に構成され、これにより絶縁導体106eが互いに周囲で撚り合わされて、ケーブル102eの長さに沿って延在する。
【0045】
図2fはまた、やはり多くの点において
図2aの遮蔽電気ケーブル102aと同様である、別の遮蔽電気ケーブル102fを表す。しかしながら、ケーブル102aが単一の絶縁導体106のみを有する単一の導体セット104を含む一方で、ケーブル102fは、ケーブル102fの長さに沿って延在する4つの絶縁導体106fを有する単一の導体セット104fを含む。ケーブル102fは、ケーブル102fの幅にわたって互いに離間し、ケーブル102fの長さに沿って延在する、多数の導体セット104fを有するように作製され得る。
【0046】
絶縁導体106fは、4連ケーブル構成において効果的に構成され、これにより絶縁導体106fは、絶縁導体106fがケーブル102fの長さに沿って延在するに伴って、互いに撚り合わされてもよいし、そうでなくてもよい。
【0047】
再び
図2a〜2fを参照し、遮蔽電気ケーブルの更なる実施形態は、単一の平面で一般的に構成された、複数の離間した導体104、104c、104e若しくは104f又はこれらの組み合わせを含み得る。所望により、遮蔽電気ケーブルは、導体セットの絶縁導体から離間され、かつ概ねこれと同じ方向に延在する複数の接地導体112を含んでもよい。いくつかの構成において、導体セット及び接地導体は、単一の平面において構成され得る。
図2gは、このような遮蔽電気ケーブルの代表的な実施形態を図示する。
【0048】
図2gを参照すると、遮蔽電気ケーブル102gは、概ね平面に配置される複数の離間した導体セット104、104cを含む。遮蔽電気ケーブル102gは、導体セット104、104cと、遮蔽電気ケーブル102gの両側部又は縁部との間に配置された、任意の接地導体112を更に含む。
【0049】
第1及び第2遮蔽フィルム208は、ケーブル102gの対向する側に配置され、横方向断面においてケーブル102gがカバー区域224及び挟まれた区域228を含むように構成される。ケーブルのカバー区域224において、第1及び第2遮蔽フィルム208のカバー部分217は横方向断面において各導体セット104、104cを実質的に囲む。第1及び第2遮蔽フィルム208の挟まれた部分219は、各導体セット104、104cの両側の挟まれた区域218を形成する。
【0050】
遮蔽フィルム208は、接地導体112の周囲に配置され得る。任意の接着剤層210は、遮蔽フィルム208の間に配置され、各導体セット104、104cの両側の挟まれた区域228において、遮蔽フィルム208の挟まれた部分219を互いに結合する。遮蔽電気ケーブル102gは、同軸ケーブル構成(導体セット104)及び二芯同軸ケーブル構成(導体セット104c)の組み合わせを含み、したがってハイブリッドケーブル構成と呼ばれることがある。
【0051】
1つ、2つ又はそれ以上の遮蔽電気ケーブルが、プリント基板、パドルカードなどの、終端構成要素へと終端され得る。絶縁導体及び接地導体は概ね単一平面に配置されるため、開示される遮蔽電気ケーブルはマスストリッピング、すなわち同時の遮蔽フィルムからのストリッピング及び絶縁導体からの絶縁、及びマス終端、すなわち絶縁導体及び接地導体のストリッピングされた端部の同時の終端に好適であり、これはより自動化されたケーブル組み立てプロセスを可能にする。これは、開示される遮蔽電気ケーブルの少なくともいくらかの利益である。絶縁導体及び接地導体のストリッピングした端部は例えば、導電経路又はプリント基板の他の素子と接触するように終端してもよい。他の場合において、絶縁導体及び接地導体のストリッピングされた端部は、任意の好適な終端装置の任意の好適な個別の接触子、例えば電気コネクタの電気接触子などに終端されてもよい。
【0052】
図3a〜3dは、遮蔽電気ケーブル302の、プリント基板又は他の終端構成要素314への代表的な終端プロセスを例示する。この終端プロセスは、マス終端プロセスであってもよく、ストリッピング(
図3a〜3b)、位置合わせ(
図3cに図示される)、及び終端(
図3dに図示される)の工程を含む。本明細書において図示される及び/又は記載されるケーブルのいずれかの形態を一般的に取り得る、遮蔽電気ケーブル302を形成する際、遮蔽電気ケーブル302の導体セット304、絶縁導体306、及び接地導体312の構成は、プリント基板314の接触要素316の構成に適合されてもよく、これは、位置合わせ及び終端中における、遮蔽電気ケーブル302の端部の任意の著しい操作を排除する。
【0053】
図3aに図示されている工程では、遮蔽フィルム308の末端部分308aは削除されている。任意の好適な方法、例えば機械的ストリッピング又はレーザーストリッピングが使用されてもよい。この工程は、絶縁導体306及び接地導体312の末端部分を露出させる。一態様において、遮蔽フィルム308の末端部分308aのマスストリッピングは、それらが、絶縁導体306の絶縁体から別個の一体化されて接続された層を形成するために、可能である。絶縁導体306から遮蔽フィルム308を取り除くことは、これらの位置における短絡に対する保護を可能にし、また、絶縁導体306及び接地導体312の露出した末端部分の独立した動きをもたらす。
図3bに図示された工程では、絶縁導体306の絶縁体の末端部分306aが取り除かれている。任意の好適な方法、例えば機械的ストリッピング又はレーザーストリッピングが使用されてもよい。この工程は、絶縁導体306の導体の末端部分を露出させる。
図3cに図示される工程では、遮蔽電気ケーブル302は、遮蔽電気ケーブル302の絶縁導体306の導体の末端部分と、接地導体312の末端部分が、プリント基板314の接触要素316と位置合わせされるように、プリント基板314と位置合わせされる。
図3dに図示された工程では、遮蔽電気ケーブル302の絶縁導体306の導体の末端部分、及び接地導体312の末端部分は、プリント基板314の接触要素316に終端される。使用され得る好適な終端方法の例には、いくつかの例を挙げると、溶接、溶接、圧締め、機械的圧締め、接着結合が挙げられる。
【0054】
いくつかの場合において、開示される遮蔽ケーブルは、導体セットの間に配置される、1つ以上の長手方向のスリット又は他の分割部を含むように作製されてもよい。分割部は、遮蔽ケーブルの長さの少なくとも一部に沿って、個別の導体セットを分離し、それによってケーブルの少なくとも横方向の可撓性を増加させるために使用されてもよい。これは、例えば、遮蔽ケーブルが、曲線状の外部ジャケット内に容易に配置されることを可能にし得る。他の実施形態では、分割部は、例えば個々の又は複数の導体セット及び接地導体を分離するように配置されてもよい。導体セット及び接地導体の間隔を維持するために、分割部は、遮蔽電気ケーブルの長さに沿って不連続であってもよい。遮蔽電気ケーブルの少なくとも1つの端部において、導体セットと接地導体の間隔を維持し、マス終端能力を維持するために、分割部は末端部分Aの一方又は両方内に延在しない場合がある。分割部は任意の好適な方法、例えばレーザー切断又はパンチング等を使用して、遮蔽電気ケーブルに形成されてもよい。長手方向の分割部の代わりに、又はこれと組み合わせて、開口部の他の好適な形状、例えば穴などが開示される遮蔽電気ケーブルに形成されて、ケーブルの少なくとも横方向の可撓性を増加させてもよい。
【0055】
開示される遮蔽ケーブルに使用される遮蔽フィルムは、様々な構成を有し、様々な方法で作製される場合がある。いくつかの場合において、1つ以上の遮蔽フィルムが、導電性層及び非導電性ポリマー層を含んでもよい。導電性層は、銅、銀、アルミニウム、金、及びこれらの合金を含むが、これに限定されない任意の好適な導電材料を含んでもよい。非導電性高分子層は、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、シリコーンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ポリウレタン、アクリレート、シリコーン、天然ゴム、エポキシ、及び合成ゴム接着剤を含むが、これに限定されない任意の好適な高分子材料を含み得る。非導電性高分子層は、対象用途に好適な特性をもたらすために、1つ以上の接着剤及び/又は充填剤を含む場合がある。いくつかの場合において、遮蔽フィルムの少なくとも1つは、導電性層と非導電性高分子層との間に配置される積層接着層を含んでもよい。非導電性層上に配置される導電性層を有するか、ないしは別の方法で、導電性である1つの主要外部表面、及び実質的に非導電性である反対側の主要外部表面を有する、遮蔽フィルムにおいて、この遮蔽フィルムは、所望によりいくつかの異なる向きで遮蔽ケーブル内に導入され得る。いくつかの場合において、例えば、導電性表面が絶縁ワイヤー及び接地ワイヤーの導体セットに面することができ、いくつかの場合において、非導電性表面がこれらの構成要素と面することができる。2つの遮蔽フィルムがケーブルの両側に使用される場合において、フィルムは、これらの導電性表面が互いに面し、かつそれぞれが導電性セット及び接地ワイヤーに面するように向けられてもよく、又はこれらはこれらの非導電性表面が互いに面し、かつそれぞれが導体セット及び接地ワイヤーに面するように向けられてもよく、又はこれらは1つの遮蔽フィルムの導電性表面が導体セット及び接地ワイヤーに面する一方で、他の遮蔽フィルムの非導電性表面がケーブルの反対側の導体セット及び接地ワイヤーと面するように向けられてもよい。
【0056】
いくつかの場合において、遮蔽フィルムの少なくとも一方が、適合する、すなわち柔軟な金属箔などの、単独型導電性フィルムであるか、これを含んでもよい。遮蔽フィルムの構造体は、例えば、遮蔽電気ケーブルの可撓性、電気性能、及び構成(例えば、接地導体の存在及び位置など)など、対象用途に好適な設計パラメータの数を基準として選択されてもよい。いくつかの場合において、遮蔽フィルムは、一体的に形成された構成を有してもよい。いくつかの場合において、遮蔽フィルムは、0.01mm〜0.05mmの範囲の厚さを有し得る。遮蔽フィルムは、所望により導体セットの間の絶縁、遮蔽、及び精密な間隔を提供し、かつより自動化され、より低費用のケーブル製造プロセスを可能にする。更に、遮蔽フィルムは、「信号のサックアウト(signalsuck-out)」すなわち、共振(これによって高信号減衰が特定の周波数帯域で生じる)として知られる現象を防ぐ。この現象は一般的に、導電性遮蔽部材が導体セットの周囲に巻き付けられている従来の遮蔽電気ケーブルに発生する。
【0057】
本明細書において他に説明されるように、ケーブルのカバー区域において、導体セットの1つ、いくつか又は全てに1つ又は2つの遮蔽フィルムを結合するために接着剤材料がケーブル構成体において使用されてもよく、及び/又はケーブルの挟まれた区域において2つの遮蔽フィルムを一緒に結合するために接着剤材料が使用されてもよい。接着剤材料の一層が、少なくとも1つの遮蔽フィルム上に配置されてもよく、2つの遮蔽フィルムがケーブルの両側で使用されるいくつかの場合においては、接着剤材料の層が、両方の遮蔽フィルム上に配置され得る。後者の場合においては、一方の遮蔽フィルム上で使用される接着剤は、他方の遮蔽フィルム上に使用される接着剤と好ましくは同じであるが、所望により異なっていてもよい。所与の接着剤層は、電気的に絶縁性の接着剤を含んでもよく、かつ2つの遮蔽フィルムの間に絶縁性結合部を提供してもよい。更に、所与の接着剤層は、少なくとも1つの遮蔽フィルムと、導体セットの1つ、いくつか又は全ての絶縁性導体との間、及び少なくとも1つの遮蔽フィルムと接地導体(存在する場合)の1つ、いくつか又は全てとの間に、絶縁性結合部を提供してもよい。あるいは、所与の接着剤層は、導電性接着剤を含んでもよく、かつ2つの遮蔽フィルムの間に導電性結合部を提供してもよい。更に、所与の接着剤層は、少なくとも1つの遮蔽フィルムと、接地導体(存在する場合)の1つ、いくつか又は全てとの間に導電性結合部を提供してもよい。好適な導電性接着剤は、電流の流れを提供するために導電性粒子を含む。導電性粒子は、現在使用されている任意のタイプの粒子、例えば、球体、フレーク、ロッド、立方体、非晶質、又は他の粒子形状であってあり得る。それらは、カーボンブラック、カーボンファイバー、ニッケル球体、ニッケルがコーティングされた銅球体、金属がコーティングされた酸化物、金属がコーティングされた高分子繊維、又は他の類似の導電性粒子など、固体又は実質的に固体粒子であってもよい。これらの導電性粒子は、銀、アルミニウム、ニッケル、又は酸化インジウムスズなどの導電材料でメッキされている若しくはコーティングされている電気絶縁材料から作製されてもよい。金属がコーティングされた絶縁材料は、実質的に中空の粒子、例えば中空のガラス球体であってもよく、又はガラスビーズ若しくは金属酸化物など中実材料を含んでもよい。導電性粒子は、カーボンナノチューブなど、約数十マイクロメートルから、ナノメーターサイズの大きさまでの材料であってもよい。好適な導電性接着剤はまた、導電性高分子マトリックスを含んでもよい。
【0058】
所与のケーブル構成体で使用される際、接着剤層は好ましくは、ケーブルの他の要素に対して、実質的に柔軟な形状を有し、ケーブルの屈曲運動に対して柔軟である。いくつかの場合において、所与の接着剤層は実質的に連続的であり、例えば、所与の遮蔽フィルムの所与の主表面の実質的な全体長さ及び幅に沿って延在していてもよい。いくつかの場合において、接着剤層は、実質的に非連続的であり得る。例えば、接着剤層は、所与の遮蔽フィルムの長さ又は幅に沿った、いくつかの部分にのみ存在してもよい。連続的な接着剤層は、例えば、各導体セットの両側の遮蔽フィルムの挟まれた部分の間、及び接地導体(存在する場合)の側の遮蔽フィルムの間に配置される、複数の長手方向の接着剤のストライプを含み得る。所与の接着剤材料は、感圧接着剤、ホットメルト接着剤、熱硬化性接着剤及び硬化性接着剤の少なくとも1つであるか、又はこれを含んでもよい。接着剤層は、1つ以上の絶縁導体と遮蔽フィルムとの間の結合部よりも実質的に強い、遮蔽フィルムの間の結合部を提供するように構成されてもよい。これは、例えば、接着剤配合の適切な選択によって達成され得る。この接着剤構成の利点は、遮蔽フィルムが、絶縁導体の絶縁体から容易に剥離可能となることである。他の場合において、接着剤層は、実質的に同等の強度である、遮蔽フィルムの間の結合部、及び1つ以上の絶縁導体と遮蔽フィルムとの間の結合部を提供するように構成され得る。この接着剤の構成の利点は、絶縁導体が遮蔽フィルム間に固定されるということである。この構成を有する遮蔽電気ケーブルが屈曲する際、このことにより相対運動を小さくすることが可能になり、したがって遮蔽フィルム座屈の可能性を低減する。好適な結合強度は対象用途によって選択されてもよい。いくつかの場合において、約0.13mm未満の厚さを有する、適合性接着剤層が使用され得る。代表的な実施形態において、接着剤層は、約0.05mmより小さい厚さを有する。
【0059】
所与の接着剤層は、遮蔽電気ケーブルの所望の機械及び電気的性能特性を達成するように適合してもよい。例えば、接着剤層は、導体セットの間の領域の遮蔽フィルムの間でより薄くなるように適合してもよく、これは遮蔽ケーブルの少なくとも横方向の可撓性を増加させる。これは、遮蔽ケーブルが、曲線状の外部ジャケット内に容易に配置されることを可能にし得る。いくつかの場合において、接着剤層は、導体セットに直接隣接する領域においてより厚くなるように適合し、導体セットに実質的に適合してもよい。これは機械的強度を増加させ、この領域における遮蔽フィルムの曲線状の形状を形成することを可能にしてもよく、これは例えば、ケーブルが屈曲する間の遮蔽ケーブルの耐久性を増加させ得る。加えて、これは遮蔽ケーブルの長さに沿った遮蔽フィルムに対する絶縁導体の位置及び間隔を維持するのに役立つことができ、これは遮蔽ケーブルのより均一なインピーダンス及び優れた信号完全性を生じ得る。
【0060】
所与の接着剤層は、例えば、ケーブルの挟まれた区域の、導体セットの間の領域の遮蔽フィルムの間で効果的に、部分的又は完全に取り除かれるように適合してもよい。結果として、遮蔽フィルムはこれらの領域において互いに電気的に接触してもよく、これはケーブルの電気的性能を増加させ得る。いくつかの場合において、接着剤層は、遮蔽フィルム及び接地導体の少なくとも一方の間で効果的に、部分的若しくは完全に取り除かれるように適合してもよい。結果として、接地導体は、これらの領域の遮蔽フィルムの少なくとも一方で電気的に接触してもよく、これはケーブルの電気的性能を向上させ得る。接着剤の薄い層が、遮蔽フィルム及び所与の接地導体の少なくとも一方の間に残る場合であっても、接地導体のアスペリティが薄い接着剤層を打ち破り、意図される電気的接触を生成する。
【0061】
図4a〜4cは、3つの代表的な遮蔽電気ケーブルの断面図であり、これらは、遮蔽電気ケーブルの接地導体の配置の例を示す。遮蔽電気ケーブルの態様は、遮蔽部材の適切な接地であり、このような接地は、多くの方法で達成され得る。いくつかの場合において、所与の接地導体は、遮蔽フィルムの少なくとも一方と電気的に接触し、それによって所与の接地導体の接地が、遮蔽フィルムも接地させることができる。このような接地導体はまた、「ドレインワイヤー」とも称され得る。遮蔽フィルムと接地導体との間の電気的接触は、比較的低い直流抵抗、例えば10Ω未満、又は2Ω未満、又は実質的に0Ωの直流抵抗により、特徴付けられる場合がある。いくつかの場合において、所与の接地導体は、遮蔽フィルムと電気的に接触しない場合があり、任意の好適な終端構成要素の任意の好適な個別の終端要素(例えば、プリント回路基盤、パドルボード又は他の装置上の導電経路又は他の接触要素)に個別に終端される、ケーブル構成体内の個別の要素であり得る。このような接地導体はまた、「接地ワイヤー」とも称され得る。
図4aは、接地導体が遮蔽フィルムの外部に位置付けられる、代表的な遮蔽電気ケーブルを例示する。
図4b及び4cは、接地導体が、遮蔽フィルムの間に位置付けられ、導体セットに含まれ得る、実施形態を例示する。1つ以上の接地導体は、遮蔽フィルムの外側に、遮蔽フィルムの間に、又は両方の組み合わせで、任意の好適な位置に配置されてもよい。
【0062】
図4aを参照し、遮蔽電気ケーブル402aは、ケーブル402aの長さに沿って延在する、単一の導体セット404aを含む。導体セット404aは、2つの絶縁導体406、すなわち、1対の絶縁導体を有する。ケーブル402aは、ケーブルの幅にわたって互いに離間し、ケーブルの長さに沿って延在する、多数の導体セット404aを有するように作製され得る。ケーブルの両側に配置される2つの遮蔽フィルム408aは、カバー部分407aを含む。横方向断面において、カバー部分407aは組み合わされて、導電セット404aを実質的に囲む。任意の接着剤層410aは、遮蔽フィルム408aの挟まれた部分409aの間に配置され、導体セット404aの両側において遮蔽フィルム408aを互いに結合させる。絶縁導体406は一般的に単一平面に、かつ効果的に二芯同軸ケーブル構成に構成され、これはシングルエンド回路構成又は差動ペア回路構成で使用され得る。遮蔽電気ケーブル402aは、遮蔽フィルム408aの外部に位置付けられた複数の接地導体412を更に含む。接地導体412は、導体セット404aの上に、これの下に、又は両面上に配置される。任意により、ケーブル402aは、遮蔽フィルム408a及び接地導体412を囲む保護フィルム420を含む。保護フィルム420は、保護層421と、保護層421を遮蔽フィルム408a及び接地導体412に結合する接着層422と、を含む。あるいは、遮蔽フィルム408a及び接地導体412は、例えば導電性編組などの外側の導電性遮蔽部、及び外側の絶縁ジャケット(図示せず)によって包囲されてもよい。
【0063】
図4bを参照し、遮蔽電気ケーブル402bは、ケーブル402bの長さに沿って延在する、単一の導体セット404bを含む。導体セット404bは、2つの絶縁導体406、すなわち一対の絶縁導体を有する。ケーブル402bは、ケーブルの幅にわたって互いに離間し、ケーブルの長さに沿って延在する、多数の導体セット404bを有するように作製され得る。2つの遮蔽フィルム408bは、ケーブル402bの両側に配置され、カバー部分407bを含む。横方向断面において、カバー部分407bは組み合わされて、導電セット404bを実質的に囲む。任意の接着剤層410bは、遮蔽フィルム408bの挟まれた部分409bの間に配置され、導体セットの両側において遮蔽フィルムを互いに結合させる。絶縁導体406は、概ね単一平面に、かつ二芯同軸又は差動ペアケーブル構成に効果的に配置される。遮蔽電気ケーブル402bは、遮蔽フィルム408b間に配置される複数の接地導体412を更に含む。接地導体412の2つは、導体セット404bに含まれ、接地導体412の2つは、導体セット404bから離間される。
【0064】
図4cを参照し、遮蔽電気ケーブル402cは、ケーブル402cの長さに沿って延在する、単一の導体セット404cを含む。導体セット404cは、2つの絶縁導体406、すなわち、一対の絶縁導体を有する。ケーブル402cは、ケーブルの幅にわたって互いに離間し、ケーブルの長さに沿って延在する、多数の導体セット404cを有するように作製され得る。2つの遮蔽フィルム408cは、ケーブル402cの両側に配置され、カバー部分407cを含む。横方向断面において、カバー部分407cは組み合わされて、導体セット404cを実質的に囲む。任意の接着剤層410cは、遮蔽フィルム408cの挟まれた部分409cの間に配置され、導体セット404cの両側において遮蔽フィルム408cを互いに結合させる。絶縁導体406は、概ね単一平面に、かつ二芯同軸又は差動ペアケーブル構成に効果的に配置される。遮蔽電気ケーブル402cは、遮蔽フィルム408c間に配置される複数の接地導体412を更に含む。全ての接地導体412は、導体セット404cに含まれる。接地導体412の2つ、及び絶縁導体406は、概ね単一平面に配置される。
【0065】
示される遮蔽ケーブルは所望により、1つ以上の導電性ケーブルクリップを使用して、回路基板又は他の終端構成要素に接続され得る。例えば、遮蔽電気ケーブルは、ほぼ単一平面内に構成される複数の離間した導体セットを含んでもよく、各導体セットは、ケーブルの長さに沿って延在する2つの絶縁導体を含み得る。2つの遮蔽フィルムは、ケーブルの両側に配置され得、横方向断面において、導体セットのそれぞれを実質的に囲む。ケーブルクリップは、遮蔽フィルムの少なくとも一方がケーブルクリップと電気的に接触するように、遮蔽電気ケーブルの端部にクランプされるかないしは別の方法で取り付けられてもよい。ケーブルクリップは、例えば、導電性トレース又はプリント基板上の他の接触要素など、設置基準点に終端されて、遮蔽電気ケーブルと接地基準点との間に接地接続を形成してもよい。ケーブルクリップは、はんだ付け、溶接、圧締め、機械的圧締め、及び接着結合を含む任意の好適な方法を使用して接地基準点に終端されてもよい。終端時に、ケーブルクリップは、終端ポイントの接触要素(例えば、プリント基板上の接触要素など)への、遮蔽電気ケーブルの絶縁導体の導体の端部の終端を促進し得る。遮蔽電気ケーブルは、遮蔽フィルムの少なくとも1つに加えて、又はこれの代わりに、ケーブルクリップに電気的に接触し得る、本明細書に記載されるような1つ以上の接地導体を含んでもよい。
【0066】
図5a〜5cは、遮蔽電気ケーブルを作製する代表的な方法を例示する。特にこれらの図は、
図1において示されるものと実質的に同じであり得る遮蔽電気ケーブルを作製する代表的な方法を例示する。
【0067】
図5aに例示される工程において、絶縁導体506は、例えば、押出成形などの任意の好適な方法を使用して形成されるか、ないしは別の方法で提供される。絶縁導体506は、任意の好適な長さで形成されてもよい。絶縁導体506は次いで、そのように提供されてもよく、又は所望の長さに切断されてもよい。接地導体512(
図5c参照)は、同様の方法で形成及び提供され得る。
【0068】
図5bに図示されている工程において、遮蔽フィルム508が形成される。任意の好適な方法、例えば連続ワイドウェブプロセスなどを使用して、単一層又は多層ウェブが形成されてもよい。遮蔽フィルム508は、任意の好適な長さで形成されてもよい。遮蔽フィルム508は次いで、そのように提供されてもよく、又は所望の長さ及び/又は幅に切断されてもよい。遮蔽フィルム508は、横断する部分的な折れ目を有するように事前に形成されて、長手方向の可撓性を増加させてもよい。遮蔽フィルムの一方又は両方は、適合性接着剤層510を含んでもよく、これは例えば、積層又はスパッタリングなどの任意の好適な方法を使用して遮蔽フィルム508上に形成され得る。
【0069】
図5cに図示されている工程では、複数の絶縁導体506、接地導体512、及び遮蔽フィルム508が提供される。形成ツール524が提供される。形成ツール524は、最終的な遮蔽電気ケーブルの所望の断面形状に対応する形状を有する形成ロールの対526a、526bを含み、形成ツールはまたロール間隙528を含む。絶縁導体506、接地導体512及び遮蔽フィルム508が、本明細書において示され、及び/又は記載されるケーブルのいずれかなど、所望の遮蔽ケーブルの構成に従って構成され、かつ形成ロール526a、526bの近位に位置付けられて、その後これらは形成ロール526a、526bのロール間隙528内に同時的に送達されて、形成ロール526a、526bの間に配置される。形成ツール524は導体セット504及び接地導体512の周囲に遮蔽フィルム508を形成し、遮蔽フィルム508を、各導体セット504及び接地導体512の両側で、互いに結合する。結合を促進するために熱が適用されてもよい。この実施形態では、導体セット504及び接地導体512の周辺に遮蔽フィルム508を形成すること、並びに遮蔽フィルム508を互いに、各導体セット504及び接地導体512の両面上で結合することは単一操作で生じるが、他の実施形態では、これらの工程は別個の操作で生じる場合がある。
【0070】
続く製造操作において、長手方向の分割部が所望により導体セットの間に形成され得る。分割部は任意の好適な方法、例えばレーザー切断又はパンチング等を使用して、遮蔽電気ケーブルに形成されてもよい。別の任意の製造操作において、遮蔽電気ケーブルは、挟まれた区域に沿って長さ方向に、複数回にわたって折り曲げられて束にされてもよく、外部導電性遮蔽部材が、任意の好適な方法を使用して、折り曲げられた束の周囲に提供されてもよい。外部ジャケットは、例えば、押出成形などの任意の好適な方法を使用して、外部導電性遮蔽部材の周囲に提供されてもよい。他の実施形態において、外部導電性遮蔽部材は省略されてもよく、外部ジャケットはそれ自体、折り曲げられた遮蔽ケーブルの周囲に提供されてもよい。
【0071】
図6a〜6cは、遮蔽電気ケーブルを作製する代表的な方法の詳細を例示する。特に、これらの図形は、遮蔽フィルムの形成及び結合の間に、1つ以上の接着剤層がどのようにして適合可能に成形されるかを例示している。
【0072】
図6aに示される工程において、絶縁導体606、絶縁導体606から離間された接地導体612、及び2つの遮蔽フィルム608が提供される。遮蔽フィルム608はそれぞれ順応性接着層610を含む。
図6b〜6cに図示される工程において、遮蔽フィルム608は、絶縁導体606及び接地導体612の周辺に形成され、互いに結合される。最初は、
図6bに示されるように、接着層610は、その元の厚さをまだ有している。遮蔽フィルム608の形成及び結合が進むとき、接着剤層610は、遮蔽電気ケーブル602(
図6c)の所望の機械及び電気の性能特性を達成するように適合する。
【0073】
とりわけ、
図11cに図示されるように、接着剤層610は、絶縁導体606及び接地導体612の両側上の遮蔽フィルム608の間でより薄く適合し、順応性接着層610の一部分は、これらの領域から離れて移動する。更に、順応性接着層610は、絶縁導体606及び接地導体612に直接隣接する領域においてより厚くなるように適合し、絶縁導体606及び接地導体612に実質的に適合し、接着層610の一部分はこれらの領域内に移動する。更に、接着層610は遮蔽フィルム608と接地導体612との間で効果的に除去されるように適合し、接着層610は、接地導体612が遮蔽フィルム608に電気的に接触するように、これらの領域から離れて移動する。
【0074】
図7a及び
図7bは、代表的な遮蔽電気ケーブルの製造の間、挟まれた区域に関する詳細を例示する。遮蔽電気ケーブル702(
図7b参照)は、遮蔽フィルム708を使用して作製され、挟まれた区域718(
図7b参照)を含み、ここで遮蔽フィルム708は、実質的に平行であり得る。遮蔽フィルム708は、非導電性高分子層708b、非導電性高分子層708b上に配置される導電性層708a、及び導電性層708a上に配置される停止層708dを含む。順応性接着層710は、停止層708d上に配置される。挟まれた区域718は、遮蔽フィルム708の間に配置された長手方向接地導体712を含む。遮蔽フィルムが接地導体の周囲に一緒に押し付けられた後、接地導体712が、遮蔽フィルム708の導電性層708aと間接的に電気接触する。この間接的な電気接触は、導電性層708a及び接地導体712の、停止層708dによる制御された分離によって可能にされる。いくつかの場合において、停止層708dは、非導電性ポリマー層であるか、又はこれを含み得る。図に示されるように、外部圧力(
図17a)は、導電性層708aを互いに圧迫し、接着剤層710を、接地導体712(
図17b)の周囲に適合するように押し付ける。停止層708dは、少なくともいくらかのプロセス条件下においては適合しないため、これは接地導体712と遮蔽フィルム708の導電性層708aとの直接的な電気接触を防ぐが、間接的な電気接触を達成する。停止層708dの厚さ及び誘電特性は、低い目標直流抵抗、すなわち、間接的な種類の電気接触を達成するように選択され得る。いくつかの実施形態において、接地導体と遮蔽フィルムとの間の特徴的な直流抵抗は、例えば、所望の間接的電気接触を達成するために、10Ω未満、又は5Ω未満であり得るが、0Ω超である。いくつかの場合において、所与の接地導体と1つ又は2つの遮蔽フィルムとの間に直接的な電気接触を形成することが可能であり、ここでこのような接地導体とこのような遮蔽フィルムとの間の直流抵抗は、実質的に0Ωであり得る。
【0075】
代表的な実施形態において、遮蔽電気ケーブルのカバー区域は、同心状区域、及び所与の導体セットの片側又は両側に位置付けられる移行区域を含む。同心状区域の所与の遮蔽フィルムの部分は、遮蔽フィルムの同心状部分と称され、移行区域における遮蔽フィルムの部分は、遮蔽フィルムの移行部分と称される。移行区域は、遮蔽電気ケーブルの高い製造可能性、並びに歪み及び応力緩和を提供するように構成され得る。遮蔽電気ケーブルの長さに沿った、実質的に一定の構成(例えば、寸法、形状、容量、及び曲率半径を含む)において移行区域を維持することが、遮蔽電気ケーブルが実質的に均一な電気特性(例えば、高周波分離、インピーダンス、スキュー、挿入損失、反射、モード変換、アイ開口、及びジッタ)を有するために役立つ。
【0076】
加えて、例えば、導体セットがケーブルの長さに沿って延在する2つの絶縁導体を含み、これらが一般的に単一にかつ二芯同軸ケーブルとして効果的に構成されて、差動ペア回路構成に接続され得る構成など、一定の構成においては、遮蔽電気ケーブルの長さに沿って移行部分を実質的に一定の構成に維持することは、導体セットの両方の導体に関して、理想的な同心状のケースからの実質的に等しい電磁場の偏差を有利に提供し得る。したがって、遮蔽電気ケーブルの長さに沿ったこの移行部分の構成の注意深い制御が、ケーブルの有利な電気性能及び特性に寄与し得る。
図8a〜10は、導体セットの片側又は両側に配置される遮蔽フィルムの移行区域を含む、遮蔽電気ケーブルの様々な代表的な実施形態を例示する。
【0077】
図8a及び
図8bの断面図に示される遮蔽電気ケーブル802は、ケーブルの長さに沿って延在する単一の導体セット804を含む。ケーブル802は、ケーブルの幅にわたって互いに離間し、ケーブルの長さに沿って延在する、多数の導体セット804を有するように作製され得る。1つの絶縁導体806が
図8aに示されるが、多数の絶縁導体が、所望により導体セット804に含まれ得る。
【0078】
ケーブルの挟まれた区域に最も近く位置付けられる導体セットの絶縁導体は、導体セットの端部導体とみなされる。示されるように、導体セット804は、単一の絶縁導体806を有し、これは遮蔽電気ケーブル802の挟まれた区域818に最も近く位置付けられるために、これもまた端部導体である。
【0079】
第1及び第2遮蔽フィルム808は、ケーブルの両側に配置され、カバー部分807を含む。横方向断面において、カバー部分807は導体セット804を実質的に囲む。任意の接着剤層810は、遮蔽フィルム808の挟まれた部分809の間に配置され、導体セット804の両側の、ケーブル802の挟まれた区域818で、遮蔽フィルム808を互いに結合する。任意の接着剤層810は、遮蔽フィルム808のカバー部分807にわたり、部分的に又は完全に延在し得る(例えば、導体セット804の片側の遮蔽フィルム808の挟まれた部分809から、導体セット804の反対側の遮蔽フィルム808の挟まれた部分809まで)。
【0080】
絶縁導体806は、シングルエンド回路構成で使用され得る、同軸ケーブルとして、効果的に構成される。遮蔽フィルム808は、導電性層808a及び非導電性高分子層808bを含み得る。
図8a及び8bに例示されるように、いくつかの実施形態において、両方の遮蔽フィルムの導電性層808aが絶縁導体と面する。あるいは、遮蔽フィルム808の一方又は両方の導電性層の向きは、本明細書の他の部分で説明されるように、逆にされてもよい。
【0081】
遮蔽フィルム808は、導体セット804の端部導体806と実質的に同心状である、同心状部分を含む。遮蔽電気ケーブル802は、移行区域836を含む。ケーブル802の移行区域836の遮蔽フィルム808の部分は、遮蔽フィルム808の移行部分834である。いくつかの実施形態において、遮蔽電気ケーブル802は、導体セット804の両側に位置付けられた移行区域836を含み、いくつかの実施形態において、移行区域836は、導体セット804の片側のみに位置付けられてもよい。
【0082】
移行区域836は、遮蔽フィルム808及び導体セット804によって画定される。移行区域836の遮蔽フィルム808の移行区域834は、遮蔽フィルム808の同心状部分811と挟まれた部分809との間の段階的な移行を提供する。例えば直角の移行又は移行点(移行部分と反対に)など、急な移行とは反対に、段階的又は緩やかな移行、例えば実質的にS字状の移行は、遮蔽フィルム808に、移行区域836における歪み及び応力緩和を提供し、遮蔽電気ケーブル802が使用中である場合に、例えば遮蔽電気ケーブル802を横方向若しくは軸方向に曲げるときに、遮蔽フィルム808への損傷を防ぐ。この損傷には、例えば導電性層808aにおける破壊、及び/又は導電性層808aと非導電性高分子層808bとの間の剥離が含まれ得る。更に、段階的な移行は、遮蔽電気ケーブル802の製造における遮蔽フィルム808への損傷(導電性層808a及び/又は非導電性高分子層808bの亀裂若しくは剪断が含まれ得る)を防ぐ。遮蔽電気リボンケーブルの導体セットの1つ、いくつか又は全部の片側又は両側上の開示される移行区域の使用は、例えば、典型的な同軸ケーブル(遮蔽部材は単一の絶縁導体の周囲にほぼ連続的に配置される)又は典型的な従来の二芯同軸ケーブル(遮蔽部材は一対の絶縁導体上に連続的に配置される)などの従来的なケーブル構成からの逸脱を示す。これらの従来的な遮蔽構成は、モデル電磁場プロファイルを提供し得るが、このようなプロファイルは所与の用途における許容可能な電気特性を達成するために必要ではないことがある。
【0083】
開示される遮蔽電気ケーブルの少なくともいくつかの一態様によると、例えば、移行区域の寸法を低減させ及び/又は遮蔽電気ケーブルの長さに沿った移行区域の構成を注意深く制御することによって、移行区域の電気的衝撃を低減することにより、許容可能な電気特性が達成され得る。移行区域の寸法を低減することにより、電気容量の偏差を低減し、多数の導体セットの間の必要な空間を低減し、それによって導体セットのピッチを低減し、及び/又は導体セット間の電気的分離を増加させる。遮蔽電気ケーブルの長さに沿った移行区域の構成の注意深い制御は、予測可能な電位的挙動及び一貫性の獲得に寄与し、これは高速伝送線を提供し、これによって電気データを確実に伝送することができる。遮蔽電気ケーブルの長さに沿った伝送区域の構成の注意深い制御は、移行部分が寸法の下限に近づく際の要因である。
【0084】
検討されることが多い電気的特性は、伝送線の特性インピーダンスである伝送線の長さに沿ったインピーダンスの変動により、電力が標的に伝送されずに、反射してソースに戻される場合がある。理想的には、伝送線は、その長さに沿ってインピーダンスの変動は有しないが、対象用途によって、5〜10%の変動は許容可能である場合がある。二芯同軸ケーブル(差動駆動)で検討されることが多い別の電気的特性は、それらの長さの少なくとも一部分に沿って、1つの対の2つの伝送線の、スキュー、すなわち同等でない転送速度である。スキューは、差動信号のコモンモード信号への変換を生じさせ、これはソースに反射して戻される場合があり、伝送された信号強度を減少させ、電磁放射線を生じさせ、特定のジッタにおいてビット誤り率を著しく増大させ得る。理想的には、一対の伝送線はスキューを有さないが、対象用途によって−25〜−30dB未満から、対象の周波数まで(例えば6GHz)の差動モードのSパラメータ(differential S-parameter)SCD21若しくはSCD12値(伝送線の1つの端部から他方へと、差動モードからコモンモードへの変換を表す)が許容可能であり得る。あるいは、スキューはタイムドメインで測定され、要求される仕様と比較することができる。対象用途によって、約20ピコ秒/メートル(ps/m)未満、好ましくは約10ps/m未満が許容可能であり得る。
【0085】
再び
図8a及び
図8bを参照し、許容可能な電気的特性を部分的に助けるため、遮蔽電気ケーブル802の移行区域836はそれぞれ、断面移行区域836aを有し得る。移行区域836aは、好ましくは導体806の断面積806aよりも小さい。
図8bに最もよく示されるように、移行区域836の断面移行区域836aは、移行点834’及び834”によって画定される。
【0086】
移行点834’は、遮蔽フィルムが、導体セット804の端部絶縁導体806との実質的な同心状態から離れるときに生じる。移行点834’は、遮蔽フィルム808の曲線の符号が変わる、遮蔽フィルム808の屈曲点である。例えば、
図8bを参照し、上方遮蔽フィルム808の湾曲は、屈曲点(これは図において上方移行点834’である)において、下方の湾曲から上方の湾曲へと移行する。下方遮蔽フィルム808の湾曲は、屈曲点(これは図において下方移行点834’)において上方の湾曲から下方の湾曲に移行する。他の移行点834”は、遮蔽フィルム808の挟まれた部分809の間の間隔が、所定の因数、例えば1.2又は1.5だけ、挟まれた部分809の最小間隔d
1を超える際に生じる。
【0087】
加えて、各移行領域836aは、間隙領域836bを含み得る。導体セット804のいずれかの側の間隙領域836bは、実質的に同じであり得る。更に、接着剤層810は、遮蔽フィルム808の同心状部分811において厚さT
acを、かつ遮蔽フィルム808の移行部分834で、T
acより大きな厚さを有し得る。同様に、接着剤層810は、遮蔽フィルム808の挟まれた部分809の間で厚さT
ap、及び遮蔽フィルム808の移行部分834でT
apよりも大きな厚さを有し得る。接着剤層810は、少なくとも25%の断面移行区域836aを表し得る。移行面積836aにおける接着剤層810の、特に厚さT
ac、又は厚さT
apよりも大きな厚さにおける存在は、移行区域836におけるケーブル802の強度に寄与する。
【0088】
遮蔽電気ケーブル802様々な要素の製造プロセス及び材料特性の注意深い制御が、移行区域836における、空隙領域836b及び柔軟な接着剤層810の厚さの変動を低減し、これがひいては、断面移行区域836aの静電容量の変動を低減し得る。遮蔽電気ケーブル802は、導体806の断面積806aと実質的に同等以下である、断面積移行領域836aを含む、導体セット804の片側又は両側に位置付けられる、移行区域836を含み得る。遮蔽電気ケーブル802は、導体806の長さに沿って実質的に同じである断面積移行領域836aを含む、導体セット804の片側又は両側に位置付けられる、移行区域836を含み得る。例えば、断面積移行領域836aは、1メートルの長さにわたって50%未満で変動し得る。遮蔽電気ケーブル802は、それぞれ断面移行区域を含む導体セット804の両側に位置付けられる移行区域836を含む場合があり、断面積834aの合計は導体806の長さに沿って実質的に同じである。例えば、断面積834aの合計は、1mの長さにわたって50%未満変化する場合がある。遮蔽電気ケーブル802は、それぞれ断面移行区域836aを含む導体セット804の両側に位置付けられる移行区域836を含む場合があり、断面移行区域836aは実質的に同じである。遮蔽電気ケーブル802は、導体セット804の両側に位置付けられた移行区域836を含む場合があり、移行区域836は実質的に同一である。絶縁導体806は、絶縁厚さT
iを有し、移行区域836は絶縁厚さT
i未満である横方向長さL
tを有してもよい。絶縁導体806の中央導体は、直径D
cを有し、移行区域836は、直径D
cよりも小さい横方向長さL
tを有し得る。上記の様々な構成は、所望の範囲に留まる特性インピーダンス、例えば、ターゲットインピーダンス値の5〜10%以内(例えば50オーム)を所望の長さ(例えば1メートル)にわたって提供してもよい。
【0089】
遮蔽電気ケーブル802の長さに沿った移行区域836の構成に影響し得る要因は、いくつか挙げるとすれば、製造プロセス、導電性層808a及び非導電性ポリマー層808bの厚さ、接着剤層810、並びに絶縁導体806と遮蔽フィルム808との間の結合強度を含む。
【0090】
一態様において、導体セット804、遮蔽フィルム808及び移行区域836は、インピーダンス制御関係において協働的に構成され得る。インピーダンス制御関係とは、導体セット804、遮蔽フィルム808、及び移行区域836が、遮蔽電気ケーブルの特性インピーダンスを制御するように協働的に構成されていることを意味する。
【0091】
図9は、コネクタセット904内に2つの絶縁導体を含む、代表的な遮蔽電気ケーブル902を例示し、個別の絶縁された導体906はそれぞれ、ケーブル902の長さに沿って伸びている。2つの遮蔽フィルム908がケーブル902の両側に配置され、組み合わされて導体セット904を実質的に囲む。任意の接着剤層910は、遮蔽フィルム908の挟まれた部分909の間に配置され、導体セット904の両側の、ケーブルの挟まれた区域918で、遮蔽フィルム908を互いに結合する。絶縁導体906は、ほぼ単一平面に、かつ二芯同軸構成に有効に構成され得る。二芯同軸ケーブル構成は、差動ペア回路構成又はシングルエンド回路構成で使用され得る。遮蔽フィルム908は、導電性層908a、及び非導電性ポリマー層908bを含んでもよく、又は非導電性ポリマー層908bなしに導電性層908aを含んでもよい。図では、各遮蔽フィルムの導電性層908aは、絶縁導体906に面するものとして示されているが、別の実施形態では、遮蔽フィルムの一方又は両方が逆の向きを有してもよい。
【0092】
遮蔽フィルム908の少なくとも一方のカバー部分907は、導体セット904の対応する端部導体906と実質的に同心状にある同心状部分911を含む。ケーブル902の移行区域において、遮蔽フィルム908の移行部分934は、遮蔽フィルム908の同心状部分911と挟まれた部分909との間にある。移行部分934は、導体セット904の両側に位置付けられ、各そのような部分は断面移行区域934aを含む。断面移行区域934aの合計は好ましくは、導体906の長さに沿って実質的に同じである。例えば、断面積934aの合計は、1mの長さにわたって50%未満変化する場合がある。
【0093】
加えて、断面移行区域934aは、実質的に同じ及び/又は実質的に同一であり得る。移行区域のこの構成は、両方共が、例えば1mなどの所与の長さにわたり、例えば、両方が、目標インピーダンス値の5〜10%以内の所望の範囲内にある、導体906(シングルエンド)の特性インピーダンス及び差動インピーダンスに寄与する。加えて、移行区域の構成は、これらの長さの少なくとも一部に沿って、2つの導体906のスキューを最小化し得る。
【0094】
ケーブルが折り曲げられず、平坦な構成にあるとき、遮蔽フィルムのそれぞれは、ケーブル902の幅にわたって変化する曲率半径により、横方向断面において特徴付けることができる。遮蔽フィルム908の最大曲率半径は、例えば、
図9における、ケーブル902の挟まれた部分909で、又は多数導体ケーブルセット904のカバー部分907の中点付近で生じ得る。これらの位置において、フィルムは実質的に平坦であり得、曲率半径は実質的に無限であり得る。遮蔽フィルム908の最小曲率半径は例えば、遮蔽フィルム908の移行部分934において生じ得る。いくつかの実施形態において、ケーブルの幅にわたる遮蔽フィルムの曲率半径は、少なくとも約50マイクロメートルであり、すなわち、曲率半径は、ケーブルの縁部の間の、ケーブルの幅に沿ったいずれかの点においても、50マイクロメートルを下回る大きさを有さない。いくつかの実施形態において、移行部分を含む遮蔽フィルムにおいて、遮蔽フィルムの移行部分の曲率半径は、同様に、少なくとも約50マイクロメートルである。
【0095】
折り曲げられていない、平坦な構成において、同心状部分及び移行部分を有する遮蔽フィルムは、同心状部分の曲率半径R
1、及び/又は移行部分の曲率半径r
1によって特徴付けることができる。これらのパラメータは、ケーブル902に関して、
図9に例示される。代表的な実施形態において、R
1/r
1は、2〜15の範囲である。
【0096】
図10は別の代表的な遮蔽電気ケーブル1002を例示し、これは2つの絶縁導体1006を有する導体セットを含む。この実施形態において、遮蔽フィルム1008は非対称な構成を有し、これは
図9のものなど、より対称的な実施形態に対して、移行部分の位置を変更している。
図10において、遮蔽電気ケーブル1002は、絶縁導体1006の対称面からわずかにオフセットされた平面内に位置する、遮蔽フィルム1008の挟まれた部分1009を有する。わずかなオフセットにもかかわらず、
図10のケーブル、及びその様々な要素は依然として、ほぼ所与の平面に沿って延在し、かつ実質的に平坦になるものと考えられ得る。移行区域1036は、他の示される実施形態に対し、若干オフセットされた位置及び構成を有する。しかしながら、2つの区域1036が、対応する絶縁導体1006に対して(例えば、導体1006の間の垂直平面に対して)実質的に対称に位置付けられること、及び移行区域1036の構成が遮蔽電気ケーブル1002の長さに沿って注意深く制御されることを確実にすることにより、遮蔽電気ケーブル1002は、依然として許容可能な電気特性を提供するように構成され得る。
【0097】
図11a及び
図11bは、追加的な代表的な遮蔽電気ケーブルを例示する。これらの図は、ケーブルの挟まれた部分が、遮蔽電気ケーブルの導体セットを電気的に絶縁するように構成される様子を更に説明するために使用される。導体セットは隣接する導体セットから、電気的に絶縁されてもよく(例えば、隣接する導体セット間のクロストークを最小限にするため)、又は遮蔽電気ケーブルの外部環境から電気的に絶縁されてもよい(例えば、遮蔽電気ケーブルから逃れる電磁放射を最小限にし、外部電源からの電磁干渉を最小限にするため)。両方のケースにおいて、挟まれた部分は様々な機械的構造体を含んで、電気的分離を実現させることができる。いくつかの例を挙げると、例には、遮蔽フィルムの近接性、遮蔽フィルム間の高誘電率材料、遮蔽フィルムの少なくとも1つと直接的若しくは間接的に電気的接触をする接地導体、隣接する導体セット間の物理的破断、長手方向、横断方向のいずれか、又は両方で遮蔽フィルムを互いに直接的に断続的に接触させること、及び導電性接着剤が挙げられる。
【0098】
図11は、断面図において、遮蔽電気ケーブル1102を示し、これは、ケーブル102の幅にわたって離間し、ケーブルの長さに沿って長手方向に延在する2つの導体セット1104a、104bを含む。各導体セット1104a、1104bは、2つの絶縁導体1106a、1106bを有する。2つの遮蔽フィルム1108は、ケーブル1102の両側に配置される。横方向断面において、遮蔽フィルム1108のカバー部分1107は、ケーブル1102のカバー区域1114の導体セット1104a、1104bを実質的に囲む。導体セット1104a、1104bの両側のケーブルの挟まれた区域1118において、遮蔽フィルム1108は挟まれた部分1109を含む。遮蔽電気ケーブル1102において、遮蔽フィルム1108の挟まれた部分1109及び絶縁導体1106は、ケーブル1102が平坦及び/又は折り曲げられていない構成にあるときに、ほぼ単一平面に構成される。導体セット1104aと1104bとの間に位置付けられる挟まれた部分1109は、導体セット1104a、1104bを互いに電気的に絶縁するように構成される。ほぼ平坦な、折り曲げられていない構成に構成されているとき、
図11aに例示されるように、導体セット1104a内の第1絶縁導体1106aの、導体セット1104a内の第2絶縁導体1106bに対する高周波電気絶縁は、第1導体セット1104aの、第2導体セット1104bに対する高周波電気絶縁よりも実質的に小さい。
【0099】
図11aに例示されるように、ケーブル1102は、遮蔽フィルム1108のカバー部分1107の間の最大間隔D、遮蔽フィルム1108のカバー部分1107の間の最小間隔d
2、遮蔽フィルム1108の挟まれた部分1109の最小間隔d
1によって特徴付けることができる。いくつかの実施形態において、d
1/Dは、0.25未満、又は0.1未満である。いくつかの実施形態において、d
2/Dは0.33超である。
【0100】
任意の接着剤層は、示されるように、遮蔽フィルム1108の挟まれた部分1109の間に含まれ得る。接着層は、連続していても、又は不連続であってもよい。いくつかの実施形態において、接着剤層は、ケーブル1102のカバー区域1114内で完全に又は部分的に(例えば、遮蔽フィルム1108のカバー部分1107と絶縁導体1106a、1106bとの間)に延在してもよい。接着剤層は、遮蔽フィルム1108のカバー部分1107上に配置されてもよく、導体セット1104a、1104bの片側の遮蔽フィルム1108の挟まれた部分1109から、導体セット1104a、1104bの反対側の遮蔽フィルム1108の挟まれた部分1109に完全に又は部分的に延在し得る。
【0101】
遮蔽フィルム1108は、ケーブル1102の幅にわたる曲率半径R、及び/又は遮蔽フィルム移行部分1112の曲率半径r
1、及び/又は遮蔽フィルムの同心状部分1111の曲率半径r
2により特徴付けることができる。
【0102】
移行区域1136において、遮蔽フィルム1108の移行部分1112は、遮蔽フィルム1108の同心状部分1111と、遮蔽フィルム1108の挟まれた部分1109との間の段階的な移行を提供するように構成され得る。遮蔽フィルム1108の移行部分1112は、遮蔽フィルム1108の屈曲点であり、同心状部分1111の端部を示す第1移行点1121から第2移行点1122に延在し、遮蔽フィルムの間の間隔は、挟まれた部分1109の最小間隔d
1を、所定の因数だけ超える。
【0103】
いくつかの実施形態において、ケーブル1102は、少なくとも約50マイクロメートルである、ケーブルの幅にわたる曲率半径R、及び/又は少なくとも約50マイクロメートルである、遮蔽フィルム1102の移行部分1112の最小曲率半径r
1を有する、少なくとも1つの遮蔽フィルムを含む。いくつかの実施形態において同心状部分の最小曲率半径の、移行部分の最小曲率半径r
2/r
1に対する比率は、2〜15の範囲である。
【0104】
図11bは、ケーブルの幅にわたり互いに離間し、ケーブルの長さに沿って長手方向に延在する2つの導体セット1204を含む、遮蔽電気ケーブル1202の断面図である。各導体セット1204は1つの絶縁導体1206のみを有し、2つの遮蔽フィルム1208が、ケーブル1202の両側に配置される。横方向断面において、遮蔽フィルム1208のカバー部分1207は、組み合わされて、ケーブルのカバー区域1214の導体セット1204の絶縁導体1206を実質的に囲む。導体セット1204の両側のケーブルの挟まれた区域1218において、遮蔽フィルム1208は挟まれた部分1209を含む。遮蔽電気ケーブル1202において、遮蔽フィルム1208の挟まれた部分1209、及び絶縁導体1206は、ケーブル1202が平坦及び/又は折り曲げられていない構成にあるときに、ほぼ単一平面に構成され得る。遮蔽フィルム1208のカバー部分1207、及び/又はケーブル1202の挟まれた部分1218は、導体セット1204を互いに電気的に絶縁するように構成される。
【0105】
図に示されるように、ケーブル1202は、遮蔽フィルム1208のカバー部分1207と、遮蔽フィルム1208の挟まれた部分1209との間の最小間隔d
1によって特徴付けられ得る。代表的な実施形態において、d
1/Dは0.25未満、又は0.1未満である。
【0106】
任意の接着剤層は、示されるように、遮蔽フィルム1208の挟まれた部分1209の間に、示されるように配置され得る。接着層は、連続していても、又は不連続であってもよい。いくつかの実施形態において、接着剤層は、ケーブルのカバー区域1214内で完全に又は部分的に(例えば、遮蔽フィルム1208のカバー部分1207と絶縁導体1206との間)に延在してもよい。接着剤層は、遮蔽フィルム1208のカバー部分1207上に配置されてもよく、かつ導体セット1204の片側の遮蔽フィルム1208の挟まれた部分1209から、導体セット1204の反対側の遮蔽フィルム1208の挟まれた部分1209に完全に又は部分的に延在してもよい。
【0107】
遮蔽フィルム1208は、ケーブル1202の幅にわたる曲率半径R、及び/又は遮蔽フィルム1208の移行部分1212の最小曲率半径r
1、及び/又は遮蔽フィルム1208の同心状部分1211の最小曲率半径r
2により特徴付けることができる。ケーブル1202の移行区域1236、遮蔽フィルム1202の移行部分1212は、遮蔽フィルム1208の同心状部分1211と、遮蔽フィルム1208の挟まれた部分1209との間の段階的な移行を提供するように構成され得る。遮蔽フィルム1208の移行部分1212は、遮蔽フィルム1208の屈曲点であり、同心状部分1211の端部を示す第1移行点1221から第2移行点1222に延在し、遮蔽フィルムの間の間隔は、挟まれた部分1209の最小間隔d
1を、所定の因数だけ超える。
【0108】
いくつかの実施形態において、ケーブルの幅にわたる遮蔽フィルムの曲率半径Rは、少なくとも約50マイクロメートルであり、及び/又は遮蔽フィルムの移行部分の最小曲率半径は、少なくとも50マイクロメートルである。
【0109】
いくつかの場合において、記載される遮蔽ケーブルのいずれかの挟まれた区域は、例えば、少なくとも30°の角度αで横方向に屈曲されるように構成され得る。挟まれた区域のこの横方向の可撓性は、遮蔽ケーブルが、例えば、丸いケーブルの周囲で使用され得る構成など、任意の好適な構成で折り曲げられることを可能にし得る。いくつかの場合において、挟まれた区域の横方向の可撓性は、2つ以上の比較的薄い個別層を含む、遮蔽フィルムによって可能になる。特に屈曲条件下では、これらの個々の層の一体性を保証するために、それらの間の結合は無傷のままであることが好ましい。挟まれた区域は例えば、約0.13mm未満の最小厚さを有し、個々の層の間の結合強度は、プロセス又は使用時の熱暴露後に少なくとも17.86g/mm(1lbs/インチ)であり得る。
【0110】
ケーブルの挟まれた区域が、所与の導体セットの両側でほぼ同じ寸法及び形状を有することが、開示される遮蔽電気ケーブルの電気特性にとって有益であり得る。任意の寸法変化及び不均衡は、挟まれた区域の長さに沿って、静電容量及びインダクタンスにおける不均衡を作る場合がある。これは次いで、挟まれた部分の長さに沿ったインピーダンスの差、及び隣接する導体セット間のインピーダンス不均衡を生じさせる場合がある。これらの理由に関して少なくとも、遮蔽フィルム間の間隔の制御が望ましい場合がある。いくつかの場合において、ケーブルの挟まれた区域内の遮蔽フィルムの挟まれた部分(導体セットのそれぞれの側)は、約0.05mm未満で互いに分離し得る。
【0111】
図12は、従来の電気ケーブルの2つの隣接する導体セット間(導体セットが完全に分離される(すなわちコモン接地を有さない(サンプル1))と、遮蔽フィルム1108が約0.025mm離間される(サンプル2)、遮蔽電気ケーブル1102(
図11aに図示)の2つの隣接する導体セット間の遠端クロストーク(FEXT)分離を示し、両方とも約3メートルのケーブル長さを有する。このデータを作成するテスト方法は当該技術において周知である。データはAgilent 8720ES 50MHz〜20GHz S−Parameter Network Analyzerを使用して生成された。遠端クロストークプロットを比較することによって、従来の電気ケーブル及び遮蔽電気ケーブル1102が同様な遠端遠端クロストーク性能を提供するということが分かる。とりわけ、約−35dB未満の遠端クロストークが大半の用途に好適であるということが一般に認められている。試験された構成に関して、従来の電気ケーブル及び遮蔽電気ケーブル1102の両方が満足のいく電気的分離性能を提供するということが
図12から容易に分かる。遮蔽フィルムを離間させる能力による、挟まれた部分のより高い強度と組み合わせた、良好な電気分離性能は、開示される遮蔽電気ケーブルの少なくともいくつかの、従来的電気ケーブルに対する利点である。
【0112】
上記の代表的な実施形態において、遮蔽電気ケーブルは、ケーブルの両側に配置される2つの遮蔽フィルムを含み、これによって横方向断面において、遮蔽フィルムのカバー部分は組み合わされて、所与の導体セットを実質的に囲み、離間する導体セットのそれぞれを個別に囲む。しかしながら、いくつかの実施形態において、遮蔽電気ケーブルは、1つの遮蔽フィルムのみを含んでもよく、これがケーブルの片側にのみ配置される。2つの遮蔽フィルムを有する遮蔽ケーブルと比較した際の、遮蔽ケーブル内に単一の遮蔽フィルムのみを含めることの利点としては、材料費の低減、及び機械的可撓性、製造性、並びにストリッピング及び終端の容易性が挙げられる。単一の遮蔽フィルムは、所与の用途における許容可能なレベルの電磁干渉(EMI)分離をもたらすことができ、かつ近接効果を低減することができ、これによって信号減衰を減少させることができる。
図13は、このような、1つの遮蔽フィルムのみを含む遮蔽電気ケーブルの1つの実施例を例示する。
【0113】
図13は、1つの遮蔽フィルム1308のみを有する、遮蔽電気ケーブル1302を例示する。絶縁導体1306は、2つの導体セット1304に構成され、それぞれが一対の絶縁導体のみを有するが、本明細書に記載されるように、他の数の絶縁導体を有する導体セットがまた想到される。遮蔽電気ケーブル1302は、様々な代表的な位置において接地導体1312を含むものとして示されるが、これらのいくつか又は全てが所望により省略され得るか、又は追加的な接地導体が含まれ得る。接地導体1312は、導体セット1304の絶縁導体1306と実質的に同じ方向で延在し、遮蔽フィルム1308と、遮蔽フィルムとして機能しないキャリアフィルム1346との間に位置付けられる。1つの接地導体1312は、遮蔽フィルム1308の挟まれた部分1309に含まれ、3つの接地導体1312は、導体セット1304の1つに含まれる。これらの3つの接地導体1312の1つが、絶縁導体1306と、遮蔽フィルム1308との間に位置付けられ、3つの接地導体1312の2つが、導体セットの絶縁導体1306とほぼ同一平面にあるように構成される。
【0114】
信号線、ドレインワイヤー、及び接地ワイヤーに加え、開示されるケーブルのいずれかがまた、典型的にはユーザーにより定義される任意の目的のために、1つ以上の個別のワイヤーを含んでもよい(これらは典型的には絶縁される)。例えば、電力伝送又は低速通信(例えば、1又は0.5Gbps未満、又は1又は0.5GHz未満、又はいくつかの場合においては1MHz未満)のために十分であるが、高速通信(例えば、1Gpbs又は1GHz超)のために十分でないことのある、これらの追加的なワイヤーは、総称的に、サイドバンドと称され得る。サイドバンドは、電力信号、基準信号又は他の関心の信号を伝送するために使用され得る。サイドバンドにおけるワイヤーは典型的には、互いに、直接的に又は間接的に電気接触せれないが、少なくともいくつかの場合において、これらは互いに遮蔽されないことがある。サイドバンドは、2つ以上、又は3つ以上又は5つ以上など、任意の数のワイヤーを含み得る。
【0115】
代表的な遮蔽電気ケーブルに関する更なる情報、及び他の情報は、同日付で出願され、本明細書において参照として組み込まれる、米国特許出願番号第61/378,877号、「Connector Arrangements for Shielded Electrical Cable」(代理人整理番号第66887US002号)に見出すことができる。
【0116】
第2項:高密度遮蔽ケーブル
高パッキング密度の、相互遮蔽導体セットを利用し得る、遮蔽リボンケーブルに関する更なる詳細をここで提供する。開示されるケーブルの設計特性は、これらが、信号リボンケーブル内における、非常に高密度の信号線を可能にする形式で製造されることを可能にする。これは、高密度係合インターフェース及び超薄型コネクタを可能にし、並びに/又は標準的なコネクタインターフェースでの、クロストーク分離を可能にし得る。加えて、高密度ケーブルは、信号ペア当たりの製造費用を低減し、ペアのアセンブリの曲げ剛性を低減し(例えば、一般的に高密度の一方のリボンがより低い密度の2つの重ねたリボンよりも容易に屈曲する)、かつ一方のリボンが一般的に2つの重ねたリボンよりも薄いために、合計厚さを低減することができる。
【0117】
開示される遮蔽ケーブルの少なくともいくつかの、1つの潜在的な用途は、コンピューター・システム又は他の電子システムの構成要素又は装置間の高速(I/O)データ伝送である。情報技術規格国際委員会(INCITS)により維持される、SAS(シリアルのついたSCSI)として既知のプロトコルは、ハードドライブ及びテープドライブなどの、コンピューター記憶装置とのデータの送受信を含む、コンピューターバスプロトコルである。SASは、標準的なSCSIコマンドセットを使用し、ポイントツーポイントシリアルプロトコルを含む。ミニ−SASとして既知の仕様は、SAS規格内の、特定の種類のコネクタのために開発されてきた。
【0118】
ミニ−SASケーブルアセンブリなどの、内部用途のための、従来的な二芯同軸(twinax)ケーブルアセンブリは、個別のtwinaxペアを使用し、各対は、独自の関連するドレインワイヤーを有し、いくつかの場合においては2つのドレインワイヤーを有する。このようなケーブルを終端する際、各twinaxペアの各絶縁導体が管理されなくてはならないばかりではなく、各twinaxペアの各ドレインワイヤー(又は両方のドレインワイヤー)もまた管理されなくてはならない。これらの典型的なtwinaxペアは、典型的には緩い外部編組内に配置された緩い束に構成され、緩い外部編組は、これらが互いに経路指定され得るように、対を含む。対照的に、本明細書において記載される遮蔽リボンケーブルは、必要であれば、例えば、最初の4ペアリボンケーブルがパドルカードの主表面(例えば、上記の
図3d参照)に係合し、次の4ペアリボンケーブル(これらは、最初の4ペアリボンケーブルと構成又は設計において同様又は実質的に同一であり得る)がパドルカードの同じ端部でもう一方の主表面と係合し、4送信遮蔽対及び4受信遮蔽対を有する、4x又は4iミニ−SASアセンブリを形成する、構成において使用され得る。この構成は、従来的なケーブルtwinaxペアを使用する構成に対して有利であり、1つの理由としてtwinax当たり1本未満のドレインワイヤーが使用され得、したがって終端のためにより少ないドレインワイヤーが必要とされるためである。しかしながら、4ペアリボンケーブルの積重ね体を使用する構成は、4x/4iアセンブリを提供するために2つの別個のリボンが必要であるという限界を有し、付随的に2つのリボンの管理を必要とし、1つのリボンに対し、2つのリボンの硬度及び厚さの不利な増加を有する。
【0119】
開示される遮蔽リボンケーブルは十分に密に作製され得、すなわち、十分に小さいワイヤー間の間隔、十分に小さい導体セットの間隔、及び十分に小さいドレインワイヤーの数及びドレインワイヤー間隔、適切な損失特性及びクロストーク、又は遮蔽特性を有し、単一のリボンケーブル、又は多数のリボンケーブルが積み重ねた構成ではなく、横並びに構成されコネクタと係合するように単一平面に沿って延在することを可能にする。このリボンケーブルは、少なくとも3つのtwinaxペアを合計で含むことができ、かつ多数のケーブルが使用される場合、少なくとも1つのリボンが少なくとも2つのtwinaxペアを含み得る。代表的な実施形態において、単一のリボンケーブルが使用され得、必要であれば、単一の対がコネクタ又は他の終端構成要素の2つの平面又は主要表面に経路指定され得るが、リボンケーブルは、1つの平面のみに沿って延在する。経路指定は多くの方法で達成され得、個別の導体の先端部又は端部は、リボンケーブルの平面外に折られて、終端構成要素の一方又は他方の主要表面に接触してもよく、又は終端構成要素は、導電性貫通孔又はビアを使用してもよく、これは例えば、一方の主表面の1つの導電経路部分を、他方の主表面の別の導電経路部分に接続させる。高密度ケーブルにとって特に重要なことに、好ましくは、リボンケーブルはまた導体セットよりも少ないドレインワイヤーを含み、導体セットの一部又は全部がtwinaxである場合、すなわち、導体セットの一部又は全部がそれぞれ一対の絶縁導体のみを含む場合、ドレインワイヤーの数は好ましくはtwinaxペアの数よりも少ない。所与のケーブルのドレインワイヤーが、典型的にはケーブルの幅寸法に沿って互いに離間しているため、ドレインワイヤーの数の低減はケーブルの幅を低減させることを可能にする。ドレインワイヤーの数の低減はまた、ケーブルと終端構成要素との間に必要な接続部の数を低減させることにより、製造を単純化し、したがって、作製工程の数を低減し、作製に必要な時間を低減する。
【0120】
更に、より少ないドレインワイヤーを使用し、残るドレインワイヤーは最も近い信号線から通常よりも遠く離して位置付けられ、ケーブル幅の僅かな増加のみによって、終端プロセスを遥かに容易にする。例えば、所与のドレインワイヤーは、ドレインワイヤーの中心から、最も近い導体セットの最も近い導体ワイヤーの中心までの間隔σ1によって特徴付けられてもよく、最も近い導体セットは、絶縁された導体の中心間隔σ2によって特徴付けられてもよく、σ1/σ2は0.7超であり得る。対照的に、従来的なtwinaxケーブルは、絶縁導体間隔の0.5倍+ドレインワイヤー直径の、ドレインワイヤー間隔を有する。
【0121】
開示される遮蔽電気リボンケーブルの代表的な高密度実施形態において、2つの隣接するtwinaxペアの間の中心間隔又はピッチ(この距離は以下で
図16と関連してΣと称される)は、1つの対内の信号線の中心間隔(この距離以下で
図16と関連してσと称される)の少なくとも4倍未満、及び好ましくは3倍未満である。Σ/σ<4又はΣ/σ<3として表され得るこの関係は、内部用途のために設計されるジャケット無しケーブル、及び外部用途のために設計されるジャケットケーブルの両方のために満たされ得る。本明細書の他の部分に説明されるように、多数のtwinaxペアを有し、許容可能な損失及び遮蔽(クロストーク)特性を有する遮蔽電気リボンケーブルを示してきた(Σ/σは2.5〜3の範囲)。
【0122】
所与の遮蔽リボンケーブルの密度を特徴付ける別の方法(ケーブルの導体セットのいずれかがtwinax構成の導体の対を有するかどうかにかかわらず)は、2つの隣接する導体セットの最も近い絶縁導体を参照とする。したがって、遮蔽ケーブルが平坦に配置される場合、第1導体セットの第1絶縁導体は、第2(隣接する)導体セットに最も近く、第2導体セットの第2絶縁導体は、第1導体セットに最も近い。第1及び第2絶縁導体の中心間隔はSである。第1絶縁導体は外径D1(例えば、その絶縁体の直径)を有し、第2絶縁導体は外径D2(例えば、その絶縁体の直径)を有する。多くの場合において、導体セットは、同じ寸法の絶縁導体を使用し、この場合D1=D2である。しかしながら、いくつかの場合において、D1及びD2は異なる場合がある。パラメータDminは、D1及びD2のうちの小さい方として定義され得る。当然、D1=D2である場合、Dmin=D1=D2である。本明細書において記載される遮蔽電気リボンにおいての設計特性を使用し、S/Dminが1.7〜2の範囲である、このようなケーブルを作製することができる。
【0123】
密接パッキング又は高密度は、開示されるケーブルの以下の特徴の1つ以上によって部分的に達成され得る:最小数のドレインワイヤー、又は換言すれば、コネクタセットごとに1つ未満のドレインワイヤー(及びいくつかの場合においては、2つ、3つ又は4つ以上のコネクタセットにおいて1つ未満のドレインワイヤー、例えば、全ケーブルにおいて1つ又は2つのドレインワイヤーのみ)を使用してケーブル内のコネクタセットの一部又は全部のために十分な遮蔽を提供する能力の必要性、隣接する導体セットの間の高周波信号分離構造(例えば、好適な形状の遮蔽フィルム)、ケーブル構成において使用される比較的少なく、薄い層、並びに絶縁導体、ドレインワイヤー及び遮蔽フィルムの適切な配置及び構成を保証する形成プロセス(かつケーブルの長さに沿って均一性を提供するような方法で行う)。高密度特性は、パドルカード又は他の線形配列に対してマスストリッピング及びマス終端されることができるケーブルに、有利に提供され得る。マスストリッピング及び終端は、ケーブル内の1つ、一部又は全部のドレインワイヤーを、これらの対応する最も近い信号線(最も近い導体セットの最も近い絶縁導体)から、導体セットの隣接する絶縁導体との間の半分の間隔よりも大きな距離で、及び好ましくはこのような間隔の0.7倍よりも大きな距離で離間させることによって促進される。
【0124】
ドレインワイヤーを遮蔽フィルムに電気的に接続し、遮蔽フィルムを適切に形成して各導体セットを囲むことにより、遮蔽構造は単独で隣接する導体セットの間に適切な高周波クロストーク分離を提供することができ、最小数のドレインワイヤーのみで遮蔽リボンケーブルを構成することができる。代表的な実施形態において、所与のケーブルは2つのドレインワイヤーのみを有することができる(その一方は、ケーブルの各縁部に又はその付近に位置し得る)が、一本のドレインワイヤーのみでも可能であり、当然3本以上のドレインワイヤーも可能である。ケーブル構成においてより少ないドレインワイヤーを使用することにより、パドルカード又は他の終端構成要素により少ない終端パッドが必要とされ、この構成要素はしたがってより小さくすることができ、及び/又はより高い信号密度を支持することができる。より少ないドレインワイヤーが存在してより小さいリボン幅を消費するため、ケーブルは同様に、より小さく(より狭く)することができ、かつより高い信号密度を有し得る。より少ない数のドレインワイヤーは、開示の遮蔽されたケーブルが、従来的な別個のtwinaxケーブルリボンケーブル、別個のtwinaxペアで構成されるリボンケーブル、及び一般的なリボンケーブルよりも高い密度を支持することを可能にする重要な要因である。
【0125】
近端クロストーク及び/又は遠端クロストークは、開示されるケーブル及びケーブルアセンブリを含む、任意の電気ケーブルの信号完全性又は遮蔽の重要な尺度となり得る。信号線(例えば、twinaxペア又は他の導体セット)をケーブル及び終端領域内でより近くグループ化することは、望ましくないクロストークを増加させる傾向にあるが、本明細書において開示されるケーブル設計及び終端設計は、この傾向に抵抗するために使用され得る。ケーブル内のクロストーク及びコネクタ内のクロストークの問題は、別個に対処され得るが、クロストーク低減の向上のために、クロストーク低減のこれらの方法のいくつかは一緒に使用され得る。高周波遮蔽を増加させ、開示されるケーブル内のクロストークを低減させるため、ケーブルの両側の2つの遮蔽フィルムを使用して、導体セット(例えば、twinax)を囲む遮蔽部材をできるだけ完全に形成することが望ましい。したがって、組み合わせたカバー部分が、いずれかの所与の導体セットを実質的に囲む(例えば、導体セットの外辺部の少なくとも75%又は少なくとも80、85%又は90%)ように、遮蔽フィルムを形成することが望ましい。また多くの場合において、ケーブルの挟まれたゾーンの遮蔽フィルムの間のいずれかの間隙を最小化すること(排除を含む)、並びに/あるいは直接接触若しくはふれあい、又は1つ以上のドレインワイヤーを通じた電気的接触、又は2つの遮蔽フィルムの間の導電性接着剤の使用により、2つの遮蔽フィルムの間の低いインピーダンス又は直接的な電気接触を使用することが望ましい。所与のケーブル又はシステムにおいて、別個の「送信」及び「受信」twinaxペア又は導体が規定又は指定される場合、全てのこのような「送信」導体を物理的に互いに隣接するようにグループ化し、かつ全てのこのような「受信」導体を物理的に互いに隣接するが、可能な程度送信対から隔離するように、同じリボンケーブル内でグループ化することによって、高周波遮蔽はまた、ケーブル及び/又は終端構成要素において、向上させてもよい。導体の送信グループはまた、1つ以上のドレインワイヤー又は本明細書の別の部分に記載される他の分離構造によって、導体の受信グループから分離されていてもよい。いくつかの場合において、2つの別個のリボンケーブル、(1つは送信導体のもの、他方は受信導体のもの)が使用され得るが、2つ(又はそれ以上)のケーブルが、好ましくは積み重ねるのではなく、横並びの構成で構成され、それによってリボンケーブルの単一の可撓性平面の利点が維持され得る。
【0126】
記載される遮蔽ケーブルは、3〜15GHzの特定の周波数で、1メートルケーブル長さにおいて、クロストークC1によって特徴付けられる所定の導体セットにおける隣接する絶縁導体の間の高周波分離を示してもよく、かつその特定の周波数のおけるC2(C2は少なくともC1より10dB低い)により、特徴付けられる、所与の導体セットと隣接する導体セットとの間の高周波分離(第1導体セットからケーブルの挟まれた部分により分離される)を呈し得る。あるいは、又は加えて、記載される遮蔽ケーブルは、ミニ−SAS用途において使用されるものと同様の、又は同じ遮蔽仕様を満たしてもよい:所与の信号強度の信号が送信導体セットの一方(又は受信導体セットの一方)にケーブルの一端で連結され、受信導体セットの全て(又は送信導体セットの全て)の累積信号強度が計算される(ケーブルの同じ端部で測定される)。累積信号強度の元の信号強度に対する比率として計算され、デシベルで表現される、近端クロストークは、好ましくは−26dB未満である。
【0127】
ケーブル端部が適切に遮蔽されない場合、ケーブル端部におけるクロストークは、所与の用途にとって顕著となり得る。開示されるケーブルでの潜在的な解決法は、導体セット内のいずれかの浮遊電磁界を含むように、遮蔽フィルムの構造を絶縁導体の終端点に可能な限り近く維持することである。ケーブルに加え、パドルカード又は他の終端構成要素の設計詳細はまた、システムにおける適切なクロストーク分離を維持するように調整され得る。方法としては、送信及び受信信号を互いに、可能な程度電気的に分離することが挙げられる(これら2つの信号種類に関連する終端及び経路指定ワイヤー、並びに導体を、互いに可能な限り物理的に遠く離す)。1つの選択肢は、このようなワイヤー及び導体をパドルカードの別個の側面(表裏をなす主表面)で終端することであり、これはパドルカードの異なる平面又は両面上で信号を自動的に経路指定するために使用され得る。別の選択肢は、このようなワイヤー及び導体を横方向に可能な限り離して、送信ワイヤーを受信ワイヤーから横方向に分離することである。これらの方法の組み合わせはまた、更なる分離のために使用され得る。この点においては、先に引用された、同日付で出願され、本明細書において参照として組み込まれる、米国特許出願番号第61/378,877号「Connector Arrangements for Shielded Electrical Cable」(代理人整理番号第66887US002号)を参照する。これらの方法は、従来的な寸法又はより小さい寸法のパドルカード、加えてリボンケーブルの単一平面と組み合わせて、開示される高密度リボンケーブルと共に使用され得、その両方が顕著なシステムの利益を提供し得る。
【0128】
読者は、パドルカード終端に関連する上記の説明、及びパドルカードを対象とする本明細書の別の部分の説明がまた、任意の他の種類の終端をも包含するものとして理解されるべきであることに留意する。例えば、鍛造された金属コネクタは、リボンケーブルと接続する、1列又は2列の以上の接触子の線形配列を含み得る。このような列は、パドルカードのものと類似であり得、これはまた接触子の2つの線形配列も含み得る。開示されるケーブル及び終端構成要素の、同じ、ずらして配置された、交互の、かつ分離された終端方法が利用され得る。
【0129】
損失又は減衰は、多くの電気ケーブル用途において、別の重要な検討事項である。高速入出力用途の1つの典型的な損失仕様は、ケーブルが約−6dB未満、例えば、5GHzの周波数の損失を有するものである。(この点において、読者は、例えば、−5dBの損失は、−6dBの損失よりも小さいことを理解する。)このような仕様は、単に導体セットの絶縁導体及び/又はドレインワイヤーにより薄いワイヤーを使用することによってケーブルを小型化しようとすることに制限を課す。一般的に他の要因が同等であれば、ケーブルに使用されるワイヤーが薄くされれば、ケーブル損失は増加する。ワイヤーのメッキ(例えば、銀メッキ、スズメッキ、又は金メッキ)は多くの場合においてケーブル損失に影響を与えることがあるが、32ゲージ(32AWG)(約0.032mm
2)未満、又はわずかに小さい寸法は、これが中実芯線であろうと、又は撚り線設計であろうか、一定の高速入出力用途における、信号線における実際的により低い寸法制限を呈し得る。しかしながら、より小さいワイヤー寸法は、他の高速用途において実行可能であり得、技術における利点がまたより小さいワイヤー寸法を許容可能なものにするものと、期待され得る。
【0130】
ここで
図14を参照すると、ケーブルシステム1401が確認され、これはパドルカードなどの、終端構成要素1420と組み合わせた遮蔽電気リボンケーブル1402を含む。本明細書の別の部分に示され、記載される設計特徴及び特性のいずれかを有し得るケーブル1402は、8つの導体セット1404、及び2つのドレインワイヤー1412を有するものとして示され、それぞれが、ケーブルの各縁部、又はその付近に配置される。各導体セットは実質的にtwinaxペアであり、すなわち各導体が2つの絶縁導体1406のみを含み、各導体セットは好ましくは高速データ信号を送信及び/又は受信するように調整されている。当然、他の数の導体セット、所与の導体セット内の他の数の絶縁導体及び、他の数のドレインワイヤー(必要であれば)が一般的にケーブル1402に使用され得る。しかしながら、8つのtwinaxペアは、4つの「レーン」又は「チャネル」(各レーン又はチャネルは正確に1つの送信対、及び正確に1つの受信対を有する)と使用するために設計されたパドルカードの現在の普及率のために、ある程度重要である。ケーブルの、一般的に平坦な又は平面的な設計、及びその設計特徴は、示されるように、容易に屈曲するか、ないしは別の方法で操作することを可能にし、一方で導体セットの良好な高周波遮蔽及び許容可能な損失を維持する。ドレインワイヤーの数(2)は、導体セットの数(8)よりも実質的に少なく、ケーブル1402が実質的により小さい幅w1を有することを可能にする。2つのドレインワイヤーのみが含まれているため(本実施形態において)このようなより小さい幅は、ドレインワイヤー1412が最も近い信号ワイヤー(最も近い絶縁導体1406)に対して、最も近い導体セットの信号線の間隔の少なくとも0.7倍で離間している場合においてさえも、実現され得る。
【0131】
終端構成要素1420は、第1端部1420a及び反対側の第2端部1420b、並びに第1主表面1420c及び反対側の第2主表面1420dを有する。導電経路1421は、例えば、構成要素1420の少なくとも第1主表面1420c上に、印刷若しくは他の従来的な堆積プロセス、及び/又はエッチングプロセスによって提供される。この点において、導電経路は、典型的には硬質若しくは剛性であるが、いくつかの場合においては柔軟である、好適な電気的に絶縁した基材上に堆積される。各導電経路は典型的には、構成要素の第1端部1420aから第2端部1420bに延在する。表される実施形態において、ケーブル1402の個別のワイヤー及び導体は、導電経路1421の各1つに電気的に接続される。
【0132】
単純化のために、各経路は、構成要素1420又は基材の一端から、構成要素の同じ主表面の他端まで延在する、直線として示される。いくつかの場合において、導電経路の1つ以上が基材中の孔又は「ビア」を通じて延在してもよく、それによって例えば、経路の一部分及び一端が主表面上に位置し、経路の別の部分及び他端が基材の反対側の主表面上に位置する。また、いくつかの場合において、ケーブルのワイヤー及び導体のいくつかは、基材の1つの主表面上の導電経路(例えば、接触パッド)に取り付けられてもよく、一方でワイヤー及び導体の他の部分が基材の反対側の主表面上だが、構成要素の同じ端部において、導電経路(例えば、接触パッド)に取り付けられてもよい。これは、例えば、ワイヤー及び導体の端部を一方の主表面に向けて上方に、又は他方の主表面に向けて下方に、わずかに曲げることによって達成され得る。いくつかの場合において、遮蔽ケーブルの信号線及び/又はドレインワイヤーに対応する全ての導電経路が、基材の1つの主表面上に配置され得る。いくつかの場合において、導電経路の少なくとも1つが、基材の一方の主表面上に配置されてもよく、導電経路の少なくとも別の1つが、基材の反対側の主表面上に配置され得る。いくつかの場合において、導電経路の少なくとも1つが、基材の第1主表面上において、第1端部で第1部分を、基材の反対側の第2主表面上において第2端部で第2部分を有し得る。いくつかの場合において、遮蔽ケーブルの交互の導体セットが、基材の表裏をなす主表面上の導電経路に取り付けられてもよい。
【0133】
終端構成要素1420又はその基材は幅w2を有する。代表的な実施形態において、ケーブルの幅w1は、構成要素の幅w2よりも有意に大きいことはなく、それによって、例えば、ケーブルのワイヤーと構成要素の導電経路との間に必要な接続を形成するために、ケーブルがその端部において折り返されるか、又は一緒に束にされる必要がない。一部の場合には、w1は、w2よりも若干大きくすることができるが、依然として十分に小さいことにより、導体セットの端部は、接続点及びその付近で、ケーブルの概して平面的な構成を依然として保ちつつ、関連する導電経路に接続するために、漏斗タイプの方式で、ケーブルの平面内で屈曲させることができる。いくつかの場合において、w1は、w2と同等以下であり得る。従来的な4つのチャネルパドルカードは、現在15.6ミリメートルの幅を有し、したがって、遮蔽ケーブルの少なくともいくつかの用途においては、約16mm以下、又は約15mm以下の幅を有することが望ましい。
【0134】
図15及び16は、代表的な遮蔽電気ケーブルの正面断面図であり、これらの図はまた導体セットの密度を特徴付けるために有用なパラメータをも示す。遮蔽ケーブル1502は、少なくとも導体セット1504a、1504b及び1504cを含み、これらは、ケーブルの両側の第1及び第2遮蔽フィルム1508と、好適に形成された、これらの対応するカバー部分、挟まれた部分及び移行部分により、互いに遮蔽される。遮蔽ケーブル1602は同様に、少なくとも3つの導体セット1604a、1604b及び1604cを含み、これらは、第1及び第2遮蔽フィルム1608によって互いに遮蔽される。ケーブル1502の導体セットは、異なる数の絶縁導体1506を含み、導体セット1504aは1つ、導体セット1504bは3つ、及び導体セット1504cは2つを有する(twinax設計において)。導体セット1604a、1604b、1604cは全てtwinax設計であり、正確に2つの絶縁導体1606を有する。
図15及び
図16に示されないが、各ケーブル1502、1602は好ましくはまた、
図1又は
図14に示されるように、ケーブルの縁部又はその付近で好ましくは遮蔽フィルムに挟持される、少なくとも1つ及び任意により2つ(以上)のドレインワイヤーを含む。
【0135】
図15では、2つの隣接する導体セットの最も近い絶縁導体に関連する、いくつかの特定される寸法が示される。導体セット1504aは、セット1504bに隣接する。セット1504aの絶縁導体1506はセット1504bに最も近く、セット1504bの、最も左側(図の視点から)の絶縁導体1506はセット1504aに最も近い。セット1504aの絶縁導体は外径D1を有し、セット1504bの最も左側の絶縁導体は外径D2を有する。これらの絶縁導体の中心間の間隔はS1である。パラメータDminを、D1及びD2の小さい方として定義すると、高密度にパッキングされた遮蔽ケーブルについて、S1/Dminは1.7〜2の範囲にあるものと指定することができる。
【0136】
また
図15において、導体セット1504bは隣接する導体セット1504cに隣接する。セット1504bの最も右側の絶縁導体1506は、セット1504cに最も近く、セット1504cの最も左側の絶縁導体1506は、セット1504bに最も近い。セット1504bの最も右側の絶縁導体1506は、外径D3を有し、セット1504cの最も左側の絶縁導体1506は、外径D4を有する。これらの絶縁導体の中心間の間隔はS3である。パラメータDminを、D3及びD4の小さい方として定義すると、密にパッキングされた遮蔽ケーブルについて、S3/Dminは1.7〜2の範囲にあるものと指定することができる。
【0137】
図16において、隣接するtwinaxペアの少なくとも一方のセットを有するケーブルに関連する、いくつかの指定された寸法が示される。導体セット1604a、1604bは、隣接するtwinaxペアの1つのそのようなセットを表す。これらの2つの導体セットの間の中心間の間隔及びピッチは、Σとして表現される。twinax導体セット1604a内の信号線の間の中心間隔はσ1として表現される。twinax導体セット1604b内の信号線の中心間隔はσ2として表現される。密にパッキングされた遮蔽ケーブルにおいて、Σ/σ1及びΣ/σ2の一方又は両方が、4未満、又は3未満、又は2.5〜3の範囲にあることを特定できる。
【0138】
図17a及び
図17bにおいて、ケーブルシステム1701の平面図及び側面図がそれぞれ観察されるが、これはパドルカードなどの終端構成要素1720と組み合わされた遮蔽電気リボンケーブル1702を含む。本明細書の別の部分に示され、記載される設計特徴及び特性のいずれかを有し得るケーブル1702は、8つの導体セット1704、及び2つのドレインワイヤー1712を有するものとして示され、それぞれが、ケーブルの各縁部、又はその付近に配置される。各導体セットは実質的にtwinaxペアであり、すなわち各導体が2つの絶縁導体1706のみを含み、各導体セットは好ましくは高速データ信号を送信及び/又は受信するように調整されている。
図14と丁度同じように、ドレインワイヤーの数(2)は、導体セットの数(8)よりも実質的に少なく、例えば、ケーブル1702が、導体セットごとに1つ又は2つのドレインワイヤーを有するケーブルに対して、実質的に小さい幅を有するのを可能にする。2つのドレインワイヤーのみが含まれているため(本実施形態において)このようなより小さい幅は、ドレインワイヤー1712が最も近い信号ワイヤー(最も近い絶縁導体1706)に対して、最も近い導体セットの信号線の間隔の少なくとも0.7倍で離間している場合においてさえも、実現され得る。
【0139】
終端構成要素1720は、第1端部1720a及び反対側の第2端部1720bを有し、第1主表面1720c及び反対側の第2主表面1720dを有する、好適な基材を含む。導電経路1721は、基材の少なくとも第1主表面1720c上に提供される。各導電経路は典型的には、構成要素の第1端部1720aから第2端部1720bに延在する。導電経路は、構成要素の両端において接触パッドを含むものとして示され、図においては、ケーブル1702の個別のワイヤー及び導体が、対応する接触パッドにおいて、導体経路1721の各1つと電気的に接続するものとして示される。基材上の導電経路の配置、構成及び配列、並びにケーブルの様々なワイヤー及び導体の配置、構成及び配列、並びにこれらの終端構成要素の主要表面の一方又は両方へと取り付けに関し、本明細書の多の部分で記載されるバリエーションは、またシステム1701に適用されることが意図される。
【実施例1】
【0140】
一般的な設計のケーブル1402(
図14参照)を有する遮蔽電気リボンケーブルが作製された。信号線のために、8つのtwinaxペアに構成された16本の絶縁32ゲージ(AWG)(0.032mm
2)ワイヤー、及びドレインワイヤーのためにケーブルの縁部に沿って構成された2本の非絶縁32(AWG)(0.032mm
2)ワイヤーを使用した。使用された16本の信号ワイヤーのそれぞれが、銀メッキを有する銅の中実芯線を有した。2つのドレインワイヤーはそれぞれ、撚り構成(各7回の撚り)を有し、スズメッキされた。絶縁ワイヤーの絶縁部材は、0.025インチ(0.0635cm)の公称外径を有した。16本の絶縁ワイヤー及び2本の非絶縁ワイヤーは、
図5cに示されるものと同様の装置に送達され、2つの遮蔽フィルムに挟持された。遮蔽フィルムは実質的に同一であり、以下の構成を有した:ポリエステルの基層(0.00048インチ(0.00122cm)厚さ)、その上にアルミニウムの連続的な層(0.00028インチ(0.000711cm)厚さ)が配置され、その上に非導電性接着剤の連続的な層(0.001インチ(0.00254cm)厚さ)が配置された。遮蔽フィルムは、フィルムの金属コーティングが互いに面し、導体セットに面するように、向けられた。プロセス温度は約270°F(132℃)であった。このプロセスによって作製される、生じるケーブルは撮像されて、
図18aに平面図が示され、ケーブルの端部の斜位図が18bに示される。図において、1804は、twinax導体セットを指し、1812はドレインワイヤーを指す。
【0141】
生じるケーブルは、信号線に使用される絶縁導体内の中実芯線の同心性の欠如のために、理想的ではなかった。それでも、非同心性の問題を考慮しつつ(補正しつつ)、ケーブルの一定のパラメータ及び特性が測定され得る。例えば、寸法D、d
1、d
2(
図2c参照)はそれぞれ、約0.028インチ(0.071cm)、0.0015インチ(0.0038cm)及び0.028インチ(0.071cm)であった。横方向断面において、いずれの遮蔽フィルムのどの部分も、ケーブルの幅に沿ったいずれの点においても、50マイクロメートル未満の曲率半径を有さなかった。所与のドレインワイヤーと、最も近いtwinax導体セットの最も近い絶縁ワイヤーの中心間隔は、約0.83mmであり、各導体セット内の絶縁ワイヤーの中心間隔(例えば、
図16のパラメータσ1及びσ2参照)は約0.025インチ(0.64mm)であった。隣接するtwinax導体セットの中心間隔(
図16のパラメーターΣ参照)は約0.0715インチ(1.8mm)であった。間隔パラメータS(
図15のS1及びS3)は約0.0465インチ(0.118cm)であった。縁部間で測定される、ケーブルの幅は、約16〜17ミリメートルであり、ドレインワイヤーの間の間隔は15ミリメートルであった。ケーブルは、ドレインワイヤーを含め、容易にマス終端可能であった。
【0142】
これらの値から以下が見出される:ドレインワイヤーから最も近い信号線までの間隔は、各twinaxペア内のワイヤー間隔の約1.3倍であり、したがって、ワイヤー間隔の0.7倍超であり;ケーブル密度パラメータΣ/σは約2.86(すなわち、2.5〜3の範囲内);他方のケーブル密度パラメータS/Dminは約1.7であり(すなわち、1.7〜2の範囲内)、d
1/D(遮蔽フィルムの挟まれた部分の最小間隔を、遮蔽フィルムのカバー部分の間の最大間隔で割る)は約0.05であり(すなわち、0.25未満、かつまた0.1未満;比率d
2/D(絶縁導体の間の区域内の遮蔽フィルムのカバー部分の間の最小分離を、遮蔽フィルムのカバー部分の間の最大間隔で割る)は約1であった(すなわち、0.33超)。
【0143】
ケーブルの幅(すなわち、約16mmの縁部間、及び15.0mmのドレインワイヤー間)は、従来的なミニ−SAS内部ケーブル外部成形終端の幅(典型的には、17.1mm)より小さく、ミニ−SASパドルカードの典型的な幅(15.6mm)とほぼ同じであったことにも留意されたい。パドルカードよりも小さい幅は、ワイヤー端部の横方向の調節を必要とせずに、ケーブルからパドルカードへの、単純な1対1の経路指定を可能にする。ケーブルが終端基盤又はハウジングよりも僅かに広い場合でも、外部ワイヤーは、基盤の外側縁部上のパッドに合うように、横方向に経路指定又は屈曲させることができる。物理的にこのケーブルは、他のリボンケーブルに対して2倍の密度を提供することができ、アセンブリは厚さが半分であり得(必要とされるリボンが1つ少ないため)、他の共通ケーブルよりも薄いコネクタを可能にし得る。ケーブル端部は、本明細書の別の部分で説明される終端構成要素と接続するために、任意の好適な方法で終端及び操作され得る。
【0144】
第3項:オンデマンドドレインワイヤー機構を有する遮蔽ケーブル
オンデマンドドレインワイヤー機構を利用し得る、遮蔽リボンケーブルに関する詳細を更に提供する。
【0145】
開示される遮蔽電気ケーブルの多くにおいて、遮蔽フィルムの一方又は両方と直接的又は間接的に電気接触するドレインワイヤーは、ケーブルの実質的全長にわたってこのような電気接触を行う。ドレインワイヤーは、その後、終端位置において外部接地接続部へと結合されて、クロストークを生成し得るいずれかの浮遊信号を低減し(又は「ドレイン」)、電磁干渉(EMI)を低減するために、遮蔽部材に接地基準を提供してもよい。発明を実施するための形態の、この項において、ケーブル長さ全体に沿ってではなく、ケーブルの1つ以上の分離領域における、所与のドレインワイヤーと所与の遮蔽フィルムとの間に電気接触を提供する、構成及び方法を、より完全に記載する。分離領域における電気接触によって特徴付けられる構成及び方法は場合によってオンデマンド技術と称される。
【0146】
このオンデマンド技術は、本明細書の別の部分で記載される遮蔽ケーブルを使用してもよく、ケーブルは、ドレインワイヤーの長さの全部又は少なくとも実質的な部分において、ドレインワイヤーと少なくとも1つの遮蔽フィルムとの間に高いDC電気抵抗を有する少なくとも1つのドレインワイヤーを含むように作製される。このようなケーブルは、オンデマンド技術を説明する目的のために、非処理ケーブルと称され得る。非処理ケーブルは、直流抵抗を実質的に低減し、局部区域においてドレインワイヤーと遮蔽フィルムとの間に電気接触(直接的又は間接的)を提供するために、少なくとも1つの特定の局部区域において処理され得る。局部区域の直流抵抗は例えば、10Ω以下、又は2Ω以下又は実質的にゼロΩであり得る。
【0147】
非処理ケーブルは、少なくとも1つのドレインワイヤー、少なくとも1つの遮蔽フィルム、及び少なくとも1つの導体セット(これは高速信号を伝送するために好適な少なくとも1つの絶縁導体を含む)を含み得る。
図19は、非処理ケーブルとして機能し得る、代表的な遮蔽電気ケーブル1902の正面断面図であるが、実質上、本明細書において示されるか又は記載される他の任意の遮蔽ケーブルもまた使用され得る。ケーブル1902は、3つの導体セット1904a、1904b、1904cを含み、これらはそれぞれ、1つ以上の絶縁導体を含み、ケーブルはまた、6つのドレインワイヤー1912a〜fを有し、これらは実証の目的のために様々な位置に示される。ケーブル1902はまた、ケーブルの両側に配置され、好ましくはそれぞれ、カバー部分、挟まれた部分及び移行部分を有する、2つの遮蔽フィルム1908を含む。最初に、非導電性接着剤材料、又は他の柔軟な非導電性材料が、各ドレインワイヤーを一方の又は両方の遮蔽フィルムから分離する。ドレインワイヤー、遮蔽フィルム及びその間の非導電性材料は、遮蔽フィルムが、局部区域又は処理区域において、オンデマンドにより、ドレインワイヤーと直接的又は間接的に電気接触するように作製され得る。その後、示されるドレインワイヤー1912a〜fのいずれかと、遮蔽フィルム1908との間で、この選択的な電気接触を達成するために、好適な処理プロセスが使用される。
【0148】
図20a、20b及び21は、遮蔽ケーブル又はその部分の正面断面図であり、これらはこのような処理プロセスの少なくともいくらかを実証する。
図20aは、遮蔽電気ケーブル2002の一部が、対向する遮蔽フィルム2008を含み、これらそれぞれが、導電性層2008a及び非導電性層2008bを含み得る。遮蔽フィルムは、各遮蔽フィルムの導電性層がドレインワイヤー2012及び他の遮蔽フィルムと面するように向けられる。別の実施形態において、遮蔽フィルムの一方又は両方の非導電性層が省略され得る。重要なことに、ケーブル2002は遮蔽フィルム2008の間に非導電性材料(例えば、誘電性材料)2010を含み、これはドレインワイヤー2012を各遮蔽フィルム2008から分離する。いくつかの場合において、材料2010は、非導電性の柔軟な接着剤材料であるか、又はこれを含み得る。いくつかの場合において、材料2010は、0.02mm又は他の一定の好適な厚さの、ポリオレフィンなどの熱可塑性誘電性材料であるか、又はこれを含み得る。いくつかの場合において、材料2010は、ケーブル製造の前に遮蔽フィルムの一方又は両方を被覆する、薄い層の形態であり得る。いくつかの場合において、材料2010は、ケーブル製造の前の(及び非処理ケーブルの)ドレインワイヤーを被覆する薄い絶縁層の形態であり得、この場合、このような材料は、
図20a及び
図20bに示される実施形態とは異なり、ケーブルの挟まれた区域内まで延在しない場合がある。
【0149】
極限的接続を形成するために、圧縮力及び/又は熱が限定的な領域又はゾーンの内部に適用されて、材料2010を効果的にずらすことにより、遮蔽フィルム2008をドレインワイヤー2012と、恒久的に電気接触させる。電気接触は直接的又は間接的であってもよく、10Ω未満、又は2Ω未満、又は実質的に0Ωの、局部的処理区域における直流抵抗によって特徴付けられる場合がある。(ドレインワイヤー2012の非処理部分は、引き続き、遮蔽フィルムと物理的に分離しており、高い直流抵抗(例えば、>100Ω)によって特徴付けられるが、ただし当然、ドレインワイヤーの非処理部分がドレインワイヤーの非処理部分を通じて遮蔽フィルムと電気的に接続する)処理手順は、以降の工程において、ケーブルの異なる別個の領域において繰り返されてもよく、及び/又は任意の所与の単一の工程において、ケーブルの複数の分離した領域において行われてもよい。遮蔽ケーブルはまた、好ましくは、より高速のデータ通信のための、1つ以上の分離信号線の少なくとも1つのグループを含む。
図21において、例えば、遮蔽ケーブル2102は、遮蔽フィルム2108によって提供される遮蔽を有する、複数のtwinax導体セット2104を有する。ケーブル2102はドレインワイヤー2112を含み、そのうちの2つ(2112a、2112b)が、例えば、圧力、熱、放射線及び/又は他の任意の好適な媒介により、処理構成要素2130を使用して、単一の工程で処理されるものとして、示される。処理構成要素は好ましくはケーブル2102の長さと比較して小さい長さ(図の平面と垂直な軸に沿った寸法)を有し、それにより、処理される区域も同様に、ケーブルの長さと比較して小さい。オンデマンドドレインワイヤー接触子の処理プロセスは、(a)ケーブル製造中、(b)終端プロセスのために長さにケーブルが切断された後、(c)終端プロセスの間(更に、ケーブルが終端されるときに同時に)、(d)ケーブルがケーブルアセンブリに作製された後(例えば、終端構成要素の、ケーブルの両端への取り付けの後)、又は(e)(a)〜(d)のいずれかの組み合わせ、において行われ得る。
【0150】
ドレインワイヤーと、遮蔽フィルムの一方又は両方との間の局部的電気接触を提供するための処理は、いくつかの場合においては、圧縮を使用し得る。この処理は、材料を著しく変形して接触を生じる、高い局部的な力で、室温において、又は上記の熱可塑性材料がより容易に流れ得る高温で実行されてもよい。処理はまた、接触を形成するために、この領域に超音波エネルギーを供給することも含み得る。また、処理プロセスは、遮蔽フィルム及びドレインワイヤーを分離する誘電性材料中の導電性粒子の使用、並びに/又はドレインワイヤー及び/若しくは遮蔽フィルムに提供されるアスペリティにより、補助されてもよい。
【0151】
図22a及び
図22bは、ドレインワイヤーと遮蔽フィルムとの間のオンデマンドの接触を提供するように選択することができる、別の構成を示す、遮蔽電気ケーブルアセンブリ2201の平面図である。両方の図において、遮蔽電気リボンケーブル2202は、その両端において、終端構成要素2220、2222と接続している。終端構成要素はそれぞれ、ケーブル2202の各ワイヤー及び導体との電気的接続のために、上部に提供される別個の導電経路を有する基材を含む。ケーブル2202は、高速データ通信に適合されたtwinax導体セットなど、絶縁導体のいくつかの導体セットを含む。ケーブル2202はまた、2つのドレインワイヤー2212a、2212bを含む。ドレインワイヤーは、各終端構成要素の各導電経路と接続する端部を有する。ドレインワイヤーはまた、ケーブルの少なくとも1つの遮蔽フィルムの付近に位置付けられ(例えば、これによって被覆され)、及び好ましくは、例えば
図19及び
図20aの断面図に示される2つのこのようなフィルムの間に位置付けられる。以下に記載される局部的処理領域又はゾーンを除き、ドレインワイヤー2212a、2212bは、ケーブルの長さに沿ったいずれの点においても遮蔽フィルムと電気的に接触せず、かつこれは任意の好適な手段、例えば、本明細書の別の部分に記載される電気的分離技術のいずれかを利用することによって達成され得る。非処理領域における、ドレインワイヤーと遮蔽フィルムとの間の直流抵抗は、例えば、100Ω超であり得る。しかしながら、ケーブルは、好ましくは、所与のドレインワイヤーと所与の遮蔽フィルムとの間の電気的接触を提供するように、上記の選択されたゾーン又は領域において処理される。
図22aにおいて、ケーブル2202は、ドレインワイヤー2212aと遮蔽フィルムとの間の電気的接触を提供するように局部領域2213aにおいて処理され、これはまた、ドレインワイヤー2212bと遮蔽フィルムとの間に電気的接触を提供するように局部領域2213b、2213cにおいて処理されている。
図22bにおいて、ケーブル2202は、同じ局部領域2213a及び2213bにおいて、また異なる局部領域2213d、2213eで処理されるものとして示される。
【0152】
いくつかの場合において、多数の処理領域が、余分に、又は他の目的のために、単一のドレインワイヤーのために使用され得る。他の場合において、単一の処理領域が所与のドレインワイヤーのために使用され得る。いくつかの場合において、第1ドレインワイヤーの第1処理領域が、第2ドレインワイヤーの第2処理領域と同じ長さ方向の位置で配置されてもよい(
図22a、22bの領域2213a、2213b参照、及び
図21に示される手順も参照)。いくつかの場合において、1つのドレインワイヤーの処理領域は別のドレインワイヤーの処理領域と、異なる長さ方向位置において配置されてもよい(
図22aの領域2231a及び2213c、又は
図22bの領域2213d及び2213e参照。いくつかの場合1つのドレインワイヤーの処理領域は、別のドレインワイヤーが遮蔽フィルムといかなる局部的電気接触を有さない、ケーブルの長さ方向の位置に配置されてもよい(
図22aの領域2213c、又は
図22bの領域2213d又は領域2213e参照)。
【0153】
図23は、ドレインワイヤーと遮蔽フィルムとの間のオンデマンドの接触を提供するように選択することができる、別の構成を示す、別の遮蔽電気ケーブルアセンブリ2301の平面図である。アセンブリ2301において、遮蔽電気リボンケーブル2302は、その両端において、終端構成要素2320、2322と接続している。終端構成要素はそれぞれ、ケーブル2302の各ワイヤー及び導体との電気的接続のために、上部に提供される別個の導電経路を有する基材を含む。ケーブル2302は、高速データ通信に適合されたtwinax導体セットなど、絶縁導体のいくつかの導体セットを含む。ケーブル2302はまた、いくつかのドレインワイヤー2312a〜dを含む。ドレインワイヤーは、各終端構成要素の各導電経路と接続する端部を有する。ドレインワイヤーはまた、ケーブルの少なくとも1つの遮蔽フィルムの付近に位置付けられ(例えば、これによって被覆され)、及び好ましくは、例えば
図19及び
図20aの断面図に示される2つのこのようなフィルムの間に位置付けられる。以下に記載される局部的処理領域又はゾーンを除き、少なくともドレインワイヤー2312a、2312dは、ケーブルの長さに沿ったいずれの点においても遮蔽フィルムと電気的に接触せず、かつこれは任意の好適な手段、例えば、本明細書の別の部分に記載される電気的分離技術のいずれかを利用することによって達成され得る。非処理領域における、ドレインワイヤーと遮蔽フィルムとの間の直流抵抗は、例えば、100Ω超であり得る。例えば、ケーブルは、好ましくは、これらのドレインワイヤーと所与の遮蔽フィルムとの間の電気的接触を提供するように、上記の選択されたゾーン又は領域において処理される。この図において、ケーブル2302は、ドレインワイヤー2312aと遮蔽フィルムとの間に電気的接触を提供するように局部領域2313aで処理されるように示され、かつ、ドレインワイヤー2312dと遮蔽フィルムとの間に電気的接触を提供するように、局部領域2313b、2313cで処理されるものとして示される。ドレインワイヤー2313b、2312cの一方若しくは両方が、局部的処理のために好適な種類であり得、又は一方若しくは両方が、これらが、ケーブル製造中にこれらの実質的全長に沿って遮蔽フィルムと電気接触を形成する、より標準的な方法で作製されてもよい。
【0154】
(実施例)
この項においては2つの実施例が示される。最初に、2つの実質的に同等の非処理遮蔽電気リボンケーブルが、
図21に示される遮蔽ケーブルと同じ数及び構成の導体セット及びドレインワイヤーで作製された。各ケーブルは、同じ構成を有する2つの反対側の遮蔽フィルムを使用して作製された:ポリエステルの基層(0.00048インチ(0.00122cm)厚さ)、その上にアルミニウムの連続的な層(0.00028インチ(0.00071cm)厚さ)が配置され、その上に非導電性接着剤の連続的な層(0.001インチ(0.00254cm)厚さ)が配置された。4つのtwinax導体セットを作製するために各ケーブルで使用される8つの絶縁導体は、30ゲージ(AWG)(0.051mm
2)、中実芯線、銀メッキ銅線であった。各ケーブルに使用される8つのドレインワイヤーは、32ゲージ(AWG)(0.032mm
2)、スズメッキ、7つの撚り線であった。製造プロセスに使用される設定は、各ドレインワイヤーと各遮蔽フィルムとの間に接着剤材料(ポリオレフィン)の薄い層(10マイクロメートル未満)が残り、非処理ケーブルにおいてこれらの間の電気接触を防ぐように、調節された。2つの非処理ケーブルはそれぞれ、約1メートルの長さに切断され、一端においてマス終端された。
【0155】
これらの非処理ケーブルの最初の1つは、最初に試験されて、ドレインワイヤーのいずれかが遮蔽フィルムのいずれかと電気接触しているかどうかを決定した。これは、ケーブルのストリッピングした端部でマイクロオームメーターを、2つのドレインワイヤーの全ての28の可能な組み合わせに接続することによって行われた。これらの測定は、組み合わせのいずれにおいても測定可能な直流抵抗を生じず、すなわち、全ての組み合わせが、100Ωを遥かに超える直流抵抗を生成した。その後、
図21に示されるように、2つの隣接するドレインワイヤーが、これらのドレインワイヤーと2つの遮蔽フィルムとの間の局部的な接触領域を提供するように、一工程において処理された。別の2つの隣接するドレインワイヤー、例えば、
図21の左側の、2112と標示される2つの隣接するワイヤーがまた、第2工程で同じように処理された。各処理は、ケーブルの一部をツールで圧迫することによって達成され、ツールは、約0.25インチ(0.635cm)長さ、及び0.05インチ(0.127)幅、でありツール幅はケーブルの1つの長さ方向位置において、2つの隣接するドレインワイヤーを被覆する。各処理部分は、ケーブルの一端から約3cmであった。この第1実施例において、ツール温度は220℃であり、約75〜150パウンド(34〜68kg)の力が、各処理部分において10秒間適用された。ツールがその後、取り除かれて、ケーブルが冷却された。マイクロオームメーターがその後、処理された端部の反対側のケーブル端部で接続され、2つのドレインワイヤーの全ての28の可能な組み合わせが再び試験された。1つの対(処理されたドレインワイヤーの2つ)直流抵抗は1.1Ωと測定され、2つのドレインワイヤーの全ての他の組み合わせの直流抵抗(処理端部の反対側のケーブル端部で測定される)は測定可能ではなく、すなわち、100Ωを遥かに超えた。
【0156】
これらの非処理ケーブルの2つ目は、最初に試験されて、ドレインワイヤーのいずれかが遮蔽フィルムのいずれかと電気接触しているかどうかを決定した。これはまた、ケーブルのストリッピングされた端部においてマイクロオームメーターを、2つのドレインワイヤーの28の全ての可能な組み合わせに接続することによって行われ、測定値はやはり、組み合わせのいずれにおいても測定可能な直流抵抗を生じず、すなわち、全ての生成される直流抵抗が100Ωを遥かに超えた。その後、
図21に示されるように、2つの隣接するドレインワイヤーが、これらのドレインワイヤーと2つの遮蔽フィルムとの間の局部的な接触領域を提供するように、第1工程において処理された。この処理は、実施例1と同じツールで行われ、処理部分はケーブルの第1端部から約3cmであった。第2処理工程において、同じ2つのドレインワイヤーが、第1工程と同じ条件下で処理されたが、第1端部と反対の、ケーブルの第2端部から3cmの位置であった。第3工程において、
図21の左側の、2112と標示される2つの隣接するワイヤーが、やはりケーブルの第1端部から3cmで、第1工程と同じ方法で処理された。第4処理工程において、工程3で処理された同じ2つのドレインワイヤーが同じ条件で処理されたが、ケーブルの第2端部から3cmの処理位置であった。この第2実施例において、ツール温度は210℃であり、約75〜150パウンド(34〜68kg)の力が、各処理工程において10秒間適用された。ツールがその後、取り除かれて、ケーブルが冷却された。マイクロオームメーターがその後ケーブルの一端で接続され、2つのドレインワイヤーの全ての28の可能な組み合わせの試験が行われた。5つの組み合わせにおいて、0.6Ωの平均直流抵抗が測定され(全てのこれらの組み合わせは処理領域を有する4つのドレインワイヤーを含む)、処理領域を有する4つのドレインワイヤーを含む残りの組み合わせにおいて、21.5Ωの直流抵抗が測定された。2つのドレインワイヤーの全ての他の組み合わせの直流抵抗は、測定可能ではなく、すなわち、100Ωを遥かに超えた。
【0157】
図24aは、これらの実施例に関して作製及び処理された、遮蔽電気ケーブルの1つの写真である。4つの局部処理された領域を観察することができる。
図24bは、
図24aの一部の拡大詳細図であり、局部処理領域の2つを示す。
図24cは、
図24aの正面断面設計の前方正面図の概略図である。
【0158】
第4項:多数のドレインワイヤーを有する遮蔽ケーブル
ここで、多数のドレインワイヤーを利用し得る遮蔽リボンケーブル、及びケーブルの一端又は両端に1つ以上の終端構成要素を有するこのようなケーブルの固有の組み合わせに関する更なる詳細を提供する。
【0159】
従来的な同軸又はtwinaxケーブルは、多数の別個のグループのワイヤーを使用し、それぞれが、これらの独自のドレインワイヤーを有し、ケーブルと終端点との間の接地接続を形成する。本明細書において記載される遮蔽ケーブルの有利な態様は、これらが、
図19に示されたように、構造全体を通じて多くの位置にドレインワイヤーを含み得ることである。任意の所与のドレインワイヤーは遮蔽構造に直接(DC)接続され得、ACは遮蔽部材に接続され(低インピーダンスAC接続)、又は遮蔽部材に弱く接続されるか又は全く接続されない場合がある(高いACインピーダンス)。ドレインワイヤーは細長い導体であるため、これらは遮蔽ケーブルを超えて延在し、係合コネクタの接地終端との接続を形成することができる。開示されるケーブルの利点は、遮蔽フィルムによって提供される電気遮蔽部材が全体のケーブル構造において共通であるため、一般的により少ないドレインワイヤーがいくつかの用途において使用され得ることである。
【0160】
遮蔽リボンケーブルの導電性遮蔽部材を通じて電気的に相互接続することができる、様々な異なるドレインワイヤー構成を有利に提供するために、開示される遮蔽ケーブルを使用し得ることが見出された。要するに、開示される遮蔽ケーブルのいずれかが、少なくとも第1及び第2ドレインワイヤーを含み得る。第1及び第2ドレインワイヤーが、ケーブルの長さに沿って延在してもよく、かつ少なくとも、それらの両方が第1遮蔽フィルムと電気接触することの結果として、互いに電気接続してもよい。このケーブルは、ケーブルの第1端部において1つ以上の第1終端構成要素、及びケーブルの第2端部において1つ以上の第2終端構成要素と組み合わされてもよい。いくつかの場合において、第1ドレインワイヤーは1つ以上の第1終端構成要素と電気的に接続してもよいが、1つ以上の第2終端構成要素と電気的に接続しなくてもよい。いくつかの場合において、第1ドレインワイヤーは1つ以上の第2終端構成要素と電気的に接続してもよいが、1つ以上の第1終端構成要素と電気的に接続することができない。
【0161】
第1及び第2ドレインワイヤーは、ケーブルの長さに沿って延在する複数のドレインワイヤーの部材であってもよく、数n1のドレインワイヤーが1つ以上の第1終端構成要素と接続してもよく、数n2のドレインワイヤーが1つ以上の第2終端構成要素に接続し得る。数n1は、n2と異なり得る。更に、1つ以上の第1終端構成要素は、全部で数m1の第1終端構成要素を有してもよく、1つ以上の第2終端構成要素は、全部で数m2の第2終端構成要素を有してもよい。いくつかの場合において、n2>n1、及びm2>m1である。いくつかの場合において、m1=1である。いくつかの場合において、m1=m2である。いくつかの場合において、m1<m2である。いくつかの場合において、m1>1、及びm2>1である。
【0162】
これらのような構成は、1つのドレインワイヤーを外部接続部に接続し、1つ以上の他のドレインワイヤーを共通の遮蔽部材のみに接続させる能力を提供し、それによってこれら全ての効果的に外部接地に結合する。したがって、有利なことに、ケーブル中の全てのワイヤーが外部接地構造に接続する必要はなく、これはコネクタにおいてより少ない係合接続部を必要とすることにより、接続を単純化するために使用され得る。別の潜在的な利点は、ドレインワイヤーの2つ以上が外部接地及び遮蔽部材に接続される際に、余分の接触子が作製され得ることである。この場合、1つのドレインワイヤーで遮蔽部材又は外部接地と接触を形成できない場合があるが、他のドレインワイヤーを通じて、依然として良好に外部接地と遮蔽部材との間の電気接触を良好に形成する。更に、ケーブルアセンブリがファンアウト構成を有する場合、ケーブルの一端が1つの外部コネクタ(m1=1)、及び共通接地点に接続され、他端が多くのコネクタ(m2>1)に結合され、そして、多くのコネクタ端部において使用される(n2)よりも少なくない接続部(n1)が共通端部に作製され得る。このような構成によって提供される、単純化された接地は、終端において必要とされるより少ない複雑性、及びより少ない数の接触パッドという点において利益を提供し得る。
【0163】
これらの構成の多くにおいて、遮蔽フィルムを通じたドレインワイヤーの固有の相互接続された性質は(ただし、当然問題のドレインワイヤーは遮蔽フィルムと電気接触している)、終端構成を単純化するために使用され、より密な(より狭い)接続ピッチを提供することができる。1つの単純な実施形態では、高速導体セット及び多くのドレインワイヤーを含む遮蔽ケーブルが、両端においてコネクタの各端部に終端され、全部よりも少ないドレインワイヤーが各端部において終端するが、一端において終端した各ドレインワイヤーがまた他端においても終端されている。終端していないドレインワイヤーは、これらがまた接地点に直接的又は間接的に結合されているので、依然として低い電位に維持される。関係する実施形態において、ドレインワイヤーの1つが一端において接続されていてもよいが、他端において接続されていない(意図的に又は誤りにより)ことがある。この状況によりまた、接地構造は、1つのドレインワイヤーが各端部において接続されている限りにおいて維持される。別の関連する実施形態において、一端において取り付けられているドレインワイヤーは、他端において取り付けられているドレインワイヤーと同じではない。この単純な形態が、
図25に示される。この図において、ケーブルアセンブリ2501は、一端において終端構成要素2520に接続され、他端において終端構成要素2522に接続される、遮蔽電気ケーブル2502を含む。ケーブル2502は、これが第1ドレインワイヤー2512a及び第2ドレインワイヤー2512b(これらは両方とも、少なくとも1つの遮蔽フィルムに電気的に接続される)を含む限り、実質的に、本明細書において示される、又は記載されるいずれの遮蔽ケーブルであり得る。示されるように、ドレインワイヤー2512bが、構成要素2522ではなく、構成要素2520に接続し、ドレインワイヤー2512aは、構成要素2520でなく構成要素2522に接続する。接地電位(又は他の制御された電位)は、ドレインワイヤー2512a、2512b、及びケーブル2502の遮蔽フィルムの間において、これらの相互電気接続により共通であるため、共通接地により構造内において同じ電位が維持される。終端構成要素2520、2522の両方は、有利なことに、未使用の導電経路を排除することによって、有利に、より小さく(狭く)される。
【0164】
これらの技術を示す、更なる複雑な実施形態が
図26a〜26bに示される。これらの図において、遮蔽ケーブルアセンブリ2601はファンアウト構成を有する。アセンブリ2601は、第1端部で終端構成要素2620に接続され、第2端部(これは3つの別個のファンアウト区分に分割される)で終端構成要素2622、2624、2626に接続される遮蔽電気リボンケーブル2602を含む。
図26bの断面図に最もよくみられ、
図26aの直線26b−26bに沿って取られるが、ケーブル2602は、絶縁導体の3つの導体セット(1つは同軸タイプ及び2つはtwinaxタイプ)、及び8つのドレインワイヤー2612a〜hを含む。8つのドレインワイヤーは全て、ケーブル2602内の、少なくとも1つの、及び好ましくは2つの遮蔽フィルムに電気的に接続される。同軸導体セットは終端構成要素2626に接続し、1つのtwinax導体セットは終端構成要素2624に接続し、他のtwinax導体セットは終端構成要素2622に接続し、全ての3つの導体セットは、ケーブルの第1端部において終端構成要素2620に接続する。8つ全てのドレインワイヤーは、ケーブルの第2端部の終端構成要素に接続してもよく、すなわち、ドレインワイヤー2612a、2612b及び2612cが、終端構成要素2626の適切な導電経路に接続されてもよく、ドレインワイヤー2612d及び2612eは、終端構成要素2624の適切な導電経路に接続されてもよく、ドレインワイヤー2612f及び2612gは終端構成要素2622の適切な導電経路に接続され得る。しかしながら、有利なことに、8つ未満のドレインワイヤーが、ケーブルの第1端部で終端構成要素2620に接続されてもよい。図において、ドレインワイヤー2612a及び2612hのみが、構成要素2620の適切な導電経路に接続されているものとして示される。ドレインワイヤー2612b〜gと終端構成要素2620との間の終端接続を省略することにより、アセンブリ2601の製造は単純化及び効率化される。更に、例えば、ドレインワイヤー2612d及び2612eは、導電経路を接地電位(又は別の所望の電位)に結合するが、これらのいずれも、終端構成要素2620に物理的に接続されない。
【0165】
上記のパラメータn1、n2、m1及びm2に関し、ケーブルアセンブリ2601は、n1=2、n2=8、m1=1、及びm2=3である。
【0166】
別のファンアウトケーブルアセンブリ2701は、
図27a〜bに示される。アセンブリ2701は、第1端部で終端構成要素2720に接続され、第2端部(これは3つの別個のファンアウト区分に分割される)で終端構成要素2722、2724、2726に接続される遮蔽電気リボンケーブル2702を含む。
図27bの断面図に最もよく見られ、
図27aの直線27b−27bに沿って取られるが、ケーブル2702は、絶縁導体の3つの導体セット(1つは同軸タイプ及び2つはtwinaxタイプ)、及び8つのドレインワイヤー2712a〜hを含む。8つのドレインワイヤーは全て、ケーブル2702内の、少なくとも1つの、及び好ましくは2つの遮蔽フィルムに電気的に接続される。同軸導体セットは終端構成要素2726に接続し、1つのtwinax導体セットは終端構成要素2724に接続し、他のtwinax導体セットは終端構成要素2722に接続し、全ての3つの導体セットは、ケーブルの第1端部において終端構成要素2720に接続する。6つ全てのドレインワイヤーは、ケーブルの第2端部で終端構成要素に接続してもよく、すなわち、ドレインワイヤー2712b及び2712cが、終端構成要素2726の適切な導電経路に接続されてもよく、ドレインワイヤー2712d及び2712eは、終端構成要素2724の適切な導電経路に接続されてもよく、ドレインワイヤー2712f及び2712gは終端構成要素2722の適切な導電経路に接続され得る。これらの6つのドレインワイヤーのいずれも、ケーブルの第1端部の終端構成要素2720に接続されない。ケーブルの第1端部において、他の2つのドレインワイヤー、すなわちドレインワイヤー2712a及び2712hは、構成要素2720の適切な導電経路に接続される。ドレインワイヤー2712b〜gと終端構成要素2720との間の、及びドレインワイヤー2712aと終端構成要素2726との間の、及びドレインワイヤー2712hと終端構成要素2722との間の終端接続を省略することにより、アセンブリ2701の製造が単純化及び効率化される。
【0167】
上記のパラメータn1、n2、m1及びm2に関し、ケーブルアセンブリ2701は、n1=2、n2=6、m1=1、及びm2=3である。
【0168】
他の多くの実施形態が可能であるが、一般的に、接地が完了し、少なくとも1つの接地がケーブルの各端部において各終端位置に接続され、3つ以上がファンアウトケーブルであることを確実にするために、2つの分離接地接続(導体)を一緒に接続するためにケーブルの遮蔽を利用することが有利であり得る。これは、各ドレインワイヤーが、各終端点に接続される必要がないことを意味する。2つ以上のドレインワイヤーがいずれかの端部に接続されれば、接続が余分に形成され、故障しにくくなる。
【0169】
第5項:混合導体セットを有する遮蔽ケーブル
ここで、混合導体セット(例えば、ある導体セットは高速データ伝送に適合され、別の導体セットは電力伝送又は低速データ伝送に適合される)を利用し得る遮蔽リボンケーブルに関する更なる詳細を提供する。電力伝送又は低速データ伝送に適合された導体セットは、サイドバンドと称され得る。
【0170】
高速信号伝送におけるいくらかの相互接続及び規定される基準は、高速信号伝送(例えば、twinax又は同軸ワイヤー構成により提供される)、及び低速又は電力導体の両方を可能にし、その両方が導体における絶縁を必要とする。この例はSAS基準であり、これはミニ−SAS4i相互接続スキームに含まれる、高速対及び「サイドバンド」を規定する。SAS基準は、サイドバンドの使用がその範囲外であり、ベンダー固有であることを示すが、一般的なサイドバンド使用はSGPIO(シリアル汎用入出力)バスである(業界仕様書SFF−8485に記載)。SGPIOは100kHzのみのクロック速度を有し、高速遮蔽ワイヤーを必要としない。
【0171】
本項はしたがって、ケーブル構成、線形接触子配列及び終端構成要素(例えば、パドルカード)構成を含め、高速信号及び低速信号(又は電力伝送)の両方を伝送するように調整されたケーブルの態様を焦点とする。一般的に、本明細書において他の部分で記載される、遮蔽された電気リボン様ケーブルが、僅かな修正と共に使用され得る。特に、開示される遮蔽ケーブルは、高速データ伝送に適合された導体セットに加え、高速信号伝送ではなく低速信号伝送に好適な構成の絶縁ワイヤーを含むように修正され得、かつドレイン/接地ワイヤーもまた含まれ得る。遮蔽ケーブルは、したがって、そのデータ速度が著しく異なる信号を伝送する、絶縁ワイヤーの少なくとも2つのセットを含み得る。したがって、電力導体の場合において、ラインはデータ速度を有さない。また、低速導体の導電経路が終端構成要素の反対の端部間(例えば、終端端部とコネクタ係合端部との間)で再経路指定される、高速/低速遮蔽ケーブルの組み合わせのための終端構成要素を開示する。
【0172】
換言すると、遮蔽電気ケーブルは、複数の導体セット及び第1遮蔽フィルムを含み得る。複数の導体セットは、ケーブルの長さに沿って延在してもよく、かつケーブルの幅に沿って互いに離間していてもよく、各導体セットは1つ以上の絶縁導体を含む。第1遮蔽フィルムはカバー部分及び挟まれた部分を含んでもよく、これらはカバー部分が導体セットを被覆し、挟まれた部分が各導体セットの各側部上のケーブルの挟まれた部分に配置されるように構成される。複数の導体セットは、高速データ伝送に適合された1つ以上の第1導体セットと、電力伝送又は低速データ伝送に適合された1つ以上の第2導体セットを含み得る。
【0173】
電気ケーブルはまた、ケーブルの第1遮蔽フィルムから反対側に配置される第2遮蔽フィルムを含み得る。ケーブルは、第1遮蔽フィルムと電気的に接触し、ケーブルの長さに沿って延在する、第1ドレインワイヤーを含み得る。1つ以上の第1導体セットは、σ1の中心間隔を有する複数の第1絶縁導体を含んでもよく、1つ以上の第2導体セットは、σ2の中心間隔を有する複数の第2絶縁導体を含む第2導体セットを含んでもよく、σ1はσ2よりも大きくすることができる。1つ以上の第1導体セットの絶縁導体は全て、ケーブルが平坦に配置される際に、単一平面に構成され得る。更に、1つ以上の第2導体セットは、ケーブルが平坦に配置された際に、積み重ねた構成で複数の絶縁導体を有する、第2導体セットを含み得る。1つ以上の第1導体セットは、少なくとも1Gbps(すなわち、約0.5GHz)から最大、例えば25Gbps(約12.5GHz)以上の最大データ伝送速度、又は少なくとも1GHzの最大信号周波数に適合されてもよく、1つ以上の第2導体セットは、1Gbps(約0.5GHz)未満又は0.5Gbps(約250MHz)未満の最大データ伝送速度、例えば、1GHz又は0.5GHz未満の最大信号周波数に適合されてもよい。1つ以上の第1導体セットが、少なくとも3Gbps(約1.5GHz)の最大データ伝送速度に適合され得る。
【0174】
このような電気ケーブルは、ケーブルの第1端部に配置される第1終端構成要素と組み合わされてもよい。第1終端構成要素は、基材及びその上に複数の導電経路を含んでもよく、複数の導電経路は、第1終端構成要素の第1端部上に構成された、各第1終端パッドを有してもよい。第1及び第2導体セットの遮蔽導体は、第1終端構成要素の第1端部で、第1終端パッドの各1つに、ケーブルの遮蔽導体の構成に適合するような順序構成で、接続してもよい。複数の導電経路は、第1端部の第1終端パッドのものとは異なる構成の、第1終端構成要素の第2端部上に構成される、対応する第2終端パッドを有し得る。
【0175】
電力伝送及び/又は低速データ伝送に適合された導体セットは、グループの又は個別の絶縁導体を含み、これらは、必ずしも互いに遮蔽される必要はなく、必ずしも関連する接地又はドレインワイヤーを必要とせず、及び特定のインピーダンスを有する必要がない。高速信号ペアを有するケーブル内にこれらを一緒に導入することの利益は、これらが1つの工程で位置合わせ及び終端され得ることである。これは、例えば、パドルカードへ自動的に位置合わせされることなく、いくつかのワイヤーグループを処理することを必要とする、従来的なケーブルとは異なる。低速信号及び高速信号の両方において、同時にストリッピングし、終端するプロセス(単一パドルカード上の線形配列、又は接触子の線形配列に)は、これ自体が混合信号ワイヤーである際に特に有利である。
【0176】
図28a〜dは、混合信号ワイヤー機構を導入し得る、代表的な遮蔽電気ケーブル2802a、2802b、2802c及び2802dの正面断面図である。各実施形態は、本明細書の別の場所で記載されるように、好適なカバー部分及び挟まれた部分を有する、2つの相対する遮蔽フィルムを含み、いくつかの遮蔽導体は高速データ伝送に適合された導体セットにグループ化され(導体セット2804a参照)、いくつかの遮蔽導体は低速伝送又は電力伝送に適合された導体セットにグループ化される(導体セット2804b、2804c)。各実施形態はまた、好ましくは1つ以上のドレインワイヤー2812を含む。高速導体セット2804aは、twinaxペアとして示されるが、本明細書の他の部分に記載されるように、他の構成もまた可能である。低速絶縁導体は高速絶縁導体よりも小さい(より小さい直径又は横方向寸法を有する)ものとして示されるがこれは、前者の導体が制御されたインピーダンスを有する必要がないためである。別の実施形態において、同じケーブル内の高速導体と比較して、低速導体の周囲でより大きい絶縁厚さを有することが必要であるか又は有利である場合がある。しかしながら、空間は多くの場合において重要であるため、可能な限り小さい絶縁厚さを形成することが望ましい。所与のケーブルの高速ラインと比較して低速ラインのゲージ及びメッキは異なる場合があることに留意する。
図28a〜dにおいて、高速及び低速絶縁導体は全て単一平面に構成される。このような構成において、ケーブル幅を可能な限り小さく維持するために、導体セット2804bにおいて、多数の低速絶縁導体を単一のセットに一緒にグループ化することが有利であり得る。
【0177】
低速絶縁導体をセットにグループ化する際、ケーブルがほぼ平坦な構成を維持するために、導体が正確に同じ幾何平面内に配置される必要はない。
図29の遮蔽ケーブル2902は例えば、導体セット2904bを形成するために小さな空間に一緒に重ねられた低速絶縁導体を使用し、ケーブル2902はまた、高速導体セット2904a及び2904cを含む。この方法で低速絶縁導体を積み重ねることは、小さく、狭いケーブル幅を提供することを助け得るが、マス終端の後に、規則的な線形様式で、導体を配列する(終端構成要素の線形配列の接触子と係合する)という利益を提供しないことがある。ケーブル2902はまた、示されるように、対向する遮蔽フィルム2908及びドレインワイヤー2912を含む。異なる数の低速絶縁導体を含む別の実施形態において、
図29aのセット2904d〜hに示されるような、低速絶縁導体のための積み重ね配列が使用され得る。
【0178】
混合信号ワイヤー遮蔽ケーブルの別の態様は、ケーブルと共に使用される終端構成要素に関連する。特に、終端構成要素の基材上の導体経路は、終端構成要素の一端の一構成(例えば、ケーブルの終端端部)から構成要素の反対の端部(例えば、コネクタの係合端部)の異なる構成に、低速信号を再経路指定するように構成され得る。異なる構成は例えば、終端構成要素の一端において他端に対し、異なる順番の接触子、又は導体経路を含み得る。構成要素の終端端部の構成は、ケーブルの導体の順序又は構成と適合するように調節され得る一方で、構成要素の反対側の端部の構成は、ケーブルのものとは異なる構成の回路基板又はコネクタ構成と適合するように調整され得る。
【0179】
再経路指定は、多層回路基板構成と組み合わせた1つ以上のビアを使用し、所与の導電経路をプリント基板の第1層から少なくとも第2層まで移行させ、その後、任意により第1層に戻るように移行させる、代表的な実施形態を含む、任意の好適な技術を使用することによって達成され得る。いくつかの例が、
図30a及び30bの平面図に示される。
【0180】
図30aにおいて、ケーブルアセンブリ3001aは、基材及び上部の導電経路(例えば、接触パッドを含む)を有する、パドルカード又は回路基板などの、終端構成要素3020に接続された遮蔽電気ケーブル3002を含む。ケーブル3002は、例えば、高速データ通信に適合された、twinaxペアの形態の導体セット3004aを含む。ケーブル3002はまた、低速データ及び/又は電力伝送に適合された導体セット3004bを含む、サイドバンドを含み、導体セット3004bは、この実施形態において4つの絶縁導体を有する。ケーブル3002がマス終端された後、様々な導体セットの導体は、構成要素の第1端部3020aで、終端構成要素3020の導電経路の各端部(例えば、接触パッド)に接続された(例えば、溶接により)導体端部を有する。ケーブルのサイドバンドに対応する導電経路の接触パッド又は他の端部は、3019a、3019b、3019c、3019dと標示され、これらは、終端構成要素3020の上部から下部まで、この順で構成される(しかし、高速導体と関連する他の接触パッドが、第1端部3020aのサイドバンド接触パッドの上及び下に存在する)。図に概略的にのみ示される、サイドバンド接触パッド3019a〜dの導電経路は、必要に応じて、接触パッド3019aを構成要素の第2端部3020bの接触パッド3021aに接続し、接触パッド3019bを構成要素の第2端部3020bの接触パッド3021bに接続し、接触パッド3019cを構成要素の第2端部3020bの接触パッド3021cに接続し、接触パッド3019dを構成要素の第2端部3020bの接触パッド3021dに接続するために、構成要素3020のビア及び/又は他のパターン化層を使用する。このようにして、終端構成要素の導電経路は、導体セット3004bからの低速信号を、終端構成要素の一方の端部3020aの1つの構成(a−b−c−d)から、構成要素の反対の端部3020bの異なる構成(d−a−c−b)に再経路指定するように構成される。
【0181】
図30bは、別のケーブルアセンブリ3001bの平面図を示し、同様の参照番号が、同じ又は同様の部分を指定するために使用される。
図30bにおいて、ケーブル3002は、
図30aの終端構成要素3020と同様の設計である、終端構成要素3022へとマス終端され、接続される。同様の構成要素3020、構成要素3022は、ケーブル3002のサイドバンドに対応する導電経路の接触パッド又は他の端部を含み、接触パッドは、3023a、3023b、3023c、3023dと標示され、これらは、終端構成要素3022の上部から下部まで、この順で構成される(しかし、ケーブルの高速導体と関連する他の接触パッドが、構成要素3022の第1端部3022aのサイドバンド接触パッドの上及び下に存在する)。サイドバンド接触パッド3023a〜dの導電経路がやはり、図において概略的にのみ示される。これらは、必要に応じて、接触パッド3023aを構成要素の第2端部3022bの接触パッド3025aに接続し、接触パッド3023bを構成要素の第2端部3022bの接触パッド3025bに接続し、接触パッド3023cを構成要素の第2端部3022bの接触パッド3025cに接続し、接触パッド3023dを構成要素の第2端部3022bの接触パッド3025dに接続するために、構成要素3022のビア及び/又は他のパターン化層を使用する。このようにして、終端構成要素の導電経路は、導体セット3004bからの低速信号を、終端構成要素の一方の端部3022aの1つの構成(a−b−c−d)から、構成要素の反対の端部3022bの異なる構成(d−a−c−b)に再経路指定するよう3022bに構成される。
【0182】
図30a及び
図30bのケーブルアセンブリは、両方の場合において、他の低速信号の他の導電経路にわたって、低速信号の導電経路を物理的に再経路指定するが、高速信号の任意の導電経路にわたってしない、という点において互いに同様である。この点において通常、高品質高速信号を維持するため、高速信号経路にわたって低速信号を経路指定することは望ましくない。しかしながら、いくつかの状況において、適切な遮蔽を備えて(例えば、多層回路基板及び適切な遮蔽層)、
図31に示される、高速信号の限定的な信号劣化により達成され得る。ここで、マス終端された遮蔽電気ケーブル3102は、終端構成要素3120に接続する。ケーブル3102は、例えば、高速データ通信に適合された、twinaxペアの形態の導体セット3104aを含む。ケーブル3102はまた、低速データ及び/又は電力伝送に適合された導体セット3104bを含む、サイドバンドを含み、導体セット3004bは、この実施形態において1つの絶縁導体を有する。ケーブル3102がマス終端された後、様々な導体セットの導体は、構成要素の第1端部3120aで、終端構成要素3120の導電経路の各端部(例えば、接触パッド)に接続された(例えば、溶接により)導体端部を有する。ケーブルのサイドバンドと対応する導電経路の接触パッド又は他の端部は、3119aと標示され、これは導体セット3104aの真ん中の1つの接触パッドの真上(
図31の視点から)に構成される。サイドバンド接触パッド3119aの導電経路(図中に概略的にのみ示される)は、接触パッド3119aを、構成要素の第2端部3120bの接触パッド3121aに接続するため、必要に応じて構成要素3120のビア及び/又は他のパターン化層を使用する。このようにして、終端構成要素の導体経路は、導体セット3104bからの低速信号を、終端構成要素の一端3120aの1つの構成(導体セット3104aの真ん中の1つの真上)から構成要素の反対側の端部3120bの異なる構成(導体セット3104aの真ん中の1つの接触パッドの真下)に再経路指定するように構成される。
【0183】
図28aのケーブル2802aの一般設計を有する、混合信号線遮蔽電気ケーブルが作製された。
図28aに示されるように、ケーブルは、4つの高速twinax導体セット及びケーブルの真ん中に配置される1つの低速導体セットを含む。ケーブルは、twinax導電セットの高速信号線のために30ゲージ(AWG)(0.051mm
2)銀メッキワイヤー、及び低速導体セットの低速信号線の30ゲージ(AWG)(0.051mm
2)スズメッキワイヤーを使用して作製された。高速信号線に使用される絶縁材料の外径(OD)、は約0.028インチ(0.071cm)であり、低速ワイヤーに使用される絶縁材料のODは約0.022インチ(0.056cm)であった。
図28aに示されるように、ドレインワイヤーはまた、ケーブルの各縁部に沿って含まれた。ケーブルはマス終端され、個別のワイヤー端部は、ミニ−SAS適合性のパドルカードの対応する接点にはんだ付けされた。この実施形態において、パドルカードワイヤーの全ての導電経路は、接触パッド構成がパドルカードの両端において同じであるように、パドルカードのケーブル端部から、反対側(コネクタ)端部まで、互いに交差すること無く経路指定された。生じる終端されたケーブルアセンブリの写真が
図32に示される。
【0184】
特に指定されない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用する、数量、特性の測定値などを表す全ての数値は、「約」という語で修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、そうでない旨が指定されない限り、上記の明細書及び特許請求の範囲において記載された数値パラメータは、本出願の教示を利用する当業者が得ようと求める望ましい特性に応じて変化し得る概算値である。均等論を特許請求の範囲の範疇に適用することを制限しようとする試みとしてではなく、各数値パラメータは少なくとも、記録された有効数字の桁数を考慮して、又通常の四捨五入を適用することによって解釈されるべきである。本発明の広範な範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似であるにも拘わらず、いかなる数値も本明細書で述べられる具体的な例で示される程度に、これらは妥当に可能な限り精確に報告される。しかしながら、いかなる数値も試験及び測定の限界に関連する誤差を含み得る。
【0185】
本発明の様々な修正及び変更は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱せずに当該技術分野の当業者に明らかとであり、本発明は、ここに記載された例示的な実施形態に限定されないことが理解されるべきである。例えば、1つの開示実施形態の特徴は、別に記載のない限り、他の開示実施形態全てにも適用され得ることを、読者は推定すべきである。また、本明細書において参照された全ての米国特許、公開特許出願、並びに他の特許及び非特許文書は、それらが上述の開示に矛盾しない範囲において、参照によって全てが組み込まれることが理解されるべきである。
【0186】
以下の項目は、本発明の態様による電気ケーブル構成の代表的な実施形態である。
【0187】
項目1は、遮蔽電気リボンケーブルであって、この遮蔽電気リボンケーブルは、ケーブルに沿って長さ方向に延在し、ケーブルの幅に沿って互いに離間した複数の導体セットであって、各導体セットは1つ以上の絶縁導体を含み、導体セットは第2導体セットに隣接する第1導体セットを含む、複数の導体セットと、ケーブルの両側に配置された第1及び第2遮蔽フィルムであって、第1及び第2遮蔽フィルムはカバー部分及び挟まれた部分を含み、横方向断面において組み合わされた第1及び第2フィルムのカバー部分が各導体セットを囲み、組み合わされた第1及び第2フィルムの挟まれた部分が各導体セットのそれぞれの側にケーブルの挟まれた部分を形成するように構成された、第1及び第2遮蔽フィルムとを含み、ケーブルが平坦に配置される際に、第1導体セットの第1絶縁導体は第2導体セットに最も近く、第2導体セットの第2絶縁導体が第1導体セットに最も近く、第1及び第2絶縁導体は中心間隔Sを有し、絶縁導体が外径D1を有し、第2絶縁導体が外径D2を有し、S/Dminは1.7〜2の範囲であり、DminはD1及びD2の小さい方である。
【0188】
項目2は、複数の導体セットの隣接する導体セットの各ペアが、1.7〜2の範囲の、S/Dminに対応する値を有する、項目1のケーブルである。
【0189】
項目3は、複数の導体セットのそれぞれが、一対の絶縁導体のみを有し、第1導体セットの絶縁導体の対の中心間隔は、σ1であり、第1及び第2導体セットの中心間隔はΣであり、Σ/σ1は、2.5〜3の範囲である、項目1のケーブルである。
【0190】
項目4は、遮蔽電気リボンケーブルであって、遮蔽電気リボンケーブルは、ケーブルの長さ方向に延在し、ケーブルの幅に沿って互いに離間した複数の導体セットであって、各導体セットは1つ以上の絶縁導体を含み、導体セットは第2導体セットに隣接する第1導体セットを含み、第1及び第2導体セットはそれぞれ1対の絶縁導体のみを有する、複数の導体セットと、ケーブルの両側に配置された第1及び第2遮蔽フィルムであって、第1及び第2フィルムがカバー部分及び挟まれた部分を含み、横方向断面において組み合わせた第1及び第2フィルムが各導体セットを実質的に囲み、組み合わせた第1及び第2フィルムの挟まれた部分が各導体セットのそれぞれの側にケーブルの挟まれた部分を形成するように構成され、ケーブルが平坦に配置される際に、第1導体セットの絶縁導体の対の中心間隔がσ1であり、第1及び第2導体セットの中心間隔がΣであり、Σ/σ1が2.5〜3の範囲である。
【0191】
項目5は、各導体セットは一対の絶縁導体のみを含み、導体セットが全体として、σavgの、絶縁導体の対の平均中心間隔を有し、全体として、Σavgの隣接する導体セットの平均中心間隔を有し、Σavg/σavgは、2.5〜3の範囲である、項目4のケーブルである。
【0192】
項目6は、組み合わされた第1及び第2遮蔽フィルムのカバー部分が、各導体セットの外辺部の少なくとも75%を囲むことによって、各導体セットを実質的に囲む、項目1又は項目4いずれかのケーブルである。
【0193】
項目7は、第1導体セットが3〜15GHzの範囲の特定の周波数における、1メートルケーブル長さでのクロストークC1によって特徴付けられる隣接する絶縁導体の間の高周波分離を有し、第1導体セットと第2導体セットとの間の高周波分離は、その特定の周波数におけるクロストークC2によって特徴付けられ、C2はC1よりも少なくとも10dB低い、項目1又は項目4いずれかのケーブルである。
【0194】
項目8は、各遮蔽フィルムが誘電性基材上に配置された導電性層を含む、項目1又は項目4のいずれかのケーブルである。
【0195】
項目9は、第1及び第2遮蔽フィルムの少なくとも一方と電気接触する第1ドレインワイヤーを更に含む、項目1又は項目4のいずれかのケーブルである。
【0196】
項目10は、第1ドレインワイヤーが、ケーブルの幅に沿って複数の導体セットから離間される、項目9のケーブルである。
【0197】
項目11は、横方向断面において、組み合わされた第1及び第2遮蔽フィルムが第1ドレインワイヤーを実質的に囲む、項目9に記載のケーブルである。
【0198】
項目12は、第1ドレインワイヤーが、最も近い導体セットの最も近い絶縁ワイヤーへのドレインワイヤー距離σ1によって特徴付けられ、最も近い導体セットがσ2の絶縁導体の中心間隔によって特徴付けられ、σ1/σ2が0.7超である、項目9のケーブルである。
【0199】
項目13は、ケーブルが第1ドレインワイヤー以外のドレインワイヤーを含まない、項目9のケーブルである。
【0200】
項目14は、複数の導体セットが、少なくとも8つの導体セットを含み、各導体セットは一対の絶縁導体のみを含み、ケーブルの幅はケーブルが平坦に配置された際に16mm以下である、項目9のケーブルである。
【0201】
項目15は、複数の差動ペアが第1ドレインワイヤーと第2ドレインワイヤーとの間に配置されるように、第2ドレインワイヤーは、ケーブルの幅に沿って複数の作動ペアから離間している、項目9のケーブルである。
【0202】
項目16は、第1及び第2ドレインワイヤー以外にドレインワイヤーを含まない、項目15のケーブルである。
【0203】
項目17は、複数の導体セットが、少なくとも8つの導体セットを含み、各導体セットは一対の絶縁導体のみを含み、ケーブルの幅はケーブルが平坦に配置された際に16mm以下である、項目15のケーブルである。
【0204】
項目18は、各導体セットにおいて、第1及び第2フィルムのカバー部分が、導体セットのそれぞれの側の挟まれたケーブルに関連する間隙を除いて、導体セットを囲む、項目1又は項目4のいずれかのケーブルである。
【0205】
項目19は、間隙が材料によって充填され、これが平坦化されたケーブル部分において第1及び第2フィルムを一緒に結合する、項目18のケーブルである。
【0206】
項目20は、各導体セットが、第1絶縁材料によって囲まれた第1導体と、第2絶縁材料によって囲まれた第2導体とを含み、各導体セットにおいて、第1遮蔽フィルムのカバー部分が、第1導体と同心状である第1部分と、第2導体と同心状である第2部分とを含む、項目1又は項目4のケーブルである。
【0207】
項目21は、基材の第1端部から第2端部へと延在する、複数の導電経路を上部に有する複数の導電経路を有する基材と組み合わされ、ケーブルの絶縁導体の個別の導体が、基材の第1端部が、基材の第1端部において導電経路の対応する1つに取り付けられる、項目1又は項目4のケーブルである。
【0208】
項目22は、対応する導電経路の全部が基材の一方の主表面上に配置される、項目21の組み合わせ。
【0209】
項目23は、対応する導電経路の少なくとも一方が、基材の一方の主表面上に配置され、対応する導電経路の少なくとも別のものが、基材の反対側の主表面上に配置される、項目21の組み合わせである。
【0210】
項目24は、導電経路の少なくとも1つが、第1端部において基材の第1主表面に第1部分を有し、第2端部において基材の反対側の第2主表面上に第2部分を有する、項目21の組み合わせである。
【0211】
項目25は、導体セットの交互の1つが、基材の両側の主表面上の導電経路に取り付けられる、項目21の組み合わせである。
【0212】
項目26は、基材がパドルカードを含む、項目21の組み合わせである。
【0213】
項目27は、遮蔽電気ケーブルであって、遮蔽電気ケーブルは、ケーブルの長さに沿って延在し、ケーブルの幅に沿って互いに離間した複数の導体セットであって、各導体セットは1つ以上の絶縁導体を含む、複数の導体セットと、カバー部分及び挟まれた部分を含み、これらは、カバー部分が導体セットを被覆し、挟まれた部分が、各導体セットのそれぞれの側のケーブルの挟まれた部分に配置されるように構成される、第1遮蔽フィルムと、第1遮蔽フィルムと電気接触し、またケーブルの長さに沿って延在する第1ドレインワイヤーとを含み、第1ドレインワイヤーの第1遮蔽フィルムへの電気接触子は、少なくとも第1処理領域に局部化される。
【0214】
項目28は、第1処理領域における、第1遮蔽フィルムへの第1ドレインワイヤーの電気接触子は、2Ω未満の直流抵抗によって特徴付けられる、項目27のケーブルである。
【0215】
項目29は、第1遮蔽フィルムは第1処理領域及び第2領域で第1ドレインワイヤーを被覆し、第2領域は少なくとも第1処理領域と同等に長く、第1ドレインワイヤーと第1遮蔽フィルムとの間の直流抵抗は第2領域において100Ωより大きい、項目28のケーブルである。
【0216】
項目30は、誘電体材料は第2領域において第1ドレインワイヤーを第1遮蔽フィルムから分離し、第1処理領域においては、誘電材料により、第1ドレインワイヤーの第1遮蔽フィルムからの分離が殆ど又は全く存在しない、項目29のケーブルである。
【0217】
項目31は、第1遮蔽フィルムへの第1ドレインワイヤーの電気接触子はまた、ケーブルの長さに沿って第1処理領域から離間した第2処理領域に局部化される、項目27のケーブルである。
【0218】
項目32は、ケーブルの長さに沿って延在し、第1ドレインワイヤーから離間する、第1遮蔽フィルムと電気的に接触する第2ドレインワイヤーを更に含み、第1遮蔽フィルムへの第2ドレインワイヤーの電気接触子は第2処理領域で局部化される、項目27のケーブルである。
【0219】
項目33は、第2処理領域が、第1処理領域とは異なる、ケーブルの長さ方向位置に配置される、項目32のケーブルである。
【0220】
項目34は、第2処理領域が、第1処理領域が第1遮蔽フィルムとの、いかなる局部電気接触をも有さない、ケーブルの長さ方向位置に配置される、項目32のケーブルである。
【0221】
項目35は、カバー部分及び挟まれた部分も含む第2遮蔽フィルムを更に含み、第1及び第2遮蔽フィルムは、ケーブルの両側に配置され、かつ横方向断面において、組み合わされた第1フィルム及び第2フィルムのカバー部分が各導体セットを実質的に囲み、組み合わされた第1及び第2フィルムの挟まれた部分が各導体セットのそれぞれの側のケーブルの挟まれた部分を形成する、項目27のケーブルである。
【0222】
項目36は、第1処理領域で、局部化された方法により、第1ドレインワイヤーがまた第2遮蔽フィルムと電気接触している、項目35のケーブルである。
【0223】
項目37は、組み合わされた第1及び第2遮蔽フィルムのカバー部分が、各導体セットの外辺部の少なくとも75%を囲むことによって、各導体セットを実質的に囲む、項目35のケーブルである。
【0224】
項目38は、各導体セットにおいて、第1及び第2遮蔽フィルムのカバー部分が、導体セットのそれぞれの側の挟まれたケーブルに関連する間隙を除いて、導体セットを囲む、項目35のケーブルである。
【0225】
項目39は、間隙が材料によって充填され、これが平坦化されたケーブル部分において第1及び第2フィルムを一緒に結合する、項目38のケーブルである。
【0226】
項目40は、ケーブルの長さに沿って延在し、ケーブルの幅に沿って互いに離間した複数の導体セットであって、各導体セットは1つ以上の絶縁導体を含む、複数の導体セットと、カバー部分及び挟まれた部分を含み、これらは、カバー部分が導体セットを被覆し、挟まれた部分が、各導体セットのそれぞれの側のケーブルの挟まれた部分に配置されるように構成される、第1遮蔽フィルムと、ケーブルの長さに沿って延在する第1ドレインワイヤーとを含むケーブルを提供する工程と、第1処理領域でケーブルを選択的に処理して、第1処理領域において第1遮蔽フィルムへの第1ドレインワイヤーの電気接触を局部的に増加又は形成する工程とを含む、遮蔽電気ケーブルを作製する方法である。
【0227】
項目41は、第1処理領域において第1ドレインワイヤーと第1遮蔽フィルムとの間の直流抵抗は、選択的な処理の前において100Ω超であり、選択的な処理の後において2Ω未満である、項目40の方法である。
【0228】
項目42は、選択的に処理する工程は、第1処理領域においてケーブルに力を選択的に適用する工程を含む、項目40の方法である。
【0229】
項目43は、選択的に処理する工程は、第1処理領域においてケーブルを選択的に加熱する工程を含む、項目40の方法である。
【0230】
項目44は、ケーブルがケーブルの長さに沿って延在するが、第1ドレインワイヤーから離間した第2ドレインワイヤーも含み、選択的な処理が、第1遮蔽フィルムへの第2ドレインワイヤーの電気接触を実質的に増加又は形成させない、項目40の方法である。
【0231】
項目45は、カバー部分及び挟まれた部分も含む第2遮蔽フィルムを更に含み、第1及び第2遮蔽フィルムは、ケーブルの両側に配置され、かつ横方向断面において、組み合わされた第1フィルム及び第2フィルムのカバー部分が各導体セットを実質的に囲み、組み合わされた第1及び第2フィルムの挟まれた部分が各導体セットのそれぞれの側のケーブルの挟まれた部分を形成し、第1ドレインワイヤーが第1遮蔽フィルムと第2遮蔽フィルムとの間に配置される、項目40の方法である。
【0232】
項目46は、選択的な処理はまた、第1処理領域において、第2遮蔽フィルムへの第1ドレインワイヤーの電気的接触を局部的に増加又は形成させる、項目45の方法である。
【0233】
項目47は、遮蔽電気ケーブルであって、遮蔽電気ケーブルは、ケーブルの長さに沿って延在し、ケーブルの幅に沿って互いに離間した複数の導体セットであって、各導体セットは1つ以上の絶縁導体を含む、複数の導体セットと、カバー部分及び挟まれた部分を含み、これらは、カバー部分が導体セットを被覆し、挟まれた部分が、各導体セットのそれぞれの側のケーブルの挟まれた部分に配置されるように構成される、第1遮蔽フィルムと、ケーブルの長さに沿って延在する第1及び第2ドレインワイヤーであって、第1及び第2ドレインワイヤーは、少なくともこれらの両方が第1遮蔽フィルムと電気接触することの結果として、互いに電気的に接続される、第1及び第2ドレインワイヤーとを含む。
【0234】
項目48は、カバー部分及び挟まれた部分もまた含む、第2遮蔽フィルムであって、第1及び第2遮蔽フィルムは、ケーブルの両側に配置され、かつ横方向断面において、組み合わされた第1及び第2フィルムのカバー部分は各導体セットを実質的に囲み、組み合わせた第1及び第2フィルムの挟まれた部分は各導体セットのそれぞれの側のケーブルの挟まれた部分を形成し、第1及び第2ドレインワイヤーはまた、少なくともこれらの両方が第2遮蔽フィルムと電気接触することの結果として、互いに電気接触している、項目47のケーブルである。
【0235】
項目49は、第1遮蔽フィルムと第1ドレインワイヤーとの間の直流抵抗が10Ω未満であり、第2遮蔽フィルムと第1ドレインワイヤーとの間の直流抵抗が10Ω未満である、項目48のケーブルである。
【0236】
項目50は、第1遮蔽フィルムと第1ドレインワイヤーとの間の直流抵抗が2Ω未満であり、第2遮蔽フィルムと第1ドレインワイヤーとの間の直流抵抗が2Ω未満である、項目49のケーブルである。
【0237】
項目51は、ケーブルの第1端部において1つ以上の第1終端構成要素と、ケーブルの第2端部において1つ以上の第2終端構成要素と組み合わされた、項目47のケーブルである。
【0238】
項目52は、第1及び第2ドレインワイヤーが、ケーブルの長さに沿って延在する複数のドレインワイヤーの部材であり、数n1のドレインワイヤーが1つ以上の第1終端構成要素に接続し、数n2のドレインワイヤーが1つ以上の第2終端構成要素に接続し、n1≠n2である、項目51の組み合わせである。
【0239】
項目53は、1つ以上の第1終端構成要素が、全部で数m1の第1終端構成要素を有し、1つ以上の第2終端構成要素が、全部で数m2の第2終端構成要素を有する、項目52の組み合わせである。
【0240】
項目54は、n2>n1、かつm2>m1である、項目53の組み合わせである。
【0241】
項目55は、m1=1である、項目54の組み合わせである。
【0242】
項目56は、m1=m2である、項目53の組み合わせである。
【0243】
項目57は、m1=1である、項目56の組み合わせである。
【0244】
項目58は、m1<m2である、項目53の組み合わせである。
【0245】
項目59は、m1>1及びm2>1である、項目53の組み合わせである。
【0246】
項目60は、第1ドレインワイヤーは1つ以上の第1終端構成要素に電気的に接続し、1つ以上の第2終端構成要素に電気的に接続する、項目51の組み合わせである。
【0247】
項目61は、第2ドレインワイヤーは1つ以上の第1終端構成要素に電気的に接続し、1つ以上の第2終端構成要素に電気的に接続する、項目60の組み合わせである。
【0248】
項目62は、遮蔽電気ケーブルであって、遮蔽電気ケーブルは、ケーブルの長さに沿って延在し、ケーブルの幅に沿って互いに離間した複数の導体セットであって、各導体セットは1つ以上の絶縁導体を含む、複数の導体セットと、カバー部分及び挟まれた部分を含み、これらは、カバー部分が導体セットを被覆し、挟まれた部分が、各導体セットのそれぞれの側のケーブルの挟まれた部分に配置されるように構成される、第1遮蔽フィルムとを含み、複数の導体セットは高速データ伝送に適合される1つ以上の導体セット、及び電力伝送又は低速データ伝送に適合された1つ以上の第2導体セットを含む。
【0249】
項目63は、カバー部分及び挟まれた部分も含む第2遮蔽フィルムを更に含み、第1及び第2遮蔽フィルムは、ケーブルの両側に配置され、かつ横方向断面において、組み合わされた第1フィルム及び第2フィルムのカバー部分が各導体セットを実質的に囲み、組み合わされた第1及び第2フィルムの挟まれた部分が各導体セットのそれぞれの側のケーブルの挟まれた部分を形成する、項目62のケーブルである。
【0250】
項目64は、第1遮蔽フィルムと電気接触し、またケーブルの長さに沿って延在する、項目62のケーブルである。
【0251】
項目65は、第1遮蔽フィルムと、第1ドレインワイヤーとの間の直流抵抗が10Ω未満である、項目64のケーブルである。
【0252】
項目66は、第1遮蔽フィルムと、第1ドレインワイヤーとの間の直流抵抗が2Ω未満である、項目65のケーブルである。
【0253】
項目67は、1つ以上の第1導体セットが、σ1の中心間隔を有する複数の第1絶縁導体を含む第1導体セットを含み、1つ以上の第2導体セットが、σ2の中心間隔を有する複数の第2絶縁導体を含む第2導体セットを含みσ1>σ2である、項目62に記載のケーブルである。
【0254】
項目68は、1つ以上の第1導体セットの絶縁導体が、ケーブルが平坦に配置された際の全て単一の平面に構成される、項目62のケーブルである。
【0255】
項目69は、1つ以上の第2導体セットが、ケーブルが平坦に配置された際に、積み重ねた構成の複数の絶縁導体を有する第2導体セットを含む、項目68のケーブルである。
【0256】
項目70は、1つ以上の第1導体セットが少なくとも1Gbpsの最大データ伝送速度に適合され、1つ以上の第2導体セットが1Gbps未満の最大データ伝送速度に適合される、項目62のケーブルである。
【0257】
項目71は、1つ以上の第1導体セットが、少なくとも3Gbpsの最大データ伝送速度に適合されている、項目70のケーブルである。
【0258】
項目72は、ケーブルの第1端部に配置された第1終端構成要素と組み合わせた項目62のケーブルである。
【0259】
項目73は、第1終端構成要素は基材及び上部の複数の導電経路を含み、複数の導電経路は第1終端構成要素の第1端部上に配置された各第1終端パッドを有し、第1及び第2導体セットの遮蔽導体は、ケーブルの遮蔽導体の構成と適合する順番で構成された第1終端構成要素の第1端部において第1終端パッドの各1つと接続する、項目72の組み合わせである。
【0260】
項目74は、複数の導電経路が、第1端部の第1終端パッドとは異なる構成で第1主端構成要素の第2端部に構成された、各第2終端パッドを有する、項目73の組み合わせである。
【0261】
項目75は、第1終端構成要素がパドルカードを含む、項目72の組み合わせである。
【0262】
項目76は、請求項62に記載のケーブルを提供することと、絶縁材料を、ケーブルの第1端部の1つ以上の第1及び第2導体の絶縁導体から同時にストリッピングすることとを含む、遮蔽ケーブルの終端方法である。
【0263】
項目77は、上部に複数の第1導電経路を有する、1つ以上の第1基材を含む1つ以上の第1終端構成要素を提供する工程と、ケーブルの第1端部のストリッピングした導体を複数の第1導電経路に取り付ける工程とを更に含む、項目76の方法である。
【0264】
項目78は、ストリッピングされた導体が、ケーブルの第1端部の複数の第1導電経路へと、ケーブルの遮蔽導体の構成に適合する順番の構成で、取り付けられる、項目77の方法である。
【0265】
項目79は、1つ以上の第1終端構成要素が第1パドルカードを含む、項目77の方法である。
【0266】
項目80は、ケーブルの第1端部と反対側の第2端部において、絶縁材料を1つ以上の第1及び第2導体セットの絶縁導体から同時にストリッピングする工程を更に含む、項目77の方法である。
【0267】
項目81は、上部に複数の第2導電経路を有する、1つ以上の第2基材を含む1つ以上の第2終端構成要素を提供する工程と、ケーブルの第2端部のストリッピングした導体を複数の第2導電経路に取り付ける工程とを更に含む、項目80の方法である。
【0268】
項目82は、ケーブルの第2端部のストリッピングされた導体を複数の第2導体経路に取り付ける工程は、ストリッピングされた導体が、ケーブルの第2端部における複数の第2導体経路へと、ケーブルの遮蔽導体の構成に適合するような順番の構成で取り付けられるようにして実行される、項目81の方法である。
【0269】
項目83は、1つ以上の第2終端構成要素が第2パドルカードを含む、項目81の方法である。
【0270】
以上、好適な実施形態の説明を目的として特定の実施形態を本明細書に図示、説明したが、同様の目的を達成することが予想される広範な代替的かつ/又は同等の実施の態様を、本発明の範囲を逸脱することなく、図示及び説明された特定の実施形態に置き換えることができる点は当業者には認識されるであろう。機械的、電気機械的、及び電気的分野における当業者であれば、本発明が広範な実施形態で実施しうる点は直ちに認識されるであろう。本出願は、本明細書で考察した好適な実施形態のあらゆる適合形態又は変形例を含むものである。したがって、本発明が特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定される点を明示するものである。