特許第6025672号(P6025672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6025672
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20161107BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   G03G15/00 303
   G03G15/08 222
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-156531(P2013-156531)
(22)【出願日】2013年7月29日
(65)【公開番号】特開2015-25997(P2015-25997A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2015年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】石田 英樹
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−308821(JP,A)
【文献】 特開2013−033293(JP,A)
【文献】 特開2003−270873(JP,A)
【文献】 特開2010−107855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 15/08
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーおよびキャリアを含む2成分現像剤を保持する磁気ローラーと、
前記磁気ローラーから移行したトナーを保持する現像ローラーと、
静電潜像を形成される感光体ドラムと、
前記現像ローラーの外周面の線速度と前記感光体ドラムの外周面の線速度との比である線速比を設定する線速比設定部と、
前記感光体ドラムと前記現像ローラーとの間の現像バイアスを設定する現像バイアス設定部と、
前記磁気ローラーと前記現像ローラーとの間の搬送バイアスを設定する搬送バイアス設定部とを備え、
前記現像バイアス設定部は、通常印字時において、前記現像バイアスを、前記現像ローラー上のトナー層をすべて前記感光体ドラムへ移行させる目標現像バイアス値に設定し、
前記搬送バイアス設定部は、通常印字時において、前記搬送バイアスを、目標搬送バイアス値に設定し、
前記線速比設定部は、調整時において、前記線速比を、前記通常印字時の前記線速比より低く設定し、
前記現像バイアス設定部および/または前記搬送バイアス設定部は、前記調整時において、複数のトナーマークに対する前記現像バイアスおよび/または前記搬送バイアスを変化させて、前記複数のトナーマークの濃度測定値から、前記通常印字時での前記目標現像バイアス値および/または前記目標搬送バイアス値を決定し、
前記現像バイアス設定部は、前記調整時において、前記複数のトナーマークの濃度測定値から、前記現像ローラー上のトナー層をすべて前記感光体ドラムへ移行させる最小現像バイアス値を特定し、特定した前記最小現像バイアス値を、前記通常印字時での前記目標現像バイアス値とし、
前記搬送バイアス設定部は、前記調整時において、前記複数のトナーマークの濃度測定値から、前記通常印字時での目標トナー濃度に、前記通常印字時の前記線速比と前記調整時の前記線速比との比率を乗じたトナー濃度に対応する搬送バイアス値を特定し、特定した前記搬送バイアス値を、前記通常印字時での前記目標搬送バイアス値とし、
前記線速比設定部は、前記調整時において、前記線速比を、前記通常印字時の前記線速比より低く設定する際に、前記磁気ローラーの外周面の線速度と前記現像ローラーの外周面の線速度との比を、前記通常印字時の値と同一とすること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記複数のトナーマークの濃度を測定する反射型光学センサーをさらに備え、
前記現像バイアス設定部および/または前記搬送バイアス設定部は、前記調整時において、複数のトナーマークに対する前記現像バイアスおよび/または前記搬送バイアスを変化させて、前記反射型光学センサーによる前記複数のトナーマークの濃度測定値から、前記通常印字時での前記目標現像バイアス値および/または前記目標搬送バイアス値を決定すること、
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数のトナーマークのトナー濃度は、前記反射型光学センサーの、トナー濃度に対する出力値が飽和していない領域の濃度とされることを特徴とする請求項記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある電子写真方式の画像形成装置では、現像ローラー上のトナー層の層厚を、搬送バイアスを可変させることで目標層厚に設定し、現像バイアスを可変させて現像ローラーのトナー層をすべて像担持体へ移行させて現像を行える現像バイアスに設定している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、別の装置では、目標トナー量より低い現像バイアスで形成したトナーマークを用いて、目標トナー量となる現像バイアスを予測している(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−308821号公報
【特許文献2】特開2003−270873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、電子写真方式の画像形成装置では、濃度調整用の濃度センサーとして、反射型光学センサーが使用されている。反射型光学センサーは、高濃度トナーマークについての濃度検出精度が、低〜中間濃度のトナーマークに比べ低い。
【0006】
反射型光学センサーを用いてトナー濃度を検出する場合、トナーマークが形成されていない時の像担持体の地肌からの反射光と、トナーマークからの反射光とを比較することで、トナー濃度を計算する方式が多く用いられている。
【0007】
高濃度トナーマークは、像担持体の地肌を厚く被覆するため、高濃度領域では、高濃度トナーマークの濃度変化に対してセンサー出力の変化が微小であるため、上述の特許文献1に記載の方法では現像バイアスを正確に設定することは困難である。
【0008】
特に、ブラックトナーの場合、トナーマークでの光の反射率および透過率が低いため、高濃度領域では、高濃度トナーマークの濃度変化に対してセンサー出力の変化がより微小となり、現像バイアスを正確に設定することが困難となる。
【0009】
また、上述の特許文献2に記載の現像バイアス設定方法は、現像ローラー上のトナー層をすべて像担持体上へ移行させる現像方法ではなく、静電潜像による電界を相殺するトナー量で現像するための電位を設定している。
【0010】
例えば、アモルファスシリコン製感光体ドラムのように比誘電率の高い感光体ドラムを用いる場合、現像ローラー上のトナー層のすべてが感光体ドラム上へ移行しない現像バイアスの領域では、現像バイアス変化に対するトナー現像量の感度が高いため、現像ローラーと感光体ドラムとの間のギャップ変動により、現像に使用されるトナー量が大きく変動してしまう。そのため、例えばアモルファスシリコン製感光体ドラムのように比誘電率の高い感光体ドラムを用いる場合、特許文献1に公報記載のように、現像ローラー上のトナー層をすべて現像に使用する現像方法を用いることが好ましい。
【0011】
現像ローラー上のトナー層をすべて現像に使用する現像方法の場合、現像方法が異なるため、特許文献2に記載の方法で現像バイアス設定を行うことは困難である。
【0012】
現像ローラー上のトナー層をすべて現像に使用する現像方法の場合、現像バイアスを、現像ローラー上のトナー層をすべて現像へ移行させることのできる最小値に設定することが好ましい。
【0013】
しかしながら、上述のように、トナーの高濃度領域に対するセンサーの分解能が低いため、この最小現像バイアスを正確に特定するのは困難である。つまり、最小現像バイアスは現像ローラー上のトナー層をすべて現像へ移行させることのできる電位の最小値であるため、現像バイアスを特定するために使用するトナーマークの濃度は高くなり、センサーの分解能が低いため、この最小現像バイアスを正確に特定することが困難となる。
【0014】
したがって、搬送バイアスを通常印字条件より低くした状態で現像ローラー上に形成されたトナー層をすべて感光体ドラムに移行させて現像することができる最小現像バイアスを算出し、その算出結果に基づいて通常印字時の搬送バイアスでの最小現像バイアスを予測して、その予測結果に基づいて現像バイアスを設定するという方法が考えられる。
【0015】
しかしながら、搬送バイアスを低くして現像を行うと、現像ローラー上のトナー層のうち、静電潜像の電界を相殺するために必要なトナーだけが感光体ドラムへ移行し、現像ローラー上にトナーが残った状態となり、その際に使用されるトナー量は、現像ローラー上に残ったトナー層の電荷の影響を受けて変化するため、そのような低い搬送バイアスについての最小現像バイアスから、通常印字条件での最小現像バイアスをただちに予測することは困難である。
【0016】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、現像ローラー上に形成されたトナー層をすべて感光体ドラムに移行させて現像する現像方法における現像バイアスを適切かつ正確に設定する画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る画像形成装置は、トナーおよびキャリアを含む2成分現像剤を保持する磁気ローラーと、前記磁気ローラーから移行したトナーを保持する現像ローラーと、静電潜像を形成される感光体ドラムと、前記現像ローラーの外周面の線速度と前記感光体ドラムの外周面の線速度との比である線速比を設定する線速比設定部と、前記感光体ドラムと前記現像ローラーとの間の現像バイアスを設定する現像バイアス設定部と、前記磁気ローラーと前記現像ローラーとの間の搬送バイアスを設定する搬送バイアス設定部とを備える。前記現像バイアス設定部は、通常印字時において、前記現像バイアスを、前記現像ローラー上のトナー層をすべて前記感光体ドラムへ移行させる目標現像バイアス値に設定し、前記搬送バイアス設定部は、通常印字時において、前記搬送バイアスを、目標搬送バイアス値に設定する。そして、前記線速比設定部は、調整時において、前記線速比を、前記通常印字時の前記線速比より低く設定し、前記現像バイアス設定部および/または前記搬送バイアス設定部は、前記調整時において、複数のトナーマークに対する前記現像バイアスおよび/または前記搬送バイアスを変化させて、前記複数のトナーマークの濃度測定値から、前記通常印字時での前記目標現像バイアス値および/または前記目標搬送バイアス値を決定する。前記現像バイアス設定部は、前記調整時において、前記複数のトナーマークの濃度測定値から、前記現像ローラー上のトナー層をすべて前記感光体ドラムへ移行させる最小現像バイアス値を特定し、特定した前記最小現像バイアス値を、前記通常印字時での前記目標現像バイアス値とする。前記搬送バイアス設定部は、前記調整時において、前記複数のトナーマークの濃度測定値から、前記通常印字時での目標トナー濃度に、前記通常印字時の前記線速比と前記調整時の前記線速比との比率を乗じたトナー濃度に対応する搬送バイアス値を特定し、特定した前記搬送バイアス値を、前記通常印字時での前記目標搬送バイアス値とする。前記線速比設定部は、前記調整時において、前記線速比を、前記通常印字時の前記線速比より低く設定する際に、前記磁気ローラーの外周面の線速度と前記現像ローラーの外周面の線速度との比を、前記通常印字時の値と同一とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、現像ローラー上に形成されたトナー層をすべて感光体ドラムに移行させて現像する現像方法における現像バイアスが適切かつ正確に設定される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の機械的な内部構成を示す側面図である。
図2図2は、図1における現像器3aの一例を示す断面図である。
図3図3は、図1に示す画像形成装置内のコントローラーの構成例を示すブロック図である。
図4図4は、感光体ドラムへのトナー移行量と最小現像バイアスとの関係を説明する図である。
図5図5は、トナーマークの濃度とトナーマークについてのセンサー出力との対応関係を説明する図である。
図6図6は、図1に示す画像形成装置におけるトナーマークの形成を説明する図である。
図7図7は、目標搬送バイアス値の特定について説明する図である。
図8図8は、目標現像バイアス値の特定について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の機械的な内部構成を示す側面図である。この画像形成装置は、プリンター、ファクシミリ装置、複写機、複合機などといった、電子写真方式の印刷機能を有する装置である。
【0022】
この実施の形態の画像形成装置は、タンデム方式のカラー現像装置を有する。このカラー現像装置は、感光体ドラム1a〜1d、露光装置2および現像ローラー3a〜3dを有する。感光体ドラム1a〜1dは、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色の感光体である。露光装置2は、感光体ドラム1a〜1dへレーザー光を照射して静電潜像を形成する装置である。露光装置2は、レーザー光の光源であるレーザーダイオード、そのレーザー光を感光体ドラム1a〜1dへ導く光学素子(レンズ、ミラー、ポリゴンミラーなど)を有する。
【0023】
現像器3a〜3dは、トナーカートリッジ内のトナーを感光体ドラム1a〜1d上の静電潜像に付着させてトナー像を形成する。感光体ドラム1aおよび現像器3aにより、マゼンタの現像が行われ、感光体ドラム1bおよび現像器3bにより、シアンの現像が行われ、感光体ドラム1cおよび現像器3cにより、イエローの現像が行われ、感光体ドラム1dおよび現像器3dにより、ブラックの現像が行われる。
【0024】
中間転写ベルト5は、感光体ドラム1a〜1dに接触し、感光体ドラム1a〜1d上のトナー像を転写される環状の中間転写体である。中間転写ベルト5は、駆動ローラー6に張架され、駆動ローラー6からの駆動力によって、感光体ドラム1aとの接触位置から感光体ドラム1dとの接触位置への方向へ周回していく。
【0025】
転写ローラー7は、搬送されてくる用紙を中間転写ベルト5に接触させ、中間転写ベルト5上のトナー像を用紙に転写する。なお、トナー像を転写された用紙は、図示せぬ定着器へ搬送され、トナー像が用紙へ定着される。
【0026】
センサー8は、中間転写ベルト5に光を照射し、その反射光を検出する。特に、センサー8は、調整時において、中間転写ベルト5上のトナーマークの濃度を検出する。このセンサー8は、調整用のトナーマークの濃度を測定する反射型光学センサーである。
【0027】
図2は、図1における現像器3aの一例を示す断面図である。なお、図2では、現像器3aについて図示しているが、現像器3b〜3dについても同様の構成となっている。
【0028】
図2に示すように、現像器3aは、筐体11と、攪拌スクリュー12と、磁気ローラー13と、現像ローラー14とを有する。
【0029】
現像器3aには、図示せぬトナーコンテナーが接続され、トナーコンテナーから図示せぬ補給口を介して筐体11内へトナーが補給される。筐体11内では、攪拌スクリュー12によってトナーとキャリアを含む2成分現像剤が攪拌される。キャリアには、磁性材料が使用される。
【0030】
磁気ローラー13は、その表面に2成分現像剤をブラシ状に保持している。2成分現像剤のうちのトナーが、磁気ローラー13と現像ローラー14との間の電圧である搬送バイアスに応じて現像ローラー14に移行する。
【0031】
現像ローラー14は、磁気ローラー13から移行してきたトナーをその表面にトナー薄層として保持する。現像ローラー14の表面に形成されたトナー層は、現像ローラー14と感光体ドラム1aの間の電圧である現像バイアスによって感光体ドラム1aに移行する。
【0032】
感光体ドラム1aは、その表面に、露光装置2によって静電潜像を形成される像担持体である。また、感光体ドラム1aには、例えばアモルファスシリコン製感光体ドラムのように比誘電率の高い感光体ドラムが使用される。
【0033】
図3は、図1に示す画像形成装置内のコントローラーの構成例を示すブロック図である。なお、ここでは、感光体ドラム1aと現像器3aに対するコントローラー31の機能について説明するが、他の感光体ドラム1b〜1dと現像器3b〜3dに対するコントローラー31の機能も同様である。
【0034】
コントローラー31は、画像形成装置内の各部を電気的に制御する。コントローラー31は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイクロコンピューターなどで構成される。現像ローラー電位設定回路32は、現像ローラー14の電位を指定された電位に設定する回路である。磁気ローラー電位設定回路33は、磁気ローラー13の電位を指定された電位に設定する回路である。
【0035】
コントローラー31は、線速比設定部41、現像バイアス設定部42、搬送バイアス設定部43、トナー濃度特定部44、およびバイアス設定値記憶部45を有する。
【0036】
線速比設定部41は、感光体ドラム1a、現像ローラー14などの回転速度を制御して、線速比S/Dを設定する。線速比S/Dは、現像ローラー14の外周面の線速度Sと感光体ドラムの外周面の線速度Dとの比である。現像バイアス設定部42は、現像ローラー電位設定回路32を使用して、感光体ドラム1aと現像ローラー14との間の現像バイアスを設定する。搬送バイアス設定部43は、磁気ローラー電位設定回路33を使用して、磁気ローラー13と現像ローラー14との間の搬送バイアスを設定する。トナー濃度特定部44は、センサー8の出力に基づいて、中間転写ベルト5上のトナーマークの濃度を特定する。バイアス設定値記憶部45は、通常印字時の目標現像バイアスの値および目標搬送バイアスの値を記憶する不揮発性の記憶装置である。
【0037】
現像バイアス設定部42は、通常印字時において、現像バイアスを、目標現像バイアス値に設定する。目標現像バイアス値は、現像ローラー14上のトナー層をすべて感光体ドラム1aへ移行させるために必要な最小現像バイアス値である。
【0038】
また、搬送バイアス設定部43は、通常印字時において、搬送バイアスを、目標搬送バイアス値に設定する。
【0039】
調整時において、線速比設定部41は、線速比S/Dを、通常印字時の線速比S/Dより低く設定し、現像バイアス設定部42および/または搬送バイアス設定部43は、複数のトナーマークに対する現像バイアスおよび/または搬送バイアスを変化させて、センサー8による複数のトナーマークの濃度測定値から、通常印字時での目標現像バイアス値および/または目標搬送バイアス値を決定する。
【0040】
なお、この実施の形態では、調整時において、線速比設定部41が、線速比S/Dを、通常印字時の線速比S/Dより低く設定した状態で、現像バイアス設定部42および搬送バイアス設定部43は、複数のトナーマークに対する現像バイアスおよび搬送バイアスを変化させて、センサー8による複数のトナーマークの濃度測定値から、通常印字時での目標現像バイアス値および目標搬送バイアス値を決定する。
【0041】
具体的には、現像バイアス設定部42は、調整時において、上述の複数のトナーマークの濃度測定値から、現像ローラー14上のトナー層をすべて感光体ドラム1aへ移行させる最小現像バイアス値を特定し、特定した最小現像バイアス値を、通常印字時での目標現像バイアス値とする。
【0042】
また、具体的には、搬送バイアス設定部43は、調整時において、複数のトナーマークの濃度測定値から、通常印字時での目標トナー濃度に、通常印字時の線速比S/Dと調整時の線速比S/Dとの比率を乗じたトナー濃度に対応する搬送バイアス値を特定し、特定した搬送バイアス値を、通常印字時での目標搬送バイアス値とする。
【0043】
なお、調整時の線速比S/Dは、上述の複数のトナーマークのトナー濃度が、センサー8の、トナー濃度に対する出力値が飽和していない領域の濃度となるように設定される。
【0044】
また、線速比設定部41は、調整時において、磁気ローラー13などの回転速度を制御して、線速比S/Dを、通常印字時の線速比より低く設定する際に、磁気ローラー13の外周面の線速度と現像ローラー14の外周面の線速度との比を通常印字時の値と同一とする。
【0045】
図4は、感光体ドラムへのトナー移行量と最小現像バイアスとの関係を説明する図である。上述の線速比S/Dを変化させたときの現像バイアスに対する、現像に使用されるトナー量(以下、現像トナー量という)の変動の特性を把握するために現像ローラー14と感光体ドラムとの間の電場解析を行った。その結果、図4に示すように、線速比S/Dに拘わらず、現像トナー量が飽和している領域での現像バイアスの最小値(つまり、最小現像バイアス値)が略一定であることがわかった。
【0046】
図5は、トナーマークの濃度(つまり、層厚)とトナーマークについてのセンサー出力との対応関係を説明する図である。図5に示すように、センサー8の出力は、トナーマークの濃度が高くなると飽和してしまい、正確な濃度を測定しにくくなる。
【0047】
したがって、この実施の形態では、調整時において、線速比S/Dを、通常印字時の線速比S/Dより低くして、センサー8の非飽和領域(トナー濃度に対して出力値が飽和していない領域)における低濃度のトナーマークを形成し、その低濃度のトナーマークを使用して目標現像バイアス値および目標搬送バイアス値を決定する。
【0048】
なお、線速比S/Dが低いほど、現像ローラー14の線速度が相対的に低くなるため、現像ローラー14から感光体ドラム1aへ移行するトナーの量が少なくなる。
【0049】
ただし、線速比S/Dが低いほど、トナー粒子が、静電潜像による電界強度が高い領域に長く滞在し、感光体ドラム1aへ比較的飛翔しにくいトナー粒子も飛翔するため、最小現像バイアス値はやや低く検出される。そのため、その低濃度のトナーマークを使用したときの最小現像バイアス値に所定のマージンを加算した値を、通常印字時の目標現像バイアス値としてもよい。
【0050】
次に、上記画像形成装置の調整時の動作について説明する。
【0051】
図6は、図1に示す画像形成装置におけるトナーマークの形成を説明する図である。図7は、目標搬送バイアス値の特定について説明する図である。図8は、目標現像バイアス値の特定について説明する図である。
【0052】
コントローラー31は、調整において、中間転写ベルト5を3周周回させる。
【0053】
まず、1周目において、トナー濃度特定部44は、2周目および3周目においてトナーマークが形成される位置の地肌からの反射光によるセンサー8の出力を検出する。
【0054】
次に、2周目において、搬送バイアスの調整(つまり、通常印字時の目標搬送バイアス値の設定)が実行される。
【0055】
搬送バイアスの調整では、線速比設定部41は、線速比S/Dを、通常印字時の線速比S/Dより低く設定する。例えば、通常印字時の線速比S/Dが1.6である場合に、線速比設定部41は、搬送バイアスの調整では、線速比S/Dを1.0に設定する。
【0056】
そして、搬送バイアス設定部43は、調整用の複数のトナーマークに対する搬送バイアスを変化させて、センサー8による複数のトナーマークの濃度測定値から、通常印字時での目標搬送バイアス値を決定する。
【0057】
具体的には、搬送バイアス設定部43は、トナーマークごとに搬送バイアスを変化させつつ、コントローラー31は、露光装置2を制御して複数のトナーマークに対応する静電潜像を感光体ドラム1a〜1dに形成する。これにより、搬送バイアスに応じたトナー量で静電潜像が現像され、現像により形成されたトナー画像が感光体ドラム1a〜1dから中間転写ベルト5に転写される。トナー濃度特定部44は、形成されたトナーマークからの反射光によるセンサー8の出力を検出し、1周目のセンサー8の出力値および2周目のセンサー8の出力値の差に基づいて、2周目の各トナーマークの濃度を特定する。
【0058】
そして、図7に示すように、搬送バイアス設定部43は、複数の搬送バイアス値に対応する複数のトナーマークの濃度測定値から、目標トナー量に対して、調整時の線速比と通常印字時の線速比との比率を乗じた値(つまり、その比率だけ目標トナー量に対して低いトナー量)となる搬送バイアス値を内挿によって特定し、特定した搬送バイアス値を、目標搬送バイアス値Vtとする。
【0059】
次に、3周目において、現像バイアスの調整(つまり、通常印字時の目標現像バイアス値の設定)が実行される。
【0060】
現像バイアスの調整では、線速比設定部41は、線速比S/Dを、通常印字時の線速比S/Dより低く設定する。例えば、通常印字時の線速比S/Dが1.6である場合に、線速比設定部41は、現像バイアスの調整では、線速比S/Dを1.0に設定する。
【0061】
そして、現像バイアス設定部42は、調整用の複数のトナーマークに対する現像バイアスを変化させて、センサー8による複数のトナーマークの濃度測定値から、通常印字時での目標現像バイアス値を決定する。
【0062】
具体的には、現像バイアス設定部42は、トナーマークごとに現像バイアスを変化させつつ、コントローラー31は、露光装置2を制御して複数のトナーマークに対応する静電潜像を感光体ドラム1a〜1dに形成する。これにより、現像バイアスに応じたトナー量で静電潜像が現像され、現像により形成されたトナー画像が感光体ドラム1a〜1dから中間転写ベルト5に転写される。トナー濃度特定部44は、形成されたトナーマークからの反射光によるセンサー8の出力を検出し、1周目のセンサー8の出力値および3周目のセンサー8の出力値の差に基づいて、3周目の各トナーマークの濃度を特定する。
【0063】
そして、図8に示すように、現像バイアス設定部42は、複数の現像バイアス値に対応する複数のトナーマークの濃度測定値から、濃度測定値が飽和する最小現像バイアス値を特定し、特定した現像バイアス値を、目標現像バイアス値Vdとする。
【0064】
現像バイアス設定部42および搬送バイアス設定部43は、目標現像バイアス値Vdおよび目標搬送バイアス値Vtをバイアス設定値記憶部45に記憶する。
【0065】
そして、通常印字時(つまり原稿画像の印刷時)には、現像バイアス設定部42および搬送バイアス設定部43は、これらの目標現像バイアス値Vdおよび目標搬送バイアス値Vtを読み出し、現像バイアスを目標現像バイアス値Vdに設定し、搬送バイアスを目標搬送バイアス値Vtに設定する。そして、コントローラー31は、この現像バイアスおよび搬送バイアスの条件下で、露光装置2を制御して、原稿画像の静電潜像を形成し、感光体ドラム1a〜1dでのトナー画像の現像、中間転写ベルト5へのトナー画像の1次転写、印刷用紙へのトナー画像の2次転写、およびトナー画像の定着を実行させる。
【0066】
以上のように、上記実施の形態によれば、調整時において、線速比設定部41は、現像ローラー14と感光体ドラム1aとの間の線速比を、通常印字時の線速比より低く設定し、現像バイアス設定部42および/または搬送バイアス設定部43は、複数のトナーマークに対する現像バイアスおよび/または搬送バイアスを変化させて、複数のトナーマークの濃度測定値から、通常印字時での目標現像バイアス値および/または目標搬送バイアス値を決定する。
【0067】
これにより、センサー8の特性の影響を受けずに、現像ローラー14上に形成されたトナー層をすべて感光体ドラム1aに移行させて現像する現像方法における現像バイアスが適切かつ正確に設定される。
【0068】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0069】
例えば、上記実施の形態において、目標搬送バイアス値および目標現像バイアス値の一方を他の方法で決定するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、例えば、電子写真方式の画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1a〜1d 感光体ドラム
8 センサー(反射型光学センサーの一例)
13 磁気ローラー
14 現像ローラー
41 線速比設定部
42 現像バイアス設定部
43 搬送バイアス設定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8