特許第6025685号(P6025685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6025685
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】回転電機の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/04 20060101AFI20161107BHJP
   H02K 3/34 20060101ALI20161107BHJP
   H02K 15/12 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   H02K3/04 E
   H02K3/34 C
   H02K15/12 D
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-206913(P2013-206913)
(22)【出願日】2013年10月2日
(65)【公開番号】特開2015-73344(P2015-73344A)
(43)【公開日】2015年4月16日
【審査請求日】2013年10月2日
【審判番号】不服2015-10666(P2015-10666/J1)
【審判請求日】2015年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073759
【弁理士】
【氏名又は名称】大岩 増雄
(74)【代理人】
【識別番号】100088199
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 岑生
(74)【代理人】
【識別番号】100094916
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 啓吾
(74)【代理人】
【識別番号】100127672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 憲治
(72)【発明者】
【氏名】井倉 穣
(72)【発明者】
【氏名】日野 辰郎
(72)【発明者】
【氏名】澤 信吉
(72)【発明者】
【氏名】横川 哲也
(72)【発明者】
【氏名】坂上 篤史
【合議体】
【審判長】 藤井 昇
【審判官】 堀川 一郎
【審判官】 前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−145286(JP,A)
【文献】 特開2012−143068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円環状の固定子鉄心に軸方向に形成された複数の設けられたスロットに複数のコイル導体から成る固定子巻線を券着する回転電機の製造方法において、断面が幅w、径方向の厚さtの導体線の前記スロットに挿入されるコイルスロット部の前記幅wの方向から加圧し、断面が幅w′、径方向の頂点間の厚さt′の矩形形状で径方向の両辺が弓形に形成されて径方向に膨らんでいる前記コイルスロット部を形成し、コイルエンド部の径方向の厚さと前記コイルスロット部の径方向の頂点間の厚さはt<t′、前記コイルエンド部の幅と前記コイルスロット部の幅はw>w′となるように形成し、コイルエンド部を折り曲げてコイル導体を形成することを特徴とする回転電機の製造方法。
【請求項2】
前記スロット内に配置される前記コイル導体は、弓形の部分を対向して整列させることを特徴とする請求項1に記載の回転電機の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば周方向に複数のスロットを有する円環状のステータコアと、ステータコアに巻回される複数のコイル導体から成るステータコイルとを備えた回転電機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の回転電機としては、例えば、特許第4956162号公報に開示されてものがあり、固定子鉄心と、この固定子鉄心に巻装された三相の固定子コイルと、これらの各相の固定子コイルの固定子鉄心の端面から突出するコイルエンド部に設けられた相間絶縁紙とを具備し、三相の固定子コイルは、隔極接続され、相間絶縁紙は、一のコイルエンド部の内周側及び外周側の一方側からこれと隣り合う同相のコイルエンド部の内周側及び外周側の他方側に渡って配置された同相間絶縁紙と、異相のコイルエンド部間に配置された異相間絶縁紙とを有する回転電機がある。
【0003】
また、他の回転電機としては、特開2012−80610号公報に開示されてものがあり、3相回転電機用の固定子は、固定子鉄心に設けた複数のスロットに対してU相、V相、W相の3相の固定子コイルU、V、Wを配置している。3相の固定子コイルU、V、Wは、そのコイルエンド部において、周方向一方向側において径方向外周側の端部に偏らせた状態から周方向他方側において径方向内周側の端部に偏らせた状態に形成することにより、周方向に対して傾斜して、同じ配列順序に繰り返し配置されている。固定子コイルのコイルエンド部には、同相のコイル同士を結ぶ複数の渡線が、他の2相の固定子コイルを跨いで配置されている。渡線には、絶縁性を有する絶縁チューブが外装されている回転電機がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4956162号公報
【特許文献2】特開2012− 80610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の回転電機は、分布巻の回転電機の場合、固定子コイルのコイルエンド部で、固定子コイルが他の2相の固定子コイルを跨ぐ部分が存在するため、固定子鉄心に設けたスロット内の固定子コイル間の絶縁距離よりもコイルエンド部で絶縁距離を長くとる必要がある。このため、固定子コイルの断面積が全ての巻線で同じ場合、固定子コイルのコイルエンド部に合せてコイル断面積(線径)を決定する必要がある。
固定子コイルのコイルエンド部に合せてコイル断面積を決定すると、固定子鉄心のスロットに合せてコイル断面積を決定していないため、スロット内の占積率が低下する問題点があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、固定子巻線は、コイルスロット部とコイルエンド部とを有し、コイルエンド部のコイル導体の径方向長さはコイルスロット部のコイル導体の径方向長さよりも短く、コイルエンド部のコイル導体の周方向長さはコイルスロット部のコイル導体の周方向長さよりも長く構成することにより、コイルエンド部のコイル間隙間を大きく設定することができる回転電機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係わる回転電機の製造方法は、円環状の固定子鉄心に軸方向に形成された複数の設けられたスロットに複数のコイル導体から成る固定子巻線を券着する回転電機の製造方法において、断面が幅w、径方向の厚さtの導体線の前記スロットに挿入されるコイルスロット部の前記幅wの方向から加圧し、断面が幅w′、径方向の頂点間の厚さt′の矩形形状で径方向の両辺が弓形に形成されて径方向に膨らんでいる前記コイルスロット部を形成し、コイルエンド部の径方向の厚さと前記コイルスロット部の径方向の頂点間の厚さはt<t′、前記コイルエンド部の幅と前記コイルスロット部の幅はw>w′となるように形成し、コイルエンド部を折り曲げてコイル導体を形成するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係わる回転電機の製造方法によれば、固定子巻線は、コイルスロット部とコイルエンド部とを有し、コイルエンド部のコイル導体の径方向の厚さはコイルスロット部のコイル導体の径方向の頂点間の厚さよりも小さく、コイルエンド部のコイル導体の周方向の長さはコイルスロット部のコイル導体の周方向の長さよりも長く構成することにより、コイルエンド部のコイル間隙間を大きく設定することができる回転電機の製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の実施の形態1に係わる回転電機を示す片側断面図である。
図2】この発明の実施の形態1に係わる回転電機の要部を示す斜視図である。
図3】この発明の実施の形態1に係わる回転電機における固定子を示す斜視図である。
図4】この発明の実施の形態1に係わる回転電機における鉄心ブロックを示す斜視図である。
図5】この発明の実施の形態1に係わる回転電機における固定子巻線を構成するコイル導体を示す斜視図である。
図6】この発明の実施の形態1に係わる回転電機における固定子巻線を構成するコイル導体を示す平面図である。
図7】この発明の実施の形態1に係わる回転電機における固定子巻線を構成するコイル導体を示す正面図である。
図8】この発明の実施の形態1に係わる回転電機における固定子巻線を構成するコイル導体のコイルエンド部とコイルスロット部の形状を示す断面図である。
図9】この発明の実施の形態1に係わる回転電機における固定子巻線を構成するコイル導体の配置を表わす断面模式図である。
図10】この発明の実施の形態1に係わる回転電機の要部を示す横断面図である。
図11】この発明の実施の形態1に係わる回転電機における固定子巻線を構成するコイル導体の製造方法を示す模式図である。
図12】この発明の実施の形態1に係わる回転電機における固定子巻線を構成するコイル導体の製造方法を示す模式図である。
図13】この発明の実施の形態1に係わる回転電機における固定子巻線を構成するコイル導体の製造方法を示す模式図である。
図14】この発明の実施の形態2に係わる回転電機を示す片側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図1から図13に基づいて説明するが、各図において、同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。図1はこの発明の実施の形態1に係わる回転電機を示す片側断面図である。図2はこの発明の実施の形態1に係わる回転電機の要部を示す斜視図である。図3はこの発明の実施の形態1に係わる回転電機における固定子を示す斜視図である。図4はこの発明の実施の形態1に係わる回転電機における鉄心ブロックを示す斜視図である。図5はこの発明の実施の形態1に係わる回転電機における固定子巻線を構成するコイル導体を示す斜視図である。図6はこの発明の実施の形態1に係わる回転電機における固定子巻線を構成するコイル導体を示す平面図である。図7はこの発明の実施の形態1に係わる回転電機における固定子巻線を構成するコイル導体を示す正面図である。図8はこの発明の実施の形態1に係わる回転電機における固定子巻線を構成するコイル導体のコイルエンド部とコイルスロット部の形状を示す断面図である。図9はこの発明の実施の形態1に係わる回転電機における固定子巻線を構成するコイル導体の配置を表わす断面模式図である。図10はこの発明の実施の形態1に係わる回転電機の要部を示す横断面図である。図11はこの発明の実施の形態1に係わる回転電機における固定子巻線を構成するコイル導体の製造方法を示す模式図である。図12はこの発明の実施の形態1に係わる回転電機における固定子巻線を構成するコイル導体の製造方法を示す模式図である。図13はこの発明の実施の形態2に係わる回転電機における固定子巻線を構成するコイル導体の製造方法を示す模式図である。
【0011】
回転電機100は、有底円筒状のフレーム2及びフレーム2の開口を塞口するブラケット3を有するモータケース1と、フレーム2の円筒部に内嵌状態に固着された固定子10と、フレーム2の底及びブラケット3にベアリング4を介して回転可能に支持された回転軸5に固着されて、固定子10の内周側に回転可能に配設された回転子6とを備えている。
【0012】
回転子6は、軸心位置に挿通された回転軸5に固着された回転子鉄心7と回転子鉄心7の外周面側に埋設されて周方向に等ピッチで配列され、磁極を構成する永久磁石8とを備えた永久磁石型回転子の場合を示している。なお、回転子6は、永久磁石型回転子に限定されず、絶縁しない回転子導体を、回転子鉄心7のスロットに収納して、両側を短絡環で短絡したかご形回転子や、絶縁した導体線を回転子鉄心7のスロット(図示せず)に装着した巻線形回転子を用いてもよい。
【0013】
次に、固定子10の構成について具体的に説明する。固定子10は、固定子鉄心11と固定子鉄心11に装着された固定子巻線20とを備えている。ここで、説明の便宜上、回転子6の極数を8極、固定子鉄心11のスロット数を48個、固定子巻線20を3相巻線とする。すなわち、スロットは毎極毎相当たり2個の割合で固定子鉄心11に形成されている。
【0014】
鉄心ブロック12は円環状の固定子鉄心11を周方向に48等分割したもので、電磁鋼板を積層一体化して作製され、断面円弧形のコアバック部12aと、コアバック部12aの内周壁面から径方向内方に延設されたティース12bとを備えている。そして、固定子鉄心11はティース12bを径方向内方に向けて、コアバック部12aの周方向の側面同士を突き合わせて、48個の鉄心ブロック12を周方向に配列、一体化して、円環状に構成されている。周方向に隣り合う鉄心ブロック12により構成されるスロット13が、内周側に開口するように、周方向に等角ピッチで配列されている。ティース12bは周方向幅が周方向内方に向って漸次狭くなる先細り形状に形成されており、スロット13の断面は長方形となっている。スロット13の内周面には絶縁材であるスロットセル14が装着されている。
【0015】
固定子巻線20は固定子鉄心11に装着された巻線アッセンブリに結線処理が施されて構成される。
固定子巻線20を構成するコイル導体21は、例えば、エナメル樹脂で絶縁された、かつ接続部のない連続した銅線やアルミニウム線などからなる長方形断面の導体線をエッジワイズ巻きに巻いて作製される。
上記のとおり作製されたコイル導体21を複数組み合せ、円環状に形成した巻線体アッセンブリに外周方向から固定子鉄心11を挿入することで一体化され固定子巻線20は構成される。
【0016】
コイル導体21は、6スロット角度間隔離れて3列となった、第1コイルスロット部21a、第2コイルスロット部21b、第3コイルスロット部21c、および第4コイルスロット部21dと、第1コイルスロット部21aおよび第2コイルスロット部21bを連結する第1コイルエンド部21e、第2コイルスロット部21bおよび第3コイルスロット部21cを連結する第2コイルエンド部21f、第3コイルスロット部21cおよび第4コイルスロット部21dを連結する第3コイルエンド部21gと、他のコイルや給電部、中性点等に接続する始端コイルエンド部21hと終端コイルエンド部21jを備えている。なお、6スロット角度間隔とは、連続する6つのティース12bの両側のスロット13のスロット中心間の間隔であり、1磁極ピッチに相当する。
【0017】
固定子鉄心11のスロット13に挿入されるコイル導体21の第1コイルスロット部21a、第2コイルスロット部21b、第3コイルスロット部21c、4コイルスロット部21dは図8図10に示すように回転電機の固定子鉄心11の内外径方向に潰されている。
すなわち、固定子鉄心11のスロット13内の各コイルスロット部のコイル導体21は、径方向の厚みがt’、周方向の長さがw’であるのに対して、各コイルエンド部のコイル導体21の径方向の厚さtは、スロット13内の各コイルスロット部のコイル導体21の径方向の厚さt’よりも小さいt<t’とし、各コイルエンド部の周方向の長さwは、スロット13内の各コイルスロット部のコイル導体21の周方向の長さw’よりも長いw>w’として構成している。
また、スロット13内に挿入される各コイルスロット部のコイル導体21の長辺側(w’側)から径方向の両辺は弓形に径方向内外に膨らんでおり、矩形の4つの角度が鈍角になっている。
このことにより、コイル導体21の角部に電界が集中しづらいため、耐圧が向上し、発熱の集中も低減できる。
【0018】
実施の形態1では、矩形のコイル導体21を固定子鉄心11のスロット13内に挿入する前に、固定子鉄心11の内外径側になる方向に押し潰すことで、コイル導体21の長辺側(w’側)から径方向の両辺を弓形に変形させ、スロット13内に挿入できる寸法に成形している。
【0019】
図10に示すように、固定子鉄心11の鉄心ブロック12に形成されたスロット13に挿入されるコイル導体21は径方向に配列されており、弓形の部分が対向して整列している。このため、コイル導体21とコイル導体21の間に隙間Gができ、ワニス等の樹脂を効率的に含侵することができる。
【0020】
次に、コイル導体21の製造方法を説明する。まず、1つのコイル導体21を造るために必要な長さの、断面がw×tの導体線23を図11のように1本用意する。
この導体線23の後でスロット13内に挿入される部分となる4箇所の導体線を幅wの方向から図12に示すように金型70を用いて潰す。すなわち、金型70の下型70aに導体線23を図12に示すように設置し、金型70の上型70bを下方向に押し下げて導体線23を加圧して潰し、径方向の厚さt’、周方向の長さw’の導体線24を形成する。
上記で潰されて形成された導体線24のコイルエンド部分を8の字形状に折り曲げ、図示はしていないが、コイルエンド頂部のクランク形状とコイルエンド部の曲率を成形し、コイル導体21を製造する。このコイル導体21を48個周方向に並べることで、図3に示す固定子巻線20となる。
【0021】
以上のように、固定子鉄心11のスロット13内の各コイルスロット部のコイル導体21は、径方向の厚みがt’、周方向の長さがw’であるのに対して、各コイルエンド部のコイル導体21の径方向の厚さtは、スロット13内の各コイルスロット部のコイル導体21の径方向の厚さt’よりも小さいt<t’とし、各コイルエンド部の周方向の長さwは、スロット13内の各コイルスロット部のコイル導体21の周方向の長さw’よりも長いw>w’として構成したので、コイルエンド部のコイル間隙間をスロット部より大きく設定することができ、有利である。
【0022】
また、スロット13内に挿入される各コイルスロット部のコイル導体21の長辺側(w’側)から径方向の両辺は弓形に径方向内外に膨らんでおり、矩形の4つの角度が鈍角になっているので、角部に電界が集中しづらいため、耐圧が向上し、発熱の集中も低減できる。
【0023】
また、固定子鉄心11のスロット13内の各コイルスロット部のコイル導体21を挿入する前に、コイル導体21をらせん状に成形されているワークにおいて、断面がw×tの導体線23を金型70の下型70aに設置し、スロット13内に挿入される部分となる4箇所の導体線を幅wの方向から金型70の上型70bを下方向に押し下げて導体線23を加圧して潰し、径方向の厚さt’、周方向の長さw’の導体線24を形成することにより、コイル導体21を容易に成形することができる。
【0024】
また、スロット13に挿入される各コイルスロット部のコイル導体21は径方向に弓形の部分が対向して整列して配列されているので、コイル導体21とコイル導体21の間に隙間Gができ、隙間Gにワニス等の樹脂が毛細管現象で浸透して効率的に含侵することができ、コイル間の絶縁・熱伝達性が向上する。
【0025】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2を図14に基づいて説明する。図14はこの発明の実施の形態2に係わる回転電機を示す片側断面図である。
【0026】
固定子鉄心11のスロット13部に挿入される部分の固定子巻線20のコイル導体21を固定子鉄心11の内外径方向に潰しスロット13内にコイル導体21が入るように調整することは上述した実施の形態1と同様であるが、この実施の形態2では、回転電機200は油冷却構造となっており、固定子鉄心11、固定子巻線20にも油が浸透する構造となっている。この実施の形態2では、図14の矢印Aに示すように、コイル間の隙間に油を積極的に流す構造となっており、コイル間の隙間に油が浸透し、固定子鉄心11の中央部、固定子巻線20のコイル中央部の冷却性を向上することができる。
【0027】
なお、この発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
この発明は、コイルエンド部のコイル間隙間を大きく設定することができる回転電機の実現に好適である。
【符号の説明】
【0029】
11 固定子鉄心、13 スロット、20 固定子巻線、21 コイル導体、21a 第1コイルスロット部、21b 第2コイルスロット部、21c 第3コイルスロット部、21d 第4コイルスロット部、21e 第1コイルエンド部、21f 第2コイルエンド部、21g 第3コイルエンド部、21h 始端コイルエンド部、21j 終端コイ
ルエンド部、100 回転電機、200 回転電機。
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図9
図10
図11
図12
図13
図1
図8
図14