(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ネットワークに接続されたサーバと宅内の機器をネットワークに接続する接続部とを備え、前記機器を前記ネットワーク経由で操作端末から制御する機器制御システムであって、
前記操作端末は、前記機器に接続されるルータの電波が届く範囲にあるとき前記サーバを経由せずに前記接続部との通信を行う第一の通信モードと、前記機器に接続されるルータの電波が届く範囲にないとき前記サーバ経由で前記接続部との通信を行う第二の通信モードとの、何れかを選択する通信モード選択手段を有し、
前記接続部は、前記通信モード選択手段で第一の通信モードが選択された前記操作端末との通信では前記サーバへ前記機器の情報を送信せず、前記通信モード選択手段で第二の通信モードが選択された前記操作端末との通信では前記サーバへ前記機器の情報を送信することを特徴とする機器制御システム。
前記通信モード選択手段は、前記操作端末が前記宅内の無線LAN環境にあるときのみ前記第一の通信モードから前記第二の通信モードへの切替えが可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の機器制御システム。
前記操作端末は、前記第一の通信モードまたは前記第二の通信モードの選択の際、前記機器の複数の操作項目を選択可能に表示する操作項目表示手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の機器制御システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る機器制御システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る機器制御システムを模式的に示す図である。機器制御システムは、被制御機器1、外部接続部2、無線LANルータ3、手元操作端末4、サーバ5、および操作端末7で構成されている。サーバ5はネットワーク6を介して無線LANルータ3と操作端末7に接続され、無線LANルータ3には外部接続部2が接続されている。外部接続部2には被制御機器1が接続される。以下の説明では、特に言及しない限り被制御機器1は「機器1」、外部接続部2は「接続部2」、無線LANルータ3は「ルータ3」、操作端末7は「端末7」と省略して説明する。
【0011】
機器1は、空気調和機、冷蔵庫、テレビなどの家電機器である。機器1から出力される情報としては、機器1の機種を特定するための機種情報、機器1の運転状態や運転モードなどを表す動作状態情報、機器1を特定するための型名や製造番号などの識別情報などである。以下、特に言及しない限りこれらの情報は被制御機器情報1aと称する。なお、本実施の形態に係る機器制御システムでは、機器1に接続部2が接続されているが、後述する遠隔通信部24に接続部2の機能を持たせるように構成してもよい。また、機器1の機種は空気調和機、冷蔵庫、およびテレビに限定されるものではなく遠隔操作を行うことができる家電機器であればどのような機器でもよい。また、接続部2に接続される機器1は複数であってもよい。
【0012】
端末7は、機器1を制御可能な端末であり、機器1を制御するための専用の制御端末でもよいし、機器1を制御する機能を実行するアプリケーションソフトウェアを携帯電話やタブレット端末、スマートフォン等に実装することで制御端末として使用するようにしてもよい。
【0013】
端末7は2種類の通信モードを選択可能に構成されており、一方の通信モードは接続部2が接続されたルータ3の電波が届く無線LAN環境下にあるときの宅内モードであり、他方の通信モードは接続部2が接続されたルータ3の電波が届かない環境下にあるときの宅外モードである。端末7のモード切替は、通信モード選択手段7aで行われ、例えば後述する操作ボタン情報表示部7−1b(
図3)に表示される宅内操作ボタン7−1b1が押された場合には宅内モードが選択され、宅外操作ボタン7−1b2が押された場合には宅外モードが選択される。
【0014】
宅内モードが選択された端末7は、予め端末7に登録されたルータ3(接続部2が接続されたルータ3)の電波が届く範囲(例えば宅内)にあるとき無線LAN通信機能(Wi−Fi(登録商標)通信)でルータ3にアクセスし、ルータ3および接続部2を経由して、機器1を操作およびモニタすることができる。端末7が宅内モードで機器1を操作およびモニタすることを宅内操作と呼ぶ。
【0015】
宅外モードが選択された端末7は、インターネット通信機能によって3G、4G、LTEなどの通信規格に準拠した通信網やインターネットなどの公共無線通信網(ネットワーク6)にアクセスし、サーバ5、ルータ3、および接続部2を経由して、機器1を操作およびモニタすることができる。端末7が宅外モードで機器1を操作およびモニタすることを宅外操作と呼ぶ。
【0016】
一般にルータ3には、ルータ3に接続されるデバイスのIPアドレスをDHCPによって決める機能があり、ルータ3に接続されるデバイスである接続部2および端末7には固有のIPアドレスが割り当てられる。なお図示省略されているが、ルータ3とネットワーク6との間にはルータ3をネットワーク6に接続するための光回線あるいはADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)のモデムが設置されている。
【0017】
手元操作端末4は機器1に標準で付属する赤外リモコンなどであり、例えば38kHzの近赤外線を搬送波として用い、近赤外線の伝播特性から、機器1と同一室内での使用に向いている。機器制御システムにおいては、宅外にある端末7からの操作よりも宅内にある手元操作端末4からの操作が優先される。また手元操作端末4は端末7に操作権が与えられている場合でも優先して操作を反映できるため、仮に端末7やネットワーク6が故障した場合でも手元操作端末4から機器1の設定が可能である。一方、端末7はルータ3との間で無線LAN通信ができない場合でもネットワーク6を使用して遠距離での通信ができるため、機器1との間の障害物の有無に拘わらず通信ができるというメリットがある。
【0018】
サーバ5には、端末7が接続されるWebサーバ5−1と、Webサーバ5−1が処理したデータを格納するデータベースサーバ5−2などがある。データベースサーバ5−2内の固有エリアは機器1ごとに割り当てられており、端末7は予め登録された機器1の固有エリアにだけアクセスすることができる。またサーバ5の操作権管理部5−3は、例えば端末7が操作に関するアプリケーションを立上げたときにその端末7に対して操作権を与えることで、操作権が与えられた端末7による遠隔操作のみを許可する。操作権が与えられた端末7は、サーバ5にアクセスすることによりデータベースサーバ5−2内の固有エリアにある被制御機器情報1aを取得する以外にも機器1の設定を変更する場合、操作権の与えられた端末7がサーバ5にアクセスしてデータベースサーバ5−2内の固有エリアの設定を端末7から変更する。
【0019】
接続部2とルータ3との間の通信は無線通信であっても有線通信であってもよく、無線通信としては例えばWi−Fi(登録商標)のようなIEEE802.11シリーズの無線LAN通信方式に準拠した信号や、Bluetooth(登録商標)もしくは900MHz帯の特定小電力通信を用いることができる。ただし、必ずしもこれらの規格に準拠している必要はなく、それ以外の通信方式に準拠した無線通信でもよい。また、有線通信についてもIEEE802.3のEthernet(登録商標)やRS485通信などがよく利用されているがこれ以外の通信方式でもよい。
【0020】
接続部2は、機器1の通信方式とルータ3の通信方式とを相互に変換する機能を有する。例えば、機器1がもつ独自の通信方式で機器1から送信された被制御機器情報1a(運転データ等)を、Wi−Fi(登録商標)などの無線通信方式に準拠したデータに変換してルータ3へ送信する。また、無線通信方式でルータ3から送信された設定情報を、機器1の通信方式に準拠した通信データに変換して機器1へ送信する。設定情報は機器1をモニタおよび操作するための情報であり、端末7が操作されたとき接続部2を介して機器1に対して送信される。
【0021】
また接続部2は、宅外モードと宅内モードを選択可能に構成されている。接続部2のモード切替は、端末7の操作により切替えられ、または接続部2に設けられたモード切替用スイッチを選択することにより切替えられる。
【0022】
宅内モードが選択された接続部2は、機器1に一定周期でアクセスして被制御機器情報1aの送信を要求し、機器1からの被制御機器情報1aを記憶する。このとき接続部2に格納される被制御機器情報1aは最新の情報だけでもよいが、例えば1分周期で過去5分のデータを接続部2に保存しておき、それらのデータを端末7に送信するように構成してもよい。そして接続部2は例えば端末7からの送信要求を受信したとき、記憶した被制御機器情報1aを、ルータ3を介して端末7に送信する。また、端末7からの設定情報はルータ3を介して接続部2に送信され、接続部2は受信した設定情報を機器1に転送する。
【0023】
なお、機器1は手元操作端末4でも操作することができるが、接続部2を用いることにより、機器1の通信方式が汎用的な通信方式、例えばWi−Fi(登録商標)やEthernet(登録商標)などの通信方式に変換される。そのため、Wi−Fi(登録商標)に対応した端末7が宅内にある場合にはルータ3との無線LAN通信で機器1をモニタおよび操作することができる。
【0024】
一方、接続部2は、宅外モードが選択されているときの通信モードとして宅内通信または宅外通信(
図5参照)を選択可能に構成されている。宅内通信とは、操作権が与えられ宅内モードで動作中の端末7で宅内操作が行われた際、端末7との間でサーバ5を経由せずに行われる通信である。宅外通信とは、宅外モードで動作中の端末7で宅外操作が行われた際、端末7との間でサーバ5を経由して行われる通信である。
【0025】
端末7がルータ3と無線LAN通信をしている場合、接続部2はルータ3を介して、宅内通信にて端末7からの通信を受けつける。宅内通信中の接続部2では、機器1に一定周期(例えば1秒間隔)でアクセスして被制御機器情報1aの送信を要求し、機器1からの被制御機器情報1aを記憶する。被制御機器情報1aを記憶した接続部2は、例えば端末7からの送信要求を受信したとき、記憶した被制御機器情報1aをルータ3経由で端末7に送信する。また、端末7からの設定情報はルータ3経由で接続部2に送信され、接続部2は受信した設定情報を機器1に転送する。このように接続部2は、宅外モードが選択されている場合でも端末7が無線LAN環境にあるとき、サーバ5を経由しない通信(宅内通信)を行うように構成されている。
【0026】
端末7が無線LAN通信でルータ3と通信していない場合、接続部2では、機器1に一定周期でアクセスして被制御機器情報1aの送信を要求し、機器1からの被制御機器情報1aを記憶する。そして、宅外通信中の接続部2は一定の通信周期(例えば5分間隔)でデータベースサーバ5−2内の固有エリアにアクセスし、例えば過去5分で記憶した被制御機器情報1aをアップロードすると共に、データベースサーバ5−2内の固有エリアに格納されている設定情報をダウンロードして機器1に送信する。設定情報をダウンロードすることによって、宅外にある端末7は、サーバ5経由で機器1の操作を間接的に行うことができる。インターネット経由で機器1にアクセスするためには専用の通信経路(IPアドレス)を持つ必要がある。一般にはプロバイダとの契約は1契約であり、専用経路のための費用を削減するため使用中のインターネット契約を変更させることなく機器1のモニタおよび操作を行う通信方式が望ましい。そこで本実施の形態の機器制御システムは、宅外操作される端末7と接続部2とがサーバ5経由で情報の伝送を行うように構成されている。
【0027】
なお、一般的に接続部2は機器1に接続されて使用されるが、給電用の電源線、グラウンド線、通信線などを用いて接続することにより機器1からの給電により駆動するように構成してもよい。また、通信データについては端末7が機器1の通信プロトコルを認識する必要があり、接続部2は汎用通信プロトコルに変換するものであっても、機器1の独自の通信プロトコルに変換するものであってもよく、機器1の機能が拡張されたとしても端末7の機能も合わせて拡張すればよい。また、端末7のユーザが機器1を制御する場合、端末7が操作された時点での操作および応答が要求される。そのため、接続部2は端末7からの通信を常時受け付けることができるように構成されている。
【0028】
図2は、被制御機器1および外部接続部2の内部構成図である。機器1は、機器1の全体の制御を行う制御部10と、手元操作端末4や、外部機器との通信を行う通信部20と、上下フラップや左右ベーンなどを操作して室内空間に向かって吹き出す気流の風向(室内空間の上下、左右等の方向)を変更する風向変更部30と、ラインフローファンを制御して気流の風速を変更する風速変更部40と、機器1の冷凍サイクルの動作を制御して吹き出す気流の温度を変更する出力温度変更部50とを備えている。
【0029】
通信部20は、機器1の室内機と室外機との間の通信を行う室内−室外機間通信部21と、手元操作端末4との間の通信を行うリモコン間通信部22と、外部通信部23または遠隔通信部24とで構成される。外部通信部23は、機器1の通信に汎用性を持たせるためのインターフェイスであり、汎用の通信アダプタ(接続部2)を接続して外部との通信を行う場合に用いられる。外部通信部23は、外部接続部2に電源を供給する電源供給部23−1と、外部接続部2との間で被制御機器情報1aや設定情報の通信を行う外部通信処理部23−2とで構成される。遠隔通信部24は外部通信部23の機能と外部接続部2の機能とを併せ持ち、外部接続部2を使わずに通信を行うためのインターフェイスである。従って端末7で機器1のモニタおよび操作を行うためには、外部通信部23または遠隔通信部24のいずれか一方を用いればよい。ただし遠隔通信部24を使わない場合、外部通信部23に外部接続部2を接続する必要がある。
【0030】
接続部2は、電源供給部23−1から供給される電源を接続部2の内部で使用する電圧レベルの電圧に変換する電源変換部2−1と、外部通信処理部23−2と通信する外部通信処理部2−2と、外部通信処理部2−2が受信した機器1からのデータを無線通信方式に準拠したデータに変換すると共に、無線通信部2−4で受信されたルータ3からのデータを機器1の通信方式に準拠したデータに変換する通信変換部2−3と、通信変換部2−3で変換されたデータを無線通信方式でルータ3へ送信すると共に、ルータ3から送信されたデータを通信変換部2−3へ送信する無線通信部2−4とで構成される。電源供給部23−1と電源変換部2−1との間は電源配線で接続され、外部通信処理部23−2と外部通信処理部2−2との間は通信用配線で接続される。電源配線は接続部2が消費する電力を供給するための配線であるため、一般には通信用配線と同じ仕様の配線を使用してよい。
【0031】
なお、電源供給部23−1は必ずしも機器1内に搭載する必要は無く、ACアダプタを用意してこのACアダプタから接続部2に給電するようにしてもよい。ただし一般的に機器1は室内上部、特に室内上部の壁面に設置されることが多く、室内床面付近に給電コンセントがある場合にはACアダプタと接続部2との間の電源配線の引き回しが面倒となる。従って機器1に接続部2の機能を搭載した方が利便性の面で有利である。
【0032】
図3は、操作端末7に表示される操作画面7−1の一例を示す図である。
図3には端末7の表示制御機能(図示せず)によってタッチパネル液晶に表示される操作画面7−1の一例が示され、図示例の操作画面7−1は操作対象の機器1が空気調和機の場合の例である。操作画面7−1は、ユーザによって設定された設定内容(例えば運転モードなど)や機器1の運転状態(室温など)を表示する情報表示部7−1aと、操作ボタン情報表示部7−1bとで構成される。操作画面7−1を表示するためのアプリケーションは、予め機器1の種類別に作成されてサーバ5に記録されており、端末7がサーバ5にアクセスしてアプリケーションをダウンロードすることにより端末7に記録され、端末7のアプリケーションにより操作画面7−1を作成する。
【0033】
操作ボタン情報表示部7−1bには複数の操作ボタンが表示され、操作ボタンとしては、例えば、機器1の運転を起動する運転ボタンと機器1を停止させる停止ボタンとから成る運転/停止操作ボタン部と、冷房・暖房・除湿・送風などの運転モードを設定する運転モードボタンと、設定温度や風速の上げ下げや風向の向きを設定する操作ボタンとで構成した設定操作ボタン部がある。なお、
図3の情報表示部7−1aでは、室内機の風向の表示例として、室内機の側面方向から見た風向がイラストで示されているが、このようなイラストの代わりに「上」「中」「下」などの文字で風向を表示してもよい。また、風速についても「静」「弱」「中」「強」と文字だけの表示にしてもよい。また、運転ボタンが押された直後に操作内容を反映させると、操作ボタンの押し間違えや変更に対応できない。そのため、操作を確認する目的も含めて設定内容を送信するための送信ボタンを設けて、この送信ボタンが押されたときに設定内容を送信するように構成すれば、操作ボタンの押し間違えなどに起因した誤操作を抑制することができる。
【0034】
また、操作ボタン情報表示部7−1bには、通信モードを切り替えるための操作ボタンとして、端末7の通信モードを前述した宅内モードへ切り替えるための宅内操作ボタン7−1b1と、端末7の通信モードを前述した宅外モードへ切り替えるための宅外操作ボタン7−1b2とが表示されている。
【0035】
なお、通信モードの初期設定は、例えば宅内モードのみを有効とし、端末7が無線LAN環境にあるときの宅外モードへの切替えは無効にする。また、端末7の通信モードの切替えは、端末7が無線LAN環境にある場合のみ宅内モードから宅外モードへの切替えを可能とし、端末7が無線LAN環境にない場合には宅外モードから宅内モードへの切替えは不可とするように構成されている。これにより宅内モードのときにはサーバ5に機器1のデータがアップロードされることがなく、不要なデータがサーバ5に保存されることがなくなり、サーバ5に保存されるデータ量が抑制されると共に、サーバトラフィックの増加を抑制することができる。
【0036】
また、端末7が無線LAN環境にある場合のみ宅内モードから宅外モードへの切替えを可能とすることで、サーバ5に格納された機器1の過去のデータを端末7にダウンロードすることができるため、宅外モードへ切替えた端末7では例えば家電機器の過去の電気使用量などを確認することができる。
【0037】
図4は、機器制御システムに適用される通信モードを説明するための第1の図である。
図5は、機器制御システムに適用される通信モードを説明するための第2の図である。前述したように接続部2および端末7にはそれぞれ2種類の通信モードが設定されている。
図5に記される(1)〜(5)の通信内容は
図4の(1)〜(5)の符号に対応している。
【0038】
宅内通信(1)、(2)、(4)では、接続部2が接続されたルータ3の電波が届く範囲にある端末7と接続部2との間で、サーバ5を介さずに機器1の操作およびモニタが行われる。宅外通信(3)、(5)では、接続部2が接続されたルータ3の電波が届かない範囲にある端末7と接続部2との間で、サーバ5経由で機器1の操作およびモニタが行われる。
【0039】
宅内通信(1)、(2)、(4)では端末7で操作設定が行われたときのみ接続部2と端末7との間の通信が発生し、その通信がサーバ5に経由することなく伝送される。これに対して宅外通信(3)、(5)では、通信周期T1で機器1のデータがサーバ5にアップロードされ、かつ、サーバ5の設定情報が接続部2にダウンロードされる。従って、宅内通信(1)、(2)、(4)では端末7で操作設定が行われたときのみ接続部2と端末7との間の通信が発生するのに対して、宅外通信(3)、(5)では端末7における操作設定の有無とは無関係に通信が発生する。
【0040】
このように接続部2と端末7の双方で宅内モードが選択されている場合には宅内通信(1)、(4)によってサーバ5を介すことなく機器1の操作およびモニタが可能である。また、機器1のデータがサーバ5にアップロードされず、サーバ5に保存されるデータが抑制される。一方、接続部2と端末7の双方で宅外モードが選択されている場合、端末7が宅外にあるか否かに係わらず(端末7の通信モードに係わらず)、機器1の操作およびモニタが可能である。
【0041】
図6は、操作端末7が無線LAN通信をできる環境にあるときの動作を説明するための図である。宅内モードに切替られた端末7で設定操作が行われたとき、設定情報はルータ3、接続部2の順で接続部2に送信される(経路a)。機器1からの被制御機器情報1aは接続部2、ルータ3の順で端末7に送信される(経路b)。なお、端末7とルータ3は、無線LANで使用される汎用的な暗号方式(WPA−AES、TKIPなど)で接続され、接続部2が接続されたルータ3の電波の届く範囲であれば宅内モードで機器1を操作できる。
【0042】
端末7の設定情報は、ルータ3、ネットワーク6の順でサーバ5にも送信され(経路c)、設定情報を受信した操作権管理部5−3では端末7に対する操作権が与えられ、その操作権が登録される。操作権を登録されたタイミングから端末7の操作権が発生し、端末7から接続部2に対して設定を送信できるようになり、端末7の設定が有効となる。このように宅内モードで操作設定が行われる場合でも端末7の操作権が管理される。そのため端末7からの操作を確実に機器1へ反映することができると共に、機器1を操作したにも係わらず操作設定が、他の端末7による操作により反映されていない、ということを防ぐことができる。
【0043】
図7は、操作端末7が無線LAN通信をできない環境にあるときの動作を説明するための図である。
図6との違いは端末7がインターネット通信でネットワーク6に接続されている点である。図示例の端末7は宅外モードに切替えられ、接続部2では宅外通信(3)が行われる。接続部2は、サーバ5に対して自己のMAC(Media Access Control)アドレスやシリアル番号と共に機器情報(被制御機器情報1a)をアップロード(経路N1)すると共に、データベースサーバ5−2内の自己のデータ(MACアドレスやシリアル番号で管理された設定データ)をダウンロード(経路N2)する。設定データが変更されている場合、機器1は設定データに基づいて設定を変更する。
【0044】
なお、サーバ5内の操作対象のデータ領域を例えばMACアドレスにより管理しておき、複数の端末7が操作およびモニタできるデータ領域は、予めMACアドレス情報を含めて登録した機器1だけの情報としておくことで、不特定の端末7からの操作を防ぐことができる。また、手元操作端末4のように機器1が見える位置からの操作とは異なり、宅外操作では誤操作によって意図しない設定がされる可能性がある。このようなことを防止するために操作権の管理が行われるが、機器1の状態確認については操作権が与えられた端末7以外の端末でも確認することができる。なお、操作権を与えるタイミングは端末7で設定操作が行われたときに限定されるものではなく、例えば端末7が起動したときでもよい。
【0045】
端末7の設定情報はネットワーク6経由でサーバ5に送信される(経路d)。設定情報を受信した操作権管理部5−3では端末7に対する操作権が与えられ、その操作権が登録される。操作権を登録されたタイミングから端末7の操作権が発生する。また、被制御機器情報1aを受信した端末7には例えば機器1の動作状態(運転モードや風向など)が表示される。宅内操作端末4で機器1の設定変更が行われた場合でも被制御機器情報1aが端末7へ送信されるため、端末7のユーザは機器1の最新の運転状態を確認することができる。
【0046】
以上に説明したように本実施の形態に係る機器制御システムは、ネットワーク6に接続されたサーバ5と宅内の機器1をネットワーク6に接続する接続部2とを備え、機器1をネットワーク6経由で端末7から制御する機器制御システムであって、端末7は、宅内のLAN環境にあるときサーバ5を経由せずに接続部2との通信を行う第一の通信モード(宅内モード)と、宅内のLAN環境にないときサーバ5経由で接続部2との通信を行う第二の通信モード(宅外モード)との、何れかを選択する通信モード選択手段7aを有し、接続部2は、通信モード選択手段7aで第一の通信モードが選択された端末7との通信ではサーバ5へ機器1の情報を送信せず、通信モード選択手段7aで第二の通信モードが選択された端末7との通信ではサーバ5へ機器1の情報を送信するように構成されている。この構成により宅内モードのときにはサーバ5に機器1のデータがアップロードされることがなく、不要なデータがサーバ5に保存されることがなくなり、サーバ5に保存されるデータ量が抑制されると共に、サーバトラフィックの増加を抑制することができる。
【0047】
また通信モード選択手段7aは、端末7が宅内の無線LAN環境にあるときのみ宅内モードから宅外モードへの切替えが可能に構成されているので、例えば端末7が宅内に存在する場合でもサーバ5に格納された機器1の過去のデータを宅外モードの端末7にダウンロードすることができ、機器1の電気使用量などを確認することができる。なお、このとき端末7にダウンロードされるデータは一時的なものであるためサーバトラフィックの増加を招くことはない。
【0048】
実施の形態2.
実施の形態2は、端末7から機器1を遠隔操作する項目を、宅内操作と宅外操作の違いによって操作者自身で変更することができ、また、宅内操作または宅外操作における操作権の優先度を自由に設定することができるように構成されている。
【0049】
図8は、本発明の実施の形態2に係る機器制御システムの操作端末7に表示される操作画面7−1Aの一例を示す図である。
図3の操作画面7−1との相違点は操作ボタン情報表示部7−1bに操作項目選択メニューボタン7−1b3が追加されている点である。
【0050】
図9は、宅内操作時または宅外操作時における被制御機器1の操作項目の一例を示す図である。
図9(a)から
図9(c)には被制御機器1が空気調和機の場合における操作項目の一例が示されている。これらの画面表示は端末7の操作項目表示手段(図示せず)で行われ、操作項目選択メニューボタン7−1b3が押されたときに表示される。
【0051】
図9(a)の画面では、通信モードを選択するための2つの項目(「宅内操作」と「宅外操作」)が表示されている。さらに
図9(a)の画面では、「宅外操作」のチェック欄にチェックが付けられたときに表示される宅外操作選択項目が表示されている。宅外操作選択項目は例えば「運転/停止」、「運転モード選択」、「温度設定」、「風速設定」、「風向設定」、「タイマー設定」などであるが、操作項目の種類はこれらに限定されるものではない。
【0052】
各操作項目の横にはチェック欄が設けられ、チェック欄にチェックをつけることで操作を有効にすることができ、チェック欄のチェックを解除することで操作を無効にすることができる。
図9(a)を例にして説明すると、例えば宅外操作時に「タイマー設定」の操作を無効にしたい場合には「宅外操作」のチェック欄にチェックをつけることで宅外操作選択項目の一覧が表示される。図示例では、宅外操作で操作可能な操作項目の全てにチェックが付けられている。宅外操作における「タイマー設定」の操作を無効にする場合には「タイマー設定」の操作項目のチェックを解除する。
【0053】
このように、宅内モードまたは宅外モードの選択の際、機器1の複数の操作項目を選択可能に表示する操作項目表示手段を有することにより、各操作の優先度を自由に設定することができる。例えば宅内操作においては「温度設定」を有効にしておき、宅外操作においては「温度設定」を無効にしておくことで、宅外操作による温度設定が制限され、宅内操作を優先させることができる。
【0054】
また、端末7の操作項目表示手段は、サーバ5に登録された複数の操作者毎に各操作項目を選択可能に構成されている。例えば
図9(b)、(c)のように「操作権限の選択」という項目を設けておき、サーバ5に登録された操作権限のあるユーザ(操作者)をプルダウン形式で表示させて、操作者毎に選択できる操作項目を制限することで、各操作者の操作権の優先権を自由に設定することができる。
図9(c)はプルダウン形式で表示された操作者の中から選択された操作者Aの操作可能な操作項目の画面表示例である。
図9(c)のように操作可能な操作項目にはチェックが付けられている。
【0055】
なお、宅内操作で選択可能な項目と宅外操作で選択可能な項目は「宅内操作」のチェック欄または「宅外操作」のチェック欄のチェックの何れかを有効にすることで切り替えることができる。例えば、操作者Aは宅内操作と宅外操作の何れの場合でも全ての操作ができるが、操作者Bは宅外操作時には「運転/停止」の操作はできないようするなど、操作者毎に操作可能な項目を選択することができる。
【0056】
なお、本実施の形態に示した機器制御システムは、本発明の内容の一例を示すものであり、更なる別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能であることは無論である。