特許第6025710号(P6025710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア シーネンファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特許6025710部分ライニング−ディスクブレーキ用ブレーキライニング
<>
  • 特許6025710-部分ライニング−ディスクブレーキ用ブレーキライニング 図000002
  • 特許6025710-部分ライニング−ディスクブレーキ用ブレーキライニング 図000003
  • 特許6025710-部分ライニング−ディスクブレーキ用ブレーキライニング 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6025710
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】部分ライニング−ディスクブレーキ用ブレーキライニング
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/092 20060101AFI20161107BHJP
   B61H 5/00 20060101ALI20161107BHJP
   F16D 69/04 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   F16D65/092 D
   B61H5/00
   F16D65/092 Z
   F16D69/04 Z
【請求項の数】8
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-509502(P2013-509502)
(86)(22)【出願日】2011年5月3日
(65)【公表番号】特表2013-528756(P2013-528756A)
(43)【公表日】2013年7月11日
(86)【国際出願番号】EP2011057001
(87)【国際公開番号】WO2011138301
(87)【国際公開日】20111110
【審査請求日】2014年4月30日
(31)【優先権主張番号】102010019765.3
(32)【優先日】2010年5月7日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503159597
【氏名又は名称】クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア シーネンファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Schienenfahrzeuge GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ズィーグル
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ニースナー
【審査官】 竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−503388(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102008039672(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 49/00−71/04
B61H 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライニング支持体(1)に接続された複数のライニングエレメント(2)を有しており、該ライニングエレメント(2)のそれぞれが、1つの支持プレート(3)と、該支持プレート(3)の収容部(6)に背面側で挿入されて前記支持プレート(3)に固定される摩擦エレメント(4)とを有しており、
前記支持プレート(3)が傾転可能に前記ライニング支持体(1)に保持されている、レール車両の、部分ライニング−ディスクブレーキ用ブレーキライニングであって、
前記支持プレート(3)に、前記収容部(6)に隣接して、前記支持プレート(3)の表面積を拡大する少なくとも1つの凹部(5)が設けられており、
該凹部(5)は、中央の袋孔状の孔(8)を有しており、前記凹部(5)が球面状に形成されており、
前記支持プレート(3)は薄板から成っていることを特徴とする、部分ライニング−ディスクブレーキ用ブレーキライニング。
【請求項2】
複数の凹部が配置されている場合、これら凹部は袋孔として形成されている、請求項1記載のブレーキライニング。
【請求項3】
前記凹部(5)に冷却リブが設けられている、請求項1又は2記載のブレーキライニング。
【請求項4】
前記凹部(5)に腐食予防のための、かつ/又は放熱のための層が設けられている、請求項1からまでのいずれか1項記載のブレーキライニング。
【請求項5】
前記凹部(5)は、前記支持プレート(3)を鋳造部品として形成する際に一緒に鋳造により形成されている、請求項1からまでのいずれか1項記載のブレーキライニング。
【請求項6】
前記凹部(5)は切削加工によらず、又は切削加工によって加工成形されている、請求項1からまでのいずれか1項記載のブレーキライニング。
【請求項7】
前記凹部(5)は、前記支持プレート(3)の反対側に設けられた球区分状の突出部(9)と重なり合う領域に設けられている、請求項1からまでのいずれか1項記載のブレーキライニング。
【請求項8】
前記凹部(5)は、扁平の又は湾曲された底面を有している、請求項1からまでのいずれか1項記載のブレーキライニング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念の形式の部分ライニング−ディスクブレーキ用ブレーキライニングに関する。
【0002】
高速に達する車両、特にレール車両のためには、その摩擦エレメントが硬質材料から成るブレーキライニングが使用される。
【0003】
満足できる接触パターン、即ち、ブレーキディスクの摩擦面における摩擦エレメントの均一な面圧を得るために、欧州特許第0784761号明細書により、いわゆる等圧ブレーキライニングが公知である。
【0004】
この場合、摩擦エレメントは、支持プレートとの接触領域において球区分状の成形部を有しており、この成形部は、これに適合する球冠状の収容部に挿入される。
【0005】
支持プレートは、その上に位置する摩擦エレメントと共にライニング部材を形成し、これらのうち複数がライニング支持体に傾転運動可能に保持されている。
【0006】
上位概念を成す先行技術を記載した前記文献には、各支持プレートに3つの摩擦エレメントが配置されており、これにより静力学的に規定されたシステムが形成される。
【0007】
ブレーキライニングの特に熱的に良好な接触パターンは、公知の構成における3つの摩擦エレメントの可動性によるものであり、3つの摩擦エレメントはこれによりブレーキディスク上に存在する非扁平な面に沿って動くことができる。
【0008】
このようないわゆる3脚支承により、全ての摩擦エレメントにおいてほぼ同じである押圧力を殆ど変更せずに、摩擦エレメントの摺動が行われる。その結果、均一な接触パターンが生じ、ブレーキディスクへの局所的なホットスポットは回避される。
【0009】
等圧ブレーキライニングは、その高い能力により、高速交通において使用されるが、ブレーキをかける際に、ブレーキライニング全体では極めて大きな加熱が生じる。
【0010】
しかしながら、システムの加熱能は、支持プレートとライニング支持体の局所的な変形強度の達成により制限されており、摩擦熱は、摩擦エレメント/支持プレートの接触を介して、かつ、支持プレート/ライニング支持体の接触領域を介してライニング支持体へと伝えられる。
【0011】
本発明の課題は、冒頭で述べた形式のブレーキライニングを改良して、僅かな構造的かつ製造技術的な手間によって使用可能性を改善し、耐用期間を高めることである。
【0012】
この課題は、請求項1の特徴を備えたブレーキライニングにより解決される。
【0013】
本発明によれば、周囲により多くの熱を放出することができる拡大された放熱面積が得られる。
【0014】
凹部の寸法及び形状は原則的に自由に選択可能であり、技術的な実行可能性によってのみ制限されるものである。
【0015】
凹部は好適な構成では、ボールカップの形式で形成されていて、ライニング支持体の適合する収容部に支持プレートを傾転可能に挿入するための、ボール区分状の突出部に対してほぼ平行に形成されている。
【0016】
凹部に冷却リブを設けること、又は、それぞれ袋孔として形成されている孔パターンの形式で複数の凹部を配置することも考えられる。
【0017】
円形の底面のほかに、凹部は平面図で見て四角形に形成することもでき、扁平の、又は凹状あるいは凸状に湾曲された底面を有していて良い。
【0018】
さらに、凹部はそのほかの部分の支持プレートと同様に金属カバーを設けることができ、腐食予防層を被覆することができる。放熱性をさらに改善するために、摩擦エレメントに面した支持プレートの面に、少なくとも摩擦エレメントによってカバーされている領域に相応の層を設けることができる。
【0019】
さらに凹部の寸法及び形状を、ライニングシステム全体の可撓性を最良にするために、支持プレートの剛性に対する要求に応じて形成することができる。
【0020】
特筆すべきは、本発明は、基本的にリーズナブルなコストで実現することができることである。好ましくは、支持プレートは精密な鋳造部品として製造されるので、凹部は鋳造により一緒に形成することができる。しかしながら凹部を切削加工によらず、又は切削加工によって製造することも考えられ、これは例えば、支持プレートが薄板から成っていて、押込み加工、延伸加工等により変形される場合に考えられる。
【0021】
本発明によるブレーキライニングにより得られる高い放熱性により、耐荷重性が高くなるので、本発明によるブレーキライニングは特に、高速列車での使用のために提供される。従って、ブレーキライニングの使用能力は改善される。
【0022】
先行技術とは異なり、本発明によるブレーキライニングは耐用期間も長く、これにより勿論、調達コスト及び組み付けコストだけでなく、車両の静止時間も含むランニングコストは大幅に減じられる。
【0023】
本発明の好ましい別の構成は従属請求項に記載されている。
【0024】
以下に本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】ブレーキライニングの一部を示した斜視図である。
図2】支持プレートを示した平面図である。
図3図2のIII−III線に沿った支持プレートの断面図である。
【0026】
図1には、特にレール車両の、部分ライニング−ディスクブレーキのためのブレーキライニングの部分図が示されている。このブレーキライニングは、ライニング支持体1に接続された複数のライニングエレメント2を有しており、図1にはこれらのライニングエレメント2のうちの1つだけが示されている。
【0027】
各ライニングエレメント2は、1つの支持プレート3と、背面でこの支持プレート3の収容部6に挿入されて支持プレート3に固定される摩擦エレメント4とを有しており、収容部6は球冠状に、この収容部6に挿入される摩擦エレメント4の領域は球区分状に形成されている。
【0028】
収容部6は、支持プレート3の互いに角度をなして突出する3つの脚部7に配置されている。
【0029】
図2及び図3に詳しく示した支持プレート3は傾転可能にライニング支持体1に保持されており、このために支持プレート3は、球区分状の突出部9を有しており、この突出部9は、ライニング支持体1のボールカップ10に挿入される。
【0030】
本発明によれば鋳造部分として形成された支持プレート3には収容部6に隣接して、支持プレート3の表面積を拡大する少なくとも1つの凹部5が設けられていて、該凹部5はこの実施例では突出部9に同心的かつ球面状に形成されており、中央の袋孔状の孔8を有している。この場合、凹部5と孔8とは鋳造時に形成されて、突出部9に重なる領域に配置されている。
【0031】
凹部5の湾曲の形状は、突出部9の湾曲の形状にほぼ相当する。
図1
図2
図3