特許第6025862号(P6025862)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
  • 特許6025862-センサシステム 図000002
  • 特許6025862-センサシステム 図000003
  • 特許6025862-センサシステム 図000004
  • 特許6025862-センサシステム 図000005
  • 特許6025862-センサシステム 図000006
  • 特許6025862-センサシステム 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6025862
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】センサシステム
(51)【国際特許分類】
   F02D 35/00 20060101AFI20161107BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20161107BHJP
   G01F 1/696 20060101ALN20161107BHJP
【FI】
   F02D35/00 366Z
   F02D45/00 366Z
   F02D45/00 370Z
   !G01F1/696 Z
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-547819(P2014-547819)
(86)(22)【出願日】2012年11月30日
(65)【公表番号】特表2015-502489(P2015-502489A)
(43)【公表日】2015年1月22日
(86)【国際出願番号】EP2012074036
(87)【国際公開番号】WO2013092167
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2014年6月23日
(31)【優先権主張番号】102011089897.2
(32)【優先日】2011年12月23日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トアステン クニッテル
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン シューラー
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン セテシャック
【審査官】 今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2004/090679(WO,A1)
【文献】 特開2002−310760(JP,A)
【文献】 特開2005−172463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 35/00
F02D 45/00
G01F 1/696
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の物理量を測定するための少なくとも1つの第1センサ素子(2)と、第2の物理量を測定するための少なくとも1つの第2センサ素子(3)とを有するセンサシステム(1)であって、
前記第1センサ素子(2)は、特定用途向け集積回路(4)の構成部分であり、該特定用途向け集積回路(4)は、前記第1センサ素子(2)の他に別の電子回路(5)を有しており、
前記第2センサ素子(3)は、前記特定用途向け集積回路(4)から独立してその外部に配置されており、
前記第2センサ素子(3)は第1接続箇所(6)を介して前記特定用途向け集積回路(4)に電気接続されている、センサシステム(1)において、
前記特定用途向け集積回路(4)は、前記第1接続箇所(6)を介して、前記第2センサ素子(3)が形成しないコンフィギュレーション信号(8)によりコンフィギュレーション可能であり、かつ、前記第1接続箇所(6)を介して前記第2センサ素子(3)の測定信号(10)を読み出し可能であり、
コンフィギュレーション時には、前記第2センサ素子(3)は、前記測定信号(10)を形成しない、
ことを特徴とするセンサシステム(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサシステム(1)において、
前記特定用途向け集積回路(4)は、前記第1センサ素子(2)およびマイクロエレクトロメカニカルシステムとしての複数の前記別の電子回路(5)によって構成されている、
ことを特徴とするセンサシステム(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載のセンサシステム(1)において、
前記第1センサ素子(2)は、空気質量流量を測定するためのセンサ素子として構成されている、
ことを特徴とするセンサシステム(1)。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載のセンサシステム(1)において、
前記第2センサ素子(3)は、温度を測定するためのセンサ素子として構成されている、
ことを特徴とするセンサシステム(1)。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載のセンサシステム(1)において、
少なくとも1つのアナログデジタル変換器(11)が、前記特定用途向け集積回路(4)に配置されている、
ことを特徴とするセンサシステム(1)。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載のセンサシステム(1)において、
湿度センサ素子(14)が前記センサシステム(1)に組み込まれている、
ことを特徴とするセンサシステム(1)。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載のセンサシステム(1)において、
圧力センサ素子(17)が前記センサシステム(1)に組み込まれている、
ことを特徴とするセンサシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の物理量を測定するための少なくとも1つの第1センサ素子と、第2の物理量を測定するための少なくとも1つの第2センサ素子とを有するセンサシステムに関しており、第1センサ素子は、特定用途向き集積回路の構成部分であり、この特定用途向き集積回路は、第1センサ素子の他に別の電子回路を有しており、また上記の第2センサ素子は、上記の特定用途向け集積回路とは独立してその外部に配置されている。第2センサ素子は、第1接続箇所を介して上記の特定用途向け集積回路に電気接続されている。
【0002】
このようなセンサシステムは、例えば、殊に自動車産業において流体流の温度および質量流量を検出するために使用される。上記の物理量は、自動車における燃焼機関の最適な制御のために測定されて処理されるため、上記の検出は極めて重要である。現代のセンサシステムはこのために特定用途向け集積回路を使用しており、この特定用途向け集積回路上には、例えば空気質量流量を測定するためのセンサ素子のような第1センサ素子全体が集積されている。しかしながら第2センサ素子は、上記の特定用途向け集積回路から独立してその外部に配置される。なぜならばこの第2センサ素子により、例えば、第1センサ素子から妨害されずに別の物理量を検出したいからである。ここでは、例えば、空気質量流量の測定するためのセンサ素子から独立して、空気質量流量の温度を測定する温度センサ素子が挙げられる。しかしながら双方のセンサ素子、すなわち、空気質量流量を測定するためのセンサ素子および温度センサ素子は、上記のセンサシステムの構成部分である。したがって第2センサ素子、すなわちこの例の温度センサは、第1の接続箇所を介して上記の特定用途向け集積回路に接続に接続されるのである。上記の特定用途向け集積回路は、上記のセンサシステムの最初の使用開始の前にプログラムしなければならない。従来技術によれば、プログラミングのためには少なくとも1つの第3のインタフェースが使用されるが、この第3のインタフェースは、センサシステムをプログラミングを行った後にはもはや不要になる。特定用途向け集積回路ではまさにこれらのインタフェースは比較的高価なコンポーネントであり、可能であればこれらの個数を少なく維持したい。
【0003】
したがって本発明の課題は、可能な限りに簡単な、かつコスト的に有利なセンサシステムを提供することである。
【0004】
この課題は、本発明により、請求項1の特徴部分に記載した特徴的構成によって解決される。上記の特定用途向け集積回路が、第1接続箇所を介してコンフィギュレーション可能であり、第2センサ素子の測定信号が、第1接続箇所を介して読み出し可能であることにより、接続箇所が1つ不要になる。上記のセンサシステムをプログラムする間には第2センサ素子からの測定信号を検出する必要はない。このセンサシステムのプログラミングが終了すれば、第1接続箇所を介して、上記のセンサシステムの特定用途向け集積回路に上記の第2センサ素子の測定信号を伝送することができる。
【0005】
本発明の1つの実施形態において、上記の特定用途向け集積回路は、第1センサ素子およびマイクロエレクトロメカニカルシステムとしての別の電子回路によって構成される。マイクロエレクトロメカニカルシステムは、極めてコスト的に有利であり、一定時間内の高い生産個数で作製可能であり、またこのようなシステムをベースにするセンサにより、一般的に際立った測定結果が得られる。この際に有利であるのは、第1センサ素子が、空気質量流量を測定するためのセンサ素子として構成されることである。なぜならば、空気質量を測定するためのこのセンサ素子の加熱素子および2つの温度センサ素子は、上記のマイクロエレクトロメカニカルシステムの薄膜に配置することができ、この薄膜により、上記の加熱素子によって形成される熱から、上記の電子的な周囲環境が極めて良好に絶縁されるからである。
【0006】
上記の第2センサ素子が、温度を測定するためのセンサ素子として構成される場合、この温度測定値により、空気質量流量についての情報を一層正確に評価することができる。
【0007】
上記の特定用途向け集積回路に少なくとも1つのアナログデジタル変換器が配置されている場合、上記のアナログデジタル変換器は実質的に付加的なコストなしに実現することができる。
【0008】
有利な実施形態では、湿度センサ素子が上記のセンサシステムに組み込まれている。この湿度センサ素子により、空気質量流量の測定時に、空気中の湿度によって生じる誤差を補償することができる。
【0009】
本発明の別の発展形態では上記センサシステムに圧力センサ素子が組み込まれている。この圧力センサ素子により、空気質量流量の測定時に、相異なる気圧によって生じる誤差を補償することができる。
【0010】
本発明では数多くの実施形態が可能である。さらなる説明のため、本発明を図面に詳細に示し、以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】コンフィギュレーション時のセンサシステムを示す図である。
図2】使用時のセンサシステムを示す図である。
図3】コンフィギュレーション時の本発明のセンサシステムを示す図である。
図4】使用時の本発明のセンサシステムを示す図である。
図5】コンフィギュレーション時に流体流の温度および質量流量を検出するための、付加的に湿度センサおよび圧力センサを備えた本発明のセンサシステムを示す図である。
図6】使用時に流体流の温度および質量流量を測定するための、付加的に湿度センサおよび圧力センサを備えて本発明のセンサシステムを示す図である。
【0012】
図1には、第1の物理量を測定するための少なくとも1つの第1センサ素子2と、第2の物理量を測定するための少なくとも1つの第2センサ素子3とを有するセンサシステム1が示されている。第1センサ素子2は、特定用途向け集積回路4の構成部分であり、この特定用途向け集積回路は、第1センサ素子2の他に別の電子回路5を有する。第2センサ素子3は、上記の特定用途向け集積回路から独立してその外部に配置されている。第2センサ素子3は、第1接続箇所6を介して、上記の特定用途向け集積回路4に電気接続されている。
【0013】
図1にはコンフィギュレーションを行うケースが示されている。特定用途向け集積回路4のコンフィギュレーションまたはプログラミングを行うため、第3接続箇所12を介してコンフィギュレーション信号8を送信する。コンフィギュレーション信号8により、特定用途向け集積回路4の記憶装置16にデータが書き込まれる。さらにこの図からわかるのは、第1センサ素子2がアナログデジタル変換器11に接続されており、このアナログデジタル変換器が第1センサ素子2の測定信号10をデジタル化して第2接続箇所7に供給することである。しかしながらこれは使用時だけに行われる。すなわち例えば内燃機関の吸気ダクトにおいセンサシステム1を使用する場合だけに使用されるのである。
【0014】
使用のケースは、図2に示されている。図2には、特定用途向け集積回路4のプログラミングを行った後の、図1から既知のセンサシステム1が示されている。ここからわかるのは、第3接続箇所12はその機能が失われていることであり、第3接続箇所は一般的に固定の基準電位に設定される。この実施例では、この固定の基準電位は、例えばアース13とされているが、基本的には任意の固定の電位でよい。使用時に特定用途向け集積回路4から独立してその外部に配置されている第2センサ素子3は第2の物理量を検出する。この実施例において、第2センサ素子3によって検出される第2の物理量は、空気質量流量の温度である。第2センサ素子3によって形成され、かつ、デジタルまたはアナログの測定信号として利用可能な測定信号10は、評価のため、第1接続箇所6を介して特定用途向け集積回路4に供給される。この測定信号を評価するため、特定用途向け集積回路4上には複数の電子回路5が形成されている。さらにこの実施例において、例えば空気質量流量を検出するためのセンサ素子として構成されている第1センサ素子2は、第1の物理量を検出して、これらの測定信号をアナログデジタル変換器11に転送する。このアナログデジタル変換器は、第2接続箇所7に接続されており、この第2接続箇所を介して第1センサ素子2の測定値も第2センサ素子3の測定値も共に後続のエンジン制御部に送信される。
【0015】
図3には本発明によるセンサシステム1が示されている。ここでも第1の物理量を測定するための第1センサ素子2および第2の物理量を測定するための第2センサ素子3が示されていることがわかる。この実施例においても第1センサ素子2は、空気質量を測定するためのセンサ素子として、また第2センサ素子3は、空気質量の温度を測定するためのセンサ素子として構成されている。第1センサ素子2は、特定用途向け集積回路4の構成部分である。この特定用途向け集積回路には、第1センサ素子2の他に複数の別の電子回路5が含まれている。第2センサ素子3は、特定用途向け集積回路から独立してその外部に配置されている。第2センサ素子3は、第1接続箇所6を介して特定用途向け集積回路4に電気接続されている。特定用途向け集積回路4は、第1接続箇所6を介してコンフィギュレーション可能であり、第2センサ素子3の測定信号10は、第1接続箇所6を介して読み出し可能である。ここでは測定信号10は、第2センサ素子3によって形成されるアナログ信号である。図3に示したようにコンフィギュレーション時には第2センサ素子3は、測定信号10を形成せず、したがって第1接続箇所6を介してコンフィギュレーション信号8を特定用途向け集積回路4に伝送することができる。ここでは特定用途のためのデータが、特定用途向け集積回路4上の電子記憶素子16に書き込まれる。特定用途向け集積回路4のプログラミングが終了してこれが完全にコンフィギュレーションされると、第2センサ素子3は、同じ第1接続箇所6を介して特定用途向け集積回路4に測定信号10を伝送することができる。このことは図4に示されている。
【0016】
図3および4において明確にわかるのは、センサシステム1をプログラミングするため、および、これを使用するため、図1および2の例よりも、必要な接続箇所が少なくとも1つ少なくなることである。これにより、本発明によるセンサシステム1は、図1および2から既知のシステムよりも、コスト的に有利に作製可能であり、かつ簡単に組み立てることができる。
【0017】
図5および6には、図4および5から既知のセンサシステム1のプログラミングないしはコンフィギュレーションするケースおよび使用するケースが示されており、図4および5においてセンサシステム1は、湿度センサ素子14および圧力センサ15が拡張されている。湿度センサ14および圧力センサ15は、ここでは例示的に特定用途向け集積回路4に組み込まれている。
【0018】
すべての図にわたり、第1接続箇所6,第2接続箇所7および第3接続箇所12はそれぞれ、1つずつのボンディングパッドだけを有する単極接続箇所として構成されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6