特許第6025877号(P6025877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6025877固体生成物の生成のためのプロセス及びプラント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6025877
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】固体生成物の生成のためのプロセス及びプラント
(51)【国際特許分類】
   A23P 30/32 20160101AFI20161107BHJP
   A23L 3/16 20060101ALI20161107BHJP
   A22C 11/00 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   A23P30/32
   A23L3/16
   A22C11/00
【請求項の数】23
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-560259(P2014-560259)
(86)(22)【出願日】2012年3月7日
(65)【公表番号】特表2015-516147(P2015-516147A)
(43)【公表日】2015年6月11日
(86)【国際出願番号】EP2012053908
(87)【国際公開番号】WO2013131563
(87)【国際公開日】20130912
【審査請求日】2014年11月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】509005513
【氏名又は名称】アルファ−ラヴァル・コーポレート・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ニールス・オウンバーク
【審査官】 木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−515509(JP,A)
【文献】 特開昭63−027506(JP,A)
【文献】 特開平05−193931(JP,A)
【文献】 特表2011−524246(JP,A)
【文献】 特許第4743633(JP,B2)
【文献】 米国特許第05551640(US,A)
【文献】 特開2010−280794(JP,A)
【文献】 特公昭54−22494(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23P 30/32
A22C 11/00
A23L 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体生成物及び液体生成物を生成するためのプロセスであって、
a.細かく分割された出発材料を、直接蒸気噴射によって加熱するステップと、
b.前記加熱された出発材料を、前記固体生成物と、水性液体とに分離するステップと、
c.前記水性液体を、加熱及び加圧するステップと、
d.前記水性液体を減圧することによって、蒸気及び前記液体生成物を生み出すステップと、
を備え、ステップdで生じた前記蒸気は、前記細かく分割された出発材料への噴射のためにステップaに戻される、プロセス。
【請求項2】
前記細かく分割された出発材料は、ポンプでくみ上げ可能である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記加熱が、連続的な加熱ユニットによって実行される、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記出発材料が35℃以上の温度に加熱される、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記分離が遠心分離機内で実行される、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記遠心分離機が二または三相のデカンタ遠心分離機である、請求項に記載のプロセス。
【請求項7】
膜プロセスによって分離が実行される、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記膜プロセスは限外濾過またはマイクロ濾過プロセスである、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記水性液体は、脂質コンポーネントが除去または低減される、請求項1から8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記脂質コンポーネントが清浄化遠心分離機内で除去または低減される、請求項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記水性液体が120℃以上の温度に加熱され、2bara以上の圧力に加圧される、請求項1から10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記分離デバイスから得られた前記水性液体が、ステップcの前記加熱の前に、バッファタンク内に保管される、請求項1から11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記加熱され、加圧された水性液体が、フラッシュ蒸発によって減圧される、請求項1から12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
ステップdの前記減圧からの、水を奪われた水性液体が、少なくとも部分的に、前記加熱及び加圧ステップcにリサイクルされる、請求項1から13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
ステップdの前記減圧によって生成された前記蒸気が120℃以上の温度である、請求項1から14のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記水性液体は、ステップdの前記減圧からの水を奪われた水性液体との熱交換によって予熱される、請求項1から15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
ステップdの前記減圧によって得られた水を奪われた水性液体相の残留内容物は、前記水性液体相に比べて50%以上増加する、請求項1から14のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項18】
固体生成物及び液体生成物を生成するためのプラントであって、
細かく分割された出発材料を加熱するために直接蒸気噴射を用いる、第一加熱ユニットと、
前記細かく分割された出発材料を、前記固体生成物及び水性液体に分離可能な分離ユニットと、
前記水性液体を加圧するためのポンプと、
前記水性液体を加熱するための第二加熱ユニットと、
蒸気及び前記液体生成物を生み出すフラッシュ蒸発器とを備え、
前記フラッシュ蒸発器及び前記第一加熱ユニットが、前記フラッシュ蒸発器から前記第一加熱ユニットへ蒸気を運ぶために接続されることによって、前記細かく分割された出発材料を蒸気で加熱する、プラント。
【請求項19】
前記分離ユニットが、二相デカンタ遠心分離機である、請求項18に記載のプラント。
【請求項20】
前記第二加熱ユニットによる処理の前に、前記水性液体を一時的に保管するためのバッファタンクをさらに備える、請求項18または19に記載のプラント。
【請求項21】
蒸気が前記バッファタンクに供給されるように、前記バッファタンクが前記フラッシュ蒸発器に接続される、請求項20に記載のプラント。
【請求項22】
前記第二加熱ユニットの前に、予熱ユニットを備える、請求項18から21のいずれか一項に記載のプラント。
【請求項23】
前記予熱ユニットが、前記水性液体の温度を上げることが可能であり、水を奪われた水性液体の温度を下げることが可能な熱交換器である、請求項22に記載のプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体生成物及び液体生成物を生成するためのプロセスに関連する。本発明は、固体生成物及び液体生成物を生成するためのプラントにも関連する。上記プロセスは、直接蒸気噴射を用いて出発材料を効率的に加熱し、一方で、後に、凝縮された蒸気の少なくとも一部を除去する、という利益を提供する。
【背景技術】
【0002】
様々な細かく分割された材料を加熱するための方法が工業で広く用いられている。多くの熱媒体が使用され得るが、一般的には蒸気が好まれる。食品素材に関わる多くのプロセスにおいて、出発材料は、素材の熱損傷、コンタミネーションのリスク、及び最終生成物への水の添加を避けるために、間接的に加熱される。
【0003】
間接的な加熱を用いる閉路設計の例としては、特許文献1に開示されている(Stord Bartz)。上記文献は、動植物材料の二段熱処理用のプラントを記述する。第一熱処理装置に続く、第二熱処理装置内で使用される熱媒体は、汚染されていない水/蒸気のストリームで構成され、それは閉路内で循環される。すなわち、第一装置の熱媒体から分離され、第二装置の処理材料から分離される。
【0004】
出発材料への蒸気の直接噴射は、熱を、熱媒体から処理されている材料に伝える、熱交換器の表面がないために、より効率的でより高速な加熱を提供する。特許文献2(Finnatec)は食品業界における生成物の処理のためのプロセス及び装置を記述する。周知のプロセスでは、蒸気は処理される食品素材へと直接噴射される。蒸気を生み出すために用いられる水は、蒸発プロセスに先行して、蒸気で加熱された食品素材を伴う対向流内で加熱される。さらに、蒸気の生成のために用いられる水は、限外濾過法、逆浸透圧法、ナノ濾過法、及び蒸発脱水法に関連するステップ等の、先行するステップで除去される。
【0005】
本発明の目的は、直接蒸気噴射技術を改善するプロセス及びプラントをデバイスすることである。処理される材料への蒸気の直接噴出により、より高速の加熱プロセスが得られるものの、生成物ストリームに大量の復水をもたらしもする。追加的な水によって最終生成物が希釈される。本発明は、希釈された生成物から追加の水を抽出する方法を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4653198号明細書
【特許文献2】欧州特許第671129号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、固体生成物及び液体生成物を生成するプロセスに関連し、
a.細かく分割された出発材料を直接蒸気噴射によって加熱するステップと、
b.加熱された出発材料を、固体生成物及び水性液体に分離するステップと、
c.上記水性液体を加熱及び加圧するステップと、
d.上記水性液体の圧力を下げ、それによって蒸気及び液体生成物を生み出すステップと、を備え、
ステップdで生み出された蒸気は細かく分割された出発材料への噴射のために、ステップaに戻される。
【0008】
本発明によれば、ステップaで凝縮した蒸気によって生み出された過剰な水は、加熱され、加圧された水性液体の圧力を下げることによって、少なくとも部分的にステップdで除去される。特定の方法では、蒸発によってステップdで液体生成物から除去される水の量は、ステップaで、凝縮した蒸気によって追加される水の量よりも多く、結果として濃縮された液体生成物が得られる。
【0009】
上記出発材料は、野菜、動物、海洋分野、及びそれらの混合物から選択される様々な原料から生じ得る。植物由来材料は、オリーブ、テンサイ、サトウキビ、大豆、小麦、米、トウモロコシ、パーム油、ワイン用ブドウ、紙パルプ、ビール麦汁、及びジャガイモのような栽培植物を含む。海洋由来材料は、タラ肝油及び脂肪を含む。動物界からの出発材料の例は、牛、豚、鶏、及び七面鳥を含む群から選択された様々な肉製品である。原材料の混合物を含む出発材料の例は、スラッジである。
【0010】
出発材料は、本発明の対象とされる前に、前処理され得る。前処理の例は、ミンチ、加熱、熟成等を含む。
【0011】
出発材料は、第一加熱ユニットに簡便に運ばれるために、いかなる形態も有し得る。好適に、出発材料は、コンベヤ、手工具、またはポンプによって、第一加熱ユニットに運ばれる。ポンプによって第一加熱ユニットに届けられると、出発材料は好適に細かく分割される。第一加熱ユニットは便利に連続式であり、出発材料は供給ポンプから連続的に受け取られ、後続のプロセスステップへと連続的に届けられる。
【0012】
第一加熱ユニットでは、処理される出発材料へと蒸気が直接噴射される。直接蒸気噴射は出発材料への一連の蒸気泡の排出に関連する。蒸気泡は凝縮し、蒸気泡の熱を周囲の材料に引き渡す。ほとんど即時の加熱を得るために、加熱される材料へと蒸気が高レートで強制され得る。即時の加熱とはすなわち、所望の温度まで1〜5分以内で加熱することであり、約15分が従来の加熱デバイスであることと比較されるべきである。高速の加熱レートは、第一加熱ユニットを通る高体積のストリームを保証する。
【0013】
温度は、出発材料に対して望まれる処理に応じて選択され得る。一般的に、出発材料は35℃以上の温度に加熱される。もし出発製品の酵素活性を維持することが望まれるのであれば、温度は一般的に40℃以上に上げられない。しかし、もし出発製品中の酵素の失活が最終製品の特性にとって重要であるならば、温度は通常50℃以上である。低温殺菌(pasteurization)を実施することが望まれるイベントでは、製品は高温短時間(HTST)処置に従って、15秒から20秒間、72℃に加熱され得る。蒸気調理が意図されるイベントでは、出発材料は90℃以上に加熱され得り、例えば1〜3baraの圧力まで加圧され得る。出発材料の意図される処理がそのように要求する場合には、より高温及び/またはより高圧が選択され得る。
【0014】
加熱された出発材料は、分離した固体生成物及び水性液体を得るために、分離プロセスの対象にされる。本明細書中及び特許請求の範囲で使用される、「固体生成物」との語は、特定の乾物含量と、分離ステップで分離されない残りの液体コンポーネントとを備える生成物に通常関連する。固体生成物は後続のステップでさらに処理され得るが、それらは本出願の対象ではない。「固体生成物」との語は、野菜、魚または動物の油/脂肪などの、水と相容れない、より軽い、またはより重い相もカバーする。
【0015】
「液体生成物」との語は、主なコンポーネントとして水を含み、少量の、塩、親油性物質、タンパク質、沈殿した材料等の不揮発性コンポーネントを含む生成物に言及する。
【0016】
分離は、膜濾過ユニット及び遠心力に基づく分離ユニットを含む、様々なタイプの分離ユニットで起こり得る。膜濾過ユニットはマイクロ濾過、ナノ濾過、及び限外濾過を含む。遠心力に基づく分離ユニットは、デカンタ遠心分離機などの遠心分離機を含む。遠心分離機は、二相または三相デカンタ遠心分離機であり得る。出発材料としてミンチされた肉が使用される際には、加熱された出発材料の効率的な処理を提供するために、分離ユニットは、二または三相デカンタ遠心分離機として一般的に選択される。
【0017】
分離ステップは、二以上のステップで実施され得る。従って、本発明の特定の実施形態では、加熱された出発材料は、水性液体、固体生成物及び油を届けるために、二つの二相デカンタ遠心分離機の対象となる。第一の二相デカンタ遠心分離機は、水性液体と、親油性物質を含んだ湿った固相とを届ける。湿った固相は、乾燥機固相及び油または脂肪コンポーネントを届けるために、後続のデカンタ遠心分離機内で処理される。代替的に、後者のステップは、湿った固体生成物が、親油性物質を回収するために、ヘキサンまたはエタノールなどの抽出剤によって抽出される、抽出ステップで置換される。
【0018】
水性液体の加圧及び加熱に先行して、水性液体は処理または一時保管され得る。一例として、水性液体は、それによって、任意で存在する親油性の、コロイド状の、または固体のコンポーネントの量が削減される処理の対象とされてもよい。もし水性液体が少量の親油性コンポーネントを含んでいるならば、これらは清浄化遠心分離機(clarification centrifuge)内で除去または低減されてもよい。本発明に係るプロセスの運転中の不規則を吸収するために、熱処理に先行する、バッファタンクを含むことが有利であり得る。
【0019】
水性液体は、一体化された、または別々のステップで、任意の順番で、加圧及び加熱される。水性液体は、任意の適当なポンプを用いて加圧され得る。一般的に、ポンプは遠心ポンプまたは容積型のポンプであり、回転ローブポンプ、プログレッシブキャビティポンプ、回転歯車ポンプ、ピストンポンプ、ダイヤフラムポンプ、スクリューポンプ、歯車ポンプ、油圧ポンプ、ベーンポンプ、再生(渦流)ポンプ、ぜん動ポンプ、及びロープポンプを含む。ポンプは、2bara以上、好ましくは3bara以上の圧力を提供可能であるべきである。
【0020】
加熱は単一の、二つの、またはそれ以上のステップで起こり得る。第一の加熱ステップでは、水性液体は、後のプロセスで生じるより高温のストリームで、対向流内の熱交換器中で加熱され得る。より高温のストリームは、通常、低減ステップdの下流である。ここで、そのような処理は、予熱ステップと呼ばれる。任意の予熱ステップの後に、水性液体が主加熱ユニット内で熱媒体を用いて加熱される。熱媒体は、通常蒸気であるが、加熱された油または同様の伝熱材料であってもよい。主加熱ステップにおける熱は、一般的に、熱交換器内で間接的に水性液体に伝達される。水性液体は、一般的に、130℃以上、好ましくは140℃以上などの120℃以上の温度に加熱される。
【0021】
加熱され、加圧された水性液体の削減は、一般的にフラッシュ蒸発器で実施される。フラッシュ(または部分的な)蒸発は、水性液体のストリームがスロットルバルブまたは他のスロットルデバイスを通ることによって圧力の低下を経験する際に生じるプロセスステップである。スロットルバルブ内の圧力を下げることによって、蒸気が生じる。蒸気はステップaで出発材料の加熱のために用いられ、残りの水性液体は後続のプロセスステップで使用されるか、さらに処理されるか、排出される。
【0022】
水を奪われた水性液体は、加熱及び加圧ステップcに、部分的にまたは完全にリサイクルされ得る。水性液体をリサイクルすることによって、不揮発性のコンポーネントが濃縮されるだろう。ある特定のプロセスでは、濃縮された水性液体生成物が、更なる処理のために求められる生成物である。本発明の特定の態様では、水を奪われた水性液体相は、水性液体相に対して、50%以上、好ましくは100%以上増加する。
【0023】
本発明は、
細かく分割された出発材料を加熱するための、蒸気を用いる第一加熱ユニットと、
細かく分割された出発材料を、固体生成物及び水性液体に分離可能な分離ユニットと、
水性液体を加圧するためのポンプと、
水性液体を加熱するための第二加熱ユニットと、
蒸気及び液体生成物を生み出すフラッシュ蒸発器と、を備える固体生成物及び液体生成物を生成するためのプラントにも関連し、
フラッシュ蒸発器及び第一加熱ユニットは、フラッシュ蒸発器から第一加熱ユニットに蒸気を運ぶために接続され、その結果、細かく分割された出発材料は蒸気で加熱される。
【0024】
細かく分割された出発材料を加熱するための、蒸気を用いる第一加熱ユニットは、間接加熱方法と比較して燃料コストを劇的に削減することができる。蒸気からの全ての利用可能なエネルギーが出発材料に吸収されるからである。典型的には、直接蒸気噴射の効率は、シェルアンドチューブ式の、またはプレートアンドフレーム式の熱交換器などの間接加熱タイプと比較して25%以上高い。
【0025】
第一加熱ユニットは、蒸気と出発材料とを最適に混合するように設計され得る。特定の実施形態において、蒸気が出ることを可能にする開口を有する中央指向の噴射管を通って、蒸気がユニット内に導入される。噴射管の周りに、同軸方向に、出発材料用のパイプが提供される。好適に、出発材料用のパイプは、蒸気と出発材料との効率的な混合を確実にするために、噴射管中の開口領域にらせん状のフライトを備えて提供される。
【0026】
細かく分割された出発材料を、固体生成物及び水性液体に分離可能な分離ユニットは、典型的にはデカンタ遠心分離機である。デカンタ遠心分離機内における分離は、スクリューコンベヤを備えた、水平円筒型ボウル内で起こる。加熱された出発材料が、静的な注入管を通ってボウルに入り、注入口分散器によって滑らかに加速される。その後、回転に起因する遠心力によって、ボウルの壁上に固形物の沈澱が生じる。コンベヤはボウルと同じ方向に回転するが、速度が異なるので、固形物はボウルの円錐形端部へと移動される。ケーキは、固形物排出口を通ってボウルを離れ、ケーシングへと入る。分離は、ボウルの円筒形部分の全長で起こり、水性液体は、調整可能なプレートダムを超えて流れることによってボウルを離れ、ケーシングに入る。本発明で使用されるデカンタ遠心分離機は、二相または三相のデカンタ遠心分離機でもよい。
【0027】
水性液体は、加熱ユニットに直接供給されてもよく、または一時的にバッファタンク内に保管されてもよい。バッファタンクがある場合、不規則な生成を吸収し、後続のプロセスステップにおける水性液体の制御された運搬を可能にし得る。特定の実施形態では、フラッシュ蒸発からの配管を通して蒸気を供給することによって、バッファタンク内の水性液体の温度を特定の温度に維持する、または温度を上げることが有利であり得る。バッファタンク内の温度を維持する、または高くすることによって、コンポーネントが水性液体から沈殿するのを防止し得る。
【0028】
水性液体は、単一の、二つの、またはそれ以上のユニット内で加熱され得る。もし単一の加熱ユニットのみが用いられた場合には、水性液体は直接、第二加熱ユニットに移される。しかし、一般的には、バッファタンクからの水性液体は、第二加熱ユニットに移される前に、予熱器内で予熱することが可能である。予熱ユニットは、水性液体の温度を上げること及び水を奪われた水性液体の温度を下げることが可能であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】プロセスの一般的なフローチャートである。
図2】水を奪われた水性液体が第二加熱ユニットにリサイクルされる実施形態のフローチャートである。
図3】水性液体のストリームと水を奪われた水性液体のストリームとの熱交換のために予熱器が含まれる実施形態のフローチャートである。
図4】浮きかす(skimming)を処理するために、三相デカンタ遠心分離機が用いられる実施形態のフローチャートである。
図5】ミンチされた動物組織が処理されるフローチャートである。
図6】動物血液が処理されるフローチャートである。
図7】動物骨材料が本プロセスによって処理される実施形態である。
図8】オリーブペーストが処理される実施形態である。
図9】土壌還元に先行して、スラッジが低温殺菌される実施形態のフローチャートである。
図10】ビール醸造用に麦汁を処理する実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1には、本発明によるプロセスの概要が開示されている。第一ステップとして、細かく分割された出発材料が第一加熱ユニットに入る。出発材料は、野菜、動物、海洋分野またはそれらの混合物由来の様々な原料から選択され得る。ある実施例ではミンチされた肉または魚が含まれる。第一加熱ユニットは、好適には、直接蒸気噴射ヒーターである。さらに、直接蒸気噴射ヒーターは、好ましくは、出発材料が連続的に直接蒸気噴射ヒーターに運ばれる、連続式である。この種の直接蒸気噴射ヒーターの例は、Pick Heaters社のPick Constant Flow Direct Steam Injection Heaterである。第一加熱ユニットは、以下に開示されるように、フラッシュ蒸発器から蒸気を受ける。
【0031】
出発材料は、第一加熱ユニットの入口において、5℃から70℃などのいかなる適当な温度を有してもよい。処理される出発材料の性質に依存して、第一加熱ユニットを離れる、熱処理された出発材料の温度は、一般的に35℃以上であり、例えば45℃以上であり、好ましくは60℃以上である。ミンチされた肉材料が処理されるイベントでは、蒸気噴射ヒーターの出口における温度は、90℃から100℃であり得、圧力は1.1baraから3baraの範囲内である。
【0032】
加熱された出発材料は、その後、分離ユニットに運ばれる。分離ユニットでは、加熱された出発材料が固体生成物と水性液体とに分離される。水性液体相は、凝縮した、第一加熱ユニットに噴射された蒸気の少なくとも一部を含む。分離ユニットは、膜濾過ユニット、重力分離ユニット、デカンタ遠心分離機、ベルトフィルター、フィルタープレス、回転式真空ドラムフィルター等であってもよい。Alfa Laval社は、上記分離ステップに一般的に好ましい、様々なデカンタ遠心分離機を提供する。ミンチされた肉が出発材料として用いられる際には、加熱された出発材料の効率的な処理を提供するために、分離ユニットは一般的に、二相または三相デカンタ遠心分離機として選択される。
【0033】
固体生成物は、それ自体使用されてもよく、更に処理されてもよい。更なる処理は、固体生成物を、絞り手順または更なる乾燥の対象とすることを含み得る。水性液体は所望の圧力までポンプで加圧され、第二加熱ユニットへと運ばれる。水性液体は選択された圧力における沸点以上の温度に加熱される。水性液体は熱媒体によって第二加熱ユニット内で間接的に加熱され、熱媒体は通常、蒸気として選択される。この操作には様々な装置が適しており、プレート式熱交換器、シェルアンドチューブ熱交換器、スパイラル熱交換器、及び全溶接された熱交換器を含む。通常、衛生上の理由から、プレート式熱交換器が用いられる。
【0034】
加熱され、加圧された水性液体は蒸気及び液体生成物を生み出すためにフラッシュされる。即ち、水性液体の水成分が減らされる。出発材料を加熱するために、蒸気は適切な配管で第一加熱ユニットに運ばれる。
【0035】
特定の例では、1000Kg/hのミンチされた肉が第一加熱ユニットに導入される。ミンチされた肉は、95℃の温度を得るために、15,4Kg/hの蒸気を用いて加熱される。加熱された、ミンチされた肉は、二相デカンタ遠心分離機内で分離され、結果として、500Kg/hの固体部分と、515,4Kg/hの水性液体フラクション(粘着性の水)が得られる。水性液体は1.2重量%の乾物を含む。300Kg/hの水性液体は4.1baraに加圧され、6baraの圧力を有する蒸気による間接的な加熱を用いて、第二加熱ユニット内で144℃まで温度が上げられる。フラッシュ蒸発ユニットでは、上述の蒸気の量が生み出され、残りの水が奪われた水性液体は廃棄される。
【0036】
図2は請求項1の実施形態の改良を開示し、水を奪われた水性液体の一部が第二加熱ユニットにリサイクルされる。リサイクルによって、水を奪われた水性液体がさらに濃縮される結果となる。一般的に、水を奪われた水性液体は、約5重量%またはそれ以上の濃度が得られるまで濃縮される。
【0037】
図3は、図2の実施形態の更なる改良を開示し、濃縮された水性液体が、予熱ユニット内で、分離機ユニットからの水性液体と熱交換される。さらに、水性液体はバッファタンク内にて一時的に保管される。バッファタンクからのストリーム及び/または予熱ユニットからのストリームが液体生成物として収集され得る。出発材料がミンチされた肉である場合には、液体生成物は粘着性の水とも呼ばれる。粘着性の水は、他のプロセスで使用するための有益な栄養成分を含む。
【0038】
図4は、肉や鶏肉からの浮きかすを処理するために、三相デカンタ遠心分離機が使用される実施形態のフローチャートを開示する。浮きかすは、脂肪と、水相と、懸濁した挑戦物(try matter)との混合物を生成するために、最初に第一加熱ユニット、例えばPick Constant Flow Direct Steam Injection Heater、内で加熱される。熱処理された浮きかすは、三相デカンタへ運ばれ、三相デカンタはAlfa Laval社から入手可能なCentriskimとして選択され得る。Centriskimプロセスは、脂肪フラクション、水性液体相、及び湿った濃縮された固体相を回収するための安価な解決法を提供する。この削減プロセス後には、固相は、通常、原重量の15%未満であり、回収される脂肪は、典型的には10〜15%に達する。脱脂され、脱水された固体生成物は、餌を与える目的で乾燥されてもよく、他のリサイクル解決法に用いられてもよい。浮きかすの鮮度と、用いられた浮遊化学物質との両方に依存して、回収された脂肪は、通常、低品質である。しかし、低グレード品は技術用途にのみ用いられる一方で、鮮度の高い浮きかすは、通常、直接、フィードグレードの製品として受け入れられる。水性液体は、図1から3で示されたように処理される。
【0039】
図5は、ミンチされた動物組織が処理されるプロセスのフローチャートを開示する。ミンチされた動物脂肪組織は、最初に、ポンプによって、例えばPick Constant Flow Direct Steam Injection Heater等の第一加熱ユニットに供給される。このプロセスステップの生成物は、保持タンク内に一時的に保管される。熱処理された組織の温度は、フラッシュ蒸発器から蒸気を供給することによって、維持されるか、僅かに上げられる。その後、タンクの中身は二相デカンタへと供給される。デカンタによって、熱処理された、ミンチされた動物脂肪組織は、固体生成物(湿った固形物)、及びバッファタンク内に一時的に保管される水性液体に分離される。保管された水性液体は、ポンプによって3から5baraに加圧され、予熱ユニットへと運ばれる。その後、水性液体は第二加熱ユニット内で約140℃から150℃に加熱され、第一加熱ユニット及び保持タンクに供給される蒸気を生み出すために、フラッシュ蒸発器内で減圧される。水を奪われた水性液体の一部は、第二加熱ユニットにリサイクルされ、蒸気の他の部分は予熱ユニット内での熱交換に使用される。液体生成物は、予熱ユニット及びバッファタンクからの混合された蒸気から回収される。
【0040】
図6は、動物血液が処理されるプロセスのフローチャートを開示する。未処理の動物血液は、まず約45℃に予熱され、熟成タンク内に保管される。熟成された血液は、その後、直接蒸気で加熱された第一加熱ユニットに導入され、約95℃に加熱される。加熱された血液は、血液水(blood water、水性液体)と、湿った固形物とに分離される。湿った固形物は、血の肉(blood meat、図には示されていない)を得るために、乾燥機内で乾燥される。血液水は一時的に水性液体タンク内に保管される。タンク内で、温度は約85℃に落とされてもよい。血液水の一部は、予熱ユニットへ運ばれる。予熱ユニット内において、血液水は、約98℃の温度を得るために、フラッシュ蒸発器から得られるストリームと熱交換される。血液水の乾物は、通常、この段階では約1.2重量%である。血液水はポンプによって4.1baraの圧力まで加圧され、第二加熱ユニットに供給され、温度は144℃まで上げられる。血液水は、間接的に蒸気で加熱され、約6bara、159℃となる。加熱され、加圧された血液水をフラッシングすることによって、蒸気が生み出され、第一加熱ユニットに供給される。水を奪われた血液水は、さらにストリームを濃縮するために部分的にリサイクルされ、ストリームの他の部分は更なる処理のために収集される。水性液体タンクからの血液水の第二ストリームは、上述の通り、未処理の動物血液を予熱するのに用いられ、予熱器からの冷却されたストリームは、更なる処理のために収集される。選択的に、二つの予熱器からのストリームが、更なる処理のために収集され得る。
【0041】
図7は、動物骨材料が本プロセスによって処理される実施形態を示す。最初に、動物骨材料は、図示されていないデバイス内でミンチされる。細かく分割された出発材料は、蒸気噴射とともに、ヒーター内に導入される。温度は、使用される原材料と、所望の最終生成物とに依存して、65℃から90℃に上げられる。任意の器具として利用可能な、内蔵温度センサを通して、温度プロファイルの完全な自動制御を手に入れることができる。熱処理された動物骨材料は、二相デカンタ遠心分離機へと運ばれ、しばしば骨残留物と呼ばれる、固体生成物と、水性液体とを生成する。骨残留物は、乾燥されるか、さもなければ処理されてもよく、一方で水性液体は一時的にタンク内で保管される。タンクは、温度を維持する、または上げるために、フラッシュ蒸気蒸発器からの蒸気が供給される。水性液体の一部は、ポンプによって3から5baraに加圧され、予熱ユニットに運ばれる。その後、水性液体は、第二加熱ユニット内で約140℃から150℃の温度に加熱され、フラッシュ蒸発器内で減圧されて蒸気を生み出し、蒸気は第一加熱ユニット及び保持タンクに供給される。水を奪われた水性液体の一部は、第二加熱ユニットにリサイクルされ、ストリームの他の部分は予熱ユニット内での熱交換のために用いられる。冷却された予熱ユニットからのストリームは、水性液体タンクからのストリームと混合され、分離機ユニットへと運ばれる。特定の実施形態において、分離機ユニットは高速の、三相分離機でもよく、脂肪相と、固相(微粉)と、処理水とを生み出す。微粉は、出発材料と混合され、第一加熱ユニットへと導入され得る。
【0042】
図8は、オリーブペーストが処理される実施形態を示す。最初に、オリーブが細かいペーストへと砕かれる。これは、例えばハンマークラッシャー、ディスククラッシャー、デピッチングマシーン、またはナイフクラッシャー等によって行われることができる。その後、オリーブペーストは、例えばPick Constant Flow Direct Steam Injection Heater等の第一加熱ユニット内で、蒸気によって約27℃の温度に加熱される。加熱のために使用された蒸気からの蒸気凝縮器に加えて、特に、三相デカンタが分離ユニットとして使用された時に、更なる量の水が添加され得る。加熱されたオリーブペーストは、練和プロセスを受ける。練和プロセスにおいて、加熱されたペーストは、典型的には20分間から60分間、ゆっくりと撹拌または混合される。撹拌によって、破砕プロセスによって放出された油の小滴が集合し、より簡単に分離することが可能になる。油収量は、温度及び混合時間に比例する。特定の実施形態では、温度を上げることが望まれ得る。しかし、高い温度及び長い混合時間を用いることにより、油の酸化も増加するので、貯蔵寿命が短くなる。酸化を減らすために、窒素または二酸化炭素等の不活性ガスでオリーブペーストを覆うことが有益であり得る。これにより、油の品質に妥協することなく、収量を増やすことが可能となる。
【0043】
練和が完了した後で、処理されたペーストは、相分離機へと運ばれる。分離ユニットは、処理されたペーストを、油(特許請求の範囲の用語では、固体生成物)と、水性液体とに分離し、水性液体は通常、黒水(black water)と呼ばれる。黒水の一部は、熱交換器内で144℃の温度まで間接的に加熱され、4から5baraまで加圧される。加熱され、加圧された黒水は、蒸気を解放するために、急激に減圧される。蒸気は、前ステップで使用された直接蒸気ヒーターへと運ばれる。残留の水性液体は、さらに処理されるか、廃棄される。分離ユニットから直接的にプロセスを離れる黒水の一部は、フラッシュ管を離れる濃縮された黒水と混合されてもよく、別個に処理されてもよい。
【0044】
本プロセスで使用される分離ユニットは、通常、二相または三相デカンタ遠心分離機である。三相デカンタが用いられる場合は、油が軽相として回収され得、黒水が中間層として回収され得、一方で、絞りかすが重い固相として回収される。水の追加に伴い、油の一部としてポリフェノールが洗い落とされてしまうので、二相デカンタ遠心分離機を用いることが望ましくあり得る。抽出能力の一部を犠牲にすることで、追加される水が少なく、従って、上記フェノールの洗い落としを減らす。オリーブペーストは二相に分離される:油及び湿った絞りかすである。出口が三つある(油、水、及び固体)デカンタの代わりに、このタイプのデカンタは二つしかない。水は、絞りかすとともに、デカンタコイルによって除去される。この湿った絞りかすは45℃から50℃の間の温度に加熱され、乾燥機絞りかす及び黒水を生成するために、二相デカンタ遠心分離機内で処理される。絞りかすはさらに乾燥され、通常ヘキサンである有機溶媒を伴う抽出プロセスの対象とされてもよい。
【0045】
図9は、スラッジを処理するためのプロセスを開示する。本プロセス用の原材料は、例えば下水処理用のプラントから得られるスラッジである。スラッジは、従来の下水処理で使用される、最初の沈澱段階及び/または第二沈澱段階から得られ得る。最初の沈澱段階では、下水は、一般的に「最初沈澱池」または「最初沈殿タンク」と呼ばれる大きなタンクを通って流れる。
【0046】
タンクはスラッジを沈殿させるのに用いられ、一方でグリース及び油は表面に上昇し、上澄みがすくわれる。最初の沈殿タンクは、通常、収集されたスラッジを、タンクのベース中のホッパーに向けて連続的に動かす、機械的駆動のスクレーパーを備え、スラッジが本プロセスのために収集される。第二処理からのスラッジは、通常、最初の沈澱段階から得られた未処理の水を通気することによって生成され、通気された未処理の水が沈殿池内に沈殿することを可能にする。スラッジは、沈澱池の底から収集され、本プロセスで使用される。特定の実施形態において、処理された排水中の残留浮遊物の砂濾過に使用される砂などの、第三処理からの原材料もまた使用され得る。
【0047】
スラッジは、低温殺菌される温度まで加熱される。上記温度は少なくとも63℃であり、通常、スラッジの沸点を超えることはない。通常、上記温度は、直接蒸気噴射を備えるヒーター内で、約72℃まで上げられる。第一加熱ユニットは、Pick Constant Flow Direct Steam Injection Heaterとして選択され得る。加熱した後に、スラッジは分離ユニット内で高温のケーキと、水性液体とに分離される。低温殺菌プロセスが進行することを可能にするために、高温のケーキは少しの間、例えば1分間から30分間、保管されてもよい。概して、温度が低温殺菌温度の下限により近い時に、保管時間はより長時間である。72度の低温殺菌温度が選択される際には、その温度における高温のケーキの保管時間は、通常、約20分である。通常、分離ユニットは二相デカンタ遠心分離機である。分離ステップから生じる水性液体の一部は、熱交換器内で144℃の温度まで間接的に加熱され、4から5baraまで加圧される。加熱され、加圧された水性液体は、蒸気を解放するために、急激に減圧される。蒸気は、第一加熱ユニット内で使用される直接蒸気ヒーターに運ばれる。残りの水性液体は、さらに処理されるか、第二加熱ユニットにリサイクルされるか、または廃棄される。分離ユニットから直接的にプロセスを離れる水性液体の一部は、フラッシュ管を離れる濃縮された水性液体と混合されてもよく、別個に処理されてもよい。
【0048】
図10は、ビール醸造で使用される麦汁が生成される実施形態を開示する。第一ステップにおいて、予熱された麦汁が、図中で麦汁ボイラーと呼ばれる、第一加熱ユニットに供給される。麦汁ボイラーは、麦汁を加熱するために蒸気が噴射され、外部ボイラーからさらに熱が供給される。通常、麦汁は15分から120分間、沸騰され、沸騰プロセス中の特定の段階でホップが導入される。麦汁は、その後、ホップから凝固タンパク質や植物性物質、即ちトリューブなどの固体生成物を分離するためのデカンタ遠心分離機に接続される渦巻きケトルに、ポンプによって運ばれる。水性液体の一部はポンプによって加圧され、真空タンク内で減圧される前に熱交換器内で昇温される。減圧することによって、麦汁ボイラー内で麦汁を加熱するための蒸気が生成される。水が削減された水性液体は、渦巻きからの蒸気と混合され、冷却後に、後続の醸造工程内で麦汁として使用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10