(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フェムトセル基地局は、前記基地局制御部と前記無線部とを分離した分離型基地局、または前記基地局制御部と前記無線部とを統合した一体型基地局であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の移動通信システム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の第1から第6の実施形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(各実施例を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0019】
〔第1の実施形態〕
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの構成を示す模式図である。
【0020】
図1に示すように、第1の実施形態に係る移動通信システム1は、マクロセル(MCC:
Ma
cro
Cell)基地局10、フェムトセル(FMC:
Fe
mto
Cell)基地局20、移動機30、および管理サーバ40(
図4参照)を備える。すなわち、第1の実施形態に係る移動通信システム1は、マクロセル基地局10と移動機30との間で、フェムトセル基地局20がパケット通信を中継するシステムである。
【0021】
マクロセル基地局10は、eNB(e
Node
B)と呼ばれており、無線アクセス技術を用いて半径数百メートルから十数キロメートルの通信エリアを構築する。
【0022】
フェムトセル基地局20は、HeNB(
Home.
eNode
B)と呼ばれており、LTE(
Long
Term
Evolution)等のネットワークのノードの一つを構成する。フェムトセル基地局20は、マクロセル基地局10と同様の無線アクセス技術を用いて、移動機30に通信サービス(例えば音声パケット通信サービス、マルチメディアサービス等)を提供する。フェムトセル基地局20が形成するセルは、そのセルサイズがマクロセル基地局10よりも小規模であり、半径数メートルから数十メートルの通信エリアを構築する。フェムトセル基地局20は、マクロセル基地局10との間で第1無線通信を実行する基地局制御部21と、後述する移動機30との間で第2無線通信を実行する無線部22と、を備える。
【0023】
移動機30は、スマートフォン、携帯電話等の移動携帯通信端末であり、UE(
User
Equipment)と呼ばれる。
【0024】
管理サーバ40は、HeMS(
HeNB
Management
System)と呼ばれており、登録エリアごとのフェムトセル基地局20を収容・管理する。管理サーバ40は、フェムトセル基地局20と移動機30との間におけるアクセス周波数の切り替えのための変更指示を行う。
【0025】
マクロセル基地局10とフェムトセル基地局20との間では、バックホール無線に相当する第1無線通信が実行される。また、移動機30とフェムトセル基地局20との間では、アクセス無線に相当する第2無線通信が実行される。フェムトセル基地局20は、第1無線通信で用いられる第1周波数(バックホール周波数)と第2無線通信で用いられる第2周波数(アクセス周波数)とが異なるように、第1周波数および第2周波数の少なくとも一方を選択する。
【0026】
第1の実施形態のフェムトセル基地局20は、第1周波数および第2周波数の少なくとも一方を選択する際に、ランダムに周波数の選択を行う。本実施形態のフェムトセル基地局20には、第1周波数および第2周波数の少なくとも一方をランダムに選択するにより、干渉制御、最適バックホール周波数変更時の制御、アクセス周波数変更時の制御、及びループ防止制御を行う制御プログラムが実装されている。具体的には、フェムトセル基地局20が選択可能となっている複数の周波数帯の中から、バックホール周波数と異なる周波数を選択してアクセス周波数とする。
【0027】
次に、
図1から
図5を参照して、第1の実施形態に係る移動通信システム1の動作について説明する。
図2は第1実施形態に係る移動通信システムにおいて、選択可能な周波数の説明に供する図である。
図3は第1実施形態に係る移動通信システムにおいて、最適バックホール変更時の動作の説明に供する図である。
図4は第1実施形態に係る移動通信システムにおいて、アクセス周波数変更時の動作の説明に供する図である。
図5は第1実施形態に係る移動通信システムにおいて、ループ防止の動作の説明に供する図である。
【0028】
(干渉制御)
図1に示すように、フェムトセル基地局20は、移動機30との通信時において、フェムトセル基地局20は、第1無線通信で用いられる第1周波数(バックホール周波数)と第2無線通信で用いられる第2周波数(アクセス周波数)とが異なるようにランダムに周波数を選択して、バックホール周波数とアクセス周波数との干渉を防止する。以下、第1の実施形態に係る移動通信システム1における干渉制御について具体的に説明する。
【0029】
まず、フェムトセル基地局20は、移動機30との接続開始時に当該フェムトセル基地局20の周辺を探索した後、その通信能力(Capability)に応じて通信可能なバックホール(BH)無線を選択する。フェムトセル基地局20は、バックホール無線の選択後に、選択したバックホール周波数、すなわちバックホール無線の周波数帯や周波数番号等を確認する。周波数番号としては、例えば、LTE標準のEARFCN(
E−UTRAN
Absolute
Radio
Frequency
Channel
Number)が挙げられる。
【0030】
次に、フェムトセル基地局20は、選択したバックホール周波数と異なる周波数をランダムに自動選択する。例えば、
図1に示すように、フェムトセル基地局20がマクロセル基地局10とのバックホール無線を選択した後、選択したバックホール周波数を確認すると、バックホール周波数がBand1であったとする。この場合は、
図2に示すように、選択可能なアクセス周波数の候補からBand1を除外し、他のBand3、Band8、Band41、及びBand42の中から、いずれかの周波数をアクセス周波数としてランダムに自動選択する。
図1では、アクセス周波数としてBand41が選択されている。
【0031】
(最適BH変更時の制御)
フェムトセル基地局20は、近隣に最適なマクロセル基地局が開局した場合にも、第1無線通信で用いられる第1周波数(バックホール周波数)と第2無線通信で用いられる第2周波数(アクセス周波数)とが異なるように周波数をランダムに選択して、バックホール周波数とアクセス周波数との干渉を防止する。以下、第1の実施形態に係る移動通信システム1における最適BH変更時の制御について具体的に説明する。
【0032】
例えば、
図3(a)に示すように、フェムトセル基地局20がマクロセル基地局10とのバックホール無線を選択した後に、選択したバックホール周波数を確認すると、バックホール周波数がBand1であったとする。さらに、フェムトセル基地局20がアクセス周波数の候補からBand1を除外し、バックホール周波数と異なる周波数Band41をアクセス周波数としてランダムに自動選択していたとする(
図2参照)。なお、「Band」とは通常の英単語の意味からは「周波数帯」と認識されるが、本明細書で「BandX(Xは数字)」と表記する際には特定の周波数と同義として記載する。現実社会の運用において「BandX」のような表記は、例えば、所定の業界団体や規制当局が定める使用すべき周波数帯の代表周波数と使用すべき変調方式とを含むものである。
【0033】
この接続状態において、
図3(b)に示すように、近隣にバックホール周波数をBand41とするマクロセル基地局11が開局したとする。Band41のマクロセル基地局11が開局しても、フェムトセル基地局20と移動機30は開局したマクロセル基地局11と同じ周波数帯域Band41でアクセス通信を行っているため、バックホール周波数とアクセス周波数とが同じになることを防止すべく、フェムトセル基地局20は当初選択した周波数Band1のマクロセル基地局10との接続を継続する。
【0034】
また、
図3(c)に示すように、近隣にバックホールの周波数をBand3とするマクロセル基地局12が開局したとする。この周波数Band3は、移動機30のアクセス周波数のBand41とは異なるため、フェムトセル基地局20が当該周波数Band3のバックホール無線を最適であると判断した場合は、フェムトセル基地局20は周波数Band3のマクロセル基地局32に接続を切り替える。
【0035】
(AC変更時の制御)
フェムトセル基地局20は、管理サーバ40から移動機30との間のアクセス周波数の切り替えのための変更指示があった場合にも、第1無線通信で用いられる第1周波数(バックホール周波数)と第2無線通信(AC)で用いられる第2周波数(アクセス周波数)とが異なるようにランダムに周波数を選択して、バックホール周波数とアクセス周波数との干渉を防止する。以下、第1の実施形態に係る移動通信システム1におけるアクセス周波数変更時の制御について具体的に説明する。
【0036】
図4(a)に示すように、管理サーバ40は、フェムトセル基地局20にアクセス周波数の切り替えを変更指示できる。フェムトセル基地局20が輻射するアクセス無線におけるアクセス周波数の切り替えを指示したとしても、フェムトセル基地局20はアクセス周波数と異なるバックホール周波数をランダムに選択する。
【0037】
例えば、
図4(a)に示すように、管理サーバ40からフェムトセル基地局20のアクセス周波数をBand1に切り替えるように変更指示があると、フェムトセル基地局20は、バックホール周波数と変更が指示されたアクセス周波数との周波数を比較する。そしてバックホール周波数と変更が指示されたアクセス周波数が同一となることによって干渉するなどの問題が生じなければ、フェムトセル基地局20は管理サーバ40に変更指示に問題が無い旨を連絡する。この連絡を受けて、管理サーバ40は、
図4(b)に示すように、バックホール周波数をランダムに選択したBand41に変更する。
【0038】
(ループ防止制御)
フェムトセル基地局20は、第1無線通信で用いられる第1周波数(バックホール周波数)と第2無線通信で用いられる第2周波数(アクセス周波数)とが異なるようにランダムに周波数を選択して、アクセス周波数をバックホールとして選択してしまうループ現象を防止する。以下、第1の実施形態に係る移動通信システム1におけるアクセス周波数変更時の制御について具体的に説明する。
【0039】
図5(a)に示すように、最適なマクロセル基地局10のバックホール無線の周波数を選択した後、フェムトセル基地局20は、選択されたバックホール周波数を確認し、このバックホール周波数と異なる周波数となるように移動機30とのアクセス周波数をランダムに自動選択する。したがって、アクセス周波数をバックホールとして誤認識してしまうというループ現象を防止することができる。
【0040】
また
図5(b)に示すように、フェムトセル基地局20は、アクセス周波数と同じ周波数帯や周波数番号(例えば、EARFCN)のバックホール周波数で通信しているマクロセル基地局10とのバックホール無線を選択しないようにするので、ループ現象を防止することができる。
【0041】
以上説明したように、第1の実施形態に係る移動通信システム1は、フェムトセル基地局20が第1周波数(バックホール周波数)および第2周波数(アクセス周波数)の少なくとも一方を選択する際に、ランダムに周波数の選択を行う。したがって、第1の実施形態に係る移動通信システム1によれば、移動機30の接続時におけるバックホール周波数とアクセス周波数との干渉を防止するとともに、接続後におけるバックホール変更時やアクセス周波数の変更指示時にもアクセス周波数との干渉を防止することができる。かつ、第1の実施形態に係る移動通信システム1によれば、アクセス無線をバックホール無線として誤認識するループ現象をも防止することができる。
なお、マクロセル基地局10やフェムトセル基地局20は、それぞれ固有の識別番号が付与されている場合がある。このような識別番号としては、例えばECGI(E−UTRAN Cell Global ID)やPCI(Physical Cell Identity)といった規格がある。識別番号が付与されているフェムトセル基地局20は、選択から除外すべき識別番号リストを記憶している。そこで、この識別番号に本発明の考え方を適用することが可能である。例えば、選択しようとするバックホール無線やアクセス無線に含まれた識別願号が、選択することを禁止されている識別番号に合致した場合には、フェムトセル基地局20は、当該バックホール無線やアクセス無線を選択しない、すなわち周波数を切り換えないように動作させてもよい。
【0042】
〔第2の実施形態〕
次に、
図1、および
図3から
図6を参照して、本発明の第2の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。
図6は第2実施形態に係る移動通信システムにおいて、予め定義された周波数の組み合わせの説明に供する図である。なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
第2の実施形態に係る移動通信システムは、フェムトセル基地局20が選択したバックホール無線の周波数帯や周波数番号(例えば、EARFCN)等を確認した後、第1周波数(バックホール周波数)および第2周波数(アクセス周波数)の少なくとも一方を選択する際に、予め定義された組み合わせで周波数の選択を行う点が、第1の実施形態と異なる。
【0044】
すなわち、第2の実施形態のフェムトセル基地局20は、第1周波数および第2周波数の少なくとも一方を選択する際に、
図6に示されるような予め定義された組み合わせで周波数の選択を行う。本実施形態のフェムトセル基地局20には、予め定義された組み合わせで第1周波数および第2周波数の選択することにより、干渉制御、最適バックホール(BH)変更時の制御、アクセス(AC)周波数変更時の制御、及びループ防止制御を行う制御プログラムが実装されている。
【0045】
(干渉制御)
図1に示すように、フェムトセル基地局20は、第1無線通信で用いられる第1周波数(バックホール周波数)と第2無線通信で用いられる第2周波数(アクセス周波数)とが異なるように、予め定義された組み合わせで周波数を選択して、バックホール周波数とアクセス周波数との干渉を防止する。以下、第2の実施形態に係る移動通信システムにおける干渉制御について具体的に説明する。
【0046】
まず、フェムトセル基地局20は、当該フェムトセル基地局20の周辺を探索した後、その通信能力に応じて通信可能なバックホール無線を選択する。フェムトセル基地局20は、バックホール無線の選択後に、選択したバックホール無線の周波数帯や周波数番号(例えば、EARFCN)等を確認する。
【0047】
次に、フェムトセル基地局20は、選択したバックホール周波数と異なるアクセス周波数を予め定義された組み合わせで自動選択する。フェムトセル基地局20には、
図6に示すように、例えば、バックホール周波数Band1とアクセス周波数Band41、バックホール周波数Band3とアクセス周波数Band42、バックホール周波数Band8とアクセス周波数Band1、バックホール周波数Band41とアクセス周波数Band3、バックホール周波数Band42とアクセス周波数Band8のように、予め定義付けされた制御プログラムが実装されている。
【0048】
例えば、
図1に示すように、フェムトセル基地局20がバックホール無線の選択後に、選択したバックホール周波数を確認すると、バックホール周波数がBand1であったとする。この場合は、
図6に示すように、Band1に対して予め定義している周波数Band41をアクセス周波数として自動選択する。
【0049】
(最適BH変更時の制御)
フェムトセル基地局20は、近隣に最適なマクロセル基地局11が開局した場合にも、第1無線通信で用いられる第1周波数(バックホール周波数)と第2無線通信で用いられる第2周波数(アクセス周波数)とが異なるように予め定義された組み合わせで周波数を選択して、バックホール周波数とアクセス周波数との干渉を防止する。以下、第2の実施形態に係る移動通信システムにおける最適BH変更時の制御について具体的に説明する。
【0050】
例えば、
図3(a)に示すように、移動機30の起動時にフェムトセル基地局20がバックホール無線を選択した後に、選択したバックホール周波数を確認すると、バックホール周波数がBand1であったとする。さらに、
図6に示すように、フェムトセル基地局20が予め定義された組み合わせで周波数を選択して、周波数Band41をアクセス周波数として自動選択していたとする。
【0051】
この接続状態において、
図3(b)に示すように、近隣にバックホール周波数をBand41とするマクロセル基地局11が開局したとする。Band41のマクロセル基地局11が開局しても、フェムトセル基地局20と移動機30は開局したマクロセル基地局11と同じ周波数Band41でアクセス通信を行っているため、バックホール周波数とアクセス周波数とが同じになることを防止すべく、当初選択した周波数Band1のマクロセル基地局10との接続を継続する。
【0052】
また、
図3(c)に示すように、近隣にバックホール周波数をBand3とするマクロセル基地局12が開局したとする。フェムトセル基地局20が当該周波数Band3を最適であると判断した場合は、フェムトセル基地局20は周波数Band3のマクロセル基地局32とのバックホール無線に接続を切り替えるとともに、アクセス周波数を予め定義された組み合わせでBand42に切り替える。なお、一つのバックホール周波数に対して接続可能な複数のアクセス周波数を予め設定しておくことも可能である。通信中にアクセス周波数を切り換えると、移動機30のアクセス通信が一度切断してしまうが、一つのバックホール周波数に対して複数のアクセス周波数を設定しておくと、アクセス通信の中断を防止可能である。例えば、予めバックホール周波数であるBand3に対して、アクセス周波数としてBand42の他にBand41についても選択可能として登録されていたとする。その場合、バックホール周波数をBand3に切り換えた場合もアクセス周波数としてBand41を使用可能となっているので、バックホール周波数をBand41からBand3に切り換えるに際してアクセス周波数はBand41のまま切り替える必要がないので、同じアクセス周波数を継続して利用することができ、アクセス通信の中断を防止することが可能となる。
【0053】
(AC変更時の制御)
フェムトセル基地局20は、管理サーバ40から移動機30との間のアクセス周波数の切り替えの変更指示があった場合にも、第1無線通信で用いられる第1周波数(バックホール周波数)と第2無線通信で用いられる第2周波数(アクセス周波数)とが異なるように予め定義された組み合わせで周波数を選択して、バックホール周波数とアクセス周波数との干渉を防止する。以下、第2の実施形態に係る移動通信システムにおけるアクセス周波数変更時の制御について具体的に説明する。
【0054】
図4(a)に示すように、管理サーバ40は、フェムトセル基地局20にアクセス周波数の切り替えを変更指示できる。管理サーバ40がフェムトセル基地局20のアクセス周波数の切り替えの変更指示した場合は、フェムトセル基地局20は、予め定義された組み合わせに基づいて、アクセス周波数と異なるバックホール周波数を選択する。
【0055】
例えば、
図4(a)に示すように、管理サーバ40からフェムトセル基地局20のアクセス周波数をBand41からBand1に切り替えるように変更指示があると、フェムトセル基地局20は、バックホール周波数とアクセス周波数との周波数を比較する。バックホール周波数とアクセス周波数が干渉するなどの問題がなければ、フェムトセル基地局20は管理サーバ40と連絡し、
図4(b)および
図6に示すように、予め定義された組み合わせで周波数を選択する。
【0056】
(ループ防止制御)
フェムトセル基地局20は、第1無線通信で用いられる第1周波数(バックホール周波数)と第2無線通信で用いられる第2周波数(アクセス周波数)とが異なるように予め定義された組み合わせで周波数を選択して、アクセス無線自体をバックホール無線と誤認して選択してしまうループ現象を防止する。以下、第2の実施形態に係る移動通信システムにおけるアクセス周波数変更時の制御について具体的に説明する。
【0057】
移動機30の起動時に、
図5(a)に示すように、フェムトセル基地局20は、マクロセル基地局10のバックホールの周波数を選択した後、選択した周波数を確認し、このバックホール周波数と異なる周波数で移動機30とのアクセス周波数を予め定義された組み合わせで周波数を自動選択する。したがって、アクセス周波数をバックホールとして選択してしまうループ現象を防止することができる。
移動機30の起動後においても、
図5(b)に示すように、フェムトセル基地局20は、アクセス周波数と同じ周波数帯や周波数番号(例えば、EARFCN)をマクロセル基地局10のバックホール周波数として選択しないように、予め定義された組み合わせで異なる周波数を自動選択するので、ループ現象を防止することができる。
【0058】
以上説明したように、第2の実施形態に係る移動通信システムは、フェムトセル基地局20が第1周波数(バックホール周波数)および第2周波数(アクセス周波数)の少なくとも一方を選択する際に、予め定義された組み合わせで周波数の選択を行う。したがって、第2の実施形態に係る移動通信システムによれば、移動機30の接続開始時におけるバックホール周波数とアクセス周波数との干渉を防止するとともに、接続後におけるバックホール変更時やアクセス周波数変更の指示時にもアクセス周波数との干渉を防止することができる。かつ、第2の実施形態に係る移動通信システム100によれば、移動機30と通信するアクセス周波数をバックホール周波数として誤認識するループ現象をも防止することができる。特に第2の実施形態に係る移動通信システムによれば、フェムトセル基地局20が予め定義された組み合わせに基づいて周波数の選択を行うので、周波数の選択が容易であるという有利な効果を奏する。
なお、マクロセル基地局10やフェムトセル基地局20に、ECGIやPCIといった、それぞれ固有の識別番号が付与されており、選択しようとするバックホール無線やアクセス無線に含まれた識別願号が、選択することを禁止されている識別番号に合致した場合には、フェムトセル基地局20は、当該バックホール無線やアクセス無線を選択しない、すなわち周波数を切り換えないように動作させてもよい。
【0059】
〔第3の実施形態〕
次に、
図1、および
図3から
図5を参照して、本発明の第3の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0060】
第3の実施形態に係る移動通信システムは、フェムトセル基地局20が選択したバックホールの周波数や周波数番号(例えば、EARFCN)等を確認した後、第2周波数(アクセス周波数)を選択する際に、フェムトセル基地局20の周辺のRSRP(
Reference
Signal
Received
Power)が最も弱い周波数の選択を行う点が、第1の実施形態と異なる。RSRPは、信号の強さを現している。基地局ごとにID(Cell ID)を付して、どの基地局と通信しているかを表示する。Serving Cellでは通信中の基地局が判り、Neighbor Cellでは近くの基地局の信号の強さが判る。RSRPは、周囲の建物やアンテナとの距離によって変化するので、本実施形態では、例えば、フェムトセル基地局20の周辺のRSRPが最も弱い周波数の選択を行う。
【0061】
すなわち、第3の実施形態のフェムトセル基地局20は、第2周波数を選択する際に、フェムトセル基地局20の周辺のRSRPが最も弱い周波数の選択を行う。本実施形態のフェムトセル基地局20には、周辺のRSRPが最も弱い周波数の選択することにより、干渉制御、最適バックホール(BH)変更時の制御、アクセス(AC)周波数変更時の制御、及びループ防止制御を行う制御プログラムが実装されている。
【0062】
(干渉制御)
図1に示すように、フェムトセル基地局20は、第2無線通信で用いられる第2周波数(アクセス周波数)が第1無線通信で用いられる第1周波数(バックホール周波数)と異なり、かつ、フェムトセル基地局20の周辺のRSRPが最も弱い周波数を選択する。このような選択により、バックホール周波数とアクセス周波数との干渉を防止すると共に、アクセス周波数がエリアの改善を効果的に実施することができる。以下、第3の実施形態に係る移動通信システムにおける干渉制御について具体的に説明する。
【0063】
まず、フェムトセル基地局20は、当該フェムトセル基地局20の周辺を探索した後、その通信能力に応じて通信可能なバックホール無線を選択する。フェムトセル基地局20は、バックホール無線の選択後に、選択したバックホール無線の周波数帯や周波数番号(例えば、EARFCN)等を確認する。
【0064】
次に、フェムトセル基地局20は、選択したバックホール周波数と異なる周波数であって、フェムトセル基地局20の周辺のRSRPが最も弱い周波数をアクセス周波数として自動選択する。
【0065】
例えば、
図1に示すように、フェムトセル基地局20がバックホール無線の選択後に、選択したバックホールの周波数を確認すると、バックホール周波数がBand1であったとする。この場合は、アクセス周波数の候補からBand1を除外し、他のBand3、Band8、Band41、及びBand42の中から、フェムトセル基地局20の周辺のRSRPが最も弱い周波数をアクセス周波数として自動選択する。
【0066】
(最適BH変更時の制御)
フェムトセル基地局20は、近隣に最適なマクロセル基地局11が開局した場合にも、第1無線通信で用いられる第1周波数(バックホール周波数)と第2無線通信で用いられる第2周波数(アクセス周波数)とが異なるようにフェムトセル基地局20の周辺のRSRPが最も弱い周波数を選択して、バックホール周波数とアクセス周波数との干渉を防止する。以下、第3の実施形態に係る移動通信システムにおける最適BH変更時の制御について具体的に説明する。
【0067】
例えば、
図3(a)に示すように、フェムトセル基地局20がバックホール無線を選択した後に、選択したバックホール周波数を確認すると、バックホール周波数がBand1であったとする。さらに、フェムトセル基地局20がアクセス周波数の候補からBand1を除外し、他のBand3、Band8、Band41、及びBand42の中から、バックホール周波数と異なるようにフェムトセル基地局20の周辺のRSRPが最も弱い周波数Band41をアクセス周波数として自動選択していたとする。
【0068】
この接続状態において、
図3(b)に示すように、近隣にバックホール周波数をBand41とするマクロセル基地局11が開局したとする。Band41のマクロセル基地局11が開局しても、フェムトセル基地局20と移動機30は開局したマクロセル基地局11と同じ周波数帯域Band41でアクセス通信を行っているため、バックホール周波数とアクセス周波数とが同じになることを防止すべく、当初選択した周波数Band1のマクロセル基地局10との接続を継続する。
【0069】
また、
図3(c)に示すように、近隣にバックホールの周波数がBand3であるマクロセル基地局12が開局したとする。この周波数Band3は、移動機30のアクセス周波数のBand41とは異なるため、フェムトセル基地局20が当該周波数Band3を最適であると判断した場合は、フェムトセル基地局20は周波数Band3のマクロセル基地局32に接続を切り替える。
【0070】
(AC変更時の制御)
フェムトセル基地局20は、管理サーバ40から移動機30との間のアクセス周波数の切り替え指示があった場合にも、第1無線通信で用いられる第1周波数(バックホール周波数)と第2無線通信で用いられる第2周波数(アクセス周波数)とが異なるようにフェムトセル基地局20のバックホール周波数とアクセス周波数との干渉を防止する。以下、第3の実施形態に係る移動通信システムにおけるアクセス周波数変更時の制御について具体的に説明する。
【0071】
図4(a)に示すように、管理サーバ40は、フェムトセル基地局20が輻射するアクセス周波数の切り替えを変更指示できる。管理サーバ40がフェムトセル基地局20のアクセス周波数の切り替えの変更指示をしたとしても、フェムトセル基地局20は、アクセス周波数と異なるようにバックホール周波数を選択する。
【0072】
図4(a)に示すように、例えば、管理サーバ40からフェムトセル基地局20のアクセス周波数をBand1に切り替えるように変更指示がでる。次いで、フェムトセル基地局20がバックホール周波数とアクセス周波数との周波数を比較する。バックホール周波数とアクセス周波数が干渉するなどの問題がなければ、フェムトセル基地局20は管理サーバ40と通信連絡し、
図4(b)に示すように、バックホール周波数を変更する。
【0073】
(ループ防止制御)
フェムトセル基地局20は、第1無線通信で用いられる第1周波数(バックホール周波数)と第2無線通信で用いられる第2周波数(アクセス周波数)とが異なるように、かつ、フェムトセル基地局20の周辺のRSRPが最も弱い周波数を選択することにより、移動機10のアクセス無線をバックホール無線として誤認識してしまうループ現象を防止する。以下、第3の実施形態に係る移動通信システムにおけるアクセス周波数変更時の制御について具体的に説明する。
【0074】
図5(a)に示すように、フェムトセル基地局20は、マクロセル基地局10のバックホール無線の周波数を選択した後、選択したバックホール周波数を確認し、このバックホール周波数と異なるようにフェムトセル基地局20の周辺のRSRPが最も弱いアクセス周波数を自動選択する。したがって、アクセス無線をバックホール無線として誤認識してしまうループ現象を防止することができる。
また
図5(b)に示すように、フェムトセル基地局20は、アクセス周波数と同じ周波数帯や周波数番号(例えば、EARFCN)をマクロセル基地局10のバックホール周波数として選択しないように、フェムトセル基地局20の周辺のRSRPが最も弱い、かつ、アクセス周波数と異なる周波数をランダムに自動選択するので、ループ現象を防止することができる。
【0075】
以上説明したように、第3の実施形態に係る移動通信システムは、フェムトセル基地局20が第2周波数(アクセス周波数)を選択する際に、フェムトセル基地局20の周辺のRSRPが最も弱い周波数の選択を行う。したがって、第3の実施形態に係る移動通信システムによれば、バックホール周波数とアクセス周波数との干渉を防止するとともに、接続後におけるバックホール変更時やアクセス周波数変更の指示時にもアクセス周波数との干渉を防止することができる。かつ、第3の実施形態に係る移動通信システムによれば、移動機30と通信するアクセス無線をバックホール無線として誤認識するループ現象をも防止することができる。特に第3の実施形態に係る移動通信システムによれば、フェムトセル基地局20の周辺のRSRPが最も弱い周波数の選択を行うので、通信状態のよい周波数を選択できるという有利な効果を奏する。
【0076】
〔第4の実施形態〕
次に、
図1、および
図3から
図5を参照して、本発明の第4の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0077】
第4の実施形態に係る移動通信システムは、フェムトセル基地局20が選択したバックホール無線の周波数帯や周波数番号(例えば、EARFCN)等を確認した後、第2周波数(アクセス周波数)を選択する際に、周辺のRSRQ(Reference Signal Received Quality)が最も悪い周波数の選択を行う点が、第1の実施形態と異なる。RSRQは、信号の品質を現している。基地局ごとにID(Cell ID)を付して、どの基地局と通信しているかを表示する。Serving Cellでは通信中の基地局が判り、Neighbor Cellでは近くの基地局の信号の品質が判る。RSRQは、周囲の建物やアンテナとの距離によって変化するので、本実施形態では、例えば、フェムトセル基地局20の周辺のRSRQの最も悪い周波数の選択を行う。
【0078】
すなわち、第4の実施形態のフェムトセル基地局20は、第2周波数を選択する際に、フェムトセル基地局20の周辺のRSRQが最も悪い周波数の選択を行う。本実施形態のフェムトセル基地局20には、当該フェムトセル基地局20の周辺のRSRQが最も悪い周波数の選択することにより、干渉制御、最適バックホール(BH)変更時の制御、アクセス(AC)周波数変更時の制御、及びループ防止制御を行う制御プログラムが実装されている。
【0079】
(干渉制御)
図1に示すように、フェムトセル基地局20は、第2周波数(アクセス周波数)が第1無線通信で用いられる第1周波数(バックホール周波数)と異なり、かつ、フェムトセル基地局20の周辺のRSRQが最も悪い周波数を選択する。このような選択によりバックホール周波数とアクセス周波数との干渉を防止すると共に、RSRQが悪いアクセス周波数がエリアの改善を効果的に実施することができる。以下、第4の実施形態に係る移動通信システムにおける干渉制御について具体的に説明する。
【0080】
まず、フェムトセル基地局20は、当該フェムトセル基地局20の周辺を探索した後、その通信能力に応じて通信可能なバックホール無線を選択する。フェムトセル基地局20は、バックホール無線の選択後に、選択したバックホール無線の周波数帯や周波数番号(例えば、EARFCN)等を確認する。
【0081】
次に、フェムトセル基地局20は、選択したバックホール周波数と異なっており、かつ、フェムトセル基地局20の周辺のRSRQが最も悪い周波数を自動選択する。
【0082】
例えば、
図1に示すように、フェムトセル基地局20がバックホール無線を選択した後に、選択したバックホール周波数を確認すると、バックホール周波数がBand1であったとする。この場合は、アクセス周波数の候補からBand1を除外し、他のBand3、Band8、Band41、及びBand42の中から、フェムトセル基地局20の周辺のRSRQが最も悪い周波数をアクセス周波数として自動選択する。
【0083】
(最適BH変更時の制御)
フェムトセル基地局20は、近隣に最適なマクロセル基地局11が開局した場合にも、第1無線通信で用いられる第1周波数(バックホール周波数)と第2無線通信で用いられる第2周波数(アクセス周波数)とが異なるようにフェムトセル基地局20の周辺のRSRQが最も悪い周波数を選択して、バックホール周波数とアクセス周波数との干渉を防止する。以下、第4の実施形態に係る移動通信システムにおける最適BH変更時の制御について具体的に説明する。
【0084】
例えば、
図3(a)に示すように、フェムトセル基地局20がバックホール無線を選択した後に、選択したバックホール周波数を確認すると、バックホール周波数がBand1であったとする。さらに、フェムトセル基地局20がアクセス周波数の候補からBand1を除外し、他のBand3、B and8、Band41、及びBand42の中から、バックホール周波数と異なるように、かつ、フェムトセル基地局20の周辺のRSRQが最も悪い周波数Band41をアクセス周波数として自動選択していたとする。
【0085】
この接続状態において、
図3(b)に示すように、近隣にバックホール周波数をBand41とするマクロセル基地局11が開局したとする。Band41のマクロセル基地局11が開局しても、フェムトセル基地局20と移動機30は開局したマクロセル基地局11と同じ周波数帯域Band41でアクセス通信を行っているため、バックホール周波数とアクセス周波数とが同じになることを防止すべく、当初選択した周波数Band1のマクロセル基地局10との接続を継続する。
【0086】
また、
図3(c)に示すように、近隣にバックホールの周波数をBand3とするマクロセル基地局12が開局したとする。この周波数Band3は、移動機30のアクセス周波数のBand41とは異なるため、フェムトセル基地局20が当該周波数Band3を最適であると判断した場合は、フェムトセル基地局20は周波数Band3のマクロセル基地局32に接続を切り替える。
【0087】
(AC変更時の制御)
フェムトセル基地局20は、管理サーバ40からアクセス周波数の切り替え指示があった場合にも、第1無線通信で用いられる第1周波数(バックホール周波数)と第2無線通信で用いられる第2周波数(アクセス周波数)とが異なるように、かつ、周辺のRSRQが最も悪い周波数を選択して、バックホール周波数とアクセス周波数との干渉を防止する。以下、第4の実施形態に係る移動通信システムにおけるアクセス周波数変更時の制御について具体的に説明する。
【0088】
図4(a)に示すように、管理サーバ40は、フェムトセル基地局20のアクセス周波数の切り替えを変更指示できる。管理サーバ40がフェムトセル基地局20のアクセス周波数の切り替えの変更指示をしたとしても、フェムトセル基地局20は、アクセス周波数と異なるようにバックホール周波数を選択する。
【0089】
図4(a)に示すように、例えば、管理サーバ40からフェムトセル基地局20のアクセス周波数をBand1に切り替えるように変更指示がでる。次いで、フェムトセル基地局20がバックホール周波数とアクセス周波数との周波数を比較する。バックホール周波数とアクセス周波数が干渉するなどの問題がなければ、フェムトセル基地局20は管理サーバ40と連絡し、
図4(b)に示すように、バックホール周波数を変更する。
【0090】
(ループ防止制御)
フェムトセル基地局20は、第1無線通信で用いられる第1周波数(バックホール周波数)と第2無線通信で用いられる第2周波数(アクセス周波数)とが異なるように、かつ、フェムトセル基地局20の周辺のRSRQが最も悪い周波数を選択することにより、移動機10のアクセス無線をバックホール無線として誤認識してしまうループ現象を防止する。以下、第4の実施形態に係る移動通信システムにおけるアクセス周波数変更時の制御について具体的に説明する。
【0091】
図5(a)に示すように、フェムトセル基地局20は、マクロセル基地局10のバックホール無線の周波数を選択した後、選択したバックホール周波数を確認し、このバックホール周波数と異なるようにフェムトセル基地局20の周辺のRSRQが最も悪いアクセス周波数を自動選択する。したがって、アクセス無線をバックホール無線として誤認識してしまうループ現象を防止することができる。
図5(b)に示すように、フェムトセル基地局20は、アクセス周波数と同じ周波数帯や周波数番号(例えば、EARFCN)をマクロセル基地局10のバックホール周波数として選択しないように、フェムトセル基地局20の周辺のRSRQが最も悪く、かつ、異なる周波数をランダムに自動選択するので、ループ現象を防止することができる。
【0092】
以上説明したように、第4の実施形態に係る移動通信システムは、フェムトセル基地局20が第2周波数(アクセス周波数)を選択する際に、フェムトセル基地局20の周辺のRSRQが最も悪い周波数の選択を行う。したがって、第4の実施形態に係る移動通信システムによれば、バックホール周波数とアクセス周波数との干渉を防止するとともに、接続後におけるバックホール変更時やアクセス周波数変更の指示時にもアクセス周波数との干渉を防止することができる。かつ、第4の実施形態に係る移動通信システムによれば、アクセス無線をバックホール無線として誤認識するループ現象をも防止することができる。特に第4の実施形態に係る移動通信システムによれば、フェムトセル基地局20の周辺のRSRQが最も悪い周波数の選択を行うので、エリアを改善できるという有利な効果を奏する。
【0093】
〔第5の実施形態〕
次に、
図1、
図3から
図5を参照して、本発明の第5の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0094】
第5の実施形態に係る移動通信システムは、フェムトセル基地局20が選択したバックホール無線の周波数帯や周波数番号(例えば、EARFCN)等を確認した後、第2周波数(アクセス周波数)を選択する際に、圏外の周波数の選択を行う点が、第1の実施形態と異なる。
【0095】
すなわち、第5の実施形態のフェムトセル基地局20は、第2周波数を選択する際に、圏外の周波数の選択を行う。本実施形態のフェムトセル基地局20には、圏外の周波数を選択することにより、干渉制御、最適バックホール(BH)変更時の制御、アクセス(AC)周波数変更時の制御、及びループ防止制御を行う制御プログラムが実装されている。
【0096】
(干渉制御)
図1に示すように、フェムトセル基地局20は、第1無線通信で用いられる第1周波数(バックホール周波数)と第2無線通信で用いられる第2周波数(アクセス周波数)とが異なるように圏外の周波数を選択して、バックホール周波数とアクセス周波数との干渉を防止する。以下、第5の実施形態に係る移動通信システムにおける干渉制御について具体的に説明する。
【0097】
まず、フェムトセル基地局20は、当該フェムトセル基地局20の周辺を探索した後、その通信能力に応じて通信可能なバックホール無線を選択する。フェムトセル基地局20は、バックホール無線の選択後に、選択したバックホール無線の周波数帯や周波数番号(例えば、EARFCN)等を確認する。
【0098】
次に、フェムトセル基地局20は、アクセス周波数が、選択したバックホール周波数と異なるように圏外の周波数を自動選択する。
【0099】
例えば、
図1に示すように、フェムトセル基地局20がバックホール無線の選択後に、選択したバックホール周波数を確認すると、バックホール周波数がBand1であったとする。この場合は、アクセス周波数の候補からBand1を除外し、他のBand3、Band8、Band41、及びBand42の中から圏外の周波数をアクセス周波数として自動選択する。
【0100】
(最適BH変更時の制御)
フェムトセル基地局20は、近隣に最適なマクロセル基地局が開局した場合にも、第1無線通信で用いられる第1周波数(バックホール周波数)と第2無線通信で用いられる第2周波数(アクセス周波数)とが異なるように圏外の周波数を選択して、バックホール周波数とアクセス周波数との干渉を防止する。以下、第5の実施形態に係る移動通信システムにおける最適BH変更時の制御について具体的に説明する。
【0101】
例えば、
図3(a)に示すように、フェムトセル基地局20がバックホール無線を選択した後に、選択したバックホール周波数を確認すると、バックホール周波数がBand1であったとする。さらに、フェムトセル基地局20がアクセス周波数の候補からBand1を除外し、周波数が異なるように他のBand3、Band8、Band41、及びBand42の中から圏外の周波数Band41をアクセス周波数として自動選択していたとする。
【0102】
この接続状態において、
図3(b)に示すように、近隣にバックホール周波数がBand41であるマクロセル基地局11が開局したとする。Band41のマクロセル基地局11が開局しても、フェムトセル基地局20と移動機30は開局したマクロセル基地局11と同じ周波数帯域Band41でアクセス通信を行っているため、バックホール周波数とアクセス周波数とが同じになることを防止すべく、フェムトセル基地局20は当初選択した周波数Band1のマクロセル基地局10との接続を継続する。
【0103】
また、
図3(c)に示すように近隣にバックホールの周波数がBand3であるマクロセル基地局12が開局したとする。この周波数Band3は、移動機30のアクセス周波数のBand41とは異なるため、フェムトセル基地局20が当該周波数Band3を最適であると判断した場合は、フェムトセル基地局20は周波数Band3のマクロセル基地局32に接続を切り替える。
【0104】
(AC変更時の制御)
フェムトセル基地局20は、管理サーバ40からアクセス周波数の切り替え指示があった場合にも、第1無線通信で用いられる第1周波数(バックホール周波数)と第2無線通信で用いられる第2周波数(アクセス周波数)とが異なるように圏外の周波数を選択して、バックホール周波数とアクセス周波数との干渉を防止する。以下、第5の実施形態に係る移動通信システムにおけるアクセス周波数変更時の制御について具体的に説明する。
【0105】
図4(a)に示すように、管理サーバ40からフェムトセル基地局20にアクセス周波数の切り替えを変更指示できる。管理サーバ40がフェムトセル基地局20のアクセス周波数の切り替えの変更指示をしたとしても、フェムトセル基地局20は、アクセス周波数と異なるようにバックホール周波数を選択する。
【0106】
図4(a)に示すように、例えば、管理サーバ40からフェムトセル基地局20のアクセス周波数をBand1に切り替えるように変更指示がでると、フェムトセル基地局20は、バックホール周波数とアクセス周波数との周波数を比較する。バックホール周波数とアクセス周波数が干渉するなどの問題がなければ、フェムトセル基地局20は管理サーバ40と通信連絡し、
図4(b)に示すように、バックホール周波数を変更する。
【0107】
(ループ防止制御)
フェムトセル基地局20は、第1無線通信で用いられる第1周波数(バックホール周波数)と第2無線通信で用いられる第2周波数(アクセス周波数)とが異なるように圏外の周波数を選択して、アクセス無線をバックホール無線として誤認識してしまうループ現象を防止する。以下、第5の実施形態に係る移動通信システムにおけるアクセス周波数変更時の制御について具体的に説明する。
【0108】
図5(a)に示すように、フェムトセル基地局20は、マクロセル基地局10のバックホール周波数を選択した後、選択したバックホール周波数を確認し、このバックホール周波数と異なるように圏外の周波数を自動選択する。したがって、アクセス無線をバックホール無線として誤認識してしまうループ現象を防止することができる。
図5(b)に示すように、フェムトセル基地局20は、アクセス周波数と同じ周波数帯や周波数番号(例えば、EARFCN)をマクロセル基地局10のバックホール周波数として選択しないように、圏外の周波数を自動選択するので、ループ現象を防止することができる。
【0109】
以上説明したように、第5の実施形態に係る移動通信システムは、フェムトセル基地局20が第2周波数(アクセス周波数)を選択する際に、圏外の周波数の選択を行う。したがって、第5の実施形態に係る移動通信システムによれば、バックホール周波数とアクセス周波数との干渉を防止するとともに、バックホール変更時やアクセス周波数変更の指示時にもアクセス周波数との干渉を防止することができる。かつ、第5の実施形態に係る移動通信システムによれば、アクセス無線をバックホール無線として誤認識するループ現象をも防止することができる。特に第5の実施形態に係る移動通信システムによれば、圏外の周波数の選択を行うので、周波数の干渉が起きにくいという有利な効果を奏する。
【0110】
〔第6の実施形態〕
次に、
図1、
図3から
図5、および
図7を参照して、本発明の第6の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0111】
キャリアに割り当てられる周波数帯のなかには、比較的広帯域であって、同じ周波数帯の中で複数の周波数を選択可能な周波数帯がある。
図7は、そのような広帯域の周波数帯の例として、Band41を挙げている。
図7に示すように、周波数帯Band41は、同じ周波数帯域でありながら、互いに干渉することなく、相対的に低い周波数Low、相対的に高い周波数High、並びに周波数LowおよびHighの間の周波数Midを選択可能となっている。本第6の実施形態では、バックホール無線に係る第1周波数とアクセス無線に係る第2周波数とが同じ周波数帯内の異なる周波数であり、フェムトセル基地局20は、第1周波数と前記第2周波数とが異なるように、先に選択した周波数に隣接する、同じ周波数帯内の異なる周波数を選択するように動作する点が、第1の実施形態と異なる。ここで、隣接周波数の選択は、選択可能な周波数の中からなるべく遠い周波数を優先し、より隣接する周波数になるほど低優先とする。遠い周波数で他のフェムトセル基地局20が輻射しており、電界強度が高いなどのやむを得ない場合に隣接周波数を選択する。
【0112】
すなわち、第6の実施形態のフェムトセル基地局20は、
図7に示すように、同じ周波数帯Band41から第1周波数および第2周波数の少なくとも一方を選択する際に、先に選択した周波数に隣接する、同じ周波数帯の異なる周波数を選択する。本実施形態のフェムトセル基地局20には、同じ周波数帯内で隣接する周波数を選択することにより、干渉制御、最適バックホール(BH)変更時の制御、アクセス(AC)周波数変更時の制御、及びループ防止制御を行う制御プログラムが実装されている。
【0113】
(干渉制御)
図1に示すように、フェムトセル基地局20は、第1無線通信で用いられる第1周波数(バックホール周波数)と第2無線通信で用いられる第2周波数(アクセス周波数)とが異なるように先に選択したと同じ周波数の隣接周波数を選択して、バックホール周波数とアクセス周波数との干渉を防止する。以下、第6の実施形態に係る移動通信システムにおける干渉制御について具体的に説明する。
【0114】
まず、フェムトセル基地局20は、当該フェムトセル基地局20の周辺を探索した後、その通信能力に応じて通信可能なバックホール無線を選択する。フェムトセル基地局20は、バックホール無線の選択後に、選択したバックホール無線の周波数帯や周波数番号(例えば、EARFCN)等を確認する。
【0115】
次に、フェムトセル基地局20は、選択したバックホール周波数と異なるように、当該バックホール周波数と同じ周波数帯の隣接する周波数をアクセス周波数として自動選択する。
【0116】
例えば、
図7に示すように、フェムトセル基地局20がバックホール無線の選択後に、選択したバックホール周波数を確認すると、バックホール周波数がBand41中のLowであったとする。この場合は、アクセス周波数の候補から周波数Lowと同じBand41内で、極力周波数の離れた周波数Highを優先順位1番のアクセス周波数AC1として自動選択する。もしもアクセス周波数AC1の選択に不都合が生じた場合には、バックホール周波数Lowにより近い周波数Midを優先順位2番のアクセス周波数AC2として自動選択する。
【0117】
(最適BH変更時の制御)
フェムトセル基地局20は、近隣に最適なマクロセル基地局11が開局した場合にも、第1無線通信で用いられる第1周波数(バックホール周波数)と第2無線通信で用いられる第2周波数(アクセス周波数)とが異なるように先に選択した周波数に隣接する、同じ周波数帯内の異なる周波数を選択するか、または、干渉しない別の周波数帯を選択して、バックホール周波数とアクセス周波数との干渉を防止する。以下、第6の実施形態に係る移動通信システムにおける最適BH変更時の制御について具体的に説明する。
【0118】
例えば、
図7に示すように、フェムトセル基地局20がバックホール無線の選択後に、選択したバックホール周波数を確認すると、バックホール周波数がBand41のLowであったとする。さらに、フェムトセル基地局20がアクセス周波数の候補からBand41内の隣接周波数Highをアクセス周波数AC1として自動選択していたとする。
【0119】
この接続状態において、近隣にバックホール周波数をBand41のHighとするマクロセル基地局11が開局したとする。Band41の周波数Highのマクロセル基地局11が開局した場合、フェムトセル基地局20と移動機30は開局したマクロセル基地局11と干渉しないように、同じBand41内の別の選択可能な周波数Midに切り換える。
【0120】
(AC変更時の制御)
フェムトセル基地局20は、管理サーバ40から移動機30との間のアクセス周波数の切り替え指示があった場合にも、第1無線通信で用いられる第1周波数(バックホール周波数)と第2無線通信で用いられる第2周波数(アクセス周波数)とが異なるように先に選択した周波数に隣接する、同じ周波数帯の異なる周波数を選択して、バックホール周波数とアクセス周波数との干渉を防止する。以下、第6の実施形態に係る移動通信システムにおけるアクセス周波数変更時の制御について具体的に説明する。
【0121】
図4(a)に示すように、管理サーバ40は、フェムトセル基地局20にアクセス周波数の切り替えを変更指示できる。管理サーバ40がフェムトセル基地局20のアクセス周波数の切り替えの変更指示をしたとしても、フェムトセル基地局20は、アクセス周波数と異なるように当該アクセス周波数と同じ周波数帯内で異なる周波数を選択するか、または干渉しない別の周波数帯をバックホール周波数として選択する。
【0122】
図7に示すように、例えば、管理サーバ40からフェムトセル基地局20のアクセス周波数をBand41のHighに切り替えるように変更指示がでたとする。フェムトセル基地局20は、バックホール周波数とアクセス周波数との周波数を比較する。このとき例えば、バックホール周波数が同じ周波数帯Band41のLowであったとすると、バックホール周波数とアクセス周波数が干渉するなどの問題がないので、フェムトセル基地局20は管理サーバ40と連絡し、アクセス周波数をBand41のHighに切り換える。また例えば、バックホール周波数が同じ周波数帯Band41のHighであったとすると、バックホール周波数とアクセス周波数が干渉してしまうので、フェムトセル基地局20は管理サーバ40と連絡し、アクセス周波数をBand41のLowまたはMidに切り換えるか、別の干渉しない周波数帯に切り換える。
【0123】
(ループ防止制御)
フェムトセル基地局20は、第1無線通信で用いられる第1周波数(バックホール周波数)と第2無線通信で用いられる第2周波数(アクセス周波数)とが異なるように先に選択した周波数に隣接する、同じ周波数帯の異なる周波数を選択して、アクセス無線をバックホール無線として誤認識してしまうループ現象を防止する。以下、第6の実施形態に係る移動通信システムにおけるアクセス周波数変更時の制御について具体的に説明する。
【0124】
図5(a)に示すように、フェムトセル基地局20は、マクロセル基地局10のバックホールの周波数を選択した後、選択した周波数を確認し、このバックホール周波数と異なるように先に選択した周波数に隣接する、同じ周波数帯の異なる周波数を自動選択する。したがって、アクセス周波数をバックホール周波数として誤認識してしまうループ現象を防止することができる。
【0125】
また
図5(b)に示すように、フェムトセル基地局20は、アクセス周波数と同じ周波数帯や周波数番号(例えば、EARFCN)をマクロセル基地局10のバックホール周波数として選択しないように、アクセス周波数と同じ周波数に隣接する、同じ周波数帯の異なる周波数を自動選択するので、ループ現象を防止することができる。
【0126】
以上説明したように、第6の実施形態に係る移動通信システムは、フェムトセル基地局20が第1周波数(バックホール周波数)および第2周波数(アクセス周波数)の少なくとも一方を選択する際に、先に選択した周波数に隣接する、同じ周波数帯の異なる周波数の選択を行う。この隣接周波数の選択は、同じ周波数帯内で選択可能な周波数の中からなるべく遠い周波数を優先し、より隣接する周波数になるほど低優先とする。遠い周波数で他のフェムトセル基地局20が輻射しており、電界強度が高いなどのやむを得ない場合に隣接周波数を選択する。したがって、第6の実施形態に係る移動通信システムによれば、移動機30の起動時におけるバックホール周波数とアクセス周波数との干渉を防止するとともに、接続後におけるバックホール変更時やアクセス周波数変更の指示時にもアクセス周波数との干渉を防止することができる。かつ、第6の実施形態に係る移動通信システムによれば、アクセス周波数をバックホール周波数として誤認識するループ現象をも防止することができる。特に第6の実施形態に係る移動通信システムによれば、先に選択したと同じBandの隣接周波数の選択を行うので、周波数の干渉を容易に防止することができるという有利な効果を奏する。
【0127】
〔その他の実施の形態〕
上記のように本発明を実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。
【0128】
例えば、上記の実施形態におけるフェムトセル基地局は、基地局制御部と無線部とを統合した一体型基地局を例示して説明したが、フェムトセル基地局は基地局制御部と無線部とを分離した分離型基地局であっても構わない。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。