特許第6025921号(P6025921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6025921
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】スパークプラグ
(51)【国際特許分類】
   H01T 13/20 20060101AFI20161107BHJP
【FI】
   H01T13/20 B
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-124318(P2015-124318)
(22)【出願日】2015年6月22日
【審査請求日】2016年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上垣 裕則
(72)【発明者】
【氏名】黒野 啓一
(72)【発明者】
【氏名】北 淳平
【審査官】 澤崎 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/031232(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/105255(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 7/00 − 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側に接地電極を有する略筒状の主体金具と、
小径部と、前記小径部よりも径が大きく、前記小径部の後端に段部を介して接続する大径部と、を有する軸孔が内部に設けられ、前記主体金具内に保持される筒状の絶縁碍子と、
前記大径部内に配置される抵抗体と、
前記大径部内において径方向に張り出して前記段部に接触する鍔部と、前記鍔部から先端側に延び、前記小径部内に配置される脚部と、を有する中心電極と、
前記大径部内に配置され、前記中心電極と前記抵抗体とを電気的に接続するシール体と、
を備えるスパークプラグであって、
前記シール体は、導電性シール体と、前記絶縁碍子と接触する絶縁性シール体と、を備え
前記絶縁性シール体の熱膨張係数は、前記中心電極の熱膨張係数と前記絶縁碍子の熱膨張係数との間の値である
ことを特徴とするスパークプラグ。
【請求項2】
前記絶縁性シール体は、前記導電性シール体の先端向き面と接触する
ことを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグ。
【請求項3】
前記絶縁性シール体の比誘電率は、前記絶縁碍子の比誘電率よりも低い
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスパークプラグ。
【請求項4】
前記絶縁性シール体は、ガラスを主成分として含有し、前記中心電極に接触している
ことを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか一項に記載のスパークプラグ。
【請求項5】
前記絶縁性シール体は、非導電性の遷移金属酸化物を含有している
ことを特徴とする請求項1から請求項4までの何れか一項に記載のスパークプラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパークプラグに関する。
【背景技術】
【0002】
スパークプラグは、燃焼室内の混合気に点火するために、火花放電を発生させる部品である。スパークプラグの構造として、軸線に沿って延びる軸孔が内部に設けられた絶縁碍子と、絶縁碍子を内部に保持する主体金具と、軸孔内に保持される中心電極と、中心電極を軸孔内に保持するための導電性のシール体と、を備える構造が知られている(特許文献1)。特許文献1に開示された構造の場合、中心電極が、径方向に張り出した鍔部と、鍔部から後端側に突き出る頭部と、を備え、この構造を利用して、中心電極を絶縁碍子に保持している。具体的には、軸孔に設けられた段部に鍔部を突き当てることによって、中心電極が先端側に移動しないようにしている。さらに、頭部と鍔部との周囲にシール体を充填することによって、中心電極の耐衝撃性を確保することで、燃焼によって衝撃を受けても中心電極が緩み難いようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2012/105255号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スパークプラグは、繰り返しの火花放電に対する電極の耐久性が要求される。この耐久性を向上させるためには、主体金具と、絶縁碍子の内部に配置された導体との間の静電容量を低減することが有効である。この導体とは、シール体または中心電極のことである。静電容量の低減は、例えば、頭部を短くし、且つ、その分、シール体の軸線方向の高さを低くすることによって実現される。しかし、頭部を短くすると、シール体による保持力が低下するので、中心電極の耐衝撃性が低下して、中心電極が緩みやすくなってしまう。本願発明は、上記に鑑み、静電容量の低減と、中心電極の耐衝撃性の確保と、を両立することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、以下の形態として実現できる。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、先端側に接地電極を有する略筒状の主体金具と;小径部と、前記小径部よりも径が大きく、前記小径部の後端に段部を介して接続する大径部と、を有する軸孔が内部に設けられ、前記主体金具内に保持される筒状の絶縁碍子と;前記大径部内に配置される抵抗体と;前記大径部内において径方向に張り出して前記段部に接触する鍔部と、前記鍔部から先端側に延び、前記小径部内に配置される脚部と、を有する中心電極と;前記大径部内に配置され、前記中心電極と前記抵抗体とを電気的に接続するシール体と;を備えるスパークプラグが提供される。このスパークプラグは;前記シール体は、導電性シール体と、前記絶縁碍子と接触する絶縁性シール体と、を備えることを特徴とする。この形態によれば、シール体が導電性シール体と、絶縁碍子と接触する絶縁性シール体とを備えることによって、導電性シール体と絶縁性シール体とで中心電極を保持しつつ、導電性シール体を減量できる。よって、中心電極の耐衝撃性を確保しつつ、静電容量を減少させることができる。
【0007】
(2)上記形態において、前記絶縁性シール体は、前記導電性シール体の先端向き面と接触してもよい。この形態によれば、絶縁碍子との高さ方向の接触面積を確保することで静電容量を減少させることができる。
【0008】
(3)上記形態において、前記絶縁性シール体の比誘電率は、前記絶縁碍子の比誘電率よりも低くてもよい。この形態によれば、絶縁性シール体の比誘電率が絶縁体の比誘電率よりも低いことによって、静電容量が更に低下する。
【0009】
(4)上記形態において、前記絶縁性シール体は、ガラスを主成分として含有し、前記中心電極に接触していてもよい。この形態によれば、絶縁性シール体が中心電極に接触した部位において良好に固着するので、耐衝撃性が向上する。
【0010】
(5)上記形態において、前記絶縁性シール体は、非導電性の遷移金属酸化物を含有していてもよい。この形態によれば、絶縁性シール体の絶縁性を確保しつつ、絶縁性シール体と中心電極との固着が更に良好になる。
【0011】
(6)上記形態において、前記絶縁性シール体の熱膨張係数は、前記中心電極の熱膨張係数と前記絶縁碍子の熱膨張係数との間の値でもよい。絶縁性シール体の熱膨張係数は、製造時や使用時におけるクラックを抑制するために、中心電極の熱膨張係数からも絶縁碍子の熱膨張係数からも乖離しないことが好ましい。この形態によれば、この乖離を回避できる。
【0012】
本発明は、上記以外の種々の形態で実現できる。例えば、スパークプラグの製造方法の形態で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】スパークプラグを示す断面図。
図2】シール層付近の拡大断面図。
図3】スパークプラグの製造手順を示すフローチャート。
図4】抵抗体の基材の製造手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、スパークプラグ101を示す断面図である。スパークプラグ101は、主体金具1と、絶縁碍子2と、中心電極3と、接地電極4と、端子金具13とを備えている。図1において、スパークプラグ101の長手方向の中心を軸線Oとして表した。また軸線Oに沿って、接地電極4側をスパークプラグ101の先端側と呼び、端子金具13側を後端側と呼ぶ。
【0015】
主体金具1は、炭素鋼等の金属によって中空円筒状に形成されており、スパークプラグ101のハウジングを構成する。絶縁碍子2は、セラミック焼結体によって構成され、主体金具1の内部に先端側が収納されている。絶縁碍子2は、筒状の部材であり、内部には軸線Oに沿った軸孔6が形成されている。軸孔6の一方の端部側には端子金具13の一部が挿入及び固定され、他方の端部側には中心電極3が挿入及び固定されている。また、軸孔6内において、端子金具13と中心電極3との間には抵抗体15が配置されている。抵抗体15の両端部は、シール層16および端子金具側導電性ガラスシール層17を介して、中心電極3及び端子金具13にそれぞれ電気的に接続されている。
【0016】
抵抗体15は、端子金具13と中心電極3との間における電気抵抗として機能することによって、火花放電時の電波雑音(ノイズ)の発生を抑制する。抵抗体15は、セラミック粉末と導電材とガラスとバインダ(接着剤)とから構成されている。本実施形態において、抵抗体15は、後述する製造手順を経て製造される。
【0017】
中心電極3は、先端に発火部31が形成されており、発火部31が露出した状態で軸孔6に配置されている。接地電極4は、一端が主体金具1に溶接されている。また、接地電極4の他端側は側方に曲げ返され、その先端部32が中心電極3の発火部31に間隙を介して対向するように配置されている。
【0018】
上記構成を有するスパークプラグ101の主体金具1の外周には、ねじ部5が形成されている。スパークプラグ101は、ねじ部5を用いて、エンジンのシリンダヘッドに装着される。
【0019】
図2は、シール層16付近の拡大断面図である。軸孔6は、大径部6wと、小径部6nとを備える。大径部6wは、小径部6nよりも内径が大きい。大径部6wは、段部6sを備え、小径部6nの後端に段部6sを介して接続する。
【0020】
中心電極3は、鍔部3Fと、脚部3Lと、頭部3Hとを備える。鍔部3Fは、大径部6w内において径方向に張り出して、段部6sに突き当てられている。脚部3Lは、鍔部3Fから先端側に延び、小径部6n内に配置される。頭部3Hは、鍔部3Fから後端側に延びる。
【0021】
シール層16は、導電性ガラスシール層16aと、絶縁性ガラスシール層16bとによって構成されている。導電性ガラスシール層16aは、頭部3Hと抵抗体15とに接触することで、中心電極3と抵抗体15との電気的な接続を実現する。
【0022】
絶縁性ガラスシール層16bは、絶縁碍子2と中心電極3と導電性ガラスシール層16aとに接触する。絶縁碍子2における絶縁性ガラスシール層16bとの接触部位は、大径部6w及び段部6sである。中心電極3における絶縁性ガラスシール層16bとの接触部位は、頭部3Hと鍔部3Fとである。抵抗体15における絶縁性ガラスシール層16bとの接触部位は、先端向き面である。このように、シール層16は、後端側に導電性ガラスシール層16a、先端側に絶縁性ガラスシール層16bが配置された2層構造を有する。
【0023】
絶縁性ガラスシール層16bの主成分は、ガラスである。主成分とは、最も含有率の高い物質のことである。絶縁性ガラスシール層16bは、酸化ニッケル(II)(NiO)と二酸化チタン(TiO2)との少なくとも何れかを含有している。酸化ニッケル(II)及び二酸化チタンは何れも、非導電性の遷移金属酸化物である。つまり、絶縁性ガラスシール層16bは、非導電性の遷移金属酸化物を含有している。
【0024】
絶縁性ガラスシール層16bの比誘電率は、絶縁碍子2の比誘電率よりも低い。本実施形態においては、絶縁性ガラスシール層16bの比誘電率は5.5であり、絶縁碍子2の比誘電率は8.5である。
【0025】
絶縁性ガラスシール層16bの熱膨張係数は、絶縁碍子2と、中心電極3の熱膨張係数との間の値である。本実施形態においては、絶縁碍子2の熱膨張係数は7.2×10-6/℃であり、中心電極3の熱膨張係数は12×10-6/℃である。よって、絶縁性ガラスシール層16bの熱膨張係数は、7.2×10-6/℃を超え、且つ12×10-6/℃未満の任意の値である。
【0026】
絶縁性ガラスシール層16bの熱膨張係数は、スパークプラグ101から絶縁性ガラスシール層16bのみを切り出して測定することができる。熱膨張係数の測定には、例えば、熱機械分析(TMA:Thermo-mechanical Analysis)を用いる。
【0027】
ここで、シール層16の軸線O方向先端から軸線O方向後端までにおいて形成されるコンデンサの静電容量C1について説明する。このコンデンサは、主体金具1と、絶縁碍子2の内部に配置された導体(以下、内部導体という)とによって形成される。内部導体は、具体的には、導電性ガラスシール層16a及び中心電極3である。
【0028】
静電容量C1は、C1=C3+C16aと表記できる。静電容量C3は、内部導体を中心電極3と、導電性ガラスシール層16aとの何れかとし、誘電体を絶縁碍子2及び絶縁性ガラスシール層16bとするコンデンサの静電容量である。静電容量C16aは、内部導体を導電性ガラスシール層16aとし、誘電体を絶縁碍子2とするコンデンサの静電容量である。静電容量C3,C16aは、並列接続の関係にあるので、上記のように加算すると、合成値としての静電容量C1に等しくなる。
【0029】
一般的に、同軸円筒形状のコンデンサの静電容量Cは、C=2πεL/log(b/a)で算出される。Lは円筒の軸線方向の長さ、εは比誘電率、aは円筒の内径、bは円筒の外径を示す。よって、比誘電率εが小さければ小さいほど、また、外径bが一定ならば、内径aが小さければ小さいほど、静電容量Cは小さくなる。
【0030】
シール層16全体が導電性ガラスシール層16aによって形成された比較例に比較した場合、静電容量C3に対応するコンデンサは、内径aに相当する頭部3H及び鍔部3Fの外径が小さい。よって、静電容量C3は、この比較例において、同じ軸線Oの位置におけるコンデンサの静電容量に比べて、値が小さい。この結果、静電容量C1も、比較例に比べて値が小さくなる。
【0031】
さらに、先述した絶縁性ガラスシール層16bの比誘電率が絶縁碍子2の比誘電率よりも低いことは、静電容量C3の減少に貢献している。
【0032】
図3は、スパークプラグ101の製造手順を示すフローチャートである。まず、抵抗体15の基材を製造する(S105)。
【0033】
図4は、抵抗体15の基材の製造手順を示すフローチャートである。まず、材料を湿式ボールミルによって混合する(S205)。この材料とは、セラミック粉末と、導電材と、バインダとである。セラミック粉末は、例えば、ZrO2及びTiO2を含むセラミック粉末である。導電材は、例えば、カーボンブラックである。バインダ(有機バインダ)は、例えば、ポリカルボン酸等の分散剤である。これらの材料に溶媒としての水を加えて湿式ボールミルを用いて攪拌して混合する。このとき、各材料は混合されるが、各材料の分散度合いは比較的低い。
【0034】
次に、混合後の各材料を、高速剪断ミキサによって分散させる(S210)。高速剪断ミキサとは、ブレード(攪拌羽根)による強力な剪断力によって材料を大きく分散させながら混合するミキサである。高速剪断ミキサは、例えば、アキシャルミキサ(Axial mixer)である。
【0035】
次に、S210によって得られた材料を、すぐにスプレードライ法によって造粒する(S215)。S215で得られた粉体にガラス(粗粒ガラス粉末)に水を加えて混合し(S220)、乾燥させることで(S225)、抵抗体15の基材(粉体)が完成する。なお、先述のS220の混合に用いる混合器としては、例えば、万能混合器を用いることができる。
【0036】
次に、図3に示すように、絶縁碍子2の軸孔6に中心電極3を挿入する(S110)。続いて、絶縁性ガラス粉末を充填して圧縮する(S113)。この圧縮は、例えば、軸孔6に棒状の冶具を挿入し、堆積した絶縁性ガラス粉末を押すことによって実現する。この治具は、頭部3Hとの干渉を避けるために、圧縮面に凹みが設けられている。この凹みは、内径が頭部3Hの外径よりも大きく、深さが頭部3Hの長さよりも深い。絶縁性ガラス粉末の層は、後述する加熱圧縮工程を経て、絶縁性ガラスシール層16bとなる。
【0037】
次に、導電性ガラス粉末を軸孔6に充填して圧縮する(S115)。この圧縮は、例えば、軸孔6に棒状の冶具を挿入し、堆積した導電性ガラス粉末を押すことによって実現する。S115に用いる治具は、頭部3Hと干渉することは無いので、凹みが設けられていない。導電性ガラス粉末の層は、後述する加熱圧縮工程を経て、導電性ガラスシール層16aとなる。導電性ガラス粉末は、例えば、銅粉末とホウケイ酸カルシウムガラス粉末とを混合した粉末である。
【0038】
次に、抵抗体15の基材(粉体)を、軸孔6に充填して圧縮し(S120)、さらに、導電性ガラス粉末を軸孔6に充填して圧縮する(S125)。S120によって形成される粉末の層は、後述する加熱圧縮工程を経て、抵抗体15となる。同様に、S125によって形成される粉末の層は、後述する加熱圧縮工程を経て、端子金具側導電性ガラスシール層17となる。なお、S125において用いられる導電性ガラス粉末は、S115で用いた導電性ガラス粉末と同じ粉末である。また、S120,S125における圧縮方法は、S115における圧縮方法と同じ方法である。
【0039】
次に、端子金具13の一部を軸孔6に挿入して、絶縁碍子2全体を加熱しながら端子金具13側から所定の圧力を加える(S130)。この加熱圧縮工程によって、軸孔6に充填された各材料が圧縮及び焼成されて、軸孔6内に、導電性ガラスシール層16aと、絶縁性ガラスシール層16bと、端子金具側導電性ガラスシール層17と、抵抗体15とが形成される。先述したように導電性ガラスシール層16a及び絶縁性ガラスシール層16bは、シール層16を形成する。
【0040】
先述したように絶縁性ガラスシール層16bの熱膨張係数が、絶縁碍子2と、中心電極3の熱膨張係数との間の値であるので、S130におけるクラックの発生が抑制されている。
【0041】
次に、主体金具1に接地電極を接合し(S135)、絶縁碍子2を主体金具1に挿入して(S140)、主体金具1を加締める(S145)。S145の加締め工程によって、絶縁碍子2が主体金具1に固定される。次に、主体金具1に接合された接地電極の先端が曲げ加工され(S150)、接地電極4が完成する。その後、ガスケット(図示しない)が主体金具1に取り付けられ(S155)、スパークプラグ101が完成する。
【0042】
本発明は、本明細書の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現できる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、先述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、先述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことができる。その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除できる。例えば、以下のものが例示される。
【0043】
絶縁性ガラスシール層16bは、絶縁碍子2と接触するならば、どこに配置されてもよい。例えば、3層構造でもよい。この3層構造とは、先端側に1層目として導電性ガラスシール層16aを配置し、後端側に3層目として導電性ガラスシール層16aを配置し、1層目および3層目の間に2層目として絶縁性ガラスシール層16bを配置する構造である。このように配置された絶縁性ガラスシール層16bであっても、静電容量C1を減少させることに貢献する。
【0044】
或いは、導電性ガラスシール層16aと絶縁性ガラスシール層16bとを径方向に積層してもよい。例えば、導電性ガラスシール層16aを内層とし、絶縁性ガラスシール層16bを外層として積層してもよい。この場合、導電性ガラスシール層16aは、主体金具1に接触してもよいし、接触しなくてもよい。
【0045】
導電性ガラスシール層16aの材料として、銅粉末以外の導電性物質を用いてもよいし、ホウケイ酸カルシウムガラス粉末以外のガラス粉末を用いてもよい。例えば、導電性物質として、カーボンブラックやグラファイトの粉末を用いてもよい。
【0046】
中心電極3の熱膨張係数は、絶縁碍子2の熱膨張係数より小さくてもよい。この場合、絶縁性ガラスシール層16bの熱膨張係数は、絶縁碍子2と、中心電極3の熱膨張係数との間の値として、中心電極3の熱膨張係数を超え、且つ、絶縁碍子2の熱膨張係数未満でもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…主体金具
2…絶縁碍子
3…中心電極
3F…鍔部
3H…頭部
3L…脚部
4…接地電極
5…ねじ部
6…軸孔
6n…小径部
6s…段部
6w…大径部
13…端子金具
15…抵抗体
16…シール層
16a…導電性ガラスシール層
16b…絶縁性ガラスシール層
17…端子金具側導電性ガラスシール層
31…発火部
32…先端部
101…スパークプラグ
【要約】
【課題】静電容量の低減と、中心電極の耐衝撃性の確保と、を両立すること。
【解決手段】スパークプラグは、主体金具と、絶縁碍子と、抵抗体と、中心電極と、シール体と、を備える。主体金具は、先端側に接地電極を有する略筒状の部材である。絶縁碍子は、小径部と、小径部よりも径が大きく、小径部の後端に段部を介して接続する大径部と、を有する軸孔が内部に設けられ、主体金具内に保持される筒状の部材である。抵抗体は、大径部内に配置される。中心電極は、大径部内において径方向に張り出して段部に接触する鍔部と、鍔部から先端側に延び、小径部内に配置される脚部と、を有する。シール体は、大径部内に配置され、中心電極と抵抗体とを電気的に接続する。シール体は、絶縁碍子と接触する絶縁性シール体と、導電性シール体と、を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4