(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、冷却空気は、その流速を高めるほど、熱伝達率が高くなる。言い換えれば、冷却空気の流速が高いほど冷却能力を高めることができる。この冷却空気の流速を高めるためには、高圧の冷却空気を供給する必要がある。しかしながら、高圧の冷却空気を供給することになると、翼付根部側での漏れ流れが多くなるため、冷却空気の供給量が増大してしまう。上記のとおりガスタービン動翼において冷却媒体となる冷却空気は、例えば、圧縮機から抽気して生成される。このように圧縮機から抽気された空気は、タービンを回転させる仕事に使われることなくタービン動翼などの冷却に用いられる。すなわち、ガスタービンの性能を向上させるためには、タービン動翼に用いられる冷却媒体の量を最小限に抑える必要がある。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、冷却媒体の供給量を最小限に抑えつつ、効果的に冷却を行うことが可能なタービン動翼、及び、ガスタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の第一態様によれば、タービン動翼は、前縁と後縁とを有し、これら前縁と後縁との間に正圧面及び負圧面を有する翼本体を備え、前記翼本体は、前記翼本体の前記正圧面及び負圧面に沿って延びる内周壁によって区画形成されて冷却媒体が流れる冷却通路を備え、前記冷却通路は、前記前縁に近設された前縁側冷却通路と、前記後縁に近設された後縁側冷却通路と、前記前縁側冷却通路と前記後縁側冷却通路との間に設けられて、これら前縁側冷却通路及び後縁側冷却通路とそれぞれ仕切壁によって区画された中間冷却通路と、を備え、前記前縁側冷却通路及び前記後縁側冷却通路を流れる冷却媒体の流速が、前記中間冷却通路を流れる冷却媒体の流速より大きくなるように、前記中間冷却通路を流れる冷却媒体の流れを妨げる機構が設けられて
おり、前記前縁側冷却通路及び前記後縁側冷却通路の流路断面積が、前記中間冷却通路の流路断面積よりも小さい。
このように構成することで、翼本体の基部から翼端に向かい前縁側通路を流れる冷却媒体をチップシュラウドの第一排出通路を介して外部に排出できる。さらに、翼本体の基部から翼端に向かい後縁側冷却通路を流れる冷却媒体をチップシュラウドの第二排出通路を介して外部に排出できる。加えて、翼本体の基部から翼端に向かい中間冷却通路を流れる冷却媒体を、第三排出通路を介して外部に排出できる。そのため、前縁側通路や後縁側冷却通路に流れる冷却媒体の流速を高めて、相対的に高温となる前縁及び後縁を重点的に冷却できる。さらに、前縁と後縁との間の相対的に低温となる部分に関しては、中間冷却通路を流れる冷却媒体の流速を低下させて、過剰な冷却媒体の供給を抑制できる。その結果、冷却媒体の供給量を最小限に抑制しつつ、翼本体を効果的に冷却することができる。
また、第一態様のタービン動翼は、前記翼本体の翼端に設けられるチップシュラウドを備え、前記チップシュラウドは、前記前縁側冷却通路を流れる冷却媒体を排出する第一排出通路と、前記後縁側冷却通路を流れる冷却媒体を排出する第二排出通路と、前記中間冷却通路を流れる冷却媒体を排出する第三排出通路と、を備え
、前記第一排出通路及び前記第二排出通路の通路長よりも、前記第三排出通路の通路長が長くてもよい。
【0007】
この発明の第二態様によれば、タービン動翼は、第一態様における第一排出通路が、前記チップシュラウドを翼高さ方向に貫通する
とともに、前記前縁側冷却通路を翼高さ方向に延長するように延びていてもよい。
このように構成することで、第一排出通路をより短く形成できる。そのため、前縁側通路を流れる冷却媒体の圧損が増大することを抑制して、冷却媒体の流速が低下することを抑制できる。その結果、翼本体の前縁を効率よく冷却できる。
【0008】
この発明の第三態様によれば、タービン動翼は、第一又は第二態様における第二排出通路が、前記チップシュラウドを翼高さ方向に貫通する
とともに、前記後縁側冷却通路を翼高さ方向に延長するように延びていてもよい。
このように構成することで、第二排出通路をより短く形成できる。そのため、後縁側冷却通路を流れる冷却媒体の圧損が増大することを抑制して、冷却媒体の流速が低下することを抑制できる。その結果、翼本体の後縁を効率よく冷却できる。
【0009】
この発明の第四態様によれば、タービン動翼は、第一から第三態様の何れか一つの態様における第三排出通路が、翼高さ方向と交差する方向に延びる通路本体部を備え、前記通路本体部が、前記チップシュラウドの側面に開口するようにしてもよい。
このように構成することで、中間冷却通路を流れる冷却媒体が第三排出通路を通じて外部に排出される途中で、第三排出通路を流れる冷却媒体によりチップシュラウドを冷却することができる。
さらに、第一排出通路や第二排出通路と比較して第三排出通路を長くできるため、圧損を増大して中間冷却通路を流れる冷却媒体の流速を低下させることができる。そのため、前縁及び後縁と、これら前縁及び後縁の間とに生じる温度差を抑制して、熱反り等を低減することができる。
【0010】
この発明の第五態様によれば、タービン動翼は、第四態様における第三排出通路が、前記中間冷却通路に連通されるとともに前記中間冷却通路よりも流路断面積が大きいキャビティ部を備え、前記通路本体部が、前記キャビティ部から前記翼高さ方向と交差する方向に延びて前記チップシュラウドの側面に開口するようにしてもよい。
このように構成することで、チップシュラウドに第三排出通路を容易に形成することができる。
【0011】
この発明の第六態様によれば、ガスタービンは、第一から第五態様の何れか一つの態様のタービン動翼を備えている。
このように構成することで、タービン動翼を冷却するための冷却空気量を低減できるため、効率を向上することができる。
【発明の効果】
【0012】
上記タービン動翼、及び、ガスタービンによれば、冷却空気量の増大を抑制しつつ、効率よく冷却できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第一実施形態)
次に、この発明の第一実施形態におけるタービン翼、及び、ガスタービンを図面に基づき説明する。
図1は、この発明の第一実施形態におけるガスタービンの模式的な断面図である。
図1に示すように、この実施形態のガスタービン10は、圧縮機20と、燃焼器30と、タービン40とを備えている。
【0015】
以下の説明においては、軸線Arが延びる方向を軸方向Daとする。さらに、この軸線Arを中心とした周方向を単に周方向Dcとする。さらに、軸線Arに対して垂直な方向を径方向Drとする。さらに、軸方向Daでタービン40を基準にして圧縮機20側を上流側Dau、その反対側を下流側Dadとする。さらに、径方向Drで軸線Arに近づく側を径方向内側Dri、その反対側を径方向外側Droとする。
【0016】
圧縮機20は、空気Aを圧縮して燃焼器30に供給する。この圧縮機20は、圧縮機ロータ21と、圧縮機車室25と、複数列の動翼列23と、複数列の静翼列26と、IGV(inlet guide vane)27とを備えている。
【0017】
圧縮機ロータ21は、軸線Arを中心として回転する。この圧縮機ロータ21は、ロータ軸22と、複数列の動翼列23と、を備えている。ロータ軸22は、軸線Arを中心として軸方向Daに延びる。動翼列23は、軸方向Daに配設されている。これら動翼列23は、周方向Dcに複数の動翼23aをそれぞれ備えている。これら複数の動翼23aは、ロータ軸22に取り付けられている。
【0018】
圧縮機車室25は、圧縮機ロータ21を覆っている。
複数列の静翼列26は、動翼列23の下流側Dadに、それぞれ配設されている。これら静翼列26は、圧縮機車室25と圧縮機ロータ21との間に配され、周方向Dcに複数の静翼26aをそれぞれ備えている。
IGV27は、圧縮機車室25の吸込み口に設けられる。このIGV27は、圧縮機車室25内に吸い込まれる空気Aの流量を調整する。IGV27は、複数のガイドベーン28と、これら複数のガイドベーン28を駆動する駆動器29と、を備えている。
【0019】
燃焼器30は、圧縮機20で圧縮された空気中で燃料を燃焼させて、高温・高圧の燃焼ガスを生成する。この燃焼ガスは、タービン40に供給される。
【0020】
タービン40は、燃焼器30により生成された燃焼ガスを用いて駆動する。このタービン40は、タービンロータ41と、タービン車室45と、複数列の動翼列43と、複数列の静翼列46と、を備えている。
タービンロータ41は、軸線Arを中心として回転する。このタービンロータ41と、上述した圧縮機ロータ21とは、同一軸線Ar上に位置し、互いに接続されている。これらタービンロータ41と圧縮機ロータ21とによって、ガスタービンロータ11が構成されている。ガスタービンロータ11は、例えば、発電機GENのロータ等に接続される。
【0021】
タービン車室45は、タービンロータ41を覆う。このタービン車室45と、圧縮機車室25とは、互いに接続されている。これらタービン車室45と圧縮機車室25とによって、ガスタービン車室15が構成されている。
【0022】
図2は、この発明の第一実施形態におけるガスタービンの要部断面図である。
図2に示すように、タービンロータ41は、ロータ軸42と、複数の動翼列43と、を備えている。
ロータ軸42は、軸線Arを中心として軸方向Daに延びる。
複数の動翼列43は、軸方向Daに配設されている。この実施形態におけるタービンロータ41は、四列の動翼列43を備えている。これら動翼列43は、周方向Dcに並ぶ複数の動翼(タービン動翼)43aをそれぞれ備えている。これら複数の動翼43aは、ロータ軸42に取り付けられている。
【0023】
複数列の静翼列46は、動翼列43の上流側Dauに、それぞれ配設されている。これら複数列の静翼列46は、周方向Dcに複数の静翼46aをそれぞれ備えている。
【0024】
タービン車室45は、外側車室45aと、内側車室45bと、複数の分割環45cと、を備えている。
外側車室45aは、タービン車室45の外殻をなす筒状に形成されている。
内側車室45bは、外側車室45aの内側にあり、複数の円環により筒状に形成されている。内側車室45bは、外側車室45aに固定されている。
分割環45cは、内側車室45bの内側にあり、軸方向Daで隣り合う静翼列46同士の間に配設される。言い換えれば、分割環45cの径方向内側Driには、動翼列43が配設されている。
【0025】
ロータ軸42とタービン車室45との間には、静翼46a及び動翼43aが配置される環状の空間が形成される。この環状の空間は、燃焼器30から供給された燃焼ガスGが流れる燃焼ガス流路49となっている。
【0026】
ロータ軸42は、冷却空気を流すための冷却空気通路42pが形成されている。この冷却空気通路42pを通った冷却空気は、動翼43aの内部に導入されて、この動翼43aの冷却に利用される。
【0027】
同様に、内側車室45bは、冷却空気を流すための冷却空気通路45pが形成されている。この冷却空気通路45pは、内側車室45bを径方向外側Droから径方向内側Driに貫通している。この冷却空気通路45pを通った冷却空気は、静翼46aの内部及び分割環45cの内部に導入されて、これら静翼46a及び分割環45cの冷却に利用される。
【0028】
ここで、冷却空気通路45pを通じて静翼46aの内部に冷却空気が導入される場合について説明した。しかし、静翼列46によっては、ガスタービン車室15内の空気が冷却空気として、車室の冷却空気通路45pを経ずに、静翼列46を構成する静翼46aに供給される場合もある。
【0029】
図3は、この発明の第一実施形態における
図2のIII−III線に沿う断面図である。
図4は、この発明の第一実施形態における動翼のキャンバーラインに沿う断面である。
図3に示す動翼43aは、例えば、上述した四列設けられた動翼列43のうち、上流側から見て三列目の動翼列43を構成する動翼43aである。
図4に示すように、動翼43aは、翼根50と、翼本体51と、チップシュラウド52と、を備えている。
【0030】
図3に示すように、翼本体51は、凸面状の負圧面53と、凹面状の正圧面54と、前縁55と、後縁56と、を備えている。前縁55は、翼型中心線であるキャンバーラインCの延びる方向で最も上流側Dauの端部であり、後縁は、キャンバーラインCの延びる方向で最も下流側Dadの端部である。翼本体51は、負圧面53と正圧面54とが前縁55及び後縁56を介して連続してなる翼型断面となっている。この三列目の動翼列43の備える動翼43aの翼本体51は、一列目や二列目の動翼列43の動翼43aの翼本体51と比較して、翼高さH(
図2参照)が大きい。さらに、翼本体51は、翼根50から翼端57に向かって漸次幅が小さくなるテーパー状に形成されている。
【0031】
動翼43aは、その内部に第一冷却通路部58と、第二冷却通路部59と、柱部60と、を備えている。第一冷却通路部58は、前縁55に近設されている。第二冷却通路部59は、後縁56に近設されている。これら第一冷却通路部58と第二冷却通路部59は、
図4に示すように、上述した翼型断面と交差する方向である翼高さ方向(径方向Dr)に延びている。さらに、第一冷却通路部58と第二冷却通路部59は、動翼43aの翼根50(基部)から翼端57(端部)に至るように貫通している。
【0032】
また、第一冷却通路部58の内部と第二冷却通路部59の内部は、翼根50側で冷却空気通路42pと連通している。これにより、冷却空気通路42pの冷却空気が、動翼43aの翼根50側から第一冷却通路部58及び第二冷却通路部59に流入する。この第一冷却通路部58及び第二冷却通路部59に流入した冷却空気は、翼根50から翼端57に流れて、動翼43aの翼根50から翼端57までの翼高さ方向の全域を冷却する。
【0033】
柱部60は、第一冷却通路部58と第二冷却通路部59との間に設けられている。この柱部60は、翼本体51の翼根50と翼端57との間を連続するように形成されている。さらに、柱部60は、負圧面53と、正圧面54との間に渡るように形成されている。この第一実施形態における柱部60は、翼本体51と同様に、翼端57に近づくにつれて漸次幅が小さくなるテーパー状に形成されている。ここで、上述した柱部60において、キャンバーラインCに沿う方向を幅方向と称している。
【0034】
第一冷却通路部58は、複数の冷却通路63により構成される。これら複数の冷却通路63は、柱部60と前縁55との間に設けられ、翼高さ方向に延びている。さらに、これら第一冷却通路部58を構成する冷却通路63は、キャンバーラインCに沿って設けられている。この第一実施形態において第一冷却通路部58は、二つの冷却通路63を備えている。以下、二つの冷却通路63のうち、前縁55に近い冷却通路63を前縁側冷却通路64と称し、柱部60に近い冷却通路63を柱側冷却通路65(中間冷却通路)と称する。
【0035】
第一冷却通路部58の前縁側冷却通路64と柱側冷却通路65との間には、仕切壁70が形成されている。この仕切壁70は、キャンバーラインC方向の幅が、上述した柱部60の幅と比較して十分に小さく形成されている。
【0036】
第二冷却通路部59は、第一冷却通路部58と同様に、複数の冷却通路63により構成される。これら複数の冷却通路63は、柱部60と後縁56との間に設けられ、翼高さ方向に延びている。さらに、これら第二冷却通路部59を構成する冷却通路63は、キャンバーラインCに沿って設けられている。この第一実施形態において第二冷却通路部59は、二つの冷却通路63を備えている。以下、二つの冷却通路63のうち、後縁56に近い冷却通路63を後縁側冷却通路67と称し、柱部60に近い冷却通路63を柱側冷却通路66(中間冷却通路)と称する。
【0037】
第二冷却通路部59の後縁側冷却通路67と柱側冷却通路66との間には、第一冷却通路部58と同様に、仕切壁70が形成されている。この仕切壁70は、キャンバーラインC方向の幅が、上述した柱部60の幅と比較して十分に小さく形成され、第一冷却通路部58の仕切壁70と同等の幅とされている。
【0038】
ここで、柱部60の幅や、キャンバーラインC方向における柱部60の配置は、前縁55及び後縁56と、キャンバーラインC方向における翼本体51の中間部Mとの間に生じ得る温度差に応じて設定される。
例えば、前縁55及び後縁56と、中間部Mとの間に生じ得る温度差が大きくなると想定される場合に、キャンバーラインC方向における柱部60の幅を拡大することで、上記温度差を抑制できる。これは、柱部60が配置される箇所の冷却が妨げられて、温度低下が抑制されるためである。
【0039】
さらに、前縁55及び後縁56と、中間部Mとの間に生じ得る温度差が大きいと想定される場合には、キャンバーラインC方向における中間部Mのうち、特に低温となる箇所を中心にして柱部60を配置してもよい。このようにすることで、温度低下が生じ易い箇所が温度低下することを効率よく抑制できる。
【0040】
第一冷却通路部58において、前縁側冷却通路64の流路断面積は柱側冷却通路65の流路断面積よりも小さくなっている。前縁側冷却通路64と柱側冷却通路65とには、それぞれ冷却空気が供給される。柱側冷却通路65は、翼根50側又は翼端57側に冷却空気の流れを妨げる機構を有している。例えば、この機構としては、翼根50側に設けられるオリフィスや翼端57に設けられるチップシュラウド52のキャビティ部である。そのため、前縁側冷却通路64を流れる冷却空気の流速は、柱側冷却通路65を流れる冷却空気の流速よりも高い。言い換えれば、第一冷却通路部58においては、前縁側冷却通路64を流れる冷却空気の熱伝達率が、柱側冷却通路65を流れる冷却空気の熱伝達率よりも高くなるため、前縁側冷却通路64は、柱側冷却通路65よりも冷却能力が高くなる。
【0041】
第二冷却通路部59は、第一冷却通路部58と同様に、後縁側冷却通路67の流路断面積が第二冷却通路部59の柱側冷却通路66の流路断面積よりも小さい。後縁側冷却通路67と柱側冷却通路66とには、それぞれ冷却空気が供給される。柱側冷却通路66は、柱側冷却通路66と同様に冷却空気の流れを妨げる機構を有している。そのため、後縁側冷却通路67を流れる冷却空気の流速は、柱側冷却通路66を流れる冷却空気の流速よりも高い。つまり、後縁側冷却通路67は、柱側冷却通路66よりも冷却能力が高くなる。
【0042】
図5は、この発明の第一実施形態における柱状ピンフィンを示す部分断面図である。
図4、
図5に示すように、第一冷却通路部58及び第二冷却通路部59には、柱状ピンフィン82が設けられている。柱状ピンフィン82は、複数の突出部83を備えている。これら突出部83は、負圧面53の内面と正圧面54の内面とに渡る柱状に形成されている。ここで、
図4において、柱状ピンフィン82が、前縁側冷却通路64、後縁側冷却通路67及び柱側冷却通路65,66の各内壁面58a,59aの全面に設けられる場合を例示した。しかし、柱状ピンフィン82を設ける範囲は全面に限られない。例えば、翼高さ方向において内壁面58a,59aの一部に柱状ピンフィン82が形成されない領域を設けてもよく、キャンバーラインCの延びる方向において内壁面58a,59aの一部に柱状ピンフィン82が形成されない領域を設けてもよい。ここで、
図3においては、柱状ピンフィン82の図示を省略している。
【0043】
図4に示すように、柱状ピンフィン82は、突出部83として、それぞれ大きさの異なる第一突出部83aと第二突出部83bがある。第一突出部83aは、柱側冷却通路65,66の内壁面58a,59aに設けられている。第二突出部83bは、前縁側冷却通路64及び後縁側冷却通路67の各内壁面58a,59aに設けられている。この第二突出部83bは、第一突出部83aよりも相対的に小さく形成されている。例えば、第二突出部83bは、第一突出部83aよりも、その表面積が小さくなるように形成されている。
【0044】
図6は、この発明の実施形態における
図3の動翼の翼端近くを拡大した拡大図である。
図7は、この発明の実施形態におけるチップシュラウドの平面図である。
図6、
図7に示すように、チップシュラウド52は、翼本体51の翼端57に一体に設けられている。チップシュラウド52は、複数の動翼43aが周方向に配置されることで、周方向Dcに連なって円環状を成している。
【0045】
このチップシュラウド52には、その外周面の軸方向Daの中心位置等に、フィンF(
図7参照)が設けられている。このフィンFは、径方向外側Droに向けて突出している。このため、フィンFと分割環45cとの間は僅かな隙間となり、燃焼ガスGの漏れる量を少なくすることができる。このフィンFは、動翼43aと分割環45cとの隙間が何らかの原因により減少するような場合に、最初に分割環45cと接触する。このようにフィンFが最初に分割環45cに接触することで、分割環45cや動翼43aのダメージを軽減することが可能となっている。
【0046】
チップシュラウド52は、第一排出通路72と、第二排出通路73と、第三排出通路74とを備えている。これら第一排出通路72、第二排出通路73及び第三排出通路74は、上述した翼本体51の内部を流れる冷却空気をそれぞれ翼本体51の外部に排出する。
図6に示すように、第一排出通路72、第三排出通路74及び第二排出通路73は、チップシュラウド52に前縁55側から後縁56側に向かって、この順で形成されている。
【0047】
第一排出通路72は、前縁側冷却通路64を流れる冷却空気を排出する。第一排出通路72は、前縁側冷却通路64の延びる方向(翼高さ方向)にチップシュラウド52を貫通するように形成されている。言い換えれば、第一排出通路72は、前縁側冷却通路64を径方向外側Droに延長するように延び、径方向外側Droを向いて開口している。この第一実施形態における第一排出通路72は、前縁側冷却通路64と同じ流路断面形状となっている。つまり、前縁側冷却通路64を流れる冷却空気は、動翼43aの翼根50から翼端57に向かって径方向外側Droに流れて、そのまま流れの向きを変えることなく、チップシュラウド52の径方向外側Droに向かって排出される。このように、冷却空気がチップシュラウド52からふき抜けるため、前縁側冷却通路64は低圧損の流路となり、冷却空気の流速を高くすることができる。
【0048】
第二排出通路73は、後縁側冷却通路67を流れる冷却空気を排出する。第二排出通路73は、後縁側冷却通路67の延びる方向(翼高さ方向)にチップシュラウド52を貫通するように形成されている。言い換えれば、第二排出通路73は、第一排出通路72と同様に、後縁側冷却通路67を径方向外側Droに延長するように延び、径方向外側Droを向いて開口している。この第一実施形態における第二排出通路73は、後縁側冷却通路67と同じ流路断面形状となっている。つまり、後縁側冷却通路67を流れる冷却空気は、動翼43aの翼根50から翼端57に向かって径方向外側Droに流れて、そのまま流れの向きを変えることなく、チップシュラウド52の径方向外側Droに向かって排出される。このように、冷却空気がチップシュラウド52からふき抜けるため、後縁側冷却通路67は低圧損の流路となり、冷却空気の流速を高くすることができる。
【0049】
第三排出通路74は、柱側冷却通路65,66を流れる冷却空気を動翼43aの外部へ排出する。第三排出通路74は、キャビティ部75と、通路本体部76と、を備えている。この第一実施形態におけるキャビティ部75は、二つ設けられている。これらキャビティ部75は、第一冷却通路部58の柱側冷却通路65の径方向外側Droに設けられ、第二冷却通路部59の柱側冷却通路66の径方向外側Droに設けられている。これらキャビティ部75は、第一冷却通路部58の柱側冷却通路65と連通し、第二冷却通路部59の柱側冷却通路66と連通している。言い換えれば、キャビティ部75は、前縁側冷却通路64と後縁側冷却通路67には連通されていない。
【0050】
通路本体部76は、
図7に示すように、チップシュラウド52に沿って延びている。言い換えれば、通路本体部76は、柱側冷却通路65,66の延びる方向(翼高さ方向)と交差する方向に延びている。通路本体部76は複数設けられて、それぞれチップシュラウド52の側面に開口している。この第一実施形態における通路本体部76は、キャビティ部75からチップシュラウド52に沿って延びてチップシュラウド52の側面77に開口している。これら通路本体部76は、翼本体51の負圧面53の向く方向と、正圧面54の向く方向とにそれぞれ延びている。この第一実施形態においては、複数の通路本体部76は、それぞれキャビティ部75から最も近いチップシュラウド52の側面77に向かって延びている。
【0051】
より具体的には、第三排出通路74は、前縁55側に近い側のキャビティ部75の正圧面54に近い内側面78と、上流側Dauを向くチップシュラウド52の側面77aとの間に、複数の通路本体部76が形成されている。同様に、第三排出通路74は、前縁55側に近い側のキャビティ部75の負圧面53に近い内側面79と、周方向Dcを向くチップシュラウド52の側面77bとの間に、複数の通路本体部76が形成されている。
さらに、第三排出通路74は、後縁56側のキャビティ部75の正圧面54に近い内側面80と、周方向Dcを向くチップシュラウド52の側面77cとの間に、複数の通路本体部76が形成されている。同様に、第三排出通路74は、後縁56側のキャビティ部75の負圧面53に近い内側面81と、下流側Dadを向くチップシュラウド52の側面77dとの間に複数の通路本体部76が形成されている。
【0052】
この第一実施形態においては、通路本体部76が直線状に形成される場合を例示した。しかし、通路本体部76は直線状に限られない。例えば、通路本体部76を円弧状や、S字状など、曲線を含む形状としても良い。さらに、同一の側面77に開口する通路本体部76同士が平行に配される場合を例示したが、平行に限られない。側面77に近づくにつれて互いに離間するように配しても良い。
【0053】
上述した第一実施形態によれば、内壁面58aに突出部83が形成された第一冷却通路部58に冷却空気を流すことで、翼本体51の前縁55側を効率よく冷却することができる。同様に、内壁面59aに突出部83が形成された第二冷却通路部59に冷却空気が流れるので、翼本体51の後縁56側を冷却することができる。特に、高温となりやすい前縁55側及び後縁56側を第一冷却通路部58及び第二冷却通路部59により効果的に冷却することができるとともに、相対的に高温となりにくい前縁55と後縁56との間の部分に柱部60を設けることで冷却通路全体の断面積を小さくすることができる。
そして、この柱部60は、第一冷却通路部58と第二冷却通路部59との間において、翼本体51の翼根50と翼端57との間に連続して形成されているため、柱部60の形成箇所には冷却空気が流れない。したがって、本実施形態のタービン動翼は、第一冷却通路部58と第二冷却通路部59との間の中間部Mの温度低下を抑制できる。つまり、前縁55及び後縁56と、第一冷却通路部58と第二冷却通路部59との間の中間部Mとに温度差が生じることを抑制できると共に、冷却通路を流れる冷却空気のヒートアップを抑制できる。さらに、柱部60を設けることで、動翼43aの強度を向上できる。その結果、熱反りを抑制するとともに十分な強度を確保することが可能となる。
また、本実施形態のタービン動翼では、第一冷却通路部58及び第二冷却通路部59に柱状ピンフィン82を備えた構造とすることで、従来のマルチホールと比べて一定の断面積を確保しつつ冷却効果を得ることができ、これにより冷却空気が冷却通路を流れる際の圧損を最小限にすることができ、冷却空気の供給圧を抑制することができる。このため、動翼43aを冷却するために必要な冷却空気の供給量を最小限にすることができる。
【0054】
さらに、上述した第一実施形態によれば、第一冷却通路部58において前縁側冷却通路64は、柱側冷却通路65の流路断面積よりも小さい流路断面積を有し、低圧損の流路となる。これに対して、柱側冷却通路65は、冷却空気の流れを妨げる機構(例えば、翼根50側に設けられるオリフィスやチップシュラウド52のキャビティ部75)により、高圧損の流路となる。このため、本実施形態のタービン動翼は、前縁側冷却通路64に流れる冷却空気の流速を高くすることができ、前縁55に近いほど冷却性能を向上させることができる。その結果、柱側冷却通路65が設けられた部分と比べて相対的に高温になりやすい前縁側冷却通路64が設けられた前縁55側を効果的に冷却することができ、前縁55と柱部60との間に温度差が生じることを更に抑制することができると共に、動翼43aの前縁55側を冷却するために必要な冷却空気の供給量を最小限にすることができる。
【0055】
同様に、第二冷却通路部59において後縁側冷却通路67は、柱側冷却通路65の流路断面積よりも小さい流路断面積を有し、低圧損の流路となる。これに対して、柱側冷却通路66は、冷却空気の流れを妨げる機構(例えば、翼根50側に設けられるオリフィスやキャビティ部75)により、高圧損の流路となる。このため、本実施形態のタービン動翼は、後縁側冷却通路67に流れる冷却空気の流速を高くすることができ、後縁56に近いほど冷却性能を向上させることができる。その結果、柱側冷却通路66が設けられた部分と比べて相対的に高温になりやすい後縁側冷却通路67が設けられた後縁56側を効果的に冷却することができ、後縁56と柱部60との間に温度差が生じることを更に抑制することができると共に、動翼43aの後縁56側を冷却するために必要な冷却空気の供給量を最小限にすることができる。
【0056】
さらに、上述した第一実施形態によれば、第一突出部83aが第二突出部83bよりも小さく形成されている。このため、本実施形態のタービン動翼は、前縁側冷却通路64及び後縁側冷却通路67に流れる冷却空気の圧損を抑制できる。その一方で、前縁側冷却通路64及び後縁側冷却通路67と比較して、柱側冷却通路65,66に流れる冷却空気の圧損を大きくできる。これにより、前縁側冷却通路64及び後縁側冷却通路67に流れる冷却空気の流速に対して、柱側冷却通路65に流れる冷却空気の流速を低減することができる。その結果、前縁55側及び後縁56側を効果的に冷却することができるとともに、柱側冷却通路65,66に流通する冷却空気の量を低減することで、全体として冷却空気の供給量を抑制することができる。さらに、前縁55及び後縁56と、これら前縁55及び後縁56の間の中間部Mとの温度差が大きくなり易い環境下であっても、前縁55及び後縁56と、中間部Mとに温度差が生じることをより一層抑制できる。
【0057】
さらに、本実施形態のタービン動翼は、動翼43aがチップシュラウド52を有している場合に、翼本体51の翼根50から翼端57に向かい前縁側冷却通路64を流れる冷却空気を、チップシュラウド52の第一排出通路72を介して外部に排出できる。さらに、翼本体51の翼根50から翼端57に向かい後縁側冷却通路67を流れる冷却空気を、チップシュラウド52の第二排出通路73を介して外部に排出できる。加えて、翼本体51の翼根50から翼端57に向かい柱側冷却通路65,66を流れる冷却空気を、チップシュラウド52の第三排出通路74を介して外部に排出できる。その結果、前縁側冷却通路64、後縁側冷却通路67、及び、柱側冷却通路65,66を流れる冷却空気を個別に動翼43aの外部に排出することができる。さらに、第一排出通路72、第二排出通路73、及び、第三排出通路74のそれぞれの流路断面積を変えるだけで、前縁側冷却通路64、後縁側冷却通路67、及び、柱側冷却通路65,66を流れる各冷却空気の流速を容易に異ならせることもできる。
【0058】
さらに、本実施形態のタービン動翼は、第一排出通路72と第二排出通路73とが、それぞれチップシュラウド52を翼高さ方向に貫通することで、第一排出通路72と第二排出通路73とをより短く形成できる。そのため、前縁側冷却通路64及び後縁側冷却通路67を流れる冷却空気の圧損が増大することを抑制して、冷却空気の流速が低下することを抑制できる。その結果、翼本体51の前縁55及び後縁56を効率よく冷却できる。
【0059】
さらに、本実施形態のタービン動翼は、第三排出通路74の通路本体部76がチップシュラウド52に沿って形成されることで、柱側冷却通路65,66を流れる冷却空気が第三排出通路74を通じて外部に排出される途中で、チップシュラウド52を冷却することができる。
【0060】
さらに、本実施形態のタービン動翼は、第一排出通路72や第二排出通路73と比較して第三排出通路74の通路長を長くできる。そのため、前縁側冷却通路64や後縁側冷却通路67に比べて、柱側冷却通路65,66に流通する冷却空気の量を低減することでき、全体として冷却空気の供給量を抑制することができる。
【0061】
さらに、チップシュラウド52に断面積の大きなキャビティ部75が形成されることで、例えば、キャビティ部75に向けて側面77から通路本体部76を加工しようとした場合に、多少の位置ずれが許容される。そのため、第三排出通路74を容易に形成することができる。また、チップシュラウド52が軽くなるため、遠心荷重を低減できる。
【0062】
さらに、動翼23aを冷却するための冷却空気量を低減できるため、ガスタービン10の効率を向上することができる。
【0063】
(第二実施形態)
次に、この発明の第二実施形態を図面に基づき説明する。この第二実施形態は、上述した第一実施形態と翼本体の内部に形成される冷却通路の構造が異なるだけである。そのため、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複する説明を省略する。
【0064】
図8は、この発明の第二実施形態における
図6に相当する拡大図である。
図8に示すように、この第二実施形態におけるタービン翼である動翼43aの翼本体51は、いわゆる「マルチホール」と称される複数の冷却孔90を備えている。
冷却孔90は、冷却空気の流路であり、動翼43aの翼形断面に交差する翼高さH方向に延びている。これら冷却孔90は、翼根50から翼端57へ貫通している。さらに、これら冷却孔90は、前縁55から後縁56に向けて一列に配列されている。この実施形態における冷却孔90は、それぞれの中心がキャンバーラインC上に配設されている。
【0065】
動翼43aは、上述した第一実施形態と同様に、チップシュラウド52を備えている。
このチップシュラウド52は、第一排出通路72と、第二排出通路73と、第三排出通路74と、をそれぞれ備えている。
冷却孔90のうち、最も前縁側に配される前縁側冷却孔(前縁側冷却通路)91は、第一排出通路72に連通されている。冷却孔90のうち最も後縁側に配される後縁側冷却孔(後縁側冷却通路)92は、第二排出通路73に連通されている。さらに、前縁側冷却孔91と後縁側冷却孔92を除く中間冷却孔(中間冷却通路)93は、第三排出通路74のキャビティ部75に連通されている。第三排出通路74は、第一実施形態と同様に、キャビティ部75と、通路本体部76とを備えている。中間冷却孔93は、一つのキャビティ部75に対して複数連通している。すなわち、中間冷却孔93を流れる冷却空気は、キャビティ部75で合流した後、キャビティ部75に連通する複数の通路本体部76にそれぞれ分流する。ここで、この第二実施形態のようにマルチホールを備える翼本体51の場合、冷却孔90は、第一実施形態の柱状ピンフィン82を備えていない。
【0066】
したがって、上述した第二実施形態によれば、マルチホールを備える翼本体51の場合であっても、第一実施形態等同様に、翼本体51の翼根50から翼端57に向かい前縁側冷却孔91を流れる冷却空気をチップシュラウド52の第一排出通路72を介して外部に排出できる。さらに、翼本体51の翼根50から翼端57に向かい後縁側冷却孔92を流れる冷却空気をチップシュラウド52の第二排出通路73を介して外部に排出できる。加えて、翼本体51の翼根50から翼端57に向かい中間冷却孔93を流れる冷却空気を、第三排出通路74を介して外部に排出できる。そのため、前縁側冷却孔91や後縁側冷却孔92に流れる冷却空気の流速を高めて、相対的に高温となる前縁55及び後縁56を重点的に冷却できる。さらに、前縁55と後縁56との間の相対的に低温となる部分に関しては、中間冷却孔93を流れる冷却空気の流速を低下させて、過剰な冷却空気の供給を抑制できる。その結果、冷却空気量の増大を抑制しつつ、翼本体51を効率よく冷却することができる。
【0067】
この発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、各実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
【0068】
図9は、この発明の第一実施形態の変形例における
図5に相当する部分断面図である。
例えば、上述した第一実施形態においては、柱状ピンフィン82が形成される場合を一例に説明した。しかし、柱状ピンフィン82に限られない。例えば、
図9に示す変形例のように、柱状ピンフィン82に代えて片側ピンフィン71を設けるようにしても良い。片側ピンフィン71は、第一冷却通路部58及び第二冷却通路部59の内壁面58a,59aから内側に向かって突出する突起部(突出部)Tであり、前縁側冷却通路64、後縁側冷却通路67及び柱側冷却通路65,66のそれぞれの内壁面58a,59aに設けてもよい。この片側ピンフィン71は、上述した柱状ピンフィン82と同様に、互いに大きさの異なる第一突起部(第一突出部:図示せず)と第二突起部(第二突出部:図示せず)を備えるようにしてもよい。さらに、例えば、第一突起部を柱側冷却通路65,66の内壁面58a,59aに設け、第二突起部を前縁側冷却通路64及び後縁側冷却通路67の内壁面58a,59aに設けてもよい。この場合、第二突起部は、第一突起部よりも相対的に小さく形成してもよい。例えば、第二突起部は、第一突起部よりも、その表面積を小さく形成してもよい。
【0069】
さらに、上述した第一実施形態においては、翼本体51が柱部60を備える場合を一例に説明した。しかし、柱部60は、省略しても良い。つまり、二つの柱側冷却通路65を中間冷却通路である一つの冷却通路63で置き換えても良い。
【0070】
さらに、第一実施形態においては、第二突出部83bが第一突出部83aよりも小さい場合を一例に説明した。しかし、この構成に限られるものではない。例えば、第一突出部83aと第二突出部83bとを同じ大きさで形成しつつ、単位面積当たりの第二突出部83bの数量を、単位面積当たりの第一突出部83aの数量よりも少なくしても良い。さらに、第一突出部83aと第二突出部83bとを同一の構成、すなわち同じ大きさ、同じ数量で形成するようにしても良い。
【0071】
さらに、上述した各実施形態においては、冷却媒体が空気の場合を一例に説明したが、冷却媒体は空気に限られない。
さらに、上述した各実施形態においては、第三排出通路74がキャビティ部75を有する場合について説明した。しかし、キャビティ部75を省略するようにしても良い。
【0072】
さらに、上述した各実施形態においては、第三排出通路74の通路本体部76がチップシュラウド52に沿って形成され、側面77に開口する場合について説明した。しかし、この構成に限られない。通路本体部76が、例えば、側面77近傍のチップシュラウド52上に開口していても良い。
【0073】
さらに、上述した各実施形態においては、第一排出通路72と、第二排出通路73とが、それぞれ翼高さ方向にチップシュラウド52を貫通する場合について説明した。しかし、第一排出通路72と、第二排出通路73との貫通する方向は、第三排出通路74よりも短く形成できれば良く、翼高さ方向に限られない。
【0074】
さらに、上述した各実施形態においては、三列目の動翼列43の動翼43aを一例に説明した。しかし、動翼43aはチップシュラウド52を備える動翼であればよく、三列目以外の動翼列43における動翼43aであっても良い。
【解決手段】タービン動翼43aは、前縁55と後縁56とを有し、これら前縁55と後縁56との間に負圧面及び正圧面を有する翼本体51と、前記翼本体51の翼端57に設けられるチップシュラウド52と、を備え、前記翼本体51は、前記前縁55に近い側に設けられる前縁側冷却通路64と、前記後縁56に近い側に設けられる後縁側冷却通路67と、前記前縁側冷却通路64と前記後縁側冷却通路67との間に設けられる中間冷却通路65と、を備え、前記チップシュラウド52は、前記前縁側冷却通路64を流れる冷却媒体を排出する第一排出通路72と、前記後縁側冷却通路67を流れる冷却媒体を排出する第二排出通路73と、前記中間冷却通路65を流れる冷却媒体を排出する第三排出通路74と、を備える。