(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
理論空気量以下の空気量で燃料を燃焼させるバーナを火炉内に配置し、該バーナの設置位置より下流側の火炉に空気を供給するアフタエアポートを配置した燃焼装置において、
アフタエアポート開口部内の中央部に鉛直方向高さが水平方向幅より大きな一次アフタエア供給用の一次アフタエアノズルを設け、該一次アフタエアノズルの外側のアフタエアポート開口部に二次アフタエアを供給する二次アフタエアノズルを設け、
該二次アフタエアノズルの出口部に二次アフタエアを水平方向左右に偏向して供給可能なように、アフタエアポート中心軸に対して傾斜角度を有する1つ以上の二次アフタエア案内羽根を設けたことを特徴とする燃焼装置。
一次アフタエアノズル出口部に一次アフタエアを上向きに偏向して投入可能なように、水平方向及び水平方向よりも上向きに傾斜角度を調整可能な1つ以上の一次アフタエア案内羽根を設けたことを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。
一次アフタエアノズルに最も近い部分に、二次アフタエア案内羽根の火炉側の面と一次アフタエアノズルの先端部外面に沿って少量の二次アフタエアを供給可能な第1の案内部材を設けたことを特徴とする請求項1ないし7の何れかに記載の燃焼装置。
アフタエアポート開口部に火炉に向かって末広がり状の広がり部を有し、該広がり部の面に沿って少量の二次アフタエアを供給可能な第2の案内部材を設けたことを特徴とする請求項1ないし8の何れかに記載の燃焼装置。
一次アフタエアノズルの入口部と二次アフタエアノズルの入口部のいずれか一方又は両方に流路抵抗を変更可能な空気流量調整機能部材をそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1ないし9の何れかに記載の燃焼装置。
一次アフタエアノズル入口部に流路断面積をエアの流れ方向に沿って次第に縮小する縮流部材を取り付けたことを特徴とする請求項1ないし10の何れかに記載の燃焼装置。
一次アフタエアノズルの先端部の水平方向の幅がエアの流れ方向に沿って次第に縮小する縮流部材を取り付けたことを特徴とする請求項1ないし11の何れかに記載の燃焼装置。
【背景技術】
【0002】
バーナで空気不足の条件で燃料を燃焼させ、完全燃焼に必要な残りの空気をアフタエアポートから供給する、いわゆる二段燃焼を適用した火炉においては、バーナの配置やバーナからの燃料及び空気の供給方法によって、アフタエアポート部に上昇して行く未燃分を含む燃焼ガスの流量分布が変化する。火炉出口における未燃カーボンやCOなど可燃分の残存を抑えるには、アフタエアポート部に上昇して行く燃焼ガスの流量分布に応じて適切に二段燃焼用空気を供給することが重要である。
【0003】
図14に従来技術における火炉のバーナ6,アフタエアポート7a及び副アフタエアポート7bの配置と炉内噴流形状の例を示す。
図14(a)にはバーナ6,アフタエアポート7a及び副アフタエアポート7bが配置された炉壁の正面図を示し、
図14(b)には火炉側面から見たバーナ6,アフタエアポート7a及び副アフタエアポート7bから噴出される燃料や空気の噴流形状(側断面図)の例を示し、
図14(c)には上部から見たアフタエア噴流形状を示す火炉の平断面図である
図14(b)のB−B線矢視図を示す。
【0004】
図14に示す火炉では、バーナ6を4列3段対向に配置し、バーナ6の上部にアフタエアポート7aと、アフタエアポート7aより少し低い高さの火炉側壁寄りに副アフタエアポート7bが設置されている。火炉前壁及び後壁に設置された対向するバーナ6,アフタエアポート7a及び副アフタエアポート7bから噴出された燃料や空気は、
図14(b)及び
図14(c)に示すように、火炉の奥行き方向(前後方向)の中央部で衝突し、衝突後は
図14(b)に示すように、主に上側に向かって流れる。このような火炉内の流動の結果、
図14(b)のA−A線断面におけるアフタエアポート部直下の火炉奥行方向中央部の上昇ガス流量分布は
図15(a)中の実線で、同A−A線断面における火炉幅方向中央部の上昇ガス流量分布は
図15(b)中の実線で示す形態となる。
【0005】
図14(a)に示す対向する前後壁に配置されたバーナ6からの燃料及び空気の噴流は、火炉奥行方向中央部で衝突して向きを変えるが、火炉のガス出口側である上側に向かう流れが最も大きくなるため、
図15(a)中の実線で示すように、バーナ列の直上部で最も流量が多く、バーナとバーナの間及びバーナと側壁の間では流量は少なくなる。この炉内流動の結果、火炉幅方向の中央部を側壁側から見た流量分布(
図15(b))においては、火炉奥行方向の中央部で最も流量が多く、火炉前後壁近傍で流量が低い分布となる。
【0006】
上記の火炉内の上昇ガス流量分布を大きく分類すると、火炉奥行方向及び幅方向の中央部で流量が比較的多い領域A(
図15(a)、
図15(b)の破線枠で囲まれた部分)と、前後壁近傍で比較的流量が少ない領域C(
図15(b)の一点鎖線枠で囲まれた部分)、側壁近傍で比較的流量が少ない領域B(
図15(a)で二点鎖線枠で囲まれた部分)に分けることができる。全ての領域A,B,Cに対して適切な流量と適切な運動量を有するアフタエアをアフタエアポート7a,7bから供給し、各領域A,B,Cで適切な未燃分と空気の比率で混合を促進させることが、火炉出口での未燃分の残存を抑制するために重要である。
【0007】
特許文献1(特開2007−192452号公報)には、石炭などの固体燃料用燃焼装置において、アフタエアポートから火炉内に吹き出すアフタエアの方向を水平方向に3分割以上分割し、該各分割エアの方向が互いに同一方向にならないようなエア分割部材を設けたことを特徴とするボイラ装置が開示されている。
【0008】
特許文献2(特許第5028278号公報)には、微粉炭焚きボイラを構成する火炉を備え、この火炉を形成する火炉壁面の上流側に燃料の微粉炭と空気とを火炉内に供給して燃焼させる複数のバーナを配置し、バーナの設置位置よりも上側となる火炉壁面に空気を供給する複数のアフタエアポートを配置し、このアフタエアポートには供給空気量の多い主アフタエアポートと供給空気量の少ない副アフタエアポートとをそれぞれ備えた微粉炭焚きボイラの発明が開示されている。
【0009】
特許文献2記載の発明は、副アフタエアポートは主アフタエアポートの下流側となる火炉壁面であって、主アフタエアポートの直上となる火炉壁面の位置に配置されるか、主アフタエアポートの上流側となる火炉壁面であって、主アフタエアポートの直下となる火炉壁面の位置に配置されており、副アフタエアポートの断面中心が、主アフタエアポートの断面中心から主アフタエアポート口径の1倍以上5倍以下の範囲にあり、主アフタエアポートの1つと副アフタエアポートの1つを一組にして、少なくとも前記一組を同一のウインドボックスに接続し、該ウインドボックスの複数個を火炉壁面に一方向に並べて設置した微粉炭焚きボイラである。
【0010】
特許文献3(特開昭58−224205号公報)記載の発明は、二段燃焼または炉内脱硝燃焼を行うOAポートを有する燃焼装置において、完全燃焼を行わせるOAポートの機能を、より十分に発揮させるように、最端部のバーナ列よりも側壁寄りに小型の補助OAポートを配設して、側壁近傍への空気の供給を改善する燃焼機構を備え、該燃焼機構におけるOAポートを旋回可能として、それによる空気流の方向を調節可能にした火炉出口未燃分低減機構を有する燃焼装置である。
【0011】
図15中の二点鎖線枠で示す領域Bの側壁近傍において二段燃焼用空気を適切に供給する手段として特許文献3の補助OAポートを備えた構成とすることは有効である。
火炉の側壁近傍の領域Bへの空気供給の方法としては、特許文献3記載の発明のように火炉前後壁に設置された側壁近傍の開口部から供給しても良いし、前記側壁に1つ以上設置された開口部から供給しても良い。また、側壁に近いバーナやアフタエアポートからの空気流量を缶幅(火炉全幅)方向の中央側に位置するバーナやアフタエアポートからの空気流量に比べて多く供給することで、側壁寄りの空気を増加させることでも同様の未燃分の低減効果が得られる場合がある。
【0012】
特許文献4(特開2001−355832号公報)にはエアポート内の空気流路を分割する筒状のスリーブを設け、該スリーブの先端にスリーブ外側に空気流路の流れをエアポート中心軸より外側に広げるようなバッフルを取り付け、スリーブの広がり部とバッフルの傾斜角度を等しくした構成が開示されている。この構成により旋回発生器がなくてもスロートの広がり部とバッフル先端の傾斜角度により空気流を広げることができ、エアポートの上流側のバーナからの燃焼ガスとの混合率を高めることができるという発明である。
【0013】
特許文献5(US2012/174837号公報)には、エアポート内出口のエアの流れ方向を変えることができるベーンを設けてアフタエアの火炉内での方向を変更出来る構成が記載されている。
【0014】
また、特許文献6(特許第2717959号公報)には、風箱の開口部からの二次エアを炉の開口部へと送通させるためのアフタエア孔にして、チャンバーを画定する長手方向の導管を有し、風箱からの二次エアが前記チャンバーを通過して炉に向う形式のアフタエア孔のための多方向エア制御装置が開示されている。そして前記チャンバー内部で、導管に対して該導管の長手方向軸線と直交する第1の軸線を中心として回転自在に取り付けられた複数の第1のルーバーと、前記チャンバー内部で、導管に対して該導管の長手方向軸線と直交し且つ前記第1のルーバーと直交する第2の軸線を中心として回転自在に取り付けられた複数の第2のルーバーと、第1のルーバー及び第2のルーバーの各々を回転させることにより炉の開口部を貫いてのエアフロー方向を制御するための手段とを含む、多方向エア制御装置が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
特許文献1記載の発明においては、アフタエアポート内流路を単純な分割部材(板)を用いてアフタエア主流とアフタエア副流に分割し、アフタエアの水平方向への広がりや向きの調整を可能としている。
【0017】
しかしながら、噴流自体は噴出前の分割された各エア流路内で広がり、アフタエアポートを出た領域においては一体の流れとなるため、特許文献1の明細書段落[0062]にも記載があるように、アフタエアの主流と副流の間には、お互いの流れを制約する相互作用がある。この相互作用を抑えるために主流と副流の流量配分について規定しているが、根本的に相互作用を無くすものではない。すなわち、アフタエアに直進性を持たせるためにアフタエア主流の流量或いは流速を相対的に増加させると、アフタエア副流はアフタエア主流に引き込まれて広がりが小さくなり、火炉前後壁近傍の未燃ガスのすり抜けが増加する。逆にアフタエアに広がりを持たせるためにアフタエア副流の流量或いは流速を相対的に増加させると、アフタエア主流はアフタエア副流に引き込まれて直進性が低下し、火炉中央部の未燃ガスのすり抜けが増加する。また、直進性と広がりの両方を有する一体型の噴流は、本質的に後述するようにバーナ側からの上昇ガス流の影響を受けて上向きに湾曲し易い特性を有し、直進性が重要な二段燃焼用空気の主流には適していない。
【0018】
そもそも、特許文献1記載の発明はアフタエア噴流を水平方向に若干広げて供給することを特徴とする発明であるが、アフタエア噴流の広がり傾斜角度は上限値を有するものであり、
図15(b)に示す一点鎖線枠の領域Cの広域へのアフタエア供給を考慮したものではない。
【0019】
特許文献2記載の発明においては、供給空気量の多い主アフタエアポートと供給空気量の少ない副アフタエアポートの2種類の円形アフタエアポートが設置される。そのため次のような問題点が解決できていない。
(a)主アフタエアポートの出口形状は断面円形であり、後述するように、バーナ側からの上昇ガス流の影響を受けて上向きに湾曲し易い特性を有し、直進性が重要な二段燃焼用空気の主流としては改善の余地がある。
(b)主アフタエアポートと副アフタエアポートの2種類を複数段設置する構成であり、1種類で一段のアフタエアポートの構成に比べてコストが高い。
(c)複数段のエアポートのうちで上側の段に位置するアフタエアポートから火炉出口までの炉内ガス滞留時間が下側の段に位置するアフタエアポートから火炉出口までの炉内ガス滞留時間より短くなり、未燃分の燃焼に必要な滞留時間が確保できない場合がある。又は前記特許文献2記載の発明で必要な滞留時間を確保しようとすると、火炉の高さを高くする必要が生じコストが高くなる場合がある。
【0020】
特許文献3記載の発明は、完全燃焼を行わせる主要なOAポートの他に火炉前後壁の最端部のバーナ列よりも火炉側壁寄りに小型の補助OAポートを配設して、側壁近傍への空気の供給を改善する構成であり、
図15(a)領域Bの未燃分を低減するには有効であるが、
図15(b)領域Cの火炉前後壁近傍の未燃分低減には寄与できない。
【0021】
特許文献4は通常のバーナの下流側に配置されるエアポート内の空気流路を広げる構成であり、空気噴流に広がりを与えて火炉に供給できるが、積極的に火炉前後壁寄りの空気を増加させることで燃焼ガスの未燃分低減の効果が得られるという構成ではない。
【0022】
特許文献5記載の発明は、エアポート内の出口においてエアの流れ方向を適宜変更することができるというだけであり、従来のアフタエアノズルの機能を補う構成であるが、火炉壁寄りのアフタエアの不足を補うことまでは配慮されていない。
【0023】
特許文献6記載の発明には以下に示す課題がある。
(1)アフタエアの流れを、垂直方向もしくは水平方向に偏向できるが、水平方向と垂直方向を組合せた流れの形成には適していない。
(2)水平方向の両方向への広がりを形成する噴流が困難であり、
図3(b)に示す領域Cと、
図3(a)、(b)で示す領域Aの両方向に噴流を供給するには適していない。
【0024】
本願発明の課題は、アフタエア供給方法に関する上記問題点を排除し、未燃分を含む燃焼ガスの流量分布に応じて、直進性と広がり性の機能を有する2種類のアフタエアを、相互作用がないように適切に分割して混合させ、未燃分を効果的に低減することが可能なアフタエアポートを提供して、より高い燃焼性能を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記本発明の課題は次の解決手段で解決される。
請求項1記載の発明は、理論空気量以下の空気量で燃料を燃焼させるバーナを火炉内に配置し、該バーナの設置位置より下流側の火炉に空気を供給するアフタエアポートを配置した燃焼装置において、アフタエアポート開口部(17)内の中央部に鉛直方向高さが水平方向幅より大きな一次アフタエア(1)供給用の一次アフタエアノズル(5)を設け、該一次アフタエアノズル(5)の外側のアフタエアポート開口部(17)に二次アフタエア(11)を供給する二次アフタエアノズル(14)を設け、該二次アフタエアノズル(14)の出口部に二次アフタエア(11)を水平方向左右に偏向して供給可能なように、アフタエアポート中心軸(C
0)に対して傾斜角度を有する1つ以上の二次アフタエア案内羽根(15)を設けたことを特徴とする燃焼装置である。
【0026】
請求項2記載の発明は、一次アフタエアノズル(5)出口部に一次アフタエア(1)を上向きに偏向して投入可能なように、水平方向及び水平方向よりも上向きに傾斜角度を調整可能な1つ以上の一次アフタエア案内羽根(8)を設けたことを特徴とする請求項1記載の燃焼装置である。
【0027】
請求項3記載の発明は、アフタエアポート中心軸(C
0)に対する二次アフタエア案内羽根(15)の傾斜角度が全て同一であることを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置である。
【0028】
請求項4記載の発明は、アフタエアポート中心軸(C
0)に対するそれぞれの二次アフタエア案内羽根(15)の傾斜角度に偏差を持たせたことを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置である。
【0029】
請求項5記載の発明は、アフタエアポート中心軸(C
0)に対する二次アフタエア案内羽根(15)の傾斜角度が、一次アフタエアノズル(5)から遠いほど大きいことを特徴とする請求項4に記載の燃焼装置である。
【0030】
請求項6記載の発明は、二次アフタエア案内羽根(15)の傾斜角度を変更可能な構成としたことを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の燃焼装置である。
請求項7記載の発明は、二次アフタエア案内羽根(15)を火炉壁の前後方向に移動可能としたことを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載の燃焼装置である。
【0031】
請求項8記載の発明は、一次アフタエアノズル(5)に最も近い部分に、二次アフタエア案内羽根(15)の火炉側の面と一次アフタエアノズル(5)の先端部外面に沿って少量の二次アフタエア(11)を供給可能な第1の案内部材(16)を設けたことを特徴とする請求項1ないし7の何れかに記載の燃焼装置である。
【0032】
請求項9記載の発明は、アフタエアポート開口部(17)に火炉に向かって末広がり状の広がり部(18)を有し、該広がり部(18)の面に沿って少量の二次アフタエア(11)を供給可能な第2の案内部材(19)をそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1ないし8の何れかに記載の燃焼装置である。
【0033】
請求項10記載の発明は、一次アフタエアノズル(5)の入口部と二次アフタエアノズル(14)の入口部のいずれか一方又は両方に流路抵抗を変更可能な空気流量調整機能部材(3,12)を設けたことを特徴とする請求項1ないし9の何れかに記載の燃焼装置である。
【0034】
請求項11記載の発明は、一次アフタエアノズル(5)入口部に流路断面積をエアの流れ方向に沿って次第に縮小する縮流部材(5a)を取り付けたことを特徴とする請求項1ないし10の何れかに記載の燃焼装置である。
【0035】
請求項12記載の発明は、一次アフタエアノズル(5)の先端部の水平方向の幅がエアの流れ方向に沿って次第に縮小する縮流部材(5b)を取り付けたことを特徴とする請求項1ないし11の何れかに記載の燃焼装置である。
【0036】
請求項13記載の発明は、一次アフタエアノズル(5)と二次アフタエアノズル(14)の片方或いは両方の流路内に整流器(4)及び/又は(13)を設置したことを特徴とする請求項1ないし12の何れかに記載の燃焼装置である。
【0037】
請求項14記載の発明は、アフタエアポートの開口部(17)が矩形であることを特徴とする請求項1ないし13の何れかに記載の燃焼装置である。
請求項15記載の発明は、アフタエアポートの開口部(17)が多角形であることを特徴とする請求項1ないし13の何れかに記載の燃焼装置である。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、未燃分を含む燃焼ガスの流量分布に応じて、直進性と広がり性の機能を有する2種類のアフタエアを、相互作用がないように適切に分割して混合させ、未燃分を効果的に低減することが可能なアフタエアポートを提供し、かつ直進性のアフタエアを上向きに偏向可能に調整することにより、高い燃焼性能を達成することができる。
【0039】
すなわち、請求項1記載の発明によれば、一次アフタエア(1)と二次アフタエア(11)の噴流は炉内で確実に分割され、一次アフタエア(1)は強い直進性を有して炉内ガス上昇流量が大きな火炉内中央部の領域A(
図15)に確実に到達して領域A部の未燃分燃焼を促進させ、二次アフタエア(11)は広がりを持って炉内ガス上昇流量が小さな火炉の前後壁近傍の領域C(
図15)に供給されて領域C部の未燃分燃焼を促進させ、一次アフタエア(1)と二次アフタエア(11)の両方で火炉全体に亘って適切なアフタエアの供給が可能となり、火炉出口部の未燃分の残存を抑制できる。
【0040】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、一次アフタエア案内羽根(8)の傾斜角度を可変としているので、火炉内に向けて一次アフタエア(1)を水平噴流と上向き噴流に調整可能である。
【0041】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、同一傾斜角度で取り付けられた二次アフタエア案内羽根(15)が複数あるので、簡単な構成で二次アフタエア(11)を左右水平方向に向けて広げ、火炉壁近傍に供給することができる。
【0042】
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、二次アフタエア案内羽根(15)を左右水平方向にそれぞれ複数有する装置において、アフタエアポート中心軸(C
0)に対する二次アフタエア案内羽根(15)の傾斜角度に任意の偏差を持たせることで、二次アフタエア(11)の噴出する方向をより繊細に設定可能となる。
【0043】
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の発明の効果に加えて、二次アフタエア案内羽根(15)を左右それぞれで複数有する装置において、アフタエアポート中心軸(C
0)に対する二次アフタエア案内羽根(15)の傾斜角度が、一次アフタエアノズル(5)から遠いほど大きくなり、一次アフタエアノズル(5)から遠い側の二次アフタエア案内羽根(15)で向きを変えられて供給される二次アフタエア(11)は火炉の前壁及び後壁に近い領域に供給され、一次アフタエアノズル(5)に近い側の二次アフタエア案内羽根(15)で向きを変えられて供給される二次アフタエア(11)は火炉の前後壁から遠い領域に供給されるので、より広い領域への二次アフタエア(11)の供給が可能となる。
【0044】
請求項6記載の発明によれば、請求項1ないし5の何れかに記載の発明の効果に加えて、二次アフタエア案内羽根(15)の傾斜角度を可変として、水平方向左右に偏向させる二次アフタエア(11)の噴出方向を、試運転等を通して最適に調整することができる。
【0045】
請求項7記載の発明によれば、請求項1ないし6の何れかに記載の発明の効果に加えて、二次アフタエア案内羽根(15)を火炉の前後方向に移動可能となり、二次アフタエア(11)が衝突するアフタエアポート開口部(17)の広がり部(18)の影響度合いを調整可能となり、二次アフタエア(11)の噴出方向を最適に調整することができる。
【0046】
請求項8記載の発明によれば、請求項1ないし7の何れかに記載の発明の効果に加えて、第一の案内部材(16)により一次アフタエアノズル(5)に最も近い部分に、二次アフタエア案内羽根(15)の火炉側の面と一次アフタエアノズル(5)の先端部外周面に沿って少量の二次アフタエア(11)が供給可能となり、二次アフタエア案内羽根(15)の火炉側の面や一次アフタエアノズル(5)の先端部外周面への燃焼灰の付着を抑制でき、安定した一次アフタエア(1)及び二次アフタエア(11)の流動が維持できる。
【0047】
請求項9記載の発明によれば、請求項1ないし8の何れかに記載の発明の効果に加えて、第二の案内部材(19)によりアフタエアポート開口部(17)の火炉に向かって広がる広がり部(18)の面に沿って少量の二次アフタエア(11)を供給可能となり、広がり部(18)への燃焼灰の付着を抑制でき、安定した広がりを有する二次アフタエア(11)の流動が維持できる。
【0048】
請求項10記載の発明によれば、請求項1ないし9の何れかに記載の発明の効果に加えて、一次アフタエアノズル(5)の入口部と二次アフタエアノズル(14)の入口部のいずれか又は両方に流路抵抗を変更可能な空気流量調整機能(3,12)を設けることで、一次アフタエア(1)と二次アフタエア(11)の流量を最適に調整することが可能となる。
【0049】
請求項11記載の発明によれば、請求項1ないし10の何れかに記載の発明の効果に加えて、一次アフタエアノズル(5)の入口部に流路断面積を流れ方向に沿って次第に縮小する縮流部材(5a)を取り付けることにより、一次アフタエアノズル(5)の入口部の流動抵抗を低減可能であり、アフタエア供給に必要な差圧の低減すなわちエネルギー低減が可能となる。また、同一のアフタエア供給用の差圧を利用する場合には、同一流量に対して一次アフタエア(1)の噴出流速を増加することが可能となるので、火炉内での一次アフタエア(1)の混合促進に効果的となる。
【0050】
請求項12記載の発明によれば、請求項1ないし11の何れかに記載の発明の効果に加えて、縮流部材(5b)により、一次アフタエアノズル(5)の先端部の水平方向の幅をエアの流れ方向に次第に縮小することにより、二次アフタエア案内羽根(15)のアフタエアポート中心軸(C
0)に対する傾斜角度が小さい場合に、一次アフタエア(1)の噴流と二次アフタエア(11)の噴流との分離を確実にして、一次アフタエア(1)の直進性と二次アフタエア(11)の広がりを維持可能である。
【0051】
請求項13記載の発明によれば、請求項1ないし12の何れかに記載の発明の効果に加えて、一次アフタエアノズル(5)と二次アフタエアノズル(14)の片方或いは両方の流路内に多孔板などからなる整流器(4,13)を設置することにより、流路入口部にアフタエアの偏流が存在する場合にも、整流によって一様な流れが形成され、一次アフタエア(1)においては直進性が維持できる。また、二次アフタエア(11)においては適切な広がりの確保が可能となる。
【0052】
請求項14記載の発明によれば、請求項1ないし13の何れかに記載の発明の効果に加えて、アフタエアポートの開口部(17)が矩形であるので、一次アフタエアノズル(5)、二次アフタエア流量調整ダンパ(12)なども矩形にすることが出来るので、製造コスト低減の面で有効である。
【0053】
請求項15記載の発明によれば、請求項1ないし13の何れかに記載の発明の効果に加えて、アフタエアポートの開口部(17)を多角形にすることにより、二次アフタエア流量調整ダンパ(12)などの構成部品を簡単な多角形とする構成が可能となり、製造コスト低減の面で有効である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
具体的な本発明の実施例の説明の前に、火炉内を上方に流れる燃焼ガスの中に、各種開口部断面形状のノズルを通して同一流速でアフタエアが供給される場合のアフタエア噴流の形状(濃度分布)を比較した図を
図16に示す。
【0056】
図16に数値流動解析結果を示し、
図16(a)には火炉壁に設置されるアフタエアポートの出口形状の違いによるエアポート中心軸Co(
図2参照)を通る鉛直面におけるアフタエア噴流の形状と濃度分布図を示し、
図16(b)には火炉奥行中央部のエアポート中心軸Coに直交する平面におけるアフタエア噴流の形状と濃度分布図を示す。
図16(a)(b)の左側部分に解析モデルの範囲を示している。
【0057】
本解析モデルは、1つのアフタエアポートを含む火炉の一部分を切り取った範囲を対象としており、幅4m、高さ13m、奥行8mの直方体であり、下方から3mの高さの位置で前記幅方向中央にアフタエアポートが設置されており、該アフタエアポートから
図16(a)の矢印で示す方向にアフタエアが供給される。火炉奥行は16mであるが、アフタエアポートから8mの位置が奥行方向の中心であり、このモデルは奥行方向に半分としている。当該モデル範囲の両サイド及び奥行側の境界は鏡対称の条件としており、実際の炉内の流動を模擬できる。
【0058】
また,
図16(a)(b)の左側部分に解析モデルの範囲を示して図の右側にはアフタエアの空気濃度をアフタエア質量分布として無次元化して帯状にした濃淡(実際は色違いで表している)で示している。上側ほど赤で下側ほど青であるが、赤が100%とすると、青は0%である。
【0059】
バーナ(図示せず)から上昇してくる燃焼ガスは、簡単化するために上向き一様流速の流れとしている。アフタエア供給ノズルの断面形状として、
図16に示すように、(vii)水平方向に長い矩形(縦横比1:2、ただし「縦横比」の「縦」はノズルの鉛直方向の長さ、「横」はノズルの水平方向の長さをいう)、(vi)円形、(i)〜(iv)の鉛直方向に長い矩形((v)縦横比3:2,(iv)2:1,(iii)3:1,(ii)4:1,(i)5:1の5種類)で合計7種類としている。
【0060】
アフタエア供給ノズル(以下、単にノズルということがある。)の断面積、噴出流量は前記7種類の全ノズルで同一である。火炉内に噴出されたアフタエアの噴流は、炉内を上昇する燃焼ガスの流れによって上側に曲げられる。噴出直後のアフタエア断面形状はノズル形状と同じであるが、その形状の水平方向の長さが大きいほど炉内を上昇する燃焼ガス流の影響を受けやすく、早く上側に曲げられる。すなわち、炉内を上昇する燃焼ガス流は、水平方向に長い矩形、円形、垂直方向に長い矩形の順に早く上側に曲げられる。
【0061】
ノズルの前記縦横比が3:1(3/1)より大きくなると、噴流両側面の抵抗の増加により、上側に曲げられる特性には飽和傾向が見られる。前記上側に曲げられる上昇燃焼ガス流は火炉奥行方向に鏡対称であるというモデルなので、火炉奥行方向の中心位置である8mの位置(炉壁から奥行方向に8m奥まった位置)で、一対の対向する火炉壁に配置されたアフタエアポート7aから噴出される噴流は衝突し、その後上向きに上昇する。
【0062】
アフタエアと未燃分を含む燃焼ガスの混合及び燃焼反応は、アフタエア噴流の上側で進む。アフタエア噴流が早く上側に曲げられると、混合及び燃焼反応のために必要なアフタエア噴流から火炉出口までの空間が小さくなり、結果的に未燃分残存率が高くなる。逆に、アフタエア噴流が上側に曲げられ難い場合には、混合及び燃焼反応のために必要なアフタエア噴流から火炉出口までの空間が確保可能となり、未燃分残存率が低く抑えられる。
【0063】
水平方向の幅が小さく、鉛直方向の高さが高い形状のノズルを用いてアフタエアを供給すると、炉内を上昇する燃焼ガスの流れの影響を小さくすることが可能となり、燃焼ガスの流れの上側への湾曲が小さくなって直進性が向上し、アフタエア噴流から火炉出口までのアフタエアと未燃分を含む燃焼ガスの混合と燃焼反応に必要な空間の確保が可能となって、前記未燃分の残存率が低い高効率燃焼が達成される。
【0064】
また、水平方向の幅が小さく、鉛直方向の高さが高い形状のノズルを用いただけでも、未燃分の低減に有効であるが、アフタエア噴流の間の火炉前壁及び後壁近傍の領域(
図15(b)に示す領域C)の未燃分を含む燃焼ガスに対して、効果的にアフタエアを供給することによって、さらに未燃分を低減した高効率燃焼が実現する。
【0065】
前述の特許文献1及び特許文献2の問題点について、上記噴流形状の違いによる噴流の炉内流動の違いに基づいて説明を加える。
特許文献1によるアフタエアポート構造を適用した場合、一体型の水平方向に末広がりの形状を有するアフタエア噴流を形成し、噴出直後のアフタエア噴流の断面形状は水平方向に幅広い(縦横比が小さい)形状となり、
図16(a)(vii)、
図16(b)(vii)に示すように、炉内上昇ガス流の影響を受けて早く上側に曲げられるため、アフタエア噴流は直進性の維持にとっては適切な形状とは言えない。
【0066】
本発明は、直進性を司る一次アフタエア1と広がり性を司る二次アフタエア11の2つの機能を有するアフタエアポートについて規定しているが、特許文献1記載の発明と根本的に異なるのは、直進性と広がり性を有する2種類のアフタエア噴流を完全に分離させて2種類の噴流の連続性を断ち切り、2種類の噴流間の相互作用を無くして、直進性と広がり性を維持可能にしている点である。
【0067】
特許文献2記載の発明によるアフタエアポート構造を適用した場合、アフタエアポート出口部のアフタエア噴流の断面形状は円形であり、
図16(a)(vi)、
図16(b)(vi)と縦/横比の大きな矩形のような形状(
図16(a)(i)〜(v)、
図16(b)(i)〜(v))に比べると直進性に劣り、改善の余地がある。
【実施例1】
【0068】
図1には本発明の一実施例のアフタエアポートを示し、
図1(a)は火炉側から見た正面図であり、
図1(b)は
図1(a)のA−A線断面矢視図である。
図1に示すアフタエアポートにおいて、アフタエア用風箱30(風箱30は風箱ケーシング32と火炉壁に囲まれた空間全体を表す。)内のアフタエアは一次アフタエア1と二次アフタエア11に分けられ、一次アフタエア1は一次アフタエアノズル5を経由して、また二次アフタエア11は二次アフタエアノズル14を経由して、それぞれ火炉31に供給される。一次アフタエアノズル5の入口には流れ方向に向かって次第に断面積を小さくした一次アフタエアノズル入口縮流部材5aが設置されており、一次アフタエアノズル5入口の圧力損失が抑えられる。一次アフタエアノズル5の入口部には、流路抵抗を変更可能な一次アフタエア流量調整ダンパ3が設置されており、一次アフタエア1の流量の最適調整を可能としている。
【0069】
一次アフタエアノズル5の内部には多数の貫通孔が設けられた板材からなる一次アフタエア整流器4が設置されており、一次アフタエアノズル5の入口部で一次アフタエア1に流速分布の偏りがある場合においても、一次アフタエア整流器4で一様流に整流されるので、安定して直進性を有する噴流として一次アフタエア1が火炉31に供給される。
【0070】
また、二次アフタエアノズル14の入口部には流路抵抗を変更可能な二次アフタエア流量調整ダンパ12が設置されており、二次アフタエア11の流量の最適調整を可能としている。二次アフタエア流量調整ダンパ12の出口には、多数の貫通孔が設けられた板材からなる二次アフタエア整流器13が設置されており、二次アフタエアノズル14の入口部で流速分布に偏りがある場合においても、二次アフタエア整流器13で一様流に整流されて二次アフタエア案内羽根15を経由して導入されるので、安定した広がりを有する噴流として二次アフタエア11が火炉31に供給される。
【0071】
一次アフタエアノズル5の内部には一次アフタエア整流器4の代わりに、ガス流れ方向に沿った平面板を有する1つ以上の仕切り板(図示せず)を設けて一次アフタエアノズル5内を複数の流路に分割することでも整流効果が得られ、一次アフタエアノズル5の入口部で流速分布に偏りがある場合においても、直進流に整流されるので、安定した直進性を有する噴流として一次アフタエア1が火炉31に供給される。
【0072】
ここで、本実施例と前述した特許文献1記載の発明によるアフタエア噴流のアフタエアポート出口部での流動の違いを、
図2を用いて再度説明する。
図2は本実施例(
図2(a))及び特許文献1記載の発明(
図2(b))によるアフタエアポートの先端部の構造例と出口部噴流パターン例の水平断面を中心軸から左側半分について比較したものである。
【0073】
特許文献1記載の発明によるアフタエアポートにおいては、
図2(b)に示すように、アフタエアの流れ方向は、アフタエア主流1aの中心軸付近では直進であるが、水平方向の外側に向かって次第に広がり、エア分割板25によりアフタエア主流1aから分離されたアフタエア副流1bと連続した一体のアフタエア噴流を形成する。これに対し、本実施例によるアフタエアポートにおいては、
図2(a)に示すように、一次アフタエアノズル5を流れる一次アフタエア1及び二次アフタエアノズル14を流れる二次アフタエア11は、直進方向と水平方向に傾斜角度を持って広がる方向の2種類の方向を有する独立した噴流として存在しており、両者の間には一対の二次流れである循環渦11aが形成される。このように本実施例におけるアフタエア1、11の流動パターンにより、アフタエア1、11の直進性と広がり性が維持されている。さらに、上述の二次流れ(循環渦)11aの形成は、アフタエア1及び11の周囲の燃焼ガスが一次アフタエア1及び二次アフタエア11の噴流に同伴される(引き込まれる)現象でもあり、未燃分を含む燃焼ガスとアフタエア1、11の混合を促進する上で重要な役割を果たしている。
【実施例2】
【0074】
図3には本発明のアフタエアポートの第2の実施例(左側半分の図示)を示す。本実施例では、二次アフタエアノズル14には二次アフタエア案内羽根15を左右それぞれで3枚有しており、アフタエアポート中心軸C
0に平行な軸C
1に対する二次アフタエア案内羽根15の傾斜角度θを、一次アフタエアノズル5から遠いほど大きくしている。一次アフタエアノズル5から遠い側の二次アフタエア案内羽根15で向きを変えられて火炉31内に供給される二次アフタエア噴流は対向配置される火炉前壁及び後壁に近い領域に供給され、一次アフタエアノズル5に近い側の二次アフタエア案内羽根15で向きを変えられて火炉31内に供給される二次アフタエア噴流は火炉前壁及び後壁から遠い領域に供給されるので、より広い領域への二次アフタエア11の供給を可能としている。
【実施例3】
【0075】
本発明の第3の実施例(左側半分の図示)を
図4に示す。二次アフタエア案内羽根15は左右でそれぞれ3枚設置されており、該二次アフタエア案内羽根15を回動させて傾斜角度を決める回転軸22が二次アフタエア案内羽根15の基部に一体的に設けられている。この回転軸22によって、二次アフタエア案内羽根15は回転可能に固定部材15aに設けられている。
【0076】
図5に二次アフタエア案内羽根15の作動機構図を示す。
リンク23は左右にも移動可能であり、二次アフタエア案内羽根15は、連動して傾斜角度が変化する。回転軸22は固定部材15aに回動自在に取り付けられており、ハンドル20の先端に固定されたリンク回転軸24はリンク23に回動自在に設けられているので、ハンドル20でリンク23を前後に移動させることができる。
【0077】
3枚の二次アフタエア案内羽根15は、さらに各案内羽根15の中央部を互いに連結する二次アフタエア案内羽根リンク23と該リンク23と案内羽根15の前記連結部に設けられる回転軸24に連結されており、3枚の二次アフタエア案内羽根15の傾斜角度を、操作部材の先端を風箱ケーシング32の外側に延長させて設けた操作ハンドル20によりリンク23を介して前記回転軸24を回動させることで同時に変更可能としている。
【0078】
二次アフタエア案内羽根操作ハンドル20を引き抜いた状態(
図4(a))では、二次アフタエア案内羽根15の広がり傾斜角度は比較的大きくなり、二次アフタエア噴流は火炉前(後)壁に近づく。逆に、二次アフタエア案内羽根操作ハンドル20を挿入した状態(
図4(b))では二次アフタエア案内羽根15の広がり傾斜角度は比較的小さくなり、二次アフタエア噴流は火炉前(後)壁から離れる。
【0079】
このように、二次アフタエア案内羽根操作ハンドル20の位置を火炉壁面の前後に調整することにより、火炉壁面の左右方向に偏向させる二次アフタエア11の向きを最適に設定することが可能となる。なお、二次アフタエア案内羽根操作ハンドル20はアフタエア用風箱ケーシング32を貫通して設置されるため、風箱ケーシング32の貫通部にはアフタエアが風箱30の外部に漏洩しないよう、二次アフタエア案内羽根操作ハンドル貫通部シール21が設けられている。
【実施例4】
【0080】
本発明の第4の実施例を
図6に示す。
図6(a)、
図6(b)共にアフタエアポート平断面の左半分を示し、
図6(a)には二次アフタエア案内羽根15が火炉側に向けて操作ハンドル20により挿入された場合、
図6(b)には二次アフタエア案内羽根15が火炉から引き抜かれた場合を示す。なお
図1などで説明した部材と同一部材は同一符号を付けて、その説明は省略する。
【0081】
図6(a)、
図6(b)に示す二次アフタエア案内羽根15は回転できないように固定部材15aに固定されている。
二次アフタエア案内羽根操作ハンドル20を挿入した状態(
図6(a))では、二次アフタエア案内羽根15の先端は火炉前(後)壁の位置まで挿入され、二次アフタエア11は、アフタエアポート開口部広がり部(スロート部)18の影響を受けずに、二次アフタエア案内羽根15の設定傾斜角度に沿って噴出される。
【0082】
二次アフタエア案内羽根操作ハンドル20を引き抜いた状態(
図6(b))では二次アフタエア案内羽根15の先端は火炉前(後)壁から風箱30側に移動した位置となり、二次アフタエア11は、アフタエアポート開口部広がり部18の影響を受ける。一次アフタエアノズル5から最も遠い二次アフタエア案内羽根15の外側から供給される二次アフタエア11は、アフタエアポート開口部広がり部18の内面に沿って広がりを抑えられた流れを形成する。
【0083】
アフタエアポート開口部広がり部18の影響は、一次アフタエアノズル5に近い側の二次アフタエア案内羽根15から供給される二次アフタエア11にも現れ、
図6(a)に比べると、二次アフタエア噴流は全体として火炉前(後)壁から離れた火炉内部の方向に供給される。
【0084】
そこで、二次アフタエア案内羽根操作ハンドル20の位置を前後に調整することにより、アフタエアポート開口部広がり部18の影響度合いが調整可能であり、二次アフタエア11の向きを最適に設定することが可能となる。本実施例では、アフタエアポート開口部広がり部18の影響を利用して二次アフタエア11の向きを調整するため、アフタエアポート開口部広がり部18の広がり傾斜角度は、
図4に開示した実施例に比べると小さくしている。
【実施例5】
【0085】
本発明の第5の実施例を
図7に示す。第一の案内部材16を設置した場合の効果について説明する。
図7(a)は第一の案内部材16を設けない場合のアフタエアポート先端部の左側半分を示す平断面図であり、
図7(b)は第一の案内部材16を設けた場合のアフタエアポート先端部の左側半分で案内部材16周りの平断面詳細図である。
【0086】
図7(a)に示すように、前述の一次アフタエア噴流と二次アフタエア噴流の間に存在する二次流れ(循環渦11a)は、一次アフタエアノズル5の先端部と一次アフタエアノズル5に最も近い二次アフタエア案内羽根15の火炉に面する部分に接触して形成され、該二次流れ(循環渦11a)中に浮遊する溶融灰が、一次アフタエアノズル5の先端部と一次アフタエアノズル5に最も近い二次アフタエア案内羽根15の火炉に面する部分に付着する。
【0087】
前記火炉面に付着した灰は次第に成長して一次アフタエア噴流及び二次アフタエア噴流の安定した形成を阻害する要因となる。
図7(b)に示すように、一次アフタエアノズル5の先端部と一次アフタエアノズル5に最も近い二次アフタエア案内羽根15の間に小さな隙間を設け、この隙間に第一の案内部材16を設置することにより、矢印で示す少量のシール空気Sが一次アフタエアノズル5先端部外面と一次アフタエアノズル5に最も近い二次アフタエア案内羽根15の火炉31に面する部分に沿って常時供給されるので、二次流れ(循環渦11a)中に浮遊している溶融灰の接触及び付着が抑制され安定したアフタエア噴流の形成が可能となる。
【0088】
図1他に示す第二の案内部材19の効果についての詳細説明は省略するが、上記と同様な効果により、アフタエアポート開口部広がり部18に少量のシールエアが常時供給されるので、アフタエアポート開口部広がり部18への灰付着が抑制され安定した二次アフタエア噴流の形成が可能となる。
【実施例6】
【0089】
本発明の第6の実施例を
図8を用いて説明する。
図8(a)は一次アフタエアノズル5に出口縮流部材5bを設けない場合のアフタエアポート先端部の平断面の左半分を示す図である。
図8(b)は一次アフタエアノズル出口縮流部材5bを設けた場合のアフタエアポート先端部の平断面の左半分を示す図である。
【0090】
二次アフタエア案内羽根15のアフタエアポート中心軸C
0に平行な軸C
1に対する傾斜角度θが小さい場合、
図8(a)に示すように、一次アフタエア1と二次アフタエア11の噴流の間の空間が小さくなり、二次流れ(循環渦11a)の形成が困難となる場合或いは、二次流れ(循環渦11a)が形成されても安定した形成が困難となる場合がある。そのような場合には、一次アフタエア1と二次アフタエア11の分離が困難或いは不安定となって、一次アフタエア1には直進性、二次アフタエア11には広がりという、本発明の基本的構成が実現されなくなるか、或いは効果が低下する。
【0091】
そこで、一次アフタエアノズル5の先端に一次アフタエアノズル5の出口縮流部材5bを設けることにより、
図8(b)に示すように、二次アフタエア案内羽根15のアフタエアポート中心軸C
0に平行な軸C
1に対する傾斜角度θが小さい場合においても、一次アフタエア1と二次アフタエア11の噴流の間に確実に空間を形成することが可能となり、安定した二次流れ(循環渦11a)の形成が可能となって、一次アフタエア1には直進性、二次アフタエア11には広がりという、本願発明の基本的構成が常に実現される。
【実施例7】
【0092】
本発明の第7の実施例を
図9を用いて説明する。
図9(a)は火炉壁に設けられるアフタエアポートの火炉31側から見たアフタエアポートの正面図、
図9(b)は
図9(a)のA−A線断面矢視図である。
【0093】
図9に示すアフタエアポートにおいて、アフタエアはアフタエア用風箱30から一次アフタエア1と二次アフタエア11に分けられ、一次アフタエア1は一次アフタエアノズル5を経由して、また二次アフタエア11は二次アフタエアノズル14を経由してそれぞれ火炉31に供給される。一次アフタエアノズル5の入口には流れ方向に向かって次第に断面積を小さくした一次アフタエアノズル入口縮流部材5aが設置されており、一次アフタエアノズル入口の圧力損失が抑えられる。一次アフタエアノズル5の入口部には、流路抵抗を変更可能な一次アフタエア流量調整ダンパ3が設置されており、一次アフタエア1の流量の最適調整を可能としている。
【0094】
一次アフタエアノズル5の内部には多数の貫通孔が設けられた板材からなる一次アフタエア整流器4が設置されており、一次アフタエアノズル5の入口部で一次アフタエア1に偏流がある場合においても、一次アフタエア整流器4で一様流に整流されるので、安定した直進性を有する噴流として一次アフタエア1が火炉31に供給される。
【0095】
図9(a)に示すように、本実施例は矩形のアフタエアポートを有する。開口部17、18を矩形にすることにより、一次アフタエアノズル5、二次アフタエア流量調整ダンパ12、二次アフタエア案内羽根15なども矩形にすることが出来るので、本発明の機能は有しつつ製造コスト低減の面で有効となる場合がある。
【実施例8】
【0096】
図10に本発明の第8の実施例を説明する。
図10(a)は火炉壁に設けられるアフタエアポートの火炉内から見た正面図、
図10(b)は
図10(a)のA−A線断面矢視図である。
【0097】
図10に示すアフタエアポートにおいて、アフタエアはアフタエア用風箱30から一次アフタエア1と二次アフタエア11に分けられ、一次アフタエア1は一次アフタエアノズル5を経由して、また二次アフタエア11は二次アフタエアノズル14を経由してそれぞれ火炉31に供給される。一次アフタエアノズル5の入口には流れ方向に向かって次第に断面積を小さくした一次アフタエアノズル入口縮流部材5aが設置されており、一次アフタエアノズル入口の圧力損失が抑えられる。一次アフタエアノズル5の入口部には、流路抵抗を変更可能な一次アフタエア流量調整ダンパ3が設置されており、一次アフタエア1の流量の最適調整を可能としている。
【0098】
一次アフタエアノズル5の内部には多数の貫通孔が設けられた板材からなる一次アフタエア整流器4が設置されており、一次アフタエアノズル5の入口部で一次アフタエア1に偏流がある場合においても、一次アフタエア整流器4で一様流に整流されるので、安定して直進性を有する噴流として一次アフタエア1が火炉31に供給される。
【0099】
図10(a)に示すように、本実施例ではアフタエアポートの開口部17、18を六角形としている。このように多角形の開口部(スロート部)17、18を適用することにより、二次アフタエア流量調整ダンパ12、二次アフタエア案内羽根15なども簡単な多角形にすることができるので、本発明の機能は有しつつ製造コスト低減の面で有効となる場合がある。
【0100】
アフタエアポートを設置する火炉壁の構造は、水冷管群のパネルや、耐火壁と金属の構造物など様々であるが、矩形又は六角形の開口部を有するアフタエアポートの構造に応じて、製造コストも考慮して適正に選択できる。
【0101】
上記各実施例で説明したアフタエアポートを、例えば
図14に示すアフタエアポート7(7a,7b)として適用することにより、アフタエア部に上昇してくるバーナ6からの未燃分を含む燃焼ガスの流量分布に応じて、一次アフタエア1と二次アフタエア11の適切なアフタエア流量配分と噴流方向の設定を可能とするとともに、一次アフタエア1噴流の直進性と二次アフタエア11噴流の広がりを安定して維持することが可能となり、未燃分を効果的に低減して、高い燃焼性能を達成することができる。
【0102】
上記各実施例のアフタエアポート7(7a,7b)は上述のように
図14のような単段(一段)のアフタエアポート7(7a,7b)を有する燃焼装置として適用することで、高い燃焼性能の達成に寄与できるが、複数段のアフタエアポート7(7a,7b)を有する燃焼装置において、全ての段のアフタエアポート7(7a,7b)として、或いは一部の段のアフタエアポート7(7a,7b)として本発明からなるアフタエアポート7(7a,7b)を適用しても、効果的に未燃分を低減して高い燃焼性能を達成することができる。
【0103】
上述の単段或いは複数段のアフタエアポートを有する燃焼装置において、アフタエアポート7aに対しては本発明からなるアフタエアポートを適用し、副アフタエアポート7bに対しては引用文献3のような従来のアフタエアポートを適用してもよい。
【0104】
さらに各実施例のアフタエアポート7は、火炉前後壁の片側のみにバーナを配設した片面燃焼の燃焼装置や、火炉の前後両側壁の全面やコーナ部分にバーナを配設したタンジェンシャル燃焼方式の燃焼装置に適用しても、直進性と広がり性の流動を活用して効果的に未燃分を低減して高い燃焼性能を達成することができる。
【0105】
また
図4、
図6には二次アフタエア噴流の向きや、一次アフタエアと二次アフタエアの流量を調整可能な機能について規定しているが、調整の手段は手動と自動のどちらでも良い。自動の調整手段を適用すれば、負荷やアフタエア合計流量などの運転条件に基づいて設定を変化させる、プログラム制御などにも応用できる。
【実施例9】
【0106】
図11に本発明のアフタエアポートの一実施例の火炉側から見た正面図(
図11(a)と
図11(a)のA−A線断面矢視図(
図11(b))と
図11(a)のB−B線断面矢視図(
図11(c))を示す。本実施例では一次アフタエアノズル5の内部には一次アフタエア案内羽根8が設けられている。一次アフタエア案内羽根8は、アフタエアの流れに沿ってアフタエアポートの高さ方向に複数段設けてあり、一次アフタエア案内羽根8のアフタエア1の流れの後端は固定位置にあり、アフタエア1の流れの前端が可動式になっている。一次アフタエア案内羽根8の前端が水平方向から下側に可動することにより、一次アフタエア案内羽根8は、上向きの傾斜角度を持つことになり、一次アフタエア1は炉内に、上向きに噴出することが可能になる。
【0107】
図12と
図13に本実施例によるアフタエア構造の噴流の形状を示す。なお、
図12と
図13に示す結果は
図16に示すアフタエア構造の噴流解析と同じ体系の数値解析の結果である。また、
図12の解析は、一次アフタエア1と二次アフタエア11の流量比は、6:4で行った。
図16と同じくアフタエアの空気濃度をアフタエア質量分布として無次元化して帯状にした濃淡(実際は色違いで表している)で示している。
図12と
図13に示すAAP中心、AAP上(1)、AAP上(2)及びAAP上(3)はそれぞれAAP中心からの高さを示し、(1)から(3)に向けて順次高くなっている。
【0108】
図12(a)にはアフタエアポート(AAP)7の中心軸Co(
図2参照)を通る鉛直方向の平面におけるAPP開口部の横断面形状の違いによる噴流の形状とアフタエア濃度分布を濃淡(実際は色違いで表している。)で表し、
図12(b)には、アフタエアポート(AAP)7の中心軸Coを通る水平方向の平面におけるAPP開口部の横断面形状の違いによる噴流の形状とアフタエア濃度分布を濃淡(実際は色違いで表している)で表している。
【0109】
図12(a)、(b)の(i)は一次アフタエア案内羽根8が無い場合、
図12(a)、(b)の(ii)は一次アフタエア案内羽根8の水平に対する傾斜角度が0°、
図12(a)、(b)の(iii)は一次アフタエア案内羽根8の水平に対する傾斜角度が火炉出口側が上向き(以下、単に上向きという。)に25°、
図12(a)、(b)の(iv)は一次アフタエア案内羽根8の水平に対する傾斜角度が上向きに45°である場合を示す。
【0110】
一次アフタエア案内羽根8の平面を水平方向に向けた場合(
図12(a)の(ii))の結果では、一次アフタエア1の噴流は貫通力を有し、炉の中央部分で、対向壁からの一次アフタエア噴流と衝突する。このことは、炉の中央部での混合を促進するため、燃焼が遅い難燃性の燃料を用いた場合は、燃焼が促進され未燃分低減に有効である。
【0111】
また、二次アフタエア11は、AAP7の出口で広がり、一次アフタエア1とは分離して水平方向に広がっていることがわかる。
一次アフタエア案内羽根8の傾斜角度を、上向き角度25°に設定した場合((
図12(b)の(iii))の結果では、一次アフタエア1は、水平ではなく、上向きに噴出される。しかし、炉内の燃焼ガスの影響を受けることなく、貫通力は有しているため、炉の中央で、対向壁からのアフタエアとの衝突は確認できる。
【0112】
この結果から、アフタエア1、11の混合を促進する効果を有しているので、比較的燃焼性が良い燃料の場合には、燃焼を促進し、未燃分低減に有効である。また、アフタエア1、11の混合が火炉上部に移行し、炉内を上昇する燃焼ガスとアフタエア1、11の混合が遅れるため、燃焼ガスの滞留時間が増加し、NOx還元が強化される利点がある。二次アフタエア11は、一次アフタエア1から分離し、水平方向に広がり、AAPを設置した壁面に沿って広がっていくことが分かる。このことから、
図3(b)中の一点鎖線Cの領域の未燃分低減に有効であることがわかる。
【0113】
図12(a)、(b)の(iv)に示す一次アフタエア案内羽根8の傾斜角度を、上向き角度45°に設定した場合の結果を示す。これらの場合には、上向きに貫通力を有しているが、炉の中央部に到達する前に火炉上部に達し、対向壁からのアフタエアとの衝突が見られなかった。このことから、一次アフタエア案内羽根8の傾斜角度は、0〜25°が望ましい。
【0114】
図13は、本発明のアフタエア構造において、一次アフタエア1と二次アフタエア11の流量比を8:2に変えた場合の噴流の分布を示した場合である。
図13(a)にはアフタエアポート(AAP)中心軸Coを通る鉛直方向の平面における噴流の形状とアフタエア濃度分布を示し、
図13(b)には、アフタエアポート(AAP)中心軸Coを通る水平方向の平面における噴流の形状とアフタエア濃度分布を示す。
【0115】
図13(a)、(b)の(i)には一次アフタエア案内羽根8の傾斜角度を0°にした場合を示し、
図13(a)、(b)の(ii)には一次アフタエア案内羽根8の傾斜角度を上向きに25°にした場合の噴流の形状と温度分布を濃淡(実際は色違いで表している)で表している。
【0116】
図13から一次アフタエア1の流量を増やすことにより、一次アフタエア1の噴流は貫通力を増す一方で、二次アフタエア11は流量が少なくなり、AAP7の出口で水平方向に広がることが分かる。一次アフタエア案内羽根8を水平に設置した場合、二次アフタエア11は水平方向に広がり、AAP7を設置した壁面に沿って広がる。この結果、二次アフタエア11の流量比が多い
図12(a)に比べ、壁面近傍での拡散が推進され、
図15(b)中のCの領域での未燃分低減が促進される。