特許第6026130号(P6026130)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通コンポーネント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6026130-コンタクト、コネクタ 図000002
  • 特許6026130-コンタクト、コネクタ 図000003
  • 特許6026130-コンタクト、コネクタ 図000004
  • 特許6026130-コンタクト、コネクタ 図000005
  • 特許6026130-コンタクト、コネクタ 図000006
  • 特許6026130-コンタクト、コネクタ 図000007
  • 特許6026130-コンタクト、コネクタ 図000008
  • 特許6026130-コンタクト、コネクタ 図000009
  • 特許6026130-コンタクト、コネクタ 図000010
  • 特許6026130-コンタクト、コネクタ 図000011
  • 特許6026130-コンタクト、コネクタ 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6026130
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】コンタクト、コネクタ
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/067 20060101AFI20161107BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   G01R1/067 C
   H01L21/66 B
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-89449(P2012-89449)
(22)【出願日】2012年4月10日
(65)【公開番号】特開2013-217800(P2013-217800A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2015年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 哲学
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 公紀
(72)【発明者】
【氏名】小林 満
【審査官】 菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−227035(JP,A)
【文献】 米国特許第4778404(US,A)
【文献】 特表平10−510947(JP,A)
【文献】 特開2006−266869(JP,A)
【文献】 特表2010−532908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/06−1/073
G01R 31/26
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲げ加工された板金により形成されたコンタクトであって、被接触対象に接触する一方端部と、当該一方端部からの信号を受け渡す他方端部と、前記一方端部を前記他方端部に対して離隔方向に付勢しつつ蛇行しながら延在して連結する弾性部と、当該弾性部を覆う筐体部と、前記弾性部と前記筐体部の前記他方端部側の端部とを連結する連絡部とを含み、前記離隔方向視において前記他方端部と前記連絡部が接触しないように前記他方端部と前記連絡部が前記筐体部の端部から突出し、前記離隔方向視において前記弾性部は閉曲線の一部が開口部として切り欠かれた形態をなし前記開口部の幅は前記弾性部の最大内幅と異ならせることを特徴とするコンタクト。
【請求項2】
請求項に記載のコンタクトを複数含むことを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクト、それを含むコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体集積回路等を製造する際においては、ウエハに形成されている半導体集積回路の電気的な特性を測定するための測定機器が用いられることがある。このような測定機器では、ウエハに形成されている電極バッドまたは電極端子にコンタクトを接触させて電気的に接続して電気的な測定を行っている。
【0003】
このようなコンタクトとしては、例えば下記の特許文献1に開示の、コイルスプリングプローブと称されるコンタクトが提案されている。このコンタクトは、筒状の筒体内にコイルバネを内蔵しており、コイルバネの一方の端部は、コンタクトの接触端子となっており、ウエハ等に形成されている電極パッドまたは電極端子と接触するものである。また、このコンタクトの他方の端部は、計測機器に電気的に接続している。
【0004】
このコイルスプリングプローブでは、筒体内にコイルバネを設けることにより、コンタクトの接触端子が伸縮可能であり、電極パッドまたは電極端子との電気的な接触を確実に行うことができる。また、このようなコンタクトを一の絶縁体の内部に複数含むことによって、電気的な接続を行なうためのコネクタを構成することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−24664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した特許文献1に記載のコイルスプリングプローブは、コンタクト、コイルバネ及び筒体を有する構造であるため、それぞれを別個の部品として製造して、これらの部品を組み立てる必要が生じる。このため、製造工程も複雑なものとなり、製造コストも高くなってしまう。コイルバネに該当する部分の形態についてバネ定数が未開示である。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、短時間に低コストで製造することが可能なスプリング機能を有するとともにバネ定数の設定自由度を高めることができる電気接続用のコンタクト及びコンタクトを含むコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため本発明のコンタクトは、曲げ加工された板金により形成されたコンタクトであって、被接触対象に接触する一方端部と、当該一方端部からの信号を受け渡す他方端部と、前記一方端部を前記他方端部に対して離隔方向に付勢しつつ蛇行しながら延在して連結する弾性部と、当該弾性部を覆う筐体部と、前記弾性部と前記筐体部の前記他方端部側の端部とを連結する連絡部とを含み、前記離隔方向視において前記他方端部と前記連絡部が接触しないように前記他方端部と前記連絡部が前記筐体部の端部から突出し、前記離隔方向視において前記弾性部は閉曲線の一部が開口部として切り欠かれた形態をなし前記開口部の幅は前記弾性部の最大内幅と異ならせることを特徴とする。


【0009】
ここで、前記離隔方向視において前記弾性部は多角形又は円形をなすこととし、前記筐体部の外輪郭形状を四角より多い多角面形状又は円筒面形状とすることとし、前記筐体部の前記他方端部側の端部は当該端部よりも前記一方端部側の部分よりも絞られた形状をなすこととし、前記一方端部の前記接点部以外の部分は前記被接触対象から視て多角形状又は円形状をなすことを適宜選択してもよい。
【0010】
また、前記他方端部は前記筐体部の前記他方端部以外の部分に対して前記同心円の中心側に折り曲げられることとし、前記一方端部は複数の接点部を含むこととし、前記複数の接点部は前記離隔方向から視て同心円上に配置されることとし、前記複数の接点部は互いに近接する方向に折り曲げられることとし、前記接点部は前記離隔方向から視て前記同心円上に延びる円弧形状をなすこととし、前記他方端部は前記他方端部側から視て前記同心円上に延びる円弧形状をなすこととすることを適宜選択してもよい。また本発明のコネクタは前記コンタクトを複数含むこととする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のコンタクトは、一枚の板金を加工することにより製造することができるため、複数の部品を組み立てる工程や接合する工程等を必要とせず、短時間に低コストで製造することが可能であり、特にスプリング単体を部品として含むことなく離隔方向の付勢が可能なスプリング機能を具備することができる。これとともに、本発明のコンタクトでは弾性部の前記断面内における延在長さを長くすることを可能とし、延在長さの自由度を高めバネ定数の設定自由度を高めることができる。また、このようなコンタクトを複数用いることにより本発明では、低コストで信頼性の高いコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る実施例1のコンタクト1の一実施形態を離隔方向Dに対して垂直な方向とAA断面で示す模式図である。
図2】実施例1のコンタクト1を構成する板金101からコンタクト1を折り曲げ加工により、構成する過程(a)〜(f)を離隔方向Dに対して傾斜する方向から示す模式図である。
図3】実施例1のコンタクト1を構成する板金101からコンタクト1を折り曲げ加工により、構成する過程(a)〜(f)を板金101の面に垂直な方向から示す模式図である。
図4】実施例1のコンタクト1をハウジングHの丸穴HHに収納した本発明のコネクタCを示す模式図である。
図5】実施例1のコンタクト1の一実施形態における弾性部4の図1におけるAA断面内の他の形態を示す模式図である。
図6】実施例1のコンタクト11をハウジングHの丸穴HHに収納する態様を示す模式図である。
図7】実施例2のコンタクト11の一実施形態を示す模式図である。
図8】実施例3のコンタクト21の一実施形態を離隔方向Dに対して傾斜する方向Aから視て一方端部22を主に示す模式図である。
図9】実施例3のコンタクト21の他実施形態を離隔方向Dに対して傾斜する方向Bから視て一方端部22を主に示す模式図である。
図10】実施例3のコンタクト21の他方端部23の他実施形態を離隔方向Dに対して傾斜する方向から視て示す模式図である。
図11】実施例3のコンタクト21の一方端部22の他実施形態を離隔方向Dに対して傾斜する方向とから視て示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1に示す本実施例1のコンタクト1は、電子部品や電気回路等の検査を行うために用いられるものであり、電子部品や電気回路等に形成された電極パッド又はBGA(Ball Grid Alley)等の電極端子等と検査装置側の基板とを電気的に接続する機能を有する。
【0015】
具体的には、コンタクト1は、図2(a)に示す一枚の板金、例えば、銅又は銅を含む合金からなる金属板101をプレス加工又はエッチング加工により輪郭形成加工する図示しない工程を経て、所定の箇所を順次折曲げる図2(b)〜(f)に示す工程を経て図2(f)に示すように形成したものである。すなわち、コンタクト1は一体化されており、全体がつながった構造を有している。なお、図3図2の三角法に基づく平面視、離隔方向D視(右方視)、垂直視(下方視)であり、(a)〜(f)は図2の段階と同様のものを示しているので、以下において適宜併用して説明する。
【0016】
実施例1のコンタクト1は、図1に示すように、一方端部2、他方端部3、弾性部4、筐体部5、連絡部6を有している。なお、図2図3に示す、金属板101の一方端部分102、他方端部分103、弾性部分104、筐体部分105、連絡部分106は、図1図示の一方端部2、他方端部3、弾性部4、筐体部5、連絡部6の成形前の部分を指し、図1図示の符号の末尾を対応させている。
【0017】
本実施例1のコンタクト1は図4に示すようにコネクタCのハウジングHの複数の円孔HHに筐体部5が収納され固定されて用いられるものである。一方端部2は、例えば図4下側に示すウエハ等に形成されたBGAの半田ボールBに接触させ図4上側に示す検査装置側の基板D上のパッド等と半田ボールBとを電気的に接続する機能を有するものである。一方端部2の端部は、一対の接点部2aを形成している。この接点部2aは、半田ボールBに直接接触する部分である。
【0018】
弾性部4の成形前の弾性部分104は、図2(a)及び図3(a)に示すように、筐体部分105から突出する連絡部106の端部から、一方端部分102に向かう離隔方向Dに向けてU字状に蛇行しながら延びる蛇行形状をなしている。弾性部分104は、離隔方向Dの幅方向内の四箇所において折り曲げられて、折り曲げ後の弾性部4は、離隔方向D側から視て図3(b)右図に示すように五角形状の閉曲線の一部が開口部4aとして切り欠かれた形態をなし開口部4aの幅は弾性部4の最大内幅と異ならせる(ここでは開口部4aの幅を弾性部4の最大内幅より小さくしている)。
【0019】
ここで、五角形状の閉曲線を構成するにあたっては、例えば、鈍角のエッジを有するダイにより、弾性部分104の図1中の開口部4aの反対側に位置する底辺4bの両側に対応する折り曲げ線を折り曲げた後、必要により五角柱の治具を底辺4bに接する位置に挿入して、弾性部分104の蛇行形状の折り返し方向(離隔方向Dに垂直)の両端を狭めて開口部4aを形成する方向に一対の挟み面を有する治具にて加圧して、底辺4bの隣の一対の隣辺4cとその隣の一対の端辺4dの境界の折り曲げ線を折り曲げることにより構成される。
【0020】
つまり弾性部4は、弾性部分104を蛇行形状の折り返し方向に沿って五角形状をなすように折曲げられて形成される。弾性部4では、折り返し端ごとにU字状に曲がった蛇行する形状とすることにより、弾性を有するものとなり、バネとしての機能を発揮させることができ、弾性部4は主に一方端部2を他方端部3から離隔させる離隔方向Dに付勢する付勢手段をなす。
【0021】
接点部2aは、図2又は図3の(a)に示す一方端部分102から離隔方向D側に突出する接点部分102aを、図2又は図3の(b)に示すように、弾性部4の底辺4b以外の部分が底辺4bに対して突出する側に突出するよう根元から折り曲げて形成される。また一方端部2本体つまり接点部2a以外の部分についても、図2又は図3の(b)から図2又は図3の(c)へ移行する段階で離隔方向Dに平行な中心線を有する円筒形状に曲面状に折り曲げられる。この一方端部2本体のなす円筒形状は図2又は図3の(c)に示すように離隔方向D視において弾性部4のなす五角形状に沿う形態を有する。
【0022】
他方端部3は、図2又は図3の(a)の筐体部分105から一方端部2側に突出する一対の他方端部分103を根元から弾性部4の突出する側と反対側に突出するよう、図2又は図3の(b)に示すように折り曲げで構成される。
【0023】
連絡部106を離隔方向Dの中間点で180度折り曲げて図2又は図3の(e)の状態とした後、幅方向(離隔方向Dに垂直で弾性部分104が蛇行する方向)の両端部の間隔を狭める方向に両端部を加圧して図2又は図3の(f)の状態とすることにより、筐体部5は形成される。筐体部5は、弾性部4の全体を囲むように筐体部分105を折曲げることにより形成されている。具体的には、図2又は図3の(d)に示す段階にて、筐体部分105の幅方向の両端部において曲面状に折り曲げられている。なお、筐体部分105が含む三つの凸部分105aは一方端部2に対して外側に図2又は図3の(b)の段階で適宜折り曲げられてストッパを形成し、このストッパは後述する図4のハウジングHの円孔HH内周面に設けられた図示しないストッパ受けに係合される。
【0024】
尚、筐体部5と弾性部4とは境界となる連絡部6において、約180度折り曲げられており、弾性部4は筐体部5内に納められた構造となっている。また、この連絡部6は、プローバー等の測定機器と電気的に接続される端子として他方端部3を補完する目的でも使用可能である。接点部2aにおいて電極パットまたは電極端子と接触して得られた電極信号は、一方端部2と他方端部3を介し、測定機器に伝達される。
【0025】
加えて、本実施例1のコンタクト1では、一対の接点部2aは相互に近接する方向に一方端部2から折り曲げられて構成され、図1に示すように一対の接点部2aの被接触対象に接触する一対の端面2aaはハの字形状を構成している。このため、被接触対象が半田ボールBであって曲面を有する場合に、曲面に対して一対の端面2aaは相互に異なる箇所にて接触することとなり接触箇所を二箇所としてより確実な電気的接触を確保することができる。
【0026】
同様に、本実施例1のコンタクト1では、一対の他方端部3についても相互に近接する方向に筐体部5から折り曲げられて構成され、一対の他方端部3の被接続対象に接触する一対の端面3aは図1に示すようにやはりハの字形状を構成している。このため、測定機器の基板D側が半田ボールBを有する場合に、半田ボールBの曲面に対して一対の端面3aは相互に異なる二箇所にて接触することとなり接触箇所を二箇所としてより確実な電気的接触を確保することができる。
【0027】
さらに、本実施例1のコンタクト1では、一方端部2の外周面を円筒形状に形成している。このため、コネクタCから突出する部分である一方端部2の剛性を高め、特にブラシ等を使用した清掃時に作用する横方向(離隔方向Dに垂直な方向)の力への耐久性を高めることができる。
【0028】
また、本実施例1においては、弾性部4の離隔方向D視あるいは離隔方向Dに垂直な断面内の形状が五角形である場合について説明したが、これは一部が開口部として切り欠かれた閉曲線の例示である。つまり、この閉曲線の形態は、図5(a)に示すような三角形、(b)に示すような四角形、(c)に示すような開口部の幅が図1よりも広い五角形、(d)に示すような六角形、(e)に示すような円形のいずれの形態とすることができる。いずれの形態においても、(f)に示すようなコの字形態に比べて、離隔方向Dに断面内における弾性部4の延在長さ(蛇行する弾性部4の隣接する折り返し端相互間の距離)の選択自由度を高めることができる。弾性部4の発揮する弾性力はこの延在長さに逆比例するため、スプリング力の調整をより容易なものとすることができる。なお、スプリング力を強める為には延在長さを短くすればよく、例えば、図5(f)に示すコの字形態の開口部の幅を開口部以外の最大内幅よりも大きくして異ならせる。
【0029】
このような、実施例1におけるコンタクト1は、メモリテスタ、液晶パネルの検査、基板検査用コンタクト等に用いられるコネクタCにおいて用いることができ、ポゴピンとも称されるコンタクトピンの代替として用いることができる。
【0030】
なお、コンタクト1の製造方法について以下に補足する。最初に、図2又は図3(a)に示した所定の形状に金属板101を形成する(金属板形成工程)。形成方法は、金属板をプレス加工等により打ち抜き形成する方法、または、金属板上に所定の形状のマスクを形成し、マスクの形成されていない領域をエッチングする方法である。尚、この金属板101は、銅又は銅を含む合金などにより形成されており、厚さは、適宜の厚みを選択する。次に、金属板101にメッキ加工を施す(メッキ工程)。このメッキ加工は、例えば、Ni、Pd、Auをこの順番で行う、もしくはNi、Auのメッキをこの順番に行うことにより実行される。
【0031】
以上の工程とすることによって、実施例1のコンタクト1は、一枚の金属板101を加工することにより製造することができる。従って、スプリング機能を有するコンタクト1において、複数の部品を組み立てる必要がない。
【0032】
また、製造工程が、金属板のプレス加工等の加工工程と、メッキ工程と、折曲げ工程により製造されるものであるため、簡単な製造装置で製造することができ、また、製造工程も単純であるため、低コストで大量に短時間に製造することができる。従って、低コストで、スプリング機能を有するコンタクト1を製造することができる。
【0033】
さらに、本実施例1のコンタクト1では、筐体部5の外周面形状を四角よりも多い多角形状又は円筒状とすることができるので、図6に示すように、ハウジングH側の孔部を円孔HHとすることができる。円孔HHはエンドミルで加工可能であり、モールド金型を用いて形成する角孔を有するハウジングと比較して、コストを削減することができる。
【実施例2】
【0034】
上述した実施例1においては、一対の接点部2aの端部を相互に近接する方向に折り曲げることにより半田ボールBとの接触性を高めたが、複数の接点部2aを同心円上に点在させることにより接触性を高めることもできる。以下それについての実施例2について述べる。
【0035】
本実施例2のコンタクト11は、図7(a)に示す形態をなし、一方端部12、他方端部13、筐体部15については、実施例1に示したものと基本的には同様の構成を有する。図7中においては、実施例1で示した離隔方向Dが方向Bであり、方向Aはその反対方向である。
【0036】
図7(b)は上述した図7(a)のA視であり、図7(c)はB視であり、図7(d)は図7(b)の一点鎖線のサークル内の拡大図である。図7(b)に示されるように、実施例2のコンタクト11の一方端部12は、曲面状に形成された円筒面を基にして部分円弧状の開口部121が切り欠かれた形態であり、その周方向には図7(d)に示されるようにほぼ等間隔に接点部12aが方向B側に突出して配置される。
【0037】
図7(c)に示されるように筐体部15の端部に位置する他方端部13は、一対の端部が相互に接触するように間隔が狭められており、ともに方向A側に絞られて断面形状が四角形状にて突出する舌辺形態をなしている。
【0038】
本実施例2のコンタクト11では、被接触対象が半田ボールBであって表面が曲面状であることに対して、同心円上に接点部12aを配置することにより、半田ボールBに対して周方向に等間隔に配置された異なる接触点にて接触させて、接触性を高めることができる。他方端部13については、上述した絞られた舌辺形態とすることにより、測定機器の基板D側が例えばスルーホールである場合にスルーホールへの挿入性を高めるとともにスルーホールの内周面に四角形状の四隅の接触点で接触させて接触性を高めることができる。また図7(e)に示すように、一方端部12の側方からの作用力Sに対する剛性を断面二次モーメントの増大により高めて、ブラシ洗浄等への耐久性を高めることができる。
【実施例3】
【0039】
上述した実施例1においては、一対の接点部2aの端部を相互に近接する方向に折り曲げることにより半田ボールBとの接触性を高めたが、接点部2aを同心円上に延在する円弧形状とすることにより接触性を高めることもできる。以下それについての実施例3について述べる。
【0040】
本実施例3のコンタクト21は、図8及び図9に示す形態をなし、一方端部12、他方端部13、筐体部15の基本構成については、実施例1に示したものと同様である。図8及び図9中においては、実施例1で示した離隔方向Dが方向Bであり、方向Aはその反対方向である。
【0041】
図8に示されるように、実施例3のコンタクト21の一方端部22は、それぞれが部分円弧状の一対の接点部22aを有しており、一対の接点部22aが方向B側に突出して配置される。一対の接点部22aは一方端部22の接点部22a以外の基部に対してオフセットさせて形成され、半田ボールBへの位置決めがなされている。図9に示されるように、実施例3の筐体部25の端部に位置する他方端部23は、一対の端部23aがやはり部分円弧状に形成され、ともに方向A側に突出する形態をなしている。
【0042】
本実施例3のコンタクト21では、被接触対象が半田ボールBであって表面が曲面状であることに対して、同心円上に部分円弧状に接点部22aを形成することにより、接触性を高めることができる。他方端部23についても同様に、測定機器の基板D側が例えば半田ボールBである場合に接触性を高めることができる。
【0043】
なお、基板D側がスルーホールやパッドである場合には、図10に示すように他方端部23の端部を根元に対して絞った形状としてスルーホールに対する挿入性を高めるとともに接触点を多くして接触性を高めることもできる。被接触対象の半田ボールBへの接触性を同じく高めるため、図11に示すように部分円弧状の接点部22aを周上四箇所に設けることもできる。
【0044】
本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形および置換を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、コンタクト及びこれを複数用いたコネクタに関するものであり、コイルバネを用いず一枚の板材からコンタクトを形成するため、様々な半導体装置の試験に用いる測定装置に供して有益なものである。
【符号の説明】
【0046】
1 コンタクト
2 一方端部(接触部:半田ボールB側)
2a 接点部
3 他方端部(端子部:基板側)
4 弾性部
5 筐体部
5a 凸部
6 連絡部
101 金属板(板金)
102 一方端部分
102a 接点部分
103 他方端部分
104 弾性部分
105 筐体部分
105 凸部分
106 連絡部分
C コネクタ
H ハウジング
HH 円孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11