(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る荷受台昇降装置は、荷受台の跳ね上げを防止する面では大きな効果を備えているが、センサの取り付けに関しては未だ改善の余地がある。実際の車両に取り付けられる荷受台昇降装置において、センサの取り付け位置は、制限されており、その取り付け位置の違いはセンサの耐久性、検知精度、取り付け又はメンテナンスのコスト面などに大きく影響するためである。
【0006】
平行リンクアームによって荷受台が昇降される荷受台昇降装置の場合、平行リンクアームは車両の車枠に対して上下回動可能に支持される。地面や障害物との接触を回避するため、センサは平行リンクアームの基端側(車枠に支持されている側)に設けられることが多い。
【0007】
ただし、平行リンクアームの基端側は、荷台下方であって、アーム部材や油圧シリンダさらには電気配線等が設けられている部分であり、スペース面の制限が多い。一方、これらのレイアウトを変更するには、多大なコストを要する。
【0008】
さらに、既に利用されている荷受台昇降装置に対して、機能付加のために上記センサを取り付ける際、車両から荷受台昇降装置を外すことは大きなコストアップを招き好ましくない。そこで、車両下側に潜り込んだ状態で作業が行われるため、簡易な取り付け作業や取り付け位置が好まれる。さらに、センサ取り付け位置に関する要求度が高いほど、取り付け誤差が生じた場合にセンサの検知精度の低下も招くため、取り付け位置の自由度が高いほうが好ましい。センサのメンテナンスを行う際にも同様である。
【0009】
本発明は、これらの点を鑑みてなされており、荷受台の下方傾動を継続させることができ、車両に取り付けられて既に利用されている荷受台昇降装置も含めて取り付けに要するコストを抑制できる構成の荷受台昇降装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
車枠に対して回動可能に支持されたアーム体と、当該アーム体に接続されて荷台と地面との間で昇降されて地面上で傾動される荷受台と、前記アーム体を検知する検知装置と、前記荷受台を所定時間継続して下方傾動させる油圧駆動装置とを備えた荷受台昇降装置とする。この荷受台昇降装置は、前記アーム体は、前記荷受台の下方傾動において前記車枠に対して離接可能な前後回動部を有し、前記検知装置の検知部又は被検知部は、前記前後回動部の回動下部と対向するように前記車枠に固定され、前記所定時間の下方傾動は、前記検知装置によって制御される構成とする。前記検知装置の検知部又は被検知部が前記前後回動部の回動下部を対向する構成により、荷受台昇降装置を車両に取り付ける際だけでなく、既に車両に取り付けられた状態の荷受台昇降装置に対しても検知装置自体の取り付けコストがアップすることを抑制できる。
【0011】
前記車枠は、車両前後方向を長手方向とする左右一対の縦フレームと、当該縦フレームに架設された横フレームとを含んでなり、前記検知部及び前記被検知部は、前記横フレームの後方に設けられている構成としても良い。
また、前記検知装置の感知部又は被検知部は、前記アーム体に隣接するように横並びで設けられている構成としても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る荷受台昇降装置では、前後回動部は荷受台の下方傾動の際に前後に回動するため、この回動下部を被検知部又は検知部とすれば、荷受台の下方傾動の際に検知部と被検知部とが「非対向状態から対向状態」又は「対向状態から非対向状態」に切り替えを利用して荷受台の下方傾動を所定時間継続させる制御を様々な車両に対して安定的に実現することができる。
【0013】
回動下部と対向する部位を検知部又は被検知部とすれば、車両下方に潜った取り付け作業も手が届き易い。また、車両の電気配線や油圧配管は、車両下方の障害物や跳石などとの干渉を回避するために、アーム体と車枠との連結支持部よりも上側の部分、例えば車枠に這設される。そのため、回動下部側に検知部等を設けることは、車枠に這設される電気配線等が検知装置の取り付け作業を阻害する要因にもならない。したがって、検知装置の取り付け作業者の熟練度に影響されることもない。
【0014】
また、アーム体の前後回動部の回動下部と対向するように検知部又は被検知部が設けられることは、前後回動部が一定の回動領域を形成するため、多少前後又は上下に取り付け位置がずれても荷受台の下方傾動を検知することができる。検知自体が可能であれば、タイマ制御等によって下方傾動を所定時間継続させることができる。つまり、検知装置の取り付けの位置精度に高いレベルを要求しなくても、荷受台の下方傾動を所定時間継続させることが可能になる。特に、前後回動部の回動支点が上部の場合、回動下部は前後に長い回動領域を形成するため、その回動下部と対向する部分に検知部又は被検知部を設置さえすれば、安定した検知作動が行われる。
【0015】
さらに、メンテナンス等を行う際、車枠の上には荷箱が搭載されており、回動下部側に検知部又は被検知部が設けられている方が作業効率も良い。既に利用されている荷受台昇降装置に対して機能付加等のために検知部を新たに接地する際にも同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る荷受台昇降装置について、図面を用いて実施形態の一例を説明する。
【0018】
図1は、車両1の後方に取り付けられ、荷箱2の後面に荷受台3が起立状態となっている荷受台昇降装置100の斜視図である。当図における荷受台3の状態のときに、車両1は走行可能な状態である。
【0019】
荷受台昇降装置100は、車両1に対して上下回動可能に支持された平行リンクのアーム体4を有しており、アーム体4の先端には荷受台3が上下回動可能に支持されている。アーム体4は左右一対で設けられており、それぞれの基端側において荷箱2等を支持する車枠に支持されている。この車枠は、前後方向を長手方向する左右一対の縦フレーム(不図示)と、縦フレームに架設された横フレーム5とを含んでなる。荷箱2は縦フレーム上に搭載され、アーム体4は横フレーム5に連結されている。なお、アーム体4は油圧シリンダ等を含んでなる。この油圧シリンダは荷箱2の左側下方に設けられた油圧駆動装置6に制御され伸縮作動される。油圧シリンダの伸縮作動に伴ってアーム体4が上下回動され、荷受台3の昇降作動又は傾動作動が行われる。
【0020】
荷受台3の昇降作動または傾動作動について、
図2を用いてアーム体4等の構成を含めながら説明する。
図2(a)は荷受台昇降装置100の側面図で、
図2(b)はアーム体4と横フレーム5の連結部分を中心に示した平面図である。なお、左右一対のアーム体4のうち、車両左側のアーム体4を代表例として説明する。
【0021】
車枠は上述のとおり、図示する二点鎖線の縦フレーム7と、縦フレーム7下方で架設された横フレーム5を含んでなる。アーム体4は横フレーム5に対して3枚の支持ブラケット51a、51b、51cを介して連結されるとともに、下方に開口するコ字状断面を有するブラケット(第1フレームブラケット)81とL字状断面を有するブラケット(第2フレームブラケット)82とを介して縦フレーム7に連結されている。
【0022】
3枚の支持ブラケット51a、51b、51cは横フレーム5に対して対向状態で並設して固定されている。隣り合う支持ブラケット51a〜51cの間においてアーム体4の構成部材の基端部が上下回動自在に連結支持されている。
【0023】
これらの支持ブラケット51a〜51cのうち、最も車両幅方向内側に位置する第1支持ブラケット51aには第1フレームブラケット81が固定されている。第1フレームブラケット81は、コ字状断面部分が横フレーム5後方に延びる状態で固定されており、第1フレームブラケット81の上面に第2フレームブラケット82が固定されている。第2フレームブラケット82は縦フレーム7に横並びで固定されている。
【0024】
第1フレームブラケット81の下端部には、アーム体4の回動を検知するための検知部として近接センサSが設けられている。この近接センサSはセンサステー81aを介して取り付けられている。センサステー81aは下方に延びた状態で第1フレームブラケット81に固設されている。近接センサSは、センサステー81aに差し込まれており、車両外側を向いた状態で固定されている。
【0025】
アーム体4は、上下方向に延びるリンクアーム41と、車両前後方向に延びるリフトアーム42、リフトシリンダ43、チルトシリンダ44とを含んでなる。なお、リフトシリンダ43とチルトシリンダ44はいずれも油圧シリンダよりなり、油圧駆動装置6(
図1参照)との間で圧油が給排可能に設けられている。
【0026】
リンクアーム41は、車両後方に開口するコ字状断面を有したブラケット材である。リンクアーム41は、2枚の支持ブラケット51a、51bの間に位置し、支持ブラケット51a、51bに対してピンP1を介して前後回動自在に連結されている。具体的には、リンクアーム41の上部401がピンP1に支持され、下部410が回動先端側となるとともに回動部位(以下、下部410を単に「回動下部」と記す。)となる構成である。
【0027】
リフトアーム42は、基端部(車両前側の一端部)がリンクアーム41の上端部側にピンP2を介して回動自在に連結されている。リフトアーム42の先端部(車両後側の他端部)は、荷受台3の後端部で上面側(図中の左側)においてピンP21を介して回動自在に連結されている。
【0028】
リフトシリンダ43は、リフトアーム42の下方に設けられ、その基端部(車両前側の一端部)は、リンクアーム41の下端部においてピンP3を介して回動自在に連結されている。リフトシリンダ43の先端部(車両後側の他端部)は、リフトアーム42の途中部42aにピンP32を介して回動自在に連結されている。
【0029】
チルトシリンダ44は、リフトアーム42の下方に設けられ、その基端部(車両前側の一端部)は、車両外側の支持ブラケット51bにピンP4を介して回動自在に連結されている。チルトシリンダ44の先端部(車両後側の他端部)は、荷受台3の後端部で下面側(図中の右側)においてピンP41を介して回動自在に連結されている。
【0030】
荷受台3は、側面視略三角形状を有した構成である。起立状態の荷受台3に対して、その上面(荷物載置面)31が水平状態3Aに姿勢変更する回動作動(矢印A1)と、水平姿勢のまま接地状態3Bにする下降作動(矢印A2)と、水平姿勢で接地した状態3Bから荷受台3の先端部がさらに接地した状態3Cにする下方傾動(矢印A3)とが行われる。荷受台3を起立状態にする際又は上昇させる際にはそれぞれ反対作動が行われる。なお、これらの作動は、油圧駆動装置6(
図1参照)に接続された操作装置(不図示)を作業者が操作することで行われる。
【0031】
矢印A1の回動作動は、伸長状態のチルトシリンダ44を収縮させることで行われる。チルトシリンダ44が収縮すると、ピンP21回りに荷受台3が回動し、荷受台3の上面31が荷箱2(
図1参照)の床面21と略同じ高さで水平状態となる。
【0032】
矢印A2の下降作動は、伸長状態のリフトシリンダ43を収縮させることで行われる。リフトシリンダ43が収縮するとピンP2、P3、P4回りにそれぞれリフトアーム42、リフトシリンダ43、チルトシリンダ44が下方回動される。このとき、ピンP2、P3、P21、P32によって平行四辺形が形成されてこれらピンP2、P3、P21、P32を介してリンクアーム41、リフトアーム42、リフトシリンダ43は平行リンクを構成している。したがって、荷受台3はその上面31が水平状態を維持して下降作動される。また、この下降作動において、リフトシリンダ43に荷受台3や荷物の荷重が及び、リンクアーム41には車両前方向きの力がかかっている。そのため、リンクアーム41は
図2(a)のように横フレーム5に接触した状態が維持される。
【0033】
矢印A3の下方傾動は、荷受台3が水平姿勢で接地した状態3Bからのリフトシリンダ43のさらなる収縮によって行われる。荷受台3が水平姿勢で接地した状態3Bになると、荷受台3等の下方荷重によってリフトシリンダ43はさらに収縮されつつリフトアーム42の先端部のピンP21を車両後方に移動させる。このとき、リンクアーム41は、上述した横フレーム5に接触した状態から回動下部410が車両後方に移動し、横フレーム5からその回動下部410が離れる。つまり、リンクアーム41がピンP1を中心に車両後方に回動する。こうしたリフトシリンダ42やリンクアーム41の動作に基づいて、水平姿勢で接地した荷受台3は自動的に下方傾動した状態3Cに切り換えられる。
【0034】
荷受台3における下方傾動した状態3Cに切り換えられると、リンクアーム41が近接センサSによって検知される。近接センサSは、リンクアーム41に隣接するように、リンクアーム41と第1フレームブラケット81との隙間W1の間に検知部位が位置した状態で横並びとなって設けられている。近接センサSは第1フレームブラケット81から車両外側を指向する検知範囲としており、具体的には、近接センサSの検知範囲を横切るように回動するリンクアーム41を被検知部(検知対象)としている。なお、近接センサSのうち車両内側部分(センサステー81aとの取り付け部分)には筒状のカバー部材Cが取り付けられている。カバー部材Cによって車両走行中の跳石による損傷や泥水による腐食等を防止することができる。
【0035】
次に、検知部の近接センサSによる被検知部のリンクアーム41の検知方法について
図3を用いて説明する。
図3は、近接センサSを中心に示したリンクアーム41及び第1フレームブラケット81の側面図である。なお、説明の便宜上、リフトアーム42、リフトシリンダ43、チルトシリンダ44、又はこれらを支持するピンP2〜P4等は適宜省略されている。
【0036】
荷受台が水平姿勢で昇降される間、リンクアーム41は
図3(a)のように上下に延びた状態となっている。この際、リンクアーム41は近接センサSの検知範囲(車両外側に指向する領域)を横切らずほぼ同じ姿勢を維持している。
【0037】
一方、荷受台が下方傾動する間においては、リンクアーム41は
図3(b)のようにピンP1回りに車両後方(図中の右側)へ回動する(矢印A4)。このとき、近接センサSは図示のとおり、回動されたリンクアーム41の回動下部410と対向状態となり、リンクアーム41が近接センサSによって検知された状態となる。近接センサSはリンクアーム41を検知すると、その信号を油圧駆動装置6に出力する。この出力信号を受けて、荷受台3の下方傾動は所定時間継続される。本実施形態においては、荷受台3の下方傾動の継続指令は近接センサSによるリンクアーム41の検知がトリガーとされている。
【0038】
近接センサSは
図3(b)のとおり、横フレーム5の後方側であって、側方から見てリンクアーム41の回動領域(一点鎖線部から実線部までの領域)に含まれるように設けられている。この回動領域内のいずれの位置に近接センサSが設けられていても同様に検知することができる。特に、近接センサSの検知対象が回動下部410なので、側方から見て近接センサSは前後方向において長さL41の範囲と重複する部分があれば良い。そのため、近接センサSの取り付け位置が多少前後又は上下にずれていても回動下部410と近接センサSを対向させることができる。また、近接センサSが取り付けられている第1フレームブラケット81は、下方に開口したコ字状断面であって車両後方に延びた形状を有するため、近接センサSの取り付け位置の自由度は高い。側方から見たリンクアーム41の幅W41(
図3(a))を大きくすると、近接センサSと対向し易くなるため、近接センサSの取り付け位置の自由度をさらに高めることもできる。また、近接センサSの取り付け位置がリンクアーム41の回動領域内であれば車両地上高の低下を招くこともない。特に、近接センサSの取り付け高さは、リンクアーム41が横フレーム5と当接するため、少なくとも横フレーム5の高さH1の範囲内であれば回動したリンクアーム41と対向状態とすることができる。また、車両における地上高の低下を防止できる構成であれば、リンクアーム41の下端部に至るまでの高さH2の範囲内に近接センサSが設けられた構成としても良い。そして、車両前後方向に関する近接センサSの取り付け位置に関しては、跳石との干渉防止の点でも横フレーム5の後方に設けられていることが望ましい。車両1の後輪が横フレーム5よりも前方側に位置するので、跳石が近接センサSに干渉し難くなるためである。
【0039】
近接センサSの取り付け位置は、さらに横フレーム5よりも後方側まで前後及び上下方向に多少ずれてもリンクアーム41の回動領域と対向できる位置であれば良い。近接センサSによるリンクアーム41の検知は荷受台3の下方傾動を継続させるトリガーとなるため、検知位置が多少ずれてもその検知信号を基にタイマ制御すれば下方傾動の継続時間を一定化することができる。
【0040】
近接センサSは回動下部410と対向するように第1フレームブラケット81に取り付けられていることで、下方から取り付け作業やメンテナンスも行い易い。第1フレームブラケット81は、縦フレーム7と横並びで設けられて下方開口した断面形状を有しており、縦フレーム7及びフレームブラケット81、82の下方スペースに潜り込んで作業を行うことができ、アーム体4によってメンテナンス作業が阻害されることもない。また、アーム体4に接続される電気配線や油圧配管は、車枠5、7に這設される。回動作動するアーム体との接触や車両下方の障害物又は跳石との干渉を回避するためである。そのため、アーム体4の下部側に近接センサSが取り付けられた構成は、その取り付け作業やメンテナンスを行う上で電気配線等によって作業が阻害されず効率が良い。こうした効果は、既に車両に取り付けられて利用されている荷受台昇降装置に対して、新たに近接センサSが取り付けて機能を付加する場合でも同様に得ることができる。
【0041】
また、近接センサSの取り付け位置に高い精度が求められるほどその作業は煩雑になるが、本実施形態の構成では上述のとおり、その「取り付け位置の自由度の高さ」と「取り付け作業の簡易化」によって、様々な種類の車両に対応することができ、近接センサSの取り付けコストの抑制に大きく貢献することができる。
荷受台3の下方回動及び近接センサSによる検知は、
図4に示す油圧駆動装置6及び
図5に示す電気回路によって行われる。
【0042】
油圧駆動装置6は、
図4のとおり、電動モータM、油圧ポンプP、オイルタンクTを備える。油圧ポンプPから吐出された圧油は第1圧油供給路61を通じてリフトシリンダ43に供給される。また、リフトシリンダ43とオイルタンクTは、第1圧油供給路61から分岐された第1圧油戻し路62によって連通可能となっている。また、チルトシリンダ44と油圧ポンプPは、第1圧油供給路61から分岐された第2圧油供給路63によって連通可能となっており、油圧ポンプPから吐出された圧油がチルトシリンダ44にも供給可能な構成となっている。さらに、チルトシリンダ44とオイルタンクTの間は、第1圧油供給路63に接続された第2圧油戻し路64によって連通可能になっている。なお、各圧油供給路61、63や各圧油戻し路62、64の連通又は遮断の切換は図示の各制御弁SOL1〜SOL3によって行われる。
【0043】
そして、荷受台昇降装置100には、
図5のとおり、作業者が操作指令する操作装置や、操作装置に接続された開閉用リレー101と、油圧駆動装置6を駆動する駆動用コンダクタ102と、駆動用コンダクタ102を駆動する駆動用リレー103と、油圧駆動装置6の連続作動時間を所定時間(例えば20秒)に設定するタイマ104と、荷受台3が水平状態に姿勢変更されたか否か検知するセンサS10と、センサS10の検知で切替弁SOL1を遮断状態に維持する遮断用リレー105とがさらに含まれる。
【0044】
操作装置には、荷受台3を起立姿勢と水平姿勢との間で姿勢変更させる「開閉」スイッチB1と、荷受台3を上昇させる「上」スイッチB2と、荷受台3を下降させる「下」スイッチB3が設けられている。「下」スイッチB3を押したときは、駆動用リレー103に信号出力は行われない。そのため、電動モータMは駆動しないが、切替弁SOL1が連通状態となって荷受台3は下降する。なお、荷受台3が完全に水平状態に姿勢変更されていない場合、センサS10の検知に基づいて遮断用リレー105が接点R11を開き状態とし、切替弁SOL1が遮断状態となって荷受台3は下降しない。
【0045】
こうした電気回路において第1フレームブラケット81に設けられた近接センサSは、下方傾動継続用リレー106に接続されている。この下方傾動継続用リレー106によってタイマ107が制御される。当該タイマ107によって、荷受台3の下方傾動の継続状態が制御される。この下方傾動の継続状態の制御は、
図6のフローチャートのとおりとなる。
【0046】
水平状態の荷受台3に対して「下」スイッチB3を押すと荷受台3が下降する。なお、途中で「下」スイッチB3を離すと下降作動は停止する(ステップ1〜3)。
【0047】
荷受台3が地面に接した状態(ステップ4)において、さらに「下」スイッチを押すと荷受台3の傾動作動が開始される(ステップ5、6)。傾動作動に伴ってリンクアーム41の回動が近接センサSによって検知される(ステップ7、8)。近接センサSはリンクアーム41を検知すると傾動継続用リレー106に電気信号が入力され、接点RBが閉じ状態となる。接点RBが閉じることでタイマ107が作動する。当該タイマ107による所定の設定時間(例えば2秒)だけ接点T2は閉じ状態が継続される。接点T2の閉じ状態が継続されている間、「下」スイッチB3のオン又はオフに関係なく切替弁SOL1が連通状態となる(ステップ9、10)。つまり、ステップ8〜10の間で作業者が「下」スイッチB3を離しても荷受台3の下方傾動を継続させることができる。なお、荷受台3の下方傾動を維持する所定の設定時間に関しては、ステップ6〜10にわたる荷受台3の下方傾動の中で、リフトシリンダ43の収縮に伴う圧抜きが十分に行われるように設定されており、その長さは適宜変更可能である。
【0048】
荷受台昇降装置100には下方傾動の継続機能が付加されるが、
図6のフローチャートのとおり、作業者は単に「下」スイッチB3を押す操作だけで下方傾動を継続させることができるので、下方傾動の継続制御のための新たな操作を必要とせず作業の煩雑さを感じることもない。
【0049】
また、本実施形態のように近接センサSの取り付け位置が第1フレームブラケット81の下端側であれば、リンクアーム41の回動領域は前後方向に長くなるので、近接センサSの検知範囲も同様に前後方向に長く設定することもできる。したがって、荷受台3の下方傾動を近接センサSが安定して検知することができる。この場合、車両1が停車して荷受台3が下降する箇所が傾斜地や段差を有する場所であって、荷受台3の下方傾動時のリフトシリンダ43の圧抜きがほとんど行われていない状態であっても、近接センサSの検知によって下方傾動を継続させることができる。
【0050】
なお、上記のタイマ107による設定時間に関しては、荷受台3の先端部が接地してからリフトシリンダ43の圧抜きが十分に行われるだけの時間とされており、荷受台3の重量や大きさ、又は想定される荷物重量等に併せて適宜設定可能である。当該設定時間だけ下方傾動が継続される荷受台昇降装置100とすることで、荷受台3から荷物をおろして、荷物等によって荷受台3が受ける下方荷重が解除されても、荷受台3の先端が跳ね上がることはない。
【0051】
以上のように、荷受台3の下方傾動を継続させるための近接センサSによってリンクアーム41が検知される構成としたが、被検知部は荷受台3の下方傾動に伴って作動される部材であればリンクアーム41以外としても良い。
【0052】
近接センサSが取り付けられる部材に関しては第1フレームブラケット81に限定されない。
図7に示すように横フレーム5に取り付けた構成としても良い。例えば、
図7(a)のように、横フレーム5の下方部に近接センサSaを固定し、リンクアーム41aの下端部411aが車両前方に延出した形状としても良い。この場合、荷受台3の下方傾動が行われる前まではリンクアーム41aは横フレーム5に当接した状態であって、下端部411aと近接センサSaが対向した状態となっている。荷受台3の下方傾動が開始されると、下端部411aと近接センサSaが非対向状態となり、対向状態から非対向状態の切り替えによって、荷受台3の下方傾動の継続制御が開始される。
【0053】
また、
図7(b)のように、横フレーム5の後面5bから下方向に垂設された固設ブラケット50bに近接スイッチSbが取り付けられ、リンクアーム41bにおける下方に延出した下端部411bを被検知部とした構成としても良い。この近接スイッチSbは車両後方に指向した検知範囲を有しており、下方傾動が行われる前までは一点鎖線で示すように下端部411bと対向した状態となっている。荷受台3の下方傾動が開始されると、下端部411bが後方に離れてしまい、近接センサSbの検知範囲から外れる。検知範囲内から検知範囲外に下端部411bが回動することによって、荷受台3の下方傾動の継続制御が開始される。なお、リンクアーム411bの前面410bに切り欠きを設けて横フレーム5の後面5bに近接センサSbを設けた構成としても良い。
【0054】
また、第1フレームブラケット81に近接センサSを取り付けて固定する構成としたが、リンクアーム41に近接センサSを取り付け、第1フレームブラケット81に固定された被検知部を設けた構成として同様の効果を得ることができる。また、検知部に関しては近接センサだけでなく、他の非接触型センサでも良いし、例えばリミットスイッチ等の接触型検知部でも良い。
【0055】
荷受台昇降装置の種類に関しては、本実施形態のような荷箱2の後方で起立する荷受台を備えた構成に限らず、荷箱2の下方に収納される荷受台であっても同様の効果を得ることができるため適用可能である。