特許第6026275号(P6026275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6026275
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】手洗浄乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/48 20060101AFI20161107BHJP
【FI】
   A47K10/48 A
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-520862(P2012-520862)
(86)(22)【出願日】2010年6月30日
(65)【公表番号】特表2012-533368(P2012-533368A)
(43)【公表日】2012年12月27日
(86)【国際出願番号】AU2010000832
(87)【国際公開番号】WO2011009156
(87)【国際公開日】20110127
【審査請求日】2013年3月21日
(31)【優先権主張番号】2009903456
(32)【優先日】2009年7月23日
(33)【優先権主張国】AU
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516139919
【氏名又は名称】メディクリーン、プライベート、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MEDIKLEAN PTE LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】ナイジェル、デイビッド、ライト
(72)【発明者】
【氏名】ケン、タスマン、チョート
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/058374(WO,A1)
【文献】 特表昭56−500321(JP,A)
【文献】 特開平06−154125(JP,A)
【文献】 特開平5−293055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁によって画定された略水平なチャンバであって、長手方向に延びる中心軸と、内側に曲げられた周囲リップを含む開口端部と、閉鎖端部と、を有するチャンバと、
前記中心軸の上方において前記壁に配設されたトップマイクロスプレーノズルと、
前記中心軸の両側において前記壁に配設された2つのサイドマイクロスプレーノズルと、
前記中心軸の上方において前記壁に配設された空気入口と、
加熱器を含む空気送風機であって、乾燥空気を前記空気入口に送るように配設された空気送風機と、
前記中心軸の下方において前記壁に配設された空気出口と、
各々が前記壁の少なくとも一部分を外側から囲み、前記空気出口を前記空気送風機に連結する複数の空気サイドダクトと、を備え、
前記空気送風機が前記チャンバから前記空気出口とその後に前記空気サイドダクトとを介して空気を引き込み、
前記中心軸の上方に分流器が設けられ、
前記分流器は、前記チャンバ内に配設された互いに反対側を向いている2つの空気通気口を有し、
前記分流器に前記空気入口からの空気の一部が供給され、
使用時に、空気は、前記中心軸に対して両側の横方向に前記壁の方に向かって前記空気通気口によって部分的に導かれ、これにより、前記中心軸に平行な軸の周りに前記チャンバ内で空気が回転して循環し、
使用時に、洗浄液は、前記トップマイクロスプレーノズルおよび前記サイドマイクロスプレーノズルから噴霧されて、前記チャンバの前記中心軸に交差するマイクロスプレーの液体カーテンを共同で確立し、空気は、前記チャンバ内で循環すると共に前記空気出口から前記空気入口に前記チャンバの周囲を再循環することを特徴とする手洗浄乾燥装置。
【請求項2】
前記チャンバは、円形状、卵形状または楕円形状の垂直断面を有していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記トップマイクロスプレーノズルおよび前記サイドマイクロスプレーノズルは、それぞれ、平坦な扇形状のスプレーパターンを有していることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記トップマイクロスプレーノズルおよび前記サイドマイクロスプレーノズルは、平坦な扇形状のスプレーパターンを共同で確立し、前記マイクロスプレーノズルの各々は、45°と180°との間の内角を有する扇形内において洗浄液を噴霧することを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記トップマイクロスプレーノズルおよび前記サイドマイクロスプレーノズルは、前記中心軸に垂直な略半径方向に向けられていることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記トップマイクロスプレーノズルおよび前記サイドマイクロスプレーノズルは、前記閉鎖端部の方に向かって前記中心軸に対して88°の角度で半径方向内側に向けられていることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記内側に曲げられた周囲リップは、丸みを帯びた端部で終端する前記チャンバの前記壁の連続体として形成され得ることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
使用時に、前記内側に曲げられた周囲リップは、前記チャンバの前記開口端部から軸方向に空気が流れ出ることを制限することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
洗浄液に加えられる液体を貯留するためのチャンバを備えていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記洗浄液に加えられる前記液体は、液体石けんであることを特徴とする請求項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手洗浄乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
手洗浄乾燥装置は、手を洗うための水のスプレー部と手を乾かすための乾燥空気のフロー部とが設けられたチャンバを備えている。このような装置には、チャンバから外に水が飛び跳ねたり、空気が吹き出されたりするという問題が存在している。このことにより、水およびエネルギの非効率的な使用と、周囲領域の非衛生的な汚れが引き起こされる。
【0003】
水および乾燥空気のより一層効率的かつ衛生的な使用を提供する手洗浄乾燥装置が必要とされる。
【発明の概要】
【0004】
本発明によれば、画定壁を有する略水平なチャンバと、中心軸と、内側に曲げられた周囲リップを含む開口端部と、閉鎖端部と、前記中心軸の上方において前記壁に配設されたトップマイクロスプレーノズルと、前記中心軸の両側において前記壁に配設された2つのサイドマイクロスプレーノズルと、前記中心軸の上方において前記壁に配設された空気入口と、前記中心軸の下方において前記壁に配設された空気出口と、外部で前記壁を囲み前記空気入口を前記空気出口に連結する2つの空気サイドダクトと、を備え、使用時に、液体は、前記トップマイクロスプレーノズルおよび前記サイドマイクロスプレーノズルから噴霧されて、前記チャンバの前記中心軸に交差するマイクロスプレーの液体カーテンを共同で確立し、空気は、前記チャンバ内で循環すると共に前記空気出口から前記空気入口に前記チャンバの周囲を再循環する手洗浄乾燥装置が提供される。
【0005】
前記チャンバは、円形状、卵形状または楕円形状の垂直断面を有していてもよい。前記トップマイクロスプレーノズルおよび前記サイドマイクロスプレーノズルは、それぞれ、平坦な扇形状のスプレーパターンを有していてもよい。前記トップマイクロスプレーノズルおよび前記サイドマイクロスプレーノズルは、45°と180°との間のセクタ角度を有するセクタ内において、平坦な扇形状のスプレーパターンを共同で確立してもよい。前記トップマイクロスプレーノズルおよび前記サイドマイクロスプレーノズルは、前記中心軸に垂直な略半径方向に向けられていてもよい。例えば、前記トップマイクロスプレーノズルおよび前記サイドマイクロスプレーノズルは、前記閉鎖端部の方に向かって前記中心軸に対して88°の角度で半径方向内側に向けられていてもよい。
【0006】
前記空気入口は、前記中心軸の上方において前記チャンバに配設された反対側を向いている2つの空気通気口を有する分流器に部分的に流体的に連結され、使用時に、空気は、前記中心軸に対して両側の横方向に前記壁の方に向かって前記空気通気口によって部分的に導かれ、これにより、前記中心軸に平行な軸の周りに前記チャンバ内で空気が回転して循環するようにしてもよい。
【0007】
前記開口端部の前記内側に曲げられた周囲リップは、45°と180°との間のセクタ角度を有するセクタ内で前記中心軸の周りに設けられていてもよい。前記内側に曲げられた周囲リップは、丸みを帯びた端部で終端する前記チャンバの前記壁の連続体として形成されている。使用時に、前記内側に曲げられた周囲リップは、前記チャンバの前記開口端部から軸方向に空気が流れ出ることを制限する。
【0008】
添付した図面を参照しながら、本発明の一例を以下に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施の形態における手洗浄乾燥装置の前面断面図である。
図2図2は、装置の側面断面図である。
図3図3(a)〜(f)は、それぞれ、装置の洗浄スプレーパターンを示す装置の前面、側面、前面、平面、前面および平面断面図である。
図4図4は、装置の洗浄スプレーパターンを示す装置の平面断面図である。
図5図5は、装置の乾燥空気の循環を示す装置の前面断面図である。
図6図6は、装置の乾燥空気の循環を示す装置の前面断面図である。
図7図7は、装置の乾燥空気の循環を示す装置の側面断面図である。
図8図8は、装置の乾燥空気の循環を示す装置の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1および図2を参照すると、本発明の一実施の形態による手洗浄乾燥装置10は、壁14によって画定された略水平なチャンバ12を備えている。チャンバ12は、長手中心軸A−Aに対して垂直な断面において楕円(elliptical)形状を有している。中心軸A−Aは、例えば、わずかに垂直方向に傾斜している。チャンバ12は、垂直断面において、例えば卵(oval)形状または円形状など他の同等の形状を有していてもよい。チャンバ12は、閉鎖端部16と、一対の手20を受け入れるような大きさで寸法付けられた開口端部18と、を有している。開口端部18は、例えば45°と180°との間のセクタ(sector)角度φ1を有するセクタ内において、中心軸A−Aの周りに設けられた、内側に曲げられた周囲リップ22を有している。図4に示されているように、内側に曲げられた周囲リップ22は、手20を引っかけることまたは手20に切り傷をつけることを最小化するための丸みを帯びた端部24に終端するチャンバ12の壁14の連続体として形成され得る。チャンバ12は、例えば、プラスチックの一体成形品として形成される。
【0011】
中心軸A−Aの上方において、壁14にトップマイクロスプレーノズル26が配設され、中心軸A−Aの両側において、壁14にサイドマイクロスプレーノズル28、30が配設されている。また、中心軸A−Aの上方において、壁14に空気入口32が配設され、中心軸A−Aの下方において、壁14に空気出口34が配設されている。空気入口32は、中心軸A−Aの上方においてチャンバ12に配設された2つの反対側を向いている空気通気口36、38を有する分流器33に部分的に連結されている。空気通気口36、38は、中心軸A−Aに垂直な平面において、反対方向に、壁14の方に向いている。2つの空気サイドダクト40、42が、外部で壁14を囲み、空気入口32を空気出口34に連結している。空気出口34の下方には、ドレイン44が設けられている。
【0012】
洗浄液、例えば水および/または液体せっけんは、容器48から送られ、連結管46を介してトップスプレーノズル26およびサイドスプレーノズル28、30に加圧下で供給される。洗浄液体は、マイクロスプレー、すなわち比較的高い圧力の液体の微細噴流(fine jet)の形態で分配される。洗浄液は、本管の圧力(mains pressure)またはポンプ(図示せず)によって加圧され、任意的に温水器(図示せず)によって加熱される。乾燥空気は、空気送風機50から導管52を介して空気入口32に送られる。乾燥空気は、任意的に空気加熱器(図示せず)によって加熱される。コントローラ、例えばプログラマブル論理コントローラは、チャンバ12の開口端部18を通って手20が挿入されたことを検出する例えば光学センサなどのセンサ54に応答してチャンバ12の付属部品を選択的に制御する。コントローラ56は、手20のための洗浄サイクルおよび乾燥サイクルを提供すると共に、連続使用の間にチャンバ12のためのクリーニングサイクルを任意的に提供するようにプログラムされている。中心軸A−Aの上方において、壁14に照明部(図示せず)が配設されて、チャンバ12の内部を照らすようになっている。チャンバ12および付属部品は、共通のハウジング58に設けられている。
【0013】
石けん、例えば液体石けんは、外部コンテナから注入することによって、または、液体石けんパッケージ、例えば破断可能なカートンを、洗浄液に液体連通した石けんチャンバ(図示せず)に挿入することによって、洗浄液に加えられる。液体石けんパッケージは、挿入時に穴があけられるように、チャンバ(図示せず)内に受け入れられるように構成され、液体石けんをチャンバに充填することができるようになっている。他の方法として、例えば棒状のような固形状の石けんがチャンバ12内に直接挿入されてもよい。この場合、洗浄液は、チャンバ12を通って流れて、溶解された固体石けんを洗浄液に加えるようになっている。
【0014】
図3(a)〜図3(f)および図4は、装置10の洗浄サイクルの間に、トップマイクロスプレーノズル26およびサイドマイクロスプレーノズル28、30によって作り出されたマイクロスプレーの洗浄パターンを示している。図3(a)〜図3(f)に最も良く示されているように、トップノズル26およびサイドノズル28、30は、それぞれ、平坦な扇形状のスプレーパターンを有している。トップマイクロスプレーノズル26およびサイドマイクロスプレーノズル28、30は、例えば45°と180°との間のセクタ角度φ2を有するセクタ内において、共同の平坦な扇形状のスプレーパターンを有するマイクロスプレーの液体カーテンを共同で確立する。トップマイクロスプレーノズル26およびサイドマイクロスプレーノズル28、30は、中心軸A−Aに垂直な略半径方向に向けられている。チャンバ12の開口端部18の外部に液体が噴霧されることを最小化するまたは防止するために、トップマイクロスプレーノズル26およびサイドマイクロスプレーノズル28、30は、閉鎖端部16の方に向かって中心軸A−Aに対して88°の角度で半径方向内側に向けられている。
【0015】
使用時、センサ54は、チャンバ12内への手20の挿入を検出する。コントローラ56は、水の供給と共に所定量の石けんの連結管46への解放を開始する。これにより生じた石けんと水の混合体は、トップマイクロスプレーノズル26およびサイドスプレーマイクロノズル28、30から、手20と、その周りと、その上方とに噴霧される。マイクロスプレーノズル26、28、30の方向付けが、チャンバ12内に空気を引き込むことによって空気の渦を生成し、チャンバ12の開口端部18の外部に洗浄液が噴霧されることを最小化するまたは防止する。図4に最も良く示されているように、トップマイクロスプレーノズル26およびサイドマイクロスプレーノズル28、30は、共同的に、チャンバ12の中心軸A−Aに交差するマイクロスプレーの液体カーテンを確立する。
【0016】
所定時間の後、コントローラ56は、水の供給を停止し、チャンバ12に乾燥空気を供給するために加熱器を作動させる。図5および図6は、装置10の乾燥サイクルの間にチャンバ12に提供される乾燥空気の循環を示している。図5に最も良く示されているように、乾燥空気は、部分的に、中心軸A−Aに垂直な空気入口32によってチャンバ12に供給される。また、乾燥空気は、分流器33の空気通気口36、38によって、中心軸A−Aに対して両側の横方向に壁14の方に向かって部分的に導かれ、これにより、中心軸A−Aに略平行な軸B−Bおよび軸C−Cの周りにチャンバ12内で乾燥空気が回転して循環する。乾燥空気は、また、空気入口32から空気出口34にチャンバ12の壁14の周りの外部で再循環する。特定の理論に拘束されることは意図していないが、軸B−Bおよび軸C−Cの周りの空気の流れは、ファン50から押し込められた導管52へ下降させられ、その後、曲げられた壁のチャンバ12の比較的大きな広い空間に向かって空気入口32を流出する乾燥空気の空気圧力によって作り出されると考えられる。そして、この空気はチャンバ壁14の曲げられた側面に当たり、空気を迅速に回転させる。
【0017】
図7および図8に示されているように、内側に曲げられた周囲リップ22は、チャンバ12の開口端部18から軸方向に手の間を通って空気が流出することを制限する。図6に最も良く示されているように、内側に曲げられたリップ22は、チャンバ12内で循環する乾燥空気と相互作用し、チャンバ12の壁14の近傍で、空気のより一層小さな回転の流れまたは渦を作り出す。図6および図8に最も良く示されているように、チャンバ12内の乾燥空気の渦は、開口端部18を介してチャンバ12内に外気を引き込む。外気はチャンバ12内で循環している乾燥空気と混合し、混合空気は空気出口34に導かれ、その後、空気サイドダクト40、42によって空気入口32に再循環される。
【0018】
以上より、本発明の実施の形態が洗浄液と乾燥空気のより一層効率的かつ衛生的な使用を提供することは明らかである。このことにより、水およびエネルギに関して運転コストの節約がもたらされる。
【0019】
本実施の形態は、一例として記載されており、特許請求の範囲内において変形は可能である。
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図3(d)】
図3(e)】
図3(f)】
図4
図5
図6
図7
図8