特許第6026312号(P6026312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6026312
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】泡沫化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61Q 1/14 20060101AFI20161107BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20161107BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   A61Q1/14
   A61K8/92
   A61K8/37
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-27430(P2013-27430)
(22)【出願日】2013年2月15日
(65)【公開番号】特開2014-156416(P2014-156416A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2015年9月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】特許業務法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】草川 太郎
【審査官】 ▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−213680(JP,A)
【文献】 特開2005−325038(JP,A)
【文献】 特開2006−008574(JP,A)
【文献】 特開2011−020929(JP,A)
【文献】 特開2006−083093(JP,A)
【文献】 特開2007−223943(JP,A)
【文献】 特開2006−347918(JP,A)
【文献】 特開2004−115442(JP,A)
【文献】 特開2006−176447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
CAplus/KOSMET(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(A)〜(C)を含有する泡沫化粧料。
(A)液状油
(B)炭素数が6〜18の脂肪酸と平均重合度が2以上6以下のポリグリセリンとがエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステル
(C)デカイソステアリン酸デカグリセリル
【請求項2】
さらに、(D)噴射剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の泡沫化粧料。
【請求項3】
(A)液状油が、トリグリセリドを含む請求項1又は2に記載の泡沫化粧料。
【請求項4】
(A)液状油が、トリグセリセリド及び一価の脂肪酸と一価のアルコールとの一価の脂肪酸エステルを含む請求項1〜3のいずれかに記載の泡沫化粧料。
【請求項5】
一価の脂肪酸と一価のアルコールとの一価の脂肪酸エステルが、2エチルヘキサン酸セチルである請求項4に記載の泡沫化粧料。
【請求項6】
一価の脂肪酸と一価のアルコールとの一価の脂肪酸エステルを液状油全量に対して50〜80質量%含有する請求項4または5に記載の泡沫化粧料。
【請求項7】
(B)炭素数が6〜18の脂肪酸と平均重合度が2以上6未満のポリグリセリンとがエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステルが、モノラウリン酸ジグリセリル、モノミリスチン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、トリオレイン酸ペンタグリセリルから選択される1種以上である請求項1〜6のいずれかに記載の泡沫化粧料。
【請求項8】
クレンジング化粧料である請求項1〜のいずれかに記載の泡沫化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡沫化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
油分を主体とする組成物を噴射剤によってエアゾール化し泡沫状とする泡沫化粧料は、手に適量を取り出すことができ皮膚や毛髪に塗布しやすいことから、マッサージ化粧料やパック化粧料、クレンジング化粧料として応用されている。
泡沫化粧料は油分に界面活性剤を添加した組成物を揮発性の噴射剤とともにエアゾール化することで、油分が泡沫状となる。油分とともに用いられる界面活性剤としては、エアゾール化した時の起泡性や泡の持続性が良いことからポリグリセリン脂肪酸エステルが第一に選択され、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含む泡沫化粧料の技術が多数開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【0003】
マッサージ化粧料やパック化粧料、クレンジング化粧料は、いずれも皮膚に塗布した後にふき取るか洗い流す必要がある製剤であるが、近年、これらの製剤は、洗い流すタイプが主流である。また、洗い流した後の化粧料の肌へのあと残り感(以下、単に「肌へのあと残り感」ということがある)がなく感触がさっぱりとしたものが好まれる傾向にある。
泡質や水性汚れ除去能の向上を課題として、親油性と親水性のポリグリセリン脂肪酸エステルを併用した泡沫エアゾール形態のクレンジング化粧料の技術が知られている(特許文献3)が、この技術は乳化組成物を泡沫状とする技術であって水の配合が必須であるためクレンジング力は、十分なものは得られなかった。ここで、一般に、水を実質的に含まない油性成分主体の組成のクレンジング化粧料の方が、メイク汚れとのなじみがよく、水を含むクレンジング化粧料よりもクレンジング力(本明細書中、メイク汚れを落とす効果と同義で用いる)に優れているといわれている。
以上より、エアゾール化した時の起泡性、泡の持続性に優れ、クレンジング化粧料とした場合のクレレンジング力に優れ、しかも洗い流した後の肌へのあと残り感がない泡沫化粧料の技術開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−241745号公報
【特許文献2】特開2004−250355号公報
【特許文献3】特開2005−325038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、エアゾール化したときの起泡性、泡の持続性に優れ、化粧汚れを落とすクレンジング機能に優れ、皮膚に油っぽい感触が残ることなくすっきりと洗い流せる泡沫化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、親油性界面活性剤(炭素数が6〜18の脂肪酸と平均重合度が2以上6以下のポリグリセリンとがエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステル)と水酸基の1〜3箇所がアシル化されていない液状のデカグリセリン脂肪酸エステルを液状油とともに配合した泡沫化粧料用組成物が、クレンジング力に優れ、洗い流した後の肌残り感がなくさっぱりとした感触であること、該組成物をエアゾール化して得られる泡沫化粧料は気泡性、泡の持続性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明の主な構成は、次のとおりである。
(1)以下の(A)〜(C)を、含有する泡沫化粧料。
(A)液状油
(B)炭素数が6〜18の脂肪酸と平均重合度が2以上6以下のポリグリセリンとがエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステル
(C)水酸基の1〜3箇所がアシル化されていない液状のデカグリセリン脂肪酸エステル
(2)さらに、(D)噴射剤を含有することを特徴とする(1)に記載の泡沫化粧料。
(3)(A)液状油が、トリグリセリドを含む(1)又は(2)に記載の泡沫化粧料。
(4)(A)液状油が、トリグセリセリド及び一価の脂肪酸と一価のアルコールとの一価の脂肪酸エステルを含む(1)〜(3)のいずれかに記載の泡沫化粧料。
(5)(B)炭素数が6〜18の脂肪酸と平均重合度が2以上6未満のポリグリセリンとがエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステルが、モノラウリン酸ジグリセリル、モノミリスチン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、トリオレイン酸ペンタグリセリルから選択される1種以上である(1)〜(4)のいずれかに記載の泡沫化粧料。
(6)(C)水酸基の1〜3箇所がアシル化されていない液状のデカグリセリン脂肪酸エステルが、デカイソステアリン酸デカグリセリルである(1)〜(5)のいずれかに記載の泡沫化粧料。
(7)一価の脂肪酸と一価のアルコールとの一価の脂肪酸エステルが、2エチルヘキサン酸セチルである(4)〜(6)のいずれかに記載の泡沫化粧料。
(8)一価の脂肪酸と一価のアルコールとの一価の脂肪酸エステルを液状油全量に対して50〜80質量%含有する(4)〜(7)のいずれかに記載の泡沫化粧料。
(9)クレンジング化粧料である(1)〜(8)のいずれかに記載の泡沫化粧料。
【発明の効果】
【0007】
エアゾール化したときの起泡性、泡の持続性に優れ、化粧汚れを落とすクレンジング機能に優れ、皮膚に油っぽい感触が残ることなくすっきりと洗い流せる泡沫化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
必須成分
(A);液状油
本発明で用いる液状油とは、常温(25℃)で液状であって化粧料に用いられる油であればいずれを用いてもよい。例えばトリグリセリド、一価の脂肪酸と一価のアルコールとの一価の脂肪酸エステル(以下、エステル油とする)、液体蝋、炭化水素油、シリコーン油、高級脂肪酸、高級アルコール等が挙げられる。
本発明に用いられるトリグリセリドとしてはオリーブ油、マカデミアナッツ油、ヒマワリ種子油、アボガド油、サフラワー油、米糠油、米胚芽油、小麦胚芽油、ヒマシ油、ブドウ種子油、アーモンド油、ヤシ油、パーム油、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル等、液体蝋としてはホホバ油等、炭化水素油としては流動パラフィン、スクワラン等、シリコーン油としてはジメチコン、フェニルトリメチコン、シクロメチコン等、高級脂肪酸としてはイソステアリン酸、オレイン酸等、高級アルコールとしてはオクチルドデカノール、オレイルアルコール等が好ましく挙げられる。
エステル油としては、例えばイソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ラウリン酸ヘキシル、イソパルミチン酸オクチル、オクタン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸エチル、イソオクタン酸セチル(2エチルヘキサン酸セチル)、オクタン酸ステアリル、オクタン酸イソステアリル等が挙げられる。
トリグリセリドはエアゾール化した時に安定な泡沫を形成するので配合することが好ましい。なかでもグリセリンにエステル結合した3つの脂肪酸に着目した時に、長鎖脂肪酸(炭素数12以上の高級脂肪酸)の占める割合が6割を超えるトリグリセリドが安定な泡沫の形成にとって好ましい。オリーブ油、ヒマワリ種子油、サフラワー油、米糠油を用いる事が好ましい。トリグリセリドの配合量は液状油全量に対して95〜20質量%であることが好ましい。トリグリセリドの配合量が20質量%に満たないと、安定な泡沫の形成効果が乏しくなる恐れがある。
【0009】
泡沫化粧料をクレンジング用途とする場合には、エステル油を配合すると、メイク汚れとのなじみが良くなりクレンジング力が高まるので好ましい。クレンジング効果をより高く期待する場合、2−エチルヘキサン酸セチルを用いることが好ましい。2−エチルヘキサン酸セチルの市販品としては例えばコグニスジャパン株式会社製のセチオールSN−1を用いることができる。
エステル油の配合量は液状油全量に対して30〜80質量%、より好ましくは50〜80質量%、である。30質量%未満では、本発明の泡沫化粧料をクレンジング用途とした場合にメイク汚れを肌から浮き出させる効果が乏しくなる恐れがある。また80質量%以上では、エアゾール化した時の泡沫の泡保持時間が短くなる恐れがある。
【0010】
本発明に用いる液状油は、泡沫化粧料全量に対し80〜95質量%の範囲で配合することが好ましい。液状油全量のうち90質量%以上をトリグリセリドおよびエステル油にすることが好ましい。
【0011】
本発明の泡沫化粧料として、トリグリセリドおよびエステル油を含む場合、トリグリセリドとエステル油の配合比率を1:4〜3:1にすることが好ましい。トリグリセリドとエステル油を1:4〜3:1の比率の範囲で配合すると、トリグリセリドの特性により泡保持(泡の安定)が良くなり、エステル油の特性によりクレンジング効果が優れたものとなる。さらにクレンジング用途の泡沫化粧料とするためには、トリグリセリドとエステル油の配合比率を1:4〜1:1にすることにより、クレンジング力に優れ、よりいっそう好ましい。
【0012】
トリグリセリドとエステル油の配合比率が1:4〜3:1の配合比率をとらない場合であっても、トリグリセリドの配合量が多い場合には、その泡沫化粧料は泡立ち・泡保持に優れ、洗い流して使用する場合の肌へのあと残り感が少ないので、日焼けオイル、ベビーオイル、ヘアオイル、マッサージやパック用途の泡沫化粧料として好適に用いることができる。
【0013】
(B);炭素数が6〜18の脂肪酸と平均重合度が2以上6以下のポリグリセリンとがエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステル(以下、親油性ポリグリセリン脂肪酸エステルと呼ぶ場合がある)
親油性ポリグリセリン脂肪酸エステルは、油が主成分である本発明の組成物(泡沫化粧料)をエアゾール化した時に外気と油の界面にて層状に配列することで泡沫の膜強度を高め泡沫の形成を維持する働きをする。本発明の親油性ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、炭素数が6〜18の脂肪酸と平均重合度が2以上6以下のポリグリセリンとがエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステルを用いることが好ましい。ラウリン酸ジグリセリル、ミリスチン酸ジグリセリル、オレイン酸ジグリセリル、トリオレイン酸ヘプタグリセリルを用いることが好ましい。一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。ラウリン酸ジグリセリルの市販品としては太陽化学株式会社製のサンソフトQ−12D−Cを例示できる。ミリスチン酸ジグリセリルの市販品としては太陽化学株式会社製のサンソフトQ−14D−Cを例示できる。オレイン酸ジグリセリルの市販品としては日光ケミカルズ株式会社製のDGMO−CV、太陽化学株式会社製のサンソフトQ−17D−Cを例示できる。トリオレイン酸ペンタグリセリルの市販品としては太陽化学株式会社製のサンソフトA−173E−Cを例示できる。炭素数が6〜18の脂肪酸と平均重合度が2以上6以下のポリグリセリンとがエステル化したポリグリセリン脂肪酸エステルは、必須成分であるA〜Cの全質量に対して2〜10質量%配合することが好ましい。
【0014】
(C);水酸基の1〜3箇所がアシル化されていない液状のデカグリセリン脂肪酸エステル (以下、デカグリセリン脂肪酸エステルと呼ぶ場合がある)
本発明の水酸基の1〜3箇所がアシル化されていない液状のデカグリセリン脂肪酸エステルは、過脂肪剤やW/O乳化剤として市販されているものを用いることができる。デカイソステアリン酸デカグリセリル、デカオレイン酸デカグリセリル、マカデミアナッツ脂肪酸デカグリセリル、ノナイソステアリン酸デカグリセリル、ヘプタオレイン酸デカグリセリル、が好ましい。一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
デカイソステアリン酸デカグリセリルの市販品としては太陽化学株式会社製のサンオイルDDI、日光ケミカルズ株式会社製のDecaglyn10−ISVを例示できる。デカオレイン酸デカグリセリルの市販品としては日光ケミカルズ株式会社製のDecaglyn10−OVを例示できる。マカデミアナッツ脂肪酸デカグリセリルの市販品としては日光ケミカルズ株式会社製のDecaglyn10−MACを例示できる。ノナイソステアリン酸デカグリセリルの市販品としては坂本薬品工業株式会社製のS−Fase IS−1009Pを例示できる。ヘプタオレイン酸デカグリセリルの市販品としては日光ケミカルズ株式会社製のDecaglyn7−OVを例示できる。水酸基の1〜3箇所がアシル化されていない液状のデカグリセリン脂肪酸エステルは、1〜8質量%、より好ましくは1〜5質量%の範囲で配合すると好ましい。1質量%に満たないと、洗い流した後の肌へのあと残り感のなさ(さっぱり感)や、特にエステル油を多量に配合したときに安定な泡沫を形成する効果が得られなくなる恐れがある。8質量%を超えて配合すると低温保存下で濁りが生じ美観を損ねる恐れがある。
【0015】
(D);噴射剤
本発明の噴射剤としてはトリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、トリクロロトリフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタンなどのクロロフルオロカーボン;プロパン、イソブタン、イソペンタン、ノルマルブタン、液化石油ガスなどの液化ガスなどを挙げることができる。液化石油ガス(以下、LPGという。)を使用することが好ましい。LPGとしては、例えば、プロパン、ブタンの混合物等化粧品用として一般に用いられるものであれば特に制限はない。これらを単独で又は2種以上を混合して使用することができる。また、これらの噴射剤にジメチルエーテル、炭酸ガス、窒素ガスを混合して使用してもよい。
【0016】
本発明の泡沫化粧料は常法に従って製造することができる。例えば、配合成分すべてを適宜加熱して撹拌混合し、室温まで冷却して製造できる。
【0017】
本発明の泡沫化粧料を泡沫化するためには、さらに噴射剤を配合して、常法に従って製造することができる。例えば、エアゾール缶やPET樹脂容器、耐圧ガラス容器等のエアゾール用容器に泡沫化粧料を入れ、前記容器に噴射剤を充填することにより製造することができる。
【0018】
本発明の泡沫化粧料を泡沫化する場合における、泡沫化粧料と噴射剤の混合比は、特に限定されないが、化粧料組成物:噴射剤の配合比率(質量比率)が70:30〜95:5の範囲にあることが好ましい。この範囲にあると、本発明の泡沫化粧料の泡沫化が、充分に行われる。化粧料組成物:噴射剤の配合比率(質量比率)が95:5をはずれて噴射剤の配合量が5質量%を下回ると、良好な泡沫が得にくくなる傾向がある。
【0019】
本発明の泡沫化粧料の用途としては、日焼けオイル、ベビーオイル、ヘアオイル、ヘアスプレー、ヘアフォーム、トリートメントフォーム、マッサージ化粧料やパック化粧料、クレンジング化粧料等が挙げられる。本発明の特性からは、これらのうちクレンジング化粧料が好適である。
【0020】
任意成分
本発明の泡沫化粧料には、任意成分として化粧料に常用される各種原料を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
例えば、保湿剤、増粘剤、防腐剤、界面活性剤、香料等を配合することができる。
【0021】
本発明において、クレンジング効果を十分に発揮させるためには、水を含有しないか或いは、水の添加量は極力少ない方が好ましい。水を固形の水溶性成分の溶媒とする場合など、必要に応じて含有させることは構わない。
【0022】
本明細書中、泡沫化粧料というときは、特にことわりのない限りは、泡沫化粧料用組成物にエアゾールを含む場合と含まない場合の両方をさす意味で用いられることがある。すなわち、下記必須成分(A)〜(C)のみの組成物からなる化粧料、必須成分(A)〜(C)に(D)を含む組成物からなる化粧料、これらにさらに任意成分を含む組成物からなる化粧料のいずれをも本発明の泡沫化粧料ということがある。なお、後述する実施例においては、泡沫化粧料用組成物に噴射剤を配合し、エアゾール容器に充填したものを泡沫化粧料とよんでいるが、この意味に限定されるものではない。
【実施例】
【0023】
以下に実施例を挙げて、本発明の特徴と効果をさらに詳細に説明する。
〔実施例1〕
(1)泡沫化粧料用組成物の調製
表1に示す組成にて実施例1〜10、比較例1〜6の泡沫化粧料用組成物を調製した。表2に示す組成にて実施例11〜20の泡沫化粧料用組成物を調製した。
(1-1)調製方法
(A)液状油、(B)親油性ポリグリセリン脂肪酸エステル、(C)デカグリセリン脂肪酸エステルを60℃以上に加熱し均一溶解後に撹拌しながら冷却し、泡沫化粧料用組成物を調製した。尚、常温で調製してもよい。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
(2)泡沫化粧料の調整及び評価
(2-1)泡沫化粧料の調整
上記(1)により得られた泡沫化粧料用組成物(A+B+Cの混合物)を、噴射剤(D)としての液化石油ガス(LPG)との配合比率が93:7質量比となるようにエアゾール容器に充填し、実施例1〜20、比較例1〜6の泡沫化粧料を調製した。
(2-2)泡沫化粧料の泡の状態の評価
泡沫化粧料を噴射したときの泡の状態(起泡力、泡の持続性)を目視で観察した。評価基準を下記に示す。
【0027】
[起泡力]
(評価基準)
○:起泡する。
×:起泡しない。
【0028】
[泡の持続性]
(評価基準)
○:泡の持続性が非常によい(3分以上泡が保持して消失しない)。
△:泡の持続性がよい(1分以上3分未満の間、泡が保持して消失しない)。
×:泡の持続性がない(泡が1分以内に消失する。起泡しなかったものも含む)。
*ここで、泡の消失とは、目視で泡の体積が1/4以下となることをいう。したがって、例えば、上記で「○」とは、泡の体積が1/4以下になるまでに3分以上かかることを意味する。
【0029】
(2-3)泡沫化粧料のクレンジング力の評価
専門パネラー(3名)が前腕内則部にマスカラ又はアイライナーを定量塗布した上に、泡沫化粧料を定量塗布し、マスカラの場合は30回、アイライナーの場合は50回、定圧となるように指で擦りメイク汚れを落とした。次に流水で軽くこすりながら洗い流し、洗い流した後の肌状態を目視で観察し評価した。評価基準を下記に示す。
(評価基準)
○:完全にメイク汚れが落ちている
△:メイク汚れが部分的に若干残っている
×:メイク汚れが明らかに残っている
【0030】
(2-4)泡沫化粧料の洗い流した後の肌へのあと残り感の評価
専門パネラー(3名)が前腕内則部に泡沫性化粧料を定量塗布し馴染ませる。次に流水で軽くこすりながら洗い流し、水分をタオルで除去した直後の肌の感触について、手で触って評価した。評価基準を下記に示す。
(評価基準)
○:油っぽい感触がしない(肌へのあと残り感がない)。
×:油っぽい感触が残っており洗い流した感じがしない(肌へのあと残り感がある)。

尚、起泡力が「×」と評価されたものは、クレンジング力の評価および洗い流した後の肌へのあと残り感の評価は行わなかった。表中で「−」と記したものは評価していないことを示す。
【0031】
(3) 結果
結果を表1および表2に示す。
比較例1〜3の泡沫化粧料はエアゾール化した時の起泡性に優れ泡の持続性が非常によいものであったが洗い流した後も油っぽい感触が残っており洗い流した感じがしなかった。比較例4、5の泡沫化粧料はエアゾール化しても起泡しなかった。比較例6の泡沫化粧料はエアゾール化した時に起泡し泡の持続性もよかったが洗い流した後も油っぽい感触が残っており洗い流した感じがしなかった。
これに対して、実施例1〜10の泡沫化粧料はエアゾール化した時の起泡性に優れ泡の持続性が非常によく、洗い流した後も油っぽい感触がせず肌へのあと残り感がなかった。
前記のとおり、起泡性や泡の持続性に優れ、肌へのあと残り感の無い実施例1〜10の泡沫化粧料は、日焼けオイル、ベビーオイル、ヘアオイル、マッサージ化粧料やパック化粧料に適していると評価できた。しかし、クレンジング力の評価項目においてはメイク汚れが部分的に若干残るとの評価であったので、クレンジング力を高める為に、一価の脂肪酸と一価のアルコールとの一価の脂肪酸エステルの配合量を増やして泡沫化粧料を調製し、各評価項目で評価した。
【0032】
実施例11〜20の泡沫化粧料は一価の脂肪酸と一価のアルコールとの一価の脂肪酸エステルの配合量を増やしたことによりクレンジング力が高まり完全にメイク汚れが落ちていると評価された。しかも実施例11〜20の泡沫化粧料はエアゾール化した時の起泡性に優れ泡の持続性がよいものであり、洗い流した後も油っぽい感触がせず肌へのあと残り感がないものであった。実施例11〜20の泡沫化粧料は、日焼けオイル、ベビーオイル、ヘアオイル、マッサージ化粧料やパック化粧料に利用できるだけでなく、その高いクレンジング力によりクレンジング化粧料として好適であると評価できた。
【0033】
以上の結果から、本発明の構成をとる泡沫化粧料はエアゾール化したときの起泡性、泡の持続性に優れ、皮膚に油っぽい感触が残ることなくすっきりと洗い流せる泡沫化粧料であることがわかった。さらに、一価の脂肪酸と一価のアルコールとの一価の脂肪酸エステルの配合量を50〜72質量%含有させたものは化粧汚れを落とすクレンジング機能に優れ、皮膚に油っぽい感触が残ることなくすっきりと洗い流せるので、クレンジング用の泡沫化粧料として有用であることがわかった。
なお、専門パネラー3人による各評価結果はいずれにおいても一致した。
【0034】
以下に本発明の構成を使用した泡沫化粧料としてクレンジング化粧料を例に、これに適した組成物の処方および特性を示す。
〔処方例1〕
(1)泡沫クレンジング化粧料の処方

成分 配合量(質量%)
1.ヒマワリ種子油 20
2.2エチルヘキサン酸セチル 72
3.ラウリン酸ジグリセリル 3
4.オレイン酸ジグリセリル 3
5.デカイソステアリン酸デカグリセリル 2

上記1.〜5.を均一に混合し、泡沫クレンジング化粧料用組成物を調製した。得られた泡沫クレンジング化粧料用組成物を、液化石油ガス(LPG)との配合比率が93:7質量比となるようにエアゾール容器に充填し泡沫クレンジング化粧料を調製した。
(2)特性
本処方泡沫クレンジング化粧料は、エアゾール化したときの起泡性、泡の持続性に優れ、化粧汚れを落とすクレンジング機能に優れ、皮膚に油っぽい感触が残ることなくすっきりと洗い流すことができた。