特許第6026328号(P6026328)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6026328
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】家庭用電気製品の表示部構造
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20161107BHJP
   F24C 15/00 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   A47J27/00 103R
   F24C15/00 D
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-57151(P2013-57151)
(22)【出願日】2013年3月19日
(65)【公開番号】特開2014-180450(P2014-180450A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2015年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100176463
【弁理士】
【氏名又は名称】磯江 悦子
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】仲村 紘太
(72)【発明者】
【氏名】金田 純子
(72)【発明者】
【氏名】竹田 康堅
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−070129(JP,A)
【文献】 特開2012−013923(JP,A)
【文献】 特開2009−056221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
F24C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル部と、
上記パネル部に設けられた第1透明部と、
上記パネル部の内側に設けられ、上記第1透明部に対向する第2透明部と、
上記パネル部と上記第2透明部との間をシールするシール部と、
上記第2透明部の内側に設けられ、上記第2透明部に対向する表示部と、
上記第1透明部と上記第2透明部との間に設けられた断熱層と
を備え
上記シール部は、上記第2透明部よりも比熱が高いことを特徴とする家庭用電気製品の表示部構造。
【請求項2】
請求項1に記載の家庭用電気製品の表示部構造において、
上記パネル部には、上記第1透明部の周囲に位置するように静電容量式タッチキーが設けられていることを特徴とする家庭用電気製品の表示部構造。
【請求項3】
請求項2に記載の家庭用電気製品の表示部構造において、
上記静電容量式タッチキーは、
上記パネル部の内側に設けられた電極部と、
上記電極部の内側に設けられ、上記電極部を覆う絶縁部と
を有することを特徴とする家庭用電気製品の表示部構造。
【請求項4】
請求項3に記載の家庭用電気製品の表示部構造において、
上記パネル部の厚さに対する上記絶縁部の厚さの比は、1/3以上であることを特徴とする家庭用電気製品の表示部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電気炊飯器、電気ポット等に使用される家庭用電気製品の表示部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭用電気製品の表示部構造としては、特開2011−251032号公報(特許文献1)の電気炊飯器に設けられたものがある。より詳しくは、上記電気炊飯器は、図6に示すように、蓋体1000の上部を構成するパネル部1001を備えている。このパネル部1001の内側には、表示部1003を収容する収容ケース1002を配置している。この収容ケース1002はパネル部1001の内面の所定箇所にネジ1004,1005で取り付けられており、収容ケース1002の取り付け方向の端面とパネル部1001の内面との間にはシール部1006が介在する。
【0003】
また、上記パネル部1001には、表示部1003に対向する開口部1001aが設けられている。この開口部1001aは透明部材1007で塞がれている。ユーザは、透明部材1007を介して、表示部1003の表示を視認できるようになっている。
【0004】
なお、図6は、特開2011−251032号公報の電気炊飯器の表示部構造を判り易く説明するために模式化した図であり、特開2011−251032号公報に記載された図ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−251032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記蓋体1001に収容ケース1002を取り付けるとき、パネル部1001と収容ケース1002との間の空間に、空気中の水分が侵入する可能性が高い。このため、上記パネル部1001の外側の温度が低く、パネル部1001の内側の温度が高くなり、これらの温度の差が大きくなった場合、透明部材1007の内面(表示部1003側の表面)に結露が生じる恐れがある。
【0007】
したがって、上記透明部材1007の内面に結露が生じれば、透明部材1007が曇って、表示部1003の視認性が低下するという問題が起きてしまう。
【0008】
上記問題を解決する方法としては、パネル部1001と収容ケース1002との間の空間に乾燥剤を配置する方法が考えられる。
【0009】
しかしながら、上記乾燥剤はパネル部1001と収容ケース1002との間の水分を吸収できるが、乾燥剤の水分の吸収量には上限がある。
【0010】
また、上記乾燥剤に吸収された水分が、パネル部1001と収容ケース1002との間に再放出される恐れもある。
【0011】
したがって、上記パネル部1001と収容ケース1002との間の空間に乾燥剤を配置する方法は、上記問題を解決する方法として相応しくない。
【0012】
そこで、本発明の課題は、表示部の視認性が低下するのを防ぐことができる家庭用電気製品の表示部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の家庭用電気製品の表示部構造は、
パネル部と、
上記パネル部に設けられた第1透明部と、
上記パネル部の内側に設けられ、上記第1透明部に対向する第2透明部と、
上記パネル部と上記第2透明部との間をシールするシール部と、
上記第2透明部の内側に設けられ、上記第2透明部に対向する表示部と、
上記第1透明部と上記第2透明部との間に設けられた断熱層と
を備え
上記シール部は、上記第2透明部よりも比熱が高いことを特徴としている。
【0014】
一実施形態の家庭用電気製品の表示部構造では、
上記パネル部には、上記第1透明部の周囲に位置するように静電容量式タッチキーが設けられている。
【0015】
一実施形態の家庭用電気製品の表示部構造では、
上記静電容量式タッチキーは、
上記パネル部の内側に設けられた電極部と、
上記電極部の内側に設けられ、上記電極部を覆う絶縁部と
を有する。
【0016】
一実施形態の家庭用電気製品の表示部構造では、
上記パネル部の厚さに対する上記絶縁部の厚さの比は、1/3以上である。
【0017】
【発明の効果】
【0018】
本発明の家庭用電気製品のシール表示部構造は、パネル部と、このパネル部に設けられた第1透明部と、パネル部の内側に設けられ、第1透明部に対向する第2透明部と、パネル部と第2透明部との間をシールするシール部と、第2透明部の内側に設けられ、第2透明部に対向する表示部と、第1透明部と第2透明部との間に設けられた断熱層とを備えるので、表示部近傍の温度と第2透明部の温度との差は小さく保たれる。したがって、上記第2透明部が結露で曇る恐れを低減することができる。その結果、上記表示部の視認性が低下するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施の形態の家庭用電気製品の表示部構造を備えた電気炊飯器の概略断面図である。
図2図1の一部の拡大模式図である。
図3】本発明の第2実施形態の家庭用電気製品の表示部構造を備えた電気炊飯器の操作パネルの概略上面図である。
図4】上記操作パネルの概略下面図である。
図5】上記電気炊飯器の蓋体の要部の概略断面図である。
図6】従来の家庭用電気製品の表示部構造を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の家庭用電気製品の表示部構造を図示の実施形態により詳細に説明する。
【0021】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態の家庭用電気製品の表示部構造を備えた電気炊飯器の概略断面図である。
【0022】
上記電気炊飯器は、炊飯器本体1と、この炊飯器本体1に開閉可能に取り付けられた蓋体2と、炊飯器本体1に収納され、米や水などを収容する有底円筒形状の内鍋3とを備えている。
【0023】
上記炊飯器本体1は、外ケース101と、内鍋3が収納される内ケース102とを有する。また、炊飯器本体1の前部にはラッチ機構103が設けられており、蓋体2は前部がラッチ機構103に解除可能に係止されて閉じた状態となる。この状態で、外ケース101の前部から露出する開ボタン104を押すと、ラッチ機構103の係止が解除されて、コイルバネ105の付勢力で蓋体2が開くようになっている。
【0024】
上記内ケース102は、耐熱性および電気絶縁性を有する材料で形成されている。内ケース102の底部の中央部上には上下方向に移動可能に可動部材106が配置されている。この可動部材106の上部には接触式温度センサ107が取り付けられている。内鍋3を内ケース102に収納すると、可動部材106および伝熱板108が内鍋3の底部に接触する。このとき、コイルバネ110が可動部材106を上方に付勢しているので、可動部材106の上部が内鍋3の底部に確実に接触する。また、内ケース102の底部上には、内鍋3を加熱するための伝熱板108を配置している。この伝熱板108内には抵抗加熱式ヒータ109を埋め込んでおり、伝熱板108はヒータ109の熱を内鍋3の底部に伝える。
【0025】
上記内鍋3は、例えばアルミニウムなどの高熱伝導部材で形成されている。この高熱伝導部材の内面には、米などの被加熱物の付着を防ぐためのフッ素樹脂がコーティングされている。上記高熱伝導部材はプレスまたは鋳造で成型される。
【0026】
上記蓋体2は、後部が炊飯器本体1に回動可能に取り付けられた外蓋201と、この外蓋201の内鍋3側の突起部201aに樹脂製のパッキン203を介して着脱可能に取り付けられた内蓋202とを有している。この内鍋202には蒸気排出筒204が取り付けられている。これにより、内鍋3内の蒸気が蒸気排出筒204内を通って排気通路205へ流出することが可能になっている。この排気通路205の蒸気は外蓋201の排気口(図示せず)から外蓋201外へ排出される。
【0027】
上記外蓋201の内蓋202側とは反対側には、操作パネル取付部材206が設けられている。また、操作パネル取付部材206には操作パネル207が取り付けられている。そして、操作パネル取付部材206の後部と外蓋201の蒸気排出筒204近傍の部分との間には、樹脂製のパッキン208の一部が配置されている。これにより、排気通路205の蒸気が操作パネル取付部材206と外蓋201の間に浸入しないようにしている。なお、操作パネル207はパネル部の一例である。
【0028】
上記操作パネル207は、開口部207aを有し、収容ケース209を覆っている。より詳しくは、操作パネル207の周縁部は操作パネル取付部材206に接着材で接着されており、操作パネル207の操作パネル取付部材206側の部分には収容ケース209の底部209aの周縁部がネジ210,211で取り付けられている。また、収容ケース209の底部209aには、プリント基板212がネジ218で取り付けられている。
【0029】
また、上記操作パネル207の開口部207aは、板形状の外側透明部220で塞がれている。この収容ケース209内には、操作ボタン213や表示部214などを搭載するプリント基板212を収容している。また、操作パネル207には貫通孔219が設けられ、操作ボタン213の先端部が貫通孔219に挿入されている。また、操作パネル207の外側の表面には、貫通孔219を塞ぐように樹脂フィルム216を貼り付けている。このとき、操作ボタン213の先端は操作パネル207の外側の表面より外側に位置するため、樹脂フィルム216の貫通孔219上の部分は樹脂フィルム216の他の部分よりも少し盛り上がる。また、表示部214は、例えば液晶表示部からなり、操作ボタン213の操作などに応じた表示を行う。なお、外側透明部220の第1透明部の一例である。
【0030】
上記収容ケース209は、底部209aと、この底部209a上に立設された筒状の側壁209bとを有している。この収容ケース209の側壁209bには、操作パネル207が有する筒状の嵌合部207bが外嵌している。また、収容ケース209の側壁209bの側方には樹脂性のパッキン215が配置されている。これにより、収容ケース209の側壁209bと嵌合部207bとの間が全周にわたってパッキン215でシールされている。
【0031】
図2は、図1の一部を拡大した模式図である。
【0032】
上記操作パネル207の内側には、外側透明部220に対向する板形状の内側透明部221が配置されている。この内側透明部221の外周縁部と開口部207aの周縁部との間は、全周にわたってシール部222によりシールされている。これにより、外側透明部220と内側透明部221との間には空気層223が形成されている。このシール部222は、空気層223への水分の侵入を防ぐことができる絶縁材料(例えばポリエチレン)からなっている。また、シール部222は接着剤によって操作パネル207および内側透明部221に接着されている。ここで、操作パネル207および外側透明部220の厚さは例えば1.5mm、シール部222の厚さは例えば0.5mm、内側透明部221の厚さは例えば1.0mmである。また、空気層223の厚さは、外側透明部220および内側透明部221が延びる方向において略一定であり、シール部222の厚さと略等しくなっている。また、外側透明部220および内側透明部221は、ユーザが表示部214の表示を見ることができる程度の透明度を有する絶縁材料(例えばポリカーボネートシート)からなっている。なお、内側透明部221は第2透明部の一例であり、空気層223は断熱層,気体層の一例である。
【0033】
上記構成の炊飯器によれば、表示部214近傍の温度に比べて、操作パネル207の外側の温度が大きく下がった場合、外側透明部220と内側透明部221との間には空気層223が設けられているので、内側透明部221は操作パネル207の外側の温度の影響を受け難い。すなわち、表示部214近傍の温度と内側透明部221の温度との差は小さく保たれる。したがって、仮に、蒸気が収容ケース209内に侵入した場合であっても、内側透明部221の曇りを抑制できる。その結果、表示部214の視認性が低下するのを防ぐことができる。
【0034】
また、仮に、上記操作パネル207に収容ケース209をネジ210,211で取り付けるときに、多量の湿気を含んだ空気が収容ケース209内に入ってしまっても、内側透明部221の内面で結露が生じる可能性を低減できる。
【0035】
上記第1実施形態では、外側透明部220と内側透明部221との間に空気層223を形成していたが、外側透明部220と内側透明部221との間に例えばアルゴンガス層を形成してもよい。あるいは、外側透明部220と内側透明部221との間に、液体層または真空層を形成してもよい。ここで、上記液体層は、外側透明部220よりも熱伝導率が低い透明な液体からなってもよいし、空気よりも熱伝導率が低い透明な液体からなってもよい。なお、上記液体層,真空層は断熱層の一例である。
【0036】
上記第1実施形態では、電気炊飯器は、内鍋3内の被加熱物を攪拌する機能を有していなかったが、特開2011−156236または特開2012−135605のように、内鍋内の被加熱物を攪拌する機能を有してもよい。
【0037】
上記第1実施形態では、プリント基板212は、収容ケース209内に収容されていたが、プリント基板212を収容しないようにしてもよい。すなわち、上記第1実施形態において、収容ケース209を用いないようにしてもよい。
【0038】
上記第1実施形態では、操作パネル207の開口部207aに、開口部207aを塞ぐように外側透明部220を取り付けることにより、家庭用電気製品の表示部構造の一例の一部を形成していたが、透明な部材の一部以外の部分を不透明な塗料で着色したり、または、透明な部材の一部以外の部分を不透明な部材で覆ったりすることにより、家庭用電気製品の表示部構造の一例の一部を形成してもよい。すなわち、透明な部材の一部以外の部分を不透明な塗料で着色したり、または、透明な部材の一部以外の部分を不透明な部材で覆ったりすることで、操作パネル207および外側透明部220からなる構成部と同様の構成部を得てもよい。
【0039】
〔第2実施形態〕
図3は、本発明の第2実施形態の家庭用電気製品の表示部構造を備えた電気炊飯器の操作パネル301の概略上面図である。
【0040】
上記操作パネル301は、絶縁材料(例えばABS(エービーエス)材)からなり、開口部301aを有している。この開口部301aは外側透明部302によって塞がれている。また、開口部301aの周囲には、静電容量式タッチキー303が設けられている。なお、操作パネル301は、図1の蓋体2と同様の蓋体(図示せず)の上部の大部分を構成する。
【0041】
上記外側透明部302は、ユーザが外側透明部302の外側から外側透明部302の内側を見ることができる程度の透明度を有する絶縁材料(例えばABS材)からなっている。
【0042】
上記静電容量式タッチキー303は、ユーザがタッチするタッチキー部304,306,・・・,311を有している。このタッチキー部304,306,・・・,311は、それぞれ、操作パネル301の一部からなっている。ユーザは、タッチキー部304,306,・・・,311にタッチすることにより、炊飯コースの選択、炊飯の予約などを行えるようになっている。また、ユーザがタッチキー部304,306,・・・,311にタッチすると、タッチキー部304,306,・・・,311の内側に配置されたLED(発光ダイオード)が点灯する。これにより、タッチキー部304,306,・・・,311の一部が点灯しているように見える。
【0043】
図4は上記操作パネル301の概略下面図である。また、図5は上記蓋体の要部の概略断面図である。
【0044】
上記操作パネル301の内側には、図4図5に示すように、外側透明部302に対向する板形状の内側透明部312が配置されている。この内側透明部312の外周縁部と開口部207aの周縁部との間は、全周にわたってシール部313によりシールされている。これにより、外側透明部302と内側透明部312との間には空気層314が形成されている。また、シール部313は接着剤によって操作パネル301および内側透明部312に接着されている。ここで、操作パネル301および外側透明部302の厚さは例えば1.5mm、シール部313の厚さは例えば0.5mm、内側透明部312の厚さは例えば1.0mmである。また、空気層314の厚さは、外側透明部302および内側透明部312が延びる方向において略一定であり、シール部313の厚さと略等しくなっている。なお、内側透明部312は第2透明部の一例であり、空気層314は断熱層の一例である。
【0045】
上記内側透明部312は、ユーザが内側透明部312の外側から内側透明部312の内側を見ることができる程度の透明度を有する絶縁材料(例えばポリカーボネートシート)からなっている。
【0046】
上記シール部313は、例えばポリエチレン系絶縁材料からなるシール部本体313aと、このシール部本体313a上に設けられた上側両面テープ313bと、シール部本体313a下に設けられた下側両面テープ313cとを有している。この上側両面テープ313bおよび下側両面テープ313cは、それぞれ、クッション部および糊部を有している。上記クッション部は例えばポリエチレン系絶縁材料からなる一方、上記糊部は例えばアクリル系絶縁材料からなる。このようなシール部313により、空気層314への水分の侵入を防ぐことができるようになっている。
【0047】
上記静電容量式タッチキー303は、操作パネル301の厚さ方向においてタッチキー部304,306,・・・,311に重なる例えば厚さ0.4mmの電極315,316,・・・,322と、この電極315,316,・・・,322の内側に設けられた例えば厚さ0.1mmの拡散シート323,324,325と、この拡散シート323,324,325の内側に設けられた例えば厚さ0.5mmの保護シート326,327,328とを有している。なお、電極315,316,・・・,322,拡散シート323,324,325は電極部の一例であり、保護シート326,327,328は絶縁部の一例である。
【0048】
上記電極315,316,・・・,322は、フレキシブルプリント基板329に設けられている。このフレキシブルプリント基板329の配線パターン(図示せず)により、電極315,316,・・・,322と制御装置(図示せず)とが互いに電気的に接続される。また、電極315,316,・・・,322は、それぞれ、導電性材料(例えば透明性導電インク)からなっている。
【0049】
上記拡散シート323は電極315,316,317を覆い、拡散シート324は電極318,319,320を覆い、拡散シート325は電極321,322を覆っている。また、拡散シート323,324,325は、それぞれ、上記LEDからの光を拡散可能な絶縁材料(例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)材)からなっている。
【0050】
上記保護シート326,327,328は、拡散シート323,324,325と略同形状に形成され、拡散シート323,324,325を覆っている。
【0051】
また、上記内側透明部312の内側には、内側透明部312に対向するように表示部330が設置されている。これにより、ユーザは、外側透明部302および内側透明部312を介して表示部330の表示を視認できるようになっている。また、表示部330は、例えば液晶表示部からなり、タッチキー部304,306,・・・,311の操作などに応じた表示を行う。
【0052】
上記構成の炊飯器によれば、表示部330近傍の温度に比べて、操作パネル301の外側の温度が大きく下がった場合、外側透明部302と内側透明部312との間には空気層314が設けられているので、内側透明部312は操作パネル301の外側の温度の影響を受け難い。すなわち、表示部330近傍の温度と内側透明部312の温度との差は小さく保たれる。したがって、内側透明部312が結露で曇る恐れを低減することができる。その結果、表示部330の視認性が低下するのを防ぐことができる。
【0053】
また、上記開口部301aの周囲には静電容量式タッチキー303が設けられているが、内側透明部312における結露の発生の可能性は低いので、静電容量式タッチキー303の信頼性を高めることができる。
【0054】
仮に、上記内側透明部312で結露が生じたとしても、保護シート326,327,328が電極315,316,・・・,322および拡散シート323,324,325を覆っているので、結露が電極315,316,・・・,322および拡散シート323,324,325に付着するのを防ぐことができる。したがって、そのような結露の付着が原因で静電容量式タッチキー303の感度が低下するのを防ぐことができる。
【0055】
また、上記操作パネル301の厚さに対する保護シート326,327,328の厚さの比は1/3であるので、静電容量式タッチキー303の感度を良好にすることができる。
【0056】
上記第2実施形態では、外側透明部302と内側透明部312との間に空気層314を形成していたが、外側透明部302と内側透明部312との間に例えばアルゴンガス層を形成してもよい。
【0057】
上記第2実施形態において、表示部330、内側透明部312およびシール部313は、第1実施形態で記載したように、収容ケース内に収容されるようにしてもよいし、収容ケース内に収容されないようにしてもよい。
【0058】
上記第2実施形態において、電気炊飯器は、内鍋内の被加熱物を攪拌する機能を有さなくてよいし、特開2011−156236号公報または特開2012−135605号公報の電気炊飯器のように、内鍋内の被加熱物を攪拌する機能を有してもよい。
【0059】
上記第2実施形態において、操作パネル301の厚さに対する保護シート326,327,328の厚さの比を1/3を超える値にしてもよい。このようにする場合、操作パネル301の内側のスペースが大きく減らないようにする観点上、上記値は1以下にするとよい。
【0060】
上記第2実施形態では、操作パネル301の開口部301aに、開口部301aを塞ぐように外側透明部302を取り付けることにより、家庭用電気製品の表示部構造の一例の一部を形成していたが、透明な部材の一部以外の部分を不透明な塗料で着色したり、または、透明な部材の一部以外の部分を不透明な部材で覆ったりすることにより、家庭用電気製品の表示部構造の一例の一部を形成してもよい。すなわち、透明な部材の一部以外の部分を不透明な塗料で着色したり、または、透明な部材の一部以外の部分を不透明な部材で覆ったりすることで、操作パネル301および外側透明部302からなる構成部と同様の構成部を得てもよい。
【0061】
上記第2実施形態において、シール部313を内側透明部312よりも比熱の高い材質(例えばポリプロピレン)で形成してもよい。
【0062】
上記シール部313を内側透明部312よりも比熱の高い材質で形成した場合、内側透明部312よりも絶縁部材313の温度を低温に保つことができ、シール部313における結露を増やすことで、内側透明部312における結露を低減することができる。
【0063】
また、その場合、上記外側透明部302の周囲に配置されるシール部313において、電極315,316,・・・,322と隣り合っていない部分(電極315,316,・・・,322近傍に配置されていない部分)の比熱だけを高くすれば、シール部313への結露による電極315,316,・・・,322への影響も低減することができる。
【0064】
また、上記シール部313の電極315,316,・・・,322と隣り合っていない部分を外側(空気層314の外方)へと延在させれば、シール部313の熱容量を増やし、温度上昇をより抑えることができ、シール部313における結露を増やすことができる。これによって、内側透明部312における結露を低減できる。
【0065】
本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明は上記第1,第2実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、第1,第2実施形態の記載を適宜組み合わせたものを本発明の一実施形態としてもよい。
【0066】
また、本発明の家庭用電気製品の表示部構造は、電気炊飯器以外の加熱調理器にも適用できるし、電気ポット、オーブンレンジ、食器洗浄機、洗濯乾燥機等にも適用できる。
【0067】
すなわち、本発明および実施形態を纏めると、次のようになる。
【0068】
本発明の家庭用電気製品の表示部構造は、
パネル部207,301と、
上記パネル部207,301に設けられた第1透明部220,302と、
上記パネル部207,301の内側に設けられ、上記第1透明部220,302に対向する第2透明部221,312と、
上記パネル部207,301と上記第2透明部221,312との間をシールするシール部222,313と、
上記第2透明部221,312の内側に設けられ、上記第2透明部221,312に対向する表示部214,330と、
上記第1透明部220,302と上記第2透明部221,312との間に設けられた断熱層223,314と
を備えることを特徴としている。
【0069】
ここで、上記第1,第2透明部220,302,221,312は、ユーザが第1,第2透明部220,302,221,312を介して表示部214,330の表示を視認できる程度の透明度を有するものである。
【0070】
また、上記内側とは、家庭用電気製品の内部側を意味する。
【0071】
上記構成の家庭用電気製品の表示部構造によれば、上記表示部214,330近傍の温度に比べて、パネル部207,301の外側の温度が大きく下がった場合、第1透明部220,302と第2透明部221,312との間には断熱層223,314が設けられているので、第2透明部221,312はパネル部207,301の外側の温度の影響を受け難くなる。すなわち、上記表示部214,330近傍の温度と第2透明部221,312の温度との差は小さく保たれる。したがって、上記第2透明部221,312が結露で曇る恐れを低減することができる。その結果、上記表示部214,330の視認性が低下するのを防ぐことができる。
【0072】
一実施形態の家庭用電気製品の表示部構造では、
上記パネル部301には、上記第1透明部302の周囲に位置するように静電容量式タッチキー303が設けられている。
【0073】
上記実施形態の家庭用電気製品の表示部構造によれば、上記パネル部301には、第1透明部302の周囲に位置するように静電容量式タッチキー303が設けられているが、第2透明部312における結露の発生の可能性は低いので、静電容量式タッチキー303の信頼性を高めることができる。
【0074】
一実施形態の家庭用電気製品の表示部構造では、
上記静電容量式タッチキー303は、
上記パネル部301の内側に設けられた電極部315,316,・・・,322,323,324,325と、
上記電極部315,316,・・・,322,323,324,325の内側に設けられ、上記電極部315,316,・・・,322,323,324,325を覆う絶縁部326,327,328と
を有する。
【0075】
上記実施形態の家庭用電気製品の表示部構造によれば、仮に、上記第2透明部312で結露が生じたとしても、絶縁部326,327,328が電極部315,316,・・・,322,323,324,325を覆っているので、結露が電極部315,316,・・・,322,323,324,325に付着するのを防ぐことができる。したがって、上記静電容量式タッチキー303の感度が電極部315,316,・・・,322,323,324,325への結露の付着で低下するのを防ぐことができる。
【0076】
一実施形態の家庭用電気製品の表示部構造では、
上記パネル部301の厚さに対する上記絶縁部326,327,328の厚さの比は、1/3以上である。
【0077】
上記実施形態の家庭用電気製品の表示部構造によれば、上記パネル部301の厚さに対する絶縁部326,327,328の厚さの比は、1/3以上であるので、静電容量式タッチキー303の感度を良好にすることができる。
【0078】
一実施形態の家庭用電気製品の表示部構造では、
上記パネル部301の厚さに対する上記絶縁部326,327,328の厚さの比は、1以下である。
【0079】
上記実施形態の家庭用電気製品の表示部構造によれば、上記パネル部207,301の厚さに対する絶縁部326,327,328の厚さの比は、1以下であるので、パネル部301の内側のスペースが大きく減らないようにすることができる。したがって、上記パネル部301の表示部330側における設計の自由度が低下するのを防ぐことができる。
【0080】
一実施形態の家庭用電気製品の表示部構造では、
上記シール部は、上記第2透明部312よりも比熱が高い。
【0081】
上記実施形態の家庭用電気製品の表示構造によれば、上記シール部を比熱の高い材質で形成した場合、第2透明部312よりもシール部の温度を低温に保つことができ、シール部における結露を増やすことで、第2透明部312における結露を低減することができる。
【0082】
一実施形態の家庭用電気製品の表示部構造では、
上記断熱層223,314は気体層223,314である。
【0083】
上記実施形態の家庭用電気製品の表示部構造によれば、上記断熱層223,314は気体層223,314であるので、気体層223,314を介して表示部214,330を良好に視認できる。
【0084】
また、上記断熱層223,314は気体層223,314であるので、容易に作成することができて、製造コストの上昇を抑制できる。
【符号の説明】
【0085】
207,301 操作パネル
214,330 表示部
220,302 外側透明部
221,312 内側透明部
222,313 シール部
303 静電容量式タッチキー
326,327,328 保護シート
315,316,・・・,322 電極
323,324,325 拡散シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6