(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記戻り光ビーム検知部により、前記反射面により反射された光ビームが前記光源内光センサへ入射していないと判定された場合、ユーザに判定結果を通知する報知部をさらに備える、請求項1記載の走査光学装置。
前記戻り光ビーム検知部により、前記反射面により反射された光ビームが前記光源内光センサへ入射していないと判定された場合、前記光源が出射する光ビーム強度を増大させる光ビーム強度制御部をさらに備える、請求項1または2記載の走査光学装置。
前記光ビーム強度制御部は、前記BDセンサおよび前記光源内光センサに前記光ビームが入射する際は、予め定められた大きさだけ光ビーム強度を増大させ、前記被走査面を前記光ビームが走査する際は、前記被走査面上の走査位置に対応して入力される強度変調信号の強度に応じて光ビーム強度を増大させる、請求項3記載の走査光学装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながらより詳細に説明する。以下では、走査光学装置である露光器を備えるデジタル複合機として本発明を具体化する。
【0018】
図1は本実施形態におけるデジタル複合機の全体構成の一例を示す概略構成図である。
図1に示すように、複合機100は、画像読取部120および画像形成部140を含む本体101と、本体101の上方に開閉可能に取り付けられたプラテンカバー102とを備える。本体101の上面には原稿台103が設けられている。また、プラテンカバー102は、原稿搬送装置110を備えている。
【0019】
原稿台103の下方には、画像読取部120が設けられている。画像読取部120は、走査光学系121により原稿の画像を読み取りその画像のデジタルデータ(画像データ)を生成する。原稿は、原稿台103や原稿搬送装置110に載置することができる。走査光学系121は、第1キャリッジ122や第2キャリッジ123、集光レンズ124を備える。第1キャリッジ122には線状の光源131およびミラー132が設けられ、第2キャリッジ123にはミラー133および134が設けられている。光源131は原稿を照明する。ミラー132、133、134は、原稿からの反射光を集光レンズ124に導き、集光レンズ124はその光像をラインイメージセンサ125の受光面に結像する。
【0020】
この走査光学系121において、第1キャリッジ122および第2キャリッジ123は、副走査方向135に往復動可能に設けられている。第1キャリッジ122および第2キャリッジ123を副走査方向135に移動することによって、原稿台103に載置された原稿の画像をイメージセンサ125で読み取ることができる。原稿搬送装置110にセットされた原稿の画像を読み取る場合、画像読取部120は、第1キャリッジ122および第2キャリッジ123を画像読取位置に合わせて一時的に静止させ、画像読取位置を通過する原稿の画像をイメージセンサ125で読み取る。イメージセンサ125は、受光面に入射した光像から、例えば、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色に対応する原稿の画像データを生成する。生成された画像データは、画像形成部140において用紙に印刷することができる。また、ネットワークインターフェイス161によりネットワーク162を通じて他の機器(図示せず)へ送信することもできる。
【0021】
画像形成部140は、画像読取部120で得た画像データや、ネットワーク162に接続された他の機器(図示せず)から受信した画像データを用紙に印刷する。画像形成部140は、像担持体である感光体ドラム141を備える。感光体ドラム141は一定速度で一方向に回転する。感光体ドラム141の周囲には、回転方向の上流側から順に、帯電器142、露光器(走査光学装置)143、現像器144、中間転写ベルト145が配置されている。帯電器142は、感光体ドラム141表面を一様に帯電させる。露光器143は、一様に帯電した感光体ドラム141の表面に、画像データに応じて光を照射し、感光体ドラム141上に静電潜像を形成する。現像器144は、その静電潜像にトナーを付着させ、感光体ドラム141上にトナー像を形成する。中間転写ベルト145は、感光体ドラム141上のトナー像を用紙に転写する。画像データがカラー画像である場合、中間転写ベルト145は、各色のトナー像を同一の用紙に転写する。なお、RGB形式のカラー画像は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)形式の画像データに変換され、各色の画像データが露光器143に入力される。
【0022】
画像形成部140は、手差しトレイ151、給紙カセット152、153、154等から、中間転写ベルト145と転写ローラ146との間の転写部に被転写体である用紙を給送する。手差しトレイ151や各給紙カセット152、153、154には、様々なサイズの用紙を載置または収容することができる。画像形成部140は、ユーザの指定した用紙や、自動検知した原稿のサイズに応じた用紙を選択し、選択した用紙を給送ローラ155により手差しトレイ151やカセット152、153、154から給紙する。給紙された用紙は搬送ローラ156やレジストローラ157で転写部に搬送する。トナー像を転写した用紙は、搬送ベルト147により定着器148に搬送される。定着器148は、ヒータを内蔵した定着ローラ158および加圧ローラ159を有しており、熱と押圧力によってトナー像を用紙に定着する。画像形成部140は、定着器148を通過した用紙を排紙トレイ149へ排紙する。
【0023】
図2は複合機100が備える操作パネルの外観の一例を示す図である。ユーザは、操作パネル200を用いて、複合機100に複写開始やその他の指示を与えたり、複合機100の状態や設定を確認したりすることができる。操作パネル200には、タッチパネル付きディスプレイ201や操作キー203が配置されている。ユーザは、自身の指やタッチペン202を使用して、ディスプレイ201を通じて入力を行うことができる。
【0024】
ディスプレイ201は、ボタン表示部204、メッセージ表示部205およびステータス表示部206を有する操作画面を表示する。ボタン表示部204には、複数のタブ208が用意されており、各タブにはそのタブのカテゴリーに応じた操作ボタンが配列されている。
図2の例では、用紙サイズ、複写倍率、濃度、印刷面、ページ集約、後処理を設定するための操作ボタンが配列されている。ユーザは、タブボタン208を選択する操作を行うことによって、これらのタブの表示に切り替えることができる。一つのタブが選択されている間、操作画面上で他のタブやその要素は隠れている。
【0025】
メッセージ表示部205には、複写が可能か否か、複写部数などの設定をユーザに通知するメッセージが表示される。また、ステータス表示部206には、必要に応じて装置ステータス情報が表示される。この表示には、複合機100が備える各種センサの検知結果が反映される。装置ステータス情報とは、装置は動作可能な状態にあるが、異常への対応を促す警告をユーザに通知するメッセージを意味する。例えば、用紙残量が少ない旨、原稿台103が汚れている旨、ファクシミリのメモリ受信が設定されている場合にファックス文書がメモリに格納された旨等が含まれる。また、用紙切れや搬送ジャム等が装置ステータス情報に含まれてもよい。
【0026】
操作キー203は、主電源キー209、テンキー210やスタートキー211、クリアキー212等を含む。例えば、電源キー209は、複合機100のON、OFFの切り替えに使用される。テンキー210は、複写部数の指定や複写倍率の設定に用いることができる。ユーザがそれらの設定をすると、複合機100は、メッセージ表示部205に、例えば、「コピーできます(設定あり)」のようなメッセージを表示し、ユーザによる設定が行われたことを通知する。スタートキー211は、複写や画像印刷の開始指示に使用される。ユーザは、自身でした設定を解除する場合、クリアキー212を操作する。ユーザによる設定を機械が受け付けているかどうかは上述のメッセージで判断することができるので、その設定が不要になればクリアキー212を操作すればよい。
【0027】
図3は、複合機における制御系のハードウェア構成図である。本実施形態の複合機100は、CPU(Central Processing Unit)301、RAM(Random Access Memory)302、ROM(Read Only Memory)303、HDD(Hard Disk Drive)304および原稿搬送装置110、画像読取部120、画像形成部140における各駆動部に対応するドライバ305が内部バス306を介して接続されている。ROM303やHDD304等はプログラムを格納しており、CPU301はその制御プログラムの指令にしたがって複合機100を制御する。例えば、CPU301はRAM302を作業領域として利用し、ドライバ305とデータや命令を授受することにより上記各駆動部の動作を制御する。また、HDD304は、画像読取部120により得られた画像データや、他の機器からネットワークインターフェイス161を通じて受信した画像データの蓄積にも用いられる。
【0028】
内部バス306には、操作パネル200や各種のセンサ307も接続されている。操作パネル200は、ユーザの操作を受け付け、その操作に基づく信号をCPU301に供給する。また、ディスプレイ201は、CPU301からの制御信号にしたがって上述の操作画面を表示する。センサ307は、プラテンカバー102の開閉検知センサや原稿台103上の原稿検知センサ、定着器148の温度センサ、搬送される用紙または原稿の検知センサなど各種のセンサを含む。
【0029】
CPU301は、例えばROM303に格納されたプログラムを実行することで、以下の各手段(機能ブロック)を実現するとともに、これらセンサからの信号に応じて各手段の動作を制御する。
【0030】
図4は複合機100が備える露光器143の構成を示す概略構成図である。露光器143は、光源401、入射光学系402、回転多面体403、走査光学系404を図示しない筐体内に備える。なお、
図4では、光ビームの光路に折り返しがない構成を例示しているが、折り返しミラーにより光ビームの光路を折り返す構成を採用することもできる。
【0031】
光源401は、回路基板上に実装されたレーザダイオード(レーザ発振器)により構成されている。回路基板は、外部から入力される画像信号にしたがってレーザダイオードが出射する光ビーム(レーザ光)の強度変調を行う。
【0032】
入射光学系402は、コリメータレンズ421、アパーチャ422、シリンダーレンズ423を備える。光源401から出射された光ビームはコリメータレンズ421に入射する。コリメータレンズ421は、円筒形状のガラスレンズからなり、レーザダイオードから出力された光ビームをコリメータレンズ421の光軸と一致した平行光に変換して出力する。コリメータレンズ421を通過した光ビームは、アパーチャ422、シリンダーレンズ423を通じて回転多面体403の反射面に入射する。なお、レーザダイオードの発光点は、コリメータレンズ421の焦点に配置されている。
【0033】
回転多面体403は、光源401から出射された光ビームを反射する反射面を備え、当該反射面を移動させることで光源401から出射された光ビームを被走査面である感光体ドラム141の表面において主走査方向に走査させる偏向器として機能する。回転多面体403は、感光体ドラム141表面における光ビームの走査方向に対して垂直方向に配置された回転軸431を有し、当該回転軸431が図示しない駆動モータにより一方向(
図4では矢印が示す方向)に回転駆動される。ここでは、回転多面体403は回転軸431周りに配置された、5つの同一サイズの矩形状反射面を有する5角柱形状を有している。なお、シリンダーレンズ423は、回転多面体403の反射面上に、光ビームの副走査方向のみを収束させた状態で光ビームを結像する。
【0034】
上述のように、回転軸431周りに回転駆動される回転多面体403では、互いに隣接する反射面が接合する角部において発生する空気の乱流により曇りが生じる。
図5は、その曇りが発生する部位を模式的に示す図である。
図5に示すように、回転多面体403が回転軸431周りに反時計回り(図中に矢印で示す方向)で回転駆動される場合、各反射面432では、回転方向の先端側端部501に塵や埃等が付着して曇りが発生する。
【0035】
回転多面体403の回転により偏向された光ビームは走査光学系404に入射する。ここでは、走査光学系404は、2枚のアクリルレンズにより構成されたfθレンズであり、回転多面体403により偏向された光ビームを、感光体ドラム141上の走査速度が略同一となる状態で感光体ドラム141の表面にスポット状に結像させる。
【0036】
また、露光器143は、感光体ドラム141への画像形成開始等の基準信号を生成するBD光学系を備えている。BD光学系は、折り返しミラー411、シリンダーレンズ412、BD(Beam Detect)センサ413を備える。
【0037】
図4に示すように、折り返しミラー411は、回転多面体403の回転に伴って、回転多面体403の1の反射面において反射された光ビームが感光体ドラム141上を走査する直前に、光ビームが通過する位置に配置されている。なお、
図4では、説明のため、回転多面体403が図示の状態にあるときの光ビームの光軸の他、BD光学系への入射時の光ビームの光軸、感光体ドラム141上における走査開始時の光ビームの光軸、感光体ドラム141上における走査終了時の光ビームの光軸を併記している。
【0038】
折り返しミラー411により反射された光ビームは、シリンダーレンズ412を通じてフォトダイオード等の受光素子を備えるBDセンサ413に入射する。なお、シリンダーレンズ412は光ビームをBDセンサ413の受光面に結像する。
【0039】
続いて、光源401の構成について説明する。
図6は複合機100が備える光源401の構成を示す概略構成図である。光源401は、ステム603にサブマウント604を介して固定されたレーザダイオード601を備える。当該レーザダイオード601には、ステム603を貫通してレーザダイオード601に到達する電極605を通じて駆動電力が供給される。当該ステム603および電極605が図示しない回路基板に実装されている。レーザダイオード601はステム603に固定されたキャップ606により封止されている。キャップ606は、レーザダイオード601の光ビーム出射端と対向する位置に、カバーガラス607により閉塞された開口部を備える。レーザダイオード601の光ビーム出射端から出射された光ビームは当該カバーガラス607を通じて外部へ出射される。
【0040】
レーザダイオード601は、カバーガラス607に向かう方向Aのみならず、当該方向Aと反対の方向Bへも光ビームを出射する。当該方向Bへ向かう光ビームの出射端と対向する位置には、フォトダイオード等の受光素子からなる光源内光センサ602が配置されている。当該光源内光センサ602は、光ビームの強度をモニタするために使用される。すなわち、光源内光センサ602に検知される光ビーム強度に基づいて、カバーガラス607を通じて外部へ出射される光ビームの強度の調整が実施される。
【0041】
図7は、本実施形態の複合機の機能ブロック図である。
図7に示すように、本実施形態の複合機100は、光ビーム検知部701、基準信号生成部702および戻り光ビーム検知部703を備える。
【0042】
光ビーム検知部701は、第1の閾値とBDセンサ413の出力値とに基づいて、1の反射面の特定領域により偏向された光ビームがBDセンサ413に入射したか否かを判定する。本実施形態では、光ビーム検知部701は、BDセンサ413の出力値が第1の閾値以上である場合、反射面の特定領域により偏向された光ビームがBDセンサ413に入射したと判定する。また、BDセンサ413の出力値が第1の閾値より小さい場合、反射面の特定領域により偏向された光ビームはBDセンサ413に入射していないと判定する。なお、1の反射面の特定領域については後述する。
【0043】
基準信号生成部702は、光ビーム検知部701がBDセンサ413への光ビームの入射を検知したときに、上記1の反射面により偏向された光ビームによる被走査面への走査開始基準信号を生成する。例えば、基準信号生成部702は、光ビームがBDセンサ413に入射したと光ビーム検知部701が判定したときにパルス信号を生成する。例えば、光源401は当該パルス信号を基準とし、パルス信号発生後、所定時間が経過したときに、画像データに対応する光ビームの出射を開始する。
【0044】
戻り光ビーム検知部703は第2の閾値と光源内光センサ602の出力値とに基づいて、上記特定領域において反射された光ビームが光源内光センサ602に入射したか否かを判定する。ここで、第2の閾値は、上記第1の閾値よりも大きい値に設定されている。第2の閾値は、例えば、レーザダイオード601から出射されたレーザ光の強度よりも大きな光ビーム強度に対応する値や、上記特定領域において反射された光ビーム強度よりも大きな光ビーム強度に対応する値に設定される。本実施形態では、戻り光ビーム検知部703は、光源内光センサ602の出力値が第2の閾値以上である場合、反射面の上記特定領域により偏向された光ビームが光源内光センサ602に入射した、すなわち、戻り光が光源内光センサ602に入射したと判定する。また、光源内光センサ602の出力値が第2の閾値より小さい場合、反射面の上記特定領域により偏向された光ビームは光源内光センサ602に入射していないと判定する。
【0045】
なお、光ビーム検知部701および戻り光ビーム検知部703は独立して設ける必要はなく、一方が他方の機能を兼ねる構成であってもよい。
【0046】
また、本実施形態の複合機100は、報知部704および光ビーム強度制御部705をさらに備える。報知部704は、戻り光ビーム検知部703により、上記特定領域において反射された光ビームが光源内光センサ602へ入射していないと判定された場合、ユーザに判定結果を通知する。通知方法は特に限定されない。例えば、表示、印刷物、電子メール、ファクシミリ等、ユーザが認識可能な任意の方法を採用することができる。ここでは、報知部704は、操作パネル200のディスプレイ201に判定結果を表示する。
【0047】
光ビーム強度制御部705は、戻り光ビーム検知部703により、特定領域において反射された光ビームが光源内光センサ602へ入射していないと判定された場合、光源401が出射する光ビーム強度を増大させる。特に限定されないが、本実施形態では、光ビーム強度制御部705は、BDセンサ413および光源内光センサ602に光ビームが入射する際は、予め定められた大きさだけ光ビーム強度を増大させる。また、感光体ドラム141を光ビームが走査する際は、感光体ドラム141上の走査位置に対応して入力される強度変調信号の大きさに応じて光ビーム強度を増大させる。
【0048】
ここで、反射面の特定領域について説明する。
図8は、本実施形態の複合機における露光器の動作を示す模式図である。
図8(a)は、反射面432aにより反射された光ビームが光源内光センサ602に入射している状態に対応し、
図8(b)は、反射面432aにより反射された光ビームがBDセンサ413に入射している状態に対応する。なお、
図8(a)、
図8(b)において、回転多面体403に付した白抜き矢印は、回転多面体403の回転駆動方向を示している。
【0049】
図8(a)および
図8(b)から理解できるように、回転多面体403を構成する1の反射面432aは、回転多面体403の回転に伴って、順に、
図8(a)に示す状態、
図8(b)に示す状態になる。
【0050】
図8(a)に示す状態では、光源401から出射されて入射光学系402を通過した光ビームは、当該光ビームの光軸と垂直な状態にある反射面432aの回転方向の先端側端部(下流側端部)501において反射される。そして、反射された光ビーム801は入射光学系402を通過して光源401に入射する。すなわち、光ビーム801は光源内光センサ602に入射する。
【0051】
また、
図8(b)に示す状態では、光源401から出射されて入射光学系402を通過した光ビームは、反射面432aの回転方向の先端側端部501において反射される。そして、反射された光ビーム802はBD光学系に入射する。すなわち、光ビーム802はBDセンサ413に入射する。
【0052】
以上のように、本実施形態では、1の反射面432aにおいて曇りが発生し易い回転方向の先端側端部501において反射された光ビームが、光源内光センサ602とBDセンサ413のそれぞれに入射する配置になっている。すなわち、本実施形態では、反射面の特定領域は反射面432aにおいて曇りが発生し易い回転方向の先端側端部501になる(
図5参照)。なお、
図8(a)および
図8(b)に示す関係は、回転多面体403を構成する各反射面432においても同様に成立する。
【0053】
また、
図8(a)に示すように、光源内光センサ602に回転多面体403において反射された光ビームを入射させるためには、回転多面体403の各反射面432と光ビームの光軸とが略直角になるタイミングで光源401を点灯させる必要がある。そのため、本実施形態では、基準信号生成部702が生成する走査開始基準信号を基準として、当該タイミングでの光源401の点灯を実施している。
図9は、光源401のオン(点灯)/オフ(消灯)のタイミングを示す図である。
図9において、横軸は時間に対応し、縦軸は光源401のオン/オフに対応する。
【0054】
上述のように、光源401は、走査開始基準信号後、所定時間が経過したときに、画像データに対応する光ビームの出射を開始する。
図9では、当該画像データに対応する光ビームの出射を点滅群903で表現している。また、点灯902は、BDセンサ413に光ビームを入射させるための光源401の点灯を示している。当該点灯902は、直前の走査開始基準信号を基準とし、直前の走査開始基準信号後、回転多面体403の回転数に応じた所定時間が経過したときに実施される。当該点灯902中に光ビーム検知部701によりBDセンサ413への光ビームの入射が検知されると、基準信号生成部702が走査開始基準信号を生成する。
【0055】
図9に示すように、光源内光センサ602に光ビームを入射させるための光源401の点灯901は、走査開始基準信号発生後、点滅群903が終了した後、かつ、次のBDセンサ413に光ビームを入射させるための点灯902の前に実施される。当該点灯901は、直前の走査開始基準信号を基準としているが、
図8(a)、
図8(b)から理解できるように、点灯901に後続する、点灯902および点滅群903が同一反射面において光ビームが反射されることになる。なお、ここでは、感光体ドラム141上を光ビームが走査しない範囲において、光源401が必要に応じて点灯・消灯する構成を採用しているが、当該範囲において、光源401が点灯し続ける構成であってもよい。
【0056】
本実施形態では、光ビームの強度の調整を、光源内光センサ602に光ビームを入射させるための光源401の点灯901の後、BDセンサ413に光ビームを入射させるための点灯902の前に実施する。
【0057】
続いて、本実施形態の複合機100の動作原理について説明する。
図10は、回転多面体403の反射面432に曇りが発生していない状態における、BDセンサ413の出力値と光源内光センサ602の出力値を示す図である。
図10(a)はBDセンサ413の出力値に対応し、
図10(b)は光源内光センサ602の出力値に対応する。また、
図11は、回転多面体403の反射面432に曇りが発生した状態における、BDセンサ413の出力値と光源内光センサ602の出力値を示す図である。
図11(a)はBDセンサ413の出力値に対応し、
図11(b)は光源内光センサ602の出力値に対応する。なお、
図10、
図11において、横軸は時間に対応し、縦軸はそれぞれのセンサの出力値(電圧値)に対応する。また、
図10(a)、
図11(a)に示す線1001は第1の閾値であり、
図10(b)、
図11(b)に示す線1002は第2の閾値である。
【0058】
図10(a)、
図10(b)に示すように、回転多面体403の反射面432に曇りが発生していない場合、BDセンサ413の出力値は第1の閾値1001よりも大きくなっており、光源内光センサ602の出力値も第2の閾値1002よりも大きくなっている。そのため、光ビーム検知部701は、光ビームがBDセンサ413に入射したと判定し、当該判定に応じて基準信号生成部702が走査開始基準信号を生成する。また、戻り光ビーム検知部703は、光ビームが光源内光センサ602に入射したと判定する。この場合、何ら特別な処理が実施されることなく画像形成処理が実施される。なお、
図10(b)の光源内光センサ602の出力値の波形から理解できるように、光源401が光ビームを出射している場合、光源内光センサ602には常にレーザダイオード601からの光が入射している(
図6参照)。そのため、反射された光ビームの入射は、このような定常的な光ビームによる出力値に反射光ビームによる出力値が重畳した値として検出される。
【0059】
一方、回転多面体403の反射面432に曇りが発生すると、当該曇りが進行するにつれて反射面432の回転方向の先端側端部501において反射される光ビームの強度が徐々に低下する。すなわち、光源内光センサ602およびBDセンサ413に入射する光ビームの強度が徐々に低下する。
【0060】
本実施形態では、戻り光ビーム検知部703に設定される第2の閾値1002に対応する光ビーム強度は、同一の領域(反射面432の回転方向の先端側端部501)において反射された光ビーム強度について比較すると、光ビーム検知部701に設定されている第1の閾値1001に対応する光ビーム強度よりも大きい。したがって、回転多面体403の反射面432が曇り始めて、光源内光センサ602およびBDセンサ413に入射する光ビームの強度が徐々に低下する過程では、まず、第2の閾値1002よりも小さくなる(
図11(b))。光源内光センサ602に入射する光ビームの強度が第2の閾値1002よりも小さくなった直後では、
図11(a)に示すように、BDセンサ413に入射する光ビームの強度(BDセンサ413の出力値)は第1の閾値1001よりも大きい。この状況では、光ビーム検知部701は、光ビームがBDセンサ413に入射したと判定し、当該判定に応じて基準信号生成部702が走査開始基準信号を生成する。また、戻り光ビーム検知部703は、光ビームが光源内光センサ602に入射していないと判定する。
【0061】
この場合、本実施形態の複合機100は、報知部704はディスプレイ201に判定結果を表示する。また、光ビーム強度制御部705は、BDセンサ413および光源内光センサ602に光ビームが入射する際は、予め定められた大きさだけ光ビーム強度を増大させる。また、感光体ドラム141を光ビームが走査する際は、感光体ドラム141上の走査位置に対応して入力される強度変調信号の大きさに応じて光ビーム強度を増大させる。
【0062】
なお、光ビーム強度を増大させない場合、その後、さらに曇りが進行して反射ビームの強度が低下するとBDセンサ413に入射する光ビームの強度が第1の閾値よりも小さくなる。この場合、基準信号生成部702が走査開始基準信号を生成しないため、画像形成処理を実施できなくなる。また、当該状態に至る過程において、曇り部分が、感光体ドラム141に画像データに対応する光ビームを反射する領域に達すると、当該部分で反射される光ビームの強度が低下しているため、画像品質が低下してしまう。
【0063】
図12は、複合機100が光ビーム強度低下時に実施する処理手順の一例を示すフロー図である。当該手順は、露光器143が動作状態にあるときに、所定の時間間隔をおいて繰り返し開始される。
【0064】
当該手順が開始すると、戻り光ビーム検知部703は、上述の手法により、回転多面体403において反射された光ビームが光源内光センサ602に入射したか否かを判定する(ステップS1201)。戻り光ビーム検知部703が、光源内光センサ602に反射された光ビームが入射していると判定した場合、特別な処理は実施されず手順が終了する(ステップS1201においてYes)。一方、光源内光センサ602に反射された光ビームが入射していないと判定した場合、戻り光ビーム検知部703は、その旨を、報知部704および光ビーム強度制御部705に通知する(ステップS1201においてNo)。
【0065】
当該通知を受けた報知部704は、ディスプレイ201に判定結果を表示する(ステップS1202)。
図13(a)は、報知部704がディスプレイ201に表示する画面の一例を示す図である。この例では、ディスプレイ201に「露光器のミラーに曇りが発生しています。メンテナンスが必要です。」等の判定結果を通知する文章を含むポップアップウインドウ1301が表示される。当該ポップアップウインドウ1301には「確認」ボタン1302が設けられており、当該表示を確認したユーザが「確認」ボタン1302を選択するとポップアップウインドウ1301が閉じる構成になっている。また、
図13(b)は、報知部704がディスプレイ201に表示する画面の他の一例を示す図である。この例では、ディスプレイ201のステータス表示部206に「露光器(ミラー)のメンテナンスが必要です。」等の判定結果を通知する文章が表示される構成になっている。
【0066】
また、上記通知を受けた光ビーム強度制御部705は、上述のように、光源401のレーザダイオード601が出射する光ビーム強度を増大させる(ステップS1203)。本実施形態では、光ビーム強度制御部705は、BDセンサ413および光源内光センサ602に光ビームが入射する際は、予め定められた大きさだけ光ビーム強度を増大させ、感光体ドラム141を光ビームが走査する際は、感光体ドラム141上の走査位置に対応して入力される強度変調信号の強度に応じて(比例させて)光ビーム強度を増大させる。
【0067】
以上説明したように、この複合機100では、回転多面体403を構成する反射面432に曇りが発生した場合、当該曇りに起因してBDセンサ413を使用した光ビームの検知ができなくなる前に、光源内光センサ602を使用した光ビームの検知ができなくなる状態に構成されている。したがって、曇りに起因する画像品質の低下や機器の誤作動が発生する前に、光源内光センサ602により光ビームの強度低下を検出することができる。そのため、回転多面体403を構成する反射面432に曇りが発生した場合、曇りに起因する画像品質の低下や機器の誤作動が発生する前に、光ビーム強度の低下に対して対応を講じることが可能になる。
【0068】
また、光源401がレーザダイオード601を含む場合、光源401には、光源401から出射する光ビームの強度をモニタし、光強度を調整するための光センサ602がレーザダイオード601の光出射端の反対側端部に対向して配置されている。この場合、当該光センサを光源内光センサ602として使用できるため、特別なセンサや反射鏡等を設ける必要もない。
【0069】
なお、上述した実施形態は本発明の技術的範囲を制限するものではなく、既に記載したもの以外でも、本発明の範囲内で種々の変形や応用が可能である。例えば、上記実施形態では、特に好ましい形態として、光ビーム強度制御部705が、BDセンサ413および光源内光センサ602に光ビームが入射する際は、予め定められた大きさだけ光ビーム強度を増大させ、感光体ドラム141を光ビームが走査する際は、感光体ドラム141上の走査位置に対応して入力される強度変調信号の強度に応じて光ビーム強度を増大させる構成としたが、単に、BDセンサ413および光源内光センサ602に光ビームが入射する際に、予め定められた大きさだけ光ビーム強度を増大させる構成であってもよい。これにより、少なくとも、基準信号生成部702が走査開始基準信号を生成しない状態になることを避けることができる。また、本構成であっても、反射面432の曇りが、感光体ドラム141に画像データに対応する光ビームを反射する領域に達しなければ画像品質の低下は発生しない。
【0070】
また、上述の実施形態では、特に好ましい形態として、報知部704および光ビーム強度制御部705を備える構成について説明したが、これらの要素は本発明に必須の要素ではない。例えば、報知部704および光ビーム強度制御部705の一方のみを備える構成や、いずれも備えない構成とすることもできる。例えば、報知部704のみを備える構成であっても、ユーザは、曇りに起因する画像品質の低下や機器の誤作動が発生する前に光ビーム強度の低下を知ることができ、適切な対応をすることができる。また、光ビーム強度制御部705のみを備える構成であっても、曇りに起因する画像品質の低下や機器の誤作動が発生する前に自動的に光ビーム強度を増大させることができ、その後の画像品質の低下や機器の誤作動の発生を防止することができる。また、いずれも備えない構成であっても、例えば、サービスマンがメンテナンスメニューを操作して戻り光ビーム検知部703の判定結果を参照することで、曇りに起因する画像品質の低下や機器の誤作動が発生する前に光ビーム強度の低下を知ることができ、適切な対応をすることができる。
【0071】
加えて、上述の実施形態では、デジタル複合機として本発明を具体化したが、デジタル複合機に限らず、プリンタ、複写機等の任意の画像形成装置に本発明を適用することも可能である。さらには、本発明は、回転多面体を備える任意の走査光学装置に適用することも可能である。