(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のバルブでは、第2流路がボディに形成されているため、ボディが嵩高くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、小型化を図ることが可能なバルブの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係るバルブ(
10V)は、ボディ(20)に形成され、弁口(31)を途中に有した第1流路(21)と、弁口(31)を開閉する弁体(
30V)と、弁体(
30V)にて弁口(31)を閉じた状態で弁口(31)より上流側と下流側の第1流路(21)の間を連通する第2流路(
35V)と、を備えたバルブ(
10V)において、第2流路(
35V)は、弁体(
30V)に貫通形成され
、ボディ(20)に形成されて直線状に延びた直動支持孔(23)と、ボディ(20)内に流体を導入しかつ直動支持孔(23)の一端部に連通した流体導入路(24)と、直動支持孔(23)に直動可能に組み付けられて、直動支持孔(23)を一端部側の前圧室(23A)と他端部側の後圧室(23B)とに区画するピストン部(33)と、そのピストン部より前圧室(23A)側に突出した弁本体部(34)と、を有した弁体(30V)と、前圧室(23A)のうち弁本体部(34)との対向面(23M)で開口して、弁本体部(34)により開閉される弁口(31)と、弁口(31)に連通するか又は弁口(31)を兼ねて流体を外部に排出する流体排出路(22)と、オリフィス(61)を通して前圧室(23A)と後圧室(23B)との間を常時連通する圧力導入路(60)と、弁体(30V)を直動方向に貫通して、弁口(31)又は流体排出路(22)と後圧室(23B)とを連通するパイロット弁孔(41)と、パイロット弁孔(41)の後圧室(23B)側の開口(41A)を開閉するパイロット弁体(40)と、弁体(30V)に形成されて、前圧室(23A)又は流体導入路(24)とパイロット弁孔(41)とに連通した側方連通路(42V)と、パイロット弁孔(41)と側方連通路(42V)とで構成された第2流路(35V)と、を備え、側方連通路(42V)は、パイロット弁孔(41)側の端部へ向かうにつれてパイロット弁孔(41)の軸方向で後圧室(23B)側へ向かうオフセット部(74)を備えたところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明
に係るバルブ(10W)は、ボディ(20)に形成され、弁口(31)を途中に有した第1流路(21)と、弁口(31)を開閉する弁体(30W)と、弁体(30W)にて弁口(31)を閉じた状態で弁口(31)より上流側と下流側の第1流路(21)の間を連通する第2流路(35W)と、を備えたバルブ(10W)において、第2流路(35W)は、弁体(30W)に貫通形成され、ボディ(20)に形成されて直線状に延びた直動支持孔(23)と、ボディ(20)内に流体を導入しかつ直動支持孔(23)の一端部に連通した流体導入路(24)と、直動支持孔(23)に直動可能に組み付けられて、直動支持孔(23)を一端部側の前圧室(23A)と他端部側の後圧室(23B)とに区画するピストン部(33)と、そのピストン部より前圧室(23A)側に突出した弁本体部(34W)と、を有した弁体(30W)と、前圧室(23A)のうち弁本体部(34W)との対向面(23M)で開口して、弁本体部(34W)により開閉される弁口(31)と、弁口(31)に連通するか又は弁口(31)を兼ねて流体を外部に排出する流体排出路(22)と、オリフィス(61)を通して前圧室(23A)と後圧室(23B)との間を常時連通する圧力導入路(60)と、弁体(30W)を直動方向に貫通して、弁口(31)又は流体排出路(22)と後圧室(23B)とを連通するパイロット弁孔(41)と、パイロット弁孔(41)の後圧室(23B)側の開口(41A)を開閉するパイロット弁体(40)と、弁体(30W)に形成されて、前圧室(23A)又は流体導入路(24)とパイロット弁孔(41)とに連通した側方連通路(42W)と、パイロット弁孔(41)と側方連通路(42W)とで構成された第2流路(35W)と、を備え、側方連通路(42W)は、パイロット弁孔(41)の回りを周回しながらパイロット弁孔(41)から遠ざかるように構成されたところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、
請求項1に記載のバルブ(10V)において、オフセット部(74)は、パイロット弁孔(41)の軸方向に移動しながらパイロット弁孔(41)の回りを周回する螺旋状に形成されたところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のうち何れか1の請求項に記載の
バルブ(10V)において、直動して弁口(31)を開閉する弁体(30V)と、弁体(30V)の外周面(30M)で一端が開口した第2流路(35V)と、第2流路(35V)の一端側の開口(35A)を覆ったフィルタ(50)と、を備えたところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に記載のバルブ(10V)において、
弁体(30V)の外周面(30M)に形成された環状溝(37)と、環状溝(37)の底面(37M)で一端が開口した第2流路(35V)と、環状溝(37)を覆ったフィルタ(50)と、を備えたところに特徴を有する
。
【発明の効果】
【0011】
[請求項1
〜3の発明]
請求項1
,2の発明によれば、閉じた状態で弁口(31)より上流側と下流側の第1流路(21)を連通する第2流路(
35V,35W)が、弁体(
30V,30W)に貫通形成されているので、従来のバルブのように、第2流路(
35V,35W)をボディ(20)に設けた場合と比較して、ボディ(20)を小型にすることが可能になる。これにより、バルブ(
10V,10W)の小型化が図られる
。
【0012】
また、請求項
1,2の発明では、弁口(31)とパイロット弁孔(41)が閉じた状態で、流体が流体導入路(24)から前圧室(23A)へ流入し、圧力導入路(60)を通って後圧室(23B)へと流入する。そして、この状態で、パイロット弁体(40)を駆動してパイロット弁孔(41)が開くと、後圧室(23B)の流体がパイロット弁孔(41)を通って弁口(31)又は流体排出路(22)へ流れる。ここで、前圧室(23A)と後圧室(23B)とは、オリフィス(61)を通して連通しているので、前圧室(23A)と後圧室(23
B)との間に内圧差が生じ、その内圧差により弁体(
30V,30W)が後圧室(23B)側に移動して弁口(31)が開く。このように、本発明によれば、弁口(31)よりも小径なパイロット弁孔(41)を開閉するパイロット弁体(40)を駆動することで、弁口(31)を開閉することができる。しかも、弁口(31)又は流体排出路(22)と後圧室(23B)とを連通するパイロット弁孔(41)が弁体(
30V,30W)に形成され、そのパイロット弁孔(41)を第2流路(
35V,35W)に利用したので、バルブ(
10V,10W)の小型化が図られる。
【0013】
請求項
1の発明によれば、側方連通路(42V)は、パイロット弁孔(41)側の端部へ向かうにつれてパイロット弁孔(41)の軸方向で後圧室(23B)側へ向かうオフセット部(74)を備えたので、側方連通路(42V)がパイロット弁孔(41)の径方向に直線状に延びる場合と比較して、第2流路(35V)の長さを長くすることが可能となる。
【0014】
しかも、請求項
3の発明のように、オフセット部(74)をパイロット弁孔(41)方向に移動しながらパイロット弁孔(41)の回りを周回する螺旋状に形成すれば、オフセット部(74)の全長を一定以上の長さに保ちつつオフセット部(74)を弁体の直動方向に短くすることが可能となる。これにより、弁体(
30V)を直動方向に短くして、バルブ(10V)の小型化を図ることができる。
【0015】
請求項
2の発明によれば、側方連通路(42W)は、パイロット弁孔(41)の回りを周回しながらパイロット弁孔(41)から遠ざかるので、側方連通路(42W)がパイロット弁孔(41)の径方向に直線状に延びる場合と比較して、側方連通路(42W)の長さを長くすることができる。これにより、第2流路(35W)の長さを長くすることが可能となる。
【0016】
[請求項4の発明]
請求項4の発明では、弁口(31)の中心軸方向に直動して弁口(31)を開閉する弁体(30V)の外周面に第2流路(35V)の一端が開口し、その一端側の開口(35A)がフィルタ(50)で覆われている。本発明の構成によれば、開弁状態で弁口(31)に向かって流れる流体によってフィルタ(50)に堆積した異物を弁口(31)から下流側へ洗い流すことができる。
【0017】
[請求項5の発明]
請求項5の発明によれば、弁体(30V)の外周面に形成された環状溝(37)の底面(37M)で第2流路(35V)の一端が開口し、その環状溝(37)をフィルタ(50)で覆っているので、流体のフィルタ通過面積を大きくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[
参考実施形態]
本発明に係る実施形態を説明する前に、まず、本発明の技術的範囲には属さないが、本発明に関連する参考実施形態を
図1〜
図7に基づいて説明する。
図1に示すように、本
参考実施形態のバルブ10は、パイロット式の電磁弁であって、柱状のボディ20の一端部に駆動源としてソレノイド13を備えている。なお、以下の説明において、バルブ10のうちソレノイド13を備えた側を「後側」といい、その反対側を「前側」ということとする。
【0020】
ボディ20は、大径部20Aと小径部20Bとを軸方向に沿って前後に並べて備え、小径部20Bの後端部に、円筒ケース14が嵌合している。そして、ソレノイド13は、小径部20B及び円筒ケース14の外側に環状の電磁コイル15を嵌合固定して備える一方、円筒ケース14の内側にプランジャ16(磁性材料)を直動可能に収容している。プランジャ16は、電磁コイル15に通電されたときに、前側に移動する。
【0021】
本
参考実施形態では、ボディ20は、流体が一方向に流れる流路の途中に組み付けられ、ボディ20の大径部20Aの側面には、流体をボディ20内に取り込むための流入口11と、取り込んだ流体を外部に排出するための流出口12が1つずつ設けられている。そして、流入口11と流出口12とを連絡する第1流路21の途中に、弁体30により開閉される弁口31が形成されている。
【0022】
詳細には、流入口11は、流出口12よりも後側に配置され、第1流路21は、流出口12から大径部20Aの中心部まで延びた流体排出路22と、大径部20Aの中心部で前後方向に延びかつ隔壁22Hを挟んで流体排出路22の後側に位置する直動支持孔23と、流入口11から中心側へ延びて直動支持孔23の前端部に側方から連通した流体導入路24と、を備えている。
【0023】
弁体30は、直動支持孔23に直動可能に組み付けられ、ボディ20の中心軸に沿って移動する。また、弁体30は、直動支持孔23の内周
面と嵌合したピストン部33と、ピストン部33の中心部から前方に突出した弁本体部34とを有し、ピストン部33によって、直動支持孔23を、前側に配置されて流体導入路24に連通した前圧室23Aと、後側に配置され
た後圧室23Bとに区画している。弁口31は、隔壁22Hを前後方向に貫通して、前圧室23Aにおける弁本体部34との対向面23Mで開口している。そして、弁体30が前側に移動して隔壁22Hにおける弁口31の開口縁である弁座32と当接したときに閉弁状態となり、弁体30が後側に移動して弁座32から離間した
ときに開弁状態となる。
【0024】
また、ピストン部33の外周面と直動支持孔23の内周面との間には、オリフィス61を介して前圧室23Aと後圧室23Bとを常時連通する圧力導入路60が形成されている。
【0025】
具体的には、
図5(A)に拡大して示すように、ピストン部33には、ピストンリング62が外側から嵌合され、このピストンリング62の周方向の1箇所に
図5(B)に示した切欠部62Mが形成されることで、オリフィス61が形成されている。なお、弁本体部34は、ピストン部33より小径となっていて、ピストン部33と隔壁22Hとの間に備えられた第1圧縮コイルバネ64によって弁体30は、後側に付勢されている。
【0026】
弁体30の中心部には、弁体30を前後方向に貫通したパイロット弁孔41が形成されている。パイロット弁孔41は、弁体30が弁座32に当接した閉弁状態で弁口31と後圧室23Bとを連通する。パイロット弁孔41の後圧室23B側の開口41Aは、後圧室23B内をプランジャ16と一体に前後方向に直動するパイロット弁体40によって開閉される。
【0027】
パイロット弁体40は、プランジャ16の前方に配置され、第2圧縮コイルバネ65によって後側に付勢されている。そして、電磁コイル15に通電されないときは、第2圧縮コイルバネ65により後側に押されて、パイロット弁孔41の開口41Aを開いている。電磁コイル15に通電されてプランジャ16が前進すると、パイロット弁体40がプランジャ16と一体に前進し、開口41Aが閉じられる(
図2参照)。なお、電磁コイル15に通電された状態では、パイロット弁体40が、上述した第1圧縮コイルバネ64の付勢力に抗して弁体30を前方に押し、弁口31が閉じられている。
【0028】
弁体30が弁口31を閉じた状態で、パイロット弁孔41の開口41Aが開くと、後圧室23B内の流体がパイロット弁孔41を通って弁体30の下流側へ流れ(
図3参照)、後圧室23Bの内圧が低下する。ここで、上述の如く、前圧室23Aと後圧室23Bとは、オリフィス61を通して連通しているので、前圧室23Aと後圧室23Bとに内圧差が生じ、この内圧差によって弁体30が後側に移動して弁口31が開く(
図4参照)。
【0029】
このように、バルブ10では、弁口31より開口面積が小さなパイロット弁孔41の開口41Aを開閉するパイロット弁体40を駆動することで、弁口31を開閉する弁体30を駆動することが可能となる。
【0030】
ところで、
図3に示すように、本
参考実施形態のバルブ10は、弁体30が弁口31を閉じた状態にあっても、弁体30の上流側と下流側を連通する第2流路35を備え、開弁状態では、比較的多量の流体を流し、閉弁状態では、比較的少量の流体を流すように構成されている。
【0031】
本
参考実施形態では、第2流路35は、弁体30に貫通形成されている。具体的には、弁体30の弁本体部34には、パイロット弁孔41から側方に延びて弁体30の外周面30Mで開口した側方連通路42が備えられ、この側方連通路42とパイロット弁孔41とによって第2流路35が形成されている。
【0032】
第2流路35は、弁体30の外周面30Mで開口し、この開口35A(本発明の「一端側の開口」に相当する。)がフィルタ50で覆われている。これにより、開弁状態となって弁口31に向かって流れる流体によってフィルタ50に堆積した異物を洗い流すことができる。
【0033】
具体的には、
図6に示すように、弁体30の外周面30Mには、環状溝37が形成され、側方連通路42は、環状溝37の底面37Mで一端が開口している。また、フィルタ50は、同軸に配置された1対のリング51,51が複数の支持柱52で連絡されたフレーム53の回りに筒状のメッシュ54が固定された構成となっている。そして、フィルタ50が弁体30に外側から嵌合して、環状溝37を覆うことで、第2流路35の一端開口がフィルタ50により覆われている。このように、本
参考実施形態のバルブ10では、第2流路35の上流側の開口35Aは、環状溝37の底面37Mに配置され、その環状溝37が弁体30と嵌合したフィルタ50で覆われているので、流体のフィルタ通過面積を大きくすることができる。
【0034】
なお、本
参考実施形態では、フィルタ50を構成するフレーム53及びメッシュ54は、樹脂製であって、メッシュ54は、溶着によりフレーム53に固定されている。フィルタ50は、フレーム53が弁体30の外周面30Mに溶着されることで弁体30に固定されてもよいし、接着剤やインサート成形により固定されてもよい。
【0035】
図7(A)及び
図7(B)に示すように、本
参考実施形態のバルブ10は、自動車等の空調装置90に用いられる。空調装置90には、バルブ10のほかに、圧縮機91と、アキュムレータ92と、室外熱交換器93と、冷却用室内熱交換器94と、加熱用室内熱交換器95と、三方弁96と、膨張弁97とが備え
られている。圧縮機91は、冷媒を吸入し吐出する。アキュムレータ92は、冷媒を気液分離して液状の冷媒を貯留する。三方弁96は、冷房時と暖房時とで冷媒の流れを切り替える。そして、バルブ10は、冷房運転時に開弁状態となり、暖房運転時に閉弁状態となる。なお、
図7(A)には、冷房運転時の冷媒の流れが矢印で示され、
図7(B)には、暖房運転時の冷媒の流れが矢印で示されている。
【0036】
図7(A)に示すように、冷房運転時では、圧縮機91から吐出された高温高圧のガス冷媒は、加熱用室内熱交換器95に流入するが、熱交換は行われない。そして、加熱用室内熱交換器95を流出した冷媒は、バルブ10を経て、室外熱交換機93に流入し、周囲の空気に熱を奪われて霧状の冷媒となる。この霧状冷媒は、膨張弁97で減圧され、冷却用室内熱交換器94を通過するときに室内の空気から吸熱して蒸発する。そして、冷媒は、アキュムレータ92で気液分離された後、圧縮機91に吸入される。
【0037】
他方、暖房運転時には、冷媒は、膨張弁97及び冷却用室内熱交換器94を通らない。
図7(B)に示すように、圧縮機91から吐出された高温高圧のガス冷媒は、加熱用室内熱交換器95で周囲の空気に熱を奪われて冷却され、凝縮される。そして、冷媒は、バルブ10に流入する。ここで、バルブ10は、閉弁状態となっているので、冷媒は、第2流路35(
図2参照)を通過することとなり、減圧される。即ち、バルブ10は、膨張弁としての役割を果たす。
【0038】
バルブ10で減圧された冷媒は、室外熱交換器93で周囲の空気から吸熱して蒸発し、アキュムレータで気液分離された後、圧縮機91に吸入される。
【0039】
本
参考実施形態に係るバルブ10の構成に関する説明は、以上である。次に、バルブ10の作用効果について説明する。
【0040】
本
参考実施形態のバルブ10では、閉弁状態にあっても弁体30の上流側と下流側とを連通する第2流路35が、弁体30に貫通形成されているので、従来のバルブのように、第2流路がボディ20に形成されている場合と比較して、ボディ20を小さくすることができる。これにより、バルブ10の小型化が図られる。
【0041】
また、弁口31と後圧室23Bとを連通するパイロット弁孔41が弁体30に形成され、そのパイロット弁孔41が、第2流路35に利用されているので、バルブ10の小型化が図られる。
【0042】
なお、バルブ10をパイロット式とせずに、ソレノイド13やモータによって弁体30を直接駆動する構成としてもよい。この場合、図12に示すバルブ110のように、パイロット弁孔41の後側が閉塞された構成の中心孔141を弁体30に形成して、この中心孔141と側方連通路42とで第2流路35を構成すればよい。なお、この場合、図15(A)に示すように、閉弁状態で弁本体部34が弁口31を貫通し、中心孔141を流体排出路22に連通させてもよい。
【0043】
また、第2流路35がパイロット弁孔41と側方連通路42とで構成されていたが、図13に示す弁体30Xのように、パイロット弁孔41とは別に、第2流路35Xを設けてもよい。なお、図13の例では、第2流路35Xは、パイロット弁孔41の側方で前後方向に縦孔35XAと、その縦孔35XAから側方に径方向外側へ延びて弁体30の外周面30M(環状溝37の底面37M)で開口した横孔35XBとで構成されている。
【0044】
[第
1実施形態]
以下、本発明の第
1実施形態を
図8〜
図9に基づいて説明する。本実施形態は、上記
参考実施形態を変形したものであり、主として弁体の構成が異なっている。
図8に示すように、本実施形態のバルブ10Vでは、弁体30Vが、弁本体部34に嵌合固定されたアウタースリーブ70を備えている。
【0045】
具体的には、
図9に示すように、弁本体部34には、前方環状溝37Aと後方環状溝37Bとが前後に並べて設けられ、パイロット弁孔41から径方向に延びた横孔75が、後方環状溝37Bの底面で開口している。そして、アウタースリーブ70は、前方環状溝37Aと後方環状溝37Bとを外側から覆うように配置されている。
【0046】
アウタースリーブ70のうち前方環状溝37Aの外側に配置される部分には、フィルタ取付凹部71が形成されている。そして、このフィルタ取付凹部71を覆うように、フィルタ50(
図8参照)がアウタースリーブ70に固定されている。
【0047】
また、弁本体部30及びアウタースリーブ70には、前方環状溝37Aと後方環状溝37Bとに連通したオフセット流路74(本発明の「オフセット部」に相当する。)が形成されている。具体的には、前方環状溝37Aと後方環状溝37Bとの間に挟まれた環状張出部73の外周面に前後方向に延びた螺旋溝73Sが形成され、この螺旋溝73Sがアウタースリーブ70にて閉塞されることで、パイロット弁孔41の回りを周回しながら前後方向に延びた螺旋状のオフセット流路74が形成されている。
【0048】
本実施形態のバルブ10Vでは、フィルタ50を通って前方環状溝37Aに流入した流体は、オフセット流路74(螺旋溝73S)を通って後方環状溝37Bへと流れる。即ち、オフセット流路74を流れる流体は、パイロット弁孔41側の端部へ向かうにつれてパイロット弁孔41の軸方向で後側へ向かう。そして、後方環状溝37Bへ流入した流体は、横孔75を通ってパイロット弁孔41に流れる。
【0049】
バルブ10Vのその他の構成については、上記
参考実施形態のバルブ10と同様になっているので、同一符号を付すことで説明を省略する。
【0050】
本実施形態のバルブ10Vによれば、上記
参考実施形態と同様の効果を奏することができる。また、側方連通路42Vは、パイロット弁孔41の軸方向で後側へ延びたオフセット流路74を備えたので、側方連通路42Vがパイロット弁孔41の径方向に直線状に延びる場合と比較して、第2流路35Vの長さを長くすることが可能となる。しかも、オフセット流路74を螺旋状に形成したので、オフセット流路74の全長を一定以上の長さに保ちつつオフセット流路74を弁体30の直動方向に短くすることが可能となる。これにより、弁体30を直動方向に短くして、バルブ10Vの小型化を図ることができる。
【0051】
[第
2実施形態]
以下、本発明の第
2実施形態を
図10〜
図11に基づいて説明する。本実施形態は、上記
参考実施形態を変形したものであり、主として弁体と側方連通路の構成が異なっている。本実施形態では、弁体30Wは、弁本体部34Wの外側にアウタースリーブ80と、フランジ81とを固定してなる。具体的には、弁本体部34Wは、前後方向の中間位置で段付き状に縮径され、前側に配置された小径本体部82Aの外側に、アウタースリーブ80及びフランジ81が嵌合固定されている。なお、弁本体部34Wは、前端部が段付き状に縮径され、上記
参考実施形態で説明した環状溝37を備えていない。
【0052】
小径本体部82Aには、前側が小径となる段差部34Dが設けられている。そして、フランジ81は、アウタースリーブ80を挟み込んだ状態で小径本体部82Aに固定されている。なお、本実施形態では、フランジ81が弁座32と当接する。
【0053】
アウタースリーブ80は、弁本体部34Wの後側部分を構成する大径本体部82Bとフランジ81との間に配置されている。詳細には、フランジ81の大径本体部82Bとの対向面には、位置決め突部81Tが形成され、その位置決め突部81Tにアウタースリーブ80が嵌合されている。そして、アウタースリーブ80の内周面と小径本体部82Aの外周面との間に、環状隙間83が形成されている。
【0054】
また、小径本体部82Aには、段差部34Dより後側の外周面で、パイロット弁孔41から径方向外側に延びた横孔84が開口している。即ち、パイロット弁孔41と環状隙間83とは、横孔84を通して連通している。
【0055】
図11に示すように、アウタースリーブ80の後端面(
図11の上側を向いた面)には、内周面から外側に切り込んで周方向の一方側に周回する周回溝80Mが形成されている。そして、アウタースリーブ80の後端面がフランジ部33と当接することで、パイロット弁孔41の回りを周回しながらパイロット弁孔41から遠ざかる周回流路80Rが形成されている。
【0056】
また、アウタースリーブ81の外周面には、複数のフィルタ取付凹部80Aが陥没形成され、このフィルタ取付凹部80Aの外側がフィルタ50(
図10参照)で覆われている。また、
図10に示すように、アウタースリーブ80の後端面には、周回溝80Mの外側部分から前方へ直線状に延びた連絡孔85が形成され、この連絡孔85によってフィルタ取付凹部80Aと周回溝80Mとが連通している。
【0057】
本実施形態のバルブ10Wでは、フィルタ50を通ってフィルタ取付凹部80Aに流入した流体は、連絡孔85を通って周回流路80Rへと流れ、周回流路80Rを流れる流体は、パイロット弁孔41の回りを周回しながら中心側の環状隙間83へ向かう。そして、環状隙間83に流入した流体は、横孔84を通ってパイロット弁孔41へと流れる。なお、本実施形態では、横孔84と周回流路80Rと連絡孔85とで本発明に係る側方連通路42Wが構成され、連絡孔85が本発明の「オフセット部」に相当している。
【0058】
バルブ10Wのその他の構成については、上記
参考実施形態のバルブ10と同様になっているので、同一符号を付すことで説明を省略する。
【0059】
本実施形態のバルブ10Wによれば、上記
参考実施形態と同様の効果を奏することができる。また、側方連通路42Wは、パイロット弁孔41の回りを周回しながらパイロット弁孔41から遠ざかるので、側方連通路42Wがパイロット弁孔41の径方向に直線状に延びる場合と比較して、側方連通路42Wの長さを長くすることができる。これにより、第2流路35Wの長さを長くすることが可能となる。
【0060】
また、本実施形態では、連絡孔85が、下流側(第2流路35Wにおけるパイロット弁孔41側)へ向かうにつれて後側へ向かうように構成されているので、上記第
1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0061】
[他の実施形態]
本発明は、上記
第1及び第2実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる
。
【0062】
(
1)弁体30の外周面30Mの一位置にフィルタ50を固定して側方連通路42の開口を覆ってもよい。
【0063】
(
2)上記実施形態では、空調装置90の冷媒循環路に用いられるバルブに本発明を適用した例を示したが、例えば、吸着装置等に用いられる均圧弁に適用してもよい。
【0064】
(
3)上記第
1実施形態では、オフセット流路74が螺旋状に形成されていたが、パイロット弁孔41の軸方向に延びる直線状に形成されていてもよい。
【0065】
(
4)オフセット流路74は、パイロット弁孔41の軸方向で後圧室23B側に向かうつれてパイロット弁孔41に近づくように構成されてもよい。
【0066】
(
5)上記第
2実施形態の周回溝80Mは、
図14(A)に示すように、渦状であってもよいし、
図14(B)に示すように、周方向に往復しながら中心へ近づく形状としてもよい。また、
図14(C)に示すように、大きさが異なる3つ以上の円環溝86を同軸に備えて、隣り合う環状流路86,86同士を径方向で連絡し、その複数の連絡部分87を周方向にずらした構成としてもよい。
【0067】
(
6)
図15(A)に示すように、閉弁状態で弁本体部34が弁口31を貫通し、パイロット弁孔41が流体排出路22に連通してもよい
。
【0068】
(
7)上記実施形態では、側方連通路42が前圧室23Aに連通していたが、
図15(B)に示すように、閉弁状態でピストン部33の外周面が流体導入路24に露出している場合には、側方連通路42が流体導入路24に連通してもよい。