【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1における設備管理システムの全体構成を示す図である。設備管理システム1は、データ管理装置2と入力装置6と表示装置7を備える。データ管理装置2は設備データを保存・管理し、入力装置6から入力されたユーザ要求に応じて設備データを検索し、検索したデータを表示装置7に出力して表示させる。
【0012】
データ管理装置2は例えばサーバであり、データの登録や検索処理を行うデータ処理部3、設備データ10を保持する第1データベース4、設備データ10を検索抽出するための管理データ20を保持する第2データベース5を有する。
【0013】
データ処理部3は、プログラムを実行して、入力装置6から入力された設備データ10や管理データ20を、第1、第2データベース4、5に登録する。また、ユーザ要求を受けると管理データ20を用いて設備データ10を検索し、抽出した設備データを表示装置7に出力する。
【0014】
第1データベース4は、各設備のデータである設備データ10を保持する。その際各設備データ10は、複数の項目に分類して記憶する。例えば、設備データを分類するため、設備名とその属性を示す項目(大・中・小)を組み合わせ、種別A大項目11、種別A中項目12、種別A小項目13、種別B項目14、のように分類する。ここでいう「種別」とは、設備を分類するための設備名や項目名のことである。この分類項目(種別)は、後述するように設備データの抽出するときの検索項目となる。
【0015】
第2データベース5は、設備データ10を検索するための管理データ20を保持する。管理データ20には、種別(設備、項目)を階層化して管理する種別階層管理データ21、表示条件を管理する表示条件管理データ22、ユーザを管理するユーザ管理データ23を有する。さらに本実施例では、上記した種別階層管理データ21と表示条件管理データ22の関係を紐付けする種別/表示条件関係データ24、種別階層管理データ21とユーザ管理データ23の関係を紐付けする種別/ユーザ関係データ25を有することに特徴がある。
なお、第1データベース4と第2データベース5は、共通のデータベースとして構成しても良い。
【0016】
図2は、第1、第2データベース4、5が保持する設備データ10と管理データ20の具体例を示す図である。
(a)の設備データ10は、各設備をその属性を示す大項目(設置場所)、中項目(設備機能)、小項目(点検実施日)などの種別で分類し、それらの情報を記述する。例えば「消火設備A」は、「建屋A」に設置され、機能は「消火設備」であり、最新の点検実施日は「2013年6月26日」であることを示している。このように分類することで、分類項目(種別)をキーワードとして検索し所望の設備データを抽出することができる。
【0017】
次に管理データ20の各データについて説明する。
【0018】
(b)の種別階層管理データ21は、設備データ10の種別(設備名、項目)を階層化して管理し、その上下関係を登録したものである。上下関係は後述するテーブル形式のデータとして登録するが、ここでは理解し易いようにイメージ化して示す。例えば、建屋A101は上位階層の設備であり、これに属する下位設備として消火設備A102と警報設備A103が含まれる。同様に建屋Bは上位階層の設備であり、これに属する下位設備として消火設備Bが含まれる(図示せず)。一方、消火設備点検104は上位の種別であるが、これに属する下位の種別がなく単独で構成する。このようにして、上下関係のある複数の各種別(設備)を階層グループにより管理する。その際、1つの階層グループが単一の種別(設備)で構成されても良く、また同一の種別が複数の階層グループに重複して登録されても良い。
【0019】
(c)の表示条件管理データ22は、表示条件名と検索式の関係を記述したもので、要求された表示条件名に対して設備データ10からデータを検索するための条件を規定している。例えば、表示条件名が「建屋A情報」であれば、設備データ10の大項目が「建屋A」となる条件で検索する。また、表示条件名が「消火設備点検情報」であれば、中項目が「消火設備」でかつ小項目(点検実施日)が30日超過していることを条件として検索する。
【0020】
(d)のユーザ管理データ23は、特定の設備データを検索表示する権限のあるユーザ名を登録したものである。それぞれのユーザがどの設備を検索表示できるかについては、別途種別/ユーザ関係データ25で規定する。ユーザは、個人名だけでなくグループ名としても良い。
【0021】
図3は、管理データ20の紐付け状態を示す図である。紐付け用データとして、種別/表示条件関係データ24と種別/ユーザ関係データ25がある。この紐付け状態を、
図2(b)の種別階層管理データ21に重ねて表示したものである。
【0022】
まず種別/表示条件関係データ24は、種別階層管理データ21内の各種別と、表示条件22とを紐付けている。例えば上位階層にある建屋A101に対しては、表示条件名の建屋A情報111を紐付けし、これを破線111sで示す。また下位階層にある消火設備A102に対しては、表示条件名の建屋A消火設備112を紐付けし(破線112s)、警報設備A103に対しては、建物A警報設備113を紐付けしている(破線113s)。さらに消火設備点検104に対しては、消火設備点検情報114を紐付けしている(破線114s)。
【0023】
一方種別/ユーザ関係データ25は、種別階層管理データ21内の各種別と、ユーザ名とを紐付けている。例えば上位階層にある建屋A101に対しては、ユーザA121を紐付けし、これを破線121sで示す。また、下位階層にある消火設備A102に対しては、ユーザB122を紐付けし(破線122s)、警報設備A103に対しては、ユーザC123を紐付けしている(破線123s)。さらに消火設備点検104に対しては、ユーザD124を紐付けしている(破線124s)。
【0024】
このような紐付け関係を設定することで、ユーザの検索表示権限を次のように設定することができる。例えばユーザA121は、上位階層の建屋A101と紐付けしている。これによりユーザAに与えられる表示条件名は、建屋A101に紐付けられた建屋A情報111だけでなく、建屋A101の下位階層である消火設備A102と警報設備A103に紐付けられた、建屋A消火設備112と建屋A警報設備113にまで範囲が及ぶことになる。一方ユーザB122は、下位階層の消火設備A102と紐付けしている。これによりユーザBに与えられる表示条件名は、消火設備A102に紐付けられた建物A消火設備112のみとなる。このように、階層化された種別構成において、ユーザの紐付けする種別を適宜選択することで、そのユーザが表示できるデータの範囲を容易に設定することが可能になる。
【0025】
図4は、管理データのデータ構造をテーブル形式で記述した例を示す図である。ここでは、管理データ20を構成する管理テーブルとして、種別を階層化して管理する種別階層管理テーブル21T、表示条件に対する検索式を定義する表示条件管理テーブル22T、種別階層と表示条件の関係を管理する種別/表示条件関係テーブル24T、種別階層とユーザとの関係を管理する種別/ユーザ関係テーブル25Tについて説明する。
【0026】
(a)の種別階層管理テーブル21Tは、種別グループとそれを構成する各種別の階層レベルを記述している。例えばグループAには3個の種別(001,002,003)が含まれ、それぞれの階層レベル(1,2)と、種別の親子関係を記述している。このテーブルにより、注目する種別の階層関係(上位、下位階層の種別)を再帰的に検索することができる。
【0027】
(b)の表示条件管理テーブル22Tは、表示条件名に対する検索式を記述する。このテーブルを利用することで、検索式を取得することができる。なお、検索式の他に検索対象とするテーブル名を記述しても良い。
【0028】
(c)の種別階層/表示条件関係テーブル24Tは、種別名と表示条件名の紐付け状態を記述する。種別毎の表示条件は、このテーブルを検索することで取得できる。
【0029】
(d)の種別階層/ユーザ関係テーブル25Tは、種別名とユーザ名の紐付け状態を記述する。ログインしたユーザに割り当てられた種別は、このテーブルを検索することで取得できる。
【0030】
図5は、設備データの検索表示処理の流れを示すフローチャートである。以下の処理は、データ管理装置2のデータ処理部3が、第1、第2データベース4、5を参照しながら進行する。以下の説明では、ユーザが例えば
図3におけるユーザA121の場合とする。
【0031】
S201でユーザが入力装置6からログインすると、データ処理部3はユーザ管理データ23を参照し、登録されているユーザAであることを確認する。
S202では、種別/ユーザ関係データ25を参照し、当該ユーザAが紐付けられた種別(第1の種別)を取得する。
図3を参照し、ユーザA121は建屋A101に紐付けされていることが分かる。
【0032】
S203では、種別階層管理データ21を参照し、当該取得した第1の種別の下位階層に属する種別一覧(第2の種別)を取得する。
図3を参照し、建屋A101の下位階層には消火設備A102と警報設備A103が属することが分かる。
S204では、種別/表示条件関係データ24を参照し、S202とS203で取得した各種別(第1、第2)に紐付けされた表示条件名を取得する。
図3を参照し、対応する表示条件名として、建屋A情報111、建屋A消火設備112、建屋A警報設備113を取得する。なお、取得した各表示条件名を一旦表示装置7に表示し、ユーザに対し表示条件名を選択させるようにしても良い。
【0033】
S205では、表示条件管理データ22を参照し、S204にて取得(選択)した表示条件名に対する検索式を取得する。
S206では、S205で取得した検索式を用いて、これに一致するデータを設備データ10から抽出する。
S207では、抽出した設備データを表示装置7に表示する。
【0034】
図6は、抽出した設備データを表示する表示画面の例を示す図である。
ユーザ301がシステムにログインすると、まず設備グループの画面300が表示され、当該ユーザ301に関係する設備種別302と表示条件303が表示される。設備種別302では、ユーザ301に紐付けされた設備種別と、その下位階層に属する設備種別を検索して表示する。表示条件303は、各種別階層に設定された表示条件であり、表示条件が複数存在するときは件数を表示してユーザに選択させる。ユーザが所望の表示条件を選択すると、定義された検索式に従って該当する設備データを抽出する。
【0035】
設備台帳の画面310には設備データの抽出結果を表示する。抽出した結果、該当データが複数存在する場合は、データの件数を表示して、ユーザに選択させることができる。また、該当データを連想させる文字列を表示する場合もある。
【0036】
このように実施例1では、設備データを階層的に管理するとともに(種別階層管理)、種別毎にその表示条件(抽出条件)とユーザとを対応付けて管理することで(紐付け管理)、同一組織に属するユーザであってもユーザに応じて異なる種別のデータを抽出することが可能となり、ユーザの使い勝手が向上する。