【実施例】
【0080】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0081】
実施例1 N,N’-ジメチル-N,N’-ビス[(E)-5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]エチレンジアミン ジ塩酸塩(化合物K6)の製造
N,N'-ジメチルエチレンジアミン 35mg (0.397mmol)とWO03/002536パンフレット製造例84に記載の方法により製造した(E)-5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニルブロミド 250mg (0.794mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(DMF) 1.5mLに溶解し、炭酸カリウム 132mg (0.953mmol)及びヨウ化カリウム 364mg (0.953mmol)を加えて、室温で24時間、次いで75℃で2時間撹拌した。反応液の溶媒を留去し、クロロホルムと炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、分液した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl
3:MeOH=20:1)にて精製し、表題化合物(フリー体) 152.5mg (68.9%)を得た。フリー体150mgをエタノール5mLに溶解し、HCl/EtOH(22.05g / 108mL) 0.09mLを加えた後、溶媒を留去した。エタノール、次いでクロロホルムを加えて共沸し、残渣を減圧乾燥し、表題化合物(ジ塩酸塩) 147mgを得た。
【0082】
1H-NMR(DMSO-d
6);δ
2.81 (6H, s)、3.63 (6H, s)、3.77 (12H, s)
【0083】
実施例2 N,N’-ビス-(E)-[5-(4-t-ブチルフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン ジ塩酸塩(化合物K7)の製造
工程1:アルゴン雰囲気下、乾燥イソプロパノール 20mLに金属ナトリウム 117mg (5.1mmol)を加え、90℃にて撹拌した。溶解後、4-t-ブチルベンズアルデヒド590mg (3.6mmol)を加え、次いで4-ブロモブチルトリフェニルホスホニウムブロミド1.8g (3.6mmol)を加え、氷冷下8時間撹拌した。反応液を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、AcOEt:Hexane=30:1)で精製し、(E)-5-(4-t-ブチルフェニル)-4-ペンテニルブロミド 383mg (37.8%)を得た。
【0084】
1H-NMR(CDCl
3);δ
1.31 (9H, s)
【0085】
工程2:(E)-5-(4-t-ブチルフェニル)-4-ペンテニルブロミド 380mg (1.35mmol)、ホモピペラジン 65mg (0.65mmol)をDMF 5mLに溶解し、炭酸カリウム 190mg (1.4mmol)及びヨウ化カリウム 230mg (1.4mmol)を加えて、65℃で24時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。残渣をプレパラティブ薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl
3:MeOH=10:1)で精製し、表題化合物(フリー体) 128mg (40.1%)を得た。
【0086】
フリー体128mgを酢酸エチル5mLとクロロホルム2mLに溶解し、4N-HCl/AcOEt 0.5mLを加えた後、析出した結晶を濾取し、酢酸エチルで洗浄した後、減圧乾燥し、表題化合物(ジ塩酸塩) 90mgを得た。
【0087】
1H-NMR(DMSO-d
6);δ
1.30 (18H, s)
【0088】
実施例3 N,N’-ビス-(E)-[6-(2,4,5-トリメチルフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン ジ塩酸塩(化合物K8)の製造
工程1:2,4,5-トリメチルベンズアルデヒド4.4g (30.0mmol)を原料として、実施例2の工程1と同様に反応処理し、(E)-5-(2,4,5-トリメチルフェニル)-4-ペンテニルブロミド1.4g (17.5%)を得た。
【0089】
1H-NMR(CDCl
3);δ
2.21 (3H, s)、2.22(3H, s)、2.27 (3H, s)
【0090】
工程2:(E)-5-(2,4,5-トリメチルフェニル)-4-ペンテニルブロミド 1.38g (5.2mmol)、ホモピペラジン 260mg (2.6mmol)をDMF 20mLに溶解し、炭酸カリウム 720mg (5.2mmol)及びヨウ化カリウム 870mg (5.2mmol)を加えて、65℃で一夜間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl
3:MeOH=15:1)で精製し、表題化合物(フリー体) 770mg (30.5%)を得た。
【0091】
1H-NMR(CDCl
3);δ
2.20 (6H, s)、2.21(6H, s)、2.25 (6H, s)
【0092】
フリー体770mgを酢酸エチル8mLに溶解し、4N-HCl/AcOEt 1.5mLを加えた後、析出した結晶を濾取し、エーテル−ヘキサンで洗浄した後、減圧乾燥し、表題化合物(ジ塩酸塩) 760mgを得た。
【0093】
融点:248-250℃
【0094】
実施例4 N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]-6-メトキシホモピペラジン ジシュウ酸塩(化合物K9)の製造
工程1:(E)-5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニルブロミド 1.78g (5.66mmol)、6-ヒドロキシホモピペラジン 787mg (2.83mmol)をDMF 10mLに溶解し、炭酸カリウム 2.74g (19.8mmol)及びヨウ化カリウム 2.35g (14.2mmol)を加えて、50℃で一夜間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl
3:MeOH=40:1〜20:1)で精製し、粗N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]-6-ヒドロキシホモピペラジン 622mg (40.0%)を得た。
工程2:N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]-6-ヒドロキシホモピペラジン 662mg (1.13mmol)、トリエチルアミン 0.36mL (2.6mmol)をクロロホルム5mLに溶解し、メタンスルホニルクロリド 0.20mL(2.6mmol)を加えた後、室温で一夜撹拌後、トリエチルアミン 0.36mL (2.6mmol)とメタンスルホニルクロリド 0.20mL(2.6mmol)を追加し、さらに室温で4時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl
3:MeOH=40:1)で精製し、粗N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]-6-メタンスルホニルオキシホモピペラジン 755mg (定量的)を得た。
工程3:アルゴン雰囲気下、ナトリウム 15mg (0.655mmol)をメタノール15mLに溶解し、N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]-6-メタンスルホニルオキシホモピペラジン 87mg (131mg)を加えて75℃で一夜撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl
3:MeOH=50:1)で精製した。常法によりシュウ酸塩とし、表題化合物(ジシュウ酸塩) 32mg (31.4%)を得た。
【0095】
1H-NMR(DMSO-d
6);δ
3.52 (3H, s)、3.62(6H, s)、3.77 (9H, s)
【0096】
実施例5 N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリエトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン ジ塩酸塩(化合物K10)の製造
工程1:アルゴン雰囲気下、氷冷下にて無水テトラヒドロフラン(THF) 5mLに水素化リチウムアルミニウム76mg (2.0mmol)を加え撹拌した。次いで、無水THF 3mLに溶解した3,4,5-トリエトキシ安息香酸エチルエステル564mg (2.0mmol)を滴下し、室温で1時間撹拌した。反応液にジエチルエーテル30mLを加え、次いで水(数滴)を滴下した後、無水硫酸ナトリウムを加えて10分間撹拌した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して3,4,5-トリエトキシベンジルアルコール450mg (定量的)を得た。
【0097】
1H-NMR(CDCl
3);δ
1.35 (3H, t, J = 6.8Hz)、1.42 (6H, t, J = 6.8Hz)、6.51 (2H, s)
【0098】
工程2:3,4,5-トリエトキシベンジルアルコール450mg (2mmol)をベンゼン50mLに溶解し、活性二酸化マンガン4.3g (50mmol)を加えて室温で3時間撹拌した。反応液を濾過した、濾液を濃縮して3,4,5-トリエトキシベンズアルデヒド385mg(95.2%)を得た。
【0099】
1H-NMR(CDCl
3);δ
1.38 (3H, t, J = 7.0Hz)、1.46 (6H, t, J = 7.0Hz)、7.10 (2H, s) 、9.84 (1H, s)
【0100】
工程3:3,4,5-トリエトキシベンズアルデヒド1.98g(9.8mmol)を原料として、実施例2の工程1と同様に反応処理し、(E)-5-(3,4,5-トリエトキシフェニル)-4-ペンテニルブロミド 1.3g (37.1%)を得た。
【0101】
1H-NMR(CDCl
3);δ
1.35 (3H, t, J = 7.1Hz)、1.42 (6H, t, J = 7.1Hz)、6.55 (2H, s)
【0102】
工程4:(E)-5-(3,4,5-トリエトキシフェニル)-4-ペンテニルブロミド 1.3g (3.6mmol)、ホモピペラジン 180mg (1.8mmol)をDMF 25mLに溶解し、炭酸カリウム 500mg (3.8mmol)及びヨウ化カリウム 600mg (3.8mmol)を加えて、室温で一夜間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl
3:MeOH=30:1〜15:1)で精製し、表題化合物(フリー体) 804mg (68.5%)を得た。フリー体400mgを酢酸エチル4mLに溶解し、4N-HCl/AcOEt 1mLを加えた後、析出した結晶を濾取し、酢酸エチルで洗浄した後減圧乾燥し、表題化合物(ジ塩酸塩) 248mgを得た。
【0103】
1H-NMR(DMSO-d
6);δ
1.20 (6H, t, J = 7.0Hz)、1.31 (12H, t, J = 7.0Hz)、6.65 (4H, s)
【0104】
実施例6 N,N’-ビス-(E)-[6-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-オキソ-5-ヘキセニル]ホモピペラジン ジ塩酸塩(化合物K11)の製造
工程1:アルゴン雰囲気下、-78℃で無水THF15mLに2.0M リチウムジイソプロピルアミド(ヘキサン/テトラヒドロフラン懸濁液) 7.43mL (14.9mmol)を滴下し、次いで、無水THF5mLに溶解した3,4,5-トリメトキシベンズアルデヒド2.91g (14.9mmol)を滴下して、同温にて1時間撹拌した。次いで、無水THF5mLに溶解した5-((t-ブチルジメチルシリル)オキシ)ペンタン-2-オン3.22g (14.9mmol)を滴下し、さらに1時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液5mlを滴下した後、室温に戻し、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、AcOHt:Hexane=1:4〜1:2)で精製し、6-((-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-ヒドロキシ-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ヘキサン-3-オン3.65g (59.6%)を得た。
【0105】
1H-NMR(CDCl
3);δ
0.04 (6H, s)、0.89 (9H, s)、3.83 (3H, s)、3.87 (6H, s)、6.59 (2H, s)
【0106】
工程2:6-((-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-ヒドロキシ-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ヘキサン-3-オン3.6g (8.73mmol)とN,N-ジメチルアミノピリジン1g (8.20mmol)をピリジン7mLに溶解し、氷冷下にてアセチルクロリド932mg (11.9mmol)を滴下し、室温で2時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、AcOHt:Hexane=1:3)で精製し、6-(( t-ブトキシジメチルシリル)オキシ)-3-オキソ-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ヘキサン-1-イルアセテート4.08g (定量的)を得た。
【0107】
1H-NMR(CDCl
3);δ
0.07 (6H, s)、0.92 (9H, s)、2.08 (3H, s)、3.86 (3H, s)、3.90 (6H, s)
【0108】
工程3:6-(( t-ブトキシジメチルシリル)オキシ)-3-オキソ-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ヘキサン-1-イルアセテート3.97g (8.73mmol)をトルエン5mLに溶解し、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン1.99g (13.7mmol)を加え、50℃で1.5時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を留去した。得られた油状物をTHF5mLに溶解し、テトラブチルアンモニウムフロリド13.1mL (13.1mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルエステルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl
3:MeOH=10:1)で精製し、(E)-6-ヒドロキシ-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ヘキサ-1-エン-3-オン1.35g (55.2%)を得た。
【0109】
1H-NMR(CDCl
3);δ
3.89 (3H, s)、3.90 (6H, s) 、6.78 (2H, s)
【0110】
工程4:(E)-6-ヒドロキシ-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ヘキサ-1-エン-3-オン1.0g (3.57mmol)をピリジン5mLに溶解し、氷冷下にメタンスルホニルクロリド490mg (4.28mmol)を滴下し、同温で10分間、室温で20分間撹拌した。反応液を酢酸エチルエステルで希釈し、2N-塩酸、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl
3:MeOH=40:1)で精製し、(E)-4-オキソ-6-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ヘキサ-5-エン-1-イルメタンスルホネート1.19g (92.6%)を得た。
【0111】
1H-NMR(CDCl
3);δ
3.02 (3H, s)、3.89 (3H, s)、3.91 (6H, s) 、6.79(2H, s)
【0112】
工程5:(E)-4-オキソ-6-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ヘキサ-5-エン-1-イルメタンスルホネート1.06g (2.96mmol)をトルエン10mLに溶解し、臭化カリウム3.52g (29.6mmol)及びcis-ジシクロヘキサノ-18-クラウン-6 221mg (0.59mmol)を加え、100℃で30分撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl
3:MeOH=50:1)で精製し、(E)-6-ブロモ-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ヘキサ-1-エン-3-オン103.3mg (10.2%)を得た。
【0113】
1H-NMR(CDCl
3);δ
3.89 (3H, s)、3.90 (6H, s) 、6.79(2H, s)
【0114】
工程6:(E)-6-ブロモ-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ヘキサ-1-エン-3-オン 227mg (0.66mmol)、ホモピペラジン 30mg (0.3mmol)をDMF 3mLに溶解し、炭酸カリウム 138mg (1.0mmol)及びヨウ化カリウム 131mg (0.7mmol)を加えて、室温で一夜間撹拌した。反応液を濃縮し、クロロホルムで希釈して濾過し、濾液を減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl
3:MeOH=10:1)で精製し、表題化合物(フリー体) 56.3mg (30.0%)を得た。
【0115】
1H-NMR(CDCl
3);δ
3.89 (6H, s)、3.90 (12H, s) 、6.79(2H, s)
【0116】
フリー体56.3mgをクロロホルム1mLに溶解し、4N-HCl/AcOEt 0.3mLを加えた後、減圧濃縮した。残渣をメタノール−エーテルから再結晶し、表題化合物(ジ塩酸塩)45mgを得た。
【0117】
1H-NMR(CD
3OD);δ
3.79 (6H, s)、3.87 (12H, s) 、6.98(2H, s)
【0118】
実施例7 N,N’-ビス-(E)-[5-(4-カルボキシ-3, 5-ジメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン ジ塩酸塩(化合物K12)の製造
工程1:4-ブロモ-3,5-ジメトキシベンズアルデヒド3.0g (12.2mmol)をベンゼン60mLに溶解し、1,3-プロパンジオール5.3mL (72.5mL)及びトルエンスルホン酸一水和物2.1g (12.2mmol)を加えて還流下、一夜撹拌した。反応液を酢酸エチルエステルで希釈し、炭酸カリウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残渣をAcOEt-Hexaneから再結晶し、2-(4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニル)-1,3-ジオキサン3.48g (94.1%)を得た。
【0119】
1H-NMR(CDCl
3);δ
3.92 (6H, s)、5.46(1H, s)、6.73(2H, s)
【0120】
工程2:アルゴン雰囲気下、2-(4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニル)-1,3-ジオキサン7.26g (23.9mmol)を無水THF40mLと無水ジエチルエーテル40mLに溶解し、-25℃でn-ブチルリチウム16.2mL(25.0mmol)を滴下して氷冷下30分間撹拌した。次いで無水DMFド2.3mLを滴下し、0℃で1時間撹拌した。反応液に塩化アンモニウムを加えた後、溶媒を留去した。残渣をクロロホルムに溶解し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去し、4-(1,3-ジオキサン-2-イル)-2,6-ジメトキシベンズアルデヒド6.0g (99.5%)を得た。
【0121】
1H-NMR(CDCl
3);δ
3.92 (6H, s)、5.46(1H, s)、6.73(2H, s)、10.49(1H, s)
【0122】
工程3:4-(1,3-ジオキサン-2-イル)-2,6-ジメトキシベンズアルデヒド6.0g (23.8mmol)、2-メチル-2-ブテン10.6mL (100mmol)、燐酸二水素ナトリウム2.85g (23.8mmol)をt-ブタノール120mL及び水30mLに溶解し、氷冷下、亜塩素酸ナトリウム6.45g (71.4mmol)を少量ずつ加え、0℃で1時間撹拌した。反応液に水を加え、クエン酸を加えて酸性とし、酢酸エチルで抽出した。有機層から炭酸水素ナトリウム水を用いて逆抽出し、水層にクエン酸を加えて酸性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を留去し、粗4-(1,3-ジオキサン-2-イル) -2,6-ジメトキシ安息香酸3.57g (58.5%)を得た。
【0123】
工程4:4-(1,3-ジオキサン-2-イル) -2,6-ジメトキシ安息香酸3.57g (14.4mmol)をトルエン50mLに溶解し、120℃でN,N-ジメチルホルムアミド ジ-t-ブチルアセタール14.4mL (60mmol)を20分かけて滴下し、同温でさらに10分間撹拌した。、放冷後、反応液を濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、AcOEt:Hexane=1:4〜1:2)で精製し、4-(1,3-ジオキサン-2-イル)-2,6-ジメトキシ安息香酸 t-ブチルエステル3.5g (77.1 %)を得た。
【0124】
1H-NMR(CDCl
3);δ
1.56(9H, s)、3.83 (6H, s)、5.44(1H, s)、6.68(2H, s)
【0125】
工程5: 4-(1,3-ジオキサン-2-イル)-2,6-ジメトキシ安息香酸 t-ブチルエステル3.5g (10.8mmol)をアセトン50mLに溶解し、水12mLに溶解したp-トルエンスルホン酸ピリジニウム 2.71g (10.8mmol)を滴下し、還流下3時間撹拌した。放冷後、反応液を濃縮し、残渣に酢酸エチルエステルを加えた。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、AcOEt:Hexane=1:4)で精製し、4-ホルミル-2,6-ジメトキシ安息香酸 t-ブチルエステル2.55g (90.7%)を得た。
【0126】
1H-NMR(CDCl
3);δ
1.59(9H, s)、3.90 (6H, s)、7.08(2H, s) 、9.93(1H, s)
【0127】
工程6:4-ホルミル-2,6-ジメトキシ安息香酸 t-ブチルエステル9.81g (50mmol)を原料として、実施例2の工程1と同様に反応処理し、(E)-4-(5-ブロモペンタ-1-エン-1-イル)-2,6-ジメトキシ安息香酸 t-ブチルエステル7.1g (43.4%)を得た。
【0128】
1H-NMR(CDCl
3);δ
1.57(18H, s)、3.82(6H, s)、6.51(2H, s)
【0129】
工程7:(E)-4-(5-ブロモペンタ-1-エン-1-イル)-2,6-ジメトキシ安息香酸 t-ブチルエステル7.1g (43.4%)を原料として、実施例2の工程2と同様に反応処理し、N,N’-ビス-(E)-[5-(4-t-ブトキシカルボニル-3, 5-ジメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン625mg (52.5%)を得た。
【0130】
1H-NMR(CDCl
3);δ
1.57(9H, s)、3.82(12H, s)、6.50(4H, s)
【0131】
工程8:N,N’-ビス-(E)-[5-(4-t-ブトキシカルボニル-3, 5-ジメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン200mg (0.28mmol)をトリフルオロ酢酸6mLに溶解し、還流下6時間撹拌した。放冷後、反応液を濃縮し、残渣をメタノール−ジエチルエーテルから再結晶し、表題化合物(ジトリフルオロ酢酸塩) 159mg (21.6%)を得た。
【0132】
実施例8 N,N’-ビス-(E)-[5-(2,3,4,5-テトラメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン ジ塩酸塩(化合物K13)の製造
工程1:2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒド 7.0g (35.7mmol)をエタノール70mLに溶解し、40%過酢酸15mL (96mmol)を加え、室温で一夜撹拌した。さらに40%過酢酸20mL (128mmol)を加え、室温で5時間撹拌した。反応液を0℃に冷却し、アンモニア/メタノール溶液60mLを加え、同温で1.5時間撹拌した。反応液を約1/3量まで濃縮し、酢酸エチルを加えた。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、AcOEt:Hexane=1:5)で精製し、2,3,4-トリメトキシフェノール 3.31g (50.3%)を得た。
【0133】
1H-NMR(CDCl
3);δ
3.81(3H, s)、3.90(3H, s)、3.96(3H, s)
【0134】
工程2:2,3,4-トリメトキシフェノール 2.9g (15.7mmol)をDMF60mLに溶解し、氷冷下、55%水素化ナトリウム830mg (19.0mmol)を加えた。次いでヨウ化メチル2.7g (18.8mmol)を滴下し、室温で30分間撹拌した。反応液を氷水に注ぎ、酢酸エチルエステルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残渣をAcOEt−Hexaneから再結晶し、1,2,3,4-テトラメトキシベンゼン 2.32g (74.5%)を得た。
【0135】
1H-NMR(CDCl
3);δ
3.82(6H, s)、3.90(6H, s)、6.58(2H, s)
【0136】
工程3:1,2,3,4-テトラメトキシベンゼン 4.6g (23.2mmol)をトリフルオロ酢酸20mLに溶解し、ヘキサメチレンテトラミン3.3g (23.5mmol)を加え、90℃で8時間撹拌した。放冷後、反応液に水を加え、1時間撹拌し、次いで酢酸エチルエステルを加えて抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、AcOEt:Hexane=1:5)で精製し、2,3,4,5,-テトラメトキシベンズアルデヒド 2.11g (40.2%)を得た。
【0137】
1H-NMR(CDCl
3);δ
3.87(3H, s)、3.94(3H, s)、3.98(3H, s)、4.00(3H, s)、7.11(1H, s) 、10.30(1H, s)
【0138】
工程4:2,3,4,5,-テトラメトキシベンズアルデヒド 2.1g (9.3mmol)を原料として、実施例2の工程1と同様に反応処理し、(E)-5-(2,3,4,5-テトラメトキシフェニル)-4-ペンテニルブロミド1.14g (35.5%)を得た。
【0139】
1H-NMR(CDCl
3);δ
3.79(3H, s)、3.86(3H, s)、3.89(3H, s)、3.93(3H, s)、6.70(1H, s)
【0140】
工程5:(E)-5-(2,3,4,5-テトラメトキシフェニル)-4-ペンテニルブロミド 1.1g (3.2mmol)、ホモピペラジン 160mg (1.6mmol)をDMF 20mLに溶解し、炭酸カリウム 442mg (3.2mmol)及びヨウ化カリウム 532mg (3.2mmol)を加えて、室温で一夜間、次いで50℃で5時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl
3:MeOH=15:1)で精製し、表題化合物(フリー体) 892mg (88.8%)を得た。
【0141】
1H-NMR(CDCl
3);δ
3.78(3H, s)、3.85(3H, s)、3.88(3H, s)、3.92(3H, s)、6.70(1H, s)
【0142】
フリー体457mg (0.73mmol)を酢酸エチル4mLに溶解し、4N-HCl/AcOEt 0.7mLを加えた後、溶媒を留去した。残渣を少量のクロロホルムに溶解し、エーテル中に滴下し、析出した結晶を濾取し、減圧乾燥し、吸湿性の表題化合物(ジ塩酸塩) 157mgを得た。
【0143】
実施例9 細胞増殖抑制作用
一般式(1)で表される化合物の一例として、N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジンの二塩酸塩(以下、本明細書において、化合物Kという。また、本化合物は、特開平9-143075号公報(特許文献2参照)の製造例2に記載の化合物である。)を用いて骨髄腫細胞への細胞傷害活性を評価した。Cell Counting Kit-8(DOJINDO, カタログ番号347-07621)を用いて、骨髄腫細胞株の細胞増殖への影響を評価した。なお、実験には骨髄腫細胞由来と認定を受けた骨髄腫細胞株(Drexler HG, et al, Hum Cell. 2003; 16: 101-105)の中から、KMS12-BM、U266及びRPMI8226細胞株の3種類を選択し、いずれもヒューマンサイエンス研究資源バンクより提供された細胞を使用した。96ウェルプレートの各ウェルに10,000個の細胞を播種、化合物Kを図に表記の濃度(5〜25μM)で添加し3日間培養した。各ウェルにCell Counting Kit-8 付属の発色基質含有バッファー10μLを加え、37℃で約1時間インキュベートした後、波長450nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(Ultramark microplate imaging system, BioRad)にて測定した。化合物K非添加下で培養したウェルの値を100%とした時の相対値を算出、実験3回の平均値±標準偏差値を求め用量反応曲線を作成した。化合物Kは濃度依存的な増殖抑制作用を示したことから、骨髄腫細胞に対する細胞傷害活性を示した(
図1)。
【0144】
実施例10 プロテアソームサブユニットに対するボルテゾミブと化合物Kの阻害作用の比較
骨髄腫細胞のプロテアソーム活性阻害作用を、20S Proteasome Assay Kit (Cayman Chemical、カタログ番号10008041)を用いて評価した。骨髄腫細胞株RPMI8226細胞に化合物Kを図に表記の濃度で添加し、炭酸ガスインキュベータ内にて37℃、1時間インキュベートした。遠心分離により細胞を回収、20S Proteasome Assay Kit (Cayman Chemical、カタログ番号10008041)付属のAssay bufferにて細胞を洗浄、さらに遠心後の細胞をLysis bufferにて溶解し、細胞溶解液を作製した。この溶解液の遠心分離後の上清90μLを96ウェルプレートの各ウェルに加え、蛍光標識(AMC)したキモトリプシン様、カスパーゼ様またはトリプシン様酵素の基質であるSuc-LLVY-AMC、Z-LLE-AMCまたはBoc-LRR-AMCを加え、さらに30℃で1時間反応させた。この反応により遊離した蛍光物質(AMC)を、蛍光マイクロプレートリーダー(SpectraMax Gemini EM, Molecular Devices)を用いて励起波長360nmにおける波長460nmの蛍光により測定した。化合物K非添加下で培養した細胞溶解液上清を加えたウェルの値を100%とした時の相対値を算出、実験3回の平均値±標準偏差値を求め用量反応曲線を作成した。なお、活性阻害の陽性対照として既知のプロテアソーム阻害剤ボルテゾミブの結果を付して評価した。化合物Kは、骨髄腫細胞において3種類のサブユニットすべての活性を阻害した(
図2左)。なお、従来薬であるボルテゾミブについて同様の実験を行ったが、トリプシン様活性の阻害作用はほとんどなかった(
図2右)。この結果は、化合物Kのプロテアソーム阻害の作用機序が、ボルテゾミブと全く異なることを示唆している。
【0145】
実施例11 ボルテゾミブ耐性株に対する化合物Kのキモトリプシン様活性阻害作用
Riらの報告(Ri et al, Leukemia, 2010; 24: 1506-1512)から、プロテアソームβ5サブユニットのボルテゾミブ結合領域の変異がボルテゾミブ耐性を誘導することが示されている。そこで、mutagenesisを用いて変異を導入したβ5サブユニット遺伝子をレンチウィルスベクターを用いてRPMI8226細胞に導入し、変異型β5サブユニット遺伝子を持つクローン亜株(mutant clone)を樹立した。同様に、正常型β5サブユニット遺伝子を導入した亜株(wild type clone)も樹立し、比較対象として用いた。プロテアソームβ5サブユニット遺伝子の正常型(WT)または変異型(mut)を導入したRPMI8226細胞亜株に化合物Kを図に表記の濃度で添加し、キモトリプシン様活性をProteasome Assay Kit により測定した際の用量反応曲線を示す。化合物K非添加下の値を100%とした時の相対値を算出、実験3回の平均値±標準偏差値を示した。化合物Kに対する反応性を評価した結果、化合物Kはmutant clone 及びwild type cloneいずれに対しても同様なキモトリプシン様活性阻害(
図3)を示した。従って、化合物Kはボルテゾミブ耐性細胞に対してもプロテアソーム活性の阻害を介した細胞傷害活性を誘導することを示した。
【0146】
実施例12 ボルテゾミブ耐性株に対する化合物Kの細胞増殖抑制作用
プロテアソームβ5サブユニット遺伝子の正常型(WT)または変異型(mut)を導入したRPMI8226細胞亜株に化合物Kを図に表記の濃度で添加し、細胞増殖能をCell Counting Kit-8により測定した際の用量反応曲線を示す。化合物K非添加下の値を100%とした時の相対値を算出、実験3回の平均値±標準偏差値を示した。化合物Kに対する反応性を評価した結果、化合物Kはmutant clone 及びwild type cloneいずれに対しても同様な細胞増殖抑制効果(
図4)を示した。従って、化合物Kはボルテゾミブ耐性細胞に対してもプロテアソーム活性の阻害を介した細胞傷害活性を誘導することを示した。
【0147】
実施例13 骨髄腫細胞移植マウスの経口投与による、化合物Kの腫瘍形成抑制制作用
骨髄腫細胞を移植したマウスにおける化合物Kの腫瘍増殖抑制効果を評価した。発明者らの報告(Kikuchi et al, Blood, 2010; 116: 406-417)に基づき、骨髄腫細胞を皮下に移植した免疫不全マウスを作成した。6〜8週齢のNOD/SCIDマウス(Charles River Laboratories)に、1匹あたり1x10
7個のU266細胞または3x10
7個のRPMI8226細胞をMatrigel basement membrane matrix(BD Bioscience、カタログ番号354248)に懸濁し、右足上部の皮下に移植した。4日間かけて接種部位に腫瘍を発生させてから薬物の投与を開始、この日をDay0とし、以降14日間連日経口投与を行った。なお、化合物K投与群には、化合物KをDMSOに溶解後50mg/kgになるように生理食塩水で希釈したもの、Control群には、等量のDMSOを生理食塩水で希釈したものそれぞれを同じスケジュールで投与した。腫瘍サイズは、腫瘍の長径と短径を測定し、4/3π x (短径/2)
2 x (長径/2)で概算値(mm
3)を算出、投与開始日から28日後までのマウス3〜4匹の腫瘍サイズの平均値±標準偏差値をグラフに示した。図中、*はstudent’s t-testにより算出した、それぞれのControl群に対するp値0.05以下を示す。化合物K投与群において、有意な腫瘍増殖抑制効果を示した(
図5)。なお、化合物K投与による血球や体重減少、肝機能傷害等の副作用は認めなかった。
【0148】
実施例14 HDAC阻害剤Tubacinとの併用による、化合物Kの骨髄腫細胞の増殖抑制作用
化合物Kとヒストン脱アセチル化酵素阻害剤Tubacin併用の細胞増殖抑制作用を評価した。96ウェルプレートの各ウェルに10,000個のRPMI8226細胞を播種、化合物K及びTubacinを図に表記の濃度で添加し3日間培養した。各ウェルにCell Counting Kit-8 付属の発色基質含有バッファー10μLを加え、37℃で約1時間インキュベートした後、波長450nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(Ultramark microplate imaging system, BioRad)にて測定した。化合物K及びTubacin非添加下で培養したウェルの値を100%とした時の相対値を算出、実験3回の平均値±標準偏差値を求め用量反応曲線を作成した。なお、標準偏差値はいずれも10%未満であったため、図からは割愛した。化合物K及びTubacinの併用時、RPMI8226細胞の増殖は濃度依存的に抑制され、2剤併用による細胞傷害活性の増強が確認された(
図6)。
【0149】
実施例15 細胞増殖抑制作用
化合物K以外の一般式(1)で表されるジアミン化合物の塩を用いて骨髄腫細胞への細胞傷害活性を評価した。Cell Counting Kit-8(DOJINDO, カタログ番号347-07621)を用いて、RPMI8226細胞株の増殖への影響を評価した。96ウェルプレートの各ウェルに10,000個の細胞を播種、化合物を5〜25μMの間の濃度で添加し3日間培養した。化合物非添加下で培養したウェルの値を100%とした時の50%の値となる濃度をIC
50濃度として算出し、実験3回の平均値±標準偏差値を求め、各化合物の構造とその値を示した。いずれも化合物Kと同様あるいは低濃度で細胞傷害活性を示した(
図7、
図8)。
【0150】
実施例16 ジアミン化合物のプロテアソームサブユニットに対する阻害作用
化合物K以外の一般式(1)で表されるジアミン化合物の塩のプロテアソーム活性阻害作用を評価した。骨髄腫細胞株RPMI8226細胞にジアミン化合物をK7、K8、K10については5μM、化合物Kについては10μMの濃度で添加し、キモトリプシン様、カスパーゼ様またはトリプシン様酵素活性を20S Proteasome Assay Kit (Cayman Chemical、カタログ番号10008041)により測定した。化合物非添加時の値を100%とした時の相対値を算出、実験3回の平均値±標準偏差値を示した(
図9)。この結果は、化合物Kを含む一般式(1)で表されるジアミン化合物にプロテアソーム阻害作用のあることを示唆している。