(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6026416
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】高強度アルファ/ベータチタン合金ファスナ及びファスナ・ストック
(51)【国際特許分類】
C22C 14/00 20060101AFI20161107BHJP
C22F 1/18 20060101ALI20161107BHJP
C22F 1/00 20060101ALN20161107BHJP
【FI】
C22C14/00 Z
C22F1/18 H
!C22F1/00 602
!C22F1/00 613
!C22F1/00 624
!C22F1/00 625
!C22F1/00 630A
!C22F1/00 630K
!C22F1/00 631A
!C22F1/00 683
!C22F1/00 685Z
!C22F1/00 691B
!C22F1/00 691C
!C22F1/00 692A
!C22F1/00 694A
!C22F1/00 694B
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-530168(P2013-530168)
(86)(22)【出願日】2011年9月7日
(65)【公表番号】特表2013-539821(P2013-539821A)
(43)【公表日】2013年10月28日
(86)【国際出願番号】US2011050595
(87)【国際公開番号】WO2012039927
(87)【国際公開日】20120329
【審査請求日】2014年7月22日
(31)【優先権主張番号】12/903,851
(32)【優先日】2010年10月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/888,699
(32)【優先日】2010年9月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501187033
【氏名又は名称】エイティーアイ・プロパティーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100161595
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 梓
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン,デヴィッド・ジェイ
【審査官】
静野 朋季
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−501903(JP,A)
【文献】
米国特許第05980655(US,A)
【文献】
特表2005−524774(JP,A)
【文献】
特開昭62−149859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 14/00
C22F 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタン合金ファスナ及びチタン合金ファスナ・ストックから選択される製造品であって、
製造品が溶体化処理及び時効処理されたアルファ/ベータチタン合金を含み、
アルファ/ベータチタン合金が重量パーセントで、
3.9〜4.5のアルミニウムと、
2.2〜3.0のバナジウムと、
1.2〜1.8の鉄と、
0.24〜0.3の酸素と、
0.08までの炭素と、
0.05までの窒素と、
チタンと、
合計0.3までの他の元素と、
からなり、
少なくとも180ksi(1,241MPa)の長手方向の極限引張強さ及び少なくとも108ksi(744.6MPa)の二重剪断強さを有する、
製造品。
【請求項2】
前記製造品が、ボルト、スタッド、ねじ、及びリベットのうちの1つを構成しており、そして0.75インチ(1.91cm)までの直径を備える、請求項1に記載の製造品。
【請求項3】
前記他の元素が、それぞれの元素の重量パーセントが0.1以下であるスズ、ジルコニウム、モリブデン、クロム、ニッケル、ケイ素、銅、ニオブ、タンタル、マンガン、及びコバルトと、それぞれの元素の重量パーセントが0.005未満であるホウ素及びイットリウムとのうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の製造品。
【請求項4】
チタン合金ファスナ・ストックを製造するための方法であって、
重量パーセントで、
3.9〜4.5のアルミニウムと、
2.2〜3.0のバナジウムと、
1.2〜1.8の鉄と、
0.24〜0.3の酸素と、
0.08までの炭素と、
0.05までの窒素と、
チタンと、
合計0.3までの他の元素と、
からなるアルファ/ベータチタン合金を提供し、
前記チタン合金のアルファ/ベータ相におけるチタン合金を熱間圧延し、
前記チタン合金を華氏1,200度(648.9℃)〜華氏1,400度(760℃)の範囲内の焼なまし温度で1時間〜2時間の範囲内の焼なまし時間にわたって焼なましし、
前記チタン合金を空冷し、
前記チタン合金を所定の寸法に機械加工し、
前記チタン合金を華氏1,500度(815.6℃)〜華氏1,700度(926.7℃)の溶体化処理範囲内で0.5時間〜2時間の範囲内の溶体化処理時間にわたって溶体化処理し、
前記チタン合金を少なくとも空冷に等しい冷却速度で冷却し、
前記チタン合金を華氏800度(426.7℃)〜華氏1,000度(537.8℃)の範囲内の時効処理温度で4時間〜16時間の範囲内の時効処理時間にわたって時効処理し、
前記チタン合金を空冷して、前記チタン合金ファスナ・ストックを形成すること、
を含み、
前記チタン合金ファスナ・ストックが少なくとも180ksi(1,241MPa)の長手方向の極限引張強さ及び少なくとも108ksi(744.6MPa)の二重剪断強さを有する、
方法。
【請求項5】
前記アルファ/ベータチタン合金の他の元素が、それぞれの元素の重量パーセントが0.1以下であるスズ、ジルコニウム、モリブデン、クロム、ニッケル、ケイ素、銅、ニオブ、タンタル、マンガン、及びコバルトと、それぞれの元素の重量パーセントが0.005未満であるホウ素及びイットリウムとのうちの1つ又は複数を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記熱間圧延が、前記チタン合金のベータ変態温度よりも華氏50度(27.8℃)低い温度〜前記チタン合金のベータ変態温度よりも華氏600度(333.3℃)低い温度の範囲内の温度で行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記チタン合金の熱間圧延後に及び焼なまし前に、前記チタン合金を、断面積が10%未満減少するように冷間引抜きすることをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
冷間引抜きの前に前記チタン合金を固体潤滑剤でコーティングすることをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記固体潤滑剤が二硫化モリブデンである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記焼なまし温度が華氏1,275度(690.6℃)であり、前記焼なまし時間が1時間である、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記チタン合金を機械加工する前に固体潤滑剤で前記チタン合金を被覆する、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
前記溶体化処理後の冷却ステップが、空冷、水冷、及び水焼入れのうちの1つを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
前記溶体化処理温度が華氏1,610度(876.7℃)であり、前記チタン合金の冷却が水焼入れを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項14】
前記チタン合金の前記時効処理が、華氏850度(454.4℃)で10時間にわたって時効処理することを含む、請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2010年9月23日に出願された「High Strength Alpha/Beta Titanium Alloy Fasteners and Fastener Stock」と題する同時係属の米国特許出願整理番号第12/888,699号からの35U.S.C.§120に基づく優先権を主張する一部継続出願であり、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、機械的ファスナ及びファスナ・ストック、特に、アルファ/ベータチタン合金から成るファスナ及びファスナ・ストックに関する。
【背景技術】
【0003】
チタン合金は、典型的に、高い重量比強度を呈し、耐食性であり、高めの温度でのクリープに耐える。これらの理由で、チタン合金は、例えば、着陸装置部材、エンジンフレーム、及び機械的ファスナを含む航空宇宙用途及び航空用途で用いられる。
【0004】
航空機の重量を減らすことは結果的に燃料の節約をもたらし、したがって航空宇宙産業では航空機の重量を減らすことに強い意欲がある。チタン及びチタン合金は、それらの高い重量比強度により、航空機用途での重量の減少を達成するための魅力的な材料である。現在、チタン合金ファスナが、あまり要求の厳しくない航空宇宙用途で用いられる。チタン合金が用途の特定の機械的要件に合致するのに十分な強度を呈さない、或る航空宇宙用途では、より重い鉄及びニッケルベースの合金ファスナが用いられる。
【0005】
航空宇宙用途で用いられるほとんどのチタン合金部品は、アルファ/ベータチタン合金であるTi−6Al−4V合金(ASTM Grade 5;UNS R56400;AMS 4965)から作られる。小直径のTi−6Al−4Vファスナ・ストック、すなわち0.5インチ(1.27cm)未満の直径を有するファスナ・ストックの典型的な最小仕様は、ASTM E8/E8M−09(“Standard Test Methods for Tension Testing of Metallic Materials(金属材料の張力試験のための標準試験法)”,ASTM International,2009)に従って判定された場合に170ksi(1,172MPa)の極限引張強さ(UTS)、及びNASM 1312−13(“Method 13−Double Shear(方法13−二重剪断)”、Aerospace Industries Association(航空宇宙業協会)−National Aerospace Standard(航空宇宙規格)(Metric(メートル法))、2003年2月1日)に従って判定された場合に103ksi(710MPa)の二重剪断強さ(DSS)である。
【0006】
例えば、A286鉄ベースの超合金(UNS S66286)のような鉄及びニッケルベースの超合金が、次位の強度を有する航空宇宙ファスナ用途で用いられる代表的な材料である。冷間引抜きされ時効処理されたA286合金ファスナの典型的な規定の最小強度は、180ksi(1,241MPa)UTS及び108ksi(744MPa)DSSである。
【0007】
合金718ニッケルベースの超合金(N07718)は、最上位の強度を表す航空宇宙ファスナに用いられる材料である。冷間引抜きされ時効処理された合金718超合金ファスナの典型的な最小仕様は、220ksi(1,517MPa)UTS及び120ksi(827MPa)DSSである。
【0008】
さらに、高強度ファスナ材料として用いるための現在使用されている又は考慮されている2つのベータチタン合金は、180ksi(1,241.1MPa)の最小極限引張強さ及び108ksi(744.6MPa)の最小DSSを呈する。ペンシルベニア州ジェンキンタウンのSPS Technologiesは、Ti−3Al−8V−6Cr−4Zr−4Moチタン合金(AMS 4958)の化学組成に準拠する最適化されたベータ−チタン合金から製作されたチタン合金ファスナを提供する。1インチ(2.54cm)までの直径のSPSボルトが入手可能である。Alcoa Fastening Systems(AFS)は、Ti−5Al−5Mo−5V−3Cr−0.5Feチタン合金(UNSでは割り当てられていないがTi−5553とも呼ばれる)、準ベータ−チタン合金の公称の化学組成に準拠するチタン合金から作られた高強度チタンファスナを開発した。AFS Ti−5553合金ファスナは、報じられているところによれば、190ksi(1,309MPa)の引張強さ、10%を上回る伸び、及び未被覆部品に関しては113ksi(779MPa)、被覆部品に関しては108ksi(744MPa)の最小DSSを呈する。
【0009】
ベータ−チタン合金は、一般に、アルファ/ベータチタン合金に比べて、構成材及び加工のコストを増加させる高合金成分を含む。ベータ−チタン合金はまた、一般に、アルファ/ベータチタン合金よりも高い密度を有する。例えば、ATI 425(登録商標)アルファ/ベータチタン合金は約0.161lbs/in
3(4.5g/cm
3)の密度を有し、一方、ベータ−チタン合金Ti−3Al−8V−6Cr−4Zr−4Moは約0.174lbs/in
3(4.8g/cm
3)の密度を有し、準ベータ−チタン合金Ti−5Al−5Mo−5V−3Cr−0.5Feは約0.168lbs/in
3(4.7g/cm
3)の密度を有する。より低密度のチタン合金から作られたファスナは、航空宇宙用途のためのさらなる軽量化を提供する可能性がある。さらに、例えば、溶体化処理され時効処理されたアルファ/ベータチタン合金中で得られるバイモーダル微細構造は、ベータ−チタン合金に比べて高サイクル疲労のような改善された機械的特性を提供する可能性がある。アルファ/ベータチタン合金はまた、ベータ−チタン合金よりも高いベータ変態温度(Τ
β)を有する。例えば、ATI 425(登録商標)アルファ/ベータチタン合金のΤ
βは、華氏約1,800度(982.2℃)であり、一方、Ti−5Al−5Mo−5V−3Cr−0.5Feベータチタン合金は、華氏約1,500度(815.6℃)のΤ
βを有する。この2つの形態のチタン合金のΤ
βの差異は、アルファ/ベータチタン合金のアルファ/ベータ相域における加工熱処理及び熱処理のためのより大きい温度範囲(temperature window)を可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
航空機重量の減少を通じた燃料消費の減少に対する継続的な必要性を考え合わせると、航空宇宙用途のための改善された軽量ファスナに対する必要性が存在する。特に、Ti−6Al−4Vアルファ/ベータチタン合金から製作された現世代の航空宇宙ファスナよりも高い強度を呈する軽量アルファ/ベータチタン合金航空宇宙ファスナ及びファスナ・ストックを提供することが有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示に係る限定しない実施形態では、チタン合金ファスナ及びチタン合金ファスナ・ストックから選択される製造品は、重量パーセントで、3.9〜4.5のアルミニウムと、2.2〜3.0のバナジウムと、1.2〜1.8の鉄と、0.24〜0.3の酸素と、0.08までの炭素と、0.05までの窒素と、チタンと、合計0.3までの他の元素とを含るアルファ/ベータチタン合金を含む。限定しない実施形態では、アルファ/ベータチタン合金ファスナ又はファスナ・ストックは、少なくとも170ksi(1,172MPa)の極限引張強さ及び少なくとも103ksi(710.2MPa)の二重剪断強さを呈する。
【0012】
本開示に係る付加的な限定しない実施形態では、チタン合金ファスナ及びチタン合金ファスナ・ストックから選択される製造品は、本質的に、重量パーセントで、3.9〜4.5のアルミニウムと、2.2〜3.0のバナジウムと、1.2〜1.8の鉄と、0.24〜0.3の酸素と、0.08までの炭素と、0.05までの窒素と、合計0.3までの他の元素と、チタンと、不可避不純物とからなるアルファ/ベータチタン合金を含み、他の元素は、本質的に、それぞれの元素の重量パーセントが0.1以下であるスズ、ジルコニウム、モリブデン、クロム、ニッケル、ケイ素、銅、ニオブ、タンタル、マンガン、及びコバルトと、それぞれの元素の重量パーセントが0.005未満であるホウ素及びイットリウムとのうちの1つ又は複数からなる。限定しない実施形態では、アルファ/ベータチタン合金ファスナ又はファスナ・ストックは、少なくとも170ksi(1,172MPa)の極限引張強さ及び少なくとも103ksi(710.2MPa)の二重剪断強さを呈する。
【0013】
本開示に係る別の限定しない実施形態では、チタン合金ファスナ・ストックを製造するための方法は、重量パーセントで、3.9〜4.5のアルミニウムと、2.2〜3.0のバナジウムと、1.2〜1.8の鉄と、0.24〜0.3の酸素と、0.08までの炭素と、0.05までの窒素と、チタンと、合計0.3までの他の元素とを含むアルファ/ベータチタン合金を提供することを含む。アルファ/ベータチタン合金は、熱間圧延され、その後、華氏1,200度(648.9℃)〜華氏1,400度(760℃)の範囲内の焼なまし温度で1時間〜2時間の範囲内の焼なまし時間にわたって焼なましされる。焼なまし後に、アルファ/ベータチタン合金は空冷され、次いで、所定の寸法に機械加工される。アルファ/ベータチタン合金は、次いで、華氏1,500度(815.6℃)〜華氏1,700度(926.7℃)の範囲内の溶体化処理温度で0.5時間〜2時間の範囲内の溶体化処理時間にわたって溶体化処理される。溶体化処理後に、アルファ/ベータチタン合金は、少なくとも空冷と同じくらいの速さの冷却速度で冷却され、次いで、華氏800度(426.7℃)〜華氏1,000度(537.8℃)の範囲内の時効処理温度で4時間〜16時間の範囲内の時効処理時間にわたって時効処理される。時効処理の後で、チタン合金は空冷される。限定しない実施形態では、上記の方法の実施形態に従って作られたアルファ/ベータチタン合金は、少なくとも170ksi(1,172MPa)の極限引張強さ及び少なくとも103ksi(710.2MPa)の二重剪断強さを呈する。
【0014】
本明細書で説明される方法の特徴及び利点は、付属の図面を参照することでより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示に係るファスナの限定しない実施形態の略図である。
【
図2】本開示に係るファスナ及びファスナ・ストックを製造する方法の限定しない実施形態の流れ図である。
【
図3】Ti−6Al−4Vチタン合金ファスナバー及びワイヤストックの要件とそれらの特性を比較する、本開示に係る限定しない実施形態によって作られたファスナバー及びワイヤストックの極限引張強さのプロットである。
【
図4】Ti−6Al−4Vチタン合金ファスナバー及びワイヤストックの要件とそれらの特性を比較する、本開示に係る限定しない実施形態によって作られたファスナバー及びワイヤストックの降伏強さのプロットである。
【
図5】Ti−6Al−4Vチタン合金ファスナバー及びワイヤストックの要件とそれらの特性を比較する、本開示に係る限定しない実施形態によって作られたファスナバー及びワイヤストックのパーセント伸びのプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
読者は、本開示に係る方法の或る限定しない実施形態の以下の詳細な説明を考慮することで、上記の詳細並びにその他のことを理解するであろう。
【0018】
参照により本明細書に全部又は一部が組み込まれると書かれたあらゆる特許、公報、又は他の開示文献は、組み込まれた文献がこの開示に存在する定義、記述、又は記載の他の開示文献に抵触しない範囲でのみ本明細書に組み込まれる。したがって、必要な範囲で、本明細書に記載される開示は、参照により本明細書に組み込まれる如何なる抵触する文献にも優先する。参照により本明細書に組み込まれると書かれているが本明細書に存在する定義、記述、又は記載の他の開示文献に抵触する、本明細書に記載されたあらゆる文献又はその一部は、組み込まれた文献と存在する開示文献との間に抵触が生じない範囲でのみ組み込まれる。
【0019】
ここで
図1を参照すると、この開示の態様は、チタン合金ファスナ10及びチタン合金ファスナ・ストック(図示せず)から選択される製造品に向けられる。限定しない実施形態では、物品は、重量パーセントで、3.9〜4.5のアルミニウムと、2.2〜3.0のバナジウムと、1.2〜1.8の鉄と、0.24〜0.3の酸素と、0.08までの炭素と、0.05までの窒素と、チタンと、合計0.3までの他の元素とを含むアルファ/ベータチタン合金を含む。この開示の限定しない実施形態では、合金組成物中にあると言及される他の元素は、他の元素のすべての合計が0.3重量パーセントを超えない状態で、本質的に、それぞれ個々の元素として0.1重量パーセントの最大濃度を有するスズ、ジルコニウム、モリブデン、クロム、ニッケル、ケイ素、銅、ニオブ、タンタル、マンガン、及びコバルトと、それぞれ個々の元素として0.005%の最大濃度を有するホウ素及びイットリウムとのうちの1つ又は複数を含む又はそれらからなる。限定しない実施形態では、本開示に係るアルファ/ベータチタン製造品は、0.18インチ(4.57mm)〜1.25インチ(31.8mm)の範囲内の直径を有するファスナに関して少なくとも170ksi(1,172MPa)の極限引張強さ及び少なくとも103ksi(710.2MPa)の二重剪断強さ(DSS)を呈する。この開示の限定しない実施形態では、ファスナは、製作できる限りで小さい直径を有してもよい。限定しない実施形態では、本開示に係るファスナは、少なくとも10%のパーセント伸びを呈する。
【0020】
或る限定しない実施形態では、本開示に係るファスナ又はファスナ・ストック中に含まれるアルファ/ベータチタン合金の元素組成は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,980,655(「‘655特許」)で開示された合金組成によって包含される。‘655特許は、以下の表1に示された組成を有する合金を開示する。
【表1】
【0021】
‘655特許の合金の市販バージョンは、ATI 425(登録商標)合金であり、これは、米国ペンシルベニア州ピッツバーグのAllegheny Technologies Incorporatedの会社であるATI Aerospaceから入手可能である。‘655特許で開示された元素組成を有する合金の極限引張強さは、約130〜133ksi(896〜917MPa)の範囲である。しかしながら、本発明の発明者は、驚いたことに本開示での著しく狭い範囲の化学組成が結果的に本明細書で開示された著しくより高い極限引張強さを呈する可能性があるアルファ/ベータチタンファスナをもたらすことを発見した。限定しない実施形態では、本明細書で開示される合金組成物から作られた本明細書で開示されるファスナの極限引張強さは、‘655特許で開示されたUTSよりも22%まで大きかった。如何なる作動理論にも縛られることを意図するのではなく、本明細書で開示されたファスナ合金組成物の驚くほど高い強度は、少なくとも部分的に、アルミニウム及び酸素のレベルが‘655特許で開示された最小レベルよりも高く著しく増加する結果である可能性があると考えられ、これはアルファ/ベータチタン合金における主要なアルファ相の強度を増加させる可能性がある。
【0022】
発明者はまた、驚いたことに‘655特許で開示された合金に対して本明細書で開示されるファスナ合金中のアルミニウム、バナジウム、鉄、酸素、炭素、及び窒素の許容できる範囲を狭くすることは、本明細書で開示されるファスナ合金の機械的特性の変動性及びベータ変態温度の変動性を低減させることを発見した。この低減された変動性は、本明細書で開示される優れた機械的特性を達成するためのプロセス及び微細構造の最適化にとって重要である。
【0023】
別の限定しない実施形態では、本明細書で開示されるチタン合金ファスナ及びチタン合金ファスナ・ストックは、0.75インチ(1.91cm)までの直径を備え、且つ少なくとも180ksi(1,241MPa)の極限引張強さ及び少なくとも108ksi(744.6MPa)の二重剪断強さを有する。限定しない実施形態では、この開示に係るファスナ又はファスナ・ストックは、‘655特許で開示された極限引張強さよりも約26%まで大きい極限引張強さを有する。
【0024】
図1を再び参照すると、この開示の別の限定しない態様によれば、チタン合金ファスナ10及びチタン合金ファスナ・ストック(図示せず)から選択される製造品は、本質的に、重量パーセントで、3.9〜4.5のアルミニウムと、2.2〜3.0のバナジウムと、1.2〜1.8の鉄と、0.24〜0.3の酸素と、0.08までの炭素と、0.05までの窒素と、合計0.3以下の他の元素と、残部はチタンと不可避不純物、からなるアルファ/ベータチタン合金を含む。この開示の限定しない実施形態では、合金組成物中にあると言及される他の元素は、他の元素のすべての合計が0.3重量パーセントを超えない状態で、本質的に、それぞれの元素の重量パーセントが0.1以下であるスズ、ジルコニウム、モリブデン、クロム、ニッケル、ケイ素、銅、ニオブ、タンタル、マンガン、及びコバルトと、それぞれの元素の重量パーセントが0.005未満であるホウ素及びイットリウムとのうちの1つ又は複数を含む又はからなる。限定しない実施形態では、製造品は、少なくとも170ksi(1,172MPa)の極限引張強さ及び少なくとも103ksi(710.2MPa)の二重剪断強さを有する。
【0025】
限定しない実施形態では、本開示に係るチタンファスナ及びチタン合金ファスナ・ストックは、0.75インチ(1.91cm)までの直径を備え、且つ少なくとも180ksi(1,241MPa)の極限引張強さ及び少なくとも108ksi(744.6MPa)の二重剪断強さを有する。
【0026】
本明細書で用いられる場合の「ファスナ」という用語は、2つ以上の物体を一緒に機械的に接合する又は取り付けるハードウェアデバイスのことを指す。ファスナは、ボルト、ナット、スタッド、ねじ、リベット、座金、及びロック座金を含むがこれらに限定されない。本明細書で用いられる場合の「ファスナ・ストック」という語句は、物品から1つ又は複数のファスナを形成するために加工される物品のことを指す。
【0027】
図2を参照すると、本開示に係る限定しない態様は、チタン合金ファスナ又はファスナ・ストックを生産するための方法20である。方法は、重量パーセントで、3.9〜4.5のアルミニウムと、2.2〜3.0のバナジウムと、1.2〜1.8の鉄と、0.24〜0.3の酸素と、0.08までの炭素と、0.05までの窒素と、チタンと、合計0.3までの他の元素とを含むアルファ/ベータチタン合金を提供すること21を含む。この開示の限定しない実施形態では、合金組成物中にあると言及される他の元素は、他の元素のすべての合計が0.3重量パーセントを超えない状態で、本質的に、それぞれの元素の重量パーセントが0.1以下であるスズ、ジルコニウム、モリブデン、クロム、ニッケル、ケイ素、銅、ニオブ、タンタル、マンガン、及びコバルトと、それぞれの元素の重量パーセントが0.005未満であるホウ素及びイットリウムとのうちの1つ又は複数を含む又はからなる。アルファ/ベータチタン合金は、アルファ/ベータチタン合金のアルファ/ベータ相域における温度で熱間圧延22される。限定しない実施形態では、熱間圧延温度は、アルファ/ベータチタン合金のベータ変態温度よりも少なくとも華氏50度(27.8℃)
低いが、アルファ/ベータチタン合金のベータ変態温度よりも華氏600度(333.3℃)
低い温度までである。
【0028】
熱間圧延22後に、アルファ/ベータチタン合金は、随意的に、アルファ/ベータチタン合金の機械的特性を実質的に変えることなくサイズを減少させるために冷間引抜きされ焼なましされる。限定しない実施形態では、冷間引抜きは、チタン合金加工片の断面積を10%未満減少させる。冷間引抜きの前に、アルファ/ベータチタン合金は、限定はされないが二硫化モリブデン(MoS
2)のような固体潤滑剤で被覆されてもよい。
【0029】
限定しない実施形態では、熱間圧延22後に、アルファ/ベータチタン合金は、アルファ/ベータチタン合金ファスナ・ストックを提供するために焼なまし23され及び冷却24される。限定しない実施形態では、焼なまし23は、熱間圧延されたアルファ/ベータチタン合金を華氏1,200度〜華氏1,400度(649℃〜760℃)の焼なまし温度範囲内の焼なまし温度で焼なましすることを含む。別の限定しない実施形態では、焼なまし時間は、約1時間〜約2時間の範囲である。さらに別の限定しない実施形態では、焼なまし23は、熱間圧延されたアルファ/ベータチタン合金を華氏約1,275度(690.6℃)で約1時間にわたって焼なましすることを含む。限定しない実施形態では、焼なまし23後に、焼なましされたアルファ/ベータチタン合金は、室温に又は周囲温度に冷却24される。或る限定しない実施形態では、焼なまし23後に、焼なましされたアルファ/ベータチタン合金は、室温に又は周囲温度に空冷され又は水冷される。
【0030】
焼なまし23及び冷却24後に、限定しない実施形態では、アルファ/ベータチタン合金ファスナ・ストックは、ストックからファスナを形成するのに有用な寸法に機械加工25される。随意的に、機械加工の前にアルファ/ベータチタン合金ファスナ・ストックにコーティングが適用されてもよい。従来の機械加工コーティングは、当業者には公知であり、本明細書で補足説明する必要はない。
【0031】
限定しない実施形態では、機械加工されたチタン合金ファスナ・ストックは、華氏1,500度(815.6℃)〜華氏1,700度(926.7℃)の溶体化処理範囲内の溶体化処理温度で0.5時間〜2時間の範囲内の溶体化処理時間にわたって溶体化処理26される。特定の限定しない実施形態では、機械加工されたチタン合金ファスナ・ストックは、華氏約1610度(876.7℃)の溶体化処理温度で溶体化処理26される。
【0032】
溶体化処理26後に、機械加工されたチタン合金ファスナ・ストックは、冷却27される。限定しない実施形態では、冷却27は、空冷、水冷、及び/又は水焼入れを用いて行われてもよく、「急速冷却」と呼ばれる場合がある。好ましくは、冷却27中に達成される冷却速度は、空冷と同じくらいの速さである。限定しない実施形態では、冷却27は、少なくとも毎分華氏1,000度(555.6℃)の冷却速度を含む。限定しない実施形態では、冷却27は、示された冷却速度を達成する当業者には公知のあらゆる冷却プロセスを含む。急速冷却27は、溶体化処理26によって得られた微細構造を保つために用いられる。
【0033】
限定しない実施形態では、溶体化処理26され、急速冷却27されたチタン合金ファスナ・ストックは、華氏約800度(426.7℃)〜華氏約1,000度(537.8℃)の時効処理温度範囲内の時効処理温度で約4時間〜約16時間の時効処理時間範囲内の時効処理時間にわたって時効処理28される。特定の限定しない実施形態では、溶体化処理26され急速冷却27されたチタン合金ファスナ・ストックは、華氏850度(454.4℃)で10時間にわたって時効処理28される。或る限定しない実施形態では、時効処理28後に、アルファ/ベータチタン合金ファスナ・ストックは、本明細書で開示される場合のアルファ/ベータチタン合金ファスナを製造するために空冷29又は急速冷却される。
【0034】
この開示に従って製造されるファスナ・ストックは、Ti−6−4チタン合金から製作されたファスナ・ストックに比べてより高い機械的特性を有することが判っている。したがって、この開示に従ってより小さい寸法で製作されたファスナを、同じ用途においてTi−6−4ファスナと置き換えるのに用いることが可能である。これは、航空宇宙用途において価値のある軽量化につながる。或る用途では、この開示に従って製作されたファスナは、同じ寸法を有する合金鋼ファスナと置き換えることができ、結果的に航空宇宙用途にとって価値ある軽量化をもたらすことも判っている。
【0035】
以下の実施例は、本発明の範囲を制限せずに、或る限定しない実施形態をさらに説明することを意図される。請求項によってのみ定められる本発明の範囲内で以下の実施例の変形が可能であることが当業者には分かるであろう。
【0036】
実施例1
二重真空アーク再溶解(VAR)技術を用いて原材料から作られたコンパクトからインゴットを生産した。化学分析のためにインゴットからサンプルをとり、測定したインゴットの平均の化学組成を表2に提供する。合金のベータ変態温度は、華氏1,785度(973.9℃)となることが判った。
【表2】
【0037】
実施例2
この開示に従う化学組成を有する幾つかの加熱物(heats)からのチタン合金インゴットを華氏約1,600度(871.1℃)の熱間圧延温度で熱間圧延した。熱間圧延した材料を、華氏1,275度(690.6℃)で1時間にわたって焼なましし、及び空冷した。焼なましした材料を、約0.25インチ(6.35mm)〜約3.5インチ(88.9mm)の種々の直径を有するファスナ・ストック・バー及びワイヤに機械加工した。ファスナ・ストック・バー及びワイヤを華氏約1,610度(876.7℃)で約1時間にわたって溶体化処理し、及び水焼入れした。溶体化処理及び水焼入れ後に、ファスナ・ストック・バー及びワイヤを、華氏約850度(454.4℃)で約10時間にわたって時効処理し、及び空冷した。
【0038】
実施例3
実施例2からのファスナ・ストック・バー及びワイヤを室温で引張試験した。ファスナ・ストック・バー及びワイヤの極限引張強さが
図3のグラフで与えられる。ファスナ・ストック・バー及びワイヤの降伏強さが
図4のグラフで与えられ、ファスナ・ストック・バー及びワイヤのパーセント伸びが
図5のグラフで与えられる。航空宇宙ファスナ用途(AMS 4965)での溶体化処理され時効処理されたTi−6Al−4V合金に必要とされる最小極限引張強さ、降伏強さ、及びパーセント伸びもまた、それぞれ
図3〜
図5で例証される。この開示に従って製造されるファスナ・ストック・バー及びワイヤに関して測定された極限引張強さは、すべての測定された直径サイズにおいて、例証されたTi−6Al−4V合金仕様をおよそ20ksi(138MPa)というかなりの量だけ超えたことが
図3から分かる。さらに、この開示に従う化学組成を有するファスナ・ストックは少なくとも10パーセント〜約19パーセントの範囲内のパーセント伸びを呈したことが
図5から分かる。
【0039】
実施例4
約0.25インチ(6.35mm)の直径を有し、実施例1からの化学組成を有する、実施例2のように溶体化処理し及び時効処理したファスナ・ストックを引張試験した。引張試験の結果を表3に列挙する。
【表3】
【0040】
極限引張強さは、約196ksi〜約200ksi(1351MPa〜1379MPa)の範囲であり、これは、170ksi(1,172MPa)UTS及び103ksi(710MPa)DSSのTi−6Al−4Vファスナ・ストックの最小要件よりも高い。特性は、認められる経験的関係性であるDSS=0.6×UTSに一致することも観測される。
【0041】
実施例5
約0.75インチ(1.91cm)の直径を有し、実施例1からの化学組成を有する、実施例2に従って熱処理したファスナ・ストックを引張試験した。引張試験の結果を表4に列挙する。
【表4】
【0042】
0.75インチ(1.91cm)のファスナ・ストック・バーの平均極限引張強さは、A286鉄ベースの超合金から製作されたファスナの最小仕様を満足させる、186ksi(1,282MPa)であった。上記で提示されるDSSとUTSとの間の認められる経験的関係性に基づき、0.75インチ(1.91cm)のバーは、A286鉄ベースの超合金から製作されたファスナの108ksi(744MPa)DSS要件にも合致することが期待される。
【0043】
実施例6
約0.75インチ(1.91cm)の直径を有するファスナ・ストックを形成するために、実施例1と同様の化学組成を有するインゴットを、実施例2と同様に熱間圧延し、焼なましし、及び機械加工する。ファスナ・ストックは、スタッドの形状を有するファスナにコンピュータ数値制御機械加工される。この開示のファスナの限定しない実施形態を形成するために、スタッドを、実施例2と同様に溶体化処理し、及び時効処理する。
【0044】
実施例7
約1インチ(2.54cm)の直径を有するファスナ・ストックを形成するために、実施例1と同様の化学組成を有するインゴットを実施例2と同様に熱間圧延し、焼なましし、及び機械加工する。ファスナ・ストックをねじ転造し、約2インチ(5.08cm)の長さを有する断片に切断する。六角頭ボルトを形成するために断片を冷間鍛造する。この開示に従うファスナの限定しない実施形態を形成するために、六角頭ボルトを例2と同様に溶体化処理し、及び時効処理した。
【0045】
実施例7
約1インチ(2.54cm)の直径を有するファスナ・ストックを形成するために、実施例1と同様の化学組成を有するインゴットを、実施例2と同様に熱間圧延し、焼なましし、及び機械加工する。ファスナ・ストックの中心は、直径0.5インチ(1.27cm)の穴をあけるために機械加工される。ファスナ・ストックを、次いで、0.125インチ(0.318cm)の厚さを有する断片に切断する。この開示に従う座金の形態のファスナの限定しない実施形態を形成するために、ファスナ・ストックを、実施例2と同様に溶体化処理し、及び時効処理する。
【0046】
本開示は、種々の例示的な、例証となる、及び限定しない実施形態を参照して書かれている。しかしながら、請求項によってのみ定められる本発明の範囲から逸脱することなく、開示された実施形態(又はその一部)のいずれかの種々の置換え、修正、又は組合せがなされてもよいことが、当業者によって認識されるであろう。したがって、本開示は、本明細書に明確に記載されない付加的な実施形態を包含することが考慮され及び理解される。こうした実施形態は、例えば、本明細書で説明される実施形態の開示されたステップ、成分、構成要素、構成材、元素、特徴、態様などのいずれかを組み合わせる及び/又は修正することによって得られてもよい。したがって、この開示は、種々の例示的な、例証となる、及び限定しない実施形態の説明によって限定されないが、請求項によってのみ限定される。このように、請求項は、本明細書で様々に説明される場合の特許請求される発明に特徴を加えるために本発明の特許出願の手続遂行中に補正されてもよいことが理解されるであろう。
[発明の態様]
[1]
チタン合金ファスナ及びチタン合金ファスナ・ストックから選択される製造品であって、重量パーセントで、
3.9〜4.5のアルミニウムと、
2.2〜3.0のバナジウムと、
1.2〜1.8の鉄と、
0.24〜0.3の酸素と、
0.08までの炭素と、
0.05までの窒素と、
チタンと、
合計0.3までの他の元素と、
を含むアルファ/ベータチタン合金を含み、
少なくとも170ksi(1,172MPa)の極限引張強さ及び少なくとも103ksi(710.2MPa)の二重剪断強さを有する、
製造品。
[2]
前記製造品が、0.75インチ(1.91cm)までの直径を備え、且つ少なくとも180ksi(1,241MPa)の極限引張強さ及び少なくとも108ksi(744.6MPa)の二重剪断強さを有する、1に記載の製造品。
[3]
前記他の元素が、本質的に、それぞれの元素の重量パーセントが0.1以下であるスズ、ジルコニウム、モリブデン、クロム、ニッケル、ケイ素、銅、ニオブ、タンタル、マンガン、及びコバルトと、それぞれの元素の重量パーセントが0.005未満であるホウ素及びイットリウムとのうちの1つ又は複数からなる、1に記載の製造品。
[4]
前記ファスナが、ボルト、ナット、スタッド、ねじ、座金、ロック座金、及びリベットのうちの1つを備える、1又は2に記載の製造品。
[5]
チタン合金ファスナ及びチタン合金ファスナ・ストックから選択される製造品であって、本質的に、重量パーセントで、
3.9〜4.5のアルミニウムと、
2.2〜3.0のバナジウムと、
1.2〜1.8の鉄と、
0.24〜0.3の酸素と、
0.08までの炭素と、
0.05までの窒素と、
合計0.3以下の他の元素と、
チタンと、
不可避不純物と、
からなるアルファ/ベータチタン合金を含み、
前記他の元素が、本質的に、それぞれの元素の重量パーセントが0.1以下であるスズ、ジルコニウム、モリブデン、クロム、ニッケル、ケイ素、銅、ニオブ、タンタル、マンガン、及びコバルトと、それぞれの元素の重量パーセントが0.005未満であるホウ素及びイットリウムとのうちの1つ又は複数からなり、
前記製造品が、少なくとも170ksi(1,172MPa)の極限引張強さ及び少なくとも103ksi(710.2MPa)の二重剪断強さを有する、
製造品。
[6]
前記製造品が、0.75インチ(1.91cm)までの直径を備え、且つ少なくとも180ksi(1,241MPa)の極限引張強さ及び少なくとも108ksi(744.6MPa)の二重剪断強さを有する、5に記載の製造品。
[7]
前記ファスナが、ボルト、ナット、スタッド、ねじ、座金、ロック座金、及びリベットのうちの1つを備える、5又は6に記載の製造品。
[8]
チタン合金ファスナ・ストックを製造するための方法であって、
重量パーセントで、
3.9〜4.5のアルミニウムと、
2.2〜3.0のバナジウムと、
1.2〜1.8の鉄と、
0.24〜0.3の酸素と、
0.08までの炭素と、
0.05までの窒素と、
チタンと、
合計0.3までの他の元素と、
を含むアルファ/ベータチタン合金を提供し、
前記チタン合金のアルファ/ベータ相におけるチタン合金を熱間圧延し、
前記チタン合金を華氏1,200度(648.9℃)〜華氏1,400度(760℃)の範囲内の焼なまし温度で1時間〜2時間の範囲内の焼なまし時間にわたって焼なましし、
前記チタン合金を空冷し、
前記チタン合金を所定の寸法に機械加工し、
前記チタン合金を華氏1,500度(815.6℃)〜華氏1,700度(926.7℃)の溶体化処理範囲内で0.5時間〜2時間の範囲内の溶体化処理時間にわたって溶体化処理し、
前記チタン合金を少なくとも空冷に等しい冷却速度で冷却し、
前記チタン合金を華氏800度(426.7℃)〜華氏1,000度(537.8℃)の範囲内の時効処理温度で4時間〜16時間の範囲内の時効処理時間にわたって時効処理し、
前記チタン合金を空冷すること、
を含む方法。
[9]
前記アルファ/ベータチタン合金の他の元素が、本質的に、それぞれの元素の重量パーセントが0.1以下であるスズ、ジルコニウム、モリブデン、クロム、ニッケル、ケイ素、銅、ニオブ、タンタル、マンガン、及びコバルトと、それぞれの元素の重量パーセントが0.005未満であるホウ素及びイットリウムとのうちの1つ又は複数からなる、8に記載の方法。
[10]
前記熱間圧延が、前記チタン合金のベータ変態温度よりも低い華氏50度(27.8℃)〜前記チタン合金のベータ変態温度よりも低い華氏600度(333.3℃)の範囲内の温度で行われる、8に記載の方法。
[11]
前記チタン合金の熱間圧延後に及び焼なまし前に、前記チタン合金を、断面積が10%未満減少するように冷間引抜きし、及び焼なましすることをさらに含む、8に記載の方法。
[12]
冷間引抜きの前に前記チタン合金を固体潤滑剤でコーティングすることをさらに含む、11に記載の方法。
[13]
前記固体潤滑剤が二硫化モリブデンである、12に記載の方法。
[14]
前記焼なまし温度が華氏1,275度(690.6℃)であり、前記焼なまし時間が1時間である、8に記載の方法。
[15]
前記チタン合金を機械加工する前に前記チタン合金を被覆する、8に記載の方法。
[16]
前記溶体化処理後の冷却ステップが、空冷、水冷、及び水焼入れのうちの1つを含む、8に記載の方法。
[17]
前記溶体化処理温度が華氏1,610度(876.7℃)であり、前記チタン合金の冷却が水焼入れを含む、8に記載の方法。
[18]
前記チタン合金の前記時効処理が、華氏850度(454.4℃)で10時間にわたって時効処理することを含む、8に記載の方法。