特許第6026436号(P6026436)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6026436
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】足圧分布計測システム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20161107BHJP
【FI】
   A61B5/10 310B
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-554080(P2013-554080)
(86)(22)【出願日】2012年8月30日
(86)【国際出願番号】JP2012005461
(87)【国際公開番号】WO2013108305
(87)【国際公開日】20130725
【審査請求日】2015年3月19日
(31)【優先権主張番号】特願2012-10299(P2012-10299)
(32)【優先日】2012年1月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 光
(72)【発明者】
【氏名】宮野 大輔
(72)【発明者】
【氏名】吉野 敬亮
【審査官】 冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−000614(JP,A)
【文献】 特開平11−009574(JP,A)
【文献】 特開2010−069228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 − 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の圧力センサが2次元に配列された足圧分布検出センサを用いて、所定の周期で被検者の足圧分布を計測することにより得られた足圧分布データを取得する取得手段と、
前記取得手段により前記所定の周期で取得され足圧分布データに基づいて、前記被検者の重心位置データ算出する算出手段と、
前記取得手段により前記所定の周期で取得され足圧分布データとともに、前記算出手段により算出され重心位置データの軌跡、及び所定の図柄を表示する表示手段とを備え
前記表示手段は、開始指示が入力される前における前記重心位置データの表示位置に対応する位置に前記図柄を表示し、前記開始指示が入力されると、既に表示されている重心位置データの軌跡を消去し、前記開始指示が入力された後に前記算出手段により算出された重心位置データの軌跡を表示することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記表示手段は、開始指示が入力される前における前記重心位置データの表示位置と前記図柄の重心位置とが一致する前記図柄を表示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
開始指示が入力された後に、前記取得手段により前記所定の周期で取得された足圧分布データと、該足圧分布データに基づいて前記算出手段により算出される重心位置データとを、了指示が入力されるまでの間、前開始指示が入力されてからの経過時間と対応付けて記録する記録手段を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
開始指示が入力されてから、前終了指示が入力されるまでの間における重心位置データと前記図柄との距離を積分し、前記図柄に対す重心位置データの平均的なずれ量を解析する解析手段を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記記録手段に記録された前記足圧分布データと前記重心位置データとを再生する再生手段を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記記録手段は、前図柄とその表示位置をあわせて記録し、
前記再生手段は、前記記録手段により記録された前図柄を、前記記録手段により記録された表示位置に表示することを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置と、
複数の圧力センサが2次元に配列され、直立した被検者の足圧分布を検出するよう構成された足圧分布検出センサと
を備えることを特徴とする足圧分布計測システム。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の足圧分布を計測する足圧分布計測システム及び該システムを構成する情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脳卒中などの脳神経系疾患を発症し、右片または左片が麻痺した患者に対しては、従来より、理学療法士等の指導/監視のもとで、運動機能回復訓練が行われてきた。一般に、自立的な生活を営むためには、下肢機能の回復が不可欠であり、特に、脳神経系疾患を発症した患者の場合、運動機能回復訓練にて、左右の足の重心移動をスムーズに行えるようにすることが重要である。
【0003】
このようなことから、当該訓練時の左右の足の重心の位置やその軌跡を可視化し、患者にわかりやすく表示する装置が求められている。
【0004】
一方で、被検者の重心の位置やその軌跡を可視化する装置として、従来より、足圧分布装置や重心動揺計等が知られている(例えば、下記特許文献1、2参照)。足圧分布装置とは、被検者の足圧分布を計測し表示するための装置であり、当該装置によれば、更に、計測した足圧分布に基づいて、左右の足の重心の位置を算出・表示することも可能である。一方、重心動揺計とは、被検者の重心の位置の変化を、重心軌跡として表示する装置であり、足圧分布装置よりも簡易な構成により重心軌跡を求めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−078534号公報
【特許文献2】特開2009−056223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の足圧分布装置や重心動揺計は、脳神経系疾患を発症した患者等の運動機能回復訓練にて利用されることを前提としたものではない。このため、可視化された画像(足圧分布を示す画像、重心軌跡を示す画像)等を見ただけでは、運動機能の回復度合いを直感的に把握できないという問題がある。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、運動機能回復訓練における被検者の運動機能の回復度合いを、直感的に把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの側面は、情報処理装置に係り、前記情報処理装置は、複数の圧力センサが2次元に配列された足圧分布検出センサを用いて、所定の周期で被検者の足圧分布を計測することにより得られた足圧分布データを取得する取得手段と、前記取得手段により前記所定の周期で取得される足圧分布データに基づいて、前記被検者の重心位置データを算出する算出手段と、前記取得手段により前記所定の周期で取得される足圧分布データとともに、前記算出手段により算出される重心位置データの軌跡、及び所定の図柄を表示する表示手段とを備え、前記表示手段は、開始指示が入力される前における前記重心位置データの表示位置に対応する位置に前記図柄を表示し、前記開始指示が入力されると、既に表示されている重心位置データの軌跡を消去し、前記開始指示が入力された後に前記算出手段により算出された重心位置データの軌跡を表示する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、運動機能回復訓練における被検者の運動機能の回復度合いを、直感的に把握できるようになる。
【0010】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施の形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
図1図1は、本発明の一実施形態にかかる足圧分布計測システムの外観構成を示す図である。
図2図2は、足圧分布計測システムを構成する情報処理装置の機能構成を示す図である。
図3図3は、足圧分布検出センサ部において計測された足圧分布データの一例を示す図である。
図4図4は、トレーニング処理の流れを示すフローチャートである。
図5図5は、トレーニング処理時の表示内容の一例を示す図である。
図6図6は、トレーニング処理時に記録されるトレーニングデータの一例を示す図である。
図7図7は、トレーニング結果再生処理の流れを示すフローチャートである。
図8図8は、トレーニング結果再生処理時の表示内容の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、必要に応じて添付図面を参照しながら本発明の各実施形態の詳細を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能であるものとする。
【0013】
[第1の実施形態]
<1.足圧分布計測システムの外観構成>
図1は、本実施形態に係る足圧分布計測システム100の外観構成の一例を示す図である。
【0014】
図1において、110はセンサ部であり、複数の圧力センサが2次元に配列されて構成されており、直立した被検者の両足が載置された場合に、被検者の両足の足圧分布を所定の周期で検出することが可能な足圧分布検出センサ部111が配置されている。なお、足圧分布検出センサ部111は、ベース部112に対して段差なく埋め込まれているものとする。
【0015】
また、ベース部112の外周部側面には、センサ部110が載置された床面とベース部112の表面との間の段差を滑らかにつなぐためのスロープ部113が設けられている。これにより、例えば、尖足度合いの大きい被検者が、足圧分布検出センサ部111上に両足を載置する場合であっても、つま先が床面とベース部112との間の段差に引っかかったり、ベース部112と足圧分布検出センサ部111との間の段差に引っかかったりして、転倒してしまうといったリスクを回避することが可能となる。
【0016】
120は情報処理装置であり、運動機能回復訓練(トレーニング)時に、足圧分布検出センサ部111において計測された足圧分布データ(計測結果)をケーブル130を介して取得し、表示する。また、取得した足圧分布データに基づいて、重心位置を算出し、トレーニング用図柄とともに表示する。更に、足圧分布データ及び重心位置データを再生可能に記録する。
【0017】
なお、重心位置の算出に際して、必ずしも足圧分布を使用する必要はなく、例えば、足圧分布の下に重心動揺計を配置し、当該重心動揺計により検出された値に基づいて、重心位置を算出する構成としてもよい。
【0018】
<2.足圧分布計測システムの情報処理装置の機能構成>
図2は、足圧分布計測システム100を構成する情報処理装置120の機能構成を示す図である。図2に示すように、情報処理装置120は、制御部(コンピュータ)201と、メモリ部202、記憶部203、表示部204、入力部205、外部機器I/F部206とを備え、各部は、バス207を介して接続されている。
【0019】
記憶部203には、制御部201により実行されることにより、それぞれ足圧分布算出部211、重心位置算出部212(取得手段、算出手段)、トレーニング機能部213(表示手段、記録手段、解析手段)、トレーニング結果再生部214(再生手段)として機能するプログラムが格納されている。当該プログラムは、制御部201による制御のもと、ワークエリアとして機能するメモリ部202に適宜読み込まれ、制御部201によって実行されることで、各部(の各手段)の機能を実現する。なお、制御部201によって当該プログラムが実行されることにより取得されるデータは、トレーニングデータ215として、記憶部203に記録される。
【0020】
表示部204は、制御部201に当該プログラムを実行させるためのユーザインタフェースを表示したり、取得したトレーニングデータ215を表示したりする。入力部205は、当該プログラムを実行させるための指示を入力したりする。外部機器I/F部206は、足圧分布検出センサ部111において計測された足圧分布データを情報処理装置120内に取り込むためのI/Fである。
【0021】
<3.足圧分布算出部及び重心位置算出部における処理>
次に、足圧分布算出部211および重心位置算出部212が実行されることにより実現される処理について説明する。足圧分布算出部211では、外部機器I/F部206を介して足圧分布検出センサ部111より送信された足圧分布データを受信すると、各画素に対応する足圧値を識別し、当該識別した足圧値に対応する色データを各画素に割り当てることで、足圧分布の画像データを生成する。生成した画像データは、表示部204にて連続的に表示される。
【0022】
重心位置算出部212では、外部機器I/F部206を介して受信した足圧分布データの、各画素の座標と、各画素の足圧値とに基づいて、被検者の重心位置を算出する。算出した重心位置は、表示部204にて、足圧分布の画像データと同期しながら、重心軌跡として連続的に表示される。
【0023】
図3は、右足麻痺の患者の足圧分布の画像データと、重心位置の軌跡を示す重心位置データの一例を示す図である。
【0024】
図3の足圧分布の画像データから明らかなように、右足麻痺の患者の場合、健常側の足(左足)と麻痺側の足(右足)とでは、足裏の接地領域が大きく異なってくる。つまり、健常側の足(左足)は、足裏部のうち、つま先側の一部とかかと側の一部が接地しているのに対して、麻痺側の足(右足)は、足裏部のうち、つま先側の一部のみが接地しているだけである(つま先側に重心があるため、かかと側が接地していない)。
【0025】
そして、このような患者に対しては、通常、麻痺側の足の重心をかかと側へ移動した状態で直立できるようにするための運動機能回復訓練を行う。本実施形態に係る足圧分布計測システム100では、当該運動機能回復訓練をサポートするために、重心位置データの表示位置に、所定のトレーニング用図柄(線図)を重畳して表示させる。これにより、患者は、当該トレーニング用図柄に対する、自身の重心位置データをリアルタイムに確認しながら重心移動の訓練を行うことができる。また、このとき、足圧分布計測システム100では、当該トレーニング用図柄と重心位置データとのずれ量を解析することで、運動機能の回復度合いを定量化することができる(詳細は後述)。
【0026】
<4.トレーニング機能部における処理>
次に、トレーニング機能部213における処理(トレーニング処理)について図5及び図6を参照しながら、図4を用いて説明する。図4は、トレーニング機能部213におけるトレーニング処理の流れを示すフローチャートである。
【0027】
ステップS401では、足圧分布算出部211において生成された足圧分布の画像データについて表示を開始する。また、ステップS402では、重心位置算出部212において算出された重心位置データの表示を開始する。
【0028】
図5の5aは、足圧分布の画像データと重心位置データとを表示した様子を示している。図5の5aに示すように、足圧分布の画像データは所定周期で更新されるため、表示部204には、最新の足圧分布の画像データが表示される。一方、重心位置データも同様の周期で更新される。ただし、重心位置データの場合、更新前の重心位置データと更新後の重心位置データとが連続する線で結ばれ、重心位置の軌跡として表示される。
【0029】
ステップS403では、トレーニング用図柄501を表示部204に表示する。なお、トレーニング用図柄501の表示位置は特に限定されないが、例えば、トレーニング用図柄501表示時における患者の重心位置を取得し、当該取得した重心位置と、トレーニング用図柄501の重心位置とが一致するように、トレーニング用図柄501を表示する構成としてもよい。図5の5bは、患者の重心位置と一致した位置に、トレーニング用図柄501を表示させた様子を示している。
【0030】
ステップS404では、入力部205を介して、トレーニング開始指示を受け付ける。更に、ステップS404において、トレーニング開始指示を受け付けると、ステップS405では、表示された重心位置データの軌跡を一旦消去(リセット)し、トレーニング開始指示受け付け後に算出された重心位置データの表示を開始する。図5の5cは、トレーニング開始指示が入力されることで、それまでに表示されていた重心位置データの軌跡502が消去され、トレーニング開始指示受け付け後に算出された重心位置データの軌跡503を表示させた様子を示している。
【0031】
かかる表示のもとで、患者は、トレーニング用図柄501に沿って重心位置データ503が移動するよう、重心移動の訓練を行うこととなる。つまり、本実施形態に係る足圧分布計測システム100によれば、患者は、トレーニング用図柄501と、自身の重心位置データとを比較しながら訓練を行うことが可能となり、どのような重心移動を行えばよいかを、患者自身が直感的に把握することができるようになる。
【0032】
ステップS406では、トレーニング開始指示受け付け後に取得された各足圧分布データを、トレーニング開始指示受け付け後の経過時間と対応付けて記憶部203に記録する。また、ステップS407では、トレーニング開始指示受け付け後に算出された各重心位置データを、トレーニング開始指示受け付け後の経過時間と対応付けて記憶部203に記録する。なお、トレーニング用図柄の種類と、表示位置も併せて記録する。
【0033】
図6は、ステップS406及びステップS407において記録が開始された、各足圧分布データ及び重心位置データ(トレーニングデータ215)の一例を示す図である。
【0034】
ステップS408では、トレーニング終了指示を受け付けたか否かを判定し、トレーニング終了指示を受け付けていないと判定した場合には、ステップS406に戻り、足圧分布データと重心位置データの記録を継続する。一方、ステップS408において、トレーニング終了指示を受け付けたと判定した場合には、ステップS409に進む。
【0035】
ステップS409では、足圧分布の画像データの表示を停止させるとともに、重心位置データの表示を停止させる。これにより、表示部204には、トレーニング終了指示を受け付けた時点での足圧分布の画像データと、トレーニング開始指示を受け付けてからトレーニング終了指示を受け付けるまでの重心位置の軌跡と、が表示された状態となる。
【0036】
ステップS410では、トレーニング開始指示を受け付けてからトレーニング終了指示を受け付けるまでの間(トレーニング中)の重心位置データの、トレーニング用図柄501に対するずれ量を解析する。具体的には、各時間における重心位置からトレーニング用図柄501までの距離を積分していき、トレーニング時間で除算することで、トレーニング用図柄501に対する、平均的なずれ量を算出する。なお、算出した平均的なずれ量は、表示部204に表示される。
【0037】
<5.トレーニング結果再生部における処理>
次に、トレーニング結果再生部214における処理(トレーニング結果再生処理)について、図8を参照しながら、図7を用いて説明する。図7は、トレーニング結果再生部214におけるトレーニング結果再生処理の流れを示すフローチャートである。
【0038】
ステップS701では、選択されたトレーニングデータを記憶部203から読み出す。
【0039】
ステップS702では、読み出したトレーニングデータを、所定の更新周期で連続的に再生する。図8の8aは、再生されたトレーニングデータのうちトレーニング開始指示受け付け直後のトレーニングデータを示している。また、図8の8bは、トレーニング用図柄501に沿って、患者が重心をかかと側に移動させた様子を示している。更に、図8の8cは、トレーニング用図柄501に沿って、患者が重心移動を終了させた様子を示している。
【0040】
図8の8a〜図8の8cに示すように、本実施形態に係る足圧分布計測システム100によれば、重心位置データの軌跡と対応付けて、足圧分布の画像データも連続的に表示される。このため、トレーニング用図柄501に対する重心位置データのずれ量が大きい場合の、足圧分布を視認することができ、どの方向に重心移動を行えば、足圧分布が改善するかを、容易に把握することができる。
【0041】
ステップS703では、停止指示が入力されたか否かを判定し、停止指示が入力されたと判定された場合には、トレーニング結果再生処理を終了する。
【0042】
なお、図7においては図示していないが、本実施形態に係る足圧分布計測システム100では、ステップS701において読み込まれたトレーニングデータに対して、早送り、巻戻し、一時停止、コマ送り等の指示が入力でき、当該入力された指示に基づく処理を行うことができるよう構成されているものとする。
【0043】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る足圧分布計測システム100では、同一画面上に、足圧分布の画像データと重心位置データの軌跡とが、リアルタイムに表示される構成とした。また、重心位置データが表示された位置の近傍に、トレーニング用図柄を重ねて表示する構成とした。更に、トレーニング開始指示が入力された場合に、既に表示されている重心位置データの軌跡をリセットしたうえで、新たに重心位置データの軌跡の表示を開始する構成とした。これにより、患者は、トレーニング用図柄に対する、自身の重心位置データをリアルタイムに確認しながら重心移動の訓練を行うことが可能となる。また、どのように重心移動を行えばよいかを、患者自身が直感的に把握することができるようになる。
【0044】
更に、本実施形態に係る足圧分布計測システム100では、トレーニング用図柄に対する重心位置データの平均ずれ量を定量化する構成とした。これにより、患者は、運動機能の回復度合いを定量的に把握することが可能となる。
【0045】
更に、本実施形態に係る足圧分布計測システム100では、トレーニング時間中の足圧分布の画像データと重心位置データとを、トレーニング開始指示が入力されてからの経過時間と対応付けて、再生可能に記憶部に記録する構成とした。
【0046】
これにより、重心位置データと足圧分布の画像データとを対応付けながら、トレーニング結果を見直すことが可能となり、どの方向に重心移動を行った際の動作を改善すべきかといった解析を容易に行うことが可能となる。
【0047】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、足圧分布検出センサ部111において計測された足圧分布データをケーブル130を介して直接取得する構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ブルートゥースなどの無線を介して取得する構成としてもよい。
【0048】
あるいは、センサ部110内にメモリを配し、足圧分布検出センサ部111において計測された足圧分布データを一旦当該メモリに記憶しておき、当該メモリに記憶した足圧分布データをケーブル130を介して取得する構成としてもよい。この場合、足圧分布計測システム100は、患者の運動機能の回復度合いを解析するためのシステムとして利用されることとなる。
【0049】
また、上記第1の実施形態では、センサ部110が1つのベース部112及び1つの足圧分布検出センサ部111により形成される構成としたが、本発明はこれに限定されない。
【0050】
例えば、右足用のベース部及び右足用の足圧分布検出センサ部と、左足用のベース部及び左足用の足圧分布検出センサ部とを別体とし、着脱可能な構成または折り畳み可能な構成としてもよい。この場合、スロープ部113はベース部に対して着脱可能に構成されていることが望ましい。
【0051】
また、上記第1の実施形態では、トレーニング用図柄として、円形の図形を表示する構成としたが、本発明はこれに限定されず、他の図形であってもよい。また、上記第1の実施形態では、トレーニング用図柄を、重心位置データに対応する位置に表示させる構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、足圧分布の画像データに対応する位置に、矢印(重心移動させたい方向を示した矢印)等を表示する構成としてもよい。この場合、患者は、足圧分布の画像データを見ながら、重心移動の訓練を行うこととなる。
【0052】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
【0053】
本願は、2012年1月20日提出の日本国特許出願特願2012−010299を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てを、ここに援用する。
図1
図2
図4
図6
図7
図3
図5
図8