特許第6026478号(P6026478)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6026478マルチユーザ通信システムにおける適応可能な局依存チャネル状態情報フィードバック・レートをサポートするための物理層メトリック
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6026478
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】マルチユーザ通信システムにおける適応可能な局依存チャネル状態情報フィードバック・レートをサポートするための物理層メトリック
(51)【国際特許分類】
   H04J 99/00 20090101AFI20161107BHJP
   H04B 7/04 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   H04J15/00
   H04B7/04
【請求項の数】42
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2014-203416(P2014-203416)
(22)【出願日】2014年10月1日
(62)【分割の表示】特願2012-530969(P2012-530969)の分割
【原出願日】2010年9月21日
(65)【公開番号】特開2015-29341(P2015-29341A)
(43)【公開日】2015年2月12日
【審査請求日】2014年10月31日
(31)【優先権主張番号】61/244,528
(32)【優先日】2009年9月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/304,929
(32)【優先日】2010年2月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/884,854
(32)【優先日】2010年9月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595020643
【氏名又は名称】クゥアルコム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・エー.・ブレイト
(72)【発明者】
【氏名】サミーア・ベルマニ
(72)【発明者】
【氏名】サントシュ・ポール・アブラハム
(72)【発明者】
【氏名】ヘマンス・サンパス
【審査官】 羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−531980(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/051466(WO,A2)
【文献】 特表2004−531976(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/018761(WO,A2)
【文献】 特開2007−181125(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/054099(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 99/00
H04B 7/04
H04J 11/00
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の装置によって実行される、マルチユーザワイヤレス通信システムにおける適応可能なユーザ依存チャネル状態情報(CSI)フィードバック・レートをサポートするための方法であって、
現在のチャネル推定値を受信することと、
第2の装置へ通信された最近のチャネル推定値と前記現在のチャネル推定値とに少なくとも基づいてメトリックを計算することと、
CSI更新が前記第2の装置へ送信されるべきかを決定するために閾値と前記メトリックを比較することと
を備え、
前記メトリックは以下に従って計算され、
【数1】
ここで、DCSIは前記メトリックであり、Hnewは前記第1の装置において測定された最新のダウンリンク複合チャネル推定値であり、Holdは前記第2の装置へ最も新しくフィードバックされた複合チャネル推定値である、方法。
【請求項2】
前記第2の装置からの要求メッセージを受信することと、
前記要求メッセージに応答して、前記第2の装置へ前記メトリックを送信することと
を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の装置はアクセス・ポイントを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記閾値は前記第1の装置によって使用されるチャネルの信号対雑音比(SNR)に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の装置へ論理値を送信すること
を更に備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
マルチユーザワイヤレス通信システムにおける適応可能なユーザ依存チャネル状態情報(CSI)フィードバック・レートをサポートする装置であって、
現在のチャネル推定値を取得するように構成された推定器と、
別の装置へ通信された最近のチャネル推定値と前記現在のチャネル推定値とに少なくとも基づいてメトリックを計算するように構成された回路と、
CSI更新が前記別の装置へ送信されるべきかを決定するために閾値と前記メトリックを比較するように構成された別の回路と
を備え、
前記メトリックは以下に従って計算され、
【数2】
ここで、DCSIは前記メトリックであり、Hnewは前記装置において測定された最新のダウンリンク複合チャネル推定値であり、Holdは前記別の装置へ最も新しくフィードバックされた複合チャネル推定値である、装置。
【請求項7】
前記別の装置からの要求メッセージを受信するように構成された受信機と、
前記要求メッセージに応答して、前記別の装置へ前記メトリックを送信するように構成された送信機と
を更に備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記別の装置はアクセス・ポイントを備える、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記閾値は前記装置によって使用されるチャネルの信号対雑音比(SNR)に基づく、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記送信機はまた、前記別の装置へ論理値を送信するように構成される、請求項に記載の装置。
【請求項11】
マルチユーザワイヤレス通信システムにおける適応可能なユーザ依存チャネル状態情報(CSI)フィードバック・レートをサポートする装置であって、
現在のチャネル推定値を取得するための手段と、
別の装置へ通信された最近のチャネル推定値と前記現在のチャネル推定値とに少なくとも基づいてメトリックを計算するための手段と、
CSI更新が前記別の装置へ送信されるべきかを決定するために閾値と前記メトリックを比較するための手段と
を備え、
前記メトリックは以下に従って計算され、
【数3】
ここで、DCSIは前記メトリックであり、Hnewは前記装置において測定された最新のダウンリンク複合チャネル推定値であり、Holdは前記別の装置へ最も新しくフィードバックされた複合チャネル推定値である、装置。
【請求項12】
前記別の装置からの要求メッセージを受信するための手段と、
前記要求メッセージに応答して、前記別の装置へ前記メトリックを送信するための手段と
を更に備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記別の装置はアクセス・ポイントを備える、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記閾値は前記装置によって使用されるチャネルの信号対雑音比(SNR)に基づく、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記別の装置へ論理値を送信するための手段
を更に備える、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
装置によって実行される、マルチユーザワイヤレス通信システムにおける適応可能なユーザ依存チャネル状態情報(CSI)フィードバック・レートをサポートするためのコンピュータ・プログラムであって、
コンピュータに、現在のチャネル推定値を取得させるためのコードと、
前記コンピュータに、別の装置へ通信された最近のチャネル推定値と前記現在のチャネル推定値とに少なくとも基づいてメトリックを計算させるためのコードと、
前記コンピュータに、CSI更新が前記別の装置へ送信されるべきかを決定するために閾値と前記メトリックを比較させるためのコードと
を備え、
前記メトリックは以下に従って計算され、
【数4】
ここで、DCSIは前記メトリックであり、Hnewは前記装置において測定された最新のダウンリンク複合チャネル推定値であり、Holdは前記別の装置へ最も新しくフィードバックされた複合チャネル推定値である、コンピュータ・プログラム。
【請求項17】
マルチユーザワイヤレス通信システムにおける適応可能なユーザ依存チャネル状態情報(CSI)フィードバック・レートをサポートする無線ノードであって、
少なくとも1つのアンテナと、
現在のチャネル推定値を取得するように構成された推定器と、
アクセス・ポイントへ通信された最近のチャネル推定値と前記現在のチャネル推定値とに少なくとも基づいてメトリックを計算するように構成された回路と、
CSI更新が前記アクセス・ポイントへ送信されるべきかを決定するために閾値と前記メトリックを比較するように構成された別の回路と
を備え、
前記メトリックは以下に従って計算され、
【数5】
ここで、DCSIは前記メトリックであり、Hnewは前記無線ノードにおいて測定された最新のダウンリンク複合チャネル推定値であり、Holdは前記アクセス・ポイントへ最も新しくフィードバックされた複合チャネル推定値である、無線ノード。
【請求項18】
装置によって実行される、マルチユーザワイヤレス通信システムにおける適応可能なユーザ依存チャネル状態情報(CSI)フィードバック・レートをサポートするための方法であって、
別の装置から最近のチャネル推定値と現在のチャネル推定値とを受信することと、
前記最近のチャネル推定値と前記現在のチャネル推定値とに少なくとも基づいてメトリックを計算することと、
CSI更新に関する要求が前記別の装置へ送信されるべきかを決定するために閾値と前記メトリックを比較することと
を備え、
前記メトリックは以下に従って計算され、
【数6】
ここで、DCSIは前記メトリックであり、Hnewは前記別の装置において測定された最新のダウンリンク複合チャネル推定値であり、Holdは前記装置へ最も新しくフィードバックされた複合チャネル推定値である、方法。
【請求項19】
前記装置はアクセス・ポイントを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記CSI更新を要求することを決定することは、前記メトリック及び最新のCSI更新から経過した時間に少なくとも基づく、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記閾値はチャネルの信号対雑音比(SNR)に基づく、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記CSI更新に関する要求が前記装置へ送信されるべきかを決定することは、
論理値及び最新のCSI更新から経過した時間に少なくとも基づいて、前記CSI要求が前記装置へ送信されるべきかを決定すること
を備える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記CSI更新に関する要求を、前記決定に基づいて、前記装置へ送信すること
を更に備える、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記CSI更新に関する要求は、トレーニング要求メッセージ又はチャネル測深メッセージのうちの少なくとも1つを備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
マルチユーザワイヤレス通信システムにおける適応可能なユーザ依存チャネル状態情報(CSI)フィードバック・レートをサポートする装置であって、
別の装置から最近のチャネル推定値と現在のチャネル推定値とを取得するように構成された受信機と、
前記最近のチャネル推定値と前記現在のチャネル推定値とに少なくとも基づいてメトリックを計算するように構成された回路と、
CSI更新に関する要求が前記別の装置へ送信されるべきかを決定するために閾値と前記メトリックを比較するための別の回路と
を備え、
前記メトリックは以下に従って計算され、
【数7】
ここで、DCSIは前記メトリックであり、Hnewは前記別の装置において測定された最新のダウンリンク複合チャネル推定値であり、Holdは前記装置へ最も新しくフィードバックされた複合チャネル推定値である、装置。
【請求項26】
アクセス・ポイントを備える、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記CSI更新を要求することを決定することは、前記メトリック及び最新のCSI更新から経過した時間に少なくとも基づく、請求項25に記載の装置。
【請求項28】
前記閾値は、前記装置によって使用されるチャネルの信号対雑音比(SNR)に基づく、請求項25に記載の装置。
【請求項29】
前記別の回路はまた、論理値及び最後のCSI更新から経過した時間に少なくとも基づいて、前記CSI更新に関する要求が前記別の装置へ送信されるべきかを決定するように構成される、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記CSI更新に関する要求を、前記決定に基づいて、前記別の装置へ送信するように構成された送信機
を更に備える、請求項25に記載の装置。
【請求項31】
前記CSI更新に関する要求は、トレーニング要求メッセージ又はチャネル測深メッセージのうちの少なくとも1つを備える、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
マルチユーザワイヤレス通信システムにおける適応可能なユーザ依存チャネル状態情報(CSI)フィードバック・レートをサポートする装置であって、
別の装置から最近のチャネル推定値と現在のチャネル推定値とを取得するための手段と、
前記最近のチャネル推定値と前記現在のチャネル推定値とに少なくとも基づいてメトリックを計算するための手段と、
CSI更新に関する要求が前記別の装置へ送信されるべきかを決定するために閾値と前記メトリックを比較するための手段と
を備え、
前記メトリックは以下に従って計算され、
【数8】
ここで、DCSIは前記メトリックであり、Hnewは前記別の装置において測定された最新のダウンリンク複合チャネル推定値であり、Holdは前記装置へ最も新しくフィードバックされた複合チャネル推定値である、装置。
【請求項33】
アクセス・ポイントを備える、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記CSI更新を要求することを決定することは、前記メトリック及び最新のCSI更新から経過した時間に少なくとも基づく、請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記閾値は、前記装置によって使用されるチャネルの信号対雑音比(SNR)に基づく、請求項32に記載の装置。
【請求項36】
CSI要求が前記別の装置へ送信されるべきかを決定するための手段は、
論理値及び最新のCSI更新から経過した時間に少なくとも基づいて、前記CSI更新に関する要求が前記別の装置へ送信されるべきかを決定するための手段
を備える、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記CSI更新に関する要求を、前記決定に基づいて、前記別の装置へ送信するための手段
を更に備える、請求項32に記載の装置。
【請求項38】
前記CSI更新に関する要求は、トレーニング要求メッセージ又はチャネル測深メッセージのうちの少なくとも1つを備える、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
装置によって実行される、マルチユーザワイヤレス通信システムにおける適応可能なユーザ依存チャネル状態情報(CSI)フィードバック・レートをサポートするコンピュータ・プログラムであって、
コンピュータに、別の装置から最近のチャネル推定値と現在のチャネル推定値とを取得させるためのコードと、
前記コンピュータに、前記最近のチャネル推定値と前記現在のチャネル推定値とに少なくとも基づいてメトリックを計算させるためのコードと、
CSI更新に関する要求が前記別の装置へ送信されるべきかを決定するために閾値と前記メトリックを比較させるためのコードと
を備え、
前記メトリックは以下に従って計算され、
【数9】
ここで、DCSIは前記メトリックであり、Hnewは前記別の装置において測定された最新のダウンリンク複合チャネル推定値であり、Holdは前記装置へ最も新しくフィードバックされた複合チャネル推定値である、コンピュータ・プログラム。
【請求項40】
マルチユーザワイヤレス通信システムにおける適応可能なユーザ依存チャネル状態情報(CSI)フィードバック・レートをサポートするアクセス・ポイントであって、
少なくとも1つのアンテナと、
無線ノードから最近のチャネル推定値と現在のチャネル推定値とを、前記少なくとも1つのアンテナを介して、取得するように構成された受信機と、
前記最近のチャネル推定値と前記現在のチャネル推定値とに少なくとも基づいてメトリックを計算するように構成された回路と、
CSI更新に関する要求が前記無線ノードへ送信されるべきかを決定するために閾値と前記メトリックを比較するように構成された別の回路と
を備え、
前記メトリックは以下に従って計算され、
【数10】
ここで、DCSIは前記メトリックであり、Hnewは前記無線ノードにおいて測定された最新のダウンリンク複合チャネル推定値であり、Holdは前記アクセス・ポイントへ最も新しくフィードバックされた複合チャネル推定値である、アクセス・ポイント。
【請求項41】
第1の装置によって実行される、マルチユーザワイヤレス通信システムにおける適応可能なユーザ依存チャネル状態情報(CSI)フィードバック・レートをサポートするための方法であって、
現在のチャネル推定値を受信することと、
第2の装置へ通信された最近のチャネル推定値と前記現在のチャネル推定値とに少なくとも基づいてメトリックを計算することと、
CSI更新が前記第2の装置へ送信されるべきかを決定するために閾値と前記メトリックを比較することと
を備え、
前記メトリックは以下に従って計算され、
【数11】
ここで、DCSIは前記メトリックであり、Hnewは前記第1の装置において測定された単一のアンテナに関する最新のダウンリンク複合チャネル推定値を含む行ベクトルであり、Holdは前記第2の装置へ最も新しくフィードバックされた単一のアンテナに関するダウンリンク複合チャネル推定値を含む行ベクトルである、方法。
【請求項42】
第1の装置によって実行される、マルチユーザワイヤレス通信システムにおける適応可能なユーザ依存チャネル状態情報(CSI)フィードバック・レートをサポートするための方法であって、
現在のチャネル推定値を受信することと、
第2の装置へ通信された最近のチャネル推定値と前記現在のチャネル推定値とに少なくとも基づいてメトリックを計算することと、
CSI更新が前記第2の装置へ送信されるべきかを決定するために閾値と前記メトリックを比較することと
を備え、
前記メトリックは以下に従って計算され、
【数12】
ここで、DCSIは前記メトリックであり、Hnewは前記第1の装置において測定された単一のアンテナに関する最新のダウンリンク複合チャネル推定値であり、Holdは前記第2の装置へ最も新しくフィードバックされた単一のアンテナに関するダウンリンク複合チャネル推定値である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権の主張]
本願は、本願の譲受人に譲渡され、参照によって本願に明確に組み込まれた、2009年9月22日出願の“Physical Layer Metrics to Support Adaptive Station-Dependent Channel State Information Feedback Rate in Multi-User Communication Systems”と題された米国特許仮出願第61/244528号、及び2010年2月16日出願の“Physical Layer Metrics to Support Adaptive Station-Dependent Channel State Information Feedback Rate in Multi-User Communication Systems”と題された米国特許仮出願第61/304929号の利益を主張する。
【0002】
[技術分野]
本開示のある態様は、一般に無線通信に関し、特に、マルチユーザ通信システムにおける適応可能な局依存チャネル状態情報フィードバック・レートをサポートするための物理層メトリックを設計することに関する。
【背景技術】
【0003】
[背景]
無線通信システムのために必要な対域幅要件の増加の問題に対処するために、高いデータ・スループットを達成しながらチャネル・リソースを共有することによって、複数のユーザ端末が単一のアクセス・ポイント(AP)と通信することを可能にするための様々なスキームが開発されている。複数入力複数出力(MIMO)技術は、次世代通信システムのための一般的な技術として近年現れたそのようなアプローチのうちの1つを表す。MIMO技術は、例えば電気電子技術者協会(IEEE)802.11規格のようないくつかの新興の無線通信規格において適用されている。IEEE802.11は、短距離通信(例えば、数十メートルから数百メートル)のための、IEEE802.11委員会によって開発された無線ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)エア・インタフェース規格のセットを示す。
【0004】
MIMO無線システムは、データ送信のために複数(N個)の送信アンテナ及び複数(N個)の受信アンテナを用いる。N個の送信アンテナ及びN個の受信アンテナによって形成されたMIMOチャネルは、N個の空間ストリームに分解されうる。この場合、全ての実用目的に関して、N≦min{N,N}である。N個の空間ストリームは、より高い全体スループットを達成するために、N個の個々のデータ・ストリームを送信するために用いられうる。
【0005】
単一のアクセス・ポイント及び複数の局を有する無線ネットワークにおいて、アップリンク(UL)方向及びダウンリンク(DL)方向の両方において、異なる局に向かう複数のチャネル上での同時送信が発生しうる。そのようなシステムにおいては、多くの困難が生じる。例えば、アクセス・ポイントは、例えばIEEE802.11n/a/b/g規格又はIEEE802.11ac規格のような異なる規格を用いて信号を送信することができる。受信機は、パケットのプレアンブルに含まれた情報に基づいて信号の送信モードを検出することができなければならない。
【発明の概要】
【0006】
本開示のある態様は、第1の装置による無線通信のための方法を提供する。方法は一般に、現在のチャネル推定値を取得することと、第2の装置へ通信された最近のチャネル推定値を取得することと、現在のチャネル推定値又は最近のチャネル推定値に少なくとも基づいて第1のメトリック(metric)を計算することとを含み、第1のメトリックは、チャネル状態情報(CSI:channel state information)更新が第2の装置へ送信されるべきかを判定するために用いられる。
【0007】
本開示のある態様は、無線通信のための装置を提供する。装置は一般に、現在のチャネル推定値を取得するように構成された推定器であって他の装置へ通信された最近のチャネル推定値を取得するようにも構成された推定器と、現在のチャネル推定値又は最近のチャネル推定値に少なくとも基づいて第1のメトリックを計算するように構成された回路とを含み、第1のメトリックは、チャネル状態情報(CSI)更新が他の装置へ送信されるべきかを判定するために用いられる。
【0008】
本開示のある態様は、無線通信のための装置を提供する。装置は一般に、現在のチャネル推定値を取得するための手段と、他の装置へ通信された最近のチャネル推定値を取得するための手段と、現在のチャネル推定値又は最近のチャネル推定値に少なくとも基づいて第1のメトリックを計算するための手段とを含み、第1のメトリックは、チャネル状態情報(CSI)更新が他の装置へ送信されるべきかを判定するために用いられる。
【0009】
本開示のある態様は、無線通信のためのコンピュータ・プログラム製品を提供する。コンピュータ・プログラム製品は、現在のチャネル推定値を取得し、第2の装置へ送信された最近のチャネル推定値を取得し、現在のチャネル推定値又は最近のチャネル推定値に少なくとも基づいて第1のメトリックを計算するように実行可能な命令を備えるコンピュータ読取可能媒体を含み、第1のメトリックは、チャネル状態情報(CSI)更新が第2の装置へ送信されるべきかを判定するために用いられる。
【0010】
本開示のある態様は、無線ノードを提供する。無線ノードは一般に、少なくとも1つのアンテナと、現在のチャネル推定値を取得するように構成され、アクセス・ポイントへ通信された最近のチャネル推定値を取得するようにも構成された推定器と、現在のチャネル推定値又は最近のチャネル推定値に少なくとも基づいて第1のメトリックを計算するように構成された回路とを含み、第1のメトリックは、チャネル状態情報(CSI)更新が少なくとも1つのアンテナを介してアクセス・ポイントへ送信されるべきかを判定するために用いられる。
【0011】
本開示のある態様は、無線通信のための方法を提供する。方法は一般に、装置からの最近のチャネル推定値及び現在のチャネル推定値を取得することと、現在のチャネル推定値又は最近のチャネル推定値に少なくとも基づいて第1のメトリックを計算することとを含み、第1のメトリックは、装置からのチャネル状態情報(CSI)更新が要求されるべきかを判定するために用いられる。
【0012】
本開示のある態様は、無線通信のための装置を提供する。装置は一般に、他の装置からの最近のチャネル推定値及び現在のチャネル推定値を取得するように構成された受信機と、現在のチャネル推定値又は最近のチャネル推定値に少なくとも基づいて第1のメトリックを計算するように構成された回路とを含み、第1のメトリックは、他の装置からのチャネル状態情報(CSI)更新が要求されるべきかを判定するために用いられる。
【0013】
本開示のある態様は、無線通信のための装置を提供する。装置は一般に、他の装置からの最近のチャネル推定値及び現在のチャネル推定値を取得するための手段と、現在のチャネル推定値又は最近のチャネル推定値に少なくとも基づいて第1のメトリックを計算するための手段とを含み、第1のメトリックは、他の装置からのチャネル状態情報(CSI)更新が要求されるべきかを判定するために用いられる。
【0014】
本開示のある態様は、無線通信のためのコンピュータ・プログラム製品を提供する。コンピュータ・プログラム製品は、装置からの最近のチャネル推定値及び現在のチャネル推定値を取得し、現在のチャネル推定値又は最近のチャネル推定値に少なくとも基づいて第1のメトリックを計算するように実行可能な命令を備えるコンピュータ読取可能媒体を含み、第1のメトリックは、装置からのチャネル状態情報(CSI)更新が要求されるべきかを判定するために用いられる。
【0015】
本開示のある態様は、アクセス・ポイントを提供する。アクセス・ポイントは一般に、少なくとも1つのアンテナと、少なくとも1つのアンテナを介して無線ノードからの最近のチャネル推定値及び現在のチャネル推定値を取得するように構成された受信機と、現在のチャネル推定値又は最近のチャネル推定値に少なくとも基づいて第1のメトリックを計算するように構成された回路とを含み、第1のメトリックは、無線ノードからのチャネル状態情報(CSI)更新が要求されるべきかを判定するために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示の上記特徴が詳しく理解されるように、上記で簡単に概略された説明のより具体的な説明が、そのうちのいくつかが添付図面に示された態様を参照することによって示される。しかし、添付図面は、本開示のある典型的な態様しか示さず、本説明は、他の同等の効果をもたらす態様を認めるので、本開示を限定することは考慮されていない。
図1図1は、本開示のある態様に従って無線通信ネットワークの図を示す。
図2図2は、本開示のある態様に従ってアクセス・ポイント及びユーザ端末の例のブロック図を示す。
図3図3は、本開示のある態様に従って無線デバイスの例のブロック図を示す。
図4図4は、本開示のある態様に従って、異種チャネル状態情報(CSI)フィードバックのための2ステップ媒体アクセス制御(MAC)プロトコルを示す。
図5図5は、本開示のある態様に従って、異種CSIフィードバックのための2ステップMACプロトコルのためにアクセス・ポイントによって実行されうる動作の例を示す。
図5A図5Aは、図5に示す動作を実行することができる構成要素の例を示す。
図6図6は、本開示のある態様に従って、異種CSIフィードバックのための2ステップMACプロトコルのために局によって実行されうる動作の例を示す。
図6A図6Aは、図6に示す動作を実行することができる構成要素の例を示す。
図7図7は、本開示のある態様に従って、決定性バックオフ・タイマに基づいた異種CSIフィードバックのためのMACプロトコルを示す。
図8図8は、本開示のある態様に従って、決定性バックオフ・タイマに基づいた異種CSIフィードバックのためのMACプロトコルのためにアクセス・ポイントによって実行されうる動作の例を示す。
図8A図8Aは、図8に示す動作を実行することができる構成要素の例を示す。
図9図9は、本開示のある態様に従って、決定性バックオフ・タイマに基づいた異種CSIフィードバックのためのMACプロトコルのために局によって実行されうる動作の例を示す。
図9A図9Aは、図9に示す動作を実行することができる構成要素の例を示す。
図10図10は、本開示のある態様に従って、局のポーリングに基づいた異種CSIフィードバックのためのMACプロトコルを示す。
図11図11は、本開示のある態様に従って、局のポーリングに基づいた異種CSIフィードバックのためのMACプロトコルのためにアクセス・ポイントによって実行されうる動作の例を示す。
図11A図11Aは、図11に示す動作を実行することができる構成要素の例を示す。
図12図11は、本開示のある態様に従って、局のポーリングに基づいた異種CSIフィードバックのためのMACプロトコルのために局によって実行されうる動作の例を示す。
図12A図12Aは、図12に示す動作を実行することができる構成要素の例を示す。
図13図13は、本開示のある態様に従って、局によって実行されうる異種CSIフィードバックをサポートするための物理層メトリックを計算するための動作の例を示す。
図13A図13Aは、図13に示す動作を実行することができる構成要素の例を示す。
図14図14は、本開示のある態様に従って、アクセス・ポイントによって実行されうる異種CSIフィードバックをサポートするための物理層メトリックを計算するための動作の例を示す。
図14A図14Aは、図14に示す動作を実行することができる構成要素の例を示す。
【詳細な説明】
【0017】
本開示のある態様の様々な態様が以下で説明される。本明細書における教示は、広く様々な形式において具現化されることができ、本明細書において開示された任意の特定の構成、機能、又はその両方は、単なる典型例にすぎないことが明らかであるべきである。本明細書の教示に基づいて、当業者は、本明細書に開示された態様が他の任意の態様から独立して実現されうること、及びそれらの態様のうちの2つ以上が様々な方法で結合されうることを理解するべきである。例え、本明細書に記載された態様のうちの任意の数の態様を用いて装置が実装される又は方法が実施されることができる。また、本明細書に記載された態様のうちの1つまたは複数以外に、あるいはそれらに加えて、他の構成、機能、又は構成及び機能を用いて、そのような装置が実装される又はそのような方法が実施されることができる。更に、態様は、特許請求の範囲の少なくとも1つの要素を備えることができる。
【0018】
「典型的な」という用語は、本明細書において、「例、実例、又は例証を提供する」ことを意味するように用いられる。本明細書で「典型的」として説明された態様はいずれも、必ずしも他の態様に対して好適又は有利であるとして解釈されない。また本明細書において用いられる場合、「レガシ局」という用語は一般に、802.11n又はそれ以前の電気電子技術者協会(IEEE)802.11規格をサポートする無線ネットワーク・ノードを称する。
【0019】
本明細書で説明されるマルチアンテナ送信技術は、例えば符号分割多元接続(CDMA)、直交周波数分割多重(OFDM)、時分割多元接続(TDMA)、空間分割多元接続(SDMA)等のような様々な無線技術と組み合わせて用いられうる。複数ユーザ端末は、(1)CDMAの場合、異なる直交符号チャネル、(2)TDMAの場合、異なる時間スロット、又は(3)OFDMの場合、異なるサブバンド、を介してデータを同時に送信/受信することができる。CDMAシステムは、IS−2000規格、IS−95規格、IS−856規格、広帯域CDMA(W−CDMA)規格、又は他のいくつかの規格を実現することができる。OFDMシステムは、IEEE802.11規格又は他のいくつかの規格を実現することができる。TDMAシステムは、GSM(登録商標)規格又は他のいくつかの規格を実現することができる。これら様々な規格は、当該技術において周知である。
【0020】
(MIMOシステムの例)
図1は、アクセス・ポイント及びユーザ端末を有する複数アクセスMIMOシステム100を示す。簡略化のために、図1には1つのアクセス・ポイント110しか示されない。アクセス・ポイント(AP)は一般に、ユーザ端末と通信する固定局であり、基地局又は他の何らかの用語として称されることもできる。ユーザ端末は固定式又はモバイル式であり、モバイル局、局(STA)、クライアント、無線デバイス、又は他の何らかの用語として称されることもできる。ユーザ端末は、例えばセルラ電話、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)、ハンドヘルド・デバイス、無線モデム、ラップトップ・コンピュータ、パーソナル・コンピュータ等のような無線デバイスであることができる。
【0021】
アクセス・ポイント110は、任意の所与の瞬間に、ダウンリンク及びアップリンクにおいて1つ又は複数のユーザ端末120と通信することができる。ダウンリンク(すなわち、順方向リンク)は、アクセス・ポイントからユーザ端末への通信リンクであり、アップリンク(すなわち、逆方向リンク)は、ユーザ端末からアクセス・ポイントへの通信リンクである。ユーザ端末は、別のユーザ端末とピア・ツー・ピアで通信することもできる。システム・コントローラ130は、アクセス・ポイントに結合し、アクセス・ポイントのための調整及び制御を提供する。
【0022】
システム100は、ダウンリンク及びアップリンクにおけるデータ送信のために複数の送信アンテナ及び複数の受信アンテナを用いる。アクセス・ポイント110は、Nap個の数のアンテナを備え、ダウンリンク送信のための複数入力(MI)及びアップリンク送信のための複数出力(MO)を表す。選択されたユーザ端末120のセットNは、ダウンリンク送信のための複数出力及びアップリンク(UL)送信のための複数入力を集合的に表す。ある場合において、N個のユーザ端末のためのデータ・シンボル・ストリームが、いくつかの手段によって符号、周波数、又は時間において多重化されていない場合、Nap≧N≧1であることが望ましい。データ・シンボル・ストリームが、CDMAの場合、異なる符合チャネル、OFDMの場合、サブバンドの互いに素な集合等を用いて多重化されうる場合、NはNapよりも大きくなりうる。各選択されたユーザ端末は、ユーザ指定データをアクセス・ポイントへ送信する、及び/又は、アクセス・ポイントからのユーザ指定データを受信する。一般に、各選択されたユーザ端末は、1つ又は複数のアンテナを備えることができる(すなわち、Nut≧1)。N個の選択されたユーザ端末は、同一の数又は異なる数のアンテナを有することができる。
【0023】
MIMOシステム100は、時分割二重(TDD)システム又は周波数分割二重(FDD)システムであることができる。TDDシステムの場合、ダウンリンク及びアップリンクは同一の周波数対域を共有する。FDDシステムの場合、ダウンリンク及びアップリンクは異なる周波数帯域を用いる。MIMOシステム100は、送信のために単一の搬送波又は複数の搬送波を用いることもできる。各ユーザ端末は、(例えば、コスト削減のために)単一のアンテナ、又は(例えば、追加のコストがサポートされうる場合)複数のアンテナを備えることができる。
【0024】
図2は、MIMOシステム100におけるアクセス・ポイント110及び2つのユーザ端末120m及び120xのブロック図を示す。アクセス・ポイント110は、Nap個のアンテナ224a乃至224apを備える。ユーザ端末120mは、Nut,m個のアンテナ252ma乃至252muを備え、ユーザ端末120xは、Nut,x個のアンテナ252xa乃至252xuを備える。アクセス・ポイント110は、ダウンリンクのための送信エンティティかつアップリンクのための受信エンティティである。各ユーザ端末120は、アップリンクのための送信エンティティかつダウンリンクのための受信エンティティである。本明細書において用いられる場合、「送信エンティティ」は、周波数チャネルを介してデータを送信することができる、独立して機能する装置又はデバイスであり、「受信エンティティ」は、周波数チャネルを介してデータを受信することができる、独立して機能する装置又はデバイスである。以下の説明において、下付き文字「dn」はダウンリンクを示し、下付き文字「up」はアップリンクを示し、アップリンクにおける同時送信のためにNup個のユーザ端末が選択され、ダウンリンクにおける同時送信のためにNdn個のユーザ端末が選択され、NupとNdnとは等しい又は等しくないことができ、Nup及びNdnは、固定値である又は各スケジューリング間隔について変化することができる。ビーム・ステアリング又は他の何らかの空間処理技術が、アクセス・ポイント及びユーザ端末において用いられうる。
【0025】
アップリンクにおいて、アップリンク送信のために選択された各ユーザ端末120において、TXデータ・プロセッサ288は、データ・ソース286からのトラヒック・データ及びコントローラ280からの制御データを受信する。TXデータ・プロセッサ288は、そのユーザ端末のために選択されたレートに関連付けられたコーディング及び変調スキームに基づいて、ユーザ端末のためのトラヒック・データ{dup,m}を処理(例えば、符号化、インタリーブ、及び変調)し、データ・シンボル・ストリーム{sup,m}を提供する。TX空間プロセッサ290は、データ・シンボル・ストリーム{sup,m}に空間処理を実行し、Nut,m個のアンテナのためのNut,m個の送信シンボル・ストリームを提供する。各送信機ユニット(TMTR)254は、それぞれの送信シンボル・ストリームを受信及び処理(例えば、アナログ変換、増幅、フィルタ、及び周波数アップコンバート)し、アップリンク信号を生成する。Nut,m個の送信機ユニット254は、Nut,m個のアンテナ252からアクセス・ポイント110へ送信するためのNut,m個のアップリンク信号を提供する。
【0026】
up個の数のユーザ端末が、アップリンクにおける同時送信のためにスケジュールされうる。それらのユーザ端末の各々は、自身のデータ・シンボル・ストリームに空間処理を実行し、自身の送信シンボル・ストリームのセットをアップリンクにおいてアクセス・ポイントへ送信する。
【0027】
アクセス・ポイント110において、Nap個のアンテナ224a乃至224apは、アップリンクにおいて送信しているNup個のユーザ端末全てからのアップリンク信号を受信する。各アンテナ224は、受信信号をそれぞれの受信機ユニット(RCVR)222へ提供する。各受信機ユニット222は、送信機ユニット254によって実行された処理と相補的な処理を実行し、受信シンボル・ストリームを提供する。RX空間プロセッサ240は、Nap個の受信機ユニット222からのNap個の受信シンボル・ストリームに受信機空間処理を実行し、Nup個の復元されたアップリンク・データ・シンボル・ストリームを提供する。受信機空間処理は、チャネル相関マトリクス反転(CCMI)、最小平均2乗誤差(MMSE)、逐次干渉除去(SIC)、又は他の何らかの技術に従って実行される。各復元されたアップリンク・データ・シンボル・ストリーム{sup,m}は、それぞれのユーザ端末によって送信されたデータ・シンボル・ストリーム{sup,m}の推定値である。RXデータ・プロセッサ242は、そのストリームのために用いられたレートに従って、各復元されたアップリンク・データ・シンボル・ストリーム{sup,m}を処理(例えば、復調、デインタリーブ、及び復号)し、復号されたデータを取得する。各ユーザ端末のための復号されたデータは、格納のためにデータ・シンク244へ提供される、及び/又は更なる処理のためにコントローラ230へ提供されることができる。
【0028】
ダウンリンクにおいて、アクセス・ポイント110において、TXデータ・プロセッサ210は、ダウンリンク送信のためにスケジュールされたNdn個のユーザ端末のためのデータ・ソース208からのトラヒック・データ、コントローラ230からの制御データ、及び場合によってはスケジューラ234からの他のデータを受信する。様々なタイプのデータが、異なるトランスポート・チャネルにおいて送信されうる。TXデータ・プロセッサ210は、各ユーザ端末のために選択されたレートに基づいて、そのユーザ端末のためのトラヒック・データを処理(例えば、符号化、インタリーブ、及び変調)する。TXデータ・プロセッサ210は、Ndn個のユーザ端末のためのNdn個のダウンリンク・データ・シンボル・ストリームを提供する。TX空間プロセッサ220は、Ndn個のダウンリンク・データ・シンボル・ストリームに空間処理を実行し、Nap個のアンテナのためのNap個の送信シンボル・ストリームを提供する。各送信機ユニット(TMTR)222は、ダウンリンク信号を生成するために、それぞれの送信シンボル・ストリームを受信及び処理する。Nap個の送信機ユニット222は、Nap個のアンテナ224からユーザ端末へ送信するためのNap個のダウンリンク信号を提供する。
【0029】
各ユーザ端末120において、Nut,m個のアンテナ252は、アクセス・ポイント110からのNap個のダウンリンク信号を受信する。各受信機ユニット(RCVR)254は、関連付けられたアンテナ252からの受信信号を処理し、受信シンボル・ストリームを提供する。RX空間プロセッサ260は、Nut,m個の受信機ユニット254からのNut,m個の受信シンボル・ストリームに受信機空間処理を実行し、ユーザ端末のための復元されたダウンリンク・データ・シンボル・ストリーム{sdn,m}を提供する。受信機空間処理は、CCMI、MMSE、又は他の何らかの技術に従って実行される。RXデータ・プロセッサ270は、復元されたダウンリンク・データ・シンボル・ストリームを処理(例えば、復調、デインタリーブ、及び復号)し、ユーザ端末のための復号されたデータを取得する。
【0030】
図3は、システム100内で用いられうる無線デバイス302において用いることができる様々な構成要素を示す。無線デバイス302は、本明細書において説明された様々な方法を実行するように構成されうるデバイスの例である。無線デバイス302は、アクセス・ポイント110又はユーザ端末120であることができる。
【0031】
無線デバイス302は、無線デバイス302の動作を制御するプロセッサ304を含むことができる。プロセッサ304は、中央処理ユニット(CPU)とも称されうる。読取専用メモリ(ROM)及びランダム・アクセス・メモリ(RAM)両方を含むことができるメモリ306は、プロセッサ304へ命令及びデータを提供する。メモリ306の一部は、不揮発性ランダム・アクセス・メモリ(NVRAM)を含むこともできる。プロセッサ304は一般に、メモリ306内に格納されたプログラム命令に基づいて、論理演算及び算術演算を実行する。メモリ306内の命令は、本明細書において説明された方法を実行するために実行可能であることができる。
【0032】
無線デバイス302はまた、無線デバイス302と遠隔地との間のデータの送受信を可能にする、送信機310及び受信機312を含むことができるハウジング308を含むこともできる。送信機310及び受信機312は、トランシーバ314に組み合わされうる。複数の送信アンテナ316が、ハウジング308に取り付けられ、トランシーバ314に電気的に結合されうる。無線デバイス302はまた、(図示されないが)複数の送信機、複数の受信機、及び複数のトランシーバを含むこともできる。
【0033】
無線デバイス302はまた、トランシーバ314によって受信された信号のレベルを検出及び量子化するために用いられうる信号検出器318を含むこともできる。信号検出器318は、そのような信号を、合計エネルギ、シンボル毎のサブキャリア毎のエネルギ、電力スペクトル密度、及び他の信号として検出することができる。無線デバイス302はまた、信号の処理において用いるためのデジタル信号プロセッサ(DSP)320を含むこともできる。
【0034】
無線デバイス302の様々な構成要素は、電力バス、制御信号バス、状態信号バス、及びデータ・バスを含みうるバス・システム322によって集合的に結合されうる。
【0035】
当業者は、本明細書において説明された技術が一般に、例えばSDMA、OFDMA、CDMA、SDMA、及びそれらの組み合わせのような任意のタイプの多元接続スキームを用いるシステムにおいて適用されることを理解するであろう。
【0036】
本開示のある態様は、システム性能を改善するために、ダウンリンクSDMAシステムにおけるユーザ依存チャネル状態情報(CSI)フィードバック・レートを可能にするプロトコルを提供する。更に、ある態様は、各局のためのCSIフィードバック・レートを決定するために、アクセス・ポイント又は局によって用いられうる物理層メトリックを提案する。
【0037】
ダウンリンク・マルチユーザMIMO(MU−MIMO)システム又はSDMAシステムは、基地局又はアクセス・ポイント(AP)におけるアンテナ・アレイからの送信ビームフォーミングによって、複数の空間的に離れた局に同時にサービス提供することができる。局の各々から受信されたチャネル状態情報(CSI)に基づいて、複合送信プリコーディング・ウエイトがAPによって計算されうる。
【0038】
環境内を移動している物体によるモード・ステアリング又は局移動のために、チャネルは時間によって変化するので、APが各局へ正確にビームフォームするために、CSIは定期的に更新されなければならない。各局のための必要なCSIフィードバックのレートは、APとその局との間のチャネルのコヒーレンス時間に依存することができる。不十分なフィードバック・レートは、不正確なビームフォーミングによって性能に悪影響を及ぼしうる。一方、必要以上のフィードバック・レートは、貴重な媒体時間を浪費しつつ、ごくわずかな追加の利益しか生み出さない。
【0039】
複数の空間的に離れた局から構成されたシナリオにおいて、チャネル・コヒーレンス時間及び適切なCSIフィードバック・レートは、局にわたって空間的に変化することが予想されうる。更に、例えばチャネル状態の変化及び局の移動のような様々な要因によって、適切なCSIフィードバック・レートもまた、局の各々について時間的に変化することがある。
【0040】
例えば、高解像度テレビ(HDTV)又はセットトップ・ボックスのようないくつかの局は固定式であるが、ハンドヘルド・デバイスのような他の局は移動することがある。更に、局のサブセットは、蛍光灯の影響からの高いドップラの影響を受けることがある。最後に、いくつかの局へのマルチ経路は、異なる散乱が異なる速度で移動し、局の異なるサブセットに影響するので、他よりも多くのドップラを有することがある。
【0041】
従って、CSIフィードバックの単一のレートが全ての局のために用いられる場合、不十分なフィードバック・レートを有する局に関する不正確なビームフォーミング及び/又は不必要に高いフィードバック・レートを有する局に関する必要以上のフィードバック・オーバヘッドによって、システム性能が損害を受けることがある。
【0042】
従来のスキームにおいて、CSIフィードバックは、移動性又は一時的チャネル変化の観点から、最悪の場合のユーザに準拠したレートで発生することができる。しかし、様々な範囲のチャネル状態を経験する局から構成されるSDMAシステムの場合、単一のCSIフィードバック・レートは、全ての局について適切ではないことがある。最悪の場合の局に迎合すると、比較的静的なチャネル状態にある局に、非常に動的なチャネルにおけるレートと同じレートでCSI値をフィードバックさせることによって、チャネル・リソースを不必要に浪費することになる。
【0043】
例えば、CDMA2000規格において、エボリューション・データ・オプティマイズド(EV−DO)データ・レート制御チャネル(DRC)において、チャネル状態情報は、受信されたパイロットの信号対干渉プラス雑音比(SINR)を反映する。更に、チャネル状態情報は、次の送信のためのレート選択を容易にするために、局によって送信される。この情報は、全ての局のための固定レート、恐らく、予想される最悪の場合の移動状況に関連付けられたトラック・チャネル変化にも十分なレートにおいて更新される。チャネル状態フィードバックのこのレートは、静止状態のユーザにとって不必要に高くなるだろう。DRCは最小オーバヘッドを提供するように設計されたことが留意されるべきである。SDMAシステムにおけるCSIは、APにおける複合ビームフォーミングをサポートするために用いられるので、EV−DO設計において達成された程度までCSIフィードバックを圧縮又は縮小(streamline)することは適切ではない。
【0044】
第2の例として、ビームフォーミングの送信をサポートするIEEE802.11n規格は、CSIフィードバックが送信されるべきレートを指定しない。従って、CSIフィードバック・レートは、実行要因が考慮されうる。対照的に、IEEE802.11ac規格における複数のSDMAユーザのためのCSIフィードバックの高いオーバヘッドの可能性、及び不良な局によるそのようなCSIフィードバック・メカニズムの不正使用の可能性により、規格仕様書においてそれらのプロトコルを指定することが必要となりうる。
【0045】
上述したように、特定の局のためのCSIフィードバックの適切なレートは、その局の信号対雑音比(SNR)に依存しうる。ある態様の場合、低いSNR値(かつ低いダウンリンク変調及びコーディング・スキーム(MSC)レベル)を有するユーザは、低いCSIフィードバック・レートにバイアスをかけられうる。古いCSIに基づくプリコーディングによるスループット・ペナルティは、高いMCS/SNRのユーザに対するペナルティよりも、低いMCS/SNRのユーザに対して小さくなりうるからである。
【0046】
更に、CSIを通信するために必要なアップリンク・リソースは、高いSNR状態における局よりも、低いMCS(すなわち、低いデータ・レート)に関して大きくなる。従って、ダウンリンク・マルチユーザ(MU)MIMOから低SNRのユーザを完全に除外することが望ましい。
【0047】
本開示のある態様は、マルチユーザMIMOシステムにおける各局が、自身のチャネル状態に適切なレートでCSIを送信するように、ユーザ依存及び時間依存のCSIフィードバック送信を可能にするための媒体アクセス制御(MAC)プロトコルを提案する。多くのシナリオにおいて、このプロトコルは、ネットワーク・スループット及びチャネル効率における実質的な改善を導くことができる。
【0048】
図4は、本開示のある態様に従って、異種CSIフィードバックのための2ステップMACプロトコルを示す。第1のステップにおいて、アクセス・ポイントは、1つ又は複数の局からのチャネル進化フィードバック(CEFB、406)を要求することができる。第2のステップにおいて、APは、局のサブセットからのCSIフィードバック410を要求することができる。APは、各局のチャネル進化の程度、各局のSNR値又はMCS値、及び次のSDMA送信において予想される全体の干渉レベルに基づいて、局のサブセットからのフィードバックを要求することを決定することができる。提案された方法は、アップリンクSDMAを用いることによって、フィードバック・オーバヘッドの最小化を可能にする。
【0049】
ある態様の場合、図4に示すトランザクションは、トレーニング要求メッセージ(TRM)402を用いてAPによって開始されうる。TRMメッセージは、レガシIEEE802.11a/g局によって復号可能な形式を用いてサポートされる最も低いレートを用いて送信され、2つの目的を提供することができる。第1に、例えば到来するダウンリンクSDMA送信のための候補のようなユーザのサブセット又はユーザ全てからのチャネル進化データを要求することである。第2に、無関係な局全てに、それらのネットワーク割当てベクトル(NAV)を適切に設定させるように、TRMメッセージの持続期間フィールドを設定することによって、チャネル進化フィードバック・トランザクションを保護することである。
【0050】
TRMメッセージのペイロードは、チャネル進化に関する要求(すなわち、チャネル状態情報要求)を示すビットを含むことができる。短フレーム間空間(SIFS)間隔の後、APは、ダウンリンク・チャネル測深(channel sounding)のために用いられうる、非常に高いスループット(VHT)のプレアンブルを含むヌル・データ・パケット(NDP)404を局へ送信することができる。TRMとは異なり、NDPメッセージ(すなわち、チャネル測深メッセージ)は、レガシ局によって復号することができない。各局は、最新のCSIが送信されてからのチャネルの劣化の程度を示すメトリック又は複数のメトリックを含むことができるCEFBメッセージ406を用いて、TRMメッセージとNDPメッセージとの組み合わせに応答することができる。
【0051】
各局からの受信されたメトリックと、例えばSDMA局の総数及び各局のためのMCS及び送信電力のような他のネットワーク状態とに基づいて、APは、第2のTRMメッセージ408を送信し、CSIフィードバックが必要であるとAPが判定した局のサブセットからのチャネル・フィードバックを要求することができる。このTRMメッセージは、各局が自身のCSIフィードバック値を送信するMCSを指定することもできる。局はその後、自身のCSIフィードバック値を用いて応答することができる。第2のTRMメッセージ408の持続フィールドは、レガシ局を含む無関係の局からの干渉から、CSIフィードバック・トランザクションの持続期間全体を保護するように設定されうる。
【0052】
受信したCSIフィードバックに基づいて自身のプリコーディング・ウエイトを更新した後、APは、ダウンリンクSDMAデータ412を局へ送信することができる。ある態様の場合、ダウンリンクSDMAデータ送信は、自身への送信可(CTS)メッセージを用いてそれに先行することによって保護されうる。更に、CTSメッセージは、第2のTRMメッセージ408における持続フィールドによって保護されることもできる。
【0053】
規格がアップリンクSDMA(UL−SDMA)をサポートする場合、全ての局からのUL−SDMAを用いたCEFBメッセージ又はCSIメッセージの同時送信は、図4に示すプロトコルの最も効率的な実施形態となりうる。UL−SDMAがない場合、CEFBメッセージ及びCSIメッセージは、時分割多元接続(TDMA)又は直交周波数分割多元接続(OFDMA)によって連続して送信されうる。
【0054】
図5は、本開示のある態様に従って、異種CSIフィードバックのための2ステップMACプロトコルのためにアクセス・ポイントによって実行されうる、例となる動作500を示す。502において、アクセス・ポイントは、複数の局からのチャネル進化データを要求するためにTRMを送信することができる。504において、アクセス・ポイントは、局からのチャネル進化フィードバックを受信することができ、このチャネル進化フィードバックは、最新のCSIが送信されてからのチャネル劣化の程度を示すことができる。
【0055】
506において、アクセス・ポイントは、局からの受信されたチャネル進化フィードバックに少なくとも部分的に基づいて、CSIフィードバックを更新するべきである局のサブセットを決定することができる。508において、アクセス・ポイントは、局のサブセットへTRMメッセージを送信し、CSIフィードバックを要求することができる。510において、アクセス・ポイントは、局のサブセットからの1つ又は複数のCSIフィードバック・メッセージを受信することができる。512において、アクセス・ポイントは、受信したCSIフィードバック・メッセージに基づいて、プリコーディング・ウエイトを更新することができる。
【0056】
図6は、本開示のある態様に従って、異種CSIフィードバックのための2ステップMACプロトコルのために局によって実行されうる、例となる動作600を示す。602において、局は、APからの、チャネル進化データを要求するTRMメッセージを受信することができる。604において、局は、チャネル進化フィードバックをAPへ送信することができる。チャネル進化フィードバックは、最新のCSIが送信されてからのチャネル劣化の程度を示すことができる。606において、局は、その局がCSI情報を再送信するために必要な局のうちの1つとしてAPによって選択された場合、CSIフィードバックを要求しているAPからのTRMメッセージを受信することができる。608において、局は、CSIフィードバックを要求するTRMメッセージが受信された場合、CSIフィードバック・メッセージをAPへ送信することができる。
【0057】
ある態様の場合、CSIフィードバックがUL−SDMAによって達成されなかった場合、第2のTRMメッセージに含まれた持続フィールドは、全ての局がCSIフィードバックを送信することを想定して、APによって計算されうる。一般にこのメカニズムは、フィードバック送信と関係のない局からの送信によって起こるコリジョンから、CEFBメッセージ及びCSIメッセージを保護することができる。
【0058】
ある態様の場合、APにCSIを要求することの決定を集中させる「ソフト」チャネル進化メトリックが用いられうる。APは、この決定において、例えばマルチユーザ干渉レベル及びユーザ毎MCSのような他の要因を考慮することもできる。
【0059】
図7は、本開示のある態様に従って、決定性バックオフ・タイマに基づく異種CSIフィードバックのための代わりのMACプロトコルを示す。図示したように、CSIフィードバック・メッセージを送信するという決定は、単一のステップにおいて実行されうる。更に、局の各々が、CSIフィードバックを送信するか否かを決定することができる。この決定は、定義されたメトリック及び予め定められた基準に少なくとも部分的に基づくことができる。最後にCSIフィードバック・メッセージが送信された時からチャネルが変化したと判定した局のみが、CSIフィードバックを送信することができる。その結果、CSIフィードバック・オーバヘッドが低減されうる。
【0060】
図7に示されたプロトコルは、UL−SDMAが利用可能ではないエア・インタフェースのためにより適切であることができる。提案されたプロトコルにおいて、各SDMA局は、ハード・メトリックと同種の内部計算に基づいて、CSIをフィードバックするか否かを決定することができる。連続CSI送信のタイミングは、決定性バックオフ・タイマを用いることによって達成されうる。
【0061】
APは、DL−SDMA送信がペンディングされようとしている局にアドレス指定されたTRMメッセージを送信することによって、図7に示すトランザクションを開始することができる。TRMメッセージは、各局のための決定性バックオフ割当てを含むことができる。図4と同様に、TRMメッセージは、測深プレアンブルを提供するNDPメッセージによって後続されうる。各局は、その局が、APにおけるCSI更新が必要であると決定した場合、今度はCSIフィードバックを用いて応答することができる。局は、CSI更新が必要ではないと決定した場合、何も送信しない。
【0062】
決定性バックオフ・タイマを用いて、各局は、自身のバックオフ・タイマが満了した時しか送信しない。各局は、他の局による送信を検出した場合、自身のタイマを一時停止することもできる。タイマは、他の局が送信を完了し、媒体ではなくなった後、カウントダウンを再開することができる。適切に選択されたバックオフ値を用いると、応答していない局による時間損失は最小化されることができ、その結果、必要なCSIフィードバック・メッセージ全てを受信するために必要な時間が低減されうる。
【0063】
最後の局からのCSIメッセージの受信後、又は最も長いバックオフ・タイマの満了後、APは、プリコーディング・ウエイトを再計算し、DL−SDMA送信412を開始することができる。図7に示す例において、STA3はCSIフィードバック・メッセージを送信せず、STA4は、最小遅延時間後、CSIフィードバック・メッセージの送信を開始する。
【0064】
本開示のある態様の場合、要求メッセージは、CSIが測深フレーム又はデータ・フレームを用いて送信されることを示すインジケーションを提供することができる。
【0065】
図8は、本開示のある態様に従って、決定性バックオフ・タイマに基づく異種CSIフィードバックのためのMACプロトコルのためにアクセス・ポイントによって実行されうる、例となる動作800を示す。802において、アクセス・ポイントは、複数の局へTRMメッセージを送信する。TRMは、CSIに関する要求であり、TRMメッセージは、局の各々のための決定性バックオフ・タイマ割当てを含む。804において、アクセス・ポイントは、それらの局の対応するバックオフ・タイマに従って、局からの複数のCSIフィードバック・メッセージを受信する。806において、アクセス・ポイントは、受信したCSIフィードバック・メッセージに基づいてプリコーディング・ウエイトを更新する。
【0066】
図9は、本開示のある態様に従って、決定性バックオフ・タイマに基づく異種CSIフィードバックのためのMACプロトコルのために局によって実行されうる、例となる動作900を示す。902において、局は、APからのTRMを受信する。このTRMは、局のための決定性バックオフ・タイマ割当てを含む。904において、局は、CSIが更新される必要があるかを判定する。イエスであれば、906において、局は、バックオフ・タイマに従ってCSIフィードバックを送信する。CSIが更新される必要がない場合、908において、局はCSIフィードバックを送信しない。
【0067】
このプロトコルの1つの欠点は、決定性バックオフの概念は、全ての局が、媒体を送信することによってその他の局の送信を検出することができると想定している点である。しかし、隠されたノードの存在において、バックオフ・タイマは予想通りに停止せず、CSIフィードバック・データのコリジョンを招く可能性がある。
【0068】
図10は、本開示のある態様に従って、局のポーリングに基づく異種CSIフィードバックのためのMACプロトコルを示す。このプロトコルは、ポーリング・プロトコルを用いることによって、隠されたノード問題を回避し、異なる局からの送信のコリジョンを回避する。
【0069】
図10に示すように、TRMメッセージ及び測深NDPメッセージの送信に後続して、各局は、CSIフィードバックのために連続してポーリングされる。局は、その局が、CSI更新が必要であると判定した場合、CSIフィードバックを送信することによってポーリング1002に応答することができる。そうでない場合、局は、何も送信しない。APが、1つのタイムスロット後、ポーリングへの応答を検出しない場合、APは次の局をポーリングする。最後の局からのCSIの受信後、又は最後にポーリングされた局からの応答がない場合、APは、プリコーディング・ウエイトを再計算し、DL−SDMAデータ送信を開始することができる。図10に示された例において、STA3は、CSIフィードバック・メッセージを送信しない。APは、ある時間内にSTA3からの応答を検出しなかった場合、CSIフィードバックのためにSTA4をポーリングすることができる。
【0070】
図11は、本開示のある態様に従って、局のポーリングに基づく異種CSIフィードバックのためのMACプロトコルのためにアクセス・ポイントによって実行されうる、例となる動作1100を示す。1102において、アクセス・ポイントは、複数の局へTRMメッセージを送信する。1104において、アクセス・ポイントは、局の各々へポーリング・メッセージを送信する。1106において、アクセス・ポイントは、ポーリング・メッセージに応答して局からの1つ又は複数のCSIフィードバック・メッセージを受信する。1102において、アクセス・ポイントは、受信したCSIフィードバック・メッセージに基づいて、プリコーディング・ウエイトを更新する。
【0071】
図12は、本開示のある態様に従って、局のポーリングに基づく異種CSIフィードバックのためのMACプロトコルのために局によって実行されうる、例となる動作1200を示す。1202において、局は、APからのTRMメッセージを受信する。1204において、局は、APにおけるCSIが更新される必要があるかを判定する。1206において、局は、APからのポーリング・メッセージを受信する。1208において、ポーリング・メッセージに応答して、局は、CSIが更新される必要があると判定された場合、CSIフィードバックを送信し、そうでない場合、何も送信しない。
【0072】
本開示のある態様の場合、TRMメッセージは、レガシ復号可能形式を有することができる。従ってTRMメッセージは、DL−SDMAをサポートしていない局(すなわち、レガシ局)であっても、全ての局によって復号することができる。TRMメッセージは、局のうちのいくつかが、それらのNAVを適切に設定することによって送信を延期することができるように、持続フィールドを搬送することができる。自身の送信を延期する局は、到来するDL SDMA送信に関わりのない局か、(レガシ局であっても)SDMAの機能がない局であることができる。
【0073】
ある態様の場合、TRMメッセージに含まれる持続フィールドは、局全てがCSIメッセージをフィードバックしうることを想定して、APによって計算されうる。これは、フィードバック送信に関係のない局の送信によって発生するコリジョンから、測深NDPメッセージ及びCSIメッセージを保護する。
【0074】
本開示は、アップリンクSDMAがサポートされる場合、CSIフィードバック・オーバヘッドを低減するためのプロトコルを提案した。ある態様は、UL−SDMAがサポートされていない場合、フィードバック・オーバヘッドを最適化する。本文書において説明されるように、レガシ局又は到来するフィードバック送信に関する任意の特定のSDMA送信と関係のない他の局に通知することによって、チャネル進化及びCSIフィードバックは、データ・コリジョンから保護されうる。
【0075】
(分析)
本開示の文書において説明されたシナリオを拡大すると、例えば100ms、200ms、400ms、600ms、800ms、1000ms、及び1200msのようなチャネル・コヒーレンス時間の範囲を経験している10デュアル・アンテナ局及び8アンテナAPを有する40MHz802.11acネットワークが想定される。これらの値は、チャネル内での入念な歩行行動による、室内状態にある固定局に関する最近の測定キャンペーンと整合している(100msは、測定値の約1パーセンタイルを表す)。所与の局のための好適なCSIフィードバック間隔は、その局のチャネル・コヒーレンス時間の10%であることが想定される。更に、54Mbpsのわずかなアップリンク容量が全ての局について想定されうる。
【0076】
提案されたプロトコルが実施されない場合、システムは、全ての局が、予想される最悪の場合のドップラ状態のために適切なレートでCSIフィードバックを送信するように設計されなければならない。従って、100msのコヒーレンス時間を想定すると、全てのユーザは、毎秒100回のCSIメッセージをフィードバックすることができる。従って、全てのCSIフィードバック・メッセージのために必要な容量の合計は、以下のようになりうる。 100CSI/sec×16bit/CSI×8Tx×2Rx×114サブキャリア×10局×110%MACオーバヘッド=30.6Mbps これは、利用可能な54Mbpsのアップリンク容量の57%を示す。
【0077】
提案されたプロトコルが実施された場合、CSIフィードバックは、各局のチャネル・コヒーレンス時間のために適切なレートで発生することができる。この場合、全てのCSIフィードバック・メッセージを送信するために必要な合計スループットは8.3Mbpsであり、これは、利用可能な54Mbpsのアップリンク容量の約15%を示す。これは、提案された技術が実現されなかった場合と比較して、明確なCSIフィードバックのために必要なチャネル・オーバヘッドにおける73%の低減を示す。
【0078】
局が、SNR又はSINRの範囲にある場合の条件において、低いMCSのユーザに低いフィードバック・レートを適用することによって更なる最適化が可能となり、その結果、更なるオーバヘッドの低減が可能となりうる。
【0079】
(CSI進化メトリック)
本開示のある態様の場合、適応可能な局依存チャネル状態情報フィードバック・レートのためのMAC層プロトコルにおいて、アクセス・ポイント又は局のいずれかによってチャネル状態情報進化メトリックが計算されうる。CSI進化メトリックは、局に関するCSIの「劣化」あるいは「進化」の程度を評価するためにAP又は局のいずれかによって用いられうる。CSI進化メトリックは、局において計算され、更なる処理のためにアクセス・ポイントへフィードバックされうる。あるいはCSIメトリックは、局から受信した最新のCSI値のうちの2つを用いてAPにおいて計算されうる。
【0080】
CSI進化メトリックは、各局に関するCSI進化の程度と、その局のSNR状態との両方を説明することができる。不必要に高いCSIフィードバック・レートを促進しうる偽りの(artificial)メトリックを通信することによって、「不良な」局が不正にプロトコルを用いることを防止するために、CSI進化メトリックは、開発者に任されるのではなく、エア・インタフェース規格仕様書において定義される必要がある。
【0081】
ある態様の場合、CSI進化メトリックは、「ソフト・メトリック」として定義されることができ、局によって計算されAPへ通信されるか、又はAPによって直接計算される。この場合、APは、局からのCSI更新が必要であるか否かに関する決定の責任を負うことができる。CSI進化メトリック、DCSIは、以下のように計算されうる。
【数1】
【0082】
この場合、‖H‖は、マトリクスHのノルムを示し、Hnewは、局において測定された最新のダウンリンク複合チャネル推定値である。Holdは、最も新しくAPへフィードバックされた複合チャネル推定値であり、これに基づいて現在のプリコーディング・ウエイトが計算される。DCSIの値は、HoldとHnewが同様である場合、ゼロに近づきうる。DCSIの値は、Hnewの大きさ又はフェーズ特性のいずれかがHoldの大きさ又はフェーズ特性から外れるにつれ、大きくなりうる。本明細書におけるHnew及びHoldは、受信機におけるフェーズ雑音の影響を補正するためのパイロット調整チャネル推定値を称する。
【0083】
本開示のある態様の場合、CSI進化メトリック、DCSIは、局の現在のSNR状態を示すインジケーションによって添付され、APへ送信されうる。APは、局からの受信された情報に少なくとも部分的に基づいて、局からのCSIフィードバックを要求するか否かを決定することができる。局の現在のSNR状態を示すインジケーションは、明確なSNR推定値であることができる。現在のSNR状態は、その局の現在のダウンリンク及び/又はアップリンクのMCSから暗黙に確かめられることもできる。
【0084】
ある態様の場合、APは、局からのCSIフィードバックを要求するか否かを決定するために、各局に割り当てられたダウンリンク送信電力と、次のSDMA送信において予想される局の数とを考慮することもできる。
【0085】
高いSNR体制において、ユーザのSINRは、干渉しているユーザの空値がもはや最適に進められず、そのユーザへの高い干渉をもたらすので、自身のチャネルが進化すると減少する。従って、(等距離のユーザを想定して)SDMAを介してアクセス・ポイントによってサービス提供される局の数が増加すると、干渉の可能性も増加する。その結果、ユーザのSINR及び達成可能なデータ・レートは、ますますチャネル進化の影響を受け易くなる。
【0086】
従って、ある態様の場合、APは、SDMA局の数が多い場合ほど頻繁にCSIを要求することができる。同様に、いくつかのユーザへ高い電力が送信された場合、干渉の可能性が高いことにより、局のうちのいくつかからのより頻繁なフィードバックが必要となりうる。
【0087】
ある態様の場合、OFDMシステムにおいて、CSI進化メトリック、DCSIは、サブキャリアのサブセット又はサブキャリア全てについて計算されうる。APへ提供されたチャネル進化フィードバックは、各サブキャリアについて別々のメトリックの形式をとるか、全てのサブキャリアにわたる平均の形式をとることができる。平均チャネル進化メトリックは、通信されるアップリンク・チャネル・リソースを少ししか必要とせず、チャネル進化の程度のより信頼できる推定値にもなりうる。
【0088】
ある態様の場合、複数のアンテナを有する局の場合、DCSIは、各受信アンテナについて別々に計算されうる。Hold及びHnewは、完全なNrx×Ntxチャネル推定値の形式をとることもできる。従って、APへ提供されたチャネル進化フィードバックは、各受信アンテナについて別々のメトリックであるか、全てのアンテナの平均であるかのいずれかとなりうる。
【0089】
本開示のある態様の場合、DCSIは、局によって計算されAPへ通信される「ハード・メトリック」として定義されることもできる。この場合、局は、APへのCSI更新が必要であるか否かに関する決定について責任を負うことができる。ハードDCSIメトリックは、論理値(すなわち、真又は偽)として書かれ、以下のように規定されうる。
【数2】
【0090】
この場合、SNRは、局によって経験された線形ユニットにおける現在のSNRであることができ、Marginは、システム内で定義された固定の閾値又は限界値であることができる。
【0091】
式(2)に示すハードDCSIメトリックは、式(1)に示すソフトDCSIメトリックとSNR依存閾値とを比較することによって生成されることに留意されたい。チャネルが、APへのCSIの更新を保証するのに十分に進化した場合、式(2)は「真」となるであろう。ハードDCSIメトリックは、高いSNRの局ほど真になりやすい。これは、高いSNR又は高いMCSを有する局からのより頻繁なフィードバックが必要となるので、望ましい。
【0092】
ある態様の場合、局におけるチャネル進化をトラックするための第2のソフトDCSIメトリックが以下のように定義されうる。
【数3】
【0093】
この場合、Hnew及びHoldは、単一の局のアンテナに関する複合チャネル推定値を含む行ベクトルであり、A・Bは、ベクトルAとベクトルBとの内積を表し、B’は、ベクトルBのエルミート転置行列を表し、|x|は、Xの大きさを示す。式(3)に示すソフトDCSIメトリックの値は、HoldとHnewとが同様である場合、1に等しくなりうる。DCSIは、Hnewのフェーズ特性がHoldから外れるにつれ小さくなる。しかし、例えば経路損失における変化のようなHの大きさにおける変化によるチャネル進化は、このメトリックによって検出されることができないことが留意されるべきである。
【0094】
ある態様の場合、第3のソフトDCSIメトリックは、以下のように定義されうる。
【数4】
【0095】
この場合、Hnew及びHoldは、単一のアンテナの局に関する複合チャネル推定であり、arg(x)は、Xの独立変数(すなわち、角度)関数を表す。式(4)に示すソフトDCSIメトリックの値は、HoldとHnewとが同様である場合、ゼロに等しくなりうる。DCSIは、Hnewのフェーズ特性がHoldから外れるにつれ大きくなりうる。しかし、例えば損失経路における変化のようなHの大きさにおける変化によるチャネル進化は、このメトリックによって正しく検出されない。
【0096】
式(3)及び式(4)において定義されたソフト・メトリックはいずれもSNRと同種ではないので、これらは、式(1)において定義されたソフト・メトリックのようにハード・メトリックの基準としては適切でない。
【0097】
ある態様の場合、チャネル進化をトラックするための第4のメトリックが以下のように定義されうる。
【数5】
【0098】
この場合、
【数6】
【0099】
であり、pは、式(3)に示すメトリックと等しい。式(5)に示すメトリックは、式(1)に示すメトリックの良好な推定器となり、HoldとHnewとの間の平均平方誤差の推定値として代わりに用いられうる。
【0100】
式(5)に示すメトリックは、局とAPとの間のフェーズ基準ドリフトの影響を受けないという利点を有し、マルチユーザMIMO性能に影響を及ぼさない。フェーズ・ドリフトが存在すると、式(1)に示すメトリックは、チャネル進化の程度の過大評価をもたらす結果をトリガしうる。
【0101】
図13は、本開示のある態様に従って、異種CSIフィードバックをサポートするために物理層メトリックを計算するための、例となる動作1300を示す。1302において、局は、現在のチャネル推定値を取得する。1304において、局は、APへ通信された最新のチャネル推定値を取得する。1306において、局は、APへ通信された最新のチャネル推定値及び現在のチャネル推定値に少なくとも基づいて、第1のメトリック(すなわち、ソフト・メトリック)を計算する。
【0102】
1308において、局は、第2のメトリック(すなわち、ハード・メトリック)を生成するために、第1のメトリックとSNR依存閾値とを比較することができる。局は、第1のメトリック又は第2のメトリックをアクセス・ポイントへ送信することができ、ここからアクセス・ポイントは、CSI更新を要求するべきか否かを決定する。局はまた、CSI更新をアクセス・ポイントへ送信するべきか否かを決定するために第2のメトリックを用いることもできる。
【0103】
ある態様の場合、式1乃至5に記載されたメトリックは、APによって計算されうる。APは、各STAからのCSIを要求するか否かを決定するために、計算されたメトリックを用いることができる。従って、上述されたメトリックは、局によってトラックされ、APへ通信されたメトリックではなく、AP内の意思決定アルゴリズムの一部とみなされうる。
【0104】
ある態様の場合、局からのCSI更新を要求するかの決定は、チャネル進化メトリックに加えて、最後のCSI更新から経過した時間に依存することができる。
【0105】
図14は、本開示のある態様に従って、アクセス・ポイントによって実行されうる、異種CSIフィードバックをサポートするために物理層メトリックを計算するための例となる動作を示す。
【0106】
1402において、APは、局からの最近のチャネル推定値及び現在のチャネル推定値を取得する。1404において、APは、現在のチャネル推定値及び最近のチャネル推定値に少なくとも基づいて第1のメトリックを計算する。この場合、第1のメトリックは、ユーザ機器からのチャネル状態情報(CSI)の更新が要求されるかを判定するために用いられる。
【0107】
本開示の態様は、マルチユーザ通信システムにおける適応可能な局依存チャネル状態情報フィードバック・レートをサポートするためのメトリック及び方法を提案した。上述したように、チャネル進化メトリックは、APによって計算されることも局によって計算されることもできる。
【0108】
上述された方法の様々な動作は、対応する機能を実行することができる任意の適切な手段によって実行されうる。手段は、回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、又はプロセッサに限定されないがそれらを含む様々なハードウェア及び/又はソフトウェアの構成要素及び/又はモジュールを含むことができる。一般に、図面において動作が示された場合、それらの動作は、同様の番号を有する、対応する同等の手段プラス機能構成要素を有することができる。例えば、図5、6、8、9、11、12、13、及び14に示された動作500、600、800、900、1100、1200、1300、及び1400はそれぞれ、図5A、6A、8A、9A、11A、12A、13A、及び14Aにそれぞれ示された構成要素500A、600A、800A、900A、1100A、1200A、1300A、及び1400Aに対応する。
【0109】
本明細書において用いられる場合、「決定する」と言う用語は、様々な広範囲のアクションを包含する。例えば、「決定する」は、計算する(calculating)、計算する(computing)、処理する、導出する、調査する、検索する(例えば、表、データベース、又は別のデータ構成において検索する)、確かめる、等を含むことができる。また、「決定する」は、受信する(例えば、情報を受信する)、アクセスする(例えば、メモリ内のデータにアクセスする)、等を含むこともできる。また、「決定する」は、分解する、選択する(selecting)、選択する(choosing)、確立する、等を含むこともできる。
【0110】
上述された方法の様々な動作は、例えば様々なハードウェア及び/又はソフトウェアの構成要素、回路、及び/又はモジュールのような、動作を実行することができる任意の適切な手段によって実行されうる。一般に、図面に示された任意の動作は、その動作を実行することができる対応する機能手段によって実行されうる。
【0111】
本開示に関連して説明された様々な例示的な論理ブロック、モジュール、及び回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)あるいは他のプログラマブル論理デバイス(PLD)、ディスクリート・ゲートあるいはトランジスタ・ロジック、ディスクリート・ハードウェア部品、又は本明細書で説明された機能を実行するように設計されたそれらの任意の組み合わせを用いて実現又は実行されうる。汎用プロセッサとしてマイクロプロセッサを用いることができるが、代わりに、任意の商用プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又はステート・マシンを用いることもできる。プロセッサは、例えばDSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアに接続された1つ又は複数のマイクロプロセッサ、又は他の任意のそのような構成のようなコンピュータ・デバイスの組み合わせとして実装されることもできる。
【0112】
本開示に関連して説明されたアルゴリズム又は方法のステップは、ハードウェアによって直接、プロセッサによって実行されるソフトウェア・モジュールによって、又はそれら2つの組み合わせによって具現化されうる。ソフトウェア・モジュールは、当該技術において周知である任意の形式の記憶媒体内に収納されうる。用いられうる記憶媒体のいくつかの例は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、フラッシュ・メモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハード・ディスク、リムーバブル・ディスク、CD−ROM等を含む。ソフトウェア・モジュールは、単一の命令又は多数の命令を備えることができ、いくつかの異なるコード・セグメント、異なるプログラム、及び複数の記憶媒体に散在することができる。記憶媒体は、プロセッサがそこから情報を読み取り、またそこへ情報を書き込むことができるように、プロセッサに結合されうる。あるいは記憶媒体は、プロセッサに統合されうる。
【0113】
本明細書において開示された方法は、上述された方法を達成するための1つ又は複数のステップ又はアクションを備える。方法のステップ及び/又はアクションは、特許請求の範囲から逸脱することなく、互いに置き換えられうる。すなわち、ステップ又はアクションの特定の順序が指定されない限り、特定のステップ及び/又はアクションの順序及び/又は使用は、特許請求の範囲から逸脱することなく変更されうる。
【0114】
上述された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせによって実現されうる。ソフトウェアによる実現の場合、機能は、コンピュータ読取可能媒体上の1つ又は複数の命令として格納されうる。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体であることができる。限定ではなく一例として、そのようなコンピュータ読取可能媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMあるいは他の光学ディスク記憶媒体、磁気ディスク記憶媒体あるいは他の磁気記憶デバイス、又は、命令又はデータ構成の形式で所望のプログラム・コードを搬送又は格納するために用いることができ、コンピュータによってアクセスすることができる他の任意の媒体を備えることができる。ディスク(disk)及びディスク(disc)は、本明細書において用いられる場合、コンパクト・ディスク(disc)(CD)、レーザ・ディスク(disc)、光学ディスク(disc)、デジタル・バーサタイル・ディスク(disc)(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク(disk)、及びブルーレイ(登録商標)ディスク(disc)を含み、ディスク(disk)が一般にデータを磁気的に再生するのに対し、ディスク(disc)はレーザを用いてデータを光学的に再生する。
【0115】
従って、ある態様は、本明細書に提示された動作を実行するためのコンピュータ・プログラム製品を備えることができる。例えばそのようなコンピュータ・プログラム製品は、そこに格納された(及び/又は符号化された)命令を有するコンピュータ読取可能媒体を備えることができ、命令は、本明細書で説明された動作を実行するための1つ又は複数のプロセッサによって実行可能である。ある態様の場合、コンピュータ・プログラム製品は、包装材料を含むことができる。
【0116】
ソフトウェア又は命令は、送信媒体を介して送信されることもできる。例えば、ソフトウェアが、ウェブサイト、サーバ、又は他の遠隔ソースから、同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、ツイスト・ペア、デジタル加入者線(DSL)、又は例えば赤外線、ラジオ、及びマイクロ波のような無線技術を用いて送信された場合、同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、ツイスト・ペア、DSL、又は例えば赤外線、ラジオ、及びマイクロ波のような無線技術は送信媒体の定義に含まれる。
【0117】
更に、モジュール及び/又は本明細書で説明された方法及び技術を実行するための他の適切な手段は、ダウンロードされる、及び/又は規定どおりにユーザ端末及び/又は基地局によって取得されることができる。例えば、そのようなデバイスは、本明細書で説明された方法を実行するための手段の転送を容易にするために、サーバに結合されることができる。あるいは、本明細書で説明された様々な方法は、ユーザ端末及び/又は基地局が、デバイスに格納手段を結合又は提供すると様々な方法を取得することができるように、格納手段(例えば、RAM、ROM、例えばコンパクト・ディスク(CD)又はフロッピー・ディスク等のような物理記憶媒体)を介して提供されうる。更に、本明細書で説明された方法及び技術をデバイスに提供するための他の任意の適切な技術が用いられうる。
【0118】
特許請求の範囲は、上述されたものと全く同じ構成及び構成要素に限定されないことが理解されるべきである。特許請求の範囲から逸脱することなく、上述された方法及び装置の順序、動作、及び詳細において、様々な修正、変更、及び変形例が成立しうる。
【0119】
本明細書において提供された技術は、様々な用途において用いることができる。ある態様の場合、本願に提示された技術は、アクセス・ポイント局、アクセス端末、モバイル・ハンドセット、又は本明細書において提供された技術を実行するための処理ロジック及び要素を有する他のタイプの無線デバイスに組み込まれることができる。
【0120】
上記は本開示の態様に向けられるが、本開示の他の態様及び更なる態様が、本願の基本的な範囲から逸脱することなく考案されることができ、本願の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
【0121】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0122】
[1]第1の装置による無線通信のための方法であって、
現在のチャネル推定値を取得することと、
第2の装置へ通信された最近のチャネル推定値を取得することと、
前記現在のチャネル推定値又は前記最近のチャネル推定値に少なくとも基づいて第1のメトリックを計算することとを備え、前記第1のメトリックは、チャネル状態情報(CSI)更新が前記第2の装置へ送信されるべきかを判定するために用いられる方法。
【0123】
[2]前記第2の装置からの要求メッセージを受信することと、
前記要求メッセージに応答して、前記第1のメトリックを前記第2の装置へ送信することとを更に備える、[1]に記載の方法。
【0124】
[3]前記第1のメトリック及び予め定められた基準に少なくとも部分的に基づいて、前記CSI更新を前記第2の装置へ送信することを決定することを更に備える、[1]に記載の方法。
【0125】
[4]前記CSI更新を送信することを決定することは、
チャネルの信号対雑音比(SNR)及び前記第1のメトリックに基づいて第2のメトリックを計算することと、
前記第2のメトリックに基づいて、前記CSI更新が前記第2の装置へ送信されるべきであるかを決定することとを備える、[3]に記載の方法。
【0126】
[5]前記第2のメトリックを前記第2の装置へ送信することを更に備える、[4]に記載の方法。
【0127】
[6]無線通信のための装置であって、
現在のチャネル推定値を取得するように構成された推定器であって、他の装置へ通信された最近のチャネル推定値を取得するようにも構成された推定器と、
前記現在のチャネル推定値又は前記最近のチャネル推定値に少なくとも基づいて第1のメトリックを計算するように構成された回路とを備え、前記第1のメトリックは、チャネル状態情報(CSI)更新が前記他の装置へ送信されるべきかを判定するために用いられる装置。
【0128】
[7]前記他の装置からの要求メッセージを受信するように構成された受信機と、
前記要求メッセージに応答して、前記第1のメトリックを前記他の装置へ送信するように構成された送信機とを更に備える、[6]に記載の装置。
【0129】
[8]前記第1のメトリック及び予め定められた基準に少なくとも部分的に基づいて、前記CSI更新を前記他の装置へ送信することを決定するように構成された別の回路を更に備える、[6]に記載の装置。
【0130】
[9]前記別の回路はまた、
チャネルの信号対雑音比(SNR)及び前記第1のメトリックに基づいて第2のメトリックを計算し、
前記第2のメトリックに基づいて、前記CSI更新が前記他の装置へ送信されるべきかを決定するようにも構成された、[8]に記載の装置。
【0131】
[10]前記送信機はまた、前記第2のメトリックを前記他の装置へ送信するようにも構成された、[9]に記載の装置。
【0132】
[11]無線通信のための装置であって、
現在のチャネル推定値を取得するための手段と、
他の装置へ通信された最近のチャネル推定値を取得するための手段と、
前記現在のチャネル推定値又は前記最近のチャネル推定値に少なくとも基づいて第1のメトリックを計算するための手段とを備え、前記第1のメトリックは、チャネル状態情報(CSI)更新が前記他の装置へ送信されるべきかを判定するために用いられる装置。
【0133】
[12]前記他の装置からの要求メッセージを受信するための手段と、
前記要求メッセージに応答して、前記他の装置へ前記第1のメトリックを送信するための手段とを更に備える、[11]に記載の装置。
【0134】
[13]前記第1のメトリック及び予め定められた基準に少なくとも部分的に基づいて、前記CSI更新を前記他の装置へ送信することを決定するための手段を更に備える、[11]に記載の装置。
【0135】
[14]前記CSI更新を送信することを決定するための手段は、
チャネルの信号対雑音比(SNR)及び前記第1のメトリックに基づいて第2のメトリックを計算するための手段と、
前記第2のメトリックに基づいて、前記CSI更新が前記他の装置へ送信されるべきかを決定するための手段とを備える、[13]に記載の装置。
【0136】
[15]前記第2のメトリックを前記他の装置へ送信するための手段を更に備える、[14]に記載の装置。
【0137】
[16]第1の装置による無線通信のためのコンピュータ・プログラム製品であって、
現在のチャネル推定値を取得し、
第2の装置へ通信された最近のチャネル推定値を取得し、
前記現在のチャネル推定値又は前記最近のチャネル推定値に少なくとも基づいて第1のメトリックを計算するように実行可能な命令を備えるコンピュータ読取可能媒体を備え、前記第1のメトリックは、チャネル状態情報(CSI)が前記第2の装置へ送信されるべきかを判定するために用いられるコンピュータ・プログラム製品。
【0138】
[17]少なくとも1つのアンテナと、
現在のチャネル推定値を取得するように構成された推定器であって、アクセス・ポイントへ通信された最近のチャネル推定値を取得するようにも構成された推定器と、
前記現在のチャネル推定値又は前記最近のチャネル推定値に少なくとも基づいて第1のメトリックを計算するように構成された回路とを備える無線ノードであって、前記第1のメトリックは、チャネル状態情報(CSI)更新が前記少なくとも1つのアンテナを介して前記アクセス・ポイントへ送信されるべきかを判定するために用いられる無線ノード。
【0139】
[18]無線通信のための方法であって、
装置からの最近のチャネル推定値及び現在のチャネル推定値を取得することと、
前記現在のチャネル推定値又は前記最近のチャネル推定値に少なくとも基づいて第1のメトリックを計算することとを備え、前記第1のメトリックは、前記装置からのチャネル状態情報(CSI)更新が要求されるべきかを判定するために用いられる方法。
【0140】
[19]前記第1のメトリック及び予め定められた基準に少なくとも部分的に基づいて、前記装置からの前記CSI更新を要求することを決定することを更に備える、[18]に記載の方法。
【0141】
[20]前記CSI更新を要求することを決定することは、前記第1のメトリック及び最新のCSI更新から経過した時間に基づく、[19]に記載の方法。
【0142】
[21]前記CSI更新を要求することを決定することは、
チャネルの信号対雑音比(SINR)及び前記第1のメトリックに基づいて第2のメトリックを計算することと、
前記第2のメトリックに少なくとも部分的に基づいて、チャネル状態情報要求が前記装置へ送信されるべきかを決定することとを備える、[19]に記載の方法。
【0143】
[22]決定することは、
前記第2のメトリック及び最新のCSI更新から経過した時間に少なくとも基づいて、前記チャネル状態情報要求が前記装置へ送信されるべきかを決定することを備える、[21]に記載の方法。
【0144】
[23]前記決定に基づいて、前記CSI更新に関する要求を前記装置へ送信することを更に備える、[19]に記載の方法。
【0145】
[24]前記CSI更新に関する要求は、トレーニング要求メッセージ又はチャネル測深メッセージのうちの少なくとも1つを備える、[23]に記載の方法。
【0146】
[25]無線通信のための装置であって、
他の装置からの最近のチャネル推定値及び現在のチャネル推定値を取得するように構成された受信機と、
前記現在のチャネル推定値又は前記最近のチャネル推定値に少なくとも基づいて第1のメトリックを計算するように構成された回路とを備え、前記第1のメトリックは、前記他の装置からのチャネル状態情報(CSI)更新が要求されるべきかを判定するために用いられる装置。
【0147】
[26]前記第1のメトリック及び予め定められた基準に少なくとも部分的に基づいて、前記他の装置からのCSI更新を要求することを決定するように構成された別の回路を更に備える、[25]に記載の装置。
【0148】
[27]前記CSI更新を要求することを決定することは、前記第1のメトリック及び最新のCSI更新から経過した時間に少なくとも基づく、[26]に記載の装置。
【0149】
[28]前記他の回路はまた、
チャネルの信号対雑音比(SNR)及び前記第1のメトリックに基づいて第2のメトリックを計算し、
前記第2のメトリックに少なくとも部分的に基づいて、チャネル状態情報要求が前記他の装置へ送信されるべきかを決定するようにも構成された、[26]に記載の装置。
【0150】
[29]前記他の回路はまた、
前記第2のメトリック及び前記最後のCSI更新から経過した時間に少なくとも基づいて、前記チャネル状態情報要求が前記他の装置へ送信されるべきかを決定するようにも構成された、[28]に記載の装置。
【0151】
[30]前記決定に基づいて、前記CSI更新に関する要求を前記他の装置へ送信するように構成された送信機を更に備える、[26]に記載の装置。
【0152】
[31]前記CSI更新に関する要求は、トレーニング要求メッセージ又はチャネル測深メッセージのうちの少なくとも1つを備える、[30]に記載の装置。
【0153】
[32]無線通信のための装置であって、
他の装置からの最近のチャネル推定値及び現在のチャネル推定値を取得するための手段と、
前記現在のチャネル推定値又は前記最近のチャネル推定値に少なくとも基づいて第1のメトリックを計算するための手段とを備え、前記第1のメトリックは、前記他の装置からのチャネル状態情報(CSI)更新が要求されるべきかを判定するために用いられる装置。
【0154】
[33]前記第1のメトリック及び予め定められた基準に少なくとも部分的に基づいて、前記他の装置からのCSI更新を要求することを決定するための手段を更に備える、[32]に記載の装置。
【0155】
[34]前記CSI更新を要求することを決定することは、前記第1のメトリック及び最新のCSI更新から経過した時間に少なくとも基づく、[33]に記載の装置。
【0156】
[35]前記CSI更新を要求することを決定するための手段は、
チャネルの信号対雑音比(SNR)及び前記第1のメトリックに基づいて第2のメトリックを計算するための手段と、
前記第2のメトリックに少なくとも部分的に基づいて、チャネル状態情報要求が前記他の装置へ送信されるべきかを決定するための手段とを備える、[33]に記載の装置。
【0157】
[36]前記決定するための手段は、
前記第2のメトリック及び最新のCSI更新から経過した時間に少なくとも基づいて、前記チャネル状態情報要求が前記他の装置へ送信されるべきかを決定するための手段を備える、[35]に記載の装置。
【0158】
[37]前記決定に基づいて、前記CSI更新に関する要求を前記他の装置へ送信するための手段を更に備える、[33]に記載の装置。
【0159】
[38]前記CSI更新に関する要求は、トレーニング要求メッセージ又はチャネル測深メッセージのうちの少なくとも1つを備える、[37]に記載の装置。
【0160】
[39]無線通信のためのコンピュータ・プログラム製品であって、
装置からの最近のチャネル推定値及び現在のチャネル推定値を取得し、
前記現在のチャネル推定値又は前記最近のチャネル推定値に少なくとも基づいて第1のメトリックを計算するように実行可能な命令を備えるコンピュータ読取可能媒体を備え、前記第1のメトリックは、前記装置からのチャネル状態情報(CSI)更新が要求されるべきかを判定するために用いられるコンピュータ・プログラム製品。
【0161】
[40]少なくとも1つのアンテナと、
無線ノードからの最近のチャネル推定値及び現在のチャネル推定値を前記少なくとも1つのアンテナを介して取得するように構成された受信機と、
前記現在のチャネル推定値又は前記最近のチャネル推定値に少なくとも基づいて第1のメトリックを計算するように構成された回路とを備えるアクセス・ポイントであって、前記第1のメトリックは、前記無線ノードからのチャネル状態情報(CSI)更新が要求されるべきかを判定するために用いられる、アクセス・ポイント。
図1
図2
図3
図4
図5
図5A
図6
図6A
図7
図8
図8A
図9
図9A
図10
図11
図11A
図12
図12A
図13
図13A
図14
図14A