【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によるシステムにより、有利には、効果的解決策が提供され、かつ従来技術のデバイスの欠点を軽減することが可能になる。
【0017】
この目的のために、本発明の一様態が、水流ループを備える処理水浄化システムにして、前記ループは、浄化される処理水のタンクに向けて閉じられ、前記ループは、タンクの下流に、水が流れる方向に、少なくとも1つのポンプ手段と、少なくとも1つの第1の濾過手段と、少なくとも1つの第2の濾過手段と、利用地点とを連続的に備える処理水浄化システムであって、
少なくとも1つの第1の濾過手段をタンクに連結する少なくとも1つの、好ましくは1つの迂回パイプと、第2の濾過手段をタンクに連結するループ戻りパイプとをさらに備えることを特徴とするシステムに関する。
【0018】
ループ戻りパイプは浄水流パイプである。
【0019】
一般に、第2の濾過手段が膜を備えるとき、利用地点は、第2の濾過手段の膜の下流に位置する。
【0020】
有利には、2つの濾過手段を備えるこのシステムにより、システムに供給する処理水が良好な品質であり、かつ汚染が存在しない場合、良好な品質の水が所与の時間に得られことが可能になる。それにもかかわらず、本発明の好ましい一実施形態によれば、流体回路を定期的に除染することが必要である、および/または好ましい場合がある。
【0021】
迂回パイプおよび戻りパイプはそれぞれ、これらのパイプに関連する濾過手段内に蓄積したどんな残留ガスの自動パージングも行い、水の死容積の除去を行うことを可能にするパージングパイプである。濾過手段が膜を備えるとき、これらのガスは、それぞれ第1のおよび第2の濾過手段の膜の表面に最も頻繁に蓄積していた。さらに、残留ガスは、一般にタンクで大気に戻される。
【0022】
これは非常に有利である。実際には、既存の浄化システムにより、手作業によるパージングだけが行われることが可能になる。しかしながら、このパージング動作は、利用者が患者であり、資格を与えられた技術者ではないので、殊に透析システムで実施するには注意を要する。
【0023】
一般に、迂回パイプに連結された第1の濾過手段は、少なくとも1つの膜を含み、迂回パイプは、第1の濾過手段の1つまたは複数の膜の上流に位置する。
【0024】
本発明によれば、たとえば特許文献である米国特許第5,762,789号明細書または英国特許出願公開第2,132,913号明細書で説明されている、1つの入口および2つの出口を有するフィルタシステムを使用することが、有利には、自動パージング用迂回パイプのための接続を容易にする。
【0025】
迂回パイプは、一般に、好ましくは、濾過手段内に含まれるどんな残留ガスも、この迂回パイプを介して通過する水により移送され、それにより、このガスをタンク内の大気に排出し、死容積のどんなポケットの形成も妨げるように構成される。すべての場合において、迂回パイプ内の水の流量が、第1の濾過手段をパージするのに十分であり、詳細には、第1の濾過手段が膜を備えるとき、前記膜の上流および前記膜上に蓄積したガスをパージするのに十分である。迂回パイプ内の流動は、有利には、たとえば、制限する手段を使用することにより、または迂回パイプを構成する管の直径を低減することにより、制限されてもよい。また、迂回パイプが流動ループの下流部分を構成することも可能である。これは、利用地点で抜き取りがないとき、特に有利である。
【0026】
したがって、迂回パイプは、好ましくは、流動ループ内を流れることができる水の流動のわずかな部分だけがこの迂回パイプを介して通過するように構成される。ここで、「わずかな部分」は、流動の30%以下を、好ましくは5〜10%を意味する。したがって、水の大部分は、一般にループ内を流れる。当業者は、閉流動ループの他のパラメータを考慮して、適切な寸法を迂回パイプに与えることができる。一般に、当業者は、ループを構成するパイプ内の線速度に適合しながら、濾過手段内に蓄積したガスをパージするための迂回パイプの寸法を計算する。これにより、有利には、パイプの壁上のどんなバイオフィルムの形成も回避されることが可能になる。
【0027】
ループ戻りパイプは、一般に、このパイプ内の水流が第2の濾過手段をパージするように構成される。したがって、第2の濾過手段が膜を備えるとき、流れる水が、水の死容積を除去し、かつこの膜の上流およびこの膜上に蓄積したガスをパージするように、膜の上流側の表面を洗い流す。
【0028】
本発明によれば、処理水という用語は、タンク内に存在する水の少なくとも一部が浄化された場合でさえ、タンク内に存在する水に対して使用される。
【0029】
本発明によれば、浄水という用語は、ループ内を流れる水の少なくとも一部が処理され、かつ完全に浄化されていない場合でさえ、ループ内を流れる水に対して使用される。
【0030】
本発明により生産される浄水は、有利には、細菌(100CFU/L未満)および発熱物質(0.005EU/mL未満)を含む、非常に低いレベルの微生物を有する。
【0031】
ポンプ手段は、好ましくはポンプである。さらに、ポンプ手段は、好ましくは、ループ上に存在する停止手段(背圧手段)に結合され、前記停止手段は、好ましくは逆止め弁(またはばね付き逆止め弁)である。ポンプ手段により、有利には、所望の量の浄水が利用地点で提供され、濾過および流体回路の構成要素に特有の水頭損失を補償することにより閉流動ループ内部の流れを維持することが可能になる。
【0032】
本発明によれば、システムは、限外濾過フィルタであることが好ましい第1の濾過手段を備える。この限外濾過フィルタは、一般に少なくとも1つの膜を備える。この限外濾過フィルタは、本発明によれば、カットオフしきい値が一般に1,000Da〜1,000,000Daまで変化する膜を備えるフィルタとして規定される。カットオフしきい値は、求められる性能に従って当業者により選択される。この限外濾過フィルタは、一般に、溶解されても、されなくてもよい、流体中に存在する分子を保持し、分子量は膜の選択のための、保持力の決定要因を構成する。本発明に関連して、保持力しきい値は、一般に水の発熱物質除去を可能にするように選択される。
【0033】
第1の濾過手段はまた、有利には0.1μmまたは0.22μmフィルタの特性と限外濾過フィルタの特性を組み合わせる、正に帯電したアブソリュートフィルタであってもよい。正確に言えば、アブソリュートフィルタの正電荷が、分子量排除ではなく、または分子量排除に加えて、親和力により発熱物質の吸収を可能にする。
【0034】
第1の濾過手段は、一般に、ポンプ手段の下流、かつ利用地点に近接した第2の濾過手段の上流に位置する。
【0035】
第2の濾過手段は、一般にフィルタリング構成要素またはフィルタであり、ほとんどの場合、好ましくはアブソリュートフィルタである。このアブソリュートフィルタは、一般に少なくとも1つの膜を、たとえば孔径0.22μmまたは0.1μmの膜を備えるフィルタを備える。
【0036】
ループ戻りパイプは、このフィルタをパージするためのパイプの役割を果たす。ループ戻りパイプは、一般に、第2の濾過手段が膜フィルタであるとき、ループ内を水が流れる方向に、膜の上流に位置する。
【0037】
好ましくは、本発明によれば、本発明のシステムのすべての濾過手段の完全性が、コミッショニング前に100%まで試験された。
【0038】
利用地点は、一般に第2の濾過手段の場所に、さらにより好ましくは、前記濾過手段上に、ほとんどの場合、ループからの分水路上、かつ第2の濾過手段が膜を備えるときには膜の下流に位置する。したがって、第2の濾過手段は、一般に「最終」とみなされる。
【0039】
これにより、有利には、一般に膜により、ループと利用地点の間の完全な分離が可能になる。第2の濾過手段はまた、ループ上のライン内に位置してもよく、ループ内を流れる水は、第2の濾過手段を構成するフィルタを通過し、利用地点は、前記フィルタの下流のループ上に位置する。それにもかかわらず、これは好ましくない。実際は、このような場合、利用地点は(たとえば膜により)ループから分離されず、抜き取る地点で水の逆汚染のリスクが存在する。
【0040】
その結果、有利には、本発明によれば、各濾過手段は、好ましくは、自動で動作するように適合されたパージラインまたはパイプに結合される。
【0041】
本発明によるシステムはまた、少なくとも1つの滅菌手段をさらに備える。この滅菌手段は、一般に少なくとも1つのU.V.ランプを、好ましくは少なくとも2つのU.V.ランプを備える。有利には、この滅菌手段により、一定期間システムの性能を維持することが可能になる。
【0042】
本発明に関連して、「UVによる滅菌」は、一般に連続動作で、1回または複数回の殺菌性紫外線放射によって、生きた要素を破壊する行為を意味するために使用される。紫外線放射は、ほとんどの場合254nmである。
【0043】
したがって、本発明のシステムは、少なくとも1つの滅菌手段を、たとえばUVランプを、たとえばタンクの場所に、好ましくはタンク内に取り付けられて、備えてもよい。タンクのこの滅菌手段は、タンク内に潜在的に存在する処理水だけでなく、沈められていない領域内のタンクの壁に付着した1つまたは複数の凝縮物も滅菌するように適合される。このような滅菌手段により、有利には、閉ループである流体回路が定期的に、および断続的に(すなわち、一定間隔で、たとえば1日あたり15分の4回の作業で)または連続的に除染されることが可能になる。
【0044】
独立であっても、なくても、本発明のシステムは、流動ループ上に少なくとも1つの滅菌手段を備えてもよい。このような滅菌手段は、好ましくは、ループ上に配置されたU.V.ランプである。流動ループのこの滅菌手段は、有利には、ループ内を流れる水を滅菌するための手段を提供し、ほとんどの場合、第1のおよび第2の濾過手段の上流に位置し、これにより、有利には、ループ内のバイオフィルムの形成および微生物の成長を制限する。
【0045】
滅菌手段は、一般に殺菌性紫外線放射を放出するU.V.水銀灯であり、このランプは、1つまたは複数のLED(「発光ダイオード」)または殺菌性放射を同じく放射する放電ランプにより置換されることができる。
【0046】
本発明によれば、本発明によるシステムの一部が、より具体的には濾過手段、好ましくは両方存在するときには第1のおよび第2の濾過手段、ならびに隣接する回路構成要素を備える流動ループの一部が、1組の消耗型構成要素であることがさらに好ましい。本発明によれば、「消耗型構成要素」は、性能が特定の寿命に対して、または利用地点で分配される浄水の特定の容積に対して適格である使い捨ての構成要素を意味する。
【0047】
消耗型構成要素は、一般に、第1のおよび第2の濾過手段、ならびに隣接するパイプにより構成され、ほとんどの場合、利用地点をさらに備える。
【0048】
1組の消耗型構成要素は、一般に単一の部分を形成し、可能である場合には、照射または他の技法により無菌の、または除染された状態で1組のパッケージングで配送される。これにより、単純な機械的接続手段を使用して、消耗型この部分を迅速かつ簡単に変えることが可能になり、ループの、または1つもしくは複数の濾過構成要素の、汚染のリスクが低減される。1組は、その使用期間中の1組の性能の完全性を保証するためには、寿命が限られている、または水処理能力が限られている。1組はまた、1組がループ上に存在することが解析され、かつ1組の寿命または処理水の容積を追跡することが可能になる検出および認識のための手段を備えてもよい。検出手段は、RFIDタグ、バーコード、メモリ回路、または光学的もしくは機械的な偏向デバイスもしくは他の手段の形をとってもよい。使い捨てのループの両端に無菌コネクタを、たとえばLYNX S2Sコネクタを使用することができ、これにより、使い捨て用品と、無菌コネクタが接続されるシステムの残りの部分との間に無菌接続を作ることができるようになる。
【0049】
本発明による水浄化システムに供給する処理水生産システムは、一般に、イオン交換樹脂タイプまたは電気脱イオン化モジュールの脱イオン化ステップが加えられてもよい逆浸透処理デバイスを備える。
【0050】
本発明はまた、本発明によるシステムの使用法に関する。したがって、本発明は、特にこのようなシステムを使用する方法に関する。前記方法は、一般に、閉水流ループ内に処理水流を作り出すステップを備える、処理水を浄化する方法であって、前記方法は、ループに処理水を供給する少なくとも1つのステップと、前記ループ上に存在する少なくとも1つのタンクに供給することにより貯蔵場所の中に水を置く少なくとも1つのステップとを備え、浄化する方法は、少なくとも2つの濾過ステップを備え、少なくとも1つの第1の濾過手段による第1の濾過ステップは、好ましくは限外濾過ステップであり、少なくとも1つの第2の濾過手段による第2の濾過ステップは、好ましくは精密濾過ステップであり、方法は、第2の濾過ステップの時間に抽出する(または送出する)少なくとも1つのステップを備え、
前記方法は、ループ内を流れる水の一部をループから分水路の中に流れさせることにより、第1の濾過手段をパージする少なくとも1つのステップと、ループ内を流れる水を第2の濾過手段とタンクの間に流れさせることにより、第2の濾過手段をパージする少なくとも1つのステップとを備えることを特徴とする。
【0051】
好ましくは、第1のおよび第2の濾過手段はそれぞれ膜フィルタである。このような場合、好ましい一変形形態によれば、方法は、第1の濾過手段および/または第2の濾過手段からのどんな残留ガスも、タンク内の大気に戻されるようなものである。詳細には、本発明による方法は、有利には、ループ内の水を第1のおよび第2の濾過手段の各々のフィルタ膜の上流で流れさせることにより、自動パージを行い、それにより、死容積を除去し、どんな残留ガスも膜の上流の表面で排出する。
【0052】
本発明による方法は、好ましくは、連続的に行われる、つまり、水はループの中を、および存在する場合にはループの分水路の中を連続的に流れる。本発明による方法は、一般にループ内を流れる水、および/またはタンク内に存在する水を滅菌する少なくとも1つのステップをさらに備えることが好ましい。この滅菌ステップは、一般に、少なくとも1つの滅菌手段により行われる。この実施形態によれば、ループ内を流れる水が、少なくとも1つの滅菌ステップを介して通過するので、この水は連続的に浄化される。
【0053】
利用地点を介して水を抽出するステップは、利用者の必要に従って連続的に、または不連続に実施される。
【0054】
好ましくは、本発明による方法は、充填の開始レベルと充填の停止レベルの間を連続的に、または不連続に、処理水生産システムからタンクを自動充填できるようにするレベルセンサまたは自動充填弁を使用して、タンク内の水の容積を計測する少なくとも1つの追加ステップを備える。
【0055】
本発明は、以下の添付図面に照らしてよりよく理解されよう。