(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ネットワーク及びユーザ端末間でデータ通信を行うセルラ通信と、2以上のユーザ端末間で直接的にデータ通信を行うD2D通信と、をサポートする移動通信システムであって、
前記セルラ通信を行うユーザ端末であるセルラ通信端末と、
前記D2D通信を行うユーザ端末であるD2D通信端末と、
前記セルラ通信端末が前記セルラ通信に使用する無線リソースを割り当てる基地局と、を有し、
前記基地局は、前記D2D通信に使用可能なD2D無線リソースの中から前記セルラ通信端末が使用する可能性がある無線リソースを示す割当情報を前記D2D通信端末に送信し、
前記基地局は、前記D2D無線リソースの中から前記無線リソースをセルラ通信端末に割り当てる場合に、前記割当情報を前記D2D通信端末に送信することを特徴とする移動通信システム。
前記D2D通信のための無線リソース割当であるD2Dスケジューリングを前記D2D通信端末主導で行う場合に、前記D2D通信端末は、前記基地局からの前記割当情報を前記D2Dスケジューリングに使用することを特徴とする請求項1に記載の移動通信システム。
前記D2D通信端末は、前記割当情報に含まれる前記変調方式を示す情報に基づいて、前記セルラ通信端末から受ける干渉に対する干渉キャンセル処理を行うことを特徴とする請求項5に記載の移動通信システム。
前記基地局は、前記D2D通信専用の無線ネットワーク一時識別子を用いて、前記割当情報を前記D2D通信端末に送信することを特徴とする請求項1に記載の移動通信システム。
ネットワーク及びユーザ端末間でデータ通信を行うセルラ通信と、2以上のユーザ端末間で直接的にデータ通信を行うD2D通信と、をサポートする移動通信システムにおける基地局であって、
前記セルラ通信を行うセルラ通信端末に対して、前記セルラ通信に使用する無線リソースを割り当てる制御部を有し、
前記制御部は、前記D2D通信に使用可能なD2D無線リソースの中から前記セルラ通信端末が使用する可能性がある無線リソースを示す割当情報を、前記D2D通信を行うD2D通信端末に対して送信し、
前記制御部は、前記D2D無線リソースの中から前記無線リソースをセルラ通信端末に割り当てる場合に、前記割当情報を前記D2D通信端末に送信することを特徴とする基地局。
ネットワーク及びユーザ端末間でデータ通信を行うセルラ通信と、2以上のユーザ端末間で直接的にデータ通信を行うD2D通信と、をサポートする移動通信システムにおいて、前記D2D通信を行うユーザ端末であって、
前記セルラ通信を行うユーザ端末であるセルラ通信端末に対して前記セルラ通信に使用する無線リソースを割り当てる基地局から、前記基地局が前記D2D通信に使用可能なD2D無線リソースの中から前記無線リソースを前記セルラ通信端末に割り当てる場合に送信する、前記セルラ通信端末が使用する可能性がある無線リソースを示す割当情報を受信する受信部を有することを特徴とするユーザ端末。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態の概要]
実施形態に係る移動通信システムは、ネットワーク及びユーザ端末間でデータ通信を行うセルラ通信と、2以上のユーザ端末間で直接的にデータ通信を行うD2D通信と、をサポートする。前記移動通信システムは、前記セルラ通信を行うユーザ端末であるセルラ通信端末と、前記D2D通信を行うユーザ端末であるD2D通信端末と、前記セルラ通信端末が前記セルラ通信に使用する無線リソースを割り当てる基地局と、を有する。前記基地局は、前記D2D通信に使用可能なD2D無線リソースの中から前記セルラ通信端末が使用する可能性がある無線リソースを示す割当情報を前記D2D通信端末に送信する。これにより、D2D通信端末は、無線リソースを把握して、D2D通信とセルラ通信との間で干渉が生じることを回避できる。従って、D2D通信をセルラ通信と両立できる。
【0010】
第1実施形態では、前記基地局は、前記D2D無線リソースの中から前記無線リソースをセルラ通信端末に割り当てる場合に、前記割当情報を前記D2D通信端末に送信する。
【0011】
第1実施形態では、前記無線リソースは、前記セルラ通信端末が前記セルラ通信の上りリンクに使用する無線リソースである。
【0012】
第1実施形態では、前記D2D通信のための無線リソース割当であるD2Dスケジューリングを前記D2D通信端末主導で行う場合に、前記D2D通信端末は、前記基地局からの前記割当情報を前記D2Dスケジューリングに使用する。例えば、前記D2Dスケジューリングを行う前記D2D通信端末は、前記基地局からの前記割当情報が示す前記無線リソースを前記D2D通信に使用しない。従って、D2D通信端末は、D2D通信と上りリンク通信との間で干渉が生じないように、D2Dスケジューリングを行うことができる。
【0013】
第2実施形態では、前記割当情報は、前記セルラ通信端末が前記セルラ通信の上りリンクに適用する変調方式を示す情報を含む。例えば、前記D2D通信端末は、前記割当情報に含まれる前記変調方式を示す情報に基づいて、前記セルラ通信端末から受ける干渉に対する干渉キャンセル処理を行う。これにより、D2D通信端末は、D2D通信と上りリンク通信との間で干渉が生じる場合であっても、セルラ通信からの干渉をキャンセルできる。
【0014】
前記基地局は、前記D2D通信専用の無線ネットワーク一時識別子を用いて、前記割当情報を前記D2D通信端末に送信してもよい。従って、割当情報を適切にD2D通信端末に送信できる。
【0015】
或いは、前記基地局は、前記割当情報を前記D2D通信端末にブロードキャストで送信してもよい。
【0016】
その他実施形態では、前記無線リソースは、前記セルラ通信端末が前記セルラ通信の下りリンクに使用する無線リソースである。
【0017】
実施形態に係る基地局は、ネットワーク及びユーザ端末間でデータ通信を行うセルラ通信と、2以上のユーザ端末間で直接的にデータ通信を行うD2D通信と、をサポートする移動通信システムにおける基地局である。前記基地局は、前記セルラ通信を行うセルラ通信端末に対して、前記セルラ通信に使用する無線リソースを割り当てる制御部を有する。前記制御部は、前記D2D通信に使用可能なD2D無線リソースの中から前記セルラ通信端末が使用する可能性がある無線リソースを示す割当情報を、前記D2D通信を行うD2D通信端末に対して送信する。
【0018】
実施形態に係るユーザ端末は、ネットワーク及びユーザ端末間でデータ通信を行うセルラ通信と、2以上のユーザ端末間で直接的にデータ通信を行うD2D通信と、をサポートする移動通信システムにおいて、前記D2D通信を行う。前記ユーザ端末は、前記セルラ通信を行うユーザ端末であるセルラ通信端末に対して、前記セルラ通信に使用する無線リソースを割り当てる基地局から、前記D2D通信に使用可能なD2D無線リソースの中から前記セルラ通信端末が使用する可能性がある無線リソースを示す割当情報を受信する受信部を有する。
【0019】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して、3GPP規格に準拠して構成される移動通信システム(LTEシステム)にD2D通信を導入する場合の実施形態を説明する。
【0020】
(LTEシステム)
図1は、本実施形態に係るLTEシステムの構成図である。
【0021】
図1に示すように、LTEシステムは、複数のUE(User Equipment)100と、E−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)10と、EPC(Evolved Packet Core)20と、を含む。E−UTRAN10及びEPC20は、ネットワークを構成する。
【0022】
UE100は、移動型の無線通信装置であり、接続を確立したセル(サービングセル)との無線通信を行う。UE100はユーザ端末に相当する。
【0023】
E−UTRAN10は、複数のeNB200(evolved Node−B)を含む。eNB200は基地局に相当する。eNB200は、セルを管理しており、セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。
【0024】
なお、「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として使用される他に、UE100との無線通信を行う機能を示す用語としても使用される。
【0025】
eNB200は、例えば、無線リソース管理(RRM)機能と、ユーザデータのルーティング機能と、モビリティ制御及びスケジューリングのための測定制御機能と、を有する。
【0026】
EPC20は、MME(Mobility Management Entity)/S−GW(Serving−Gateway)300と、OAM(Operation and Maintenance)400と、を含む。
【0027】
MMEは、UE100に対する各種モビリティ制御等を行うネットワークノードであり、制御局に相当する。S−GWは、ユーザデータの転送制御を行うネットワークノードであり、交換局に相当する。
【0028】
eNB200は、X2インターフェイスを介して相互に接続される。また、eNB200は、S1インターフェイスを介してMME/S−GW300と接続される。
【0029】
OAM400は、オペレータによって管理されるサーバ装置であり、E−UTRAN10の保守及び監視を行う。
【0030】
次に、UE100及びeNB200の構成を説明する。
【0031】
図2は、UE100のブロック図である。
図2に示すように、UE100は、アンテナ101と、無線送受信機110と、ユーザインターフェイス120と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機130と、バッテリ140と、メモリ150と、プロセッサ160と、を有する。メモリ150及びプロセッサ160は、制御部を構成する。
【0032】
UE100は、GNSS受信機130を有していなくてもよい。また、メモリ150をプロセッサ160と一体化し、このセット(すなわち、チップセット)をプロセッサ160’としてもよい。
【0033】
アンテナ101及び無線送受信機110は、無線信号の送受信に用いられる。アンテナ101は、複数のアンテナ素子を含む。無線送受信機110は、プロセッサ160が出力するベースバンド信号を無線信号に変換してアンテナ101から送信する。また、無線送受信機110は、アンテナ101が受信する無線信号をベースバンド信号に変換してプロセッサ160に出力する。
【0034】
ユーザインターフェイス120は、UE100を所持するユーザとのインターフェイスであり、例えば、ディスプレイ、マイク、スピーカ、及び各種ボタンなどを含む。ユーザインターフェイス120は、ユーザからの操作を受け付けて、該操作の内容を示す信号をプロセッサ160に出力する。
【0035】
GNSS受信機130は、UE100の地理的な位置を示す位置情報を得るために、GNSS信号を受信して、受信した信号をプロセッサ160に出力する。
【0036】
バッテリ140は、UE100の各ブロックに供給すべき電力を蓄える。
【0037】
メモリ150は、プロセッサ160によって実行されるプログラムと、プロセッサ160による処理に使用される情報と、を記憶する。
【0038】
プロセッサ160は、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号などを行うベースバンドプロセッサと、メモリ150に記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、を含む。プロセッサ160は、さらに、音声・映像信号の符号化・復号を行うコーデックを含んでもよい。プロセッサ160は、後述する各種の処理及び各種の通信プロトコルを実行する。
【0039】
図3は、eNB200のブロック図である。
図3に示すように、eNB200は、アンテナ201と、無線送受信機210と、ネットワークインターフェイス220と、メモリ230と、プロセッサ240と、を有する。メモリ230及びプロセッサ240は、制御部を構成する。なお、メモリ230をプロセッサ240と一体化し、このセット(すなわち、チップセット)をプロセッサとしてもよい。
【0040】
アンテナ201及び無線送受信機210は、無線信号の送受信に用いられる。アンテナ201は、複数のアンテナ素子を含む。無線送受信機210は、プロセッサ240が出力するベースバンド信号を無線信号に変換してアンテナ201から送信する。また、無線送受信機210は、アンテナ201が受信する無線信号をベースバンド信号に変換してプロセッサ240に出力する。
【0041】
ネットワークインターフェイス220は、X2インターフェイスを介して隣接eNB200と接続され、S1インターフェイスを介してMME/S−GW300と接続される。ネットワークインターフェイス220は、X2インターフェイス上で行う通信及びS1インターフェイス上で行う通信に用いられる。
【0042】
メモリ230は、プロセッサ240によって実行されるプログラムと、プロセッサ240による処理に使用される情報と、を記憶する。
【0043】
プロセッサ240は、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号などを行うベースバンドプロセッサと、メモリ230に記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPUと、を含む。プロセッサ240は、後述する各種の処理及び各種の通信プロトコルを実行する。
【0044】
図4は、LTEシステムにおける無線インターフェイスのプロトコルスタック図である。
【0045】
図4に示すように、無線インターフェイスプロトコルは、OSI参照モデルのレイヤ1乃至レイヤ3に区分されており、レイヤ1は物理(PHY)レイヤである。レイヤ2は、MAC(Media Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、を含む。レイヤ3は、RRC(Radio Resource Control)レイヤを含む。
【0046】
物理レイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。物理レイヤは、物理チャネルを用いて上位レイヤに伝送サービスを提供する。UE100の物理レイヤとeNB200の物理レイヤとの間では、物理チャネルを介してデータが伝送される。
【0047】
MACレイヤは、データの優先制御、及びハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理などを行う。UE100のMACレイヤとeNB200のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータが伝送される。eNB200のMACレイヤは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式など)、及び割当リソースブロックを決定するMACスケジューラを含む。
【0048】
RLCレイヤは、MACレイヤ及び物理レイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。UE100のRLCレイヤとeNB200のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータが伝送される。
【0049】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
【0050】
RRCレイヤは、制御プレーンでのみ定義される。UE100のRRCレイヤとeNB200のRRCレイヤとの間では、各種設定のための制御メッセージ(RRCメッセージ)が伝送される。RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとeNB200のRRCとの間にRRC接続がある場合、UE100は接続状態であり、そうでない場合、UE100はアイドル状態である。
【0051】
RRCレイヤの上位に位置するNAS(Non−Access Stratum)レイヤは、セッション管理及びモビリティ管理などを行う。
【0052】
図5は、LTEシステムで使用される無線フレームの構成図である。LTEシステムは、下りリンクにはOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiplexing Access)、上りリンクにはSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)がそれぞれ適用される。複信方式としては、FDD(Frequency Division Duplex)方式又はTDD(Time Division Duplex)方式の何れかが使用されるが、本実施形態では主としてFDD方式を想定する。
【0053】
図5に示すように、無線フレームは、時間方向に並ぶ10個のサブフレームで構成され、各サブフレームは、時間方向に並ぶ2個のスロットで構成される。各サブフレームの長さは1msであり、各スロットの長さは0.5msである。各サブフレームは、周波数方向に複数個のリソースブロック(RB)を含み、時間方向に複数個のシンボルを含む。各シンボルの先頭には、サイクリックプレフィックス(CP)と呼ばれるガード区間が設けられる。リソースブロックは、周波数方向に複数個のサブキャリアを含む。1つのサブキャリア及び1つのシンボルにより構成される無線リソース単位はリソースエレメント(RE)と称される。
【0054】
UE100に割り当てられる無線リソースのうち、周波数リソースはリソースブロックにより特定でき、時間リソースはサブフレーム(又はスロット)により特定できる。
【0055】
下りリンクにおいて、各サブフレームの先頭数シンボルの区間は、主に物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)として使用される制御領域である。また、各サブフレームの残りの区間は、主に物理下りリンク共有チャネル(PDSCH)として使用できる領域である。さらに、各サブフレームには、セル固有参照信号(CRS)が分散して配置される。
【0056】
上りリンクにおいて、各サブフレームにおける周波数方向の両端部は、主に物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)として使用される制御領域である。また、各サブフレームにおける周波数方向の中央部は、主に物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)として使用できる領域である。さらに、各サブフレームには、復調参照信号(DMRS)及びサウンディング参照信号(SRS)が配置される。
【0057】
(D2D通信)
次に、D2D通信を、LTEシステムの通常の通信(セルラ通信)と比較して説明する。セルラ通信では、ネットワーク(eNB200)及びUE100間でデータ通信を行う。これに対し、D2D通信では、2以上のUE100間で直接的にデータ通信を行う。
【0058】
図6は、セルラ通信におけるデータパスを示す。ここでは、eNB200−1との接続を確立したUE100−1と、eNB200−2との接続を確立したUE100−2と、の間でセルラ通信を行う場合を例示している。なお、データパスとは、ユーザデータ(ユーザプレーン)の転送経路を意味する。
【0059】
図6に示すように、セルラ通信のデータパスはネットワークを経由する。詳細には、eNB200−1、S−GW300、及びeNB200−2を経由するデータパスが設定される。
【0060】
図7は、D2D通信におけるデータパスを示す。ここでは、eNB200−1との接続を確立したUE100−1と、eNB200−2との接続を確立したUE100−2と、の間でD2D通信を行う場合を例示している。
【0061】
例えば、UE100−1及びUE100−2のうち一方のUE100が、近傍に存在する他方のUE100を発見することで、D2D通信が開始される。なお、D2D通信を開始するために、UE100は、自身の近傍に存在する他のUE100を発見する(Discover)機能を有する。また、UE100は、他のUE100から発見される(Discoverable)機能を有する。
【0062】
図7に示すように、D2D通信のデータパスはネットワークを経由しない。すなわち、UE間で直接的な無線通信を行う。このように、UE100−1の近傍にUE100−2が存在するのであれば、UE100−1とUE100−2との間でD2D通信を行うことによって、ネットワークのトラフィック負荷及びUE100のバッテリ消費量を削減するなどの効果が得られる。
【0063】
ただし、D2D通信はLTEシステムの周波数帯域(すなわち、セルラ通信の周波数帯域内)で行われることが想定されており、例えばセルラ通信への干渉を回避するために、ネットワーク(eNB200)の管理下でD2D通信が行われる。
【0064】
本実施形態では、D2D通信はLTEシステムの上りリンク周波数帯域(すなわち、セルラ通信の上りリンク周波数帯域内)で行われる。
【0065】
また、本実施形態では、D2D通信のための無線リソース割当であるD2DスケジューリングをUE100主導で行う。この場合、D2D無線リソースをUE100が選択できる。eNB200は、D2D通信に使用可能な無線リソースであるD2D割当候補無線リソースを示すD2Dリソース情報をUE100に送信する。ここで、D2D割当候補無線リソースは、D2D通信に使用可能なD2D無線リソースに相当する。
【0066】
図8は、UE主導でD2Dスケジューリングを行うケースを説明するための図である。ここでは、上りリンク周波数帯における1無線フレーム分の各サブフレームを図示している。
【0067】
図8に示すように、eNB200は、D2D割当候補無線リソースとして、特定のサブフレームを指定する。
図8の例では、無線フレーム内のサブフレーム#1乃至#3がD2D割当候補無線リソースとして指定される。
【0068】
D2D通信を行うUE100は、D2D割当候補無線リソースを示すD2Dリソース情報をeNB200から受信すると、D2Dリソース情報が示すD2D割当候補無線リソースの中からD2D無線リソース(リソースブロック)を自律的に選択する。
【0069】
(第1実施形態に係る動作)
次に、本実施形態に係る動作を説明する。
図9は、本実施形態に係る通信環境を説明するための図である。本実施形態では、セルラ通信及びD2D通信が同時に行われる通信環境を想定する。
【0070】
図9に示すように、UE100−1及びUE100−2は、D2D割当候補無線リソースの中から選択したD2D無線リソース(リソースブロック)を使用して、D2D通信を行っている。UE100−1及びUE100−2のそれぞれは、D2D通信端末に相当する。
【0071】
UE100−1は、D2D通信のための無線リソース割当であるD2Dスケジューリングを行う。すなわち、UE100−1は、eNB200から通知されたD2D割当候補無線リソースの中からD2D無線リソース(リソースブロック)を選択する。
【0072】
これに対し、UE100−3は、eNB200から割り当てられる無線リソース(リソースブロック)を使用して、eNB200とのセルラ通信を行っている。具体的には、UE100−3は、eNB200から割り当てられる上りリンク無線リソースを使用して、eNB200との上りリンク通信を行っている。UE100−3は、セルラ通信端末に相当する。
【0073】
ここで、D2D通信に使用するD2D無線リソースと、上りリンク通信に使用する上りリンク無線リソースと、が重複する場合には、D2D通信及び上りリンク通信は相互に干渉を受ける。従って、D2D通信及び上りリンク通信を両立することが困難である。
【0074】
そこで、本実施形態に係るeNB200は、D2D割当候補無線リソースの中から上りリンク無線リソースを割り当てる場合に、上りリンク無線リソースを示す上りリンク割当情報をUE100−1に送信する。
【0075】
例えば、
図8において、eNB200は、サブフレーム#1に含まれるリソースブロック#Aを上りリンク無線リソースとして割り当てる場合に、サブフレーム#1に含まれるリソースブロック#Aを示す情報を上りリンク割当情報としてUE100−1に送信する。
【0076】
eNB200は、D2D通信専用の無線ネットワーク一時識別子(D2D−RNTI)を用いて、上りリンク割当情報をUE100−1に送信してもよい。この場合、eNB200は、上りリンク割当情報をPDCCH上で送信してもよく、PDSCH上で送信してもよい。
【0077】
或いは、eNB200は、上りリンク割当情報をD2D通信端末にブロードキャストで送信してもよい。この場合、eNB200は、上りリンク割当情報をシステム情報ブロック(SIB)に含めて送信してもよい。
【0078】
UE100−1は、eNB200から受信した上りリンク割当情報をD2Dスケジューリングに使用する。具体的には、UE100−1は、eNB200から受信した上りリンク割当情報が示す上りリンク無線リソースをD2D通信に使用しない。例えば、UE100−1は、サブフレーム#1に含まれるリソースブロック#Aを示す情報を上りリンク割当情報として受信した場合に、サブフレーム#1に含まれるリソースブロック#Aを避けてD2D無線リソース(リソースブロック)を選択する。
【0079】
図10は、本実施形態に係る動作シーケンス図である。ここでは、D2D通信端末のうちUE100−1を例に説明する。
【0080】
図10に示すように、ステップS101において、UE100−1は、D2D通信を開始する。ステップS102において、UE100−3は、セルラ通信を開始する。
【0081】
ステップS103において、eNB200は、D2D割当候補無線リソースを示すD2Dリソース情報をUE100−1に送信する。
【0082】
ステップS104において、UE100−1は、eNB200から受信したD2Dリソース情報に基づいて、D2Dスケジューリングを行う。具体的には、UE100−1は、D2D割当候補無線リソースの中からD2D無線リソース(リソースブロック)を選択する。そして、UE100−1及びUE100−2は、D2D割当候補無線リソースの中から選択したD2D無線リソースを使用して、D2D通信を行う。
【0083】
ステップS105において、eNB200は、UE100−3に割り当てる上りリンク無線リソースを決定するための上りリンクスケジューリングを行う。ここでは、eNB200が、D2D割当候補無線リソースに含まれる無線リソースの一部を、UE100−3に割り当てる上りリンク無線リソースとして決定したと仮定して説明を進める。
【0084】
ステップS106において、eNB200は、ステップS105で決定した上りリンク無線リソースを示す上りリンク割当情報をPDCCH上でUE100−3に送信する。
【0085】
ステップS107において、eNB200は、ステップS105で決定した上りリンク無線リソースを示す上りリンク割当情報をUE100−1に送信する。eNB200は、D2D−RNTIを用いて、上りリンク割当情報をUE100−1に送信してもよい。
【0086】
ステップS108において、UE100−1は、eNB200から受信した上りリンク割当情報が示す上りリンク無線リソースをD2D通信に使用しないように、D2Dスケジューリングを行う。具体的には、UE100−1は、D2D割当候補無線リソースの中から、上りリンク割当情報が示す上りリンク無線リソース以外の無線リソース(リソースブロック)を選択する。そして、UE100−1及びUE100−2は、D2D割当候補無線リソースの中から選択したD2D無線リソースを使用して、D2D通信を行う。
【0087】
ステップS109において、UE100−3は、eNB200から受信した上りリンク割当情報が示す上りリンク無線リソースを使用して、上りリンク信号をeNB200に送信する。例えば、UE100−3は、上りリンク信号としてのユーザデータをPUSCH上でeNB200に送信する。
【0088】
従って、本実施形態によれば、D2D通信と上りリンク通信との間で干渉が生じないように、D2Dスケジューリングを行うことができる。
【0089】
なお、UE100−3は、eNB200から上りリンク割当情報を受信してから4サブフレーム後に上りリンク信号を送信する。よって、UE100−1は、eNB200から上りリンク割当情報を受信してから4サブフレーム以内で、当該上りリンク無線リソースを避けるための処理を行わなければならない。
【0090】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を主として説明する。
【0091】
本実施形態では、eNB200は、セルラ通信端末(UE100−3)がセルラ通信の上りリンクに適用する変調方式を示す情報を、上りリンク割当情報に含めてD2D通信端末(UE100−1)に送信する。
【0092】
D2D通信端末(UE100−1)は、eNB200から受信した上りリンク割当情報に含まれる変調方式を示す情報に基づいて、セルラ通信端末(UE100−3)から受ける干渉に対する干渉キャンセル処理を行う。
【0093】
図11は、本実施形態に係る動作シーケンス図である。ここでは、D2D通信端末のうちUE100−1を例に説明する。
【0094】
図11に示すように、ステップS201において、UE100−1は、D2D通信を開始する。ステップS202において、UE100−3は、セルラ通信を開始する。
【0095】
ステップS203において、eNB200は、D2D割当候補無線リソースを示すD2Dリソース情報をUE100−1に送信する。
【0096】
ステップS204において、UE100−1は、eNB200から受信したD2Dリソース情報に基づいて、D2Dスケジューリングを行う。具体的には、UE100−1は、D2D割当候補無線リソースの中からD2D無線リソース(リソースブロック)を選択する。そして、UE100−1及びUE100−2は、D2D割当候補無線リソースの中から選択したD2D無線リソースを使用して、D2D通信を行う。
【0097】
ステップS205において、eNB200は、UE100−3に割り当てる上りリンク無線リソースを決定するための上りリンクスケジューリングを行う。また、eNB200は、上りリンクスケジューリングにおいて、UE100−3の上りリンク通信に適用する変調方式(上りリンク変調方式)を決定する。ここでは、eNB200が、D2D割当候補無線リソースに含まれる無線リソースの一部を、UE100−3に割り当てる上りリンク無線リソースとして決定したと仮定して説明を進める。
【0098】
ステップS206において、eNB200は、ステップS205で決定した上りリンク無線リソースを示す上りリンク割当情報をPDCCH上でUE100−3に送信する。上りリンク割当情報は、ステップS205で決定した上りリンク変調方式を示す変調方式情報を含む。
【0099】
ステップS207において、eNB200は、ステップS205で決定した上りリンク無線リソースを示す上りリンク割当情報をUE100−1に送信する。上りリンク割当情報は、ステップS205で決定した上りリンク変調方式を示す変調方式情報を含む。eNB200は、D2D−RNTIを用いて、上りリンク割当情報及び変調方式情報をUE100−1に送信してもよい。
【0100】
ステップS208において、UE100−3は、eNB200から受信した上りリンク割当情報に含まれる変調方式情報に基づいて、上りリンク信号を生成する。また、UE100−3は、eNB200から受信した上りリンク割当情報が示す上りリンク無線リソースを使用して、上りリンク信号をeNB200に送信する。例えば、UE100−3は、上りリンク信号としてのユーザデータをPUSCH上でeNB200に送信する。
【0101】
ステップS209において、UE100−1は、eNB200から受信した上りリンク割当情報に含まれる変調方式情報に基づいて、UE100−3から受ける干渉に対する干渉キャンセル処理を行う。具体的には、UE100−1は、変調方式情報が示す変調方式を適用して上りリンク信号のレプリカを生成し、生成したレプリカを用いたキャンセル処理を行う。このような方法としては、MLD(Maximum Likelihood Detection)を使用できる。
【0102】
従って、本実施形態によれば、D2D通信と上りリンク通信との間で干渉が生じる場合であっても、D2D通信端末は、上りリンク通信からの干渉をキャンセルできる。
【0103】
[その他の実施形態]
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0104】
上述した第1実施形態及び第2実施形態では、UE主導でD2Dスケジューリングを行う一例を説明した。しかしながら、上述した第2実施形態では、UE主導でD2Dスケジューリングを行う場合に限らず、eNB主導でD2Dスケジューリングを行ってもよい。この場合、D2D無線リソースをeNB200が決定する。すなわち、UE100は、D2D無線リソースの選択権を持たない。eNB200は、動的又は準静的に割り当てたD2D無線リソースをUE100に通知する。UE100は、当該割り当てられたD2D無線リソースを用いてD2D通信を行う。
【0105】
図12は、eNB主導でD2Dスケジューリングを行うケースを説明するための図である。
図12に示すように、eNB200は、D2D無線リソースとして、特定のサブフレームの特定のリソースブロックを指定する。
図12の例では、無線フレーム内の2番目のサブフレーム(サブフレーム#1)における一部のリソースブロックと4番目のサブフレーム(サブフレーム#3)における一部のリソースブロックとがD2D無線リソースとして指定される。D2D通信を行うUE100は、eNB200から割り当てられたD2D無線リソースを用いてD2D通信を行う。なお、2番目のサブフレーム(サブフレーム#1)について送信(Tx)とあるのは、D2D通信における一方のUE100が送信を行うことを意味しており、当該D2D通信における他方のUE100は受信を行う。4番目のサブフレーム(サブフレーム#3)について受信(Rx)とあるのは、D2D通信における一方のUE100が受信を行うことを意味しており、当該D2D通信における他方のUE100は送信を行う。
【0106】
また、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、D2D通信がLTEシステムの上りリンク周波数帯域(すなわち、セルラ通信の上りリンク周波数帯域内)で行われていたが、これに限られない。D2D通信は、LTEシステムの下りリンク周波数帯域(すなわち、セルラ通信の下りリンク周波数帯域内)で行われてもよい。この場合、eNB200は、割当情報として、下りリンク無線リソースを示す下りリンク割当情報を、D2D通信を行うUE100に送信する。UE100は、下りリンク割当情報を受信する。下りリンク割当情報は、セルラ通信の下りリンクに適用する変調方式を示す情報を含んでもよい。また、eNB200は、上りリンク無線リソース及び下りリンク無線リソースを示す割当情報をD2D通信を行うUE100に送信してもよい。
【0107】
また、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、eNB200が無線リソースのスケジューリングを行った後、すなわち、セルラ通信を行うUE100に割り当てる無線リソースを決定した後に、決定した無線リソースを示す割当情報をD2D通信を行うUE100に送信していたが、これに限られない。eNB200は、UE100に割り当てる無線リソースを決定する前に、セルラ通信を行うUE100が使用する可能性がある無線リソース(すなわち、セルラ通信によって、D2D通信に干渉を与える可能性がある無線リソース)を示す割当情報をD2D通信を行うUE100に送信してもよい。
【0108】
セルラ通信を行うUE100が使用する可能性がある無線リソースとして、例えば、以下の無線リソースが挙げられる。
(a)eNB200が、セルラ通信を行うUE100がセルラ通信の上りリンクに割り当てるために確保している無線リソース(セルラ通信を行うUE100に割り当てられる前の無線リソース)
(b)eNB200が、上りリンク及び/又は下りリンクにおいて、他のeNB200(他のセル)との協調干渉制御のために、優先的にセルラ通信を行うUE100に割り当てを行う予定の無線リソース(優先的にセルラ通信を行うUE100に割り当てを行わない無線リソースではない無線リソース)
(c)eNB200が、上りリンク及び/又は下りリンクにおいて、一定周期毎に無線リソースを割り当てるセミパーシステントスケジューリング(SPS:Semi Persistent Scheduling)を行っている場合に、予めセルラ通信を行うUE100への割り当てが確定している無線リソース
【0109】
eNB200は、上述のようなセルラ通信を行うUE100が使用する可能性がある無線リソースを特定した場合、特定した無線リソースを示す割当情報をD2D通信を行うUE100に送信してもよい。言い換えると、eNB200は、動的な干渉リソースの通知だけでなく、準静的な干渉リソースの通知を行ってもよい。
【0110】
また、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、複信方式としてFDD方式を想定していたが、TDD方式であってもよい。
【0111】
また、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、本発明をLTEシステムに適用する一例を説明したが、LTEシステムに限定されるものではなく、LTEシステム以外のシステムに本発明を適用してもよい。
【0112】
なお、米国仮出願第61/705904号(2012年9月26日出願)の全内容が、参照により、本願明細書に組み込まれている。