特許第6026550号(P6026550)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6026550
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】積層体
(51)【国際特許分類】
   C09D 4/00 20060101AFI20161107BHJP
   B32B 7/02 20060101ALI20161107BHJP
   C08F 220/30 20060101ALI20161107BHJP
   C08J 7/04 20060101ALI20161107BHJP
   C08K 5/3432 20060101ALI20161107BHJP
   C08K 5/3467 20060101ALI20161107BHJP
   C08L 33/14 20060101ALI20161107BHJP
   C08L 101/02 20060101ALI20161107BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20161107BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20161107BHJP
   G02C 7/00 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   C09D4/00
   B32B7/02 103
   C08F220/30
   C08J7/04 ZCER
   C08J7/04CFD
   C08K5/3432
   C08K5/3467
   C08L33/14
   C08L101/02
   C09D7/12
   G02B1/04
   G02C7/00
【請求項の数】4
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-540255(P2014-540255)
(86)(22)【出願日】2014年8月12日
(86)【国際出願番号】JP2014071302
(87)【国際公開番号】WO2015093093
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2014年8月20日
【審判番号】不服-12848(P-12848/J1)
【審判請求日】2015年7月6日
(31)【優先権主張番号】特願2013-261569(P2013-261569)
(32)【優先日】2013年12月18日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】松木 裕一
(72)【発明者】
【氏名】齋木 丈章
(72)【発明者】
【氏名】山本 正樹
(72)【発明者】
【氏名】青野 成之
(72)【発明者】
【氏名】米山 依慶
【合議体】
【審判長】 冨士 良宏
【審判官】 原 賢一
【審判官】 岩田 行剛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−286189(JP,A)
【文献】 特開2010−217356(JP,A)
【文献】 特表2002−533742(JP,A)
【文献】 特表2013−514396(JP,A)
【文献】 特開2004−233988(JP,A)
【文献】 特開平8−286033(JP,A)
【文献】 特開2007−19487(JP,A)
【文献】 特開2010−3672(JP,A)
【文献】 特開平6−324293(JP,A)
【文献】 特表2008−536659(JP,A)
【文献】 特開平11−228953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D4/00
B32B7/02
C08F220/30
C08J7/04
C08K5/3432
C08K5/3467
C08L33/14
C08L101/02
C09D7/12
G02B1/04
G02C7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、硬化皮膜とを有する、電子画像表示装置に後付けして使用される積層体であって、
前記硬化皮膜が、重合性官能基を有するネマチック液晶性化合物(A)、カイラル剤(B)および光重合開始剤(C)を含有する紫外線硬化型樹脂組成物を用いて形成され、色差(L*a*b*表色系)によるb*値が2.0以下となる硬化皮膜であり、
前記ネマチック液晶性化合物(A)が下記式(2a)または下記式(2b)で表される化合物であり、前記カイラル剤(B)が下記式(3a)〜(3c)のいずれかで表される化合物であり、
前記カイラル剤(B)の含有量が、前記ネマチック液晶性化合物(A)および前記カイラル剤(B)の合計質量に対して1.0〜30.0質量%である、積層体。
【化1】




(式(2a)中、nは2〜5の整数を表し、式(3a)中、mは2〜5の整数を表す。)
【請求項2】
更に、下記式(1)で表されるナフタルイミド骨格を有する化合物(D)を含有する、請求項1に記載の積層体。
【化2】

(式(1)中、R1は、水素原子またはヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表し、R2は、水素原子または有機基を表し、複数のR2は同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項3】
更に、ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物(E1)および/またはヒドロキシフェニルトリアジン骨格を有する化合物(E2)を含有する、請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
前記基材と前記硬化皮膜との間に、更に樹脂層を有し、
前記樹脂層が、表面張力が32mN/m以上のアクリル系樹脂層である、請求項1〜のいずれかに記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型樹脂組成物およびこれを用いて形成される硬化皮膜を有する積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年普及している電子画像表示装置が有する光源(例えば、LEDバックライト)は、385〜495nm付近の波長を有する光、いわゆるブルーライトを発する。このブルーライトは、人に、眼精疲労やドライアイのような症状;網膜の機能低下;睡眠を促すメラトニンの分泌を抑制するため、体内時計がずれるというような悪影響を与えているという指摘がある。
例えば、特許文献1には、380〜500nmの可視光線の少なくとも一部をカットできる光学フィルターとして、「青色光の吸収成分としてフラーレン類を含有することを特徴とする光学物品。」が記載されている([請求項1][0009])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−093927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、特許文献1に記載されたフラーレン類について検討したところ、ブルーライトカット機能が十分ではないことを明らかとした。
そこで、本発明は、ブルーライトカット機能に優れる硬化皮膜を形成することができる紫外線硬化型樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、重合性官能基を有するネマチック液晶性化合物(A)、カイラル剤(B)および光重合開始剤(C)を含有する紫外線硬化型樹脂組成物を用いて形成される硬化皮膜が、ブルーライトカット機能に優れることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
【0006】
[1] 基材と、硬化皮膜とを有する、電子画像表示装置に後付けして使用される積層体であって、
上記硬化皮膜が、重合性官能基を有するネマチック液晶性化合物(A)、カイラル剤(B)および光重合開始剤(C)を含有する紫外線硬化型樹脂組成物を用いて形成され、色差(L*a*b*表色系)によるb*値が2.0以下となる硬化皮膜であり、
上記ネマチック液晶性化合物(A)が下記式(2a)または下記式(2b)で表される化合物であり、上記カイラル剤(B)が下記式(3a)〜(3c)のいずれかで表される化合物であり、
上記カイラル剤(B)の含有量が、上記ネマチック液晶性化合物(A)および上記カイラル剤(B)の合計質量に対して1.0〜30.0質量%である、積層体。
【化1】




(式(2a)中、nは2〜5の整数を表し、式(3a)中、mは2〜5の整数を表す。)
] 更に、下記式(1)で表されるナフタルイミド骨格を有する化合物(D)を含有する、[1]に記載の積層体。
【化2】

(式(1)中、R1は、水素原子またはヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表し、R2は、水素原子または有機基を表し、複数のR2は同一であっても異なっていてもよい。)
] 更に、ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物(E1)および/またはヒドロキシフェニルトリアジン骨格を有する化合物(E2)を含有する、[1]または[2]に記載の積層体。
] 上記基材と上記硬化皮膜との間に、更に樹脂層を有し、
上記樹脂層が、表面張力が32mN/m以上のアクリル系樹脂層である、[1]〜[]のいずれかに記載の積層体。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ブルーライトカット機能に優れる硬化皮膜を形成することができる紫外線硬化型樹脂組成物を提供することができる。
また、本発明の積層体は、本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を用いて形成される硬化皮膜を有するため、ブルーライトカット機能に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の積層体の一例を模式的に示す断面図である。
図2図2は、積層体のUV−可視光吸収スペクトルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔紫外線硬化型樹脂組成物〕
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物(以下、単に「本発明の組成物」ともいう。)は、重合性官能基を有するネマチック液晶性化合物(A)、カイラル剤(B)および光重合開始剤(C)を含有し、385nm〜495nmの波長領域の少なくとも一部の光の透過率を低減し、色差(L*a*b*表色系)によるb*値が2.0以下となる硬化皮膜を形成するための紫外線硬化型樹脂組成物である。
【0010】
本発明においては、上述した通り、重合性官能基を有するネマチック液晶性化合物(A)、カイラル剤(B)および光重合開始剤(C)を含有する組成物を用いることにより、形成される硬化皮膜がブルーライトカット機能を有する。
これは、詳細には明らかではないが、カイラル剤の添加に起因したネマチック液晶性化合物の所定の配向(ねじれ)状態により、硬化皮膜の表面に特定の凹凸パターンが形成され、ブルーライト領域(385nm〜495nmの波長領域)の光の少なくとも一部が反射したためと考えられる。また、このような反射によって、ブルーライトカット機能を有するにも関わらず、自然光における青色光の反射により、硬化皮膜の黄色味の強くなるという問題を軽減することも可能になったと考えられる。
なお、上述したメカニズムは本発明者らの推測であるため、実際のメカニズムと異なっていても、本発明の発明特定事項をすべて有する場合は、本発明の技術的範囲に属することは当然である。
以下に、重合性官能基を有するネマチック液晶性化合物(A)、カイラル剤(B)および光重合開始剤(C)ならびに他の任意成分について詳述する。
【0011】
<ネマチック液晶性化合物(A)>
本発明の組成物が含有するネマチック液晶性化合物(A)は、重合性官能基を有するネマチック液晶性化合物であり、後述するカイラル剤(B)との組み合わせにおいて、ブルーライトカット機能を発現する化合物であれば特に限定されない。
ここで、重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイルオキシ基であるのが好ましい。なお、「(メタ)アクリロイルオキシ基」とは、アクリロイルオキシ基(CH2=CHCOO−)またはメタクリロイルオキシ基(CH2=C(CH3)COO−)を意味するものとする。
【0012】
このようなネマチック液晶性化合物としては、例えば、1分子中に2つ以上の重合性官能基を有する棒状液晶性化合物であるのが好ましく、具体的には、下記式(I)で表される化合物であるのが好ましい。
3−C3−D3−C5−M−C6−D4−C4−R4 ・・・式(I)
(式中、R3及びR4は重合性官能基であり、それぞれ独立して(メタ)アクリル基、(チオ)エポキシ基、オキセタン基、チエタニル基、アジリジニル基、ピロール基、ビニル基、アリル基、フマレート基、シンナモイル基、オキサゾリン基、メルカプト基、イソ(チオ)シアネート基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びアルコキシシリル基からなる群より選択される基を表す。D3及びD4は単結合、炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、及び炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキサイド基からなる群より選択される基を表す。C3〜C6は単結合、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−C=N−N=C−、−NHCO−、−OCOO−、−CH2COO−、及び−CH2OCO−からなる群より選択される基を表す。Mはメソゲン基を表し、具体的には、非置換又は置換基を有していてもよい、アゾメチン類、アゾキシ類、フェニル類、ビフェニル類、ターフェニル類、ナフタレン類、アントラセン類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類の群から選択された2〜4個の骨格を、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH2−、−OCH2−、−C=N−N=C−、−NHCO−、−OCOO−、−CH2COO−、及び−CH2OCO−等の結合基によって結合されて形成される。)
【0013】
上記式(I)で表されるネマチック液晶性化合物としては、後述するカイラル剤(B)により配向(ねじれ)状態を調整しやすく、また、後述する光重合開始剤(C)を用いた重合が進行し易い理由から、下記式(2a)で表される化合物であるのが好ましい。
【化3】
(式(2a)中、nは2〜5の整数を表す。)
【0014】
上記式(2a)で表される化合物以外のネマチック液晶性化合物(A)としては、具体的には、例えば、以下に示す化合物が挙げられる。
【化4】
【0015】
これらのうち、下記式(2b)で表される化合物、下記式(2c)で表される化合物であるのが好ましい。
【化5】
【0016】
<カイラル剤(B)>
本発明の組成物が含有するカイラル剤(B)は、カイラル剤であり、上述したネマチック液晶性化合物(A)との組み合わせにおいて、ブルーライトカット機能を発現する化合物であれば特に限定されない。
【0017】
本発明においては、塗装性やレベリング性(他成分との相溶性を含む)、更には光学特性(全光線透過率/ヘイズ)に優れる理由から、カイラル剤(B)が重合性官能基を有しているのが好ましい。
ここで、重合性官能基としては、上述したネマチック液晶性化合物(A)において説明したものと同様のものが挙げられる。
カイラル剤(B)が有していてもよい重合性官能基は、ネマチック液晶性化合物(A)が有している重合性官能基と同じ重合性官能基を有していることが好ましく、ネマチック液晶性化合物(A)およびカイラル剤(B)がいずれも(メタ)アクリロイルオキシ基であるのことがより好ましい。
【0018】
このようなカイラル剤としては、例えば、イソソルビド骨格構造を有する化合物であるのが好ましく、具体的には、下記式(II)で表される化合物であるのが好ましい。
【化6】
(式中、P1及びP2は、それぞれ独立に、1,4−シクロヘキシレン基を1個含む炭素数が10〜20の炭化水素基を表し、基中にエーテル結合性の酸素原子またはエステル結合を有していてもよく、基中の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。但し、P1及びP2はP1及びP2の一方は、さらに重合性官能基を含む。)
【0019】
上記式(II)で表されるカイラル剤としては、上記式(2a)で表される液晶性化合物とともに硬化させた硬化皮膜のブルーライトカット機能がより良好となる理由から、下記式(3a)で表される化合物であるのが好ましい。
【化7】
(式(3a)中、mは2〜5の整数を表す。)
【0020】
上記式(3a)で表される化合物以外のカイラル剤(B)としては、具体的には、例えば、以下に示す化合物が挙げられる。
【化8】
【0021】
上記式(3a)で表される化合物以外の他のカイラル剤(B)としては、具体的には、例えば、下記式(3b)で表される化合物、下記式(3c)で表される化合物が好適に挙げられる。
【化9】
【0022】
上記式(3a)〜(3c)で表される化合物以外のカイラル剤(B)としては、例えば、特開2005−289881号公報、特開2004−115414号公報、特開2003-66214号公報、特開2003-313187号公報、特開2003−342219号公報、特開2000−290315号公報、特開平6−072962号公報、米国特許第6468444号公報、WO98/00428号公報等に掲載されるものを適宜使用することができ、また、BASF社パリオカラーのLC756、ADEKA社キラコールのCNL617R、CNL−686Lなどの市販品も適宜使用することができる。
【0023】
本発明においては、硬化皮膜のブルーライトカット機能がより良好となる理由から、上記カイラル剤(B)の含有量が、上記ネマチック液晶性化合物(A)および上記カイラル剤(B)の合計質量に対して1.0〜30.0質量%であるのが好ましい。
特に、上記ネマチック液晶性化合物(A)として上記式(2a)で表される化合物を用い、上記カイラル剤(B)として上記式(3a)で表される化合物を用いた場合には、上記カイラル剤(B)の含有量が、上記ネマチック液晶性化合物(A)および上記カイラル剤(B)の合計質量に対して4.0〜6.5質量%であるのが好ましい。
【0024】
<光重合開始剤(C)>
本発明の組成物が含有する光重合開始剤(C)は、光によって上記ネマチック液晶性化合物(A)および上記カイラル剤(B)を重合することができるものであれば特に限定されない。
光重合開始剤(C)としては、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、硫黄化合物、アゾ化合物、パーオキサイド化合物、ホスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。
具体的には、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4′−ビス(ジメチルアミノベンゾフェノン)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどの硫黄化合物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどのパーオキサイド化合物;等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
これらのうち、光安定性、光開裂の高効率性、表面硬化性、相溶性、低揮発、低臭気などの観点から、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンが好ましい。
【0026】
本発明においては、上記光重合開始剤(C)の含有量は、上記ネマチック液晶性化合物(A)および上記カイラル剤(B)の合計100質量部に対して、0.5〜20質量部であるのが好ましく、3〜9質量部であるのがより好ましい。
【0027】
<ナフタルイミド骨格を有する化合物(D)>
本発明の組成物は、ブルーライト領域の中でも短波長側の領域(385〜420nm)を吸収でき、ブルーライトカット機能が全体としてより良好となる理由から、下記式(1)で表されるナフタルイミド骨格を有する化合物(D)を含有するのが好ましい。
【化10】
(式(1)中、R1は、水素原子またはヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表し、R2は、水素原子または有機基を表し、複数のR2は同一であっても異なっていてもよい。)
【0028】
上記式(1)中のR1で示されるヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられ、不飽和結合を有してもよい。
また、R2で示される有機基としては、例えば、アミノ基、水酸基などの官能基;脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基などの炭化水素基;これらを組み合わせた炭化水素基;が挙げられる。なお、炭化水素基は、ヘテロ原子や二重結合を有していてもよい。
また、R1で示される炭化水素基は、直鎖状または分岐状のアルキル基であるのが好ましく、炭素数は1〜12であるのが好ましい。
また、R2で示される有機基のうち、炭化水素基としては、アルコキシ基であるのが好ましく、メトキシ基またはエトキシ基であるのがより好ましい。
【0029】
ナフタルイミド骨格を有する化合物(D)を含有する場合の含有量は、上記ネマチック液晶性化合物(A)および上記カイラル剤(B)の合計100質量部に対して、0.05〜10質量部であるのが好ましく、1.0〜3.0質量部であるのがより好ましい。
【0030】
<化合物(E1)/化合物(E2)>
本発明の組成物は、ブルーライト領域の中でも短波長側の領域(385〜430nm)を吸収でき、ブルーライトカット機能が全体としてより良好となる理由から、ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物(E1)および/またはヒドロキシフェニルトリアジン骨格を有する化合物(E2)を含有するのが好ましい。
【0031】
ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物(E1)としては、例えば、下記式(4)で表される化合物が挙げられる。
【化11】
(式(4)中、R3は、水素原子またはヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。)
【0032】
上記式(4)中のR3で示されるヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられ、不飽和結合を有してもよい。
【0033】
このようなベンゾトリアゾール骨格を有する化合物(E1)の市販品としては、例えば、チヌビンCarbo protect(BASF社製)、チヌビン384−2(BASF社製)等が挙げられる。
【0034】
ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物(E1)を含有する場合の含有量は、上記ネマチック液晶性化合物(A)および上記カイラル剤(B)の合計100質量部に対して、0.05〜10質量部であるのが好ましく、1.0〜3.0質量部であるのがより好ましい。
【0035】
一方、ヒドロキシフェニルトリアジン骨格を有する化合物(E2)としては、例えば、下記式(5)で表される化合物等が挙げられる。
【化12】
(式(5)中、R4は、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基を表す。R5は、水素原子または有機基を表し、複数のR5は、いずれも同一であっても異なっていてもよい。R6は、水素原子または有機基を表し、複数のR6は、いずれも同一であっても異なっていてもよい。)
【0036】
上記式(5)中のR4で示されるヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられ、不飽和結合を有してもよい。なかでも、ヘテロ原子やヒドロキシ基を有していてもよい脂肪族炭化水素基であるのが好ましい。
上記式(5)中のR5で示される有機基としては、例えば、アミノ基、水酸基などの官能基;脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基などの炭化水素基;これらを組み合わせた炭化水素基;が挙げられる。なかでも、脂肪族炭化水素基(特にアルキル基)であるのが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であるのがより好ましく、メチル基またはエチル基であるのが更に好ましい。
上記式(5)中のR6で示される有機基としては、例えば、アミノ基、水酸基などの官能基;脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基などの炭化水素基;これらを組み合わせた炭化水素基;が挙げられる。なお、炭化水素基は、ヘテロ原子や二重結合を有していてもよい。なかでも、脂肪族炭化水素基(特に、アルキル基、アルコキシ基)、芳香族炭化水素基(特にフェニル基)であるのが好ましい。
【0037】
このようなヒドロキシフェニルトリアジン骨格を有する化合物(E2)の市販品としては、例えば、チヌビン400(BASF社製)、チヌビン 405(BASF社製)、チヌビン460(BASF社製)、チヌビン 477(BASF社製)、チヌビン479(BASF社製)等が挙げられる。
【0038】
ヒドロキシフェニルトリアジン骨格を有する化合物(E2)を含有する場合の含有量は、上記ネマチック液晶性化合物(A)および上記カイラル剤(B)の合計100質量部に対して、0.05〜10質量部であるのが好ましく、1.0〜3.0質量部であるのがより好ましい。
【0039】
<溶剤>
本発明の組成物は、塗工性が良好となる観点から、更に、溶剤を含むのが好ましい。
溶剤は、上述した各成分を溶解することができるものであれば特に限定されない。例えば、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチケトン(MIBK)、シクロヘキサノンのようなケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、イソプロピルアルコール(IPA)のようなアルコール;シクロヘキサンのようなシクロアルカン;トルエン、キシレン、ベンジルアルコールのような芳香族炭化水素化合物が挙げられる。なかでも、溶解性、乾燥性や塗装性に優れるという観点から、シクロヘキサノン、MIBKが好ましい。
溶剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0040】
本発明においては、任意の溶剤の含有量は、塗工性の観点から、組成物の全量中、85〜5質量%であるのが好ましい。
【0041】
<レベリング剤>
本発明の組成物は、硬化皮膜のブルーライトカット機能がより良好となる理由から、更に、レベリング剤を含むのが好ましい。
レベリング剤としては、例えば、シリコーン系レベリング剤、アクリル系レベリング剤、ビニル系レベリング剤、フッ素系レベリング剤等が挙げられる。
これらのうち、硬化皮膜の均一性を高め、結果として、硬化皮膜の透明性が良好となるという理由から、アクリル系レベリング剤を用いるのが好ましい。
【0042】
本発明においては、任意のレベリング剤の含有量は、塗工性の観点から、組成物の全量中、0.01〜3質量%であるのが好ましい。
【0043】
本発明の組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、例えば、紫外線吸収剤、充填剤、老化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、接着性付与剤、分散剤、酸化防止剤、消泡剤、艶消し剤、光安定剤、染料、顔料のような添加剤を更に含有することができる。
【0044】
本発明の組成物の製造方法は特に限定されず、上述したネマチック液晶性化合物(A)、カイラル剤(B)および光重合開始剤(C)ならびに任意の化合物(D)、化合物(E1)、化合物(E2)、溶剤、レベリング剤および添加剤を均一に混合することによって製造することができる。
【0045】
〔積層体〕
本発明の積層体は、基材と、硬化皮膜とを有する積層体であって、上記硬化皮膜が、上述した本発明の組成物を用いて形成される積層体である。
本発明の積層体は、本発明の組成物を用いて形成される硬化皮膜を有するため、ブルーライトカット機能に優れる。
【0046】
次に、本発明の積層体の構成について、図1を用いて説明する。
図1に示す積層体100は、基材102と、本発明の組成物を用いて形成される硬化皮膜104とを有する。
ここで、基材および硬化皮膜の厚さは特に制限されないが、基材の厚さは50〜300μm程度であるのが好ましく、硬化皮膜の厚さは0.1〜100μm程度であるのが好ましい。
【0047】
<基材>
上記基材は特に限定されず、その構成材料としては、例えば、プラスチック、ゴム、ガラス、金属、セラミック等が挙げられる。
ここで、プラスチックは、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂のいずれであってもよく、その具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シクロオレフィン系重合体(単独重合体、共重合体、水素添加物を含む。例えば、COPやCOC)、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA樹脂)、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アセテート樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
また、上記基材は、例えば、コロナ処理のような表面処理がなされていてもよい。
また、上記基材の形態は特に限定されないが、フィルム状であるのが好ましい。
【0048】
ここで、COCは、テトラシクロドデセンとエチレン等のオレフィンとの共重合体(シクロオレフィンコポリマー)である。また、COPは、ノルボルネン類を開環重合し、水素添加して得られる重合体(シクロオレフィンポリマー)である。
以下に、COCおよびCOPの構造の例を示す。
【0049】
【化13】
【0050】
<樹脂層>
本発明の積層体は、上記硬化皮膜を構成する液晶性化合物の配向(ねじれ)状態が良好となり、上記基材との密着性も良好となる理由から、上記基材と上記硬化皮膜との間に、樹脂層を有しているのが好ましい。
本発明においては、上記樹脂層を設ける場合、上記樹脂層は、表面張力が32mN/m以上のアクリル系樹脂層であるのが好ましい。
ここで、表面張力は、硬化後のアクリル系樹脂層に、濡れペン(ペンナンバー30、32、34、36、38、40、42および44mN/mの8本セット、アルコテスト社製)を塗り、塗った後に2〜5秒経過した際にペン筋の状態を目視により確認し、インクがはじかない最も大きなペンナンバーを選定して判定する。
【0051】
このようなアクリル系樹脂層は、表面張力が32mN/m以上であれば、例えば、従来公知のハードコートに用いられる紫外線硬化型樹脂組成物(以下、「ハードコート用樹脂組成物」と略す。)を用いて形成されるアクリル系樹脂層であるのが好ましい。なお、表面張力の調整は、従来公知のレベリング剤、界面活性剤、親水性または親油性付与剤などを含有させることにより行うことができる。
ここで、上記ハードコート用樹脂組成物としては、例えば、後述する多官能(メタ)アクリレート(a)および光重合開始剤(b)等を含有する組成物を用いることができる。
【0052】
(多官能(メタ)アクリレート(a))
上記多官能(メタ)アクリレート(a)は、(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する化合物であれば特に制限されない。
(メタ)アクリロイルオキシ基は有機基に結合することができる。有機基としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有してもよい炭化水素基が挙げられる。炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせが挙げられる。炭化水素基は直鎖状、分岐状を含むことができ、不飽和結合を有してもよい。
多官能(メタ)アクリレート(a)は、得られるアクリル系樹脂層の硬度が高く、上記基材と上記硬化皮膜との密着性がより良好となる理由から、(メタ)アクリロイルオキシ基を4〜12個有するのが好ましい。
【0053】
多官能(メタ)アクリレート(a)としては、例えば、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、ウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのような3官能系;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのような4官能系;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレートのような5官能以上の系が挙げられる。
【0054】
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル(この場合、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルとしては例えば、少なくとも1つのヒドロキシ基を有するものが挙げられる。)とポリイソシアネート化合物との反応物が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートを製造する際に使用される多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、上記と同様のものが挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートを製造する際に使用される、ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートのような芳香族系ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートのような脂肪族系ポリイソシアネート(鎖状及び/又は脂環式系を含む。);これらのイソシアヌレート体、ビューレット体、アダクト体;ウレタンプレポリマーが挙げられる。
【0055】
(光重合開始剤(b))
一方、上記光重合開始剤(b)は、光によって上記多官能(メタ)アクリレート(a)を重合することができるものであれば特に限定されず、本発明の組成物が含有する上記光重合開始剤(C)と同様のものを適宜選択して用いることができる。
【0056】
上記ハードコート用樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、例えば、紫外線吸収剤、充填剤、老化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、接着性付与剤、分散剤、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、艶消し剤、光安定剤、染料、顔料のような添加剤を更に含有することができる。
レベリング剤としては、例えば、シリコーン系レベリング剤、アクリル系レベリング剤、ビニル系レベリング剤、フッ素系レベリング剤等が挙げられる。
【0057】
また、上記樹脂層の厚さは、上記基材と上記硬化皮膜との密着性がより良好となる理由から、0.1〜100μm程度であるのが好ましく、1〜5μmであるのがより好ましい。
【0058】
<ハードコート層>
本発明の積層体は、上記硬化皮膜の上記基材とは反対側の表面に、ハードコート層を有していてもよい。
ここで、ハードコート層は、上述した樹脂層において説明したハードコート用樹脂組成物を用いて形成されるアクリル系樹脂層であるのが好ましく、その形成方法は、上述した樹脂層の形成方法と同様の方法が挙げられる。
ハードコート層を有する場合、その厚さは特に限定されないが、0.01〜50μm程度であるのが好ましく、1〜5μmであるのがより好ましい。
【0059】
<製造方法>
本発明の積層体の製造方法は、例えば、フィルム状の基材(上記樹脂層を有する場合は上記樹脂層)上に、本発明の組成物を塗工し、乾燥し、紫外線を照射する工程を有する方法が挙げられる。
ここで、本発明の組成物を基材上に塗工する方法は特に限定されず、例えば、はけ塗り、流し塗り、浸漬塗り、スプレー塗り、スピンコート等の公知の塗布方法を採用できる。
また、塗工後に乾燥させる温度は、20〜110℃であるのが好ましい。
また、乾燥後の紫外線照射は、本発明の組成物を硬化させる際に使用する紫外線の照射量(積算光量)として、速硬化性、作業性の観点から、50〜3,000mJ/cm2が好ましい。紫外線を照射するために使用する装置は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。硬化させるに際し加熱を併用してもよい。
なお、上記樹脂層の形成方法は、本発明の組成物と同様の方法で、基材上に塗工し、乾燥し、紫外線を照射する工程により形成することができる。
【0060】
本発明の積層体は、例えば、電子画像表示装置、眼鏡レンズ、照明(特に、LED照明)用の保護カバー、太陽電池モジュール部材等に使用することができる。
電子画像表示装置としては、例えば、パソコン、テレビ、タッチパネル、ウェラブル端末(例えば、眼鏡型、腕時計型などの身体に身につけることが可能なコンピューター端末)などのディスプレイ用途電子デバイス部品が挙げられる。
本発明の積層体を電子画像表示装置等に内蔵または後付け(例えば外部からの貼付等)することができる。本発明の積層体を電子画像表示装置等に内蔵する場合、例えば反射板以外の部分に適用することができる。具体的には例えば、レンズシート、拡散シート、導光板に適用することができる。
本発明の組成物を電子画像表示装置に直接適用して硬化皮膜を形成することができる。
【実施例】
【0061】
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
【0062】
〔実施例1〜18および比較例1〜2〕
<組成物の調製>
下記第1表の各成分を、第1表に示す組成(質量部)で、撹拌機を用いて混合し、組成物を調製した。
<積層体の製造>
上記のようにして得られた各組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム(PET生地:商品名U46、東レ社製、厚さ125μm)にバーコーターを用いて乾燥後の膜厚で1.5μmとなるようなクリアランス設定で塗布し、これを80℃の条件下で1分間乾燥させた後、これに川口スプリング製作所社製のGSUV SYSTEMを用いて紫外線(UV)を照射(UV照射条件:照度300mW/cm2、積算光量300mJ/cm2、UV照射装置は高圧水銀灯)して組成物を硬化させ、積層体を作製した。
【0063】
〔評価〕
製造した積層体を用いて以下の評価を行った。結果を第1表に示す。
【0064】
<硬化皮膜のブルーライトの平均カット率>
上述のとおり製造した積層体に、装置として日立分光光度計3900Hを用いて800〜300nm領域の光を照射し、その385nm〜495nm領域における平均透過率(%)を測定した。測定結果を下記式に当てはめて積層体のブルーライトの平均カット率を算出した。
硬化皮膜のブルーライトの平均カット率(%)=100−(385〜495nm領域の平均透過率)
ここで、基材(PETフィルム)のみ、実施例1、4および10ならびに比較例1の吸収スペクトルを図2のグラフに示す。
【0065】
<黄色味>
作製した積層体の色差(L*a*b*表色系)について、ハンディタイプの簡易型分光色差計CM−500(コニカミノルタ社製)を用い、JIS Z8730:2009で規定されている方法で測定した。b*値の測定結果を下記第1表に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
第1表に示される各成分の詳細は以下のとおりである。
・ネマチック液晶性化合物A−1:上記式(2a)で表される化合物(n=4)
・ネマチック液晶性化合物A−2:上記式(2b)で表される化合物
・非液晶性化合物X−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)を主成分として含むヒドロキシ(メタ)アクリレート〔商品名:NX103−161、固形分85%:亜細亜工業社製〕と、ヘキサメチレンジイソシアネートとを、質量比(81/19)で反応させた反応物
・カイラル剤B−1:上記式(3a)で表される化合物(m=4)
・カイラル剤B−2:上記式(3b)で表される化合物
・カイラル剤B−3:上記式(3c)で表される化合物
・光重合開始剤C−1:イルガキュア184(BASF社製)
・化合物D−1:ナフタルイミド骨格を有する化合物(上記式(1)におけるR1が、−CH2CH(CH2CH2CH32であり、R2が、−O−CH3である化合物)
・化合物E1−1:ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物(チヌビンCarbo protect、BASF社製)
・化合物E1−2:ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物(チヌビン384−2、BASF社製)
・化合物E2−1:ヒドロキシフェニルトリアジン骨格を有する化合物(チヌビン477、BASF社製)
・化合物E2−2:ヒドロキシフェニルトリアジン骨格を有する化合物(チヌビン479、BASF社製)
・メチルエチルケトン:溶媒
・シクロヘキサノン:溶媒
・レベリング剤:アクリル系レベリング剤(BYK361N、ビックケミー・ジャパン社製)
【0068】
第1表に示す結果から明らかなように、重合性官能基を有するネマチック液晶性化合物(A)を配合せず、非液晶性化合物を配合して調製した比較例1の組成物は、ブルーライトカット機能に劣ることが分かった(比較例1)。
また、カイラル剤(B)を配合せずに調製した比較例2の組成物は、ブルーライトカット機能が不十分であることが分かった(比較例2)。
【0069】
これに対し、重合性官能基を有するネマチック液晶性化合物(A)、カイラル剤(B)および光重合開始剤(C)を配合して調製した組成物は、いずれもブルーライトカット機能を有する硬化皮膜を形成できることが分かり、また、いずれのb*値も2.0以下となり、ブルーライトカット機能を有しているにも関わらず、黄色味が非常に低いことが分かった(実施例1〜18)。なお、市販のブルーライトカットフィルムにおいては、一般的にb*値が7〜25の範囲にあることと対比しても、顕著な効果であることが分かる。
特に、ネマチック液晶性化合物(A)およびカイラル剤(B)とともに、ナフタルイミド骨格を有する化合物(D)、ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物(E1)、または、ヒドロキシフェニルトリアジン骨格を有する化合物(E2)を併用した実施例2〜8、11〜12、14および16〜18の組成物は、ブルーライトカット機能がより向上することが分かった。
【0070】
図2は、積層体のUV−可視光吸収スペクトルを示すグラフである。図2において「基材のみ」は実施例において積層体の製造に使用されたポリエチレンテレフタレートフィルム単独を意味する。図2に示す結果から明らかなように、実施例1、4および10は、基材のみまたは比較例1より、ブルーライトを透過しないことが分かる。
【0071】
〔実施例19〜34〕
実施例1〜3および実施例8で調製した各組成物を用いて、以下に示す方法で積層体Aおよび積層体Bを作製し、以下に示す方法で硬化皮膜の密着性を評価した。
【0072】
<積層体Aの製造−基材(PETフィルム)>
ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET生地:商品名U46、東レ社製、厚さ125μm)に、下記第2表に示す品番のアクリル系樹脂組成物(いずれも横浜ゴム社製)をバーコーターを用いて乾燥後の膜厚で1.5μmとなるようなクリアランス設定で塗布し、これを80℃の条件下で1分間乾燥させた後、これに川口スプリング製作所社製のGSUV SYSTEMを用いて紫外線(UV)を照射(UV照射条件:照度300mW/cm2、積算光量300mJ/cm2、UV照射装置は高圧水銀灯)して硬化させ、PET基材上にアクリル系樹脂層を形成した。形成したアクリル系樹脂層に、濡れペン(ペンナンバー30、32、34、36、38、40、42および44mN/mの8本セット、アルコテスト社製)を塗り、塗った後に2〜5秒経過した際にペン筋の状態を目視により確認し、インクがはじかない最も大きなペンナンバーを選定し、表面張力を決定した。
次いで、実施例1〜3および実施例8で調製した各組成物を上記アクリル系樹脂層にバーコーターを用いて乾燥後の膜厚で1.5μmとなるようなクリアランス設定で塗布し、これを80℃の条件下で1分間乾燥させた後、これに川口スプリング製作所社製のGSUV SYSTEMを用いて紫外線(UV)を照射(UV照射条件:照度300mW/cm2、積算光量300mJ/cm2、UV照射装置は高圧水銀灯)して組成物を硬化させ、積層体を作製した。
【0073】
<積層体Bの製造−基材(シクロオレフィン)>
基材として、コロナ処理が施されたシクロオレフィンフィルム(COP生地:商品名ZF16−100、日本ゼオン社製、厚さ100μ)を用いた以外は、積層体Aと同様の方法により、積層体Bを作製した。
【0074】
<密着性>
作製した積層体AおよびBについて、JIS K5400に基づいた碁盤目剥離試験を行い、密着性を評価した。
具体的には、カッターを用いて各積層体の硬化皮膜の部分と樹脂層の部分のみに1mmピッチで切れ込みを入れ、基盤目を100個(10×10)を作り、基盤目上にセロハン粘着テープ(幅18mm)を完全に付着させ、直ちにテープの一端を基板に対して直角に保ちながら瞬間的に引き離し、完全に剥がれないで残った基盤目の数を調べた。残った基盤目の数が75個以上の場合は密着性に優れるものとして「○」と評価し、75個未満の場合は密着性にやや劣るものとして「×」と評価した。結果を下記第2表に示す。
【0075】
【表2】
【0076】
第2表に示す結果から、積層体として、基材と硬化皮膜との間に樹脂層を設ける場合、樹脂層を構成するアクリル系ポリマーの表面張力が32mN/m以上であると、基材と硬化皮膜との密着性が良好となることが分かった。
【符号の説明】
【0077】
100 積層体
102 基材
104 硬化皮膜
図1
図2