特許第6026580号(P6026580)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6026580
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】梳き鋏
(51)【国際特許分類】
   B26B 13/08 20060101AFI20161107BHJP
【FI】
   B26B13/08
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-43027(P2015-43027)
(22)【出願日】2015年3月4日
(65)【公開番号】特開2016-159057(P2016-159057A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2015年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】515059865
【氏名又は名称】株式会社ミュウ
(74)【代理人】
【識別番号】100109597
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 章
(72)【発明者】
【氏名】堀 博明
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−292160(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3160547(JP,U)
【文献】 特開2007−244548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 13/00 − 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
櫛刃と棒刃の2つの鋏片が交叉箇所で回動自在に枢着される梳き鋏において、前記棒刃の刃表に複数の凹み部が形成され、かつ、棒刃の刃縁に凹凸が形成されないこと特徴とする梳き鋏。
【請求項2】
複数の凹み部が連続的に形成されることを特徴とする請求項1に記載の梳き鋏。
【請求項3】
複数の凹み部が一定の間隔毎に形成されることを特徴とする請求項1に記載の梳き鋏。
【請求項4】
複数の凹み部が刃先部分にのみ形成されることを特徴とする請求項1に記載の梳き鋏。
【請求項5】
複数の凹み部が形成される間隔が刃先から刃元に向け次第に広くなることを特徴とする請求項4に記載の梳き鋏。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、理美容分野で使用される梳き鋏に関し、詳細には、一定の毛量に調整してカットでき、また毛髪に対して縦に入れても円滑に移動させることができる梳き鋏に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪をカットする際、櫛刃を有する梳き鋏が使用される。梳き鋏を使用してカットする毛量は、カットの仕方により異なるため、梳き鋏は毛量を一定に調整をできることが望ましい。
従来、毛量の調整ができる梳き鋏の提案がある。すなわち、一対の鋏部材を交差させ、この交差部を枢軸で連結し、一方の鋏部材は切り刃部を備え、他方の鋏部材は、幅の狭い刃部と溝とが交互に設けられた櫛刃部を備えている梳き鋏において、前記他方の鋏部材の櫛刃部よりも先端側には、切り刃部が設けられたことを特徴とする梳き鋏がある(特許文献1参照)。
【0003】
また、カットには様々な方法があり、チョップカットのように毛髪に対して梳き鋏を縦に入れてカットすることもあり、この場合、梳き鋏を移動する際に毛髪に引っ掛かることがあり、カットの操作を円滑に行えないことや毛髪に傷をつけることがあった。
従来、毛髪からの抜け出しが容易で、毛髪に傷つけることのない梳き鋏についての提案がある。すなわち、棒刃を有した静刃と、櫛刃を設けた動刃をX状に枢着軸によって開閉自在に軸着して構成したすき鋏において、前記櫛刃は、先端の刃部をV又はU状に成形すると共に、静刃の棒刃は、櫛刃に対して任意深さの凹凸を成形し、櫛刃の刃先と対応する凸部には刃部を設け、凹部側には刃部を有しないことを特徴とした理美容用すき鋏がある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−215686号広報
【特許文献1】特開平8−196750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の梳き鋏は、切り刃部(棒刃)と櫛刃部との間で毛髪をカットする場合については通常の梳き鋏と同様であり、特段の工夫がなされるものではない。
また、特許文献2に記載の梳き鋏は、梳き鋏を毛髪に対して横(垂直)に入れてカットする場合には適していても、毛髪に対して梳き鋏を縦に入れる場合には棒刃に形成される凹凸が毛髪に引っ掛かり、梳き鋏を円滑に移動できないということがある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたもので、一定の毛量に調整してカットができ、また毛髪に対して縦に入れてカットする場合も円滑に移動させることができる梳き鋏を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題を解決するため鋭意検討を重ね本発明に想到した。
すなわち、本発明は、櫛刃と棒刃の2つの鋏片が交叉箇所で回動自在に枢着される梳き鋏において、前記棒刃の刃表に複数の凹み部が形成され、かつ、棒刃の刃縁に凹凸が形成されないこと特徴とする梳き鋏に関する。
【0008】
上記の発明によれば、櫛刃の櫛歯に載った毛髪は凹み部に捕捉されて束となるので、カットされる毛量がカットの操作ごとに区々となるのではなく一定の毛量に調整してカットすることができる。
【0009】
上記の発明において、複数の凹み部を連続的に形成しても、一定の間隔毎に形成してもよい。また、複数の凹み部を刃先部分にのみ形成してもよく、更にこれらの凹み部を形成する間隔を刃先から刃元に向け次第に広くなるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の梳き鋏によれば、櫛刃の櫛歯に載った毛髪を棒刃の刃表の凹み部で捕捉し一定の毛量に調整してカットすることができ、また毛髪に対して梳き鋏を縦に入れてカットする場合に円滑に移動させることができるので、一定の毛量に調整してチョップカットのようなカットは勿論のこと、様々なカットを円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る梳き鋏の平面図である。
図2】本実施形態に係る梳き鋏の刃表に凹み部が形成された棒刃と櫛刃の部分平面図である。
図3】本実施形態に係る梳き鋏の刃表に凹み部が形成された棒刃と櫛刃の部分平面図である。
図4】本実施形態に係る梳き鋏の刃表に凹み部が形成された棒刃と櫛刃の部分平面図である。
図5】本実施形態に係る梳き鋏の刃表に凹み部が形成された棒刃と櫛刃の部分平面図である。
図6】本実施形態に係る梳き鋏の刃表に凹み部が形成された棒刃と櫛刃の部分平面図である。
図7】本実施形態に係る梳き鋏の刃表に凹み部が形成された棒刃と櫛刃の部分平面図である。
図8】本実施形態に係る梳き鋏の刃表に凹み部が形成された棒刃と櫛刃の部分平面図である。
図9】本実施形態に係る梳き鋏の刃表に凹み部が形成された棒刃と櫛刃の部分平面図である。
図10】本実施形態に係る梳き鋏の刃表の刃先部分にのみ凹み部が形成された棒刃と櫛刃の部分平面図である。
図11】本実施形態に係る梳き鋏の刃表に刃先から刃元に向け次第に間隔が広くなるように刃先部分にのみ凹み部が形成された棒刃と櫛刃の部分平面図である。
図12】本実施形態に係る梳き鋏の櫛刃の櫛歯と棒刃で毛髪をカットする状態を示す説明図である。
図13】本実施形態に係る梳き鋏の刃表に凹み部が形成された棒刃と櫛刃の部分平面図及び棒刃の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を図面を参照しながら実施の形態により詳細に説明する。本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0013】
本実施形態に係る梳き鋏50は、図1に示すように、櫛刃10と棒刃20の2つの鋏片が交叉箇所30で回動自在に枢着され、交叉箇所30の後方に把持部35が形成されている。
【0014】
櫛刃10は、複数の櫛歯11と複数の櫛溝12が交互に設けられている。櫛歯11の先端は、通常平坦状に形成されるが、V字状やU字状などに形成してもよい。切刃は、櫛刃と棒刃のいずれか一方に設けても、あるいは両者に設けてもよい。
【0015】
棒刃20は、刃表に複数の凹み部25が形成されている。図2図11に例示するように、凹み部25を連続的に形成した場合(図2図4図6図8)、凹み部25を一定の間隔毎に形成した場合(図3図5図7図9)、凹み部25の長さを長く幅を狭く形成した場合(図2図3)、凹み部25の長さを短く幅を狭く形成した場合(図4図5)、凹み部25の長さを短く幅を広く形成した場合(図6図7)、凹み部25の長さを長く幅を広く形成した場合(図8図9)、凹み部25を刃先部分にのみ形成した場合(図10参照)、凹み部25の間隔を刃先から刃元に向け次第に広くなるように凹み部25を刃先部分にのみ形成した場合(図11参照)など様々な態様で形成することができる。
【0016】
次いで、上記のように構成される梳き鋏50の作用について説明する。図12において、太い線は毛髪の束で、細い線は一本一本の毛髪を示す。梳き鋏50の一方の鋏片である棒刃20の表面に複数の凹み部25が形成され、他方の鋏片である櫛刃10の櫛歯11に載った毛髪は凹み部25に捕捉されて束となるため、梳き鋏50を使用すればカットの操作ごとに一定した毛量をカットすることができる。通常の梳き鋏は棒刃に凹み部がないので、櫛歯に載った毛髪はばらけて櫛溝に入り込むものもあり、カットされる毛量はカットの操作ごとに区々となり一定しない。
【0017】
カットされる毛量は、凹み部25の面積が広いほど多くなるので、凹み部25の幅が広いほど、凹み部25の長さが長いほど、棒刃20の厚みが厚いほどより多くの毛髪を束にして捕捉できる。図13のX、Yに示すように、AとBは、CとDに比べ凹み部25の長さが短いので、Aに比べCが、Bに比べDがより多くの毛量をカットできる。また、Aは棒刃20の厚みがBより厚いので、Bに比べより多くの毛量をカットできる。同様に、Cは棒刃20の厚みがDより厚いので、Dに比べより多くの毛量をカットできる。
【0018】
凹み部25を連続的に形成する場合は、凹み部25を一定の間隔毎に形成する場合に比べより多くの毛量をカットできる。また、凹み部25を刃先部分にのみ形成する場合は、毛髪に対して梳き鋏を縦に入れた際に頭皮に近い毛髪をカットする毛量を多くできると共に、毛髪の毛先をカットする毛量を少なくすることができる。凹み部25の間隔を刃先から刃元に向け次第に広くなるように凹み部25を刃先部分にのみ形成する場合は、毛髪をより自然なカットに仕上げることが可能となる。凹み部25を棒刃20の刃表の一部にのみ形成する場合、刃先部分に限らず、任意な部分に形成することができる。
【0019】
梳き鋏50は、上記のように一定した毛量に調整してカットすることができるので、少ない毛量をカットする梳き鋏が必要とされる場合や、多い毛量をカットする梳き鋏が必要とされる場合に備え、凹み部25の形態を種々変えた梳き鋏を揃えることにより要求される毛量のカットに確実に応えることが可能となる。
【0020】
また、本発明の梳き鋏50は、棒刃20の刃縁に凹凸がなく、毛髪に対して梳き鋏50を縦に入れる場合も毛髪に引っ掛かることがなく円滑に移動でき、移動により毛髪に傷つけることがない。
【符号の説明】
【0021】
10 櫛刃
11 櫛歯
12 櫛溝
20 棒刃
25 凹み部
35 把持部
50 梳き鋏
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13