特許第6026810号(P6026810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本車輌製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6026810-搬送車両 図000007
  • 特許6026810-搬送車両 図000008
  • 特許6026810-搬送車両 図000009
  • 特許6026810-搬送車両 図000010
  • 特許6026810-搬送車両 図000011
  • 特許6026810-搬送車両 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6026810
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】搬送車両
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20161107BHJP
   B62D 7/14 20060101ALI20161107BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20161107BHJP
   G05D 1/02 20060101ALI20161107BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20161107BHJP
【FI】
   B62D6/00
   B62D7/14 B
   B60P3/00 L
   G05D1/02 W
   B62D113:00
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-175923(P2012-175923)
(22)【出願日】2012年8月8日
(65)【公開番号】特開2014-34265(P2014-34265A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】特許業務法人しんめいセンチュリー
(72)【発明者】
【氏名】北沢 和彦
【審査官】 三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−055415(JP,A)
【文献】 特開2010−036631(JP,A)
【文献】 特開2011−081585(JP,A)
【文献】 特開平10−029556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 6/00
B60P 3/00
B62D 7/14
G05D 1/02
B62D 113/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
独立して操舵可能な複数の車輪と、操舵量を入力するための入力手段と、その入力手段に入力された操舵量に応じて前記複数の車輪の操舵を制御し、且つ、他の搬送車両を並進させるために前記他の搬送車両が有する車輪の操舵を制御するための操舵指令情報を算出する制御手段と、その制御手段により算出された操舵指令情報を前記他の搬送車両に伝送する伝送手段とを備え、前記他の搬送車両と共に搬送物を担って走行する搬送車両において、
前記制御手段は、
前記他の搬送車両が有する車輪のうち、前記搬送車両が操舵を制御する車輪の該搬送車両に対する相対的な位置を取得する車輪位置取得手段と、
前記搬送車両に対して所定方向に延びる基準ラインと前記他の搬送車両の向きとが成すズレ角の角度情報を取得するズレ角情報取得手段と、
前記入力手段に入力する操舵量と前記車輪位置取得手段で取得された前記他の搬送車両が有する車輪の位置とに基づいて、前記基準ラインと平行な所定方向を向くと仮定した前記他の搬送車両に、該他の搬送車両の車輪を前記入力手段に入力された操舵量に応じた目標方向に向けさせるための第1操舵角の角度情報を算出する第1操舵角情報算出手段と、
その第1操舵角情報算出手段により算出された第1操舵角の角度情報と前記ズレ角情報取得手段により取得されたズレ角の角度情報とに基づいて、前記搬送車両によって操舵が制御される前記他の搬送車両の車輪に付与する指令操舵角を、前記第1操舵角に前記ズレ角を加えて算出し、前記指令操舵角を舵指令情報として生成する操舵指令情報生成手段とを備え
前記伝送手段は、その操舵指令情報生成手段により生成された操舵指令情報を前記他の搬送車両へ伝送するものであることを特徴とする搬送車両。
【請求項2】
前記ズレ角情報取得手段は、
前記搬送車両に対する前記他の搬送車両の相対的な向きを検出する向き検出手段と、
その向き検出手段によって検出された他の搬送車両の向きと前記基準ラインの向きとから、前記他の搬送車両のズレ角の角度情報を算出するズレ角情報算出手段とを備えていることを特徴とする請求項1記載の搬送車両。
【請求項3】
前記ズレ角情報算出手段は、前記搬送車両の向きと同方向に延びる前記基準ラインを用いて、その基準ラインと前記他の搬送車両の向きとが成す前記ズレ角の角度情報を算出するものであることを特徴とする請求項2記載の搬送車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車両に関し、特に他の搬送車両の操舵を制御して他の搬送車両を並進させるために、搬送車両と他の搬送車両とを並べる作業を簡略化できる搬送車両に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁やプラント建屋等の寸法や質量が大きな一の搬送物を搬送するために、一の搬送物を複数台で担って走行する搬送車両がある。このような複数台で一の搬送物を担う搬送車両として、特許文献1には、マスタ台車(搬送車両、基準キャリア)が、共に搬送物を担うスレイブ台車(他の搬送車両、従属キャリア)に対して速度や操舵量といった制御量を指令し、各車両の位置関係を維持させながら並進させるものが記載されている。特許文献1において、マスタ台車は、マスタ台車のハンドルから入力された入力操舵量、および、マスタ台車に対するスレイブ台車の車輪の位置に基づいて、スレイブ台車の各車輪に対する操舵量をそれぞれ算出し、この操舵量をスレイブ台車にそれぞれ指令することにより、互いの位置関係を維持させながらスレイブ台車をマスタ台車に並進させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−36630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の技術において、マスタ台車が算出するスレイブ台車の操舵量は、スレイブ台車の向きがマスタ台車に対して平行方向を向くものと仮定したうえで、そのスレイブ台車が有する車輪を、マスタ台車の入力操舵量に応じた目標方向に向けさせるための操舵量であった。このため、マスタ台車と向きがズレているスレイブ台車に対して、一の搬送車両で算出された操舵量が指令されると、マスタ台車とスレイブ台車の向きのズレに応じて、スレイブ台車の車輪の向きは、マスタ台車への入力操舵量に応じた目標方向からズレてしまう。従って、従来は、搬送の準備段階で、スレイブ台車の向きを、マスタ台車と同方向を向くように、距離や向きを測定しながら正確に揃える作業が必要であり、作業が煩雑になっていた。
【0005】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、他の搬送車両と並進する場合に、予め他の搬送車両を並べる作業を簡略化できる搬送車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
請求項1記載の搬送車両によれば、独立して操舵可能な複数の車輪と、操舵量を入力するための入力手段と、その入力手段へ入力された操舵量に応じて複数の車輪の操舵を制御し、且つ、他の搬送車両を並進させるために他の搬送車両が有する車輪の操舵を制御するための操舵指令情報を算出する制御手段と、その制御手段によって算出された操舵指令情報を他の搬送車両に伝送する伝送手段とを有し、他の搬送車両と共に搬送物を担い走行するものである。
【0007】
この搬送車両では、制御手段のズレ角取得手段によって、搬送車両に対して所定方向に延びる基準ラインと他の搬送車両の向きとが成すズレ角の角度情報が取得される。また、他の搬送車両が有する車輪のうち、搬送車両が操舵を制御する車輪の該搬送車両に対する相対的な位置が、制御手段の車輪位置取得手段によって取得され、制御手段の第1操舵角情報算出手段によって、入力手段から入力する操舵量と車輪位置取得手段により取得された他の搬送車両が有する車輪の位置とに基づき、基準ラインと平行な所定方向を向くと仮定した他の搬送車両に、該他の搬送車両の車輪を入力手段に入力された操舵量に応じた目標方向に向けさせるための第1操舵角の角度情報が算出される。制御手段の操舵指令情報生成手段では、第1操舵角の角度情報とズレ角の角度情報とに基づいて、搬送車両によって操舵が制御される他の搬送車両の車輪に付与する指令操舵角が、第1操舵角に前記ズレ角が加えられて算出され、算出された指令操舵角が操舵指令情報として生成される。そして、操舵指令情報生成手段によって生成された操舵指令情報が、伝送手段によって他の搬送車両に伝送される。
【0008】
これにより、操舵指令情報が伝送された他の搬送車両が有する車輪に付与される指令操舵角は、基準ラインと平行な所定方向を向くものと仮定した他の搬送車両に対して、該他の搬送車両が有する車輪を搬送車両の入力手段へ入力された操舵量と対応する目標方向に向けさせる第1操舵角に、所定方向に延びた基準ラインと実際の他の搬送車両の向きとが成すズレ角を加えたものとなる。このため、他の搬送車両の車輪が指令操舵角に操舵されると、他の搬送車両の向きが基準ラインとズレていたとしても、他の搬送車両の車輪を、搬送車両の入力手段へ入力された操舵量に応じた目標方向に向けさせることができる。従って、他の搬送車両の向きが所定方向と異なっていても、搬送車両は、互いの位置関係を維持させながら他の搬送車両を正確に並進させることができる。よって、他の搬送車両の操舵を制御して他の搬送車両を並進させる場合に、予め他の搬送車両の向きを正確に所定方向に揃えておく作業を不要にできるので、搬送車両と他の搬送車両とを並べる作業を簡略化できるという効果がある。
【0009】
請求項2記載の搬送車両によれば、請求項1記載の搬送車両の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、基準ラインに対して他の搬送車両の向きが成すズレ角の角度情報は、搬送車両のズレ角情報取得手段に設けた向き検出手段によって、搬送車両に対する他の搬送車両の相対的な向きが検出され、向き検出手段によって検出された他の搬送車両の向きと基準ラインの向きとから、ズレ角情報取得手段に設けられたズレ角情報算出手段によって算出されたものである。よって、基準ラインに対する他の搬送車両のズレ角を算出するために、基準ラインに対する他の搬送車両の距離や向きを人に測定させる作業を不要にできる。このため、搬送車両および他の搬送車両を並べる作業を、いっそう簡略化できるという効果がある。
【0010】
請求項3記載の搬送車両によれば、請求項2記載の搬送車両の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、搬送車両のズレ角情報算出手段により、搬送車両の向きと同方向に延びる基準ラインを用いてズレ角の角度情報が算出されるので、向き検出手段によって検出される搬送車両に対する他の搬送車両の相対的な向きが、基準ラインに対する他の搬送車両の向きとなる。このため、ズレ角情報算出手段では、向き検出手段の検出結果に基づいて、基準ラインと他の搬送車両の向きとが成すズレ角の角度情報を容易に算出できる。そして、ズレ角の角度情報の算出が容易になるので、搬送車両の制御手段によって、他の搬送車両に指令する指令操舵角の角度情報を簡単に算出することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)は、本発明の一実施形態における搬送車両が、他の搬送車両と共に搬送物を担った状態の概略を示す平面図であり、(b)は、(a)の矢印Ib方向から視た側面図である。
図2】(a)は、本発明の一実施形態における基準キャリアの側面図であり、(b)は、(a)に示す基準キャリアの底面図である。
図3】基準キャリアと従属キャリアとを並進させて搬送物を搬送させるために、基準キャリアおよび従属キャリアに設けた構成を説明するための平面図である。
図4】基準キャリアの電気的構成を示すブロック図である。
図5】基準キャリアの制御装置により実行される操舵処理を示すフローチャートである。
図6】並進走行時における基準キャリアおよび従属キャリアの操舵角算出方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。図1(a)は、本発明の一実施形態における搬送車両1が、3台の他の搬送車両11と共に搬送物100を担った状態の概略を示す平面図であり、図1(b)は、図1(a)の矢印Ib方向から視た側面図である。図1では、搬送車両1,11の外観を簡略化して示している。
【0013】
まず、図1を参照して、本発明の搬送車両1の用途を説明する。搬送車両1は、他の搬送車両11と共に搬送物100を担って並進する場合に、予め搬送車両1と他の搬送車両11とを並べる作業を簡略化できるように構成されている。
【0014】
なお、図1において、矢印Fによって示される方向が搬送車両1および他の搬送車両11の前方向を示している。この矢印Fは、後に説明する図2および図3においても同様に、矢印Fによって示される方向を搬送車両1および他の搬送車両の前方向として示している。また、以下の説明において、搬送車両1および他の搬送車両11が前方向に進行する場合を「前進」、前方向とは逆方向に進行する場合を「後退」と称す。
【0015】
図1(a),(b)に示すように、搬送車両1は、搬送車両1に比べて長大な搬送物100を積載して、搬送するための車両であり、図1(a)に示すように、搬送車両1に対して、例えば、全長と幅とがそれぞれ2倍程度ある搬送物100を搬送する場合、搬送車両1は、3台の他の搬送車両11と、前後方向に2台ずつ、左右方向(矢印Fと直交する方向)に2台ずつの計4台で構成される隊列を編成し、各搬送車両1,11の上面(台部2(図2参照))にて、搬送物100を掛架するように担うことで、搬送物100を積載する。
【0016】
また、図1(a)に示すように、搬送車両1は、通信装置8(図3参照)を介した無線通信Sにより3台の他の搬送車両11の走行をそれぞれ制御して、他の搬送車両11と並進しながら他の搬送車両11と共に搬送物100を搬送する。このように、複数台の搬送車両1,11によって一の搬送物100を担い走行することで、寸法や質量が大きな搬送物100であっても搬送することが可能となる。
【0017】
なお、図1では、搬送物100を搬送するために、前後方向に各2台、左右方向に各2台の隊列を搬送車両1,11の計4台によって編成する場合について説明したが、隊列を構成する車両の数や並べ方は、搬送物100の大きさや、質量、形状に応じて適宜選択することができる。
【0018】
本実施形態において、搬送車両1と他の搬送車両11とは、同様に構成された車両である。並進走行の準備段階で行われた設定に基づいて、搬送車両1または他の搬送車両11としての役割が与えられる。このため、特に断りがない場合は、他の搬送車両11についての詳細な説明は省略する。
【0019】
以下の説明では、搬送車両1を「基準キャリア」と称するものとし、他の搬送車両11を「従属キャリア」と称するものとする。
【0020】
次に、図2を参照して、本発明の基準キャリア1(搬送車両1)の概略構成を説明する。図2(a)は、本発明の一実施の形態における基準キャリア1の側面図であり、図2(b)は、図2(a)に示した基準キャリア1の底面図である。なお、図2(b)では、駆動室4や運転室5などの図示が省略されている。また、複数ある同一の構成には、それら複数の構成のうちの一部の構成のみに符号を付して図面を簡略化している。
【0021】
図2に示すように、基準キャリア1は、搬送物が積載される台部2と、その台部2の下方に複数の駆動ユニット3とを備えている。駆動ユニット3は、左右の車輪3aと、その車輪3aに回転駆動力および操舵駆動力を与える油圧モータ(図示せず)とを備えて構成されている。また、各駆動ユニット3は、それぞれ独立して操舵可能に構成されている。このため、基準キャリア1の全ての車輪3aを同相に操舵することで、基準キャリア1を直進、斜行若しくは横行させることができ、基準キャリア1の前方の車輪3aと後方の車輪3aとを逆相に操舵するか、前方または後方のうち一方側の車輪3aを操舵することで、基準キャリア1を旋回させることができる。
【0022】
また、基準キャリア1は、台部2の長手方向の一端部(図2(a)紙面左側)に連結された駆動室4及び運転室5を備えている。駆動室4は、車輪3aを駆動する油圧モータに作動油を供給する油圧ポンプや、油圧ポンプを駆動するエンジン(いずれも図示せず)が収容されている。
【0023】
運転室5には、アクセルペダル(図示せず)及びハンドル61が設けられ、運転者が搭乗可能に構成される。運転者によるアクセルペダルやハンドル61の操作に基づき、基準キャリア1の操舵や走行の操作がされるほか、従属キャリア11との並進走行時には、従属キャリア11の操舵や走行も操作される。
【0024】
次に、図3を参照して、基準キャリア1を、3台の従属キャリア11(第1従属キャリア11A,第2従属キャリア11B,第3従属キャリア11C)と並進させて搬送物100を搬送するために設けた構成について説明する。図3は、基準キャリア1と従属キャリア11とを並進させて搬送物100を搬送させるために、基準キャリア1および従属キャリア11に設けた構成を説明するための平面図である。
【0025】
図3に示すように、第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cにも、上記した基準キャリア1の運転室5と同様に構成された運転室5が設けられている。前述したように、基準キャリア1と並進する場合は、各従属キャリア11A,11B,11Cの走行や操舵は基準キャリア1によって制御されるため、基準キャリア1との並進時には、運転者は各従属キャリア11A,11B,11Cの運転室5に搭乗しない。
【0026】
第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cの運転室5は、基準キャリア1と共に搬送物100を積載するための準備段階で、各従属キャリア11A,11B,11Cを、搬送物100の積載に適した位置へ移動させるために運転者が搭乗し、各従属キャリア11A,11B,11Cに対する走行や操舵の操作が行われるものとして機能する。
【0027】
本実施形態では、図3に示すように、搬送物100を積載するための準備段階で、運転者が各従属キャリア11A,11B,11Cをそれぞれ操作して位置決めする場合は、第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cを、位置決めの基準となる基準ラインLと向きを揃えて並べる。詳細については後述するが、基準ラインLとは、基準キャリア1の向き(前後方向)に対しての角度が予め定められた仮想的な直線である。
【0028】
基準キャリア1および第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cには、並進走行のために必要な情報を互いに伝送するため、通信装置8がそれぞれ設けられている。基準キャリア1に搭載された制御装置70と、各従属キャリア11A,11B,11Cに搭載された制御装置70とは、互いの通信装置8を介した無線通信Sにより接続される。並進走行時には、各従属キャリア11A,11B,11Cから基準キャリア1へ向けて、各従属キャリア11A,11B,11Cの各部の位置や寸法を規定する車両データが、互いの通信装置8を介して、基準キャリア1へ伝送される。また、その車両データに基づいて基準キャリア1の制御装置70にて算出された各従属キャリア11A,11B,11Cの走行速度や操舵量が、互いの通信装置8を介して、各従属キャリア11A,11B,11Cへ伝送される。これにより、各従属キャリア11A,11B,11Cは、基準キャリア1から指令された走行速度、操舵量で各車輪3aを駆動、操舵して走行する。
【0029】
また、基準キャリア1および第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cには、それぞれの前後に配設され周囲に無線電波を発信する2つの発信ビーコン6a,6bと、他車両に設けられた発信ビーコン6a,6bの位置を検出するビーコン受信装置7とがそれぞれ設けられている。
【0030】
ビーコン受信装置7は、発信ビーコン6a,6bから発信された無線電波を受信し、受信した無線電波の強度と、無線電波の到来方向とから、各発信ビーコン6a,6bの位置(位置座標)を検出するものである。例えば、基準キャリア1に設けられたビーコン受信装置7では、第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cが有する発信ビーコン6a,6bの位置座標がそれぞれ検出される。これにより、基準キャリア1では、各従属キャリア11A,11B,11Cにつき、発信ビーコン6a,6bの2箇所の位置座標を取得できる。これにより、基準キャリア1では、この2箇所の位置座標と上述の通信装置8を介して取得した車両データとに基づいて、基準キャリア1の基準位置に対する、3台の従属キャリア11A,11B,11Cの基準位置と、向きとを把握できる。
【0031】
ここで、基準キャリア1および第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cの基準位置とは、基準キャリア1および各従属キャリア11A,11B,11Cの各部の位置を特定するための基準となる位置座標のことである。本実施形態において、基準キャリア1および各従属キャリア11A,11B,11Cの基準位置は、それぞれ、車両最前列右側の駆動ユニット3(車輪3a)の位置P,QOA,QOB,QOCに設定されている。以下、基準キャリア1および各従属キャリア11A,11B,11Cの基準位置を、それぞれP,QOA,QOB,QOCで示し、第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cのいずれであるかを特定せずに、従属キャリア11の基準位置を示すときは、Qと記すこととする。
【0032】
次に、図4を参照して、基準キャリア1(搬送車両1)の電気的構成について説明する。図4は、基準キャリア1の電気的構成を示したブロック図である。制御装置70は、基準キャリア1の各部を制御するための装置であって、図4に示すように、CPU71、ROM72及びRAM73を有し、これらがバスライン74を介して入出力ポート75にそれぞれ接続されている。また、入出力ポート75には、ハンドル61、駆動ユニット3、ビーコン受信装置7、通信装置8等がそれぞれ接続されている。
【0033】
CPU71は、バスライン74により接続された各部を制御する演算装置である。ROM72は、CPU71により実行される制御プログラム(例えば、図5に示す操舵処理を実行するためのプログラム)や固定値データ等を格納した書き換え不能な不揮発性のメモリである。また、ROM72には、車両データメモリ72aが設けられている。この車両データメモリ72aには、各駆動ユニット3(車輪3a)の位置や、発信ビーコン6a,6bの位置、基準キャリア1の車両中心の位置等、基準キャリア1の各部の位置や寸法を規定する車両データが記憶されている。車両データメモリ72aでは、基準キャリア1の各部の位置を、基準キャリア1の基準位置Pを原点とし、基準キャリア1の前後方向と左右方向とを座標軸とする位置座標によって記憶されている。例えば、基準キャリア1の車両中心の位置が、基準位置Pから後方へ4000mm、左方へ1000mmの位置であれば、(−4000,1000)と記憶される。車両データメモリ72aに記憶された車両データは、基準キャリア1の各車輪3aに付与する操舵角を算出するため、CPU71によって参照される。
【0034】
また、第1〜第3従属キャリア11A,11B,11CのROM72にも、それぞれ車両データメモリ72aを有し、基準キャリア1と同様に、各従属キャリア11A,11B,11Cの駆動ユニット3(車輪3a)の位置や、発信ビーコン6a,6bの位置、車両中心の位置等の車両データがそれぞれ記憶されている。各従属キャリア11A,11B,11Cの車両データメモリ72aでは、それぞれ、各従属キャリア11A,11B,11Cの基準位置QOA,QOB,QOCを原点とし、各従属キャリア11A,11B,11Cの前後方向と左右方向とを座標軸とする位置座標により各部の位置が記憶されている。基準キャリア1と各従属キャリア11A,11B,11Cとは、並進走行の準備段階で通信装置8を介した車車間通信を行い、車両データを互いに送受信する。これにより、基準キャリア1のCPU71は、各従属キャリア11A,11B,11Cの車両データを取得する。
【0035】
RAM73は、CPU71が制御プログラムの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリであり、第1〜第3従属車両データメモリ73a,73b,73c、第1〜第3従属座標メモリ73d,73e,73f、舵取中心座標メモリ73g、基準ライン角度メモリ73h、並進フラグ73i、及び、指令済みメモリ73jとが設けられている。
【0036】
第1〜第3従属車両データメモリ73a,73b,73cは、それぞれ、第1従属キャリア11A、第2従属キャリア11B、第3従属キャリア11Cの車両データを記憶するためのメモリである。基準キャリア1のCPU71は、通信装置8を介して取得した、各従属キャリア11A,11B,11Cの車両データを、第1〜第3従属車両データメモリ73a,73b,73cにそれぞれ記憶する。そして、この車両データは、基準キャリア1のCPU71によって、第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cが有する各車輪3aの目標操舵角を算出するために参照される。なお、詳細については、図5を参照して後述する。
【0037】
第1〜第3従属座標メモリ73d,73e,73fは、それぞれ、基準キャリア1の基準位置Pに対する第1従属キャリア11A、第2従属キャリア11B及び第3従属キャリア11Cの各々に設けた発信ビーコン6a,6bの位置座標を記憶するためのメモリである。基準キャリア1のCPU71は、第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cの各々に設けた発信ビーコン6a,6bからの無線電波をビーコン受信装置7によって受信すると、各発信ビーコン6a,6bからの無線電波の強度と方位とに応じて、各発信ビーコン6a,6bの位置座標を、車両毎に判別し、その位置座標を第1〜第3従属座標メモリ73d,73e,73fのそれぞれに記憶する。このとき、各従属座標メモリ73d,73e,73fには、各発信ビーコン6a,6bの位置座標を、基準キャリア1の基準位置Pを原点とし、基準キャリア1の前後方向と左右方向とを座標軸とする座標データにより記憶される。
【0038】
CPU71は、各従属座標メモリ73d,73e,73fに記憶される各従属キャリア11A,11B,11Cの発信ビーコン6a,6bの位置座標から、基準キャリア1に対する各従属キャリア11A,11B,11Cの向きを算出する。また、CPU71は、第1〜第3従属座標メモリ73d,73e,73fに記憶される各従属キャリア11A,11B,11Cの発信ビーコン6a,6bの位置座標と、第1〜第3従属車両データメモリ73a,73b,73cに記憶された各従属キャリア11A,11B,11Cの車両データとに基づいて、基準キャリア1の基準位置Pに対する各従属キャリア11A,11B,11Cが有する車輪3aの位置を算出する。そして、基準キャリア1に対する各従属キャリア11A,11B,11Cの向きと、第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cが有する各車輪3aの位置とに基づいて、基準キャリア1のハンドル61の操舵量に応じた、各従属キャリア11A,11B,11Cの各車輪3aに付与する目標操舵角を算出する。なお、詳細については、図5を参照して後述する。
【0039】
舵取中心座標メモリ73gは、基準キャリア1の走行における舵取中心Tの位置座標が、基準キャリア1の基準位置Pに対する相対位置として格納されるメモリである。基準キャリア1が、各従属キャリア11A,11B,11Cと独立して走行する場合、舵取中心座標メモリ73gには、基準キャリア1の前後方向および幅方向(左右方向)の中心位置(即ち車両中心位置)の座標が舵取中心Tの座標として格納される。一方、基準キャリア1が各従属キャリア11A,11B,11Cと隊列を編成して並進する場合、舵取中心座標メモリ73gには、基準キャリア1および各従属キャリア11A,11B,11Cとによる隊列の中心位置の座標が舵取中心Tの座標として格納される。
【0040】
基準ライン角度メモリ73hは、基準キャリア1と第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cとによる並進の基準となる基準ラインLを規定するためのメモリである。基準ライン角度メモリ73hには、基準キャリア1の前後方向と基準ラインLとが成す、基準キャリア1の傾き角αが記憶されている。本実施形態において、傾き角αは、運転者からの入力により設定される。詳細は後述するが、基準ライン角度メモリ73hに記憶される傾き角αは、並進走行時における第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cが有する車輪3aの操舵角を算出するため、CPU71によって参照される。
【0041】
並進フラグ73iは、基準キャリア1の走行モードが、第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cと並進走行する並進モードであることを示すためのフラグである。並進モードの設定および解除は、運転室5に設けられた走行モード入力装置(図示せず)の操作に応じて行われる。走行モード入力装置にて並進モードの解除操作が行われた状態では、並進フラグ73iはオフ状態であり、各従属キャリア11A,11B,11Cの走行に影響を与えないで各従属キャリア11A,11B,11Cと独立に走行する通常走行モードとなる。一方、走行モード入力装置にて並進モードの設定操作が行われると、並進フラグ73iがオンされ、基準キャリア1は、基準キャリア1の走行と共に各従属キャリア11A,11B,11Cの走行を制御する並進モードに移行する。この並進フラグ73iの設定は、走行モード入力装置の操作に基づく割込処理(図示せず)によって行われる。
【0042】
指令済メモリ73jは、後述する操舵処理(図5参照)が実行された場合に、CPU71が、第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cのいずれに対して目標操舵角を算出し、指令するかを示すためのメモリである。指令済メモリ73jは、操舵処理が行われる度に初期化(0クリア)される。また、一つの操舵処理の中で、第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cのうち1台に対する目標操舵角を算出して指令する度に1加算され、最大「3」まで加算される。CPU71は、指令済メモリ73jの値が、「1」「2」および「3」のそれぞれの場合に、第1従属キャリア11A、第2従属キャリア11Bおよび第3従属キャリア11Cの目標操舵角を算出し、指令する。
【0043】
ハンドル61は、基準キャリア1の操舵角を運転者が入力(設定)する装置である。運転者によるハンドル61の操作によって入力された操舵角は、ハンドル61に設けた操舵角センサ61aによって検出され、CPU71に出力される。CPU71は、基準キャリア1の基準位置Pに配設された車輪3a(即ち、基準キャリア1の最前列右側に配設された車輪3a)に付与する基準操舵角βを、操舵角センサ61aより取得した操舵角に応じて算出する。詳細は後述するが、CPU71は、この基準操舵角βに応じて、基準キャリア1及び第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cの旋回中心を求める。
【0044】
また、他の入出力装置99としては、並進モードと通常走行モードの切り替えのために運転者に操作される走行モード入力装置や、走行モードを運転者に表示するための表示装置等が例示される。
【0045】
次に図5を参照して、基準キャリア1(搬送車両1)の制御装置70で実行される操舵処理について説明する。図5は、基準キャリア1の制御装置70で実行される操舵処理を示すフローチャートである。この操舵処理は、基準キャリア1のハンドル61の操舵角に応じて、基準キャリア1が有する各車輪3aの目標操舵角を算出すると共に、第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cが有する各車輪3aに付与する目標操舵角を算出し、算出した目標操舵角を各従属キャリア11A,11B,11Cに指令することで、各従属キャリア11A,11B,11Cを基準キャリア1に並進させるための処理である。この操舵処理は、制御装置70に電源が投入されると起動し、定期的(例えば0.1秒毎)に実行される。
【0046】
まず、S1〜S4の処理では、基準キャリア1の走行モードに応じて、走行の舵取り中心T(x,y)の位置座標を設定する。ここで設定される舵取中心T(x,y)は、基準キャリア1の基準位置Pを原点とし、基準キャリア1の前後方向、左右方向に座標軸(x軸,y軸(図6参照))を設けた座標系(xy座標系)での位置座標である。
【0047】
まず、CPU71は、並進フラグ73iの状態を判別することにより、基準キャリア1の走行モードが、第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cと並進する並進モードおよび各従属キャリア11A,11B,11Cと独立して走行する通常走行モードのいずれであるかを確認する(S1)。S1の処理によって、並進フラグ73iがオンされていると判別された場合(S1:Yes)、即ち、基準キャリア1の走行モードが並進モードである場合、基準キャリア1のCPU71は、ビーコン受信装置7より、第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cに設けられた発信ビーコン6a,6bの位置座標をxy座標系の位置座標として取得し、第1〜第3従属座標メモリ73d,73e,73fへ格納する(S2)。
【0048】
そして、第1〜第3従属座標メモリ73d,73e,73fに記憶される各従属キャリア11A,11B,11Cの発信ビーコン6a,6bの位置座標と、予め第1〜第3従属車両データメモリ73a,73b,73cに記憶されている車両データとに基づいて、各従属キャリア11A,11B,11Cの車両中心位置をxy座標系で求める。また、各従属キャリア11A,11B,11Cの車両中心位置と、基準キャリア1の車両中心位置とから、基準キャリア1と第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cとによって構成された隊列の中心位置の位置座標を算出し、この位置座標を舵取中心T(x,y)の座標として舵取中心座標メモリ73gに格納する(S3)。
【0049】
次に、CPU71は、操舵角センサ61aの出力値を参照して、ハンドル61に入力された操舵角を取得し(S5)、ハンドル61に入力された操舵角と対応する旋回中心Rの位置座標を、xy座標系にて算出する(S6)。
【0050】
ここで、図6を参照して、旋回中心Rの算出方法について説明する。図6は、並進走行時における基準キャリア1および従属キャリア11の操舵角算出方法を説明するための説明図である。図6は、平面視にて、基準キャリア1および従属キャリア11が隊列を編成した状態を示している。なお、図6では、理解を容易にするため、基準キャリア1と1台の従属キャリア11とのみを示し、これらの車両と並進走行する他の従属キャリア11を省略している。また、基準キャリア1および従属キャリア11が有する車輪3aのうち、車両最前列とそれよりも後方の一列とに配置された車輪3aのみを図示し、それ以外の車輪3aを省略している。図6では、x軸正の向きによって示される方向が基準キャリア1の前方向を示しており、u軸正の向きによって示される方向が従属キャリア11の前方向を示している。
【0051】
ハンドル61に操舵角が入力された場合、基準位置Pに配設された車輪3aに付与する基準操舵角βが、ハンドル61への入力操舵角に応じて求められる。この基準操舵角βが付与される車輪3aの位置座標P(xPO,yPO)を通り、基準操舵角βが付与された車輪3aの向きに直交する直線RPと、舵取中心Tを通り基準ラインLと垂直に交わる直線M(以下、「前後基準軸M」と称す)との交点の位置座標が、基準キャリア1および従属キャリア11の旋回中心Rの位置座標R(x,y)として求められる。なお、ハンドル61への操舵角の入力が無く、直進する場合、旋回中心Rは、前後基準軸M上の無限遠点に設定されるものとする。このように、基準キャリア1および従属キャリア11からなる隊列の全長を略等分する前後基準軸M上に旋回中心Rを設定することで、隊列の旋回半径を小さくすることができる。
【0052】
図5に戻って説明を続ける。旋回中心Rの位置座標を求めたら、基準キャリア1が有する各車輪3aに付与する目標操舵角θPnを、旋回中心Rの位置座標R(x,y)と、車両データメモリ72aに記憶されている各車輪3aの位置座標とに基づいて算出する(S7)。ここで、基準キャリア1において位置Pn(xPn,yPn)に配設された車輪3aに付与する目標操舵角θPnは、次の数1によって与えられる。
【0053】
【数1】
上記の数1により、位置Pn(xPn,yPn)に配設された車輪3aの向きを、その車輪3aと旋回中心Rとを結ぶ直線RPnと直交させる目標操舵角θPnを求めることができる。よって、上記の数1により、基準キャリア1が有する全ての車輪3aについての目標操舵角θPnが算出され、それぞれの車輪3aに目標操舵角θPnが付与されると、車輪3aがそれぞれ旋回中心Rを中心とする同心円の周方向を向く。よって、基準キャリア1は、R(x,y)を中心とする旋回走行が可能となる。
【0054】
S7の処理によって、基準キャリア1の全ての車輪3aに対して目標操舵角θPnが算出されたら、S8に移行し、再び並進フラグ73iがオンされているか確認する(S8)。ここまでにS2,S3の各処理を実行している場合は、並進フラグ73iがオンされているので(S8:Yes)、指令済メモリ73jの値を0クリアし(S9)、S10の処理に移行する。
【0055】
S10〜S17の処理は、第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cが有する車輪3aに付与する目標操舵角を、1台分ずつ算出し、指令するループ処理であり、S10〜S17の処理が一通り実行される毎に、第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cうち1台についての目標操舵角の算出および指令が行われる。
【0056】
まず、S10の処理では、指令済メモリ73jの値Nを参照して、基準キャリア1が、全ての従属キャリア11A,11B,11Cに対して車輪3aの操舵角を指令したか判別する(S10)。指令済メモリ73jの値Nは、この後実行されるS11の処理により、初期値0から、第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cの1台に指令する度に1ずつ加算される。よって、従属キャリア11の台数と同じ数が指令済メモリ73jに格納されていれば、即ち、本実施形態では「3」が格納されていれば(S10:Yes)、操舵処理を終了する。
【0057】
一方、指令済メモリ73jに格納される値が「3」未満であり、実行中の操舵処理によっていずれかの従属キャリア11A,11B,11Cに対する操舵角の指令が完了していなければ(S10:No)、S11の処理に移行し、指令済メモリ73jの値に1加算する(S11)。これにより、基準キャリア1が目標操舵角を算出する従属キャリア11として、第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cの中から1台を決定する。具体的には、指令済メモリ73jの値が「1」「2」「3」の各場合に、それぞれ第1従属キャリア11A、第2従属キャリア11B、第3従属キャリア11Cを、目標操舵角を算出する従属キャリア11として決定する。
【0058】
続くS12の処理では、指令済メモリ73jの値に対応する従属キャリア11の発信ビーコン6a,6bの位置座標を、指令済メモリ73jの値に対応する第1〜第3従属座標メモリ73d,73e,73fのいずれかから読出し、その発信ビーコン6a,6bの位置座標から、基準キャリア1に対する従属キャリア11の向きを算出する(S12)。この従属キャリア11の向きは、基準キャリア1の前後方向(x軸方向(図6参照))と従属キャリア11の前後方向(u軸方向(図6参照))とが成す角として算出される。
【0059】
次に、S12の処理によって求めた基準キャリア1の前後方向と従属キャリア11の前後方向が成す角と、予め基準ライン角度メモリ73hに記憶された基準ラインLに対する基準キャリア1の傾き角αとから差分を取って、基準ラインLと従属キャリア11の前後方向とが成す角である、ズレ角δを算出する(S13)。
【0060】
次に、第1〜第3従属座標メモリ73d,73e,73fから読み出した従属キャリア11に設けられた発信ビーコン6a,6bの位置座標と、予め第1〜第3従属車両データメモリ73a,73b,73cのいずれかに格納された従属キャリア11の車両データとに基づいて、従属キャリア11の各車輪3aの位置座標Qnを、基準キャリア1の基準位置Pを原点位置とするxy座標系で算出する(S14)。
【0061】
ここで、図6を参照して、従属キャリア11の各車輪3aの位置座標Qnを算出する方法について説明する。図6に示すように、第1〜第3従属車両データメモリ73a,73b,73cに記憶されている従属キャリア11の車輪3aの位置座標Qnは、従属キャリア11の基準位置Qを原点とし、従属キャリア11の前後方向、左右方向に座標軸(u軸,v軸)を設けたuv座標系での位置座標Qn(uQn,vQn)である。そこで、第1〜第3従属座標メモリ73d,73e,73fから読み出した各従属キャリア11A,11B,11Cの発信ビーコン6a,6bの位置座標と、予め第1〜第3従属車両データメモリ73a,73b,73cに記憶されている車両データとに基づいて、xy座標系での従属キャリア11の基準位置Q(xQO,yQO)の位置座標が与えられると、uv座標系における従属キャリア11の車輪3aの位置座標Qn(uQn,vQn)は、次の数2によって、xy座標系の座標Qn(xQn,yQn)に変換できる。
【0062】
【数2】
図5に戻って説明を続ける。旋回中心R(x,y)と、S14の処理で求めた従属キャリア11の各車輪3aの位置座標Qn(xQn,yQn)とに基づいて、基準ラインLと同方向を向くと仮定した従属キャリア11において、位置Qn(xQn,yQn)に配設された車輪3aの向きを、その車輪3aと旋回中心Rとを結ぶ直線RQnに対して直交させるための操舵角θQn(仮目標操舵角θQn)を算出する(S15)。従属キャリア11の仮目標操舵角θQnを算出するためには、まず、xy座標系で定義される旋回中心R(x,y)および従属キャリア11の車輪3aの位置座標Qn(xQn,yQn)を、基準キャリア1の基準位置Pを原点位置とし、基準ラインLと、基準ラインLに直交する前後中心軸Mとにそれぞれ平行な軸を座標軸とするLM座標系の位置座標に変換する。LM座標系に変換した旋回中心R(L,M)の座標、および、車輪3aの座標Qn(LQn,MQn)は、それぞれ、次の数3、数4にて与えられる。
【0063】
【数3】
【0064】
【数4】
そして、数3、数4で求めた旋回中心R(L,M)、および、車輪3aの座標Qn(LQn,MQn)とを用いて、従属キャリア11において位置Qn(LQn,MQn)に配設された車輪3aの仮目標操舵角θQnを、次の数5により求めることができる。
【0065】
【数5】
S15の処理によって、従属キャリア11が有する各車輪3aの仮目標操舵角θQnを求めたら、各車輪3aの仮目標操舵角θQnに、S13の処理で算出した従属キャリア11のズレ角δをそれぞれ加えて、従属キャリア11の各車輪3aに付与する目標操舵角を算出する(S16)。この目標操舵角は、基準ラインLと同方向を向くと仮定した従属キャリア11において位置Qn(xQn,yQn)に配設された車輪3aの向きを、その車輪3aと旋回中心Rとを結ぶ直線RQnに対して直交させるための仮目標操舵角θQnに、実際の従属キャリア11の基準ラインLに対するズレに応じたズレ角δを加えているので、従属キャリア11の向きに拘わらず、車輪3aの向きを、直線RQnに対して直交させるものとなる。
【0066】
次に、S16の処理によって算出した目標操舵角を、通信装置8を介して従属キャリア11に指令する(S17)。これにより、従属キャリア11では、車輪3aの操舵が制御され、従属キャリア11の各車輪3aを、旋回中心Rを中心とする同心円の周方向に向けさせることができる。よって、従属キャリア11の向きが基準ラインLとズレていても、従属キャリア11を、基準キャリア1と共通の旋回中心R周りに旋回させることができる。即ち、基準キャリア1との位置関係を維持させたまま、従属キャリア11を走行させることができる。
【0067】
S17の処理の実行後は、S10の処理に戻って、第1〜第3従属キャリア11A,11B,11Cの全てに対して目標操舵角が算出され、指令されるまで、S10〜S17の処理を繰り返す。
【0068】
S1に戻って説明を続ける。S1の処理によって、並進フラグ73iがオフされていると判別された場合、即ち、基準キャリア1の走行モードが、基準キャリア1が従属キャリア11と独立して走行する通常走行モードである場合(S1:No)、CPU71は、車両データメモリ72aに記憶された車両データを参照して、基準キャリア1の車両中心位置の位置座標を読出し、その位置座標を、舵取中心Tの位置座標として舵取中心座標メモリ73gに格納する(S4)。
【0069】
次に、CPU71は、操舵角センサ61aの出力値を参照して、ハンドル61に入力された操舵角を取得し(S5)、舵取中心Tを通る基準キャリア1の前後方向の中心軸(図示せず)上に、ハンドル61に入力された操舵角と対応する旋回中心Rを算出する(S6)。そして、基準キャリア1が有する各車輪3aが制御される目標操舵角を、旋回中心Rの位置座標と、車両データメモリ72aに記憶されている、各車輪3aの位置座標とに基づいて算出する(S7)。目標操舵角は、並進モード設定時と同様に、上記の数1を用いて算出できる。そして、通常走行モードでは、並進フラグ73iはオフされているので(S8:No)、操舵処理を終了する。
【0070】
以上説明したように、本実施形態の基準キャリア1によれば、従属キャリア11の各車輪3aに付与する目標操舵角を算出する場合は、基準ラインLと同方向を向くと仮定した従属キャリア11において、その従属キャリア11が有する各々の車輪3aの向きを、ハンドル61へ入力された操舵角に応じて設定された旋回中心Rと各車輪3aとを結ぶ直線RQnに対して直交させる仮目標操舵角θQnを車輪3a毎に算出し、各車輪3aについて算出した仮目標操舵角θQnに、実際の従属キャリア11の向きと基準ラインLとのズレ角δを加えた値を、各車輪3aに付与する目標操舵角として算出する。これにより、従属キャリア11の向きが基準ラインLからズレていても、車輪3aの向きを、旋回中心Rを中心とする同心円の周方向に向けさせることができる。よって、従属キャリア11の向きが基準ラインLとズレていても、従属キャリア11を、基準キャリア1と共通の旋回中心R周りに旋回させることができるので、従属キャリア11の向きに拘わらず、基準キャリア1との位置関係を正確に維持させながら従属キャリア11を走行させることができる。このため、基準キャリア1と従属キャリア11とを並進させる際に、従来のように、基準キャリア1と従属キャリア11との向きを並進走行の準備段階で正確に揃えておくため、基準キャリア1に対する従属キャリア11の距離や向きを測定し、微調整する煩雑な作業を不要にできる。従って、基準キャリア1と従属キャリア11とを並べる作業を簡略化できる。
【0071】
また、従属キャリア11の基準ラインLに対するズレ角δは、ビーコン受信装置7から取得した、従属キャリア11の発信ビーコン6a,6bの位置座標に基づいて、基準キャリア1の制御装置70にて自動的に算出している。よって、基準キャリア1と従属キャリア11とにより搬送物100を積載するための隊列を編成した後、基準ラインLに対する従属キャリア11のズレ角δを、各従属キャリア11について作業員が測定して求める作業が不要となる。このため、基準キャリア1と従属キャリア11とを並べる作業を、いっそう簡略化できるという効果がある。
【0072】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0073】
上述した実施形態では、従属キャリア11に設けた発信ビーコン6a,6bと基準キャリア1のビーコン受信装置7とを使用して、基準キャリア1に従属キャリア11の位置および向きを取得させる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、これに代えて種々の方法を用いて従属キャリア11の位置および向きを取得させることができる。例えば、基準キャリア1および各従属キャリア11に、それぞれ2つのGPS装置を設け、従属キャリア11の位置座標や、向き、従属キャリア11の車輪3aの位置座標を、初めから共通の座標系で取得するようにしても良い。また、基準キャリア1に周囲の物体との距離を、角度毎に測定するレーザセンサを設け、検出結果に基づいて、従属キャリア11の位置座標や向きを求めるようにしても良い。
【0074】
また、基準ラインLは、基準キャリア1の前後方向(x軸方向)に対して、角度α分だけ傾いたものとして説明したが、基準ラインLは、基準キャリア1の前後方向と同方向の直線(即ち、α=0)としても良い。かかる場合、制御装置70では、基準ラインLに対するズレ角δは、ビーコン受信装置7から取得した、従属キャリア11の発信ビーコン6a,6bの位置座標に基づいて算出した、基準キャリア1の前後方向の向きに対して従属キャリア11の前後方向の向きがなす角を算出するだけで、S13の処理を実行しなくても、基準ラインLに対して従属キャリア11の前後方向の向きが成すズレ角δが算出できる。よって、ズレ角δを容易に取得することができる。また、かかる場合は、xy座標系とLM座標系とが一致することから、旋回中心Rおよび従属キャリア11の車輪3aの位置座標Qnを、LM座標系に変換する必要もない。従って、制御手段70によって、従属キャリア11に指令する目標操舵角の算出を簡単に行うことができる。
【0075】
また、上記実施形態では、基準キャリア1と従属キャリア11とが、前後方向に進行し旋回する場合に、従属キャリア11の向きと基準ラインLとが成すズレ角δを算出し、従属キャリア11の目標操舵角に、ズレ角δを加える補正を行うものについて説明したが、かかる補正は、左右方向に進行し旋回する場合や、斜行、スピンターン(旋回中心Rと舵取中心Tとを一致させる旋回)を行う場合に適用することができる。
【0076】
また、上記実施形態では、基準キャリア1と従属キャリア11とを、同様に構成されたものとして説明したが、基準キャリア1と従属キャリア11との構成が異なっていても良い。
【0077】
また、基準ラインLに対するズレ角δは、ビーコン受信装置7から取得した、従属キャリア1 発信ビーコン6a,6bの位置座標に基づいて、基準キャリア1の制御装置70にて自動的に算出する場合について説明したが、ズレ角δは、従属キャリア11を基準ラインLに沿って並べた時に、作業員が各従属キャリア11と基準ラインLとのズレ角を直接計測し、計測値を、基準キャリア1に入力できるようにしても良い。
<その他>
<手段>
技術的思想1の搬送車両は、独立して操舵可能な複数の車輪と、操舵量を入力するための入力手段と、その入力手段に入力された操舵量に応じて前記複数の車輪の操舵を制御し、且つ、他の搬送車両を並進させるために前記他の搬送車両が有する車輪の操舵を制御するための操舵指令情報を算出する制御手段と、その制御手段により算出された操舵指令情報を前記他の搬送車両に伝送する伝送手段とを備え、前記他の搬送車両と共に搬送物を担って走行するものであって、前記制御手段は、前記他の搬送車両が有する車輪のうち、前記搬送車両が操舵を制御する車輪の該搬送車両に対する相対的な位置を取得する車輪位置取得手段と、前記搬送車両に対して所定方向に延びる基準ラインと前記他の搬送車両の向きとが成すズレ角の角度情報を取得するズレ角情報取得手段と、前記入力手段に入力する操舵量と前記車輪位置取得手段で取得された前記他の搬送車両が有する車輪の位置とに基づいて、前記基準ラインと平行な所定方向を向くと仮定した前記他の搬送車両に、該他の搬送車両の車輪を前記入力手段に入力された操舵量に応じた目標方向に向けさせるための第1操舵角の角度情報を算出する第1操舵角情報算出手段と、その第1操舵角情報算出手段により算出された第1操舵角の角度情報と前記ズレ角情報取得手段により取得されたズレ角の角度情報とに基づいて、前記搬送車両によって操舵が制御される前記他の搬送車両の車輪に付与する指令操舵角を、前記第1操舵角に前記ズレ角を加えて算出し、前記指令操舵角を伝送手段を介して前記他の搬送車両に伝送するための操舵指令情報を生成する操舵指令情報生成手段とを備えている。
技術的思想2の搬送車両は、技術的思想1記載の搬送車両において、前記ズレ角情報取得手段は、前記搬送車両に対する前記他の搬送車両の相対的な向きを検出する向き検出手段と、その向き検出手段によって検出された他の搬送車両の向きと前記基準ラインの向きとから、前記他の搬送車両のズレ角の角度情報を算出するズレ角情報算出手段とを備えている。
技術的思想3の搬送車両は、技術的思想2記載の搬送車両において、前記ズレ角算出手段は、前記搬送車両の向きと同方向に延びる前記基準ラインを用いて、その基準ラインと前記他の搬送車両の向きとが成す前記ズレ角の角度情報を算出するものである。
<効果>
技術的思想1記載の搬送車両によれば、独立して操舵可能な複数の車輪と、操舵量を入力するための入力手段と、その入力手段へ入力された操舵量に応じて複数の車輪の操舵を制御し、且つ、他の搬送車両を並進させるために他の搬送車両が有する車輪の操舵を制御するための操舵指令情報を算出する制御手段と、その制御手段によって算出された操舵指令情報を他の搬送車両に伝送する伝送手段とを有し、他の搬送車両と共に搬送物を担い走行するものである。
この搬送車両では、制御手段のズレ角取得手段によって、搬送車両に対して所定方向に延びる基準ラインと他の搬送車両の向きとが成すズレ角の角度情報が取得される。また、他の搬送車両が有する車輪のうち、搬送車両が操舵を制御する車輪の該搬送車両に対する相対的な位置が、制御手段の車輪位置取得手段によって取得され、制御手段の第1操舵角情報算出手段によって、入力手段から入力する操舵量と車輪位置取得手段により取得された他の搬送車両が有する車輪の位置とに基づき、基準ラインと平行な所定方向を向くと仮定した他の搬送車両に、該他の搬送車両の車輪を入力手段に入力された操舵量に応じた目標方向に向けさせるための第1操舵角の角度情報が算出される。制御手段の操舵指令情報生成手段では、第1操舵角の角度情報とズレ角の角度情報とに基づいて、搬送車両によって操舵が制御される他の搬送車両の車輪に付与する指令操舵角が、第1操舵角に前記ズレ角が加えられて算出され、算出された指令操舵角を他の搬送車両に伝送するための操舵指令情報が生成される。そして、操舵指令情報生成手段によって生成された操舵指令情報が、伝送手段によって他の搬送車両に伝送される。
これにより、操舵指令情報が伝送された他の搬送車両が有する車輪に付与される指令操舵角は、基準ラインと平行な所定方向を向くものと仮定した他の搬送車両に対して、該他の搬送車両が有する車輪を搬送車両の入力手段へ入力された操舵量と対応する目標方向に向けさせる第1操舵角に、所定方向に延びた基準ラインと実際の他の搬送車両の向きとが成すズレ角を加えたものとなる。このため、他の搬送車両の車輪が指令操舵角に操舵されると、他の搬送車両の向きが基準ラインとズレていたとしても、他の搬送車両の車輪を、搬送車両の入力手段へ入力された操舵量に応じた目標方向に向けさせることができる。従って、他の搬送車両の向きが所定方向と異なっていても、搬送車両は、互いの位置関係を維持させながら他の搬送車両を正確に並進させることができる。よって、他の搬送車両の操舵を制御して他の搬送車両を並進させる場合に、予め他の搬送車両の向きを正確に所定方向に揃えておく作業を不要にできるので、搬送車両と他の搬送車両とを並べる作業を簡略化できるという効果がある。
技術的思想2記載の搬送車両によれば、技術的思想1記載の搬送車両の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、基準ラインに対して他の搬送車両の向きが成すズレ角の角度情報は、搬送車両のズレ角情報取得手段に設けた向き検出手段によって、搬送車両に対する他の搬送車両の相対的な向きが検出され、向き検出手段によって検出された他の搬送車両の向きと基準ラインの向きとから、ズレ角情報取得手段に設けられたズレ角情報算出手段によって算出されたものである。よって、基準ラインに対する他の搬送車両のズレ角を算出するために、基準ラインに対する他の搬送車両の距離や向きを人に測定させる作業を不要にできる。このため、搬送車両および他の搬送車両を並べる作業を、いっそう簡略化できるという効果がある。
技術的思想3記載の搬送車両によれば、技術的思想2記載の搬送車両の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、搬送車両のズレ角情報算出手段により、搬送車両の向きと同方向に延びる基準ラインを用いてズレ角の角度情報が算出されるので、向き検出手段によって検出される搬送車両に対する他の搬送車両の相対的な向きが、基準ラインに対する他の搬送車両の向きとなる。このため、ズレ角算出手段では、向き検出手段の検出結果に基づいて、基準ラインと他の搬送車両の向きとが成すズレ角の角度情報を容易に算出できる。そして、ズレ角の角度情報の算出が容易になるので、搬送車両の制御手段によって、他の搬送車両に指令する指令操舵角の角度情報を簡単に算出することができるという効果がある。
【符号の説明】
【0078】
1 搬送車両、基準キャリア
3a 車輪
7 ビーコン受信装置(向き検出手段、第1操舵角情報算出手段の一部、ズレ角情報取得手段の一部、車輪位置取得手段の一部)
11 搬送車両、従属キャリア(他の搬送車両)
61 ハンドル(入力手段)
8 通信装置(伝送手段)
S15 第1操舵角情報算出手段の一部
S2,S14 車輪位置取得手段の一部
S12,S13 ズレ角情報取得手段の一部
S16 操舵指令情報生成手段
L 基準ライン
θQn 仮目標操舵角(第1操舵角)
δ ズレ角
図1
図2
図3
図4
図5
図6