(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における弾性表面波デバイス100の断面図である。
【0015】
図1に示すように、本発明の実施の形態1における弾性表面波デバイス100は、圧電基板101と素子102と配線電極103と空間104とカバー体108と第1の絶縁体112と、第2の絶縁体113と、接続電極110と、端子電極111とを有する。
【0016】
圧電基板101は、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウム等の圧電性単結晶からなり、熱膨張率に異方性がある。素子102と配線電極103は、圧電基板101の素子面上に形成した金属薄膜をパターニングすることにより設けたものである。素子102は、IDT(インターデジタルトランスデューサ)からなる弾性表面波素子であり、圧電基板101の素子面に弾性表面波を励振する。カバー体108は、圧電基板101の素子面上で空間104を介して素子102を覆うものであり、枠体105と箔体106と金属層107とからなる。枠体105は、圧電基板101の素子面上において素子102を囲むように設けた絶縁体であり、光硬化性樹脂をフォトリソグラフによりパターニングすることにより形成したものである。箔体106は、銅の金属箔からなり、枠体105の上面にこの金属箔を接着してパターニングすることにより形成したものであり、素子102が励振するための空間104を上方から封止する部分と、枠体105の上面に導体パターンを形成する部分とを有する。金属層107は、素子面上の配線電極103から箔体106の銅箔にかけて電気銅メッキにより形成したものであり、配線電極103に接続された導電回路を構成するとともに、空間104を封止する箔体106を機械的に補強強化する。
【0017】
第1の絶縁体112は、圧電基板101の背面および側面と枠体105の側面を覆う絶縁体であり、熱硬化性樹脂と無機フィラーとを含有し、枠体105の側面を覆う部分は、枠体105の高さよりも高く突出する突出部114を有する。第2の絶縁体113は、第1の絶縁体112の突出部114とカバー体108を上から覆う絶縁体であり、熱硬化性樹脂と無機フィラーとを含有する。接続電極110は、第2の絶縁体113を貫通して金属層107と端子電極111とを接続する導体であり、レーザーにより第2の絶縁体113を貫通する貫通穴を形成し、電気銅メッキにより導体を形成したものである。端子電極111は、この弾性表面波デバイス100を外部の回路に接続する導体である。
【0018】
以上のように構成した本発明の弾性表面波デバイス100は、第1の絶縁体112を用いて圧電基板101の背面と側面およびカバー体108の側面を覆い、第2の絶縁体113を用いてカバー体108の上面と第1の絶縁体112の上面を覆うことにより、カバー体108を形成した圧電基板101の全面を絶縁体で覆うことができ、弾性表面波デバイス100の外面に加わる衝撃を緩和するとともに圧電基板101の特定の一点に集中することを防止することができるため、圧電基板101の破壊を防止することができ、弾性表面波デバイス100の信頼性を向上することができるものである。
【0019】
また、本発明の弾性表面波デバイス100は、カバー体108と圧電基板101との間の接合面の周囲を第1の絶縁体112により覆ったことにより、圧電基板101とカバー体108との間の層間破壊を抑制することができるものである。
【0020】
また、本発明の弾性表面波デバイス100は、カバー体108に配線電極103に電気的に接続された金属層107を有し、接続電極110は金属層107を介して配線電極103に接続したことにより、接続電極110の接続距離をカバー体108の金属層107から端子電極111までに短縮することができるとともに、端子電極111にかかる応力をカバー体108の屈曲部で吸収することができるため、弾性表面波デバイス100の信頼性を向上することができるものである。
【0021】
また、本発明の弾性表面波デバイス100は、第1および第2の絶縁体112、113に、無機フィラーと熱硬化性の樹脂成分を含有させ、第2の絶縁体113を第1の絶縁体112よりも無機フィラーの含有率を低くしたことにより、第2の絶縁体113を貫通する貫通穴を容易に形成することが可能になり生産性を向上することができるものである。
【0022】
また、本発明の弾性表面波デバイス100は、第1の絶縁体112の熱膨張係数を第2の絶縁体113の熱膨張係数よりも圧電基板101の熱膨張係数に近づけることにより、圧電基板101の背面と側面を覆う第1の絶縁体112と圧電基板101の熱膨張・熱収縮による内部応力の発生を小さくすることができ、弾性表面波デバイス100の熱膨張・熱収縮に対する信頼性を向上することができる。また、端子電極111と接続電極110が設けられた第2の絶縁体113の熱膨張係数を圧電基板101よりも弾性表面波デバイス100を実装する実装基板(図示せず)の熱膨張係数に近づけることができるため、実装基板と圧電基板101の熱膨張係数の違いを吸収することができ、端子電極111および接続電極110にかかる応力を低減できるため、弾性表面波デバイス100の熱膨張・熱収縮に対する信頼性を向上することができるものである。
【0023】
また、本発明の弾性表面波デバイス100は、第1の絶縁体112をカバー体108の側面よりも上方に突出させた突出部114を設けたことにより、カバー体108と第2の絶縁体113との間の接合面の周囲を第1の絶縁体112により保護することができ、カバー体108と第2の絶縁体113との間の層間破壊を抑制することができるものである。そして、この突出部114を有することにより、第1の絶縁体112と第2の絶縁体113の接合面積を大きくすることができ、これによって接合強度を増すことができる。
【0024】
なお、本発明の弾性表面波デバイス100において、箔体106は、銅の金属箔からなるものを用いたが、銅箔と樹脂製の接着層からなる箔体106を用いてもよい。接着層を有する箔体106を用いた場合、枠体105の上面に箔体106の接着層を接着すればよい。
【0025】
次に、本発明の実施の形態1における弾性表面波デバイスの製造方法について説明する。
図2(a)〜
図4(d)は、本発明の弾性表面波デバイスの製造方法を説明する図である。
【0026】
まず、
図2(a)に示すように、タンタル酸リチウム等の単結晶からなるウエハ状の圧電基板101上に、IDTからなる素子102と配線電極103の複数個の組を縦横碁盤目状に形成し、素子102を囲む枠体105を形成する。枠体105は、例えば感光性ポリイミド等の感光性樹脂を塗布し、フォトリソグラフィ法で形成する。また、枠体105は現像してパターン形成後、完全に硬化させず、半硬化の状態で次工程に供する。
【0027】
次に、
図2(b)に示すように、素子102を囲む枠体105の上面に、補強材116に支持された箔体106を押し当てた状態で枠体105の本硬化を行い、箔体106と枠体105の接合を行う。これにより、補強材付きウエハ118が得られる。補強材116は、薄い箔体106の形状保持および後述するダイシング時の切り込みのために箔体106に接着されているもので、箔体106より厚い金属箔や樹脂フィルム等が使用できる。特に、箔体106に薄い銅箔を用い、補強材116として厚い銅箔を用いると、箔体106と補強材116が同材質であるため反りが防止でき、後工程において箔体106のパターニングが一般的なフォトリソ法で実施できる。
【0028】
次に、
図2(c)に示すように、補強材付きウエハ118を圧電基板101の側からダイシングを行って、圧電基板101を数ミリ角以下の個片に切断する。この時、ダイシングブレードの切り込み量は、補強材116に支持された箔体106を切断し、補強材116に達するダイシング溝117を形成するように行う。また、枠体105を、圧電基板101の切断部の真下に設け、ダイシング溝117の内面に枠体105が露出するようにダイシングする。これにより、ダイシング時における圧電基板101の欠けおよび切断粉の滞留を防止することができる。補強材116の厚みは、ダイシング時の切り込みによって貫通して切断されるのを防止するために、10μm以上が望ましい。
【0029】
次に、
図2(d)に示すように、圧電基板101の背面の側からダイシング溝117を充填するように、無機フィラーを含有させた熱硬化性樹脂を塗布し硬化して第1の絶縁体112を形成する。そして、圧電基板101の背面側の第1の絶縁体112の表面を平坦にするために、第1の絶縁体112の形成後に研磨処理を行う。また、金型を用いて樹脂成型を行うことによっても圧電基板101の背面の側の第1の絶縁体112の表面を平坦化できる。後工程を流す上で、このように圧電基板101の背面の側の第1の絶縁体112の表面を平坦にすることが必要である。
【0030】
次に、
図3(a)に示すように、補強材付きウエハ118から補強材116を剥離し、箔体106を露出させる。この時、補強材116の一部と第1の絶縁体112の一部とが強固に接着している可能性があるが、補強材116として銅箔を用いることにより次工程で除去可能である。また、補強材116にフッ素系樹脂等の他の物質との接着力が低いものを使用すれば、第1の絶縁体112の側に補強材116の残渣が付着することが防止できる。
【0031】
次に、
図3(b)に示すように、箔体106にパターンを形成する。このパターン形成により、箔体106は、空間104を封止する部分と枠体105の上面に回路をなす部分とを形成することができる。箔体106に銅箔を用いれば、パターン形成はフォトレジストを用いたエッチング法が容易である。また、補強材116の剥離残渣が第1の絶縁体112の表面に残存していても、補強材116が箔体106と同じ銅であれば、箔体106の除去と同時に補強材116の残渣の除去が可能である。
【0032】
次に、
図3(c)に示すように、圧電基板101の素子面の配線電極103から箔体106の上面に至る金属層107を電気銅メッキにより形成する。枠体105と箔体106と金属層107とにより、素子102と空間104を封止するカバー体108を構成する。この金属層107により、空間104を封止する箔体106を補強して、カバー体108の機械的強度を確保するとともに、枠体105の上面に形成した箔体106の配線パターンを補強するものである。また、金属層107は、圧電基板101上の配線電極103と枠体105の上面の箔体106の配線パターンを電気的に接続するものである。箔体106と金属層107とから構成する導体のうち、空間104を封止する面積の大きい部分がグランド電極であり、枠体105の上面に形成する面積の小さい部分が信号電極である。
【0033】
金属層107の形成方法は、まず、電気銅めっきのためのシード層形成を無電解銅めっきまたはスパッタ等の薄膜製膜法で行い、次に、フォトレジストを用いてめっきを形成しない部分をマスクし、次に、箔体106上の金属層107の厚みが15μmから50μm程度になるまで電気銅めっきを行い、次に、フォトレジストの剥離と、電気銅メッキの無い箇所のシード層を除去することにより行う。この時、箔体106上の金属層107の厚みは素子102上の空間104を保護する蓋としての機能から決定することができ、実験からは厚みが30μmの時に、約10MPaの圧力に耐えられることができた。金属層107の厚みを必要以上大きくすることは電気銅めっきの製造時間が大きくなるので好ましくない。
【0034】
次に、
図3(d)に示すように、金属層107の上面が露出した側を第2の絶縁体113を用いて覆う。第2の絶縁体113は、無機フィラーを含有させた熱硬化性樹脂を硬化して形成したものであり、箔体106と金属層107からなる配線の間隙を充填し、第1の絶縁体112と接着する。第2の絶縁体113は、第1の絶縁体112と同じ材料であってもよい。第2の絶縁体113を第1の絶縁体112と同じ材料で構成した場合には、反りを低減する効果を有する。また、第2の絶縁体113の無機フィラーの添加量を第1の絶縁体112より少なくすると、後工程においてビア孔の形成が容易である。
【0035】
次に、
図4(a)に示すように、第2の絶縁体113の表面から、金属層107の上面に達するビア孔121を形成する。ビア孔121の形成方法は、レーザー加工法を用いると容易であり、特に二酸化炭素レーザーを用いると銅は加工されにくいため、樹脂部のみに穿孔し、底に銅めっき部が露出したビア孔が容易に得られる。
【0036】
レーザーによる穿孔加工に適した樹脂材料として、無機フィラーの含有量が少ないことが挙げられる。無機フィラーは樹脂に比べて耐熱性が高いために、含有量が多いとレーザーのエネルギーをより大きくする必要がある。レーザーエネルギーは樹脂および無機フィラーを分解し穿孔した後、金属層107で加工は止まるが、金属層107の温度上昇は避けられない。この温度上昇で金属層107を通じて圧電基板101が加熱される。ところが、タンタル酸リチウム等からなる圧電基板101は焦電効果を有するので、熱エネルギーによって電圧が生じ、素子102や配線電極103で放電や絶縁破壊が生じる場合があり、製品不良となる。このため、より低いレーザーエネルギーで穿孔できることが好ましい。
【0037】
この他にこのレーザーエネルギーによる素子102や配線電極103へのダメージの低減方法としては、金属層107の厚みを厚くして、熱容量を大きく、圧電基板101の温度上昇を低減させる方法や、ビア孔121の径や数を調整して伝熱量を低減させ、圧電基板101の温度上昇を低減させる方法がある。
【0038】
また、第2の絶縁体113中の無機フィラーが加工後のビア孔121周辺に残存し、後工程での障害にならないように除去する工程が必要であるが、第2の絶縁体113中の無機フィラー含有量を減らすことにより、加工後のビア孔周辺に残存する無機フィラーを減少させることが可能で、このフィラー除去工程を簡略化できる。第1の絶縁体112は圧電基板101の背面と側面を囲むため、無機フィラーを多く含有させて熱膨張係数を圧電基板101に近似させることにより信頼性の向上が図れるが、第2の絶縁体113は、圧電基板101に接することがなく、無機フィラーを減少させることにより圧電基板101の熱膨張係数との差が大きくなっても、信頼性への影響は少ない。
【0039】
また、
図3(a)に示すように、第1の絶縁体112は、第1のダイシング時に形成される箔体の補強材116の切り込みに充填された結果、箔体106の表面より突出した形状になっており、
図3(d)に示すように第2の絶縁体113を封止した後に第2の絶縁体113中に第1の絶縁体112の突出部114が入り込んでいる。その結果、第1の絶縁体112と第2の絶縁体113の接合界面が入り組んで、両者の接合強度が増大する効果があり、さらに第2の絶縁体113と圧電基板101の距離が遠くなり、第2の絶縁体113と圧電基板101との熱膨張係数差による熱ストレス発生が低減する効果もある。
【0040】
次に、
図4(b)に示すように、めっきシード層119を形成し、めっきレジスト120を形成する。めっきシード層119の形成は、ビア孔121周辺の無機フィラー残渣の除去や、ビア孔底の銅めっき表面の酸化膜を除去後に行い、スパッタ成膜法や無電解めっき法で形成できる。めっきレジスト120は、感光性のドライフィルムや液状レジストを塗布後に、露光、現像を行って形成できる。
【0041】
次に、
図4(c)に示すように、ビア孔121を埋める、いわゆるビアフィリングを電気銅めっきにより行い、さらに、第2の絶縁体113の上面から2〜10μmほどの高さになるまで電気銅めっきを続ける。その後めっきレジスト120の剥離を行い、さらに、電気銅めっきを形成しない箇所のめっきシード層119を除去する。その結果、金属層107から電気的に接続された接続電極110と端子電極111が形成される。
【0042】
次に、
図4(d)に示すように、2回目のダイシングを行う。2回目のダイシングは、1回目のダイシングと同じ切断線に沿って切断し、2回目のダイシング幅は、1回目のダイシング幅より狭くする。これにより、第1の絶縁体112と第2の絶縁体113が、圧電基板101およびカバー体108の側面を覆う構造とすることができる。
【0043】
従来のウエハレベルパッケージを用いた弾性表面波デバイスの製造方法は、圧電基板のウエハ状態のままで大部分の工程を流れるので、機械的ストレスや熱的ストレスによりウエハの割れが生じた場合、そのウエハは以後の工程に供することができないため、ウエハ上の全ての個片が不良となり、工程歩留りが大きく低下するという課題がある。
【0044】
本発明の実施の形態1における弾性表面波デバイス100の製造方法は、個片に切断された圧電基板101にかかる機械的ストレスや熱ストレスが小さくなるため、圧電基板101の割れを低減することができる。
【0045】
また、ウエハ内の1個片の圧電基板101が破損しても、他の個片とは分離されているため、クラックが伝播しないため、割れ不良の損失は拡大しない。また、ウエハとしては以降の製造プロセスを実施できるため、工程歩留りを大きく改善できるものである。
【0046】
また、本発明の実施の形態1における弾性表面波デバイスの製造方法は、第2の絶縁体113を第1の絶縁体112より無機フィラーの含有率を低くするとともに、金属層107に達するビア孔121を第2の絶縁体113に形成する工程においてレーザー加工法を用いるものである。これにより、ビア孔121を形成するエネルギーを低減することができ、容易にビア孔121を形成することができるとともに、無機フィラーの残渣を容易に除去することができるものである。
【0047】
また、本発明の実施の形態1における弾性表面波デバイスの製造方法は、箔体106を枠体105の上面に接着する工程において、他の接着部材を用いることなく、枠体105自体の接着性を用いるものであり、別途接着部材が不要であり、工程短縮や使用材料の削減が可能であると共に、余分な接着部材が箔体106や圧電基板101の表面に付着することを防止できるものである。
【0048】
また、本発明の実施の形態1における弾性表面波デバイスの製造方法は、補強材116で補強した状態で個片に切断した圧電基板101の背面と側面およびダイシング溝を第1の絶縁体112で覆う工程の後、第1の絶縁体112を、元のウエハと同様の平坦な平面形状に整形し、その後の工程に供するものであり、通常のウエハと同等のプロセス装置を使用し、搬送や処理が可能となるものである。
【0049】
この、ウエハ形状の構造体は、数ミリ角以下の小チップの個片に切断した圧電基板101を、第1の絶縁体112と箔体106によって支持してウエハ形状にしたものであり、背面を通常のウエハと同等レベルの平坦な形状にすることにより、ウエハレベルパッケージの工程に供することができる。
【0050】
また、本発明の実施の形態1における弾性表面波デバイスの製造方法は、補強材116で補強した箔体106を使用することにより、箔体106としてきわめて薄い金属箔を使用することが可能になり、補強材116を剥離した後の箔体106のパターニングを容易にすることができるものである。さらに、補強材116は、箔体106と同じ組成である銅を用い、厚み10μm以上の銅箔により構成することにより、補強材116付き箔体106の反りを防止することができ、また、第1のダイシング時には、容易に非貫通のダイシング溝117を形成できるものである。
【0051】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2における弾性表面波デバイス200の断面図である。本発明の実施の形態2における弾性表面波デバイス200において、本発明の実施の形態1における弾性表面波デバイス100と同じ構成要素については同一番号を付し、その説明は省略する。
【0052】
本発明の実施の形態2における弾性表面波デバイス200が、本発明の実施の形態1における弾性表面波デバイス100と異なる点は、カバー体108の外周部の上面を全周にわたって第1の絶縁体212の突出部214で覆い、その上から第2の絶縁体213で覆った点である。
【0053】
このように、本発明の実施の形態2における弾性表面波デバイス200は、圧電基板101とカバー体108の外周部を全周にわたって一体物の第1の絶縁体212により上下から挟み込む構造にしたことにより、外部からの衝撃に対して圧電基板101とカバー体108との間の層間剥離を抑制することができ、さらに信頼性の高い弾性表面波デバイス200が得られるものである。
【0054】
以下、本発明の実施の形態2における弾性表面波デバイス200の製造方法について、
図6(a)〜
図8(c)を用いて説明する。実施の形態2における弾性表面波デバイス200の製造方法において、本発明の実施の形態1における弾性表面波デバイス100の製造方法と同じ工程については説明を省略する。
【0055】
図6(a)は、本発明の実施の形態1における弾性表面波デバイス100の製造方法と同様に、補強材付きウエハ118を圧電基板101の側からダイシングを行って、圧電基板101を個片に切断するとともに補強材116に達するダイシング溝117を形成したものである。補強材付きウエハ118は、素子102と配線電極103と枠体105を形成したウエハ状の圧電基板101に、補強材116に支持された箔体106を接合して形成したものである。ここで、箔体106および補強材116として銅箔を用いた。
【0056】
次に、
図6(b)に示すように、補強材付きウエハ118の箔体106と補強材116を圧電基板の側からエッチングを行うことにより、ダイシング溝117の先部を拡大し、枠体105の外周の上面を露出させる。箔体106および補強材116は銅箔を用いることにより、エッチングにより容易にパターニング可能であり、同じ素材を用いることで温度変化時の反りを抑制でき、また、同じエッチング液を使用できるため使用薬品の種類を低減できる。
【0057】
次に、
図6(c)に示すように、圧電基板101の背面の側からダイシング溝117を充填するように無機フィラーを含有させた樹脂を塗布・硬化し、第1の絶縁体212を形成する。その後に、圧電基板101の背面側の第1の絶縁体212の表面を研磨して平坦にする。第1の絶縁体212は、シリカ等の無機フィラーを多量に含有させ、熱膨張係数を圧電基板101に近似させると、熱応力の発生を低減でき、高信頼性が得られる。
【0058】
次に、
図6(d)に示すように、補強材付きウエハ118から補強材116を剥離し、箔体106を露出させる。
【0059】
次に、
図7(a)に示すように、フォトレジストを用いて箔体106にパターンを形成する。
【0060】
次に、
図7(b)に示すように、圧電基板101の素子面の配線電極103から箔体106の上面に至る金属層107を電気銅メッキにより形成する。
【0061】
次に、
図7(c)に示すように、金属層107の上面が露出した側から第2の絶縁体213を用いて覆う。
【0062】
次に、
図7(d)に示すように、第2の絶縁体213の表面から、金属層107の上面に達するビア孔121を形成する。
【0063】
次に、
図8(a)に示すように、めっきシード層119を形成し、めっきレジスト120を形成する。
【0064】
次に、
図8(b)に示すように、ビア孔121を埋めるビアフィリングめっきを行い、さらに、第2の絶縁体213の上面から2〜10μmほどの高さになるまでめっきを続ける、その後めっきレジスト120の剥離を行い、さらに、めっきシード層119を除去する。その結果、金属層107から電気的に接続された接続電極110と端子電極111が形成される。
【0065】
次に、
図8(c)に示すように、2回目のダイシングを行い、弾性表面波デバイス200を得る。2回目のダイシングは、1回目のダイシングと同じ切断線に沿って切断する。2回目のダイシング幅は、1回目のダイシング幅より狭くすることにより、第1の絶縁体212と第2の絶縁体213が、圧電基板101およびカバー体108の側面を覆う構造とすることができる。
【0066】
以上のように本発明の実施の形態2における弾性表面波デバイス200の製造方法は、カバー体108の外周部の上面を全周にわたって第1の絶縁体212の突出部214で覆い、その上から第2の絶縁体213で覆うことができる。このように、圧電基板101とカバー体108の外周部を全周にわたって一体物の第1の絶縁体212により上下から挟み込む構造にしたことにより、外部からの衝撃に対して圧電基板101とカバー体108との間の層間剥離を抑制することができ、信頼性の高い弾性表面波デバイス200が得られる。