特許第6026864号(P6026864)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6026864熱成形装置及びトリミング装置のための型搬送台車、及び、型交換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6026864
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】熱成形装置及びトリミング装置のための型搬送台車、及び、型交換方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 51/30 20060101AFI20161107BHJP
   B29C 33/30 20060101ALI20161107BHJP
   B29C 51/32 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   B29C51/30
   B29C33/30
   B29C51/32
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-257140(P2012-257140)
(22)【出願日】2012年11月26日
(65)【公開番号】特開2014-104605(P2014-104605A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】304050369
【氏名又は名称】株式会社浅野研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(74)【代理人】
【識別番号】100124958
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 建志
(74)【代理人】
【識別番号】100126077
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 亮平
(72)【発明者】
【氏名】林 和司
【審査官】 今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−049131(JP,U)
【文献】 実開昭59−007811(JP,U)
【文献】 特許第3807710(JP,B2)
【文献】 実開昭56−065761(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 51/30
B29C 33/30
B29C 51/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱成形装置に用いられる型を載置可能であって前記熱成形装置に隣接する型出入位置に配置可能な型搬送台車であって、
前記熱成形装置に面する対面側部位から前記熱成形装置の方へ移送可能に型を載置するための本体と、
該本体を移動可能にする可動部材とを備え、
前記本体の前記対面側部位とは反対側の部位に、身体を入れて型を移動操作することができるように上下全体にわたって前記対面側部位の方へ凹ませた凹部形成された、型搬送台車。
【請求項2】
トリミング装置に用いられる型を載置可能であって前記トリミング装置に隣接する型出入位置に配置可能な型搬送台車であって、
前記トリミング装置に面する対面側部位から前記トリミング装置の方へ移送可能に型を載置するための本体と、
該本体を移動可能にする可動部材とを備え、
前記本体の前記対面側部位とは反対側の部位に、身体を入れて型を移動操作することができるように上下全体にわたって前記対面側部位の方へ凹ませた凹部形成された、型搬送台車。
【請求項3】
熱成形装置に用いられる型を載置可能であって前記熱成形装置に隣接する型出入位置に配置可能な型搬送台車であって、
前記熱成形装置に面する対面側部位から前記熱成形装置の方へ移送可能に型を載置するための本体と、
該本体を移動可能にする可動部材とを備え、
前記本体の前記対面側部位とは反対側の部位に、平面視において身体を完全に入れて型を移動操作することができるように前記対面側部位の方へ凹ませた凹部が形成された、型搬送台車。
【請求項4】
トリミング装置に用いられる型を載置可能であって前記トリミング装置に隣接する型出入位置に配置可能な型搬送台車であって、
前記トリミング装置に面する対面側部位から前記トリミング装置の方へ移送可能に型を載置するための本体と、
該本体を移動可能にする可動部材とを備え、
前記本体の前記対面側部位とは反対側の部位に、平面視において身体を完全に入れて型を移動操作することができるように前記対面側部位の方へ凹ませた凹部が形成された、型搬送台車。
【請求項5】
前記本体は、前記対面側部位からの移送方向に対して側方となる部位に把手を有し、
さらに、前記本体は、型の移動方向を前記対面側部位からの移送方向に規制するレール部材を有し、
該レール部材は、前記移送方向に沿って並べられて型を載置する複数のベアリングを有する、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の型搬送台車。
【請求項6】
熱成形装置に用いられる型を載置可能であって前記熱成形装置に隣接する型出入位置に配置可能な型搬送台車であって、前記熱成形装置に面する対面側部位から前記熱成形装置の方へ移送可能に型を載置するための本体と、該本体を移動可能にする可動部材と、を備えた型搬送台車を用いる型交換方法であって、
前記本体の前記対面側部位とは反対側の部位に前記対面側部位の方へ凹ませた凹部を形成し、該凹部に身体を入れて型を移動操作して交換する、型交換方法。
【請求項7】
トリミング装置に用いられる型を載置可能であって前記トリミング装置に隣接する型出入位置に配置可能な型搬送台車であって、前記トリミング装置に面する対面側部位から前記トリミング装置の方へ移送可能に型を載置するための本体と、該本体を移動可能にする可動部材と、を備えた型搬送台車を用いる型交換方法であって、
前記本体の前記対面側部位とは反対側の部位に前記対面側部位の方へ凹ませた凹部を形成し、該凹部に身体を入れて型を移動操作して交換する、型交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱成形装置及びトリミング装置のための型搬送台車、及び、型交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱成形装置として、加熱板及び型を用いた熱板成形装置が知られている。この装置は、連続した樹脂シートを成形位置に搬入するときには加熱板と型とを離間させるとともに、搬入された樹脂シートに向けて加熱板と型とを近接させ、同樹脂シートを加熱板で加熱軟化させて型の型面形状に合わせて差圧成形する。熱板成形装置の型を交換するとき、例えば、型を載置可能な型替え台車を熱板成形装置に隣接する型出入位置に配置して型を交換する。
【0003】
特許文献1には、熱板成形装置ではないが、樹脂成形品トリミング装置の金型を交換する作業が開示されている。金型交換作業者は、金型を載置した台車を樹脂成形品トリミング装置の側面側に移動させ、金型を樹脂成形品トリミング装置に向かって手で押して搬入する。金型を搬出するとき、作業者は、金型を載置していない台車を樹脂成形品トリミング装置の側面側に移動させ、金型を樹脂成形品トリミング装置から手で引き出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3807710号公報(特に段落0039及び図7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
型替え台車から熱板成形装置に型を搬入する場合、作業者は、型替え台車の横に回り込んで手で型を熱板成形装置内に押し込む必要がある。また、熱板成形装置から型を搬出する場合、作業者は、やはり型替え台車の横に回り込んで手で型を熱板成形装置から引き出す必要がある。すなわち、これらの手間が型交換時にかかる。
【0006】
以上を鑑み、本発明は、型搬送台車を用いて行う型の交換を容易にさせることを可能にする目的を有している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、熱成形装置に用いられる型を載置可能であって前記熱成形装置に隣接する型出入位置に配置可能な型搬送台車であって、
前記熱成形装置に面する対面側部位から前記熱成形装置の方へ移送可能に型を載置するための本体と、
該本体を移動可能にする可動部材とを備え、
前記本体の前記対面側部位とは反対側の部位に、身体を入れて型を移動操作することができるように上下全体にわたって前記対面側部位の方へ凹ませた凹部形成された、態様を有する。
【0008】
また、本発明は、熱成形装置に用いられる型を載置可能であって前記熱成形装置に隣接する型出入位置に配置可能な型搬送台車であって、前記熱成形装置に面する対面側部位から前記熱成形装置の方へ移送可能に型を載置するための本体と、該本体を移動可能にする可動部材と、を備えた型搬送台車を用いる型交換方法であって、
前記本体の前記対面側部位とは反対側の部位に前記対面側部位の方へ凹ませた凹部を形成し、該凹部に身体を入れて型を移動操作して交換する、態様を有する。
【0009】
すなわち、本体の熱成形装置に面する対面側部位とは反対側の部位の凹部に身体を入れて型を移動操作することができるので、型の交換が容易になる。
ここで、型の移動操作には、上記対面側部位から上記熱成形装置の方へ型を移動させる操作、上記熱成形装置から上記対面側部位に型を移動させる操作、のいずれも含まれる。むろん、いずれか一つの操作しかできない場合も、本発明に含まれる。移動操作対象の型には、複数の型の組合せが含まれ、熱成形装置に固定されるときに外される部材が含まれてもよい。
【0010】
さらに、本発明は、トリミング装置に用いられる型を載置可能であって前記トリミング装置に隣接する型出入位置に配置可能な型搬送台車であって、
前記トリミング装置に面する対面側部位から前記トリミング装置の方へ移送可能に型を載置するための本体と、
該本体を移動可能にする可動部材とを備え、
前記本体の前記対面側部位とは反対側の部位に、身体を入れて型を移動操作することができるように上下全体にわたって前記対面側部位の方へ凹ませた凹部形成された、態様を有する。
【0011】
さらに、本発明は、トリミング装置に用いられる型を載置可能であって前記トリミング装置に隣接する型出入位置に配置可能な型搬送台車であって、前記トリミング装置に面する対面側部位から前記トリミング装置の方へ移送可能に型を載置するための本体と、該本体を移動可能にする可動部材と、を備えた型搬送台車を用いる型交換方法であって、
前記本体の前記対面側部位とは反対側の部位に前記対面側部位の方へ凹ませた凹部を形成し、該凹部に身体を入れて型を移動操作して交換する、態様を有する。
【0012】
すなわち、本体のトリミング装置に面する対面側部位とは反対側の部位の凹部に身体を入れて型を移動操作することができるので、型の交換が容易になる。
ここで、型の移動操作には、上記対面側部位から上記トリミング装置の方へ型を移動させる操作、上記トリミング装置から上記対面側部位に型を移動させる操作、のいずれも含まれる。むろん、いずれか一つの操作しかできない場合も、本発明に含まれる。移動操作対象の型には、複数の型の組合せが含まれ、トリミング装置に固定されるときに外される部材が含まれてもよい。
また、上述した態様において、凹部に身体を入れることには、凹部に身体を完全に入れること、凹部に身体の一部を入れること、のいずれも含まれる。
さらに、本発明は、熱成形装置に用いられる型を載置可能であって前記熱成形装置に隣接する型出入位置に配置可能な型搬送台車であって、
前記熱成形装置に面する対面側部位から前記熱成形装置の方へ移送可能に型を載置するための本体と、
該本体を移動可能にする可動部材とを備え、
前記本体の前記対面側部位とは反対側の部位に、平面視において身体を完全に入れて型を移動操作することができるように前記対面側部位の方へ凹ませた凹部が形成された、態様を有する。
さらに、本発明は、トリミング装置に用いられる型を載置可能であって前記トリミング装置に隣接する型出入位置に配置可能な型搬送台車であって、
前記トリミング装置に面する対面側部位から前記トリミング装置の方へ移送可能に型を載置するための本体と、
該本体を移動可能にする可動部材とを備え、
前記本体の前記対面側部位とは反対側の部位に、平面視において身体を完全に入れて型を移動操作することができるように前記対面側部位の方へ凹ませた凹部が形成された、態様を有する。
【0013】
なお、請求項5に記載された構成を型交換方法に対応させることも可能である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項6請求項7に係る発明によれば、型搬送台車を用いて行う型の交換を容易にさせることが可能になる。
請求項5に係る発明では、型の交換を容易にすることができる好適な型搬送台車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】成形品製造システムSY1の概略を例示する正面図。
図2】熱成形装置1の要部を例示する平面図。
図3】成形部U2を例示する正面図。
図4】型40が所定の離間位置L13にあるときの成形部U2を例示する右側面図。
図5】型40を組み立てる一例を底面側から見て示す分解斜視図。
図6】型40の下から見た成形部U2の要部を例示する平面図。
図7】熱成形装置1の動作を例示するタイミングチャート。
図8】成形部上流側を開けて型替え台車200を開口部OP1に近付ける様子を例示する平面図。
図9】型40を載置した型替え台車200を例示する左側面図。
図10】型替え台車200を例示する平面図。
図11】型替え台車200を例示する正面図。
図12】型40を型替え台車200上に引き出す様子を例示する平面図。
図13】新たな型40Bを成形位置L1に入れる様子を例示する平面図。
図14】トリミング装置2に用いられる型替え台車201を例示する平面図。
図15】比較例に係る型替え台車900を例示する平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下に説明する実施形態は、本発明を例示するものに過ぎない。
【0017】
(1)熱成形装置及びトリミング装置を含む成形品製造システムの概要:
まず、図1〜8を適宜参照して、熱成形装置及び樹脂成形品トリミング装置を含む成形品製造システム例の概要を説明する。なお、図1〜3,8において、左から右へ向かう方向が所定の搬送方向D1であり、左側がシートSH1の上流側、右側がシートSH1の下流側である。図2,7では、搬送されるシートSH1の位置を二点鎖線で示している。分かり易く示すため、各図は整合していないことがある。
図1に例示する成形品製造システムSY1は、Z1〜Z8で表した各部を制御盤100が制御し、シートSH1から成形品PR1を形成する。成形品製造システムSY1の構造物の主要部は、例えば金属で形成することができる。
【0018】
シート供給ゾーンZ1には、シート繰り出し装置12が設けられている。シート繰り出し装置12は、連続して繋がった連続シートSH1を巻いたロールSH0から繰り出す。シートSH1は、熱可塑性樹脂シートのような樹脂シート、熱可塑性を示す樹脂以外の熱可塑性シート、紙、等の成形可能なシートを用いることができる。前記樹脂シートは、熱可塑性樹脂等の樹脂のみからなる樹脂シートでも、樹脂に充てん材等の添加剤が添加された材質からなるシートでもよく、単層シートでも、異なる材質をラミネートした積層シートでもよい。シートSH1の素材には、ポリエチレン(Polyethylene)、ポリプロピレン(Polypropylene)、等を利用可能である。また、シートSH1は、シート状ないしフィルム状になっていればよく、ロール状に巻かれていても、所定の長さにカットされていてもよい。シートの厚みは、1〜2mm程度、0.25〜1mm程度、等、様々な厚みとすることが可能であり、3mm程度以上の厚物シートでもよいし、0.25mm程度以下のフィルムでもよい。シートSH1から形成される成形品PR1には、食品容器といった容器、家電製品の内箱や操作パネルといった構成品、等がある。
【0019】
シート搬入ゾーンZ2には、シートガイド(シート案内部)U3が設けられている。シートガイドU3は、成形部U2に隣接してシートSH1を搬送方向D1へ案内する。成形ゾーンZ3では、シートガイドU3から搬入されたシートSH1をショット毎に熱板30で加熱して型40により成形する。
【0020】
シート搬出ゾーンZ4には、図3に示す保持搬送装置14が設けられている。保持搬送装置14は、成形ゾーンZ3から搬出された成形シートSH2の縁部をショット毎に保持部材14aで保持して緩衝ゾーンZ5へ搬送する。これにより、成形シートSH2に繋がった未成形のシートSH1がショット毎にシートガイドU3から所定の成形位置L1へ移動する。シート縁部の保持は、シート縁部のクランプでもよいし、突き刺し部材によりシート縁部を突き刺すことによる保持でもよい。保持搬送装置は、搬送方向D1に対して複数に分割されてもよい。搬送方向D1へ繋がったシートSH1〜SH3は、制御盤100の制御に従って間欠的に搬送される。
【0021】
トリミングゾーンZ6では、ショット毎に、緩衝ゾーンZ5から成形シートSH2を搬入し、トムソン刃といった切刃を有する型Z61と受け部材Z62とを近接させて成形シートSH2から所定数の成形品PR1を分離する。各型Z61は、上方へ凸とされた形状以外にも、下方へ凹んだ形状や凹凸のある形状でもよい。また、切刃を上側に配置し受け部材を下側に配置してもよいし、型を上側に配置してもよい。むろん、トリミング装置2は、切刃を受け部材に押し当てて成形シートを切断する装置の他、型の周囲の切刃により成形シートを打ち抜く装置、上刃と下刃とを摺接させる等して成形シートを打ち抜く装置、等が含まれる。
なお、受け部材Z62も、本発明の型に含まれる。
【0022】
スクラップ回収ゾーンZ7では、成形品分離後のスクラップシートSH3を回収する。このとき、次ショットの成形シートSH2がトリミングゾーンZ6に搬入される。製品取出ゾーンZ8には、離間した型Z61と受け部材Z62との間に進出可能な吸着ボックスZ71が設けられている。吸着ボックスZ71は、型Z61に配置された所定数の成形品PR1をショット毎に取り出す。
【0023】
図1〜8に示す熱成形装置1は、U1〜U7の要素を備える。熱成形装置1の構造物の主要部は、例えば金属で形成することができる。
【0024】
シート搬送手段U1は、成形位置L1を通る所定の搬送方向D1へシートSH1を搬送する。例えば、シート搬送手段U1は、図1,2に示すシート繰り出し装置12と図3に示す保持搬送装置14とを備え、成形シートSH2に繋がった未成形のシートSH1を成形のタイミングに合わせて間欠的に搬送方向D1へ搬送する。シートの搬送方向D1は、水平方向としてシートが安定して搬送されるようにしているが、水平方向から上方向へずれた方向でも、水平方向から下方向へずれた方向でも、鉛直上方向でも、鉛直下方向でもよい。
【0025】
成形部U2は、シートSH1を挟んで相対する熱板30及び型40を成形位置L1に有し、該成形位置L1に搬送されたシートSH1を熱板30で加熱して型40により成形する。例えば、成形部U2は、基台21、差圧供給装置25、熱板30、下テーブル(熱板用テーブル)35、成形用の型40、上テーブル(型用テーブル)45、型用テーブル駆動機構50、支柱55、等を備える。シートSH1の成形は、熱成形により行われる。該熱成形は、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、といった差圧成形が好適であるが、プレス成形等も含まれる。
基台21は、例えば、シート搬出ゾーンZ4を含めて床に接触した金属製基台とされる。
【0026】
差圧供給装置25は、図6に示すように、熱板30の通気孔30bに繋がる通気経路25aを有し、熱板30でシートSH1を加熱するときには通気孔30bに真空圧といった負圧を作用させ、加熱軟化したシートSH1を型40の成形面41aに密接させるときには通気孔30bに圧空を供給する。
【0027】
熱板30は、成形位置L1にあるシートSH1の下面(一面)SH1b側に配置される。図3,4等に示すように、熱板30は、型40に対向する上面30aが成形位置L1のシートSH1の下面SH1bに接触するように配置され、成形位置L1に搬入されたシートSH1を加熱して軟化させる。熱板30は、下テーブル(熱板用テーブル)35上に載置された台座31上に載置されている。台座31には図示しないヒーター(加熱手段)が設けられており、ヒーターに通電するとヒーターから熱が発生し、台座31が加熱される結果、熱板30が加熱される。
【0028】
熱板30は、例えば、図6等に示すように矩形板形状に形成された金属板とされる。また、熱板30には、上下方向へ貫通した通気孔(第一の通気孔)30bが多数形成されている。各通気孔30bは、通気経路25aに接続され、差圧供給装置25から真空圧を作用させられたり(空気を吸引されたり)、真空圧の供給(減圧)から解放されたり、圧空を供給されたり、圧空の供給を解除されたりする。
下テーブル35は、例えば、円柱状支柱55,55を上下方向へ貫通させる貫通穴36,36が形成された金属部材とされる。
【0029】
型40は、成形位置L1にあるシートSH1の上面(他面)SH1a側に配置されて熱板30に対向する所定の成形面41aが形成されている。図5に示す型40は、複数の交換用型41と、型ベース部材42とを有している。各交換用型41は、例えば、金属製の雌型とされ、熱板30に対向する成形面41aが形成されて、該成形面に通気孔(第二の通気孔)41bが形成されている。交換用型は、雄型、凹凸を有する金型、等でもよい。型ベース部材42は、例えば、略板状に形成された金属部材とされ、熱板に対向する下面42aで複数の交換用型41を着脱可能に保持する型保持部位42eが形成されている。該型保持部位には、交換用型の通気孔41bの位置に合わせて通気孔42bが多数形成されている。例えば、型保持部位42eと交換用型41とにねじ孔を形成すると、該ねじ孔にねじを螺合させて型保持部位42eに交換用型41を固定し、ねじを外して型保持部位42eから交換用型41を取り外すことができる。
【0030】
上テーブル45は、例えば、図4等に示すように円柱状支柱55,55を上下方向へ貫通させる貫通穴46,46が形成された金属部材とされる。上テーブル45は、熱板30に対向する下面45aで型40を保持する。上テーブル45における幅方向D2の両側縁部には、長手方向を型の引出方向D3に向けた一対の型引出レール部材61,61が取り付けられている。該レール部材61は、上テーブル45の幅方向D2の縁部から型ベース部材42の下面42aに回り込んで接触することにより型40を引出方向D3へ移動可能にさせる。上テーブル45は、レール部材61に接触した型ベース部材42の幅方向D2の両側縁部を保持部材でクランプして引き寄せる型ベース部材クランプ機構47を有し、該機構により熱板に対向する下面42aで型ベース部材42を保持する。型ベース部材クランプ機構47には、図示しない保持部材昇降切替スイッチが接続されており、このスイッチを下降側に切り替えられると保持部材を下降させて型ベース部材42をレール部材61上に載置させて型ベース部材の幅方向D2の両側縁部のクランプを解除し、前記スイッチを上昇側に切り替えられるとレール部材61上に載置された型ベース部材の幅方向D2の両側縁部をクランプして型ベース部材42を上昇させて上テーブルの下面45aに接触させて保持する。
【0031】
型用テーブル駆動機構50は、上テーブル45の上部45bに取り付けられ、成形位置L1で型40を保持した上テーブル45を熱板30に対して近接及び離間させる。支柱55,55は、搬送されるシートSH1と接触しない幅方向D2の外側で基台21から上方に向かって立設されている。複数の支柱55は、熱板30を位置決めしながら型用テーブル駆動機構50を下から支持し、上テーブル45の昇降をガイドする。これらの支柱55が幅方向D2の外側にあるため、成形位置L1からシート搬送方向D1と直交した幅方向D2へ型40を引き出すことができない。
型用テーブル駆動機構50は、固定部材51、リンク機構52、を備えている。固定部材51は、例えば、複数の支柱55の先端部に固定される金属部材とされる。リンク機構52は、電動モーター52cを備え、固定部材51と上テーブル45とを近接及び離間させる。むろん、型用テーブル駆動機構は、クランク機構、シリンダーを用いた機構、等でもよい。
【0032】
熱板30と型40とは、制御盤100の制御に従って相対移動する。制御盤100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリー、タイマー回路、入出力回路、等を有し、信号ケーブルを介した信号送受により熱成形装置1を含む成形品製造システムSY1の動作を制御する。例えば、シート繰り出し装置12の動作は、シートガイドU3を通した信号ケーブル87を介して制御される。
【0033】
図7は、制御盤100の制御に従った熱成形装置1の動作を示すタイミングチャートである。初期状態では、保持搬送装置14の保持部材14aのシート保持をオフにして成形シートSH2の保持(例えばクランプ)を解除させた状態にし、保持搬送装置14を上流側の所定の保持位置L11にさせ、型40を所定の離間位置L13にさせ、差圧供給装置25から通気孔30bへの負圧(例えば真空圧)又は圧空の供給を解除している状態にしている。この状態で、まず、保持部材14aのシート保持をオンにしてシートSH2の両側縁部を保持搬送装置14にクランプさせる(タイミングt1)。次に、保持搬送装置14を保持位置L11から下流側の所定の解放位置L12まで移動させる(タイミングt2〜t3)。すると、成形シートSH2が所定量搬送方向D1へ搬送され、成形前のシートSH1も成形後のシートSH2に引っ張られて所定量搬送方向D1へ搬送されて成形位置L1に搬入される。さらに、保持部材14aのシート保持をオフにしてシートSH2の保持を解除させた状態にする(タイミングt4)。なお、タイミングt2に戻るまでに、所定のタイミングで保持搬送装置14を解放位置L12から保持位置L11まで戻すようにしている。
【0034】
その後、差圧供給装置25から通気孔30bへ負圧を作用させ、成形位置L1のシートSH1を熱板30に密接させる(タイミングt5)。すると、成形位置のシートSH1は、熱板30にて加熱され、軟化する。次に、型用テーブル駆動機構50で上テーブル45を下降させ、型40を所定の近接位置L14にさせる(タイミングt6〜t7)。そして、差圧供給装置25から通気孔30bへ圧空を供給して、型の通気孔41bからエアを排出させながら加熱軟化状態のシートSH1を型の成形面41aに密接させる(タイミングt8)。すると、熱板30の温度よりも低い温度の成形面41aに密接したシートが冷却され、固化する。
なお、型の通気孔41bに負圧を作用させると、シートに対して真空圧空成形を行うことができる。このとき、通気孔30bへ圧空を供給しないと、シートに対して真空成形を行うことができる。
【0035】
タイミングt9で差圧供給装置25から通気孔30bへの圧空の供給を解除すると、型用テーブル駆動機構50で上テーブル45を上昇させ、型40を所定の離間位置L13にさせる(タイミングt10〜t11)。
以上で1サイクルが終了し、以下、タイミングt1〜t11を繰り返すことにより、シートから熱板を用いた差圧成形を連続して行うことができる。なお、成形シートSH2は、緩衝ゾーンZ5を経てトリミングゾーンZ6に搬入され、成形品PR1が分離される。分離後の成形品PR1は製品取出ゾーンZ8に取り出され、スクラップシートSH3はスクラップ回収ゾーンZ7で回収される。
【0036】
シートガイドU3は、成形部U2に隣接してシートSH1を搬送方向D1へ案内する。例えば、シートガイドU3は、成形部U2に対して成形位置L1へシートSH1を供給する入り口側の位置(L3)に設けられる。保持搬送装置14を設ける必要のあるシート送出位置L4ではなく、シート供給位置L3にシートガイドU3があることにより、容易にシートガイドU3をシートSH1の案内位置L2から退避して型40を成形位置L1から案内位置L2の方へ引き出すことができる。
【0037】
図2,3等に示すシートガイドU3は、71〜73の各部が金属を主体に形成され、成形部U2の上流側に隣接してシートSH1を搬送方向D1へ案内する。基部71は、後述する連結部81で成形部U2に連結され、床から離れて配置され、シート案内位置L2にあるときにシートSH1を載置する。ガイド板72,72は、基部71が案内位置L2にあるときにシートSH1の幅方向D2の両外側となる位置で基部71上に設けられる。幅調節機構73は、ハンドル(操作部)73aを操作することによりガイド板72,72の間隔、すなわち、幅方向D2の長さを調節可能である。
【0038】
案内部退避機構U4は、シートガイドU3をシートSH1の案内位置L2から退避可能にさせる。例えば、案内部退避機構U4は、シートガイドU3を成形部U2の上流位置から退避可能にさせる。図2,3等に示す案内部退避機構U4は、連結部81とロック機構83とが金属を主体として形成され、シートSH1の幅方向外側の一方D2aとなる回転軸AX1を中心としてシートガイドU3を回転動作可能にさせる。回転軸AX1の向きは鉛直方向とされているため、シートガイドU3は水平方向に移動する。案内部退避機構U4は、シートガイドU3をシート案内位置L2から退避可能にすればよいため、回転軸AX1の向きは、鉛直方向から15°以内でずれた方向、30°以内でずれた方向、45°以内でずれた方向、さらに、水平方向、水平方向から15°以内でずれた方向、30°以内でずれた方向、45°以内でずれた方向、等でもよい。回転軸AX1の位置も、シートSH1よりも上側となる位置等でもよい。
【0039】
連結部81は、成形部U2に固定された成形部側連結部材81aと、シートガイドU3に固定されたシートガイド側連結部材81bとが回転軸AX1を中心として回転可能とされている。すなわち、連結部81は、幅方向D2の外側の一方D2aに設けられ、成形部U2に対してシートガイドU3を回転動作可能に連結している。これにより、作業者は、図2に示すような退避方向D5にシートガイドU3を回転操作することにより、容易に、シートガイドU3をシート案内位置L2から退避させ、図8に示すように成形部U2の上流側の開口部OP1を開放することができる。また、図8に示すような戻す方向D6にシートガイドU3を回転操作することにより、容易にシートガイドU3を退避位置L5からシート案内位置L2に戻し、開口部OP1を閉じることができる。
【0040】
ロック機構83は、成形部U2側の要素(83a〜83d)と、シートガイドU3側の要素(83e,83f)とを幅方向D2の外側の他方D2bに有し、シート案内位置L2にあるシートガイドU3の回転動作の許否を選択可能である。すなわち、ロック機構83は、連結部81とは反対側となる幅方向D2の外側の他方D2bに設けられ、シートガイドU3の回転動作を許可状態にしたりシート案内位置L2で禁止状態にしたりすることができる。
【0041】
成形部側の要素は、成形部U2に固定された成形部側取付基部83a、この成形部側取付基部83aから幅方向外側の他方D2b側に突出した支軸部83b、この支軸部83bに対して回転動作可能に設けられた操作部83c、この操作部83cに対して回転動作可能に設けられたフック83d、を有する。シートガイド側の要素は、シートガイド基部71から幅方向外側の他方D2b側に突出したシートガイド側取付基部83eがシートガイド基部71に固定され、シートガイド側取付基部83eにおいて支軸部83bに対向する面に受け部83fが固定されている。図2には、シートガイド側の要素(83e,83f)の正面図も示している。
【0042】
図2,9等に示すように、シート繰り出し装置12(シート搬送手段U1)の動作を制御する信号を伝送するため成形部U2からシートガイドU3へ渡される信号ケーブル87は、連結部81側、すなわち、幅方向D2の外側の一方D2aに配置されている。信号ケーブル87の先端部にコネクター87aを取り付けておけば、このコネクター87aをシート繰り出し装置12に対して着脱することができる。例えば、シートガイドU3を案内位置L2から退避させるときにシート繰り出し装置12から信号ケーブル87を外せば、シートガイドU3の退避動作を円滑にすることができる。信号ケーブル87が幅方向D2の外側の一方D2a側、すなわち、回転軸AX1側に配置されていることにより、極力シートガイドU3の退避動作の邪魔とならないようにすることができる。
【0043】
型引出機構U5は、型40を成形位置L1から案内位置L2の方へ引き出し可能にさせる。例えば、型引出機構U5は、ベアリング62を有する長尺な型引出レール部材61,61を備え、型40を成形位置L1から上流側のシート案内位置L2の方へ引き出し可能にさせる。図4,9等に示す型引出レール部材61は、長手方向をシート搬送方向D1に向け、上テーブル45における幅方向D2の縁部から型ベース部材42の下面42aに回り込んで接触する金属部材とされている。型引出レール部材61の回り込んだ部位には、複数のベアリング62が引出方向D3へ並べられている。ベアリング62は、ローラーベアリングが好ましいものの、ローラーベアリングに限定されない。型ベース部材42は、複数のベアリング62に載置されて引出側縁部42fの側から引出方向D3へ移動可能とされる。図2,9等に示す引出方向D3はシート搬送方向D1と平行にされているが、型の引出方向は、シート搬送方向から15°以内でずれた方向、シート搬送方向から30°以内でずれた方向、シート搬送方向から45°以内でずれた方向、等でもよい。ずれる向きは、鉛直方向と水平方向の両方が考えられる。
【0044】
ロック検出センサーU6は、シートガイドU3がシート案内位置L2にあるか否かを判別するための検出部である。ロック検出センサーには、リミットスイッチといった接触式の位置検出センサー、赤外線センサーを含む光センサーや磁気センサーといった非接触式の位置検出センサー、等を用いることができる。制御盤100は、シートガイドU3がシート案内位置L2にないと判別される場合にシート搬送手段U1と成形部U2の少なくとも一方の動作を停止させる。下記の制御処理を行う制御盤100は、動作停止手段U7を構成する。
【0045】
制御盤100の電源をオンにする等して制御処理を開始させると、制御盤100は、ロック検出センサーU6の検出状態を読み込む。次いで、制御盤100は、前記検出状態に基づいて、シートガイドU3が案内位置L2にあるか否かを判断する。シートガイドU3が案内位置L2にあると判断した場合、制御盤100は、シート搬送手段U1及び成形部U2を動作させてシートSH1の熱成形を実行する。シートガイドU3が案内位置L2にないと判断した場合、制御盤100は、シート搬送手段U1と成形部U2の少なくとも一方の動作を停止させる。動作停止は、シート搬送手段U1と成形部U2の両方が好ましいものの、シート搬送手段U1のみ停止して成形部U2の動作を継続させてもよいし、成形部U2のみ停止してシート搬送手段U1の動作を継続させてもよい。
以上の制御処理により、シートガイドU3がシート案内位置L2にない場合に熱成形処理が停止する。
【0046】
(2)型搬送台車、及び、型交換方法の概要:
図8〜11に例示される型搬送台車は、210,260の基本要素を備える。熱成形装置用の型搬送台車は、熱成形装置1に用いられる型40を載置可能であり、熱成形装置1に隣接する型出入位置L6に配置可能である。本体210は、熱成形装置1に面する対面側部位211から熱成形装置1の方へ移送可能に型40を載置する。図8,10,11には、本体210に載置される型40の移送方向D10を矢印で例示している。キャスター(可動部材)260は、本体210を移動可能にする。本体210の対面側部位211とは反対側の凹部側部位212には、身体800を入れて型40を移動操作することができるように対面側部位211の方へ凹ませた凹部230が形成されている。
【0047】
すなわち、本体210の熱成形装置1に面する対面側部位211とは反対側の凹部側部位212の凹部230に身体800を入れて型40を移動操作して交換することができるので、型40の交換が容易になる。型40の移動操作には、移送方向D10、すなわち、対面側部位211から熱成形装置1の方へ型を移動させる操作、引出方向D3、すなわち、熱成形装置1から対面側部位211の方へ型を移動させる操作、のいずれも含まれる。
【0048】
(3)型搬送台車の具体例:
図8〜11に示す型替え台車(型搬送台車)200は、レール部材240及び把手250が設けられた枠状の本体210、キャスター260、を備える。レール部材240及び把手250は、必須要素ではない。型替え台車200の構造物の主要部は、例えば金属で形成することができる。
【0049】
例えば、本体210の枠組み部分は、底横枠221、天井横枠222、底前後枠223、天井前後枠224、外縦枠225,226、内縦枠227,228、を備える。
底横枠221は、対面側部位211から順に、前底横枠221a、中底横枠221b、左右の後底横枠221c,221d、を備える。中底横枠221bと後底横枠221c,221dとの間は、例えば、標準体型の成年男性の身体前後幅よりも大きい間隔(例えば200〜1000mm)とされる。
天井横枠222は、対面側部位211から順に、前天井横枠222a、中天井横枠222b、左右の後天井横枠222c,222d、を備える。前天井横枠222aには、移送方向D10に向かって延出した板229が固定されている。前天井横枠222aと前底横枠221aは、対面側部位211となる。後天井横枠222c,222dと後底横枠221c,221dは、凹部側部位212となる。中天井横枠222bと後天井横枠222c,222dとの間は、例えば、標準体型の成年男性の身体前後幅よりも大きい間隔(例えば200〜1000mm)とされる。
【0050】
底前後枠223は、左右の外底前後枠223a,223b、左右の内底前後枠223c,223d、を備える。左側の外底前後枠223aは、前底横枠221aから後底横枠221cに繋がっている。外底前後枠223aの両端部には、下側にキャスター260,260が取り付けられている。右側の外底前後枠223bは、前底横枠221aから後底横枠221dに繋がっている。外底前後枠223bの両端部には、下側にキャスター260,260が取り付けられている。左側の内底前後枠223cは、中底横枠221bから後底横枠221cに繋がっている。右側の内底前後枠223dは、中底横枠221bから後底横枠221dに繋がっている。内底前後枠223c,223dの間は、例えば、標準体型の成年男性の身体横幅よりも大きい間隔(例えば450〜1000mm)とされる。
天井前後枠224は、左右の外天井前後枠224a,224b、左右の内天井前後枠224c,224d、を備える。左側の外天井前後枠224aは、前天井横枠222aから後天井横枠222cに繋がっている。この外天井前後枠224aには、上方に向かって延出したレール支持枠220が固定されている。右側の外天井前後枠224bは、前天井横枠222aから後天井横枠222dに繋がっている。この外天井前後枠224bには、上方に向かって延出したレール支持枠220が固定されている。左側の内天井前後枠224cは、中天井横枠222bから後天井横枠222cに繋がっている。右側の内天井前後枠224dは、中天井横枠222bから後天井横枠222dに繋がっている。内天井前後枠224c,224dの間は、例えば、標準体型の成年男性の身体横幅よりも大きい間隔(例えば450〜1000mm)とされる。
【0051】
左側の外縦枠225は、前外縦枠225a、中外縦枠225b、後外縦枠225c、を備える。これらの外縦枠225a〜225cは、外底前後枠223aから外天井前後枠224aに繋がっている。外縦枠225と外底前後枠223aと外天井前後枠224aは、対面側部位211からの移送方向D10に対して側方となる一方の側方部位213となる。
右側の外縦枠226は、前外縦枠226a、中外縦枠226b、後外縦枠226c、を備える。これらの外縦枠226a〜226cは、外底前後枠223bから外天井前後枠224bに繋がっている。外縦枠226と外底前後枠223bと外天井前後枠224bは、対面側部位211からの移送方向D10に対して側方となる他方の側方部位214となる。
【0052】
左側の内縦枠227は、中内縦枠227a、後内縦枠227b、を備える。中内縦枠227aは、中底横枠221bから中天井横枠222bに繋がっている。後内縦枠227bは、後底横枠221cから後天井横枠222cに繋がっている。
右側の内縦枠228は、中内縦枠228a、後内縦枠228b、を備える。中内縦枠228aは、中底横枠221bから中天井横枠222bに繋がっている。後内縦枠228bは、後底横枠221dから後天井横枠222dに繋がっている。
【0053】
以上より、凹部230は、底側については内底前後枠223c,223dの間が中底横枠221bまで対面側部位211の方へ凹み、天井側については内天井前後枠224c,224dの間が中天井横枠222bまで対面側部位211の方へ凹んでいる。水平断面略矩形状の凹部230の幅(幅方向D2の長さ)は、例えば、標準体型の成年男性の身体横幅よりも大きい間隔(例えば450〜1000mm)とされる。凹部230の深さ(移送方向D10の長さ)は、例えば、標準体型の成年男性の身体横幅よりも大きい間隔(例えば450〜1000mm)とされる。凹部230に身体800を入れることにより、作業者は、熱成形装置1に近い位置で型40を移動操作することができる。
また、図10等に示す凹部230は、本体210に対して型40が載置される領域AR1の中まで移送方向D10へ凹んでいる。これにより、作業者は、より熱成形装置1に近い位置で型40を移動操作することができる。
【0054】
上述した左右のレール支持枠220,220には、長尺なレール部材240,240が取り付けられている。各レール部材240は、移送方向D10に沿って並べられて型40を載置する複数のベアリング242を有し、型40の移動方向を対面側部位211からの移送方向D10に規制する。図8〜11に示すレール部材240,240は、長手方向を並行させ、型ベース部材42の下面42aに接触する金属部材とされている。ベアリング242は、ローラーベアリングが好ましいものの、ローラーベアリングに限定されない。型ベース部材42は、複数のベアリング242に載置されてレール部材240の長手方向へ移動可能とされる。
上記レール部材240があるので、型40を移送方向D10や引出方向D3へ容易に移動操作することができる。従って、本型替え台車200は、型の交換を容易にすることができる好適な型搬送台車である。
【0055】
また、上述した右側の外天井前後枠224bには、幅方向D2の他方D2b側に把手250が取り付けられている。すなわち、本体210は、対面側部位211からの移送方向D10に対して側方となる側方部位214に把手250を有する。凹部側部位212に把手があると凹部230に身体800を入れ難いが、側方部位214に把手250があるので、凹部230に身体800を容易に入れることができる。従って、本型替え台車200は、型の交換を容易にすることができる好適な型搬送台車である。
なお、一方側の側方部位213に把手があるとシートガイドU3と干渉し易いが、他方側の側方部位214に把手250があるので、シートガイドU3と干渉せず、容易に型替え台車200を型出入位置L6に配置することができる。
【0056】
上述した外底前後枠223a,223bの下側に取り付けられた複数のキャスター260は、本体210を移動可能にする部材であり、基本的には床上を走行する。
【0057】
(4)型交換方法、並びに、型搬送台車及び型交換方法の作用及び効果:
次に、成形部U2の型の交換方法を説明する。
ある型を使用した熱成形を終了したとき、図2に示すように、シートガイドU3は移動禁止状態にある。成形部U2の型を交換する場合、作業者は、まず、操作部83cを幅方向D2の他方D2b側に引き(状態ST1)、受け部83fからフック83dを外す(状態ST2)ことになる。これにより、ロック機構83が解除され、シートガイドU3が移動可能状態となる。作業者は、図2に示す退避方向D5にシートガイドU3を開くように回転操作すると、シートガイドU3がシート案内位置L2から退避し、図8に示すように成形部U2の上流側の開口部OP1が開放される。開口部OP1に型替え台車200を配置するためには、シートガイドU3を90°以上(180°以内、より好ましくは135°以内)回転操作することが好ましい。
【0058】
次いで、作業者は、型を載置していない型替え台車200を移動させてシート案内位置L2、すなわち、型出入位置L6に配置し、型ベース部材クランプ機構47による型ベース部材42のクランプを解除する。型替え台車のレール部材240と熱成形装置1の型引出レール部材61との高さを合わせるためには、型用テーブル駆動機構50で上テーブル45の高さを調節すればよい。むろん、型替え台車200にレール部材240の高さ調節機構を設け、この高さ調節機構でレール部材240の高さを調節してもよい。作業者は、型替え台車の凹部230に身体800を入れ、図10,12に示すように、交換前の型40を引出方向D3、すなわち、成形位置L1から型出入位置L6の方へ手810で移動操作することができる。図12に示す型の引出方向D3は、シート搬送方向D1とは逆の方向である。
【0059】
図10は、凹部230に入れた身体800を直立させた状態で移送方向D10に手810の届く範囲を二点鎖線で示している。身体800を前に屈めると、移送方向D10の奥となる成形位置L1まで手810を届かせることができる。従って、熱成形装置1から型40を搬出する場合、作業者は、型替え台車200の横に回り込まなくても、手810で型40を熱成形装置1から引き出すことができる。
一方、図15は、凹部の無い比較例の型替え台車900で熱成形装置に面する対面側部位911とは反対側の把手側部位912から移送方向D10に手810の届く範囲を二点鎖線で示している。把手側部位912の手前、すなわち、引出方向側には、把手950が取り付けられている。この場合、身を屈めても、成形位置まで手810を届かせることができない。従って、作業者は、型替え台車900の横に回り込んで手810で型を熱成形装置から引き出す必要がある。
【0060】
型替え台車200に交換前の型40を完全に載せると、作業者は、型替え台車200を型出入位置L6から例えば所定の型保管場所に移動させて交換前の型40を型替え台車200から降ろす。
【0061】
次いで、作業者は、例えば所定の型保管場所から新たな型40を型替え台車200に載せ、図13に示すように、型替え台車200を移動させて型出入位置L6に配置する。型替え台車のレール部材240と熱成形装置1の型引出レール部材61との高さを合わせるためには、型用テーブル駆動機構50で上テーブル45の高さを調節すればよい。むろん、型替え台車200にレール部材240の高さ調節機構を設け、この高さ調節機構でレール部材240の高さを調節してもよい。作業者は、型替え台車の凹部230に身体800を入れ、図10,13に示すように、新たな型40Bを移送方向D10、すなわち、型出入位置L6から成形位置L1の方へ押し込む。図13に示す型40Bの収容方向D4は、前記移送方向D10、及び、シート搬送方向D1に一致する。
【0062】
型替え台車200から熱成形装置1に型40を搬入する場合も、図10で示したように、作業者は、凹部230に身体800を入れることにより、型替え台車200の横に回り込まなくても、手810で型40を熱成形装置1の中に押し込むことができる。一方、図15で示した比較例の場合、作業者は、成形位置まで手810を届かせることができないので、型替え台車900の横に回り込んで手810で型を熱成形装置内に押し込む必要がある。
【0063】
成形位置L1に新たな型40Bを収容すると、作業者は、型ベース部材クランプ機構47により型ベース部材42をクランプし、型替え台車200をシート案内位置L2から退避させる。
【0064】
次いで、作業者は、図8,13に示す戻す方向D6にシートガイドU3を閉じるように回転操作して、シートガイドU3を型出入位置L6、すなわち、シート案内位置L2に配置する。この状態でフック83dを受け部83fに入れ(図2の状態ST1)、操作部83cを幅方向D2の一方D2a側へ押すことになる。これにより、ロック機構83が働き、案内位置L2のシートガイドU3が移動禁止状態で固定される。
【0065】
以上説明したように、本型搬送台車は、本体210の熱成形装置1に面する対面側部位211とは反対側の凹部側部位212の凹部230に身体800を入れて型40を移動操作して交換することができるので、型の交換を容易にさせることが可能になる。
また、凹部230に身体800を完全に入れることができると、作業者は、より熱成形装置1に近い位置で型40を移動操作することができる。この場合、型の交換がさらに容易となる。
さらに、型40が載置される領域AR1の中まで移送方向D10へ凹部230が凹んでいても、作業者は、より熱成形装置1に近い位置で型40を移動操作することができる。この場合も、型の交換がさらに容易となる。
【0066】
(5)変形例:
本技術は、種々の変形例が考えられる。
例えば、熱板と型の位置は、熱板がシートの上面側、型がシートの下面側とされてもよい。シートを鉛直方向に搬送する場合には、熱板と型とを同じ高さに配置してもよい。
熱板及び型は、シートに接触してもよいし、シートから離間して配置されてもよい。いずれの場合も、「シートを挟んで相対する熱板及び型」に含まれる。例えば、熱板は、シートの一面に接触しても、接触せずシートの一面に対面配置されてもよい。シートを加熱する際には、接触加熱以外にも、輻射加熱、接触加熱と輻射加熱の併用、等によりシートを加熱してもよい。型は、シートの他面に接触しても、接触せずシートの他面に対面配置されてもよい。
熱板と型とを近接及び離間させる際には、熱板と型の両方を移動させてもよいし、熱板のみ移動させてもよいし、シートを型又は熱板の方へ移動させてもよい。
型を自動的に成形位置又はトリミング位置から引き出したり成形位置又はトリミング位置に収容したりする自動型送り手段を熱成形装置又はトリミング装置に設けてもよい。
【0067】
シート案内部は、成形部に対して成形位置へシートを供給する位置に設けられてもよいし、成形部に対して成形位置からシートが送り出される位置に設けられてもよい。いずれの場合も「シートを搬送方向へ案内するためのシート案内部」に含まれる。例えば、シート案内位置L2から退避可能なシートガイドU3は、成形部U2に対して成形位置L1からシートSH1が送り出される位置(シート送出位置L4)にも設けられてもよい。また、シート案内位置L2から退避可能なシートガイドU3をシート送出位置L4のみに設けてもよい。
以上のことからも、熱成形装置1に隣接する型出入位置L6は、シート供給位置L3、シート送出位置L4、幅方向D2の一方D2aの位置、幅方向D2の他方D2bの位置、の中から選ばれる一以上の位置でもよい。むろん、型出入位置L6に合わせた型引出機構U5を熱成形装置1に設ければよい。
【0068】
凹部230の形状は、水平断面矩形状以外にも、水平断面半円状といった水平断面略楕円状等でもよい。また、凹部230の形状は、底側の形状と天井側の形状とが異なっていてもよい。
さらに、身体800の一部しか入らない凹部230でも、凹部230に身体800の一部を入れて型40を移動操作することにより、型の交換が容易になる。
さらに、型40が載置される領域AR1の中まで移送方向D10へ凹部230が凹んでいなくても、凹部230に身体800の少なくとも一部を入れて型40を移動操作することにより、型の交換が容易になる。
【0069】
本発明を適用可能な熱成形装置は、熱板を用いる差圧成形装置以外にも、熱板を用いない熱成形装置等でもよい。従って、交換対象の型は、上型、下型、上型と下型の組合せ、等が含まれる。また、上型と下型の間に装着される間部材等、熱成形装置に搬入したときに外される部材も、交換対象の型に含まれる。
また、図14に示すように、トリミング装置2に用いられる型替え台車201も、熱成形装置用の型替え台車200と同様のことが言える。型替え台車201は、トリミング装置2に用いられる型Z61を載置可能であり、トリミング装置2に隣接する型出入位置L6に配置可能である。本体210は、トリミング装置2に面する対面側部位211からトリミング装置2の方へ移送可能に型Z61を載置する。図14には、本体210に載置される型Z61の移送方向D10を矢印で例示している。キャスター(可動部材)は、本体210を移動可能にする。本体210の対面側部位211とは反対側の凹部側部位212には、身体800を入れて型40を移動操作することができるように対面側部位211の方へ凹ませた凹部230が形成されている。
【0070】
図14には、樹脂成形品のトリミング装置2が熱成形装置1と同様の型引出機構U5を有していることが示されている。この型引出機構U5は、型Z61をトリミング位置L7から成形シート供給位置L8の方へ引き出し可能にさせる。むろん、トリミング装置2に隣接する型出入位置L6は、成形シート供給位置L8、成形シート送出位置L9、幅方向D2の一方D2aの位置、幅方向D2の他方D2bの位置、の中から選ばれる一以上の位置でもよい。
【0071】
上記型替え台車201は、本体210のトリミング装置2に面する対面側部位211とは反対側の凹部側部位212の凹部230に身体800を入れて型Z61を移動操作して交換することができるので、型Z61の交換が容易になる。型Z61の移動操作には、移送方向D10、すなわち、対面側部位211からトリミング装置2の方へ型を移動させる操作、引出方向D3、すなわち、トリミング装置2から対面側部位211の方へ型を移動させる操作、のいずれも含まれる。
交換対象の型は、上型、下型、上型と下型の組合せ、等が含まれる。従って、交換対象の型は、受け部材Z62、型Z61と受け部材Z62の組合せ、等でもよい。また、上型と下型の間に装着される間部材等、トリミング装置に搬入したときに外される部材も、交換対象の型に含まれる。
【0072】
なお、レール部材240や把手250が無く、型搬送台車の基本部分210,260のみでも、型の交換を容易にさせる効果が得られる。
むろん、従属請求項に係る構成要件を有しておらず独立請求項に係る構成要件のみからなる技術等でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
【0073】
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、型の交換を容易にさせることが可能な技術等を提供することができる。
また、上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
【符号の説明】
【0074】
1…熱成形装置、2…トリミング装置、
30…熱板、40,40B,Z61…型、
200,201…型替え台車(型搬送台車)、
210…本体、211…対面側部位、212…凹部側部位(反対側の部位)、
213,214…側方部位、
230…凹部、
240…レール部材、242…ベアリング、
250…把手、
260…キャスター(可動部材)、
800…身体、810…手、
AR1…型が載置される領域、
D2…幅方向、D2a…幅方向外側の一方、D2b…幅方向外側の他方、
D3…引出方向、D4…収容方向、D10…移送方向、
L1…成形位置、L3…シート供給位置、L4…シート送出位置、L6…型出入位置、
PR1…成形品、SH1…シート、SH2…成形シート、SH3…スクラップシート、
SY1…成形品製造システム、
U1…シート搬送手段、U2…成形部、U3…シートガイド(シート案内部)、
U4…案内部退避機構、U5…型引出機構、U6…ロック検出センサー(検出部)。
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