特許第6026879号(P6026879)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6026879
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】自動二輪車のヘッドランプ装置
(51)【国際特許分類】
   B62J 6/02 20060101AFI20161107BHJP
   B62J 6/18 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   B62J6/02 E
   B62J6/18
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-273252(P2012-273252)
(22)【出願日】2012年12月14日
(65)【公開番号】特開2014-117994(P2014-117994A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(72)【発明者】
【氏名】高谷 聡志
【審査官】 岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/120947(WO,A1)
【文献】 特開2011−173504(JP,A)
【文献】 特開平09−293403(JP,A)
【文献】 特開2010−116127(JP,A)
【文献】 特許第4376528(JP,B2)
【文献】 特開2011−235881(JP,A)
【文献】 特開平11−238405(JP,A)
【文献】 独国実用新案第202012004965(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 6/02,6/18
B60Q 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動二輪車のフロントカウル内に収納されるヘッドランプ装置であって、
LEDを光源とするランプユニットと、電源からの電力を制御して前記光源に給電する電源回路ユニットとを備え、
前記電源回路ユニットが、前記ランプユニットの上部に設けた凹所に収納され、
前記凹所は、前記ランプユニットの左右方向中央部に設けられ、両側壁を有した下方に延びる空間である自動二輪車のヘッドランプ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動二輪車のヘッドランプ装置において、前記電源回路ユニットと前記ランプユニットの前記凹所との間に弾性体が介在している自動二輪車のヘッドランプ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自動二輪車のヘッドランプ装置において、前記凹所が前記ランプユニットの上部の後部に設けられ、
前記電源回路ユニットが、上方に開口した前記弾性体からなるボックスに収納されて前記凹所の内面に圧接されている自動二輪車のヘッドランプ装置。
【請求項4】
請求項1,2または3に記載の自動二輪車のヘッドランプ装置おいて、前記電源回路ユニットと前記ランプユニットがランプブラケットに支持され、
前記ランプブラケットが、フロントフォークを支持するトップブリッジに取り付けられている自動二輪車のヘッドランプ装置。
【請求項5】
請求項4に記載の自動二輪車のヘッドランプ装置において、前記ランプブラケットが、取付ブラケットを介して前記トップブリッジに取り付けられている自動二輪車のヘッドランプ装置。
【請求項6】
請求項5に記載の自動二輪車のヘッドランプ装置において、前記取付ブラケットに、ケーブル類を挿通させて保持する第1の保持部材が設けられている自動二輪車のヘッドランプ装置。
【請求項7】
請求項6に記載の自動二輪車のヘッドランプ装置において、前記ランプブラケットに、前記第1の保持部材と協働して前記ケーブル類を保持する第2の保持部材が設けられている自動二輪車のヘッドランプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)を光源とする自動二輪車のヘッドランプ装置、特に、自動二輪車のフロントカウルに装着されるヘッドランプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動二輪車のヘッドランプ装置の光源として、LEDの採用が増えてきている(例えば、特許文献1)。LEDを用いたヘッドランプ装置は、従来のバルブを用いたヘッドランプ装置に比べて小形であるので、ヘッドランプ装置をフロントカウルで覆う場合、フロントカウルの小形化を期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4376528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LEDを用いたヘッドランプ装置では、電源からの電力を制御してLEDに給電する電源回路ユニットが必要であり、この電源回路ユニットもフロントカウルに収納する必要がある。フロントカウルは、その機能および外観向上の観点から形状が決まってくるので、フロントカウルを小形化すると、電源回路ユニットの配置スペースを確保するのが難しい。
【0005】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたもので、フロントカウルを小形化しつつ、LEDと電源回路ユニットとをフロントカウル内にコンパクトに収納できる自動二輪車のヘッドランプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の自動二輪車のヘッドランプ装置は、自動二輪車のフロントカウル内に収納されるヘッドランプ装置であって、LEDを光源とするランプユニットと、電源からの電力を制御して前記光源に給電する電源回路ユニットとを備え、前記電源回路ユニットが、前記ランプユニットの上部に設けた凹所に収納されている。
【0007】
この構成によれば、LED光源を使用することでランプユニットを小形化できる。このように小形化されたランプユニットをフロントカウル内部の最も下方の位置に配置することで、フロントカウルを小形化してもフロントカウル内に容易に収納できる。フロントカウルは一般に、上部の前後方向長さが小さく下部の前後方向長さが長い先すぼまり形状であるから、スペースに余裕があるフロントカウル内部の下方にランプユニットを配置するのが、小形のフロントカウルには好ましい。このとき、ランプユニットの上部に設けた凹所に電源回路ユニットを収納しているので、電源回路ユニットに邪魔されずにランプユニットをフロントカウル内の下部に配置できる。こうして、フロントカウルを小形化しつつ、ランプユニットと電源回路ユニットとをフロントカウル内にコンパクトに収納できる。
【0008】
本発明において、前記電源回路ユニットと前記ランプユニットの前記凹所との間に弾性体が介在していることが好ましい。この構成によれば、弾性体により電源回路ユニットとランプユニットとの前後方向および左右方向の位置ずれが吸収される。
【0009】
弾性体を備える場合、前記凹所が前記ランプユニットの上部の後部に設けられ、前記電源回路ユニットが上方に開口した前記弾性体からなるボックスに収納されて前記凹所の内面に圧接されていることが好ましい。この構成によれば、ボックスを凹所に収納するだけで電源回路ユニットがランプユニットに組み込まれるので、組立が容易である。また、ボックスが凹所の内面に圧接されているので、ボックスのランプユニットに対する相対位置が安定するから、例えばボックスとランプブラケットとは、締結ではなく、簡単な差込み式の係止構造により連結できる。さらに、ボックスは弾性体からなるので、走行時にランプブラケットから伝達される振動も吸収される。
【0010】
本発明において、前記電源回路ユニットと前記ランプユニットがランプブラケットに支持され、前記ランプブラケットが、フロントフォークを支持するトップブリッジに取り付けられていることが好ましい。その場合、前記ランプブラケットが、取付ブラケットを介して前記トップブリッジに取り付けられていることが好ましい。この構成によれば、ランプブラケットが、ランプユニットおよび電源回路ユニットの両方の支持に兼用されるので、部品点数、組立工数が低減する。さらに、ヘッドランプ装置およびフロントカウルに、ランプブラケットおよび取付ブラケットを連結してアッシーが構成され、このアッシーをトップブリッジに取り付けることで、ヘッドランプ装置およびフロントカウルが車体に組み付けられる。したがって、ヘッドランプ装置およびフロントカウルの組立性が向上する。
【0011】
取付ブラケットを備える場合、前記取付ブラケットに、ケーブル類を挿通させて保持する第1の保持部材が設けられていることが好ましい。その場合、さらに、前記ランプブラケットに、前記第1の保持部材と協働して前記ケーブル類を保持する第2の保持部材を設けることが好ましい。この構成によれば、取付ブラケットおよびランプブラケットに、第1および第2の保持部材がそれぞれ設けられているので、取付ブラケットおよびランプブラケットをケーブル保持用にも兼用できる。さらに、上記アッシーを構成した際に、ケーブル類を第1および第2の保持部材で保持することで組立性が向上する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の自動二輪車のヘッドランプ装置によれば、LED光源を使用することでランプユニットを小形化できる。このように小形化されたランプユニットをフロントカウル内部の最も下方の位置に配置することで、フロントカウルを小形化してもフロントカウル内に容易に収納できる。フロントカウルは一般に、上部の前後方向長さが小さく下部の前後方向長さが長い先すぼまり形状であるから、スペースに余裕があるフロントカウル内部の下方にランプユニットを配置するのが、小形のフロントカウルには好ましい。このとき、ランプユニットの上部に設けた凹所に電源回路ユニットを収納しているので、電源回路ユニットに邪魔されずにランプユニットをフロントカウル内の下部に配置できる。こうして、フロントカウルを小形化しつつ、ランプユニットと電源回路ユニットとをフロントカウル内にコンパクトに収納できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係るヘッドランプ装置を搭載した自動二輪車を示す側面図である。
図2】同自動二輪車の要部を示す正面図である。
図3】同ヘッドランプ装置を示す斜視図である。
図4】同ヘッドランプ装置を示す背面図である。
図5】同ヘッドランプ装置の電源回路ユニット、ボックス、ランプブラケットの組立状態を示す斜視図である。
図6】同電源回路ユニットを示す斜視図である。
図7】同ボックスを示す斜視図である。
図8】同ランプブラケットを示す斜視図である。
図9】同ヘッドランプ装置の上部の車体への組立状態を示す、後方斜め上方から見た斜視図である。
図10】同ヘッドランプ装置の下部の車体への組立状態を示す底面図である。
図11】同ランプブラケットに設けたケーブル保持部材によるケーブル保持状態を示す、前方斜め左側方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。本明細書において、「左側」および「右側」は、車両に乗車した操縦者から見た左右側をいう。
【0015】
図1は本発明が適用される自動二輪車を示す。この自動二輪車の車体フレームFRは、前半部を構成するメインフレーム1と、メインフレーム1の後部に連結されて車体フレームFRの後半部を構成するリヤフレーム2とを有する。このメインフレーム1の前端にヘッドパイプ3が取り付けられ、このヘッドパイプ3に回動自在に挿通されたステアリングシャフト(図示せず)にトップブリッジ4およびボトムブリッジ5が取り付けられ、これらトップブリッジ4およびボトムブリッジ5にフロントフォーク8が支持されている。このフロントフォーク8の下端部に前輪9が支持され、前輪9の上方にフロントフェンダ15が取り付けられている。フロントフォーク8の上端部のトップブリッジ4にハンドル10が取り付けられている。
【0016】
前記メインフレーム1の後端部には、スイングアームブラケット11が設けられ、このスイングアームブラケット11に、スイングアーム12が、前端部に挿通されたピボット軸13を介して上下揺動自在に支持されている。このスイングアーム12の後端部には後輪14が支持されている。メインフレーム1の中央下部にはエンジンEが支持され、このエンジンEがチェーンのような動力伝達機構16を介して後輪14を駆動する。
【0017】
リヤフレーム2にライダーシート22と同乗者シート24とが支持され、リヤフレーム2の後端にテールランプ26が支持されている。テールランプ26の下方には、後輪14の上方に位置するリヤフェンダ36が取り付けられている。
【0018】
メインフレーム1の上部、つまり、車体上部で、前記ハンドル10とライダーシート22との間には、燃料タンク25が取り付けられている。また、前記トップブリッジ4およびボトムブリッジ5にヘッドランプ装置40が支持され、このヘッドランプ装置40に、ヘッドランプ装置40を上方、下方および両側方から覆う樹脂製のフロントカウル30が支持されている。フロントカウル30の後方に、燃料タンク25の下部からエンジンEの前方および下部にかけての部分を側方から覆う樹脂製のサイドカウル31が装着されている。
【0019】
図2に示すように、ヘッドランプ装置40は、フロントカウル30の下方に配置されたランプユニット42と、ランプユニット42の左右方向中央部でランプユニット42の上方に配置された電源回路ユニット44とを有している。
【0020】
ランプユニット42は、車幅方向内側に配置された左右一対のロービーム用ランプ46と、車幅方向外側に配置された左右一対のハイビーム用ランプ48とを有している。各ランプ46,48の光源46a,48aはLEDにより構成されている。電源回路ユニット44は、電源(図示しないバッテリ)からの直流電力を制御して光源46a,48aであるLEDに給電する。
【0021】
図3はヘッドランプ装置40を前方斜め左側方から見た斜視図で、図4はヘッドランプ装置40の背面図である。図3に示すように、ヘッドランプ装置40のランプユニット42は、ランプ46,48(図2)を支持するフレーム(図示せず)が共通のランプベース50にボルト51および後述の調整ねじ62,64(図4)で連結されている。ランプベース50は、例えば、樹脂製である。ランプユニット42の前方にレンズカバー52が配置され、レンズカバー52はランプベース50に爪で係合されたうえで、接着剤で固着される。
【0022】
ランプベース50の上部および下部に、挿通孔54aを有するカウル取付片54がそれぞれ一体形成されている。カウル取付片54は、ランプベース50の上部に4つ、下部に2つ設けられている。図4では、上部のカウル取付片54は2つのみ見えている。これら挿通孔54aにボルト53を後方から挿入し、図2のフロントカウル30に設けたねじ孔(図示せず)に締め付けることで、フロントカウル30がヘッドランプ装置40に装着される。
【0023】
図3に示すランプベース50の上部における左右方向の中央部に、下方へ凹入した凹所56が設けられ、この凹所56に電源回路ユニット44が収納されている。詳細には、凹所56はランプベース50の上部の後部に設けられている。ランプベース50の上部に設けられる4つ前記カウル取付片54は、凹所56(図4)を挟んで左右側に2つずつ形成されている。左側に形成された2つのカウル取付片54の間に、後方に突出したスクリューボス55、55がそれぞれ形成されている。
【0024】
図4に示すように、ランプベース50の背面における左右のランプ46,48に対応する位置に開口58,58が形成され、この開口58,58からヒートシンク60,60が露出するように配置されている。ヒートシンク60は、LEDに取り付けられ、熱の放散によってLEDの温度を下げる役割を果たす。
【0025】
ランプベース50の背面の上部の左右端部に、左右のランプユニット42,42の左右方向の光軸を調整するための左右方向調整ねじ62,62がそれぞれ設けられ、下部の左右方向中央に、左右のランプユニット42,42の上下方向の光軸を調整するための上下方向調整ねじ64,64が設けられている。
【0026】
ランプベース50の背面の下部、詳細には、下部における上下方向調整ねじ64,64の外側に、下部ブラケット取付片66,66がそれぞれ形成され、各下部ブラケット取付片66には、上下方向を向く下部ブラケット取付孔66aが形成されている。
【0027】
図6に示すように、電源回路ユニット44は、正面視で矩形のユニット本体68を有し、ユニット本体68の上部に上方を向いた出力側コネクタ70が2つ設けられ、下部に下方を向いた入力側コネクタ72が1つ設けられている。入力側コネクタ72は、電源回路ユニット44と車体側の電源とを接続するケーブルに接続され、出力側コネクタ70は、電源回路ユニット44とランプユニット42とを接続するケーブルに接続される。
【0028】
図4に示す電源回路ユニット44のユニット本体68は、上方に開口したボックス69に収納されている。ボックス69は、ゴムのような弾性体で形成されている。つまり、電源回路ユニット44とヘッドランプ装置40の凹所56との間に弾性体が介在している。
【0029】
図7に示すように、ボックス69は、上部にボックス開口71を有するほぼ直方体形状であり、ボックス69の下部にコネクタ開口74が形成されている。図4に示すように、ユニット本体68がボックス69に収納された状態で、出力側コネクタ70がボックス開口71から上方に突出し、入力側コネクタ72がコネクタ開口74から下方に突出している。
【0030】
図7に示すボックス69は、背面69aの上部に左右に並んで2つの係合突部76,76が形成されている。また、ボックス69の両側面69b、69bの下部に、外側方に突出するブラケット係止部78,78がそれぞれ形成され、各ブラケット係止部78に上下方向に長い係合溝78aが形成されている。
【0031】
図4に示すヘッドランプ装置40は、上部ランプブラケット80および下部ランプブラケット82を介して、図1のトップブリッジ4およびボトムブリッジ5にそれぞれ取り付けられている。
【0032】
上部ランプブラケット80は、図8に示すように、板金を折り曲げることで形成され、左右方向中央部のボックス係止部84と、ボックス係止部84の左右両端部から左右方向にそれぞれ延びる上側ランプ支持部86,86と、各上側ランプ支持部86,86から後方に延びるブリッジ取付部88とを有している。図5に示すように、上側ランプ支持部86には、前後方向を向くランプ取付孔86aが形成されている。なお、図5では後述する第2の保持部材100が省略されている。
【0033】
図8のボックス係止部84は、上部を構成する左右方向に長い長方形状の上半部90と、上半部90の両端部から下方に延びる一対の下半部92,92とを有する門型である。ボックス係止部84の上半部90に、前後方向を向いた貫通孔である係合孔90a,90aが左右に並んで2つ形成されている。ボックス係止部84の下半部92,92の下端に、前方に延びる係止片94,94がそれぞれ形成されている。
【0034】
各ブリッジ取付部88,88の後端は、後方斜め上方に傾斜する傾斜壁96,96を有しており、傾斜壁96,96にボルト挿通孔96a,96aが形成されている。各ブリッジ取付部88に、後述する第1の保持部材98と協働してケーブル類99(図11)を保持する第2の保持部材100が設けられている。第2の保持部材100は、ワイヤを折り曲げることで形成され、溶接によりブリッジ取付部88に固着されている。
【0035】
図3に示すように、上部ランプブラケット80は、取付ブラケット102を介してトップブリッジ4に取り付けられる。取付ブラケット102は、上部ランプブラケット80の左右のブリッジ取付部88,88の傾斜壁96,96にそれぞれ連結される左右の支持部材104,104と、これら支持部材104,104を接続する接続部材106とが、溶接により連結されて構成されている。支持部材104,104は、例えば金属性の板材で、接続部材106は、例えば金属性の棒材である。
【0036】
支持部材104の後面には、溶接ナット108(図9)が固着されている。また、支持部材104における溶接ナット108(図9)より車幅方向内側にボルト挿通孔110が形成されている。なお、図3では、右側のボルト挿通孔110はボルトが挿通されていない状態を示し、左側のボルト挿通孔はボルト105が挿通されている状態を示している。支持部材104の前面に、前記ケーブル類99(図11)を挿通させて保持する前記第1の保持部材98が設けられている。第1の保持部材98は、ワイヤを折り曲げることで形成され、溶接により支持部材104に固着されている。
【0037】
右側の支持部材104には、その上端が前側に折り曲げられて下方斜め外側方を向く第1のケーブル支持部112が設けられ、この第1のケーブル支持部112に第1の貫通孔112aが形成されている。接続部材106に上方斜め後方に延びる第2のケーブル支持部114が設けられている。第2のケーブル支持部114は、金属製の板材からなり、接続部材106に溶接により固着されている。第2のケーブル支持部114に、第2の貫通孔114aが形成されている。
【0038】
上部ランプブラケット80と取付ブラケット102とにより、上下方向の開口が形成され、この開口にケーブルを導くように、第1および第2の保持部材98,100と、第1および第2のケーブル支持部112,114とが配置されている。
【0039】
図4に示すように、下部ランプブラケット82は、ヘッドランプ装置40の下部ブラケット取付片66,66にそれぞれ取り付けられる下側ランプ支持部116,116と、ボトムブリッジ5(図1)に取り付けられる車体取付部118とを有し、これら下側ランプ支持部116,116と車体取付部118とが、図10に明示された前後方向に延びる棒状の連結部材120,120により連結されている。図4の各部材の連結は溶接により行われている。車体取付部118は、左右方向に延びて上下方向を向く金属製の板材からなり、車体取付部118における左右方向両端部に、ねじ挿通孔122,122がそれぞれ形成されている。下部ランプブラケット82に、上部ランプブラケット80のようなケーブル保持部材を設けてもよい。
【0040】
つぎに、電源回路ユニット44のランプベース50への組み付け、およびヘッドランプ装置40の車体への取り付けについて説明する。図5に示す電源回路ユニット44をボックス69の上部開口71に上方から嵌め込む。さらに、ボックス69の左右のブラケット係止部78,78の係合溝78a,78aに、図8の上部ランプブラケット80の左右の係止片94,94を係止させ、図7のボックス69の係合突部76,76を、図8の上部ランプブラケット80の係合孔90a,90aに係合させることで、図5に示すボックス69が上部ランプブラケット80に係止される。これにより、電源回路ユニット44、ボックス69および上部ランプブラケット80が一体化される。
【0041】
さらに、上部ランプブラケット80のランプ取付孔86aに、図8に示すように、両端に鍔が設けられた防振用の弾性グロメット124を嵌合する。つづいて、一体化された電源回路ユニット44、ボックス69および上部ランプブラケット80を、図4に示すランプベース50の上部の凹所56に収納する。このとき、ボックス69が凹所56の内面に圧接される。この状態で、弾性部材124の中心孔124a(図8)に、スクリュー126を後方から挿通し、図3に示すランプベース50のスクリューボス55に締め付けることで、ランプユニット42と電源回路ユニット44とが上部ランプブラケット80に支持される。
【0042】
つぎに、トップブリッジ4に取付ブラケット102を取り付ける。具体的には、取付ブラケット102のボルト挿通孔110に、ボルト105を前方から挿通し、トップブリッジ4に形成したねじ孔(図示せず)に締め付ける。
【0043】
さらに、ボトムブリッジ5に図4の下部ランプブラケット82を取り付ける。具体的には、下部ランプブラケット82のねじ挿通孔122に、下方から図10のねじ体134を挿通し、ボトムブリッジ5に設けたねじ孔(図示せず)にねじ込む。
【0044】
つづいて、フロントカウル30をヘッドランプ装置40に取り付ける。図3のランプベース50のカウル取付片54に設けた挿通孔54aに、図4のボルト53を後方から挿入し、図2のフロントカウル30に設けたねじ孔(図示せず)に締め付けて、フロントカウル30をヘッドランプ装置40に装着する。
【0045】
つぎに、フロントカウル30が固定されたヘッドランプ装置40を車体に取り付ける。まず、ヘッドランプ装置40の上部のトップブリッジ4への取り付けについて説明する。具体的には、図4に示す上部ランプブラケット80のボルト挿通孔96aに、図3のボルト128を前方から挿通し、取付ブラケット102の支持部材104を貫通して溶接ナット108(図9)にねじ込むことで、上部ランプブラケット80が取付ブラケット102に取り付けられる。これにより、ヘッドランプ装置40の上部が、上部ランプブラケット80および取付ブラケット102を介してトップブリッジ4に支持される。
【0046】
つづいて、ヘッドランプ装置40の下部のボトムブリッジ5への取り付けについて説明する。具体的には、図4のランプベース50の下部ブラケット取付片66の下部ブラケット取付孔66aに、両端に鍔が設けられた防振用の弾性グロメット130を装着する。下部ランプブラケット82の下側ランプ支持部116に固定されたピン132を、下方からグロメット130の中心孔に嵌合する。ピン132は、下側ランプ支持部116に溶接により固着されている。これにより、図10のヘッドランプ装置40の下部が、下部ランプブラケット82を介してボトムブリッジ5に支持される。
【0047】
つぎに、ケーブル保持構造について説明する。図11に示すように、トップブリッジ4に支持されるハンドル10、メータユニット6等からのケーブル類99は、取付ブラケット102に設けた第1の保持部材98および上部ランプブラケット80に設けた第2の保持部材100に案内されて、取付ブラケット102と上部ランプブラケット80とで形成される上下方向の開口に導かれる。ケーブル類99は、例えば、アクセルグリップ用ケーブル、グリップスイッチ用ケーブル、ブレーキホース、メータ用ハーネス、クラッチホース等である。
【0048】
ケーブル類99の一部、例えば、ブレーキホース99aは、取付ブラケット102の第1のケーブル支持部112に支持される。具体的には、ブレーキホース99aを弾性グロメット136に挿通し、第1のケーブル支持部112の第1の貫通孔112aに取り付けたクランプ部材138で、この弾性部材136を挟持することにより、ブレーキホース99aが取付ブラケット102に支持される。
【0049】
また、ケーブル類99の一部、例えばメータ用ハーネス99bが、取付ブラケット102の第2のケーブル支持部114に支持される。具体的には、第2のケーブル支持部114の第2の貫通孔114a(図3)に取り付けた結束部材140で、メータ用ハーネス99bを保持することにより、メータ用ハーネス99bが取付ブラケット102に支持される。
【0050】
このようにして、ヘッドランプ装置40、フロントカウル30、上部および下部ランプブラケット80,82、取付ブラケット102、ケーブル類99からなるアッシーが構成される。このアッシーを、図1のトップブリッジ4およびボトムブリッジ5に取り付けることで、ヘッドランプ装置40およびフロントカウル30が車体に支持される。ケーブル類99はコネクタを介して各機器に接続される。
【0051】
上記構成において、図2に示すランプユニット42の光源46a,48aとして、LEDが使用されているので、ランプユニット42を小形化できる。このように小形化されたランプユニット42をフロントカウル30内部の最も下方の位置に配置することで、フロントカウル30を小形化してもフロントカウル30内に容易に収納できる。フロントカウル30は、上部の前後方向長さが小さく下部の前後方向長さが長い先すぼまり形状であるから、スペースに余裕があるフロントカウル30内部の下方にランプユニットを配置するのが小形のフロントカウル30には好ましい。このとき、図4に示すランプユニット42の上部に設けた凹所56に電源回路ユニット44を収納しているので、電源回路ユニット44に邪魔されずにランプユニット42をフロントカウル30内の下部に配置できる。こうして、フロントカウル30を小形化しつつ、ランプユニット42と電源回路ユニット44とをフロントカウル30内にコンパクトに収納できる。
【0052】
また、電源回路ユニット44とランプユニット42の凹所56との間に、弾性体からなるボックス69が介在しているので、弾性体により電源回路ユニット44とランプユニット42との前後方向および左右方向の位置ずれが吸収される。
【0053】
さらに、ボックス69を凹所56に収納するだけで電源回路ユニット44がランプユニット42に組み込まれるので、組立が容易である。また、ボックス69が凹所56の内面に圧接されているので、ボックス69のランプユニット42に対する相対位置が安定するから、ボックス69と上部ランプブラケット80とは、締結ではなく、簡単な差込み式の係止構造により連結できる。さらに、ボックス69は弾性体からなるので、走行時に上部ランプブラケット80から伝達される振動も吸収される。
【0054】
さらに、上部ランプブラケット80が、ランプユニット42および電源回路ユニット44の両方の支持を兼用するので、部品点数、組立工数が低減する。また、ヘッドランプ装置40およびフロントカウル30に、上部ランプブラケット80および取付ブラケット102を連結して介してアッシーが構成され、このアッシーをトップブリッジ4に取り付けることで、ヘッドランプ装置30およびフロントカウル40が車体に組み付けられる。したがって、ヘッドランプ装置40およびフロントカウル30の組立性が向上する。
【0055】
図11に示す取付ブラケット102および上部ランプブラケット80に、第1および第2の保持部材98,100がそれぞれ設けられているので、取付ブラケット102および上部ランプブラケット80をケーブル保持用にも兼用できる。さらに、上記アッシーを構成した際に、ケーブル類99を第1および第2の保持部材98,100で保持することで組立性が一層向上する。
【0056】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
4 トップブリッジ
8 フロントフォーク
30 フロントカウル
40 ヘッドランプ装置
42 ランプユニット
44 電源回路ユニット
46a,48a 光源(LED)
56 凹所
69 ボックス(弾性体)
80 上部ランプブラケット(ランプブラケット)
98 第1の保持部材
100 第2の保持部材
102 取付ブラケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11