特許第6026987号(P6026987)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6026987衛生マスク、マスク生産装置及びマスク生産方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6026987
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】衛生マスク、マスク生産装置及びマスク生産方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20161107BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   A41D13/11 B
   A62B18/02 C
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-228680(P2013-228680)
(22)【出願日】2013年11月1日
(62)【分割の表示】特願2012-177134(P2012-177134)の分割
【原出願日】2012年8月9日
(65)【公開番号】特開2014-33973(P2014-33973A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】304021325
【氏名又は名称】CROSSEED株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116573
【弁理士】
【氏名又は名称】羽立 幸司
(74)【代理人】
【識別番号】100136180
【弁理士】
【氏名又は名称】羽立 章二
(72)【発明者】
【氏名】辻 政和
【審査官】 稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−512704(JP,A)
【文献】 特開2010−95841(JP,A)
【文献】 特開2010−70871(JP,A)
【文献】 実公昭11−15049(JP,Y1)
【文献】 実開昭62−145643(JP,U)
【文献】 特開2007−21027(JP,A)
【文献】 特開2012−35006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
A62B 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用時に口元を覆うマスク部を有する衛生マスクであって、
前記マスク部は、第1不織布と、第2不織布と、前記第1不織布と前記第2不織布の間に前記第1不織布及び前記第2不織布よりも硬い形状支持部材を有し、
前記形状支持部材は、
複数の三角形の通気部が形成され、
前記第1不織布及び前記第2不織布と共にプリーツ加工がなされ、着用時に前記第1不織布及び前記第2不織布と共にプリーツ加工された部分が伸ばされて前記口元を覆うことにより、着用時の前記マスク部の形状を支持するものである、衛生マスク。
【請求項2】
前記形状支持部材は、並行する複数の帯状部材と、前記並行する帯状部材を異なる2つの方向から斜めに横断する複数の帯状部材とを組み合わせることにより、前記複数の三角形の通気部が形成されたものであり、前記マスク部の全面に存在する、請求項1に記載の衛生マスク。
【請求項3】
前記マスク部において、前記プリーツ加工の折り加工は、前記並行する複数の帯状部材と並行になされる、請求項2に記載の衛生マスク。
【請求項4】
着用時に口元を覆うマスク部を有する衛生マスクを生産するマスク生産方法であって、
第1溶着部が、複数の三角形の通気部が形成された形状支持部材が第1不織布と第2不織布の間にある状態で溶着処理を行う第1溶着ステップと、
折りたたみ部が、前記第1溶着ステップ後の第1不織布と第2不織布の間に形状支持部材がある状態で、前記第1不織布及び前記第2不織布並びに前記形状支持部材を折り加工をする折りたたみステップと、
第2溶着部が、前記折り加工がなされた前記第1不織布及び前記第2不織布に対して溶着処理を行って前記マスク部とする第2溶着ステップを含むことを特徴とするマスク生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、衛生マスク、マスク生産装置及びマスク生産方法に関し、特に、着用時に口元を覆うマスク部を有する衛生マスク等に関する。
【背景技術】
【0002】
出願人は、特許文献1及び2にあるように、衛生マスクを開発し、製造・販売してきた(特許文献1及び2参照)。特に、ダチョウ卵に由来の抗体を使用したマスクの製造・販売で有名である。また、出願人は、近年、可視性のある保冷容器の研究・開発を行ってきた(特許文献3参照)。
【0003】
図6は、特許文献1及び2において、出願人らが示した、従来の使い捨て衛生マスクの製造工程を示す図である。以下では、使い捨て衛生マスクにおいて、着用時に口元を覆う部分を「マスク本体」といい、耳に掛ける部分を「耳掛け部」という。
【0004】
マスク生産装置51は、不織布53、55及び57と、ノーズクリップ61と、第1溶着部63と、第2溶着部65と、折りたたみ部67と、第3溶着部69と、切断部71と、耳紐取付部73を備える。不織布53、55及び57は、マスク本体を3層で構成するものである。第1溶着部63は、不織布53及び55の2層に対し、立体形状を維持するための立体形状維持機能用溶着処理を行う。第2溶着部65は、ノーズクリップ61を不織布53、55及び57中に溶着により埋め込むと共に、マスク本体の上下の向かい合う両辺側の溶着を行う。折りたたみ部67は、マスク本体を折りたたみ、プリーツ加工を行う。第3溶着部69は、マスク本体が折りたたまれた状態で、マスク本体が耳掛け部と接続すべき両辺側の溶着を行う。切断部71は、連続した状態から、個々のマスク本体を切断する。耳紐取付部73は、マスク本体の両側に耳紐を取り付ける。これにより、マスク本体と耳掛け部を有する使い捨て衛生マスクを生産することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−035006号公報
【特許文献2】実用新案登録第3163625号公報
【特許文献3】実用新案登録第3173352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、特に使い捨て衛生マスクは、立体形状を維持する機能が需要者に求められている。しかしながら、衛生マスクは、これまで、基本的に不織布のみで形成されていた。そのため、プリーツ加工等がなされた不織布は、着用時に立体形状を整えても、その形状を長時間維持することは困難であった。
【0007】
特に、衛生マスクは、設計業者と製造業者の分業体制となり、製造工程を熟知して設計できる状況ではない。さらに、コスト面でも、厳しく削減が要求され、不織布以外の素材を使用するという発想が乏しかった。そのため、新商品は、これまでの不織布を組み合わせた商品の延長上で設計する傾向にあった。例えば、特許文献1及び2にあるように、不織布の溶着部によって形状維持を目指すなどのものである。
【0008】
なお、従来、長手方向に沿って、例えば鼻に当たる部分や短手方向の中心部分などに、変形可能な整形部材を入れることは行われていた。しかしながら、この整形部材は、製造過程で移動する長手方向に沿って、短手方向の、溶着部分を外した一部分に設けるものであった。そして、これを固定するために特別な溶着を行う必要があった。この整形部材は、装着時に変形して用いるものであり、事前にプリーツ加工等を行うものではなく、装着時に、プリーツ加工等により折れた部分の形状を維持するためのものではない。
【0009】
そこで、本発明は、衛生マスクの基本的な性質を変えることなく、プリーツ加工等がなされた場合の立体形状維持に適した衛生マスク等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明の第1の観点は、着用時に口元を覆うマスク部を有する衛生マスクであって、前記マスク部は、第1不織布と、第2不織布と、前記第1不織布と前記第2不織布の間に前記第1不織布及び前記第2不織布よりも硬い形状支持部材を有し、前記形状支持部材は、前記第1不織布及び前記第2不織布と共に折り加工がなされたものであり、着用時に前記第1不織布及び前記第2不織布と共に折り加工された部分が伸ばされて前記口元を覆うことにより、着用時の前記マスク部の形状を支持するものであることを特徴とするものである。
【0011】
本願発明の第2の観点は、第1又は第2の観点の衛生マスクであって、前記形状支持部材は、三角形の形状の通気部が形成され、前記第1不織布及び前記第2不織布と共にプリーツ加工がなされても、再度、広げて、広げた形状を保つことが可能で、かつ、折りたたまれた状態で前記第1不織布及び前記第2不織布の間に固定されることが可能なものである。
【0012】
本願発明の第3の観点は、第1又は第2の観点の衛生マスクであって、前記形状支持部材は、並行する複数の線状部材と、これらの線状部材を横断する線状部材とを組み合わせたものである。
【0013】
本願発明の第4の観点は、第1から第3のいずれかに記載の衛生マスクであって、前記樹脂は、所定の機能を達成する機能性を有するものである。
【0014】
本願発明の第5の観点は、着用時に口元を覆うマスク部を有する衛生マスクであって、前記マスク部は、第1不織布と、第2不織布と、前記第1不織布と前記第2不織布の間に前記第1不織布及び前記第2不織布よりも硬い形状支持部材を有し、前記形状支持部材は、空気が通り抜ける通気部が形成されたものであり、前記第1不織布及び前記第2不織布が前記形状支持部材を間に前記通気部を含めて溶着されることによって前記第1不織布及び前記第2不織布の間に固定され、着用時の前記マスク部の形状を支持するものであることを特徴とするものである。
【0015】
本願発明の第6の観点は、着用時に口元を覆うマスク部を有する衛生マスクを生産するマスク生産装置であって、第1不織布と第2不織布の間に形状支持部材がある状態で、前記第1不織布及び前記第2不織布並びに前記形状支持部材を折り加工をする折りたたみ部と、前記折り加工がなされた前記第1不織布及び前記第2不織布並びに前記形状支持部材に対して溶着処理を行って前記マスク部とする溶着部を備えることを特徴とするものである。
【0016】
本願発明の第7の観点は、着用時に口元を覆うマスク部を有する衛生マスクを生産するマスク生産方法であって、折りたたみ部が、第1不織布と第2不織布の間に形状支持部材がある状態で、前記第1不織布及び前記第2不織布並びに前記形状支持部材を折り加工をする折りたたみステップと、溶着部が、前記折り加工がなされた前記第1不織布及び前記第2不織布並びに前記形状支持部材に対して溶着処理を行って前記マスク部とする溶着ステップを含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本願発明の各観点によれば、第1不織布と第2不織布の間に、樹脂等の素材で作られた形状支持部材を入れることにより、プリーツ等が形成された衛生マスクであっても、これを開いた形状で顔に装着して、その形状を長時間維持することが可能になる。形状支持部材は、一度、プリーツ加工がなされても、これを広げることが可能で、広げた状態で形状を支持できるものであればよい。この形状支持部材の追加による製造ラインは、基本的には、従来の不織布に加えて形状支持部材を製造ラインに入れ、マスクの厚さを調整すれば足り、従来の製造ラインを大幅に変更する必要はない。このようなアイディアは、ダチョウ抗体マスクの製造・販売を通じて、衛生マスクの製造工程に熟知した出願人ならではの発想である。
【0018】
なお、従来、例えば鼻に当たる部分などに入れる整形部材は、装着時に変形して用いるものであり、事前にプリーツ加工等により折り曲げるものではなかった。そのため、本願発明の形状支持部材とは本質的に異なるものである。
【0019】
さらに、本願発明の第2及び第3の観点によれば、形状支持部材は、十分な強度を持ち、形状維持を確実なものとすることが可能になる。
【0020】
またこの形状支持部材は、樹脂によって作ることが可能になる。このような樹脂を使用することにより、薄いものでも形状維持を実現することが可能で、さらに、薄いものを使用することによりコストの増加を抑えることが可能である。さらに、本願発明の第4の観点にあるように、例えば、抗菌・消臭等の一定の機能性を有するものを選択することも可能である。
【0021】
出願人は、ダチョウ卵由来の抗体という最先端技術を使用した衛生マスクを製造・販売することにより、衛生マスクという商品の製造に熟知することができた。そして、新たな事業として、可視性ある保冷容器の研究・開発をする過程で、可視性を保ちつつ容器の形状を維持する素材を求め、その結果、軽量かつ形状を維持することが可能な素材を数多く目にすることとなった。そして、衛生マスクという通気性を要する商品の製造・販売を行ってきた出願人が、新たに、可視性ある保冷容器という透光性を要する商品に接したことにより、気体と光の通過という類似などによって、衛生マスクにおいて、不織布以外の素材を利用して形状維持を実現するという新規なアイディアに到達したものである。
【0022】
そして、このようなアイディアは、衛生マスクに特化し、分業体制が整えられた衛生マスクの製造業者等には、基本的には不織布と溶着しない他の素材を使用することは想到できず、さらに、不織布以外の素材を使って、あえてコストを増加しようとすることは困難である。また、保冷容器業者は、通常、効率のよい保冷を実現するため、可視性を実現してこなかった。衛生マスクの製造・販売のプロフェッショナルでありつつ、さらに、可視性ある保冷容器にも果敢にチャレンジしてきた出願人だからこそ、本願発明をすることができたものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本願発明の実施例である衛生マスクを生産するマスク生産装置の概略ブロック図である。
図2図1のマスク生産装置1で試作した衛生マスクの(a)正面と(b)背面を示す図である。
図3図2の試作衛生マスクのプリーツ加工した部分を広げた状態を示す図である。
図4図2の試作衛生マスクの多層構造を示す図である。
図5図2の試作衛生マスクの多層構造の具体的な状態と、溶着の状態を示す図である。
図6】従来の衛生マスクを生産するマスク生産装置の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、図面を参照して、本願発明の実施例について説明する。なお、本願発明は、この実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0025】
図1は、本願発明の実施の形態の一例である衛生マスクを生産するマスク生産装置の概略ブロック図である。マスク生産装置1(本願請求項の「マスク生産装置」の一例)は、不織布3、5及び7(不織布3が本願請求項の「第1不織布」の一例であり、不織布5及び/又は7が本願請求項の「第2不織布」の一例である。)と、樹脂部材9(本願請求項の「形状支持部材」の一例)と、ノーズクリップ11と、第1溶着部13と、第2溶着部15と、折りたたみ部17(本願請求項の「折りたたみ部」の一例)と、第3溶着部19(本願請求項の「溶着部」の一例)と、切断部21と、耳紐取付部23を備える。
【0026】
図1のマスク生産装置1の第1溶着部13、第2溶着部15、折りたたみ部17、第3溶着部19、切断部21及び耳紐取付部23の基本的な動作は、それぞれ、図6のマスク生産装置51の第1溶着部63、第2溶着部65、折りたたみ部67、第3溶着部69、切断部71及び耳紐取付部73と同じである。図1のマスク生産装置1は、図6のマスク生産装置51の各構成に加えて、樹脂部材9を備える。樹脂部材9は、一度折り曲げ加工がなされても、再度、広げて、広げた形状を保つことが可能な性質のものである。樹脂部材9が入る関係で、マスク本体を処理するための厚さ等の調整が必要となるが、図1のマスク生産装置1は、樹脂部材9が不織布の間にある状態で、図6のマスク生産装置51と同様の溶着処理等を行う。
【0027】
具体的には、不織布53、55及び57と樹脂部材9は、4層で、着用時に口元を覆うマスク本体(本願請求項の「マスク部」の一例)を構成する。第1溶着部63は、不織布53と不織布55の間に樹脂部材9がある3層に対し、立体形状を維持するための立体形状維持機能用溶着処理を行う。第2溶着部65は、ノーズクリップ61を不織布53、55及び57並びに樹脂部材9の中に溶着により埋め込むと共に、マスク本体の上下の向かい合う両辺側の溶着を行う。折りたたみ部67は、マスク本体を折りたたみ、プリーツ加工を行う。第3溶着部69は、マスク本体が折りたたまれた状態で、マスク本体が耳掛け部と接続すべき両辺側の溶着を行う。切断部71は、連続した状態から、個々のマスク本体を切断する。耳紐取付部73は、マスク本体の両側に耳紐を取り付ける。これにより、マスク本体と耳掛け部を有する使い捨て衛生マスクを生産することができる。
【0028】
図2〜5を参照して、本願発明の衛生マスクの一例として、図1のマスク生産装置1を用いて試作した衛生マスクを具体的に説明する。図2は、プリーツ加工を施した状態の衛生マスクを示す図である。図2(a)と(b)は、それぞれ、装着時に外から見える側(「正面」という。)と顔に当たる側(「背面」という。)から撮影したものである。このように、従来のマスク生産装置において、基本的には樹脂部材を入れるだけで、本願発明の衛生マスクを生産することが可能である。
【0029】
図3は、プリーツ加工した部分を広げた状態を示す図である。図3(a)、(b)、(c)及び(d)は、それぞれ、プリーツ加工した部分を広げた状態で、正面、背面、右側面及び平面から順番に撮影したものである。形状支持部材が存在することにより、プリーツ加工した部分を広げて机上に置いた状態で、継続して撮影できる程度に、形状が支持されている。
【0030】
図4は、マスク本体の断面を示す図である。図4(a)は、マスク本体の切断した断面の部位を示すために撮影したものである。図4(b)は、マスク本体の断面を示すために撮影したものである。図4(c)は、マスク本体の多層構造を示すための概略図である。図4(c)にあるように、マスク本体は、正面から背面にかけて、層31、層33、層35及び層37の4層からなる。層31、層33及び層37は不織布である。層35が樹脂部材である。層35の樹脂部材は、樹脂が存在する部分41と樹脂が存在する部分43の間に、空気が通り抜ける通気部45(本願請求項の「通気部」の一例)が形成されている。
【0031】
図5は、溶着の状態を示すために撮影したものである。図5(a)は、正面から撮影したものである。図5(b)は、背面から撮影したものである。図5(a)にあるように、正面から2層の不織布の下に、樹脂部材が存在する。図5(b)にあるように、背面から1層の不織布の下に、樹脂部材が存在する。図5(c)では、不織布を引っ張りながら撮影している。そのため、この試作衛生マスクでは、不織布の溶着により形状支持部材を固定していることが分かる。よって、実際に、形状支持部材が存在しても、溶着することが可能であることを示している。そのため、本願発明でも、例えば、特許文献1及び2に記載された立体形状を維持するための立体形状維持機能用溶着処理が有効であったり、不織布の溶着により形状支持部材を固定したりすることができることが分かる。図5にあるように、この試作マスクでは、三角形を組み合わせた形状の樹脂部材を用いている。このような樹脂部材は、きわめて軽量であり、かつ、図3に示すように形状を継続して支持することが可能なものである。樹脂部材がこのような強度を持つことは、出願人らが、保冷容器の製作過程において実験により知得したものである。マスク生産に関する当業者は、通常、このような樹脂部材等の不織布以外の材料に関する知見がなく、かつ、マスクの機能として不織布のみで実現することから、不織布以外の材料を用いてマスク本体を構成しようとする動機づけに欠けるものと考えられる。
【0032】
なお、本願発明は、本実施例に限定されるものではなく、例えば、特許文献1及び2の従来の技術に記載されているように、第1溶着部13がなく、立体形状を維持するための立体形状維持機能用溶着処理がなされないマスク生産装置において、樹脂部材を含めて生産させることにより得られた衛生マスクであってもよい。
【0033】
また、樹脂部材は、例えば、抗菌や消臭等の機能性を有するものであってもよい。このような機能性樹脂を用いることにより、単に形状を支持するだけでなく、より多くの効果を期待することができる。また、本願発明の形状支持部材は、樹脂以外であっても、同様の機能を実現するものであってもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 マスク生産装置、3,5,7 不織布、9 樹脂部材、11 ノーズクリップ、13 第1溶着部、15 第2溶着部、17 折りたたみ部、19 第3溶着部、21 切断部、23 耳紐取付部、31,33,35,37 層、41,43 樹脂部材、45 通気部
図1
図6
図2
図3
図4
図5