(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
【0011】
(消化槽の構成)
図1に示すように、消化槽100は、消化槽本体1、攪拌機2(攪拌装置)、汚泥投入装置3、加温装置4、引抜装置5、コントローラ6(制御装置)などを具備している。
【0012】
<消化槽本体>
消化槽本体1は、汚泥(例えば、下水汚泥)を嫌気性発酵処理するための槽である。汚泥投入装置3により消化槽本体1に投入された汚泥は、加温装置4により加温されるとともに、攪拌機2により攪拌される。嫌気性発酵により発生した消化ガスは、槽頂部から出てガス管17を流れていく。消化槽本体1には、その内部の上部、中部、下部の温度(汚泥の温度)をそれぞれ測定するための温度計51、52、53が取り付けられている。また、ガス管17にはガス流量計18が取り付けられている。なお、消化ガスは、メタンが約60容量%、二酸化炭素が約40容量%のガス(バイオガス)である。
【0013】
本発明が処理対象とする有機性廃棄物は、汚泥(例えば、下水汚泥)に限られない。バイオマス(再生可能な生物由来の有機性資源で、化石資源を除いたもの)全般を処理対象とすることができる。
【0014】
ここで、本実施形態の消化槽本体1は鋼板製である。なお、消化槽本体1はコンクリート製であってもよい。しかしながら、コンクリート製の消化槽本体は、製作期間が長く、製作費用も高い。本実施形態のように鋼板製の消化槽本体1とすれば、鋼板は加工性に優れているので、コンクリート製の消化槽本体とするよりも製作期間を短縮することができ、且つ製作費用も抑えることができる。
【0015】
本実施形態では、縦型円筒形状の消化槽本体1としているが、消化槽本体1の形状はこれに限られるものではない。
【0016】
<攪拌機(攪拌装置)>
消化槽本体1に取り付けられた攪拌機2は、消化槽本体1に投入された汚泥を攪拌するためのものである。攪拌機2は、消化槽本体1をその上方から視た平面視において、槽の中心に取り付けられている。攪拌機2は、上下方向に間隔をあけて2段配置されたインペラ2a、インペラ2aを回転させる電動機2bなどからなる。なお、インペラ2aは、2段配置のものに限られず1段配置でもよいし、3段以上の配置であってもよい。また、消化槽本体1をその上方から視た平面視において、撹拌機2を槽の偏芯に取り付けてもよい。
【0017】
本実施形態では、鋼板製のインペラ2aで汚泥を攪拌する機械式攪拌機としているが、ドラフトチューブ式の機械式攪拌機であってもよいし、スクリュー羽根式の機械式攪拌機であってもよい。さらには、ガス攪拌式の攪拌装置であってもよい。
【0018】
<汚泥投入装置>
汚泥投入装置3は、消化槽本体1に汚泥を投入するためのものである。汚泥投入装置3は、汚泥供給ポンプ11と、汚泥供給ポンプ11と消化槽本体1とを接続する供給管12とで構成されている。供給管12には汚泥流量計13が取り付けられている。
【0019】
<加温装置>
加温装置4は、消化槽本体1に投入された汚泥を加温するためのものである。加温装置4は、循環ポンプ14と、加温器15(熱交換器)と、汚泥循環配管16とで構成されている。加温器15には、ボイラー(不図示)などの温水源から温水が供給される。消化槽本体1の底部から引き抜かれた汚泥は、加温器15にて加温された後、消化槽本体1の上部から消化槽本体1内に戻される。
【0020】
<引抜装置>
引抜装置5は、消化槽本体1の底部から消化槽本体1内の汚泥をその槽外へ引き抜くためのものである。引抜装置5は、引抜ポンプ19と、引抜ポンプ19に接続された引抜管20とで構成されている。なお、例えばテレスコープ弁を用いるなどして、消化槽本体1の底部から自然流下で汚泥を引き抜いてもよい。
【0021】
<コントローラ(制御装置)>
コントローラ6は、汚泥供給ポンプ11、攪拌機2、循環ポンプ14、および引抜ポンプ19の運転を自動制御するためのものである。すなわち、コントローラ6は、攪拌機2の動作、消化槽本体1への汚泥の投入操作、消化槽本体1から槽外への汚泥の引抜操作などを全て自動制御するものである。コントローラ6には、汚泥流量計13、ガス流量計18、および温度計51〜53の出力信号が取り込まれる。また、図示を省略しているが、消化槽本体1の底部に溜まった堆積物の高さを測定するセンサ(例えば、超音波変位計)が消化槽本体1に取り付けられており、このセンサの出力信号もコントローラ6に取り込まれる。
【0022】
なお、攪拌機2の動作を自動制御するコントローラ(制御装置)と、消化槽本体1への汚泥の投入操作を自動制御するコントローラ(汚泥投入制御装置)と、その他の運転操作を自動制御するコントローラ(制御装置)となどに、コントローラを分けて、複数のコントローラとしてもよい。
【0023】
(消化槽の運転)
消化槽100(攪拌機2)の運転方法について説明する。
【0024】
以下の説明では、消化槽本体1内に汚泥が既に投入されていることとする。攪拌機2は、通常運転として、例えば1〜9rpmの回転速度で、常時、連続運転(正回転)される。動力投入密度でいうと、0.5〜1.0Wm
-3(Wm
-3:汚泥1m
3当たりの仕事率)で、攪拌機2は常時、連続運転(正回転)される。なお、攪拌機2を常時、連続運転する必要は必ずしもなく、消化ガスの発生率(以下、「ガス発生率」と記載する)が良好であれば、間欠運転としたり、さらには、攪拌機2を停止させておいてもよい。なお、ガス発生率が所定値よりも低くなった場合に、必ず攪拌機2を運転する(攪拌強度を上げる)というものでもない。その他の条件も加味される。詳しくは後述する。
【0025】
ガス発生率とは、消化槽本体1に投入した汚泥の量に対するその消化槽本体1で発生した消化ガスの量の比率のことである。ここで、汚泥の量とは、液体の汚泥の体積のことをいう。消化ガスの量とは、0℃且つ1気圧の消化ガスの体積のことをいう。
【0026】
ガス発生率の求め方の一例を記載しておく。消化槽本体1への汚泥投入量を30m
3/日とし、消化槽本体1へ汚泥を連続投入する、という条件を例にとって記載する。この場合、消化槽本体1への単位時間当たりの汚泥投入量は、30/24=1.25m
3/hとなる。消化槽本体1で発生した単位時間当たりの消化ガス発生量(消化ガス流量)を、この単位時間当たりの汚泥投入量で除してガス発生率を求める。
【0027】
また、正回転とは、消化槽本体1内の汚泥の流れをf2の符号を付して
図1に示したように、インペラ2a近辺(槽中央)では上から下への流れ(下降流)、その外側(槽内側面)では下から上への流れ(上昇流)となるようにインペラ2aを回転させるときの回転である。インペラ2aの回転方向をf1の符号を付して
図1に例示している。
【0028】
以下、具体的に説明する。なお、以下に記載するガス発生率、汚泥の温度差などの数値条件は、あくまで一例であり、この数値条件に限定されるものではない。
【0029】
ここで、ガス発生率の下限値、および槽内の汚泥の温度差の上限値がオペレータにより予め決められ、それぞれの値(許容値)がコントローラ6に入力される(例えば、ガス発生率の下限値:7、槽内の汚泥の温度差の上限値:1)。また、コントローラ6は、汚泥流量計13または消化槽本体1の液位計(不図示)からの信号をもとに消化槽本体1に投入した汚泥の量を計算する。また、ガス流量計18からの信号をもとに消化槽本体1で発生した消化ガスの量を計算する。そして、これらの計算結果からガス発生率を計算により求める。また、コントローラ6は、温度計51〜53からの信号をもとに、消化槽本体1内の汚泥の温度差を算出する。本実施形態では、温度計51〜53による測定値のうちの最大値と最小値との差が、消化槽本体1内の汚泥の温度差となる。
【0030】
ガス発生率が例えば7(%でいうと700%)よりも低くなり、且つ、そのときの消化槽本体1内の汚泥の温度差が例えば1℃以上であれば、コントローラ6からの信号で、攪拌機2の回転数を上げることで汚泥の攪拌強度を高める。例えば、1.0〜2.0Wm
-3の動力投入密度で一定期間攪拌機2を運転する。これにより、消化槽本体1内の汚泥の温度分布が均一化されることで汚泥の消化が促進され、その結果、ガス発生率が高まる。
【0031】
ガス発生率が例えば7以上となり、且つ、消化槽本体1内の汚泥の温度差が例えば1℃未満となったら、コントローラ6からの信号で、攪拌機2の回転数を元に戻す。すなわち、0.5〜1.0Wm
-3の動力投入密度の攪拌強度に戻す。なお、消化槽本体1内の汚泥の温度差を特に考慮せず、ガス発生率が例えば7以上となったという条件のみで、攪拌機2の回転数を元に戻してもよい。
【0032】
一方、ガス発生率が例えば7(%でいうと700%)よりも低くなった場合に、そのときの消化槽本体1内の汚泥の温度差が例えば1℃未満であれば、コントローラ6は、汚泥の攪拌強度を上げないで従前の攪拌強度での汚泥攪拌状態のままとし、且つ、消化槽本体1への汚泥の投入量を減らす、又は消化槽本体1への汚泥の投入を一時的に停止するという運転制御を行う。このような運転制御とする理由は、以下の通りである。
【0033】
消化槽本体1内では、有機物が低分子の有機酸に分解される反応(酸発酵)の後、この有機酸を原料として、メタン生成細菌が有機酸をメタンガスに転換する反応(メタン発酵)が起きる。消化槽本体1内の汚泥の温度が均一であるのに、ガス発生率が低いということは、メタン生成細菌の活性が低下したり、死滅が進んだりしていることを意味する。そのため、このような場合、汚泥供給ポンプ11の運転頻度を少なくしたり、汚泥供給ポンプ11の運転を停止したりして、消化槽本体1への汚泥の投入負荷を一時的に減らす。汚泥中には、メタン生成細菌に対して有害な物質(例えば、アンモニア性窒素)が少なからず含まれている。消化槽本体1への汚泥の投入負荷を一時的に減らすことで、メタン生成細菌に対して有害な物質を減らすことができ、これにより、メタン生成細菌の回復を図ることができる。ガス発生率が例えば7以上にまで戻ったら、汚泥供給ポンプ11の運転を、従前の運転に戻す。
【0034】
前記したように、本実施形態の消化槽本体1には、図示を省略しているが、消化槽本体1の底部に溜まった堆積物の高さを測定するセンサ(例えば、超音波変位計)が取り付けられている。
図1において堆積物に符号Sを付している。堆積物Sは、砂分を多く含む汚泥であったり、粘度の高い汚泥であったりする。コントローラ6は、当該センサにより、消化槽本体1の底部に溜まった堆積物Sの高さを連続でまたは間欠で測定する。そして、消化槽本体1の空時の有効容量に対する堆積物Sの体積の割合が例えば3%に達したら、コントローラ6は、攪拌機2を逆回転させる。攪拌機2が逆回転すると、汚泥の流れは、f2とは反対向きになる。すなわち、インペラ2a近辺(槽中央)では下から上への流れ(上昇流)、その外側(槽内側面)では上から下への流れ(下降流)となる。また、コントローラ6は、引抜ポンプ19を動作させて、堆積物Sを槽外へ排出する。
【0035】
攪拌機2を逆回転させて、汚泥の流れをそれまでとは反対方向にすることで、消化槽本体1の底部に溜まった堆積物Sをほぐすとともに、少なくとも一部の堆積物Sを泳動させることができる。これにより、堆積物Sを効率良く、槽外へ排出することができる。一定時間が経過したら、コントローラ6は、攪拌機2を正回転(通常運転)に戻すとともに、引抜ポンプ19の運転を停止する。その後、消化槽本体1の空時の有効容量に対する堆積物Sの体積の割合が例えば3%未満にまで低下していたら、攪拌機2の通常運転を継続し、3%未満にまで低下していなかったら、再度、攪拌機2逆転運転と引抜ポンプ19の運転を行う。消化槽本体1の空時の有効容量に対する堆積物Sの体積の割合が例えば3%未満になるまで、上記運転を繰り返す。
【0036】
これにより、消化槽本体1の有効容量が、堆積物の存在により減少することを防止できるので、汚泥の消化効率を維持することができる。なお、
図1、2に堆積物Sの異なる堆積形態を示したように、消化槽本体1の大きさ、攪拌機2の形式、インペラ2aの形式・大きさ・配置などにより、堆積物Sの堆積形態は様々であり、堆積形態が水平(厚みがどこも同じ)になるとは限らない。
図1に示したように槽中央部側が盛り上がった堆積形態となることもあるし、
図2に示したように槽底のコーナー部が盛り上がった堆積形態となることもある。そのため、複数のセンサ(例えば、超音波変位計)を、消化槽本体1をその上方から視た平面視において様々な箇所に配置して、様々な箇所の堆積物Sの高さを測定し、複数の測定結果から堆積物Sの体積を算出することで、堆積物Sの体積の測定精度を上げておくことが好ましい。
【0037】
(作用・効果)
本発明では、消化槽本体1のガス発生率が所定値よりも低くなり、且つ、消化槽本体1内の汚泥の温度差が所定値以上であったら、攪拌機2(攪拌装置)を操作して汚泥の攪拌強度を上げる。
この構成によると、消化槽本体1内の汚泥の温度分布が均一化されることで汚泥の消化が促進され、その結果、ガス発生率を高めることができる。また、必要なときのみに、攪拌機2(攪拌装置)の運転が強められるので、消費電力も抑えることができる。すなわち、本発明によると、消化槽の低動力運転と、汚泥の消化効率の維持とを両立させることができる。
【0038】
なお、前記した実施形態では、汚泥供給ポンプ11、攪拌機2などの運転操作を、コントローラ6による自動制御としているが、これらの運転操作を、すべてオペレータ(人)が行ってもよい。そのため、コントローラ6は無くてもよい。
【0039】
ここで、消化槽本体1のガス発生率が所定値よりも低くなった場合、常に、汚泥の攪拌強度を上げるのではなく、消化槽本体1内の汚泥の温度が均一であれば、汚泥の攪拌強度を上げないで従前の攪拌強度での汚泥攪拌状態のままとし、且つ、消化槽本体1への汚泥の投入量を減らす、又は消化槽本体1への汚泥の投入を一時的に停止することが好ましい。
この構成によると、活性が低下したりなどしたメタン生成細菌の回復を図ることができ、結果として、汚泥の消化効率の維持をより確実なものとすることができる。また、各機器の消費電力をより抑えることができる。
【0040】
なお、処理対象として、例えば、汚泥と、木質・食品等のバイオマスとを混合する場合、または、木質・食品等のバイオマスのみを対象とする場合もある。ガス発生率は、投入する有機性廃棄物の種類によって発生する消化ガスの量が異なる。そのため、処理対象とする有機性廃棄物に応じて、汚泥単位体積あたり発生する消化ガスの量を求めておき、これをもとにベースとなるガス発生率を求めておいて比較するようにしてもよい。
また、通常、投入汚泥量とDS濃度(2〜5%)とがある程度決まっているが、仮にDS10%の汚泥を投入して槽内の濃度が大きく変化する場合等は、事前に消化ガス発生倍率を予測しておき希望する所定値に調節して制御(攪拌装置の制御など)を行うことも可能である)。
【0041】
(他の実施形態)
消化槽本体1の底部に溜まった堆積物を効率良く、槽外へ排出するための、前記した攪拌機2逆転とは別の方法を、
図2、3を参照しつつ説明する。なお、
図2、3に示した消化槽101において、
図1に示した消化槽100を構成する機器・配管と同様の機器・配管については同一の符号を付している。
【0042】
(消化槽の構成)
本実施形態の消化槽101と、
図1に示した消化槽100との違いは、引抜装置5の構成と、本実施形態の消化槽101が
図1に示した消化槽100には設けられていない液体圧入装置8を備えている点である。
【0043】
<液体圧入装置>
液体圧入装置8は、消化槽本体1内の底部に液体を圧入することで、消化槽本体1内の底部に堆積した堆積物Sを圧入した液体で泳動させるためのものである。
【0044】
液体圧入装置8は、液体供給ポンプ27と、液体供給ポンプ27に接続された圧入液管30とで構成されている。消化槽本体1内に圧入される液体は、液状のものなら何でもよく、例えば処理水(例えば下水処理水)である。
なお、液体供給ポンプ27を用いずに、消化槽本体1内に自然流下で液体を圧入してもよい。例えば、消化槽本体1内の液面レベルよりも十分高い位置に水槽(不図示)を設置し、その水槽から消化槽本体1へ自然流下で液体を圧入してもよい。
【0045】
本実施形態における圧入液管30は、液体供給ポンプ27に接続された吐出ヘッダー管21と、吐出ヘッダー管21に接続された複数の分岐圧入管22a〜22gとで構成されている。
【0046】
図2、
図3(b)に示したように、吐出ヘッダー管21の下流側は、消化槽本体1の底部の側壁部を囲むような、消化槽本体1の外径よりも少し大きな径のリング形状の管とされている。そして、このリング形状の管部分に分岐圧入管22a〜22gが接続されている。なお、吐出ヘッダー管21の径を小さくして、消化槽本体1内に吐出ヘッダー管21を設置してもよい。
【0047】
分岐圧入管22a〜22gは、消化槽本体1の底部を貫通するように設けられている。分岐圧入管22a〜22gのうちの分岐圧入管22a〜22fは、消化槽本体1の底部の外周に沿って等間隔で設けられている。一方、分岐圧入管22a〜22gのうちの分岐圧入管22g、1本は、消化槽本体1の底部中央に向かって延びるように設けられている。
【0048】
ここで、消化槽本体1内の底部の端部に配置された分岐圧入管22a〜22fの吐出口23a〜23fは、それぞれの吐出口23a〜23fからの液体の吐出方向が、消化槽本体1の底面(水平方向)に対して斜め上方であって、消化槽本体1の中央部(攪拌機2のインペラ2aが配置された部分)へ向かう方向とされている。なお、吐出口23a〜23fからの液体の吐出方向(吐出角度)は、上記した方向でなくてもよい。
【0049】
また、消化槽本体1内の底部中央に設けられた分岐圧入管22gの吐出口23gは、その吐出口23gからの液体の吐出方向が、消化槽本体1の天板部1aへ向かう方向とされている。当該吐出口23gからの液体の吐出方向も上記した方向でなくてもよい。
【0050】
なお、本実施形態では、消化槽本体1の底部の端部(端部外周)に計6本の分岐圧入管22a〜22fを配置するとともに、消化槽本体1の底部中央に向かって延びる分岐圧入管22g、1本を配置しているが、消化槽本体1の底部の端部(端部外周)のみに複数の分岐圧入管を配置してもよいし、消化槽本体1の底部中央に向かって延びる分岐圧入管22gのみを配置してもよい。分岐圧入管22a〜22fは消化槽本体1の底部の外周に沿って等間隔でなくてもよい。さらには、消化槽本体1の底部の端部(端部外周)に配置する分岐圧入管は1本であってもよい。
【0051】
なお、消化槽本体1の底部中央に向かって延びる分岐圧入管22gのみ(圧入管1本のみ)を配置する場合、この配管を「分岐圧入管」と呼ぶのは適切ではなく、単に「圧入管(圧入液管)」と呼ぶのが適切である。この場合、吐出ヘッダー管21は不要であり、圧入管(圧入液管)の一端が液体供給ポンプ27に接続される。圧入管(圧入液管)の吐出口である他端の位置およびそこからの吐出方向は、分岐圧入管22gの吐出口23gと同じである。
【0052】
<引抜装置>
本実施形態の引抜装置5は、引抜ポンプ19と、引抜ポンプ19に接続された引抜管31とで構成されている。引抜管31は、引抜ポンプ19に接続された吸込ヘッダー管24と、吸込ヘッダー管24に接続された複数の分岐吸込管25a〜25gとで構成されている。
【0053】
図2、
図3(a)に示したように、吸込ヘッダー管24の上流側は、消化槽本体1の底部の内側壁部に沿った、消化槽本体1の内径よりも少し小さな径のリング形状の管とされている。そして、このリング形状の管部分に分岐吸込管25a〜25gが接続されている。
【0054】
分岐吸込管25a〜25gのうちの分岐吸込管25a〜25fは、消化槽本体1の底部の内周に沿って等間隔で設けられており、それぞれの吸込口26a〜26fは下向きに開口している。すなわち、分岐吸込管25a〜25fの吸込口26a〜26fは、下向きに開口した態様で、消化槽本体1内の底部の側壁部に沿って等間隔で配置されている。
【0055】
一方、分岐吸込管25a〜25gのうちの分岐吸込管25g、1本は、消化槽本体1の底部中央に向かって延びるように吸込ヘッダー管24に接続されており、その吸込口26gは、消化槽本体1の底部中央で下向きに開口している。
【0056】
なお、本実施形態では、消化槽本体1の底部の内周に沿って計6本の分岐吸込管25a〜25fを配置するとともに、消化槽本体1の底部中央に向かって延びる分岐吸込管25g、1本を配置しているが、消化槽本体1の底部の内周に沿う部分のみに複数の分岐吸込管を配置してもよいし、消化槽本体1の底部中央に向かって延びる分岐吸込管のみを配置してもよい。分岐吸込管25a〜25fは消化槽本体1の底部の内周に沿って等間隔でなくてもよい。さらには、消化槽本体1の底部の内周に沿って配置する分岐吸込管は1本であってもよい。
【0057】
(消化槽本体の底部に溜まった堆積物の除去)
コントローラ6からの信号で液体供給ポンプ27を動作させ、消化槽本体1内の底部に分岐圧入管22a〜22gから液体を圧入する。消化槽本体1内の底部に溜まった堆積物Sは、液体供給ポンプ11からの液体が噴き付けられることで、消化槽本体1内の液相部に泳動する。泳動した堆積物Sは、コントローラ6からの信号で引抜ポンプ19を動作させることで分岐吸込管25a〜25gから吸い込まれ、槽外へ排出される。
【0058】
(作用・効果)
本実施形態では、消化槽本体1内の底部に液体を圧入することで当該底部に堆積した堆積物Sを泳動させ、泳動した堆積物Sを引抜装置5にて槽外へ排出する。この構成によると、消化槽本体1内の堆積物を泳動させることで、堆積物Sを効率良く、槽外へ排出することができる。これにより、消化槽本体1の有効容量が、堆積物の存在により減少することを防止できるので、汚泥の消化効率を維持することができる。
【0059】
なお、上記した実施形態では、液体供給ポンプ27、および引抜ポンプ19の運転操作を、コントローラ6による自動制御としているが、これらの運転操作を、すべてオペレータ(人)が行ってもよい。