特許第6027043号(P6027043)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6027043
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】タイヤ状態監視装置
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/04 20060101AFI20161107BHJP
   G01L 17/00 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   B60C23/04 N
   G01L17/00 301P
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-51451(P2014-51451)
(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公開番号】特開2015-174523(P2015-174523A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2015年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204033
【氏名又は名称】太平洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】新家 多佳朗
【審査官】 倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−256157(JP,A)
【文献】 特開2010−032408(JP,A)
【文献】 特開2004−331009(JP,A)
【文献】 特開2010−146297(JP,A)
【文献】 特開2003−252014(JP,A)
【文献】 特開2008−024180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/02、23/04
G01L 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた複数の車輪のタイヤの状態を監視するために、各車輪に設けられるタイヤセンサユニット、及び前記車両の車体に設置される受信機ユニットを備え、前記タイヤセンサユニットが、電池と、車輪と共に回転して加速度を検出する加速度センサと、前記タイヤの状態を検出する状態検出器と、制御部と、を有し、加速度センサによって得られた加速度に基づいてタイヤセンサユニットの車輪での角度を検出する位置検出と、該位置検出によりタイヤセンサユニットが予め設定された角度に位置したことが検出されると状態検出値を受信機ユニットに向けて送信する送信動作とを行うタイヤ状態監視装置において、
前記タイヤセンサユニットは、電池電圧を監視する監視部を備え、前記制御部は、前記位置検出の後の送信動作時に、前記監視部により監視された前記電池電圧が予め設定された閾値を下回ると位置検出を停止させ、送信動作のみを行わせることを特徴とするタイヤ状態監視装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記位置検出を停止させた後、前記電池電圧が予め設定された値を上回ると、前記位置検出を再開させる請求項1に記載のタイヤ状態監視装置。
【請求項3】
車両に設けられた複数の車輪のタイヤの状態を監視するために、各車輪に設けられるタイヤセンサユニット、及び前記車両の車体に設置される受信機ユニットを備え、前記タイヤセンサユニットが、電池と、車輪と共に回転して加速度を検出する加速度センサと、前記タイヤの状態を検出する状態検出器と、制御部と、を有し、加速度センサによって得られた加速度に基づいてタイヤセンサユニットの車輪での角度を検出する位置検出と、該位置検出により前記タイヤセンサユニットが予め設定された角度に位置したことが検出されると状態検出値を受信機ユニットに送信する送信動作とを行うタイヤ状態監視装置において、
前記タイヤセンサユニットは、電池の周囲温度を計測する温度検出器を備え、前記制御部は、前記電池の周囲温度が予め設定された温度より低くなると位置検出を停止させ、送信動作のみを行わせることを特徴とするタイヤ状態監視装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記位置検出を停止させた後、前記電池の周囲温度が予め設定された温度を上回ると、前記位置検出を再開させる請求項3に記載のタイヤ状態監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられた複数の車輪のタイヤの状態を監視するために、各車輪に設けられるタイヤセンサユニット、及び車両の車体に設置される受信機ユニットを備えるタイヤ状態監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に設けられた複数のタイヤの状態を運転者が車室内で確認できるようにするための装置として、無線方式のタイヤ状態監視装置が提案されている。一般に、タイヤ状態監視装置は、車両の車輪それぞれに装着される複数のタイヤセンサユニットと、車両の車体に搭載される受信機ユニットとを備えている。各タイヤセンサユニットは、電池を電源として備え、電池からの電力供給により圧力センサ等が動作し、タイヤ内の圧力等を検出する。さらに、各タイヤセンサユニットは、電池からの電力供給により、検出されたタイヤ状態を示すデータ信号を受信器ユニットに向けて無線送信する。一方、受信機ユニットは、各タイヤセンサユニットから送信されたデータ信号を受信して、タイヤの圧力等に関する情報を車室内に設けられた表示器に必要に応じて表示させる。
【0003】
また、タイヤ状態監視装置では、受信されたデータ信号が複数のタイヤセンサユニットのうちのどのタイヤに設けられたタイヤセンサユニットから送信されたものであるのかを、言い換えれば、受信されたデータ信号に関連する車輪の位置を、受信機ユニットにおいて特定するようになっている。
【0004】
この種のタイヤ状態監視装置としては、例えば、特許文献1が挙げられる。特許文献1において、車輪の各ホイールには第1のセンサ(タイヤセンサユニット)が設けられている。また、車輪に対応して第2のセンサ(ABS)が設けられている。また、特許文献1において、車両が備える測定システムは、第1のセンサからの信号を検出する受信器と、第2のセンサの信号の検出のための入力側モジュールを備えるとともにマイクロコントローラ及びメモリを備える。
【0005】
そして、特許文献1においては、第1のセンサは、予め設定された角度でホイールの位置を示す信号及びタイヤに関する情報を示す信号を送信するが、この送信動作は電池からの電力供給によって行われる。また、第1のセンサが信号を送信する位置は、第1のセンサが備え、かつ電池からの電力供給により動作する加速度センサによって検出される(位置検出)。受信器は第1のセンサが送信した信号を受信する。また、入力側モジュールは第2のセンサの信号を受信する。そして、マイクロコントローラは、第1のセンサの信号の位相位置を確定し、位相位置が所定の監視機関において所定の許容範囲内に留まっている場合に、第1のセンサが設けられた車輪の位置を特定するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2011−527971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1のように、電池からの電力供給で動作するタイヤセンサユニットにおいて、その電池の電力消費が進んで電池電圧が低下してくると、タイヤに関する情報を示す信号をタイヤセンサユニットから送信できなくなってしまい、タイヤ状態を受信機ユニットで把握できなくなってしまう。
【0008】
本発明の目的は、位置検出の機能を有するタイヤセンサユニットにおいて、電池電圧の低下時に位置検出を継続させる場合と比べて、より長い時間に渡り状態検出値の送信動作を維持することができるタイヤ状態監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するためのタイヤ状態監視装置は、車両に設けられた複数の車輪のタイヤの状態を監視するために、各車輪に設けられるタイヤセンサユニット、及び前記車両の車体に設置される受信機ユニットを備え、前記タイヤセンサユニットが、電池と、車輪と共に回転して加速度を検出する加速度センサと、前記タイヤの状態を検出する状態検出器と、制御部と、を有し、加速度センサによって得られた加速度に基づいてタイヤセンサユニットの車輪での角度を検出する位置検出と、該位置検出によりタイヤセンサユニットが予め設定された角度に位置したことが検出されると状態検出値を受信機ユニットに向けて送信する送信動作とを行うタイヤ状態監視装置において、前記タイヤセンサユニットは、電池電圧を監視する監視部を備え、前記制御部は、前記位置検出の後の送信動作時に、前記監視部により監視された前記電池電圧が予め設定された閾値を下回ると位置検出を停止させ、送信動作のみを行わせることを要旨とする。
【0010】
これによれば、監視部により監視された電池電圧が予め設定された閾値を下回ると、位置検出を停止させる。このため、該位置検出を行うことで生じる電池電圧の低下が無くなる。これにより、送信動作時は、電池電圧が最低動作電圧を下回らずに、状態検出器で検出した状態検出値を受信機ユニットに向けて送信可能となり、状態検出値の送信動作は維持できる。加えて、位置検出を行うための電力消費も無いため、位置検出の機能を有するタイヤセンサユニットにおいて電池の電力消費を抑えることができる。
【0011】
また、タイヤ状態監視装置について、前記制御部は、前記位置検出を停止させた後、前記電池電圧が予め設定された値を上回ると、前記位置検出を再開させてもよい。
請求項3に記載のタイヤ状態監視装置は、車両に設けられた複数の車輪のタイヤの状態を監視するために、各車輪に設けられるタイヤセンサユニット、及び前記車両の車体に設置される受信機ユニットを備え、前記タイヤセンサユニットが、電池と、車輪と共に回転して加速度を検出する加速度センサと、前記タイヤの状態を検出する状態検出器と、制御部と、を有し、加速度センサによって得られた加速度に基づいてタイヤセンサユニットの車輪での角度を検出する位置検出と、該位置検出により前記タイヤセンサユニットが予め設定された角度に位置したことが検出されると状態検出値を受信機ユニットに送信する送信動作とを行うタイヤ状態監視装置において、前記タイヤセンサユニットは、電池の周囲温度を計測する温度検出器を備え、前記制御部は、前記電池の周囲温度が予め設定された温度より低くなると位置検出を停止させ、送信動作のみを行わせることを要旨とする。
【0012】
これによれば、電池の周囲温度が低くなると、電池の最低動作電圧を確保しにくくなりやすい。この場合、位置検出を行わないため、該位置検出を行うことで生じる電池電圧の低下が無くなる。これにより、電池電圧が最低動作電圧を下回らずに、状態検出器で検出した状態検出値を受信機ユニットに向けて送信可能となり、該状態検出値の送信動作は維持できる。加えて、位置検出を行うための電力消費も無いため、位置検出の機能を有するタイヤセンサユニットにおいて電池の電力消費を抑えることができる。
【0013】
また、タイヤ状態監視装置について、前記制御部は、前記位置検出を停止させた後、前記電池の周囲温度が予め設定された温度を上回ると、前記位置検出を再開させてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、位置検出の機能を有するタイヤセンサユニットにおいて、電池電圧の低下時に位置検出を継続させる場合と比べて、より長い時間に渡り状態検出値の送信動作を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】タイヤ状態監視装置が搭載された車両を示す概略構成図。
図2】タイヤセンサユニットの回路構成を示すブロック図。
図3】電池の電圧と時間との関係を示すグラフ。
図4】電池容量と時間との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、タイヤ状態監視装置を具体化した一実施形態について、図1図4を用いて説明する。
図1に示すように、タイヤ状態監視装置は、車両1の4つの車輪2にそれぞれ取り付けられる4つのタイヤセンサユニット3と、車両1の車体に設置される受信機ユニット4とを備えている。各車輪2は、ホイール部5と、このホイール部5に装着されるタイヤ6とを含む。
【0017】
各タイヤセンサユニット3は、タイヤ6の内部空間に配置されるように、そのタイヤ6が装着されたホイール部5に対して取り付けられている。各タイヤセンサユニット3は、対応するタイヤ6の状態(タイヤ内圧力、タイヤ内温度)を検出して、検出されたタイヤ状態を示すデータを含む信号を無線送信する。また、各タイヤセンサユニット3は、車両1の外面側に位置するようにホイール部5に取付けられている。
【0018】
図2に示すように、各タイヤセンサユニット3は、状態検出器としての圧力センサ11、状態検出器及び温度検出器としての温度センサ12、加速度センサ13、監視部としての電圧センサ17、制御部としてのセンサユニットコントローラ14、及び、送信部としてのRF送信回路16を備えている。そして、圧力センサ11、温度センサ12、加速度センサ13、センサユニットコントローラ14、電圧センサ17、及びRF送信回路16は、それぞれ電池15からの電力供給によって動作する。圧力センサ11は、対応するタイヤ6内の圧力(タイヤ内圧力)を検出して、その検出によって得られた状態検出値としてのタイヤ内圧力データをセンサユニットコントローラ14に出力する。温度センサ12は、対応するタイヤ6内の温度(タイヤ内温度)を検出して、その検出によって得られた状態検出値としてのタイヤ内温度データをセンサユニットコントローラ14に出力する。
【0019】
加速度センサ13は、1軸の加速度センサであり、例えば、ピエゾ抵抗型や静電容量型の加速度センサとして周知のものである。加速度センサ13は、検出によって得られた加速度としての加速度データをセンサユニットコントローラ14に出力する。加速度センサ13は、一つの検出軸に沿った方向の加速度成分を検出可能な加速度センサが用いられる。電圧センサ17は、電池15の電圧を一定時間間隔おきに検出し、検出によって得られた検出値(電圧データ)をセンサユニットコントローラ14に出力する。
【0020】
センサユニットコントローラ14は、CPU及び記憶部14a(RAMやROM等)を含むマイクロコンピュータ等よりなり、記憶部14aには各タイヤセンサユニット3に固有の識別情報であるIDコードが登録されている。このIDコードは、各タイヤセンサユニット3を受信機ユニット4において識別するために使用される情報であり、センサユニットコントローラ14から送信される信号に含められる。センサユニットコントローラ14は、タイヤ内圧力データ、タイヤ内温度データ、加速度データ及びIDコードを含む信号を、RF送信回路16に出力する。RF送信回路16は、センサユニットコントローラ14からの信号を変調した変調信号を生成し、その変調信号を送信アンテナ18から無線送信する。
【0021】
図1に示すように、受信機ユニット4は、車体の所定箇所に設置され、例えば車両1のバッテリ(図示せず)からの電力によって動作する。受信機ユニット4は、車体の任意の箇所に配置された受信アンテナ32を備えており、各タイヤセンサユニット3から受信アンテナ32を通じて信号を受信して、その受信した信号を処理する。
【0022】
受信機ユニット4は、受信機ユニットコントローラ33を備えるとともに、受信部としてのRF受信回路35を備え、さらに、表示器38を備えている。受信機ユニットコントローラ33はCPU及び記憶部33a(ROMやRAM等)を含むマイクロコンピュータ等よりなり、受信機ユニット4の動作を統括的に制御する。RF受信回路35は、各タイヤセンサユニット3から受信アンテナ32を通じて受信された信号(変調信号)を復調して、受信機ユニットコントローラ33に送る。受信機ユニットコントローラ33は、RF受信回路35からの信号に基づき、発信元のタイヤセンサユニット3に対応するタイヤ6のタイヤ内圧力及びタイヤ内温度を把握する。
【0023】
さらには、受信機ユニットコントローラ33は、RF受信回路35からの信号に含まれるIDコードに基づき、発信元のタイヤセンサユニット3が、車両1のいずれの車輪2に設けられたものであるのかを判定する。そして、受信機ユニットコントローラ33は、判定された車輪2に関するタイヤ内圧力及びタイヤ内温度等を表示器38に表示させる。表示器38は、車室内等、車両1の搭乗者の視認範囲に配置される。
【0024】
次に、タイヤセンサユニット3における電池15の電力消費を抑える構成について説明する。
まず、タイヤセンサユニット3による送信動作について説明する。
【0025】
4つのタイヤセンサユニット3において、加速度センサ13は、一定時間間隔おきに加速度を検出し、検出した加速度データをセンサユニットコントローラ14に出力している。センサユニットコントローラ14は、加速度センサ13の検出した加速度に基づいて、タイヤセンサユニット3の車輪2での角度を検出する(位置検出)。タイヤセンサユニット3の角度を検出するのは、タイヤセンサユニット3が予め設定された角度に位置したとき、RF送信回路16から信号を送信させるためである。なお、4つのタイヤセンサユニット3においては、それぞれRF送信回路16から信号を送信させる角度は予め設定されており、その角度は4つのタイヤセンサユニット3で異なっている。
【0026】
そして、検出された加速度に基づき、タイヤセンサユニット3が予め設定された角度に位置したとセンサユニットコントローラ14が判定すると、該センサユニットコントローラ14は、RF送信回路16によってタイヤ内圧力データ、タイヤ内温度データ、加速度データ、及びIDコードを含む信号を受信機ユニット4に向けて送信させる。この送信動作は、受信機ユニット4での受信率を高めるために、1度の送信動作で送信されるデータに関して複数回行われる。
【0027】
図3に示すように、加速度センサ13を用いた位置検出が行われるたびに電池15では電池電圧の低下が生じている。また、RF送信回路16による送信動作のたびにも電池15では電池電圧の低下が生じている。なお、加速度センサ13による加速度の検出に比べて、RF送信回路16による送信動作時の方が電池電圧の低下が大きい。そして、電池電圧が低下してくると、電池15の起電力が低下するとともに、電池15の電圧も低下してくる。
【0028】
センサユニットコントローラ14の記憶部14aには、RF送信回路16からの送信動作の際に必要とされる電圧閾値1が予め記憶されている。この電圧閾値1は、RF送信回路16による送信動作が不安定になる電圧に余裕を持たせて設定されている。
【0029】
また、センサユニットコントローラ14の記憶部14aには、電圧閾値2が記憶され、この電圧閾値2は、電池15の最低動作電圧及び電圧閾値1よりも高く設定されている。さらに、センサユニットコントローラ14の記憶部14aには、電池15の最低動作電圧が確保しにくくなる温度閾値が予め記憶されている。この温度閾値は、該温度閾値を電池15の周囲温度が上回ると、電池15の起電力が上昇し、最低動作電圧を確保できると推定される温度である。また、センサユニットコントローラ14の記憶部14aには、電池15の電圧が電圧閾値1を下回ったときに、センサユニットコントローラ14によって実行されるプログラムが記憶されている。
【0030】
次に、電池15の電圧が電圧閾値1を下回ったときにセンサユニットコントローラ14によって実行される制御について作用とともに説明する。
各タイヤセンサユニット3において、電圧センサ17によって電池15の電圧が検出されている状態において、加速度センサ13によって加速度が複数回に亘って検出され、タイヤセンサユニット3の位置検出が行われる。このときは、電池電圧は電圧閾値1を下回っていない。そして、加速度センサ13の検出した加速度に基づき、タイヤセンサユニット3が予め設定された角度に位置したと判定されると、センサユニットコントローラ14は、RF送信回路16によって信号を受信機ユニット4に向けて複数回送信させる。すなわち、信号の送信動作が行われる。
【0031】
この送信動作の際に検出された電池電圧が電圧閾値1を下回ると、センサユニットコントローラ14は、今回の一連(3回)の送信動作後に行われる次回の送信動作については、位置検出を停止させる。よって、次回の送信動作では、位置検出に伴う電池電圧の低下が生じない。その結果、次回の送信動作の際には、前回の送信動作後に復帰した電圧から電池電圧の低下が生じることとなり、位置検出分の電圧低下が無いため、送信動作の際に電圧閾値1を下回らない。
【0032】
電池電圧が電圧閾値1を下回り、加速度センサ13による位置検出が停止された後、電圧センサ17によって検出された電池15の電圧が電圧閾値2を上回ると、センサユニットコントローラ14は、次回の送信動作の際には、位置検出を再開させる。
【0033】
図4に示すように、位置検出を停止させずに送信動作を行い続けた場合の電池容量の変化を実線に示す。一方、位置検出を停止させる制御を行った場合の電池容量の変化を一点鎖線に示す。一点鎖線に示すように、位置検出を停止させると、その停止後は位置検出に伴う電力消費が無くなり、送信動作に伴う電力消費だけとなる。このため、位置検出を停止させた場合は、電池15の電力消費のスピードが位置検出を行い続けた場合よりも遅くなり、電池容量の限界に到達するまでの時間を長引かせることが可能になる。
【0034】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)加速度センサ13の検出した加速度に基づいてタイヤセンサユニット3の車輪2での角度を検出(位置検出)し、設定された角度で送信動作を行うタイヤセンサユニット3において、送信動作の際に電池15の電池電圧が予め設定された電圧閾値1を下回ると位置検出を停止させるようにした。よって、位置検出に伴う電池電圧の低下が無くなることから、電池電圧の低下時に位置検出を継続させる場合と比べて、より長い時間に渡りタイヤ内圧力データ、及びタイヤ内温度データの送信動作を維持することができる。
【0035】
(2)送信動作では、受信機ユニット4での受信率を確保するため、複数回に亘って信号を送信している。電池電圧が電圧閾値1を下回った場合、位置検出を停止させるだけで送信回数を減らさないため、受信機ユニット4での各データの受信率は低下しない。
【0036】
なお、本実施形態は、以下のように変更してもよい。
○ 電池電圧を監視する監視部として、電圧センサ17を用いたが、監視部として、電圧センサ17の代わりに電流センサを設けて、電池15の電流を検出して電池電圧を監視するようにしてもよい。この場合の閾値は、電流に応じたものとなる。
【0037】
○ 実施形態において、電圧センサ17を設けず、温度センサ12の検出結果に基づき、電池15の周囲温度が予め設定された温度閾値を下回ったら、位置検出を停止させてもよい。なお、位置検出を停止させる温度閾値は、最低動作温度より高くてもよい。
【0038】
周囲温度が下がると電池電圧が低下し、電池15の最低動作電圧を確保しにくくなりやすい。この場合に位置検出を停止させることで、位置検出に伴う電池電圧の低下が無くなることから、電池電圧の低下時に位置検出を継続させる場合と比べて、より長い時間に渡りタイヤ内圧力データ、及びタイヤ内温度データの送信動作を維持することができる。
【0039】
そして、温度センサ12によって検出された電池15の周囲温度が予め設定された温度を上回ったら、加速度センサ13による位置検出を再開させてもよい。
○ 位置検出を停止させた状態で、電圧センサ17によって検出された電池電圧が予め設定された電圧閾値2を上回り、かつ温度センサ12で検出された周囲温度が予め設定された温度を上回ったら位置検出を再開させてもよい。
【0040】
○ 実施形態において、電池電圧が予め設定された電圧閾値1を下回ったら、次回の送信動作以降、位置検出は再開させなくてもよい。この場合は、位置検出を再開させる場合と比べて、電池容量の限界に到達するまでの時間をさらに長引かせることができる。
【0041】
○ 実施形態において、電圧センサ17を設けず、電池電圧が最低動作電圧より低くなって、RF送信回路16によって送信ができなくなり、タイヤセンサユニット3においてリセットが掛かったら、センサユニットコントローラ14は、次の位置検出を停止させてもよい。
【0042】
○ 送信動作において、RF送信回路16による信号の送信回数は1回でもよい。
○ 実施形態では、送信動作は、加速度センサ13で検出された加速度に基づき、予め設定された角度になると状態検出値を送信する方式としたが、加速度センサ13で検出された加速度の情報とともに状態検出値を送信し、受信機ユニット4で位置検出を行うようにしてもよい。
【0043】
○ 実施形態では、状態検出値をタイヤ内圧力データ及びタイヤ内温度データとしたが、これに限らず、状態検出値をタイヤ内圧力のみとしてもよい。又は、状態検出値をタイヤ内圧力データ及び他のデータとしてもよい。
【0044】
○ 実施形態では、加速度センサ13は、1軸の加速度センサであったが、2軸又は3軸の加速度センサであってもよい。
○ 送信部は、RF送信回路16ではなくLF送信回路であってもよい。
【0045】
○ タイヤ状態監視装置は、4つの車輪2を備えた車両1でなく、2つ又は3つの車輪2を備えた車両に適用してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0046】
(イ)前記信号の送信は複数回に亘って行われるタイヤ状態監視装置。
【符号の説明】
【0047】
1…車両、2…車輪、3…タイヤセンサユニット、4…受信機ユニット、6…タイヤ、11…状態検出器としての圧力センサ、12…状態検出器及び温度検出器としての温度センサ、13…加速度センサ、14…制御部としてのセンサユニットコントローラ、15…電池、17…監視部としての電圧センサ。
図1
図2
図3
図4