特許第6027085号(P6027085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6027085マルチアンテナまたはマルチビームを用いた無線送受信ユニット−無線送受信ユニット(WTRU−WTRU)干渉の緩和
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6027085
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】マルチアンテナまたはマルチビームを用いた無線送受信ユニット−無線送受信ユニット(WTRU−WTRU)干渉の緩和
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/10 20060101AFI20161107BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20161107BHJP
【FI】
   H04B7/10 A
   H04W88/02 140
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-261288(P2014-261288)
(22)【出願日】2014年12月24日
(62)【分割の表示】特願2013-117217(P2013-117217)の分割
【原出願日】2005年3月10日
(65)【公開番号】特開2015-57929(P2015-57929A)
(43)【公開日】2015年3月26日
【審査請求日】2015年1月23日
(31)【優先権主張番号】60/557,967
(32)【優先日】2004年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】11/025,252
(32)【優先日】2004年12月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596008622
【氏名又は名称】インターデイジタル テクノロジー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エルダッド ゼイラ
【審査官】 佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−018074(JP,A)
【文献】 特開2001−103018(JP,A)
【文献】 特開2003−283466(JP,A)
【文献】 特開2013−201772(JP,A)
【文献】 特開2012−217212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/10
H04W 88/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の周波数スペクトル送信を第1の無線送受信ユニット(WTRU)のアンテナアレイから受信するように構成された回路を備えた基地局であって、
前記第1の周波数スペクトル送信は、前記第1のWTRUによって作り出されたアンテナ重みを使用する第1の周波数スペクトルにおけるアップリンク信号の送信を備え、
前記第1の周波数スペクトル送信は、第2のWTRUに関連付けられた第2の周波数スペクトル送信の部分だけにスペクトル的に重なる、
基地局。
【請求項2】
前記作り出されたアンテナ重みは、前記第1の周波数スペクトル送信および前記第2の周波数スペクトル送信の間の干渉を減らす、請求項1の基地局。
【請求項3】
前記作り出されたアンテナ重みは、前記アップリンク信号の送信の信号対雑音比(SNR)を最大にする、請求項1の基地局。
【請求項4】
前記作り出されたアンテナ重みは、前記アップリンク信号の送信の信号対雑音および干渉比(SNIR)を最大にする、請求項1の基地局。
【請求項5】
前記アンテナアレイは2つのアンテナを含む、請求項1の基地局。
【請求項6】
前記アンテナアレイは4つのアンテナを含む、請求項1の基地局。
【請求項7】
前記回路は、前記第1のWTRUのアンテナパターンを最適化するために前記第1のWTRUによって絶えず監視される無線変化に基づいて、再計算されたアンテナ重みを受信するようにさらに構成される、請求項1の基地局。
【請求項8】
基地局で用いる方法であって、前記方法は、
第1の周波数スペクトル送信を第1の無線送受信ユニット(WTRU)のアンテナアレイから受信すること
を備え、
前記第1の周波数スペクトル送信は、前記第1のWTRUによって作り出されたアンテナ重みを使用する第1の周波数スペクトルにおけるアップリンク信号の送信を備え、
前記第1の周波数スペクトル送信は、第2のWTRUに関連付けられた第2の周波数スペクトル送信の部分だけにスペクトル的に重なる、
方法。
【請求項9】
前記作り出されたアンテナ重みは、前記第1の周波数スペクトル送信および前記第2の周波数スペクトル送信の間の干渉を減らす、請求項8の方法。
【請求項10】
前記作り出されたアンテナ重みは、前記アップリンク信号の送信の信号対雑音比(SNR)を最大にする、請求項8の方法。
【請求項11】
前記作り出されたアンテナ重みは、前記アップリンク信号の送信の信号対雑音および干渉比(SNIR)を最大にする、請求項8の方法。
【請求項12】
前記アンテナアレイは2つのアンテナを含む、請求項8の方法。
【請求項13】
前記アンテナアレイは4つのアンテナを含む、請求項8の方法。
【請求項14】
前記第1のWTRUのアンテナパターンを最適化するために前記第1のWTRUによって絶えず監視される無線変化に基づいて、再計算されたアンテナ重みを受信することをさらに備える、請求項8の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関する。より詳細には、本発明は、無線通信システムにおける無線送受信ユニット(WTRU:Wireless Transmit/Receive Unit)−無線送受信ユニット干渉を緩和することに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無線送受信ユニット(WTRU)は、通常、すべての方向において一様に送受信を行う単一の無指向性アンテナを備えている。しかしながら、このようなアンテナを利用すると、意図する以上に、WTRUのエネルギのほとんどが、様々な方向における送受信のために使用されるので、WTRUリソースが著しく浪費される。より重大なことに、近接するWTRUは、雑音のような干渉として、この浪費されるエネルギを受ける。このような干渉は、1つのWTRUのアップリンク(UL:UpLink)周波数が、別のWTRUのダウンリンク(DL:DownLink)周波数と同一であるか、または近い場合に、特に重大である。図1は、その概念を示している。
【0003】
図1は、無指向的に送信するWTRU102を示している。WTRU104は、無指向性ビーム112を受信する。この2つのWTRUは、物理的にも、スペクトル的にも近いので、WTRU104は、深刻なレベルの干渉およびパフォーマンス劣化を受ける。干渉を与えるWTRU102の干渉範囲110は、WTRU102固有の送信レベル、受信側WTRU104の感度、WTRU104のアンテナパターン、および、WTRU104の所望する信号のレベルによって決定される。WTRU104が受けるパフォーマンス劣化は、信号対干渉比(SIR:Signal-to-Interference Ratio)を低減させるので、WTRU104が受信する信号の信号対干渉および雑音比(signal-to-interference-plus-noise ratio)を低減させる。WTRU102が引き起こす干渉120が非常に深刻な場合、干渉120は、データ速度の低下、接続ロス、および/または、信号品質の劣化を招くことがある。この現象は、WTRU−WTRU干渉(移動局(MS:Mobile Station)−移動局干渉)として知られている。
【0004】
上述したように、無指向性アンテナを利用するWTRUは、近接するWTRUに対する不要な信号の送信を最小に抑えるようアンテナ利得を選択的に制御する技術を欠いている。同様に、このようなアンテナを利用すると、WTRUは、その他の近接するWTRUを含む望ましくないソースから発信される干渉信号の受信を防止しない。通常、所望の方向におけるアンテナ利得を最大にするコンポーネントおよび技術が、基地局だけに設けられていると同時に、基地局だけが、干渉を与えるデバイスの方向における信号の受信を制限する。
【0005】
したがって、これまでにも増して、所望の方向におけるアンテナ利得を最大にすることができる、および/または、MS−MS干渉を最小に抑えるために、所望の方向からの信号を選択的に受信することができるWTRUが望まれている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、無線通信システムにおけるWTRU−WTRU干渉を緩和する方法および装置に関する。WTRUのマルチアンテナ要素を使用して、WTRUのアンテナの受信利得を制御する。同様の制御を送信アンテナに適用して、近接するWTRUに対する発信を低減する。
【0007】
代替実施形態では、マルチアンテナ要素を使用して、予め定められた複数の固定されたアンテナビームを生成する。次いで、WTRUは、予め定められたビームのうち、近接するWTRUからの干渉を低減させる1つのビームを選択し、それに切り替える。近接するWTRUに送信するとき、引き起こされる干渉を低減するため、それと同一のビームパターンが使用される。
【0008】
さらなる代替実施形態では、WTRUは、アンテナアレイを備え、スペクトル配置(arrangement)情報を受信する。このスペクトル情報を利用すると、WTRUは、スペクトル的に近いWTRUを回避するよう送信を行う。代替として、WTRUは、高エネルギソースを探索する際に、送信周波数を走査する。次いで、WTRUは、あらゆる高エネルギソース(すなわち、近いソース)の送信方向を判定し、高エネルギソースの方向に送信することを回避するために、そのWTRU自身のアンテナ上で送信を行う。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】無指向的に送信して、近接する無線送受信ユニット(WTRU)に干渉を与えるWTRUを示す図である。
図2】適応アンテナアレイを備えたWTRUの受信器部分を例示する図である。
図3】適応アンテナアレイを利用するWTRUを例示する図である。
図4】互いが相互干渉の状態にある2つのWTRUを例示する図である。
図5】予め定められた生成されたビームを有する切り替え型ビームアンテナアレイを例示する図である。
図6】切り替え型ビームアンテナアレイを利用するWTRUを例示する図である。
図7】互いが非対称干渉の状態にある2つのWTRUを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図面とあわせて理解すべき例示する以下の好ましい実施形態の記載から、本発明をより詳細に理解することができよう。
【0011】
以下において、「無線送受信ユニット(WTRU)」という用語には、ユーザ端末(UE:User Equipment)、移動局、固定式もしくは移動式加入者ユニット、ページャ、または、無線環境において動作することができるその他の任意の種類のデバイスが含まれるが、これらに限定されるものではない。また、以下において、「基地局」と呼ぶときは、この用語には、ノードB、サイトコントローラ、アクセスポイント(AP:Access Point)、または、無線環境におけるその他の任意の種類のインタフェーシングデバイスが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0012】
以下の実施形態について、WTRU−WTRU干渉の観点から説明するが、本明細書で開示する技術は、基地局−基地局干渉(base station to base station interference)という状況においても適用可能である。例えば、第1のAPのダウンリンクが第2のAPのアップリンクに干渉を与えるAP−AP干渉のレベルは、本明細書で開示する技術を利用することにより、緩和することができる。
【0013】
さらに、以下において、主に2次元におけるビームについて説明するが、いくつかのビームは、様々なアジマスを有するよう、上下させることができる。
【0014】
第1の好ましい実施形態では、WTRU受信器において、適応アンテナ群、すなわち、適応アンテナアレイを用いて、近接するWTRUからの干渉を保護する。従来のWTRUが利用する単一のアンテナ(これは、ほとんど無指向性アンテナパターンを有するに等しい(図1参照))と違って、適応アンテナアレイは、現在の無線状況に適応させるように、リアルタイムで動的に調節されるアンテナパターンを生成することができる。アンテナアレイは、WTRUにおいて利用されると、その無線周波数(RF:Radio Frequency)環境を継続的にモニタリングする。詳細には、アンテナアレイは、サービス基地局から受信される信号と、受信されるあらゆる干渉とをモニタリングする。
【0015】
当該WTRUにおける単一の処理ユニットは、各アンテナ要素において受信される信号に乗算されるアンテナ重み(weight)を計算するためにも利用される。このアンテナ重みは、WTRUのビームパターンを生成するのに役立つ。アンテナアレイは、無線変化を絶えずモニタリングしているので、その単一の処理ユニットは、WTRUのアンテナパターンを最適化するために、アンテナ重みを継続的に再計算している。アンテナ重みは、1)信号対雑音比(SNR:Signal-to-Noise Ratio)もしくは信号対雑音および干渉比(SNIR:Signal to Noise plus Interference Ratio)を最大にするために、2)受信される干渉信号を最小に抑えるために、または、3)受信信号レベルを許容可能な一定値に維持しながら、受信される干渉を最小に抑えるために、計算される。以下において、これら3つの最適化の選択手段を、集合的に「3つの最適化選択手段(three optimization alternatives)」と呼ぶことにする。上記にて説明したWTRUの受信器部分の一実施形態を図2に示す。
【0016】
図2のアンテナ要素2021、2022および202Nを、直線状の構成になるように配置して、アンテナアレイ208を形成する。直線アンテナ、円形アンテナ、平面アンテナ、および、その他の任意の2次元または3次元アンテナ配置を利用して、アンテナアレイを形成することができる。アンテナアレイ208において受信される信号は、アンテナ2021、2022および202Nの位置によって異なり、また、受信信号に適用される適応複合重み(adaptive complex weight)w1、w2およびwNによって異なる。代替として、これらの複合重みの代わりに、適応遅延および利得の組合せを使用することもできる。これらの重みw1、w2およびwNを調節する任意の方法を利用して、上記にて説明した3つの最適化選択手段を実現することができる。例えば、適切に量子化された(quantized)重みのセット群から、適切なセットが見つかるまで、順にそれらセット群を試してみることができる。信号プロセッサ220は、決定されたアンテナ重みw1、w2およびwNを信号重み付けユニット(signal weighting unit)230に送信する。信号重み付けユニット230では、元々受信された信号2031、2032および203Nが、それぞれ、計算された重みw1、w2およびwNと組み合わされ、次いで、それら組み合わされた信号が結合されて、単一の重み信号231が生成される。
【0017】
このようにして適応アンテナを利用することによって、WTRUは、上記にて説明した3つの最適化選択手段のいずれも実現するよう、指向性ビームパターンを生成することができる。このような指向性ビームパターンを生成する際に、適応アンテナは、ヌルも生成する。ヌルは、単に低アンテナ利得の方向にすぎない。図3は、その概念を示している。WTRU302は、基地局330の方向にビームパターン320を向けるアンテナアレイ310を有するものとして示されている。アンテナアレイ310はまた、WTRU−WTRU(MS−MS)干渉ソースに近接する、WTRU304のおおよその方向に、ヌル321も向ける。この例では、ヌルビーム321は、WTRU304からアップリンク(UL)方向に送信される信号によって引き起こされる干渉を「なくす(null)」、または、最小に抑えるという効果を有する。
【0018】
第2の好ましい実施形態では、適応アンテナアレイを利用して、上記にて説明した3つの最適化選択手段のうちの1つを実現するよう、アンテナ重みを選択する。次いで、WTRUは、基地局に送信するために、選択した重みから導出されるアンテナ重みを利用する。導出される送信重みは、受信器用に生成されるビームの必須な位置および形状が保たれるよう選択されることに留意することが重要である。一例として、導出される送信アンテナ重みは、信号を受信するために選択したアンテナ重みと同一とすることができる。
【0019】
上記にて説明した導出されるアンテナ重みを伴う送信は、送信側WTRUが、近接するWTRUと相互干渉の状態にある場合に、特に有用である。例えば、第1のWTRUのUL周波数が、第2のWTRUのDL周波数と近いか、または同じであり、かつ、第1のWTRUのDL周波数が、第2のWTRUのUL周波数と近いか、または同じであるとき、WTRU群は、相互干渉の状態にあるとされる。例示のため、図4に、互いが相互干渉の状態にある2つのWTRU402および404を示す。WTRU404のUL周波数f1は、WTRU402のDL周波数f1’と非常に近い。同様に、WTRU402のUL周波数f3は、WTRU404のDL周波数f3’と非常に近い。したがって、WTRU402および404は、互いが相互干渉の状態にあり、この状態においては、一方が送信中のときに、両方のWTRUが、MS−MS干渉を受ける。
【0020】
時分割複信(TDD:Time Division Duplex)を利用する通信システムでは、両方のWTRUが、同一周波数上で信号を送受信する。整合されていない場合(in the absence of alignment)、このようなWTRU群は、相互干渉を受けることがある。例えば、2つのTDD WTRUに、異なる時間スロットまたは周波数が割り当てられ、かつ、それぞれの周波数が近い場合、これらWTRUは、相互干渉を受けることがある。または、例えば、2つのTDD WTRUに、異なる時間スロットまたは周波数が割り当てられ、かつ、これらのタイミングが整合されていない場合、これらWTRUは、相互干渉を受けることがある。または、例えば、2つのTDD WTRUに、異なる時間スロットまたは周波数が割り当てられ、かつ、それぞれの周波数が近く、かつ、これらのタイミングが整合されていない場合、これらWTRUは、相互干渉を受けることがある。
【0021】
第1の実施形態において上述したのと同一の方法により、本実施形態にしたがうWTRUは、アンテナ重みを利用して、上記にて定義した3つの最適化選択手段のうちの1つにしたがって、所望の信号の信号品質を最適化する。しかしながら、本実施形態では、WTRUは、UL方向に送信するために、選択した受信アンテナ重みからアンテナ重みを導出する。このような導出したアンテナ重みを利用して、指向性送信ビームを生成することによって、近接するWTRUに対して向けられるエネルギは低減され、近接するWTRUが、MS−MS干渉を受けることから保護するのに役立つ。
【0022】
第3の好ましい実施形態では、WTRU受信器において、切り替え型ビーム/切り替え型アンテナアレイ(SBSA:Switched-Beam/Switched Antenna array)を用いて、近接するWTRU(群)からの干渉を保護する。SBSAは、任意の所与の時間にサブセットが使用のために選択される予め定められた複数のビームか、または、予め定められたビーム位置のより大きなセットから、ビームのセットのいずれかを生成する。これらの生成したビームパターンのうちの1つは、無指向性ビームパターンとすることができることに留意されたい。これらの予め定められたビームパターンの一例を図5に示す。切り替え型ビーム/切り替え型アンテナアレイ510は、12の予め定められたアンテナビーム520および522を有するものとして示されている。ビーム520は、最高の信号品質を提供するビームであることを示すよう、強調表示されており、おそらくは、基地局(図示せず)の方向に向けられる。
【0023】
図5は、単に、SBSAの概念の一例を示すよう意図しているにすぎないことを理解されたい。本実施形態にしたがうSBSAシステムは、わずか2つの予め定められたアンテナビームしか有さなくてもよく、その2つのビームには、無指向性応答(omni-directional response)を有するビームが含まれ得る。SBSAが生成するアンテナビームの数が少なければ少ないほど、このビームの各々を、より幅広くする必要がある。ビーム幅およびビームの数は、デバイスの種類およびサイズを考慮することにより定められることが多い。
【0024】
本実施形態にしたがうと、WTRUの予め定められたビームの各々において、信号が測定される。次いで、これらのビームのうちの1つが、1)受信信号の信号対雑音および干渉比(SNIR)を最大にするために、2)近接するWTRUから受信されるエネルギを最小に抑えるために、または、3)所望する十分な信号レベルを維持しながら、近接するWTRUから受信されるエネルギを最小に抑えるために、選択される。次いで、切り替え機能により、これら固定されたビームパターンの中から選択された1つに切り替えられて、ダウンリンク方向において、所望の信号を受信する。状況に応じて、選択されるビームは、無指向性ビームとすることができる。近接するWTRUから受信される干渉エネルギの継続的な低減は、WTRUの信号環境に応じて、頻繁に予め定められたビームパターンを切り替えることによって、維持される。図6は、その概念を示している。
【0025】
WTRU602のアンテナアレイ610は、予め定められた複数のビーム620および622を生成している。ビーム622は、アクティブであり、かつ、基地局630の方向に向けられていることを示すよう、強調表示されている。したがって、これにより、近接するWTRU604に対する利得が低減される。
【0026】
上述した方法により切り替え型ビームアンテナを利用することによって、WTRUは、予め定められた複数のアンテナビームの中から選択することが可能となる。これらのビームのうちの1つを選択する際、近接するWTRUから受信される干渉は、図6に示したように、低減される。このような実装におけるさらなる利点は、これによって、帯域内干渉および帯域外干渉の両方が、同時に最小に抑えられることである。
【0027】
第4の好ましい実施形態では、WTRUにおいて、切り替え型ビームアンテナアレイを利用して、特にWTRU群が相互干渉の状態にある場合に、近接するWTRUが受けるMS−MS干渉を最小に抑える。前述したように、例えば、第1のWTRUのDL周波数が、第2のWTRUのUL周波数と近いと同時に、第2のWTRUのDL周波数が、第1のWTRUのUL周波数と近いとき、WTRU群は、相互干渉の状態にある(図4参照)。適切に整合されていない場合、TDD通信システムにおけるWTRU群は、相互干渉を受けることもある。
【0028】
第3の実施形態において上述したのと同一の方法により、WTRUは、1)SNIRを最大にするために、2)近接するWTRUから受信されるエネルギを最小に抑えるために、または、3)所望する十分な信号レベルを維持しながら、近接するWTRUから受信されるエネルギを最小に抑えるために、予め定められた複数の固定されたアンテナビームの中から選択的に切り替える。しかしながら、本実施形態では、WTRUは、選択したアンテナビームと同一のアンテナビームを利用して、UL方向に送信する。選択したビームは、望ましくないソースからの干渉エネルギを最小に抑えるので、この同一のビーム上で送信すると、近接するソースに向けられる不要なエネルギの送信を最小に抑えることになる。したがって、選択したビーム方向に送信することによって、近接するWTRUに対する干渉が、最小に抑えられる。
【0029】
第5の好ましい実施形態では、WTRUにおいて、スマートアンテナアレイを利用して、特にWTRU群が非対称干渉の状態にある場合に、近接するWTRU(群)が受けるMS−MS干渉を最小に抑える。以下において、「スマートアンテナ」という用語は、適応アンテナアレイまたは切り替え型ビーム/切り替え型アンテナアレイのいずれかを表すよう、使用される。本実施形態の目的上、第1のWTRUが、スペクトル的に近い第2のWTRUのDL受信に干渉を与える場合に、WTRU群は、非対称干渉の状態にあるとする。しかしながら、第2のWTRUのUL送信は、第1のWTRUのDL受信に干渉を与えない。図7は、その概念を示している。
【0030】
TDD WTRU702がUL周波数f1を有する通信システム700が示されている。FDDデバイスであるWTRU704は、WTRU702のUL周波数とスペクトル的に近いDL受信周波数を有するものとして、示されている。その結果、TDDデバイス702は、スペクトル的に近いFDDデバイス704のDL受信に干渉を与える。しかしながら、FDDデバイス704のUL送信周波数f3は、TDDデバイス702のDL周波数f1とスペクトル的に離れているので、この干渉は非対称である。WTRU702はTDDデバイスであるので、そのUL周波数およびDL周波数は、同一であることに留意されたい。
【0031】
図7に示したように、TDDデバイス702などのWTRUは、そのような干渉が生じていることを識別することなく、近接するWTRUに非対称に干渉を与えることがある。干渉を与えるWTRUの受信周波数が、影響を受けるWTRUのUL周波数とスペクトル的に離れているため、この情報の欠如が生じる。本実施形態では、干渉を与えるWTRUに追加の情報を提供することによって、そのような非対称干渉を最小に抑えることを提示する。非対称に干渉を与えるWTRU(図7のTDD WTRU702など)には、そのWTRUの信号環境におけるスペクトル配置が通知される。詳細には、その干渉を与えるWTRUには、DL周波数がその干渉を与えるWTRUのUL周波数に近いWTRUのUL周波数が、通知される。この情報は、干渉が与えられ得るその他のWTRUの存在に関して、その干渉を与えるWTRUに警告する。次いで、その干渉を与えるWTRUは、それらのUL周波数を走査して、WTRUの実際の位置を判定する。その干渉を与えるWTRUは、例えば、高エネルギ信号を探し出すことによって、WTRUの位置を判定することができる。UL方向における十分に高いエネルギレベルとは、WTRUが近接している可能性が高く、そのWTRUに干渉が与えられる可能性が高いことを意味する。次いで、その干渉を与えるWTRUは、近接するWTRU(群)に与える干渉を最小に抑えるために、例えば、本明細書で説明したいずれかの実施形態を利用することによって、適宜、自身のUL送信方向を調節する。
【0032】
代替として、干渉を与えるWTRUに、そのWTRUの信号環境におけるスペクトル配置に関して通知するのではなく、すなわち、WTRUの探索を制限するのではなく、その干渉を与えるWTRUは、可能なすべての周波数を走査してもよい。様々な実施形態のコンポーネントについて、別個のコンポーネントという観点から説明したが、それらコンポーネントは、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、マルチIC(Integrated Circuit)、別個のコンポーネント、または、別個のコンポーネントとIC(群)との組合せなどの信号集積回路上に設けることができる。
【0033】
同様に、本発明の特徴および要素を、好ましい実施形態における特定の組合せをもって、説明したが、各特徴または各要素は、(好ましい実施形態の他の特徴および要素なしで)単独で使用することもできるし、本発明の他の特徴および要素の有無に関係なく、様々な組合せをもって、使用することもできる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7