(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明者らは、驚くべきことに、そして予期せぬことに、狭い分子量分布、約15〜約35%の範囲の6より多い連続したスチレン単位のブロック中におけるスチレンの組み込み、及び、以下に記載の更なる特徴を備える、高スチレン高ビニルSSBRを発見した。いくつかの実施形態において、高スチレン、高ビニルSSBRは更に、約60〜約80重量%の範囲の、4より多い連続したスチレン単位のブロックにおけるスチレンの組み込みを有する。
【0011】
更に、本発明者らは、驚くべきことに、そして予期せぬことに、いくつかの実施形態において、以下の条件:スチレン含有量≧35重量%;カリウムアルコラート/活性開始剤のモル比≦0.4;及び重合温度≦90℃の下で、アルコラートと組み合わせて、開始剤(例えば、ブチルリチウム)及びジアルキルエーテル(例えば、2−(2−エトキシエトキシ)−2−メチルプロパン)を使用して、上述の高スチレン高ビニルSSBRを調製することが可能であることを、更に発見した。
【0012】
本明細書及び添付の特許請求の範囲全体において、以下の定義が理解されるべきである。
【0013】
用語「ポリマー」は、モノマー単位の重合により調製された物質を、広く意味する。本明細書において使用する用語「ポリマー」は、用語「ホモポリマー」(単一種のモノマーから調製された高分子物質)、「コポリマー」(二つの異なる種類のモノマーから調製された高分子物質)、「インターポリマー」(二つ以上の異なる種類のポリマーから調製された高分子物質)を包含する。
【0014】
語句「アルキル基」は、置換又は無置換の、直鎖状、分岐状又は環状の、好ましくは炭素数1〜20の炭化水素鎖を指す。本発明の教示に従って使用するための、無置換のアルキル基の代表例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、tertブチル、secブチル、シクロブチルなどを含むがそれらに限定されない。
【0015】
重合反応に関連して使用される用語「プロセス」は、バッチ、半バッチ及び/又は連続的プロセスを含む。
【0016】
重合反応に関連して使用される語句「バッチ」又は「半バッチ」は、60%以上の溶媒が、開始剤の充填による重合反応の開始前に、追加の重合反応成分と共に、反応器へ充填される、重合反応を指す。モノマーは、開始剤の追加前に一度に、部分的に開始剤の追加前に、部分的に開始剤の追加後に、又は、一定期間にわたる開始剤の追加後一度に連続的に、充填することが可能である。
【0017】
語句「連続的な重合反応」は、溶媒、モノマー(単数又は複数)及び、任意の追加の重合反応成分を、指定された容積比率で、反応器へ連続的に供給する、重合反応プロセスを指す。いくつかの実施形態において、直列に接続された二つ以上の重合反応器が使用されている。いくつかの実施形態において、試薬は、一つの反応器のみに供給される。
【0018】
語句「ビニル含有量」は、ポリマー鎖中に、1、2の位置に組み込まれたブタジエンの質量(又は重量)割合を指し、ポリマー中のブタジエン位置(重合されたブタジエンの総量)に基づく。
【0019】
語句「スチレン含有量」は、ポリマー中のスチレンの質量(又は重量)割合を指し、ポリマーの総重量に基づく。
【0020】
語句「ブロックスチレン含有量」は、ポリマー中の重合されたスチレンの総量に基づいて、スチレン単位の連続した配列として組み込まれたスチレンの重量割合を指す。
【0021】
用語「組成物」は、ポリマー物質及び、任意にポリマー物質から形成された反応生成物及び/又は、分解生成物を含む、物質混合物を指す。
【0022】
用語「活性な開始剤」(nBL.pm)は、重合反応に関与し、反応培地中に含まれる不純物によって不活性化されていない、開始剤(例えば、有機リチウム)のモル量を指す。用語「過剰量の開始剤」(nBL.pm)は、システム中の不純物を非活性にするために充填される、開始剤のモル量を指す。
【0023】
語句「供給されたモノマーの総量」は、典型的に、第一の連続重合反応器中で、連続重合反応器へ供給された、g/分でのスチレン及びブタジエンの総量を指す。
【0024】
語句「総モノマー変換率」は、最後の重合反応器について、及び/又は、重合反応の終了時に測定した、最終的なモノマー変換率(例えば、スチレン及びブタジエンの最終的な合計変換率)を指す。
【0025】
一般的な前置きとして、本発明の教示に従ったポリマーは、少なくとも以下の特徴を有する:(a)ポリマー中の総スチレン含有量に基づいて、約15〜約35重量%の6より多い連続的なスチレン単位を含む、ブロックスチレン含有量;(b)重合化された1,3−ブタジエン総量に基づいて、約25〜約80重量%のビニル含有量;(c)ポリマーの総量に基づいて約35〜約75重量%のスチレン含有量;及び(d)1.5以下の分子量分布。いくつかの実施形態において、本発明の教示に従ったポリマーはまた、少なくとも以下の追加の特徴を有する:(e)ポリマー中の総スチレン含有量に基づいて、約60〜約80重量%の4より多い連続的なスチレン単位を含む、ブロックスチレン含有量。
【0026】
いくつかの実施形態において、本発明の教示に従ったポリマーは、ポリマー中の総スチレン含有量に基づいて、約20〜約30重量%の6より多い連続的なスチレンを含む、ブロックスチレン含有量を有する。
【0027】
いくつかの実施形態において、本発明の教示に従ったポリマーは、約40〜約65重量%の全体的スチレン含有量、いくつかの実施液体において、約50〜約60重量%の全体的スチレン含有量を有する。
【0028】
いくつかの実施形態において、ポリマーは、バッチプロセスで生成され、いくつかの実施形態においてポリマーは連続的に生成される。現在好ましいのは、しかしながら、バッチプロセスである。本発明の教示に従ったポリマーは、約1.05〜約1.45などの1.5以下の分子量分布(Mw/Mn)を有し、いくつかの実施形態において、分子量分布は約1.1〜約1.4であり、いくつかの実施形態において、分子量分布は約1.2〜約1.35である。
【0029】
いくつかの実施形態において、ポリマーは、本発明の教示に従って、連続的プロセスで生成される。
【0030】
いくつかの実施形態において、本発明の教示に従ったポリマーは、約200,000g/mole以上の、数平均分子量を有し、いくつかの実施形態において、数平均分子量は、約300,000g/mol以上である。いくつかの実施形態において、数平均分子量は、約500,000g/mol以上である。
【0031】
いくつかの実施形態において、本発明の教示に従ったポリマーは、約300,000g/mole以上の重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態において、重量平均分子量は、約400,000g/mol以上である。いくつかの実施形態において、重量平均分子量は、約600,000g/mole以上である。
【0032】
上述の全ての実施形態は、現在好ましい実施形態の組み合わせを含む、任意の組み合わせで開示されるものとして理解されるべきである。
【0033】
更に一般的な前置きとして、本教示に従った、スチレンモノマー及び1、3−ブタジエンモノマーに由来するモノマー単位を含む、ポリマーの重合のためのプロセスは、開始剤、カリウムアルコラート及びジアルキルエーテルの存在下におけるモノマー単位の重合反応を含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、活性な開始剤に対するジアルキルエーテルのモル比は、約0.5以上である。いくつかの実施形態において、活性な開始剤に対するジアルキルエーテルのモル比は、約0.5〜約10である。
【0035】
いくつかの実施形態において、重合反応へ加えられるモノマー混合物のスチレン含有量は、加えられたモノマーの総量に基づいて、約35重量%以上である。
【0036】
いくつかの実施形態において、本発明の教示に従った重合は、約90℃未満の温度で実行される。いくつかの実施形態において、本発明の教示に従った重合は、約10℃〜約80℃の温度で実行される。
【0037】
本発明の教示に従った使用について、現在好ましい開始剤は、アニオン重合のために適切な開始剤を含む。いくつか実施形態において、本発明の教示に従った使用についての開始剤は、有機リチウム(例えば、アルキルリチウム)である。本発明の教示に従った使用のための代表的なアルキルリチウム剤は、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウムなど、及びそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない。いくつかの実施形態において、開始剤は、n−ブチルリチウムを含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、総モノマー変換率は、供給されたモノマーの総量に基づいて、約96重量%以上である。いくつかの実施形態において、総モノマー変換率は、約98重量%以上である。いくつかの実施形態において、総モノマー変換率は、約99重量%以上である。
【0039】
いくつかの実施形態において、本発明の教示に従ったポリマーは、重合化された1,3−ブタジエンの総量に基づいて、約25〜約80重量%のビニル含有量を有し、いくつかの実施形態において、ビニル含有量は、約30〜約75重量%である。
【0040】
本発明の教示に従ったプロセスのいくつかの実施形態において、カリウムアルコラートは、カリウム−3,7−ジメチル−3−オクチレートを含む。
【0041】
本発明の教示に従ったプロセスのいくつかの実施形態において、カリウムアルコラートに対するジアルキルエーテルのモル比は、約40:1〜約5:1である。
【0042】
本発明の教示に従ったプロセスは、本明細書に記載のポリマーの調製を可能にする。
【0043】
本発明の教示に従った重合は、現在好ましい炭化水素溶媒を用いて溶媒中で行われるのが現在好ましい。いくつかの実施形態において、重合反応溶媒は、アルカンを含む。いくつかの実施形態において、重合反応溶媒は、シクロヘキサンを含む。いくつかの実施形態において、重合反応溶媒は、一つ以上の追加のアルカンを含むシクロヘキサン混合物を含む。
【0044】
更に一般的な前置きとして、本発明の教示に従ったポリマーは、本明細書に記載された種類の方法によって形成されている。
【0045】
いくつかの実施形態において、本発明の教示に従ったリビングポリマーを、鎖末端修飾及び/又はカップリング反応により、化学的に修飾することができる。適切な鎖末端改質剤及び/又はカップリング剤を、対象の用途及び充填剤によって、選択することができる。代表的なカップリング剤は、四塩化スズ、四塩化ケイ素、ジビニルベンゼンなど、及びこれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない。
【0046】
代表的な改質剤は、欧州特許文献番号EP1016674号明細書に記載されるように、アミン、アミド、チオグリコール、シリコンアルコキシド、シラン−スルフィド改質剤、スルフェニルハライド、欧州特許文献番号EP0464478号明細書に記載されるように、ベンゾフェノンイソシアネート、ヒドロキシメルカプタン、欧州特許文献EP0334042号明細書に記載されるようにアシルアミド化合物など、及びそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない。追加の改質剤は、欧州特許文献番号EP548799号明細書、欧州特許文献番号EP510410号明細書、欧州特許文献番号第EP451604号明細書及び欧州特許文献番号EP180141フォウ明細書、及び、米国特許第4,412,041号明細書に記載されるようにアミン、アミド、イミド、及びニトリル改質剤を含むがそれらに限定されない。いくつかの実施形態において、シランは、例えば、欧州特許文献番号EP−A−299074号明細書、欧州特許文献番号EP−A−102045号明細書、欧州特許文献番号EP0447066号明細書及び欧州特許文献番号EP0692493号明細書に記載のように、シリカ充填剤において使用するためのポリマー鎖末端を改質するために使用される、エポキシ含有シランを含むがそれらに限定されない。追加の代表的な改質剤及び/又はそれらに言及している特許文献は、国際特許文献番号WO2009/34665号明細書に提供されている。
【0047】
更なる一般的な前置きにより、本発明の教示の特徴を具現化する組成物は、本明細書に記載された種類のポリマーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の教示による組成物は、更に、油などの添加剤を含む。いくつかの実施形態において、本発明の教示による組成物は、更に、ポリマーの重量に基づいて約5〜約40重量%の量の油を含む。いくつかの実施形態において、本発明の教示による組成物は、油を含んでいない。
【0048】
いくつかの実施形態において、本発明の教示による組成物は、本発明に記載の種類のポリマー及び少なくとも一つの添加剤を含む。いくつかの実施形態において、ポリマーは一つ以上の充填剤、加硫剤、及び/又は、任意に、促進剤、カップリング剤、未改質、未架橋エラストマー性ポリマー(即ち、変性剤と反応していないが、調製され終端されている、従来の未架橋エラストマー性ポリマー)など、及びそれらの組み合わせを含むが、これには限定されない一つ以上の添加剤と組み合わされる、及び/又は反応させる。
【0049】
いくつかの実施形態において、本発明の教示による組成物は、一つ以上の充填剤を含み、これは補強剤として機能する。適切な充填剤の代表的な例は、カーボンブラック、シリカ、カーボンシリカ二相充填剤、粘土、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなど、及びそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない。いくつかの実施形態において、カーボンブラック及びシリカ、カーボンシリカ二相充填剤の組み合わせ、又は、カーボンシリカ二相充填剤及びカーボンブラック及び/又はシリカの組み合わせが使用される。
【0050】
いくつかの実施形態において、カーボンブラックは、ファーネス法により製造され、約50〜約200m
2/gの窒素吸着比表面積、及び、約80〜約200ml/100gのDBP油(例えば、FEF、HAF、ISAF又は、SAFクラスカーボンブラック)を有する。いくつかの実施形態において、「高凝集型」カーボンブラックが使用される。いくつかの実施形態において、カーボンブラック又はシリカを、総ポリマーの100重量部について、約2〜約100重量部の量で加える。いくつかの実施形態において、カーボンブラック又はシリカを、約5〜約100重量部の量で加える。いくつかの実施形態において、カーボンブラック又はシリカを、約10〜約100重量部の量で加え、いくつかの実施形態において、カーボンブラック又はシリカを、約10〜約95重量部の量で加える。
【0051】
最終的に、更に一般的な前置きにより、本発明の教示の特徴を具現する品は、そのような組成物から形成される少なくとも一つの成分を含み、いくつかの実施形態において、品はタイヤである。
【0052】
以下の例及び代表的な手順は、本発明の教示による特徴を説明し、それらは単に例示としてのみ提供されている。それらは添付の特許請求の範囲又はそれらの均等物を制限することを意図するものではない。
【実施例】
【0053】
モノマー変換率は、重合反応の終わりに、ポリマー溶液の固形濃度を測定することによって決定した。最大固形含有量を、TSC最大=(mBd+mSt)/(mBd+mSt+m極性剤+mBL+mシクロヘキサン)×100%によって、最終的なポリマーについての、充填されたブタジエン(mBd)及びスチレン(mSt)の100重量%の変換率で得る。予想されたモノマー変換率に応じた、約1g〜約10gの範囲のポリマー溶液のサンプルを、反応器から直接的に、エタノール(50mL)で充填された200mLの三角フラスコ中へ引き抜いた。サンプリング前(「A」)及びサンプリング後(「B」)に、充填した三角フラスコの重量を測定した。沈殿したポリマーを加重濾紙(マイクロガラス繊維紙、φ90mm、MUNKTELL、重量「C」)によりエタノールから除去し、恒量に達するまで、水分アナライザHR73(Mettler−Toledo)を使用して140℃で乾燥させた。基準5を用いた。最終的に、第二の乾燥期間を、ペーパーフィルター上の乾燥サンプルの最終質量「D」を得るために、スイッチオフ基準4を用いて行った。サンプル中のポリマー含有量を、TSC=(D−C)/(B−A)×100%として算出した。最終的なモノマー変換率を、TSC/TSC最大×100として計算した。
【0054】
ポリマーの分子量及び分子量分布を、それぞれ、ポリスチレン標準に基づいて、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて測定した。それぞれのポリマーサンプル(9〜11mg)を、溶液を形成するためにテトラヒドフラン(10mL)中で溶解させた。溶液を、0.45μm濾紙を用いて濾過した。100μLのサンプルを、GPCカラム(3PLゲル10μmMIXED−Bカラムを含む、ヒューレッドパッカードシステム1100、40℃の温度)中へ供給した。分子量を分析するために、屈折率検出を検出器として使用した。分子量を、Polymer Laboratoriesから入手したEasiCal PS1(EasyA及びB)ポリスチレン標準を用いたキャリブレーションに基づいてポリスチレン換算した。数平均分子量(Mn)の数値及び、重量平均分子量(Mw)の数値を、ポリスチレン標準に基づいて与える。分子量分布を、分散D=Mw/Mnとして表す。
【0055】
ビニル及び総スチレン含有量を、ISO21561−2005に従い
1H−NMRを用い、NMR分光器BRUKER Avance(400MHz)及び、5mmのディアルプローブを用いて測定した。CDCl
3/TMSを、0.05%:99.95%の重量比で溶媒として用いた。6以上の連続的なスチレン単位を有するブラックスチレンの含有量を、6.7ppmよりも高く共振する、オルトPhプロトンシグナルの相対強度を用いて、Y. Tanaka et al.in Rubber Chemistry and Technology,1981,54,No.4.685−691により報告された方法に従って、決定した。4以上の連続的スチレン単位を有するブラックスチレン含有用を、6.94〜6ppmの範囲で共振する、オルトPhプロトンシグナルの相対強度を用いて、ドイツ特許文献番号DE69712962号明細書に記載の方法に従って決定した。4〜6の連続的単位を有するブラックスチレンの含有量を、上述のブラックスチレン含有量の両方の差から計算した。
7
【0056】
比較例1(K−3,7−ジメチル−3−オクチレート(以下KDMO又はK)(ヘキサン中50%))
【0057】
5376.55gの乾燥シクロヘキサンを、空気の無い窒素パージした10リットルのステンレス鋼反応器へ充填した。326.17gの1,3−ブタジエン、403.73gのスチレン、及び0.083mmolのK−3,7−ジメチル−3−オクチレート(ヘプタン中50%)を、反応器中へ供給した(K/活性ブチルリチウムmol/mol=0.076)。
【0058】
混合物を攪拌しながら50℃まで加熱した。システム内の不純物を、ブチルリチウムの段階的な添加により滴定した。終了点を認識し、重合を、1分19秒以内にポンプを介して、1.466mmolのn−ブチルリチウム(シクロヘキサン中15%溶液)を加えることによって開始した。次に、重合反応は開始した。反応器中の温度は、30分以内に65℃まで上昇した。反応は、停止剤としてメタノールを加えることによって200分後に終わらせた。イルガノックス1520を、酸化防止剤として導入した。
【0059】
サンプルを、固形含有量の決定のために、止めコック及び針を備えるサンプリングチューブによって、採取した。99.57%の変換率が測定された。
【0060】
得られたポリマーを、GPCにより分析した:Mn=533636、Mw=674699、D=1.264。微細構造及びスチレンブロック含有量を、
1H−NMRにより測定した。以下の結果が得られた:スチレン=55.2%、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエン分画により計算した)=12.3%、ブロックスチレン(>6連続的単位)=43%、及びブロックスチレン(>4連続的単位)=86%。
【0061】
比較例2(2−(2−エトキシエトキシ)−2−メチルプロパン(CMX)の使用)
【0062】
5366.99gの乾燥シクロヘキサンを、空気の無い窒素パージをした10リットルのステンレス鋼反応器へ充填した。325.97gの1,3−ブタジエン、403.32gのスチレン、及び、3.6712mmolのCMXを、反応器へ供給した(CMX/活性ブチルリチウムmol/mol=2.57)。
【0063】
混合物を攪拌しながら、50℃まで加熱した。システム中の不純物を、ブチルリチウムの段階的添加により滴定した。終了点を認識し、重合反応を、1分47秒以内にポンプを介して、総量1.429mmolのn−ブチルリチウム(シクロヘキサン中15%溶液)を加えることにより開始した。次に、重合を開始した。反応器中の温度は、30分以内に65℃まで上昇した。反応は、停止剤としてメタノールを加えることにより200分後に終了させ、イルガノックス1520を酸化防止剤として導入した。
【0064】
サンプルを、固形含有量の決定のために、止めコック及び針を備えるサンプリングチューブにより採取した。98.25%の変換率が測定された。
【0065】
得られたポリマーを、GPCにより分析した:Mn=587397、Mw=721914、D=1.229。微細構造及びスチレンブロック含有量を、
1H−NMRにより測定した。以下の結果が得られた:スチレン=55.2%、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエン分画により計算した)=42.2%、ブロックスチレン(>6連続的単位)=56%、及びブロックスチレン(>4連続的単位)=71%。
【0066】
実施例1(K−3,7−ジメチル−3−オクチレート(ヘキサン中50%)/CMXの使用)
【0067】
5342gの乾燥シクロヘキサンを、空気の無い窒素パージした10リットルのステンレス鋼反応器へ充填した。324.48gの1,3−ブタジエン、401.02gのスチレン、0.1208mmolのK−3,7−ジメチル−3−オクチレート(ヘプタン中50%)、及び、3.6644mmolのCMXを反応器中へ供給した(K/活性ブチルリチウムmol/mol=0.091、CMX/活性ブチルリチウム=2.8)。混合物を攪拌しながら50℃まで加熱した。システム中の不純物を、ブチルリチウムの段階的添加により滴定した。終了点を認識し、重合反応を、1分40秒以内にポンプを介して、総量1.3217mmolのn−ブチルリチウム(シクロヘキサン中15%溶液)を加えることにより開始した。次に、重合を開始した。反応器中の温度は、30分以内に65℃まで上昇した。反応は、停止剤としてメタノールを加えることにより150分後に終了させ、イルガノックス1520を酸化防止剤として導入した。サンプルを、固形含有量の決定のために、止めコック及び針を備えるサンプリングチューブにより採取した。99.63%の変換率が測定された。得られたポリマーをGPCにより分析した:Mn=601903、Mw=782317、D=1.3。微細構造及びスチレンブロック含有量を、
1H−NMRにより測定した。以下の結果が得られた:スチレン=55%、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエン分画により計算した)=43.3%、ブロックスチレン(>6連続的単位)=28%、及びブロックスチレン(>4連続的単位)=75%。
【0068】
実施例2(K−3,7−ジメチル−3−オクチレート(ヘキサン中50%)/CMXの使用)
【0069】
5606.74gの乾燥シクロヘキサンを、空気の無い窒素パージした10リットルのステンレス鋼反応器へ充填した。217.6gの1,3−ブタジエン、267.8gのスチレン、0.116mmolのK−3,7−ジメチル−3−オクチレート(ヘプタン中50%)、及び、3.467mmolのCMXを、反応器中へ供給した(K/活性ブチルリチウムmol/mol=0.0807、CMX/活性ブチルリチウム=3.467)。混合物を攪拌しながら50℃まで加熱した。システム内の不純物を、ブチルリチウムの段階的な添加により滴定した。終了点を認識し、重合反応を、50秒以内にポンプを介して、0.7mmolのn−ブチルリチウム(シクロヘキサン中15%溶液)を加えることによって開始した。次に、重合を開始した。反応器中の温度は、30分以内に65℃まで上昇した。反応は、停止剤としてメタノールを加えることによって120分後に終わらせた。イルガノックス1520を、酸化防止剤として導入した。サンプルを、固形含有量の決定のために、止めコック及び針を備えるサンプリングチューブによって、採取した。99.47%の変換率が測定された。得られたポリマーを、GPCにより分析した:Mn=606994、Mw=893869、D=1.47。微細構造及びスチレンブロック含有量を、
1H−NMRにより測定した。以下の結果が得られた:スチレン=53.9%、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエン分画により計算した)=35.5%、ブロックスチレン(>6連続的単位)=29%、及びブロックスチレン(>4連続的単位)=74%。
【0070】
実施例3(K−3,7−ジメチル−3−オクチレート(ヘキサン中50%)/CMXの使用)
【0071】
3568.29gの乾燥シクロヘキサンを、空気の無い窒素パージした10リットルのステンレス鋼反応器へ充填した。394.3gの1,3−ブタジエン、265.56gのスチレン、0.1103mmolのK−3,7−ジメチル−3−オクチレート(ヘプタン中50%)、及び、3.3014mmolのCMXを、反応器中へ供給した(K/活性ブチルリチウムmol/mol=0.097、CMX/活性ブチルリチウム=2.917)。混合物を攪拌しながら70℃まで加熱した。システム内の不純物を、ブチルリチウムの段階的な添加により滴定した。終了点を認識し、重合反応を、1分50秒以内にポンプを介して、1.1316mmolのn−ブチルリチウム(シクロヘキサン中15%溶液)を加えることによって開始した。次に、重合反応は開始した。反応器中の温度は、反応の間70℃に一定に維持した。反応は、停止剤としてメタノールを加えることによって140分後に終わらせた。イルガノックス1520を、酸化防止剤として導入した。サンプルを、固形含有量の決定のために、止めコック及び針を備えるサンプリングチューブによって、採取した。99.71%の変換率が測定された。得られたポリマーを、GPCにより分析した:Mn=632055、Mw=913472、D=1.445。微細構造及びスチレンブロック含有量を、
1H−NMRにより測定した。以下の結果が得られた:スチレン=39.6%、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエン分画により計算した)=30.4%、ブロックスチレン(>6連続的単位)=20%、及びブロックスチレン(>4連続的単位)=64%。
【0072】
実施例4(K−3,7−ジメチル−3−オクチレート(ヘキサン中50%)/CMXの使用)
【0073】
5874.43gの乾燥シクロヘキサンを、空気の無い窒素パージした10リットルのステンレス鋼反応器へ充填した。394.4gの1,3−ブタジエン、267.72gのスチレン、0.1091mmolのK−3,7−ジメチル−3−オクチレート(ヘプタン中50%)、及び、3.3336mmolのCMXを、反応器中へ供給した(K/活性ブチルリチウムmol/mol=0.082、CMX/活性ブチルリチウム=2.516)。混合物を攪拌しながら50℃まで加熱した。システム内の不純物を、ブチルリチウムの段階的な添加により滴定した。終了点を認識し、重合を、1分10秒以内にポンプを介して、1.325mmolのn−ブチルリチウム(シクロヘキサン中15%溶液)を加えることによって開始した。次に、重合は開始した。反応器中の温度は、反応の間50℃に一定に維持した。反応は、停止剤としてメタノールを加えることによって210分後に終わらせた。イルガノックス1520を、酸化防止剤として導入した。サンプルを、固形含有量の決定のために、止めコック及び針を備えるサンプリングチューブによって、採取した。98.24%の変換率が測定された。得られたポリマーを、GPCにより分析した:Mn=561807、Mw=676793、D=1.2055。微細構造及びスチレンブロック含有量を、
1H−NMRにより測定した。以下の結果が得られた:スチレン=39.9%、ビニル(1,2−ポリブタジエン、ブタジエン分画により計算した)=44%、ブロックスチレン(>6連続的単位)=21%、及びブロックスチレン(>4連続的単位)=65%。
【0074】
実施例及び比較例は、本教示は、全体的に高いスチレン含有率、所望のビニル含有量及び狭い分子量分布と組み合わせて、四つ以上の連続したスチレン単位を含む、画定された対象スチレン含有量を、スチレンジエン共重合体に提供することを実証した。本教示によるプロセスを使用することにより、本明細書に記載の新規且つ本発明のポリマーは、講習率で氷樹運的な重合反応技術を用いて、重合することができる。本明細書に開示の全てのポリマーの特徴は、上述のような末端封止、カップリングなどのいかなる後続の修飾の前に存在している。狭い分子量分布を有するポリマーを提供するために、本教示の達成をすることにより、重合の末端においてリビング鎖末端を大量に得ることが可能であり、そのため、均一な鎖末端修飾が可能である。
【0075】
本明細書から任意の矛盾した開示又は定義が発生した場合に、本明細書における開示又は定義が勝るものとみなすことを除き、上記で引用した特許及び非特許文献の一つ一つの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
前述の詳細な説明は、説明及び例示のために提供されており、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。本明細書に示された、現在好ましい実施形態における多くの変化形は、当業者には明らかであろうし、添付の特許請求書の範囲及びその均等物の範囲内にある。