(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6027117
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】エンプティGREパケットを用いた3GLTEのイントラEUTRANハンドオーバ制御
(51)【国際特許分類】
H04W 36/02 20090101AFI20161107BHJP
H04W 36/12 20090101ALI20161107BHJP
【FI】
H04W36/02
H04W36/12
【請求項の数】16
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-529093(P2014-529093)
(86)(22)【出願日】2012年8月7日
(65)【公表番号】特表2014-528207(P2014-528207A)
(43)【公表日】2014年10月23日
(86)【国際出願番号】IB2012054029
(87)【国際公開番号】WO2013034997
(87)【国際公開日】20130314
【審査請求日】2015年7月7日
(31)【優先権主張番号】13/227,182
(32)【優先日】2011年9月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100128587
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 一騎
(72)【発明者】
【氏名】ジェスワル、スラジ
(72)【発明者】
【氏名】ウェン、レンフア
【審査官】
望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/069985(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0111041(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソースサービングゲートウェイ(SGW)により実装される、ソースSGWからターゲットSGWへのサービングゲートウェイ機能の再配置に関与するイントラE−UTRANハンドオーバの期間中のユーザ機器(UE)へのセッションについてのデータパケットの順序通りのデリバリを保証する方法であって、前記ソースSGWは、コアネットワークノードとの間で、制御プレーンについてプロキシモバイルIPv6(PMIP)を、ユーザプレーンについて汎用ルーティングカプセル化(GRE)を使用し、
前記コアネットワークノードから、UEセッションに関連付けられる1つ以上のデータパケットを受信することと、
前記コアネットワークノードから、前記UEセッションに関連付けられる前記データパケットの末端を示すエンプティGREパケットを受信することと、
前記エンプティGREパケットに応答して、前記UEセッションの各ベアラについてエンドマーカパケットを生成することと、
先に前記データパケットを、続けて前記エンドマーカパケットを、ソースeNodeBへ送信することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記コアネットワークノードは、パケットデータネットワークゲートウェイ(PGW)ノードである、請求項1の方法。
【請求項3】
前記エンドマーカパケットは、GPRSトンネリングプロトコルユーザデータ(GTP−U)プロトコル メッセージタイプ254を含む、請求項1の方法。
【請求項4】
前記ソースeNodeBから前記データパケット及びエンドマーカパケットを受信することと、
前記データパケットに続けて前記エンドマーカパケットを、前記ターゲットSGWへ送信することと、
をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項5】
前記データパケットに続けて前記エンドマーカパケットをターゲットSGWへ送信することは、前記データパケット及びエンドマーカパケットを前記ターゲットSGWへGTP−Uトンネル上で送信すること、を含む、請求項4の方法。
【請求項6】
イントラE−UTRANハンドオーバの期間中にソースeNodeBへセッションについてのデータパケットをデリバリするように動作可能なソースサービングゲートウェイ(SGW)であって、前記ソースSGWは、コアネットワークノードとの間で、制御プレーンについてプロキシモバイルIPv6(PMIP)を、ユーザプレーンについて汎用ルーティングカプセル化(GRE)を使用し、
前記コアネットワークノードから、前記セッションに関連付けられる1つ以上のデータパケットを受信し、及び、前記コアネットワークノードから、前記セッションに関連付けられる前記データパケットの末端を示すエンプティGREパケットを受信する、ように動作可能な受信器と、
前記セッションに関連付けられる前記データパケットをソースeNodeBへ送信するように動作可能な送信器と、
前記送信器に動作可能に結合され、前記エンプティGREパケットに応答して、前記送信器を制御して、前記セッションの各ベアラについてのエンドマーカパケットを前記ソースeNodeBへ送信させる、ように動作可能なパケットルータ、を含む制御ユニットと、
を備えるソースSGW。
【請求項7】
前記コアネットワークノードは、パケットデータネットワークゲートウェイ(PGW)ノードである、請求項6のソースSGW。
【請求項8】
前記エンドマーカパケットは、GPRSトンネリングプロトコルユーザデータ(GTP−U)プロトコル メッセージタイプ254を含む、請求項6のソースSGW。
【請求項9】
前記受信器は、前記ソースeNodeBから1つ以上のデータパケット及びエンドマーカパケットを受信する、ようにさらに動作可能である、請求項6のソースSGW。
【請求項10】
前記パケットルータは、前記送信器を制御して、前記ソースeNodeBから受信される前記データパケット及びエンドマーカパケットをターゲットSGWへ送信させる、ようにさらに動作可能である、請求項9のソースSGW。
【請求項11】
パケットデータネットワークゲートウェイ(PGW)により実装される、ソースサービングゲートウェイ(SGW)からターゲットSGWへのSGWの再配置に関与するイントラEUTRANハンドオーバの期間中のユーザ機器(UE)へのセッションについてのダウンリンクデータパケットを送信する方法であって、前記ソースSGWは、コアネットワークノードとの間で、制御プレーンについてプロキシモバイルIPv6(PMIP)を、ユーザプレーンについて汎用ルーティングカプセル化(GRE)を使用し、
前記セッションに関連付けられる1つ以上のデータパケットを前記ソースSGWへ送信することと、
前記UEのハンドオーバの標識を受信することと、
前記セッションに関連付けられる前記データパケットの末端を示す1つ以上のエンプティGREパケットを前記ソースSGWへ送信して、前記ソースSGWに前記セッションの各ベアラについてエンドマーカパケットを生成させることと、
前記セッションに関連付けられる1つ以上のデータパケットをターゲットSGWへ送信することと、
を含む方法。
【請求項12】
前記セッションに関連付けられる前記データパケットの末端を示す1つ以上のエンプティGREパケットを前記ソースSGWへ送信することは、前記セッションに関連付けられる前記データパケットの末端を示す3つまでのエンプティGREパケットを前記ソースSGWへ送信すること、を含む、請求項11の方法。
【請求項13】
前記エンプティGREパケットは、各送信の間の遅延を増加させながら送信される、請求項12の方法。
【請求項14】
ソースサービングゲートウェイ(SGW)からターゲットSGWへのSGWの再配置に関与するイントラEUTRANハンドオーバの期間中のユーザ機器(UE)へのセッションについてのデータパケットをデリバリするように動作可能なパケットデータネットワークゲートウェイ(PGW)であって、前記ソースSGWは、コアネットワークノードとの間で、制御プレーンについてプロキシモバイルIPv6(PMIP)を、ユーザプレーンについて汎用ルーティングカプセル化(GRE)を使用し、
前記セッションに関連付けられる1つ以上のデータパケットをソースSGWへ送信し、前記セッションに関連付けられる前記データパケットの末端を示す1つ以上のエンプティGREパケットを前記ソースSGWへ送信して前記ソースSGWに前記セッションの各ベアラについてエンドマーカパケットを生成させ、及び、前記セッションに関連付けられる1つ以上のデータパケットをターゲットSGWへ送信する、ように動作可能な送信器と、
前記送信器に結合され、前記UEのハンドオーバの標識の受信に応答して、前記送信器を制御して、前記エンプティGREパケットを前記ソースSGWへ及び前記セッションに関連付けられるデータパケットを前記ターゲットSGWへ送信させる、ように動作可能なパケットルータ、を含む制御ユニットと、
を備えるPGW。
【請求項15】
前記パケットルータは、前記UEのハンドオーバの標識の受信に応答して、前記送信器を制御して、3つまでのエンプティGREパケットを前記ソースSGWへ送信させる、ようにさらに動作可能である、請求項14のPGW。
【請求項16】
前記パケットルータは、前記送信器を制御して、前記エンプティGREパケットを各送信の間の遅延を増加させながら送信させる、ようにさらに動作可能である、請求項15のPGW。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここで開示される発明は、一般に、サービングゲートウェイの再配置(relocation)に関与するユーザ機器のイントラEUTRANハンドオーバに関し、具体的には、エンプティGRE(Generic Routing Encapsulation)パケットをエンドマーカをトリガするために用いてハンドオーバ期間中のデータパケットの順序通りのデリバリ(in-order delivery)を保証することに関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP:3
rd Generation Partnership Project)は、3G LTE(Long Term Evolution)ネットワークを含む第3世代(3G:3
rd Generation)ネットワークを監督し及び管理する。3G LTEは、当該3G LTEネットワーク内のユーザ機器(UE:User Equipment)に、他のネットワークで一般的に利用可能なものよりも高いデータレートでモバイルブロードバンドを提供する。例えば、3G LTE、E−UTRAN(Evolved Universal Mobile Telecommunication System (UMTS) Terrestrial Radio Access Network)のためのエアインタフェースは、マルチアンテナ及びマルチユーザコーディング技法を利用して、数百Mbpsのダウンリンクデータレート及び数十Mbpsのアップリンクデータレートを達成する。
【0003】
LTE E−UTRANにおいて、ユーザモビリティは、UEからの支援を用いてネットワークによって制御される。ハンドオーバの決定、並びに(適用できる場合は)ターゲットセル及び技術(technology)の選択は、その時点のサービングeNodeB(Evolved Node Base Station)によって、当該eNodeBによって行われる測定結果に基づいて、及びUEによってeNodeBへレポートされる測定結果に基づいて、なされる。E−UTRANの性質に起因して、ハンドオーバに続いてスケジューリングされた送信が発生する前にバッファリングされるパケットの数は、無視できないことがあり得る。そのため、適用可能である場合、ソースノードからターゲットノードへのハンドオーバ期間中のパケットロスを制限するために、ハンドオーバ前の“ソース”ノード(例えば、eNodeB)とハンドオーバ後の“ターゲット”ノード(eNodeB、又は無線アクセスがE−UTRANから2G/3Gへ変化する場合には無線ネットワークコントローラ(RNC))との間でパケット転送メカニズムが使用され得る。
【0004】
LTE E−UTRANは、ソースeNodeBからターゲットeNodeBへのハンドオーバ期間中のパケットロスを低減するめに、複数のインタフェースを提供する。X2インタフェースは、2つのeNodeBの間の直接的な転送パスを提供する。X2インタフェース上のユーザプレーンのプロトコルスタックは、GPRSトンネリングプロトコルユーザデータ(GTP−U)トンネリングを使用する。X2インタフェースはオプションであって、所与のソースeNodeBとターゲットeNodeBとの間では利用可能でないかもしれない。この場合、ソースeNodeBとソースサービングゲートウェイ(SGW)との間のS1−Uインタフェース上で、ソースSGWとターゲットSGWとの間のネットワーク接続性を通じ、及びターゲットSGWからターゲットeNodeBへのS1−U上に、間接的な転送パスが存在する。X2と同様、S1−Uインタフェース上のユーザプレーンは、GTP−Uを使用する。ソース及びターゲットSGWの間のネットワーク接続性は、S5(非ローミング)又はS8(ローミング)インタフェース上でのSGWへの接続を伴うパケットデータネットワークゲートウェイ(PGW)といったネットワークノードを介し得る。
【0005】
データが直接的な転送パスを介して転送されるか間接的な転送パスを介して転送されるかに関わらず、ターゲットeNodeBは、ソースeNodeBからの転送されたハンドオーバ前のデータパケットと共に、コアネットワーク(例えば、PGW)からのハンドオーバ後のデータパケットを受信する。転送パスにおける遅延は、ターゲットeNodeBがデータパケットを誤った順序で(out of order)受信しそしてUEへデリバリすることを、引き起こしかねない。
【0006】
3GPP仕様(例えば、TS36.300及びTS23.401)は、転送されるパケットの末端(end)を記述するGTP−U“エンドマーカ”(ここでは“エンドマーカパケット”あるいは単に“エンドマーカ”というGTP−Uメッセージ タイプ254)を定義している。GTP−U“エンドマーカ”は、例えばソースeNodeBからターゲットeNodeBへのハンドオーバにおいて、双方が同じSGWによりアンカリングされる場合に、誤った順序でのデリバリを防止する。GTP−Uエンドマーカの仕組みは、S5/S8インタフェースがGTP−Uプロトコルと共に実装される場合には、S5/S8インタフェースをまたいで使用されることもあり得る。しかしながら、いくつかのネットワークでは、S5/S8インタフェースは、制御プレーンについてプロキシモバイルIPv6(PMIP)に、ユーザプレーンについて汎用ルーティングカプセル化(GRE)に基づく。PMIP−GREプロトコルについては、エンドマーカの仕組みは定義されていない。従って、少なくともS5/S8インタフェースがPMIP−GREを使用する場面でのSGW再配置を伴うイントラEUTRANハンドオーバにおいて、ターゲットeNodeBは、UEへ誤った順序でデータパケットをデリバリするかもしれない。
【0007】
この問題への1つのあり得る解決策は、各データパケットのヘッダ内にシーケンス番号を挿入することであろう。そうしたシーケンス番号はターゲットeNodeBがUEへデータパケットを送信するための正確な順序を判定することを可能とする一方で、そうしたシーケンス番号の使用は、望ましくないこととして、各データパケットの送信に関連付けられるオーバヘッド及び信号処理を増加させるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここで開示される本発明の実施形態は、SGWの再配置に関与するイントラEUTRANハンドオーバの期間中のUEへのセッションについてのデータパケットの順序通りのデリバリを保証するために、1つ以上のエンプティGREパケットを使用する。具体的には、ハンドオーバを完了させる一部として、PGWが、ハンドオーバ前のデータパケットの末端を示すエンプティGREパケットを、UEのPDNセッションごとにソースSGWへ送信する。当該データパケットは、ソースeNodeBからターゲットeNodeBへ転送されるはずのものである。エンプティGREパケットの受信後に、ソースSGWは、PDN接続(UEセッション)の各ベアラについて1つ以上のエンドマーカパケットを生成し、それをソースeNodeBへ送信する。ソースeNodeBは、バッファリングされていてUEにはデリバリされていないハンドオーバ前のデータパケットと、それに続けてエンドマーカパケットを、直接的に(X2インタフェース)又は間接的に(ソース及びターゲットSGWの間のGTP−Uトンネル)、ターゲットeNodeBへ転送する。そして、ターゲットSGWは、転送されたデータパケット、エンドマーカパケット及びPGWから受信されたハンドオーバ後のネットワークパケットを、ターゲットeNodeBへ転送する。ターゲットeNodeBは、全てのデータパケットを、エンドマーカパケットに依拠して、順序通りにUEへデリバリすることができる。
【0009】
PGW及びソースSGWは、協調して、ここで説明されるSGWの再配置を伴うイントラEUTRANハンドオーバを実装する。ハンドオーバの指示の受信後に、PGWは、当該PGWによってソースSGWへ送信中のデータパケットの末端を示す1つ以上のエンプティGREパケットをソースSGWへ送信する。PGWは、UEの各PDNセッションについて1つ以上のエンプティGREパケットを送信する。続いて、PGWは、直接的にターゲットSGWへ当該セッションについての1つ以上のデータパケットを送信し、ハンドオーバ後のデータパケットは、ソースSGWへ送信されたハンドオーバ前のデータパケットに対して相対的に、シーケンシャルに順序付けられる。
【0010】
ソースSGWは、データパケットをソースeNodeBへ送信する。エンプティGREパケットの受信に応じて、ソースSGWは、エンドマーカパケットを生成してソースeNodeBへ送信する。セッションが複数のベアラストリームを含む場合、ソースSGWは、当該セッションについてのエンプティGREパケットの受信後に、各ベアラストリームについてエンドマーカパケットを送信する。エンドマーカパケットは、当該セッションについての転送されるパケット群の末端(あるいは、エンドマーカパケットがベアラごとである場合にはベアラについての転送されるパケット群の末端)をターゲットeNodeBへ示す。ソースeNodeBは、データパケット及びエンドマーカパケットを、ターゲットeNodeBへ、直接的に(X2)又は間接的に(ソース及びターゲットSGWの間のGTP−Uトンネル)転送し得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】3G LTE無線通信ネットワークの関連するノードの機能ブロック図である。
【
図2】従来技術のハンドオーバ処理を示す呼シグナリング図である。
【
図3】エンプティGREパケットを用いてエンドマーカパケットを生成するハンドオーバ処理を示す呼シグナリング図である。
【
図4】パケットデータネットワークゲートウェイの関連する部分の機能ブロック図である。
【
図5】
図4のパケットデータネットワークゲートウェイにより実装されるようなイントラEUTRANハンドオーバの例示的な方法を示すフロー図である。
【
図6】ソースサービングゲートウェイの関連する部分の機能ブロック図である。
【
図7】
図6のソースサービングゲートウェイにより実装されるようなイントラEUTRANハンドオーバの例示的な方法を示すフロー図である。
【
図8】SGWの再配置を伴うハンドオーバについての直接データパケット転送を示す、
図1のLTEネットワークの関連する部分の機能ブロック図である。
【
図9】SGWの再配置を伴うハンドオーバについての間接データパケット転送を示す、
図1のLTEネットワークの関連する部分の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで開示される本発明の実施形態は、SGWの再配置に関与するイントラE−UTRANハンドオーバの期間中のUEへのセッションについてのデータパケットの順序通りのデリバリを保証するために、エンプティGREパケットを使用する。具体的には、PGWは、データパケット群の末端をソースSGWに示すように、ソースSGWへエンプティGREパケットを送信する。そして、PGWは、ターゲットSGWへデータパケット群を送信する。エンプティGREパケットの受信に応答して、ソースSGWは、ソースeNodeBへエンドマーカパケットを送信し、当該エンドマーカパケットは(ソースeNodeBにおいてバッファリングされている全てのデータパケットに続いて)ターゲットeNodeBへ転送される。転送は、直接的であってもよく(X2インタフェース)、又は間接的であってもよい(ソースeNodeB及びソースSGW、並びにターゲットSGW及びターゲットeNodeBの間のGTP−Uトンネル)。エンドマーカパケットは、ターゲットeNodeBがUEへデータパケットを順序通りに送信することを可能とする。
【0013】
図1は、EPC(Evolved Packet Core)12及びE−UTRAN(Evolved-UMTS Terrestrial Access Network)14を含む3G LTE無線ネットワーク10を示している。E−UTRAN14は、ソースeNodeB(Evolved Node Base Station)16からターゲットeNodeB18へハンドオーバ中のユーザ機器(UE)20(このケースでは、セルラーフォン又は“スマートフォン”といった移動端末)を含む。eNodeB16、18は、ネットワーク10へのUEの接続性のためのアクセスポイントである。eNodeB16、18は、3G/UMTSネットワークにおける基地局と同様であるが、レイヤ1及びレイヤ2の機能性を有することに加えてレイヤ3の機能性をも有し、それにより、3G/2Gネットワークにおいて基地局がするようにコントローラを介するよりもむしろ、ネットワークのコアへ直接的に接続することができる。
【0014】
EPC12は、パケットデータネットワークゲートウェイ(PGW)40を含み、PGW40は、インターネットなどのパケットデータネットワーク24にインタフェースし、並びに、S5/S8PMIP−GREインタフェースを介してソースサービングゲートウェイ(SGW)60及びターゲットSGW28へ接続される。各SGW60、28に関連付けられるのは、移動性管理エンティティ(MME)26、30である。SGW60、28は、E−UTRANアクセスネットワーク14へのパケットデータインタフェースの終端点である。UE20がE−UTRAN14内でeNodeB16、18をまたいで移動すると、SGW60、28は、イントラE−UTRANモビリティと共に他の3GPP技術とのモビリティのために、UE20に向けてパケットをルーティングするローカルモビリティアンカーポイントとしてサービスする。MME26、30は、加入者及びセッション管理に関する制御プレーン機能を担当する。PCRF(Policy Charging and Rules Function)ノード、AAA(Authentication, Authorization and Accounting)ノードなどといった他のEPC12のノードは、明瞭さのために
図1には示されていない。
【0015】
図1に示したEPC12は、ローミングシナリオ及び非ローミングシナリオの双方へ適用され、PGW40とSGW60、28との間のS5インタフェースは非ローミングシナリオに、PGW40とSGW60、28との間のS8インタフェースはローミングシナリオに適用される。
【0016】
ハンドオーバ動作の期間中に、PGW40は、S5(非ローミング)又はS8(ローミング)インタフェースを介して、サービングSGW60及びターゲットSGW28へ順に、セッションのためのデータパケットを供給する。いずれのケースでも、S5/S8上のプロトコルは、プロキシモバイルIPv6(制御プレーン)及び汎用ルーティングカプセル化(ユーザプレーン)、あるいはPMIP−GREを含み得る。SGW60、28は、GPRSトンネリングプロトコルユーザデータ(GTP−U)というトンネリングプロトコルを用いて、S1−Uインタフェースを介して、E−UTRAN14のそれぞれのeNodeB16、18へデータパケットをルーティングする。
図1に示す他のインタフェースは、本発明の実施形態に密接には関係しない。
【0017】
WCDMAネットワークと異なり、3G LTEでは、ソフトハンドオーバのサポートは無い。各ハンドオーバにおいて、ユーザプレーンパケットを含むユーザコンテキスト及び制御プレーンコンテキストは、ハンドオーバ前のあるいは“ソース”であるeNodeB16から、ハンドオーバ後のあるいは“ターゲット”であるeNodeB18へ、再配置されなければならない。E−UTRANモビリティは、ハンドオーバ期間中のパケットのロスを低減するために、“メイクビフォーブレイク(make-before-break)”アプローチを使用する。
【0018】
そのハンドオーバ処理は、ハンドオーバ準備(handover preparation)、ハンドオーバ実行(handover execution)及びハンドオーバ完了(handover completion)という、3つの特徴的なフェーズを有する。ハンドオーバ準備フェーズでは、UE20の情報がターゲットネットワークに登録され、UE20がターゲットeNodeB18へのシグナリングを開始する前に、適切なコンテキスト情報がターゲットネットワークへ移管される。ハンドオーバ実行フェーズは、UE20がソースeNodeB16からターゲットeNodeB18へスイッチングすることを要する。これは、L1/L2アクセス手続を包含し、“無線中断時間(Radio Interruption Time)”として知られる平均で10〜30msが掛かるものと推定される。UE20は、この時間の間、システムへの無線接続性を有しないために(ソースeNodeB16から切断されたもののターゲットeNodeB18への接続が完了していない)、データパケットを受信できない。ハンドオーバ完了フェーズは、コアネットワーク12内でハンドオーバを完了させる。
【0019】
ソースeNodeB16は、UE20が到達不能であってターゲットeNodeB18へのアタッチを確認されていない期間について、データパケットをバッファリングする。ターゲットネットワークへのUE20のアタッチの確認(confirmation)の後、ソースeNodeB16は、バッファリングされているデータパケットの転送を開始する。ソースeNodeB16は、EPSベアラのうちのいずれをソースeNodeB16からターゲットeNodeB18へのデータ転送の対象とすべきかを決定する。コアネットワーク12は、ソースeNodeB16によりなされた決定を変更しない。
【0020】
ハンドオーバの期間中にエンドユーザにより経験されるサービス品質は、UE20がシステム14に接続していない無線中断時間(又はデタッチ時間);転送が利用不能である場合に破棄されるダウンリンクデータの量、又は転送が利用可能である場合に転送されるパケットの遅延;ターゲットeNodeB18へのネットワークパス及び転送パスの間の遅延差;及び、破棄されるアップリンク(UL)パケットの量、により影響を受ける。
【0021】
図2は、当分野において知られているような、同じSGW60、28においてアンカリングされるeNodeBの間のX2ベースのイントラEUTRANハンドオーバのための呼シグナリングを示している。イントラEUTRANハンドオーバは、X2ベース又はS1−Uインタフェースベースであり得る。X2ベースのハンドオーバでは、EPC12は、ハンドオーバ準備フェーズに関与しない。即ち、準備メッセージは、eNodeB16、18の間で直接的に交換される(例えば、
図2におけるメッセージ5及び6)。ソースeNodeB16及びターゲットeNodeB18は、ハンドオーバについての決定を行う。また、ハンドオーバ実行フェーズの期間中に、X2インタフェース上でソースeNodeB16からターゲットeNodeB18へパケットが直接的に転送される。
【0022】
データ転送をX2インタフェース上で実行することができない場合、S1−Uベースのハンドオーバが使用される。S1−Uベースのハンドオーバには、ハンドオーバ準備フェーズの期間中にEPC12が関与する。S1−Uハンドオーバは、ターゲットeNodeB18へのX2接続性が無いこと、不成功に終わったX2ベースのハンドオーバの後のターゲットeNodeB18からのエラー標識、若しくは、ソースeNodeB16により取得される動的な情報によって、又は、MME26、30の機能性が再配置されなければならない場合に、トリガされることができる。パケットは、ターゲットeNodeB18へ、X2インタフェース上で直接的に転送されるか、又はソースSGW60及びターゲットSGW28を介して間接的に転送されることができる。
【0023】
いずれのケース(即ち、X2ベースかS1−Uインタフェースベースのハンドオーバ)でも、本発明の実施形態に従って、イントラEUTRANハンドオーバがSGWの再配置を含む場合に、PGW40は、エンプティGREパケットを用いてソースSGW60によるエンドマーカパケットの生成をトリガすることで、ターゲットeNodeB18によるパケットの順序通りのデリバリを保証する。
【0024】
SGWが再配置される(即ち、ソースSGW60からターゲットSGW28へ)場合、トンネルのスイッチングが行われる場所はPGW40であり、一方で再配置されたセッションをターゲットSGW28がアンカリングする。ターゲットSGW28は、トンネルのスイッチングの時期(epoch)、及びS5/S8インタフェースがPMIP−GREベースである場合の(ソースSGW60上の)ダウンリンクGREキーの知識を有しない。従って、PGW40が、ユーザプレーンパケットの送信の末端をソースSGW60へシグナリングするための最良のアンカーポイントである。
【0025】
1つの実施形態において、プロキシバインディング更新(PROXY BINDING UPDATE)の受信後に、PGW40は、当該プロキシバインディング更新メッセージにおいて受信された新たな情報で、UEコンテキストを更新することになる。これは、ターゲットSGW28に向けたセッションのための新たなダウンリンクGREキーを含む。ソースSGW60に向けた現行のダウリンクGREキーをターゲットSGW28に向けた新たなダウンリンクGREキーで上書きすることによりユーザプレーントンネルのスイッチングを実行する前に、PGW40は、UEセッションのための1つ以上のエンプティGREパケットをソースSGW60に向けて送信することになる。エンプティGREパケットの受信後に、ソースSGW60は、1つ以上のエンドマーカパケットを、UEセッションのベアラごと生成し及び送信する。
【0026】
ここで使用されるように、エンプティGREパケットは、データペイロードの無いGREパケットを意味する。エンプティGREパケットをデータの末端のインジケータとして送信することにより、新たなプロトコルの定義を要することがなく、本発明の実施形態を、配備されたネットワーク10内のものを含む標準的な機器上で実装し得る。通常の状況下でのPGW40はデータペイロードの無いGREパケット(これは、恩恵の無い純粋なオーバヘッドを表し、よって限られたネットワークリソースの浪費である)を決して送信しないであろうことから、ソースSGW60にとっての誤検出(“false positive”)の標識のリスクは、事実上ゼロである。
【0027】
潜在的に破棄されるパケットという既知の問題は、PGW40が各PDNセッションについて複数の、即ち最大で3つまでのエンプティGREパケットを送信することによって、ガードされ得る。1つの実施形態において、エンプティGREパケットは、送信の間の遅延を増加させながら送信される。最初のエンプティGREパケットと共に後続のエンプティGREパケット、よってエンドマーカパケットは、ハンドオーバ前の全てのデータパケットの後に送信されるため、“ハンドオーバ前のデータの末端”の標識における冗長性は、ターゲットeNodeB18におけるパケットの順序の維持に対して有害ではない。ここでの議論では、簡明さのために、UEのPDNセッションごとのエンプティGREパケット及びベアラストリームごとのエンドマーカパケットは1つのみであるものとする。
【0028】
エンプティGREパケットの使用が
図3に例示されている。ステップ18aにおいて、PGW40のユーザプレーンは、トンネルをターゲットSGW28に向けてスイッチングする前に、ソースSGW60上のリモートGREトンネルエンドポイントへUEの各セッションについてエンプティGREパケットを送信する。PGW40は、ターゲットSGW28上のリモートGREトンネルに向けたセッションのスイッチングの直前に、当該セッションのための最後のパケットとして、S5/S8インタフェース上でエンプティGREパケットを送信するであろう。
【0029】
ステップ18bにおいて、UEセッションのためのエンプティGREパケットの受信後に、ソースSGW60は、データ転送の対象である各ベアラについて、エンドマーカGTP−Uパケットを、ソースeNodeB16に向けてS1−Uインタフェース上で送信するであろう(ソースSGW60は、PGW40からセッションのために受信される各エンプティGREパケットについてベアラごとにエンドマーカの送信を繰り返すであろう)。
【0030】
ステップ18cについて2つの代替手段が示されている。ハンドオーバがX2ベースであれば、ソースeNodeB16は、GTP−Uエンドマーカパケットを受信し、そしてそれを(全てのユーザペイロードデータパケットの転送後に)X2インタフェース上でターゲットeNodeB18へ転送する。代替的に、ハンドオーバがS1−Uベースであれば、直接的な転送パスは利用不能であり、ソースeNodeB16は、間接的なGTPトンネル上でソースSGW16へデータパケット及びエンドマーカパケットを返送し、そしてソースSGW60はデータ及びエンドマーカをGTPトンネル上でターゲットSGW28へ転送し、ターゲットSGW28はデータ及びエンドマーカをS1−U GTPトンネル上でターゲットeNodeB18へ転送する。すると、ターゲットeNodeB18は、(エンドマーカに依拠して)適切な順序でパケットの全てをUE20へデリバリする。
【0031】
図4及び
図5は、それぞれ、PGW40及びPGW40により実装される方法50の視点から、SGWの再配置を含むイントラEUTRANハンドオーバの動作を説明している。PGW40は、送信器42と制御ユニット44とを備える。送信器42は、まず、3GPPプロトコルに従って、セッションのためのデータパケット、例えばGREデータパケットをソースSGW60へ送信する(ブロック52)。制御ユニット44は、概してPGW40の動作を制御し、ハンドオーバの前、途中及び後のパケットの送信を制御するためのパケットルータ46を含む。より具体的には、送信器42がソースSGW60へ最後のGREデータパケットを送信した後に、パケットルータ46は、送信器42を制御して、データパケットの末端を示すエンプティGREパケットを、当該セッションのためにソースSGW60へ送信させる(ブロック54)。
【0032】
エンプティGREパケットがソースSGW60へ送信された後、パケットルータ46は、送信器42を制御して、当該セッションのためのデータパケット、例えばGREデータパケットを、ターゲットSGW28へ送信させる(ブロック56)。ターゲットSGW28へ送信されるデータパケットは、ソースSGW60へ送信されたデータパケットに対して相対的に、シーケンシャルに順序付けられる。
【0033】
制御ユニット44(及び、そのためパケットルータ46)は、専用のステートマシン、適切なファームウェアを伴うプログラマブルロジック、マイクロプロセッサ又はDSP(Digitial Signal Processor)といった汎用コントローラ上で実行される適切なソフトウェアモジュール、又はそれら技術の任意の組合せを含んでよい。ソフトウェア実装は、メモリ又は他のマシン読取可能な媒体(図示せず)内に記憶され得る。パケットデータネットワーク24へのインタフェースといったPGW40の他のエレメントは、明瞭さのために省略されている。
【0034】
図6及び
図7は、それぞれ、ソースSGW60及びソースSGW60により実装される方法70の視点から、ハンドオーバの動作を説明している。ソースSGW60は、受信器62、制御ユニット64及び送信器68を備える。受信器62は、PGW40から、セッションについてのデータパケット、例えばGREデータパケットを受信する。制御ユニット64は、当該GREデータパケットを、ソースeNodeB16への送信のために、例えばGTPデータパケットへと変換するように動作可能である。制御ユニット64はパケットルータ66を含み、パケットルータ66は、受信された(及び、必要であればプロトコル変換された)データパケットを、ソースeNodeB16への送信のために送信器68へ差し向けるように構成される(ブロック72)。
【0035】
ハンドオーバの期間中、受信器62は、当該セッションのためのエンプティGREパケットをも受信する(ブロック74)。制御ユニット64は、受信されたエンプティGREパケットへの応答として、当該セッションの各ベアラについてエンドマーカパケット(GTP−U メッセージタイプ254)を生成し(ブロック76)、当該エンドマーカパケットをソースeNodeB16へ送信する(ブロック78)。ソースSGW60によるハンドオーバ手続へのさらなる参加は、ソースeNodeB16がターゲットeNodeB18へ直接的な転送パスを有しているか又は間接的な転送パスを有しているかに依存して、終了し又は継続する。
【0036】
ソースeNodeB16がターゲットeNodeB18へ直接的な転送パス(例えば、それら2つの間のX2インタフェース)を有する場合、ソースeNodeB16は、ターゲットeNodeB18へ、UE20が切断した後にバッファリングされたデータパケットを、続けてエンドマーカパケットを転送する。ターゲットeNodeB18は、UE20がアタッチした場合に、転送されたデータパケットをUE20へ送信する。ターゲットeNodeB18は、エンドマーカパケットを受信すると、それぞれのデータストリームごとに、ターゲットSGW28から受信されるデータパケットのUE20への送信を開始する。このようにして、ターゲットeNodeB18は、全てのデータパケットをUE20へ順序通りにデリバリする。
【0037】
ソースeNodeB16がターゲットeNodeB18へ直接的な転送パスを有しない場合、ソースeNodeB16は、UE20がその接続をブレイクした後に、エンドマーカパケットを含む受信されたデータパケットを、ソースSGW60へ返送する(即ち、間接的な転送パスに沿って)。
【0038】
返送されたデータパケットのソースeNodeB16からの受信に応答して、パケットルータ66は、送信器68を制御して、ターゲットSGW28へ、データパケットを、続けてエンドマーカパケットを転送させる。そして、ターゲットSGW28は、データパケット及びエンドマーカパケットをターゲットeNodeB18へ転送する。また、ターゲットeNodeB18は、EPC12(例えば、PGW40)からハンドオーバ後のデータパケットを受信する。ソースSGW60から受信されるエンドマーカパケットを使用することにより、ターゲットeNodeB18は、全てのハンドオーバ前及び後のパケットをUE20へ適切な順序で送信し得る。
【0039】
制御ユニット64(及び、そのためパケットルータ66)は、専用のステートマシン、適切なファームウェアを伴うプログラマブルロジック、マイクロプロセッサ又はDSP(Digitial Signal Processor)といった汎用コントローラ上で実行される適切なソフトウェアモジュール、又はそれら技術の任意の組合せを含んでよい。ソフトウェア実装は、メモリ又は他のマシン読取可能な媒体(図示せず)内に記憶され得る。ソースSGW60の他のエレメントは、明瞭さのために省略されている。
【0040】
図8は、本発明の実施形態に係る、ソースeNodeB16からターゲットeNodeB18への直接的な転送パスが存在する場合のSGWの再配置を伴うインターEUTRANハンドオーバを示している。まず、PGW40は、S5/S8GREトンネルを介してソースSGW60へ、ユーザペイロードパケットa、b及びcを送信する。ハンドオーバに際して、PGW40は、ソースSGW60へのデータパケットの送信を終了させる。最後のデータパケット(データパケットc)の送信後に、PGW40は、各UEセッションについてエンプティGREパケットを生成し及び送信する。
図8における例は、1つのUEセッションと共に、単一のベアラ及び1つのエンプティGREパケットを示している。ソースSGW60は、ユーザペイロードパケットa、b及びcをS1−U GTPトンネルを介してソースeNodeB16へ送信する。エンプティGREパケットに応答して、ソースSGW60は、エンドマーカパケットを生成しソースeNodeB16へ送信する。
【0041】
ソースeNodeB16は既にUE20から切断しているため、ソースeNodeB16は、X2インタフェース上でターゲットeNodeB18へ、データパケットa、b及びcに続けてエンドマーカパケットを転送する。
【0042】
ハンドオーバ後に、PGW40は、S5/S8GREトンネルを介してターゲットSGW28へ、データパケットd、e及びfを差し向ける。そして、ターゲットSGW28は、当該パケットd、e及びfをターゲットeNodeB18へ転送する。ターゲットeNodeB18は、転送されたデータパケットa、b及びcを新たにアタッチしたUE20へ転送する。エンドマーカパケットに応答して、ターゲットeNodeB18は、ハンドオーバ後のデータパケットd、e及びfを送信する。そのため、UE20は、ターゲットeNodeB18から全てのデータパケットを適切な順序で受信する。
【0043】
図9は、本発明の実施形態に係る、ソースeNodeB16からターゲットeNodeB18への直接的な転送パスが存在しない場合のSGWの再配置を伴うインターEUTRANハンドオーバを示している。まず、上述したように、PGW40は、S5/S8GREトンネルを介してソースSGW60へ、ユーザペイロードパケットa、b及びcを、続けてUEセッションのためのエンプティGREパケットを送信する。ソースSGW60は、ユーザペイロードパケットa、b及びcをS1−U GTPトンネルを介してソースeNodeB16へ送信する。エンプティGREパケットに応答して、ソースSGW60は、UEセッションの各ベアラについて、エンドマーカパケットを生成しソースeNodeB16へ送信する。
【0044】
ソースeNodeB16は既にUE20から切断しており、ターゲットeNodeB18への直接的な転送パスを有しないため、ソースeNodeB16は、間接的なGTPトンネルを介してソースSGW60へ、ユーザペイロードパケットa、b及びcに続けてエンドマーカパケットを返送する。そして、ソースSGW60は、データパケットa、b及びc並びにエンドマーカパケットを、GTP−Uトンネルを介してターゲットSGW28へ転送する。そして、ターゲットSGW28は、転送されたパケットa、b及びc、エンドマーカパケット並びにPGW40から受信されるハンドオーバ後のユーザペイロードパケットd、e及びfを、S1−Uインタフェースを介してターゲットeNodeB18へ送信する。UE2020のアタッチの後に、ターゲットeNodeB18は、ユーザペイロードパケットa、b、c、d、e及びfを−順序通りに−UE20へ送信する。
【0045】
ここで開示された実施形態は、SGWの再配置に関与するイントラEUTRANハンドオーバの期間中のユーザデータパケットの順序通りのデリバリを保証する(少なくともそこでは、PGW40とソース/ターゲットSGW60、28との間のインタフェースがPMIP−GREベースである)。同実施形態はX2ベースと共にS1−Uベースのハンドオーバの双方におけるSGWの再配置に関与するシナリオについて汎用的である応用可能である。同実施形態は、GTP−Uヘッダ又はGREパケットヘッダのいずれにおける新たな変更にも依拠しない。それは、既存のメッセージのフレームワークの範囲内であって、新たなメッセージは提案されない。エンプティGREパケットは、エンドマーカが現在のところ定義されていないインタフェース上でエンドマーカパケットの機能性を模倣するために使用される。ここで開示された実施形態を、GREtoGRE(ユーザプレーン)のトンネルのスイッチング(例えば、S5/S8PMIP−GREインタフェースからS2a PMIP−GREインタフェース)に関与するハンドオーバのために使用することができる。このケースでは、PGW40は、トンネルのスイッチングの前に、S5/S8GREトンネル上でソースSGW60に向けて、エンプティGREパケットを送信するであろう。そして、ソースSGW60は、当該エンプティGREパケットの受信後に、ソースeNodeB16に向けてGTP−Uエンドマーカを生成するであろう。
【0046】
ここで開示されたイントラEUTRANハンドオーバは、当然ながら、本発明の本質的な特徴から逸脱することなく、ここで具体的に説明されたもの以外の手法で実行されてもよい。本実施形態は、あらゆる観点で例示的であって制限的ではないものと見なされるべきであり、添付の特許請求の範囲の意味及び均等の範囲に入る全ての変更は、そこに包含されるものと意図される。